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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月14日 

https://www.m3.com/news/general/416537
外科学会の次期会頭、多数決で決定…桑野・群大教授就任へ
2016年4月14日 (木) 読売新聞

 群馬大学病院で手術後に患者の死亡が相次いだ問題で、日本外科学会は13日、大阪市内で開いた会合で、来年の学術集会を開催する会頭に桑野博行・同大消化管外科教授(旧第一外科教授)の就任を決めた。就任は内定していたが、手術死の問題を受けて反対の声が上がったため投票が行われ、就任に賛成する票が反対票を上回った。

 学術集会は、同学会が年1回開く最大の研究発表の場。集会を取り仕切る会頭には有力な教授が就任する。桑野教授の就任は同大病院の問題が発覚した2014年11月には内定していた。しかし、手術死の問題や、過去に第一外科で行われた生体肝移植の医療ミスなどを理由に、主要大の名誉教授10人が昨年12月、反対の意見書を同学会理事長に提出していた。

 関係者によると、「群馬大の再建に向けて応援すべきだ」とする賛成派が反対派に50票以上の差をつけた。意見書に名を連ねた名誉教授は「一般社会からすると学会として反省の色が薄いと見られる結果で、患者に申し訳ない」と話した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/416481
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
元府立医大教授「データを隠し、査読者の出方見るのは常套手段」
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第19回公判

2016年4月14日 (木)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員白橋伸雄被告とノバ社に対する第19回公判が、4月13日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、 前回に続き、KHS(Kyoto HEART Study)の主任研究者を務めた元京都府立医科大学教授の松原弘明氏への弁護側反対尋問が行われた。 弁護側は、CCB(カルシウム拮抗薬)論文作成の過程で、松原氏が別の薬品の影響を記載しなかったことなどを問題視。松原氏は「我々の世界では、あるデータを隠して、指摘されてから査読者の出方を見て足りないデータを出すのは常套手段」と強調した。弁護側はさらに、KHSとは別の基礎研究の論文不正に係る調査の過程で、松原氏が画像を修正しようとしたり、虚偽の証言を部下に求めたりしていたことを明らかにし、研究姿勢を追及した。

データを隠すのは常套手段
 弁護側は、本裁判の対象となるKHSの結果をサブ解析したCCB論文の作成過程について細かく確認。松原氏が当初は表に記載されていたACE阻害薬の情報を論文から削除するように指示したことについて、「ACE阻害薬の投与量が増えていることを 論理的に説明できなかった。バルサルタンの効果を強調できなくなる」と説明した。査読者が指摘してから、データを出そうとしていたとし、「書いたら落ちると思った。テクニックの一つ。正確性に問題があるとしたら、査読者が落とせばいい。通ったら(読者から)質問が来るだろから、その時に対応しようとした」と述べた。

 事務局を務めた男性医師Aが難色を示したことに対しては、「我々はうそを言っていない。データを曲げるわけでなく、削除して相手の出方を見るだけ」と説得。男性医師Aはなかなか納得していなかったという。松原氏は査読者が絶対に指摘してくるはずと思っていたとし、「ご存知ないと思うが、我々の世界では、あるデータを隠して、指摘されてから査読者の出方を見て足りないデータを出すのは常套手段」と強調した。

 実際には査読者から指摘がなく、「びっくりした」と松原氏。また、CCB論文は学術的価値に乏しいとして、掲載されたclinical and experimental hypertension 誌以外の他のジャーナルでは「絶対に通らないと思っていた」とも述べた。

この分野の臨床経験積んでいない
 KHS主論文では、仮説として「バルサルタン群では、通常治療群よりも20%リスクが減少する」としていた点について、「私はその知識が全くないので、白橋さんが書かれたのを写しただけ。この分野では(仮説が妥当かどうかを判断する)臨床経験を積んでいない」と説明。

 同様の先行研究であるJikei Heart Study(JHS)について、男性医師Aがその結果を信頼していなかったという点 (『「詰問すると白橋さんは目を見開いて睨んできた」府立医大元教授』を参照)に関連して、バルサルタンが狭心症リスクを低下するというJHSの結果は「カテーテルをほとんどやらない私ですら信じ難いのに、狭心症の患者を毎日見ている彼らにとってはなおさら信じ難いだろうと思っていた」と説明。松原氏も「心の中ではKHSはNS(有意差なし)になると思っていた」と述べた。

 ただ、KHSでもJHSと同様の結果になり、「JHSは本当だったんだ」と考え直したと言う。  弁護側は、KHSの主論文発表後にノバ社からの講演が増えたことを確認。松原氏は講演数は増えたが、1回の講演料は20万円で変わらなかったと説明した。

画像修整疑惑を追及、弁護側
 弁護側は冒頭陳述の中で、「松原氏が京都府立医の大教授就任前から、研究論文の内容を改ざんするなどの研究不正に多数関与したことは、京都府立医大の調査で公表されており、本件もその延長線上にある可能性を否定できない」と主張している。13日の公判では、別の基礎研究での論文不正に係る同大の調査報告書(2013年4月に公表、『発表論文の疑義に係る調査結果について』を参照)の調査過程での松原氏の対応を追及した。

 開示されたメールでは、松原氏は京都府立医大の調査が行われていた2012年9月に、疑義が持たれている論文の血管断面の画像について、自身が持っていた画像から複数の「連続切片」画像を作成するよう「画像修整に詳しいパソコン屋」(松原氏)に依頼。添付の画像ファイルには、松原氏の指示が細かく記載されていた。画像の「作成時間」の情報を、本来撮影したと推測される時間に改ざんするようにも依頼していた。

 松原氏によると、筆頭著者が画像を持っていないことから、「試しにやっただけ。できたら彼にあげてこれを(調査委員会への報告に)使ったらいいなと思った」と説明した。実際には画像の修正はできなかった。

 弁護側はさらに「末梢血単核球を移植することで血管が増えた」という当該論文の主張に関連にして、「血管が増えたように改ざんしたことを隠すための修正ではないか」と追及。松原氏は「違う。この写真を取ったのは僕でなく、筆頭著者は他にいる。データを持っていないので、なんとか手助けしてあげようとしただけ」と釈明した。

 また、調査対象になった共著者に、大学の調査に対する回答の草稿を事前に入手し、修正を依頼していた。2012年6月の部下の医師から松原氏宛てのメールでは、松原氏から血管の数を数えたなどと虚偽の報告をするように依頼されたと書かれていた。松原氏は「別の医師から頼まれ、部下の医師に『血管の数を数えたことにしてほしい』と依頼しただけ」と説明した。

 2012年6月には、疑義が呈されている論文について、手持ちのデータを基に他の統計解析担当者に、再解析に際して有意差が出るようにしてほしいと依頼するメールを送っていた。松原氏は「筆頭著者がデータを持っておらず、自分の手元にはあった。筆頭著者が作ったグラフにあうような計算をしてほしいという趣旨」と説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/416246
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
高額新薬「適応拡大なら期中改定も」、日医・中川副会長
注目の新薬上市、承認から薬価決定「抜本的見直しを」

2016年4月13日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は4月13日の会議で、高コレステロール血症等に対する注目の新薬、レパーサ皮下注(一般名:エボロクマブ)の薬価を2万2948円(140mg 1mL)に決定した。4月20日に薬価基準収載の予定で、適応は「心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤(メバロチンなど)で効果不十分な場合に限る」旨を周知徹底するため、厚生労働省は通知を出す方針(資料は、厚労省のホームページ)。

 レパーザ皮下注は、家族性高コレステロール血症と高コレステロール血症に対する国内初の抗体医薬。ピーク時の予測投与患者数は6.9万人、予想販売額は年492億円に上る。

 薬価は承認されたものの、生物由来製品をはじめ、市場規模が大きい新薬の上市が今後も続くことが見込まれることから、日本医師会副会長の中川俊男氏からは、「薬事承認から薬価基準収載までの仕組みを抜本的に見直す時期に来ているのではないか」との根本的な問題提起がなされた。これは、がんの免疫チェックポイント薬であるオプジーボ(一般名ニボルマブ)の「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」への適応拡大を受け、市場が大幅に拡大していることも念頭に置いた発言だ(『高額新薬「薬価を考慮して保険収載も」、日医・中川副会長』を参照)。中川氏の基本的考え方は、支払側も支持した。

 「レパーザ皮下注は、家族性高コレステロール血症に適応を限定すべきと思っているが、薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、高コレステロール血症も含めた。中医協の裁量権で、保険適用を限定できるルールを作るべき」とも提案。

 さらに中川氏は、「高額医薬品を一括して議論することはできない」と指摘。(1)C型肝炎治療薬のソバルディ(一般名ソホスブビル)のように重篤な疾患の治癒を目指す薬については、生涯医療費を含めて議論、(2)生活習慣病の治療薬は、従来薬との違いについて議論、(3)オプジーボのように延命効果を狙う薬については、国民的な丁寧な議論――など、薬の種類や目的の違いを踏まえて、検討すべきと主張。

 その上で、(1)新薬の承認を行う薬事・食品衛生審議会薬事分科会の承認審査の仕組みを見直す、(2)薬事承認された医薬品が、60~90日以内に、いわば自動的に薬価基準収載するという、厚労省通知を修正、(3)効能・効果が拡大した場合には、薬価の期中改定を実施――の3点を要望した。

 厚労省保険局長の唐澤剛氏は、「本質的な提案をされているので、ここで全てを答えることはできない」と引き取り、薬事承認された新薬の薬価基準収載の在り方は今後の検討課題であるとした。

 4月13日付では、レパーザ皮下注を含め、薬価が承認されたのは、計7成分、12品目。


4月13日の中医協総会は、保険外併用療養の拡大などについても議論(『回数制限超すPSA検査、「自費」で可能に』を参照)。
 レパーザ皮下注、通知で適応を厳格化
 レパーザ皮下注は、140mgを2週間に1回、または420mgを4週間に1回皮下投与する。ヒト IgG2 モノクローナル抗体で、LDL受容体の分解に関係するプロテアーゼ、PCSK9を阻害する作用を持つ。その結果、肝細胞表面のLDL受容体を増加させることで、肝臓への血中LDLコレステロール(LDL-C)の取り込みを促進、LDL-Cを低下させる。

 レパーザ皮下注の適応を「心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分な場合に限る」ことを徹底するよう求めたのが、日医常任理事の松本純一氏。「高額な薬を承認する際に、医療費を考慮しないのか」とも質した。

 厚労省保険局医療課薬剤管理官の中井清人氏は、通知で適応を順守するよう求めると説明。また薬事承認の際には、医療経済効果などの判断は入っていないとした。薬価算定組織委員長の清野精彦氏も、薬価算定組織で、新規薬剤について、「コストベネフィットを考えて、検討すべきとの意見は出ている」と述べ、高額薬剤についての問題意識は有していると明かした。

 「適応拡大で期中改定」の提案も
 このやり取りに続いたのが、中川氏。市場規模が大きい高薬価の新薬の登場を踏まえ、「そろそろ薬価基準収載の流れを抜本的に見直す時期に来ている」と問題提起した。

 中川氏は、まず薬事・食品衛生審議会薬事分科会が非公開で開催されていることを問題視。その上で、薬事承認された薬は原則として60日以内、遅くとも90日以内には薬価収載する流れになっているため、(1)薬事承認、イコール薬価基準収載になっている、(2)薬価や市場規模を度外視して、新薬自体の承認を行っているのは、不十分なデータで審査をしていると言わざるを得ない――などの点を指摘。薬事承認は厚労省の医薬・生活衛生局、一方、薬価を決めるのは保険局であり、両局が別々に議論している現状を早急に見直すよう求めた。

 さらに中川氏は、オプジーボが、「根治切除不能な悪性黒色腫」から、2015年12月には「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に適応拡大され、市場規模が大幅に拡大している点も問題視。オプジーボについては、4月4日の財務省の財政制度等審議会財制制度分科会でも取り上げられ、年間薬剤費が「1兆7500億円」にも達するとの試算も出された。しかし、販売元の小野薬品工業が4月11日に発表した2017年3月期の販売予測は、前年比6倍の1260億円だ。

 中川氏は、「(試算と小野薬品工業の予測は)一桁違う。大変センセーショナルな状況が生じている。厚労省として早急に対処すべきではないか」と求めた上で、「(適応拡大されても)オプジーボの薬価がそのままというのは誰が考えてもおかしい。効能効果が大幅に拡大された時点で、薬価を見直すことはできないのか」と提案、冒頭に紹介したように、高額医薬品の薬価の在り方を見直す必要性を指摘。

 中井薬剤管理管は、定期の薬価改定時には、市場拡大再算定など、市場が当初予定より大幅に拡大した医薬品の薬価を見直す仕組みはあるものの、期中で見直す仕組みはないことから、「理論上はあり得る」としつつ、いかに市場規模を把握するかなども含めて今後の検討課題であると回答、オプジーボの売上予測についてのコメントは控えた。これに対し、中川氏は「財政審の問題であるため、『厚労省としては知らない』というのは通らないと思う。ぜひこの辺りについて、中医協で別途議論してもらいたい」と要望した。

 健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏も、中川氏の発言に対し、「私も一部、同調するところがある」とコメント。2015年の医療費の動向を見ると、調剤医療費が高い伸びで推移しているのは、C型肝炎治療薬であるソバルディが影響しているとの見方を示し、薬価収載時に一定の歯止めをかける仕組みを議論する時期に来ているのではないか、と提案した。さらに、レパーサ皮下注については、「適応を厳格に運用するというが、それを守らなかったら、支払基金は査定をするのか。『心血管イベントの発現リスク』が高いかどかは医師の判断。いかに適応を厳格化しても、基金では査定しにくいのではないか」とも問いかけた。

 その後、他の委員からも、高額医薬品を念頭に、薬事承認と薬価基準収載との関係をめぐり、意見が続いた。整理すれば、(1)薬事承認の適応症を、保険適用で制限する、(2)薬事承認しても、薬価収載しない、(3)薬事承認の際に、薬価も踏まえて審査をする、(4)適応拡大した場合に、期中で薬価を見直す――などが論点になる。

 厚労省保険局医療課長の宮嵜雅則氏は、これらを行う権限は中医協にあるものの、仮にこれらのルールを導入する場合、薬のイノベーションと保険財政の両方に影響することから、「根拠を持って、合理的なルールを決めなければいけない」と答えた。中川氏は、「あまり時間をかけずに、前向きに検討してもらいたい」と釘を刺した。



https://www.m3.com/news/general/416332
救急隊の蘇生中止に基準 家族ら望まぬ場合、主治医指示で 学会策定へ
2016年4月14日 (木) 朝日新聞

 末期がんなどで心肺が止まった患者を救急隊員が運ぶ際、人工呼吸などの蘇生処置を家族らが望まない場合の対応について、日本臨床救急医学会は、統一的な基準作りを始めた。主治医の指示が確認できれば処置を中止する方向で検討し、年内にもまとめる方針。朝日新聞の調査では、4県で中止できる独自ルールを定めていた。▼3面=葛藤する現場

 総務省消防庁の基準は、生命に危険がある場合、隊員に応急処置を求めている。蘇生を望まないのに、家族らが救急車を呼ぶ背景には、死の迎え方について事前の意思表示が広がる一方、自宅や高齢者施設でみとる態勢が不十分なことがある。容体が急変した時に主治医と連絡が取れなかったり、慌てたりして119番通報につながっている。

 こうした状況を受け、日本臨床救急医学会は統一された基準を作るための委員会を設置。救急隊からの連絡で中止を的確に指示できるよう、本人や主治医が事前に意思表示する書面のひな型を作ることも検討している。

 委員長の丸川征四郎・医誠会病院名誉院長は「医師の判断と合わせ、現場で患者や家族の希望に応えられる仕組みが大切」と話す。

 本人や家族が蘇生処置を望んでいない時の対応について、朝日新聞が47都道府県の担当者に聞いたところ、36都道府県が「国による統一のルールが必要」と回答。岐阜、広島、長崎、大分の4県では、主治医に確認した上で蘇生処置をやめることをルール化していた。

 4県のルールは、隊員が患者らの意思と、職責との板挟みになって困らずに、意思に沿えるようにすることが狙い。救急隊の対応を助言・指導するために自治体が設ける「メディカルコントロール協議会」が2003年以降に作った。埼玉県や千葉県の一部地域でも、同様のルールを設けていた。一方、沖縄県では、家族らが中止を希望しても必ず蘇生処置することを明確にしていた。

 救急業務の法律問題に詳しい橋本雄太郎・杏林大教授(医事法)は「現状では、救急隊には応急処置が求められており、処置を続ける方が後でトラブルになりにくい」と指摘している。

 (阿部彰芳、石倉徹也)

 ◆キーワード

 <蘇生処置> 救急隊員は通常、心肺停止の人に心臓マッサージや人工呼吸をするほか、状況に応じて電気ショックなどを使う。救急救命士は医師の指示で、救命効果の高い気管挿管や薬を使うこともできる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/416480
在宅連携、「医師の意識改革が必要」日医
医師の無関心・消極性が「妨げ」の指摘も

2016年4月14日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 日本医師会の2014年度・2015年度「医療関係者検討委員会報告書」が4月13日に公表された。報告書は、在宅医療にかかる多職種連携の推進に関し、地域で多職種が集まる研修会に参加する医師が少ないことなどから、「医師の無関心・消極性が多職種連携を妨げている」として、医師の意識改革と行動変容を求めている。

 報告書は、同委員会が「地域包括ケアシステムにおける多職種連携の推進のために、医師や医師会が果たす役割」と「2025年の医療提供体制に向けた看護職員の確保に必要な施策」について検討した内容を取りまとめたもの。群馬県医師会会長の月岡鬨 夫氏が委員長を務めた。

 医師会の役割に関しては、山形県鶴岡地区医師会、東京都板橋区医師会の事例などを紹介。多職種連携の研修会や講演会を数多く開催して一定の成果は挙がっているものの、参加する医師のメンバーは固定化されているという。医師が多職種連携の重要性を理解し、他職種からアプローチしやすいように医師側の敷居を低くすることや、顔の見える良好な関係を構築することが重要だと強調している。

 看護職員の確保に関しては、医療機能分化が進む中で、「各医療機関・施設の機能に応じた看護の役割も明確になる」と指摘。「看護師と准看護師の業務分担を明確化し、准看護師が医師や看護師の監督・指示の下で、自分の判断でできる行為を明らかにすることで、より活躍できる環境を整えられる」として、さらなる活躍の場の拡大に期待した。



https://www.m3.com/news/general/416482
臨床医の開発アイデア、応援します」、日医
2016年4月14日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 点滴スタンド不要の「腹巻き式」輸液装置や、レントゲンよりも低侵襲の側弯症の診断装置など、臨床医による医療機器の「開発アイデア」の支援を日本医師会が推進している。6月から全国6カ所で地域セミナーを開催し、事例紹介やパネルディスカッション、アイデアを持っている医師を対象にした個別相談を行う。

 日医の「医師主導による医療機器の開発・事業化支援」は、2015年6月10日に開始。2016年4月11日時点で、59人の医師が92件のアイデアを登録している。うち72件に対して、日医が事業化の可能性を「目利き」しており、7件は実現可能性が高いとして、企業や弁理士を紹介するなどの具体的な支援を実施。26件を日本医療研究開発機構(AMED)などの団体に橋渡しする予定だ。登録医師には、日医の非会員14人も含まれ、4月13日に会見した日医常任理事の羽鳥裕氏は、「日医の入会促進効果もある」と指摘した。

 登録された医師のアイデアは、日医がそのアイデアを「目利き」して、案件をAMEDや専門的知識があるコンサルタント事業者などに橋渡しするほか、登録医師に対する特許申請などの相談業務も行う。「医師の(開発アイデアに対する)権利を守る目的もある」(羽鳥氏)。

 事業化に向けて試作段階に入ったアイデアもある。冒頭の点滴スタンドを使用せずに、空気圧ポンプを用いて腰より低い位置で空気を入れずに輸液できる装置だ。また、被曝の恐れがあるレントゲンを使わずに、学校健診などで側弯症を発見できる診断装置のアイデアも、事業化に向けた体制構築や試作資金の調達を進めている。そのほか、「カテーテルの挿入補助器具」のアイデアがPMDA 対応支援になったり、「動脈瘤の画像解析システム」のアイデアが日米で特許取得を取得したりしている。

 今後、AMEDや学会、行政、関係団体などとの連携を推進し、さらに医師からのアイデアを発掘、収集するため、日医や地域の医師会が主催する地域セミナーを実施する。6月11日(東京都・日医会館)を皮切りに、神奈川県、栃木県、宮城県、兵庫県、福岡県で開催する予定。



https://www.m3.com/news/iryoishin/416495
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
DPC病院、II群は140施設、41施設の増
大学病院本院は1施設増、全体で1667施設

2016年4月14日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は4月13日の会議で、2016年度改定後のDPC病院のIIが従来の99施設から41施設増え、140施設になることを公表した。大学病院本院に当たるI群は、東北医科薬科大学が4月からの医学部新設で、同大病院本院が加わり81施設、III群は1446施設。DPC病院は、合計1667施設で、2015年4月の1580施設から、87施設増(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 診断群分類は、支払い分類ベースでは計2410(2014年4月比で101増)。2016年度診療報酬改定からは、糖尿病、肺炎、脳血管疾患の3疾患を対象として、入院患者の重症度を考慮した評価手法として、CCPマトリックスが導入、その結果、DPC総数は4918となった(『DPC見直し決定、診療実態をより評価した体系へ』を参照)。

 DPCでは、高額な検査などを行う入院については、入院初日に高い点数設定がされ、2日目からは下がる支払い方式(点数設定方式D)がある。対象の診断群分類は2014年4月の33から、今改定で39に増加した。

 DPC制度は、医療機関別に設定する暫定調整係数を段階的に縮小、2018年度改定では完全に廃止する方針。そのため、新点数による推計診療報酬の変動率は、改定前の報酬のプラスマイナス2%以内に収まるよう、激変緩和措置が講じられる。変動率が2%を超えたのは73施設(2014年度改定82施設)、2%を下回ったのは53施設(同53施設)であり、これらが激変緩和措置の対象となった。

 委員からは、DPC制度の複雑さを増し、現場でも理解しにくくなっているとの指摘が挙がった。全日本病院協会副会長の猪口雄二氏は、「DPCがより精密、複雑になっているので、どの係数がどのようになっているのかが、ブラックボックス」と指摘し、今改定で新たに導入された機能評価係数IIの「重症度」指数は各病院でいかなる評価になっているかなどについて説明を求めた。

 日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、DPCIIの140病院は、III群からII群へ、あるいはII群からIII群への入れ替えがあった結果であると指摘、「II群の要件として、できるだけ絶対的な要件を盛り込むべき。そうでないと、2年ごとに『高機能の病院』と判断され、あるいは判断されなかったと言われることになる。この点をどう考えるのか」と質した。

 厚労省保険局医療課企画官の眞鍋馨氏は、「重症度」指数について、「暫定調整係数を廃止していく困難な作業を進めていく中で、同係数が表現しているものが何なのか、それをどう表現すればいいかを検討し、出てきたもの」と説明。「絶対的な要件」を盛り込む点については、「『改定ごとにゴールが動くことは説明しにくい』という意見があるのは、理解している」とし、丁寧な説明をしていくとともに、診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会で今後議論していくとの回答に留まった。



http://blogos.com/article/171830/
渋谷警察署結核感染問題 感染対策、法律の上でとてもいい警鐘例です
中村ゆきつぐ
2016年04月14日 12:54

今回渋谷警察署で起きた結核感染問題。今の日本の感染対策、法律問題においてとてもいい警鐘例です。
(渋谷署員19人結核集団感染 死亡男性の拘留解剖担当)
今回の流れをマスコミ情報をもとに説明します。

1 1月に留置した際元気だった受刑者が医師の健康診断後2月突然亡くなった

後で死因は肺結核となっています。ただ結核の症状としての咳、発熱などの症状がない状態で数日で亡くなるのは一般診察ではとても予想できません。安定していた病巣が突然破裂したのかな。留置の際の健康診断をどこまでやるかも問題になりそうです。

2 司法解剖を東京の大学で行った。報告書は6月末

司法解剖の結果、報告書に4ヶ月かかるのは一般的だと思われます。実際現在の病院においても病理解剖(法医解剖とは違います)の報告も同様の期間かかっています。
東大病院が指導されているようですので東大法医学教室だったようですが、この時感染症法で定められている結核患者(死体でも)の保健所への報告を行っていなかったようです。

保健所に届け出なかったことについて大学病院側は「死因・身元調査法では警察から関係機関に届け出るとされており、こちらから積極的に届け出なかった」としています。

3 その6ヶ月後、12月末に勤務員が1名結核を発症。以前の報告書を思い出し調べたら18人の感染が判明。大半は留置場や刑事事件として男を担当した署員で、19人のうち6人が発症し、3人が入院した。

結核感染の一般的な流れです。感染者に接触したものが感染、発症します。それゆえ結核患者が出た際、ちゃんとした大きな病院なら今はどこの病院でも、ICTと言われるチームが感染対策を行っています。ただそれは病院の患者さんに対してで、今回のような法医解剖ではあまり対応が想定されていなかったのでしょう。(病理は多分情報が共有されます。)

また産業医関連でいえば、6月末の報告書が上がった際本来組織が対応しなければいけないのですが、警察ではあまり問題にならなかったのでしょう。それは法医の方からあまり強い注意がなかったことが予想されるからです。なぜなら

4 法医解剖担当者に7名の感染が判明!

正直医師免許を持っている人間で、結核患者を解剖した際どうすればいいかがわかっていなかったのでしょうか。少し残念です。でも解剖時の感染予防がどこまでできていたかはわかりませんが、法医の仕事は感染の危険性を含めて本当大変なんです。結核だからまだしも、エボラとかだったら本当死んでいたかも。だから不足しているんですが。(NHKクローズアップ現代 増える“原因不明死”  ~死因解明が追いつかない~ 行政の縦割り 仕事が忙しい!給料が安い!人が少ない!を変えなきゃ変らない!)

今回感染から国民をしっかり守るためにどうすればいいかの警鐘例です。法律の曖昧さの部分(感染症法と死因・身元調査法)と、法医担当者へのICTの関与不足と、大きな病院でも臨床の現場にいなければ医療者の感染対策ができていないことなど、すぐに改善しなければいけない部分が明らかになりました。

オリンピックに向けて色々な感染症が輸入されてくる可能性があります。今回わかったことはどれもさほどお金もかからず簡単に改善できます。総務省(消防において)、警察庁、文科省、厚労省お願いします。



http://www.iwanichi.co.jp/tankou/12479.html
来月9日 再開 前沢診療所 4科で外来診療
(4/14) 岩手日日新聞

 奥州市は、国保前沢診療所(前沢区字立石)の常勤医師1人の着任に伴い、5月9日に外来診療を再開する。常勤医師不在のため2014年8月から診療を休止していたが、市では1年9か月ぶりの患者の受け入れに向け準備を進めている。小沢昌記市長は「医師に過度な負担がかからないよう配慮しながら運営に当たりたい」としている。

 市が13日の定例会見で明らかにした。前沢診療所には1日付で同市水沢区出身の鈴木順氏(53)=岩手医大准教授=が所長として着任。専門は内科(心療内科、呼吸器内科)。診療科目は内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科とする。

 診療は月曜から金曜までの午前9時~11時30分、午後2時~4時30分。受付時間は午前8時30分~11時、午後1時30分~4時。ただし、金曜日午後と、土日・祝日は休診とする。

 来月9日からは、正職員が常勤医師1人、放射線技師1人、検査技師1人、看護師(訪問看護含む)6人、事務長1人の10人体制。他に臨時職員が加わる。

 鈴木所長による外来診療のほか、非常勤医師が毎週火曜日の午後に呼吸器内科、毎週木曜日の午後に消化器内科を診療。循環器内科については月1回の診療を予定しているが、日時などは医師と調整している。

 鈴木所長は引き続き、木曜午後に総合水沢病院の診療を手伝うほか、県立高田病院の要請により不定期で応援診療を行う予定。

 同診療所では、診療休止前の利用患者が再び利用する場合、スムーズに診療できるよう診察券とカルテを照合するため、診察券を持参するよう求めている。

 外来診療再開に当たり、小沢市長は「われわれの希望に沿った形で診療が再開できることに対し、鈴木医師のご理解に心から感謝申し上げたい」と話した。

 前沢診療所は、常勤医師の不在に伴い14年8月から全ての診療を休止。市が早期再開に向けて医師確保を進めていた。入院診療の休止は継続する。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53988/Default.aspx
中医協総会 高額薬剤使用で「薬価だけで議論できない」 使用最適化が今後の焦点に
2016/04/14 03:53 ミクスオンライン

中医協総会は4月13日、高コレステロール血症治療薬・レパーサ皮下注(アステラス・アムジェン・バイオファーマ)などの薬価収載の可否を議論し、高額薬剤の保険上の取り扱いについて、薬事承認にまで踏み込んだ見直しが必要との意見が診療側・支払側各側から示された。高額薬剤をめぐっては、効果の高さなどが指摘される一方で、医療財政への影響が懸念されている。この日の中医協では、各側から効能追加時に次回改定を待たない再算定の実施や、適応条件の制限など薬価制度の見直し、薬事承認審査の見直しを求める声があがった。これに対し、厚生労働省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、「薬価だけで判断する問題ではない。全体の議論として対応していく必要がある」と述べた。まずは、4月20日の承認とともに発出される留意事項通知を通じた適正使用の周知・徹底が図られる。これに加え、費用対効果評価とは別に、医療経済を加味した適正化、最適使用のガイドライン策定の必要性を指摘する声もあり、こうした方策も視野に入れ、今後議論が深まることとなりそうだ。


この日の中医協では、算定薬価が2万2948円と高額なレパーサ皮下注(エボロクマブ(遺伝子組換え))の薬価収載の可否をめぐり、医療財政の観点から薬価制度や薬事承認まで踏み込んだ要望、提案があった。高額薬剤をめぐっては、4月4日の財務省の財政審で抗がん剤・オプジーボの薬剤費が年間1兆7500億円にあがるとの推計も出されており、医療保険財政の観点から適正化を求める声があがっていた。


レパーサの効能・効果は、「家族性コレステロール血症、高コレステロール血症。ただし、心血管イベントの発現リスクが高く、HMG-CoA還元酵素阻害薬で効果不十分な場合に限る」。但し書きで投与患者像を明確にしているものの、診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「臨床でこの薬を使ったときに非常に効果があれば、どうしても患者さんのことを考えれば使ってしまうということになってしまう」と指摘した。承認時に留意事項通知は発出されるものの、生活習慣病治療薬であることもあり、市場予測(ピーク時10年後)は投与患者数6万9000人、販売金額492億円よりも膨らむとの懸念がある。

◎診療側・中川委員 期中の効追で期中の改定も 高額薬剤も目的別に議論を

診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、「1000億円以上の売上が予測される生物由来製品を含む高額医薬品の上市が予測される。一括して同じ土俵で議論することはできないと提案したい」と述べ、高額薬剤については別途議論する必要性を強調した。その上で、高額薬剤でも分類があると指摘し、「目的をわけて議論すべき時代に入った」との見解を示した。具体的には、C型肝炎治療薬・ソバルディ錠、ハーボニー配合錠(いずれもギリアド・サイエンシズ)を例にあげ、重篤な疾患の治癒を目指す薬剤は、「生涯医療費をもって必ずしも医療費が高騰するわけではない。慎重に議論する必要がある」との見解を示した。一方で、今回承認されたレパーサなどの生活習慣病治療薬については、「従来薬との比較を慎重にすべき。良い薬だといっても安易に対象を拡大するべきではない」と述べた。また、オプジーボなど延命効果を視野に入れる薬剤については、「国民的な丁寧な議論が必要だ」と述べた。

その上で、現状は薬食審医薬品第一部会、第二部会での審議を経て中医協の承認をもって薬価収載されるが、▽薬食審の承認審査の抜本的な見直し、▽承認された医薬品が遅くとも90日以内に自動的に薬価収載されるという通知の訂正—を要望した。また、オプジーボがされ、投与患者数が増加したことを引き合いに、「効能効果が変更され、拡大された場合、期中の薬価の見直しを求める」と述べた。

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「但し書きを厳格に運用するということだが、守らなかったときに支払基金は査定をしにくい。高額薬剤については、保険収載時に一定の適応条件を付けることを検討せざるを得ない時期に来ているのではないか」との見方を示した。

そのほか、薬価算定組織の清野精彦委員長は、「薬価制度改革の中で、コストエフェクティブはあってもコストベネフィットは示されていない」と指摘し、急性疾患は治療すれば治るものの、長期の投薬が必要な薬剤についての評価の難しさも指摘する一幕もあった。

◎医薬品の使用最適化がカギに

一方で、すでに薬事承認や薬価制度改革だけで高額薬剤の課題を克服することについては、製薬企業の予見可能性、イノベーションの推進とのバランスの観点から難しさを指摘する声もあがっている。こうした中で、医薬品の使用をいかに最適化するかがひとつのカギとなりそうだ。16年度診療報酬改定では、湿布薬や残薬、多剤併用など、医薬品の量に対する適正使用に向けた流れが打ち出された。こうした中で、領域ごとに医薬品の経済性を加味した最適化使用ガイドラインを策定することで、無駄な投薬を防ぐことの必要性を指摘する声もあがっている。



http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14606321630901
茨城の医療体制学ぶ 水戸で研修医、ドクターヘリや支援制度
2016年4月15日(金) 茨城新聞

県内の病院に今春赴任した初期研修医の合同研修会が14日、県庁で開かれ、新人医師165人が本県の医療体制の状況を学び、研修医同士の交流を深めた。本県は人口10万人当たりの医師数(2014年12月31日現在)が全国平均を大幅に下回るワースト2位で、県は若手医師の県内定着を図るため、研修体制の強化に取り組んでいる。

研修会は本県医療事情と研修環境の理解を促すため、県が実施した。県保健福祉部の松岡輝昌部長は「茨城は医師数は少ないが、いろいろとチャレンジできる場だ。この地に根を下ろしていただければありがたい」とあいさつ。県医師会の諸岡信裕副会長は「オール茨城で働きやすい環境をつくっていく。地域住民のために仕事をしてほしい」とエールを送った。

県医療対策課の担当者は県内医師数の現状や、ドクターヘリの運航状況などを説明。若手医師を対象にしたゼミや海外研修などの支援制度について紹介した。元筑波大付属病院長の山口巌県医療改革担当顧問は「不運はたくさんある。それを乗り越えて前に進んでほしい」と訴えかけた。

研修会に参加した水戸済生会総合病院の柳橋亮太さん(24)は「どんな患者でも診られるような医師になりたい」と話し、日立製作所日立総合病院の佐藤莉都さん(25)は「産婦人科医になりたいと思っている。微力ながら医師不足解消に貢献できればいい」と意気込みを語った。 (小池忠臣)



http://mainichi.jp/articles/20160415/ddm/002/040/060000c
がん大国白書
第1部 新薬の光と影/10止 求められる費用適正化

毎日新聞2016年4月15日 東京朝刊

 6日に開かれた日本医師会の定例記者会見で、一般的な日本人男性が使うと年約3500万円もかかる新タイプの抗がん剤「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)について、横倉義武会長が懸念を表明した。「安全性や有効性が確立された医薬品は速やかに保険で認める一方、医薬品の費用の適正化も進めるべきだ」

 オプジーボは当初、皮膚がんの一種「悪性黒色腫」の治療薬として承認された。薬価は使う患者が少ないほど高くなる傾向があり、オプジーボの予想患者数が年470人と少なかったため高額になった。昨年12月、一部の肺がんに適応が拡大し、対象の肺がんの患者は年約5万人に上るとされるが、現行のルールでは薬価は変わらない。横倉会長は「医療側も無制限に使うのではなく、必要な患者へ適切に処方することが必要」と指摘した。一方、発売元の小野薬品工業は11日、オプジーボの2017年3月期の国内売上高が、前期の約6倍の1260億円に増えるという販売予想を発表した。

 日本と同じようにがん医療の高額化に直面する米国では、医療の無駄を減らす動きが広がる。米臨床腫瘍学会は12年、不要な検査や治療の「トップ5」を公表した。進行がん患者への過剰な抗がん剤投与や、転移の危険性が低い早期の前立腺がん患者への高額な画像検査などを挙げ、利益が小さな医療を見直すよう呼びかけた。

 廃棄される抗がん剤に注目して、薬剤費の削減を目指す試みもある。抗がん剤は患者の体格に応じて使用量が変わり、瓶入りの薬剤は残りが出ることが多い。一般に残りの薬は廃棄されるが、岩本隆・慶応大特任教授(経営学)によると、米国の一部の病院で、残った薬を別の患者に使用する際の無菌化の手順や保存期間などを定め、廃棄量の減少を図っているという。岩本さんが昨年まとめた試算では、国内でも約400億円分もの抗がん剤が廃棄されていた。問題視する医師も増えており、岩本さんは「日本も無駄を減らせる余地は大きい」と話す。

 大手製薬企業「MSD」(東京都)は、オプジーボのように免疫の仕組みを利用した抗がん剤を日本で承認申請中だが、薬の効果が見込める患者を投与前に絞り込む検査キットを開発した。トニー・アルバレズ社長は「薬が非常に高額なため、ベストな患者を選ぶ個別化医療の追求が重要だ」と説明する。さらに、適切な投与期間が定まっていない抗がん剤について、投与期間を検討する研究が計画されるなど、薬を本当に必要とする患者に届ける動きが出ている。

 オプジーボをはじめ、がん医療技術の日進月歩によって治療の可能性が広がっている。しかし、医療費の増加が続けば、世界に誇る日本の「国民皆保険制度」を支える財源が不足し、制度自体が揺らぎかねない。一つの高額な薬が生んだ波紋は、患者も含めた日本社会ががん医療に何を求め、どこまで負担するかという重い課題を突きつけている。=おわり

    ◇

 この連載は、河内敏康、下桐実雅子、細川貴代、永山悦子が担当しました。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48559.html
新専門医制度、「データに基づいた検討を」- 全自病・邉見会長
2016年04月14日 22時00分 キャリアブレイン

 全国自治体病院協議会(全自病)の邉見公雄会長は14日の定例記者会見で、2017年度に始まる予定の新たな専門医制度について、「地域医療構想では、病床のマッチングや調整をする。医療を提供する医師の調整をしてもいいのではないか」と述べ、地域の疾病構造や手術数などのデータに基づいた制度の検討が望ましいとの考えを示した。【敦賀陽平】

 新専門医制度をめぐっては、研修施設が少ない地域の医療に悪影響が出ることを懸念する声が医療界で相次いでおり、厚生労働省は先月、社会保障審議会医療部会の下に専門委員会を設置し、関係者の不安の解消に向けた協議に乗り出した。

 この日の会見で邉見会長は、「地域にこの分野の専門医が何人いるかということをちゃんと分かった上で制度を発足させた方がいい。診療科や地域の偏在が助長されるようなことではいけない」とし、専門医の現状を把握するためのデータの提示を国に求めた。

 また、「(医師の)『プロフェッショナル・オートノミー』(職業的自律)がうまくいっていたら、今の日本の医療で地域や診療科の偏在は起こっていなかった。プロフェッショナル・オートノミーが錦の御旗のような時代ではないと思うようになった」とも語った。



https://www.m3.com/news/iryoishin/416564
患者申出療養、かかりつけ医が成功のカギ
厚労省の評価会議、制度設計の詳細を議論

2016年4月14日 (木) 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「患者申出療養評価会議」の第1回会議が4月14日に開催され、座長には、聖路加国際病院院長の福井次矢氏、座長代理には国立成育医療研究センター理事長の五十嵐隆氏がそれぞれ選任された(資料は、厚労省のホームページ)。

 委員は、医学や薬学、生物統計、臨床研究などの専門家、患者代表など、計18人で構成。患者から申出があった医療技術について、必要に応じて評価会議の下に、主にがん等に関する技術評価を行う第1分科会、主に難病等に関する技術評価を行う第2分科会をそれぞれ設置して検討する。

 第1回会議では、治験や「先進医療」など既存の制度との関係を整理したほか、委員から患者申出療養に対する要望や意見が出た。「患者申出療養評価会議」での審査は、「患者申出」があってから原則6週間以内とされ、最低3カ月程度かかる「先進医療」の審査よりもスピード感を持って進めることを狙うが、その前段階、特に「患者申出」に至る「入口」までの時間についての懸念だ。なお、14日時点で、同会議に「患者申出」があった事例はまだない。

 スムーズな「患者申出」につなげるカギの一つとなるのが、かかりつけ医の役割。制度上、「かかりつけ医を含む患者に身近な医療機関においては、例えば、専門的内容の分かりやすい説明や、患者の症状等を踏まえた助言を行う」こととされている。

 「かかりつけ医が本当に対応できるのか」との問いに対し、日本医師会常任理事の石川正己氏は、患者申出療養に関する正確な情報を医師会として発信していくと説明。厚労省に対しても、患者が迷わずに申請できるよう、説明書などをかかりつけ医で配布できるようにするなど、対応を求めた。

「患者申出療養評価会議」は次回は5月に開催予定。

 「患者の申出」が起点、国への申請も患者
 患者申出療養は、2016年度から新たに開始する制度。保険外併用療養費制度を活用し、例えば治験の対象外の患者、国内未承認薬や国内承認の適応外薬などによる治療を希望する患者のニーズに応えるのが狙い(『患者申出療養、制度設計が完了』を参照)。

 現行の「先進医療」と同様に、将来の保険収載を目指す点では同じだが、「先進医療」とは異なり、「患者申出」を起点とするのが特徴。患者がかかりつけ医などに相談、臨床研究中核病院、もしくは「患者申出療養」に対応する相談窓口を持つ特定機能病院につなぎ、これらの病院もしくは患者の身近な医療機関で、患者から申出があった医療技術を受けられるようにする仕組みだ。

 患者は、臨床研究中核病院の開設者の意見書(実施計画など)をはじめ、必要な書類を揃え、国に対して申し出る。患者申出療養としては「新規」の場合は、「患者申出療養評価会議」は申出を受け付けてから、原則6週間以内に実施の可否を審査。「前例」がある場合には臨床研究中核病院が実施医療機関を個別に審査し、迅速な実施につなげる。

 治験や先進医療との整理が必要

 制度の骨格は中医協で決定している。厚労省は、第1回会議で、(1)申出が予想される技術、(2)実施医療機関の追加、(3)他制度との連携、(4)「実施計画対象外」の考え方、(5)臨床研究以外で実施する場合、(6)その他――に分け、具体的な制度設計案を提示。昨年来、厚労省は臨床研究中核病院や特定機能病院と話し合いの場を持っており、治験や「先進医療」など、既存の制度との関係が分かりにくいとの声があったことから、「患者にとって、どの程度が一番アクセスしやすいのか、という観点から整理した」(厚労省事務局)。

 全国がん患者団体連合会理事長の天野慎介氏は、「先進医療や拡大治験などの除外基準に該当する患者が、この制度に大きな期待を持っていると聞いている」と述べ、患者申出療養の運用の在り方などを確認。国立病院機構名古屋医療センター院長の直江知樹氏、国立がん研究センター社会と健康研究センター生命倫理研究室長の田代志門氏らも、治験や先進医療などとの関係を質問した。

 「他の既存の評価療養(先進医療A、Bなど)を利用できる場合には、その活用を十分に考慮すべき」が基本。その前提で、厚労省は、「先進医療」については(1)先進医療として開始され、実施途中の場合、(2)既に先進医療が終了している場合、治験については(3)治験を計画中の場合、(4)治験として開始、実施途中である場合――という場合分けして、フローチャートなどで各制度の関係を説明。

 例えば、(1)の場合、「まずは先進医療の申請医療機関等での実施を考慮すべき」としたが、患者がそれ以外の身近な医療機関での実施を希望し、先進医療の計画変更等でもなお対応ができない場合に、患者申出療養の対象になる。

 また治験実施中の場合、当該治験、あるいは人道的治験(拡大治験:治験の参加基準に満たない患者に対して人道的見地から未承認薬等を提供する制度)につなげることになる。人道的治験での実施が難しい場合でも、その理由によっては患者申出療養として実施する場合があり得る。そのほか、患者申出療養を実施中に、治験が開始する場合は、「速やかな薬事承認を目指す必要から、患者申出療養における新規患者の組み入れをいったん停止」するものの、「治験の対象外」の患者については引き続き、患者申出療養の対象とする。

 患者が的確に相談できる「入口」重要

 「患者申出」の「入口」については、(1)治験も含め、先進的な医療に関する情報を患者がいかに入手するか、(2)患者の第一の窓口となる、かかりつけ医などがいかに対応するか、(3)患者やかかりつけ医からの相談を受け付ける、臨床研究中核病院や特定機能病院における窓口をどのように充実するか、(4)患者申出療養の実施計画をいかに迅速に立案するか――などが懸念点となる。

 天野氏は、「そもそも申請できるかどうか悩んでいる患者は、どんな申請が挙がっているのかを知りたいと考える」と述べ、今の治験は情報がバラバラであることから、患者申出療養では、分かりやすい情報提供をするよう要望。日本難病・疾病団体協議会理事の原田久生氏は、「患者自身が正しい情報を持って、相談窓口に行けるかが疑問」と指摘、相談の応需体制の充実を求めた。

 厚労省は、(1)については、同省のホームページで、臨床研究中核病院から挙がってきた患者申出療養の実施医療機関、実績、エビデンスが不十分で実施に至らなかった医療などについて掲載する方針。(3)の相談窓口については、特定機能病院における設置状況を、4月下旬までに報告を求めているほか、臨床研究中核病院や特定機能病院が受けた相談例について、相互に情報共有するほか、「患者申出療養評価会議」に報告するとした。

 「実施計画作成に半年から1年」との意見も

 (4)に要する期間についての質問に、厚労省事務局は「エビデンスの収集、患者の同意の確認、実施計画の作成、倫理委員会の審査などもあり、相当時間がかかるだろう。しかし、具体的に何カ月になるかの相場観を持っているわけではない。今後、事例を積み重ねて行く中で、ここで時間がかかるのであれば、フィードバックし、改善していく」と説明。

 東京大学医学部附属病院臨床研究支援センターのセンター長の山崎力氏は、「個人の意見」と断りつつ、「1日も早くという思いはあるが、どうしても時間がかかるのが現状。半年から1年かかるというのが実感」と述べた。「相応の時間がかかることは承知しているが、短縮できるところがあれば、少しでも短縮してもらいたい」との天野氏の問いかけに、厚労省事務局は「モデルとなるようなプロトコルがあれば、少しでも早く計画作成が可能になる」という視点からその作成を進めていくと答えた。


  1. 2016/04/15(金) 05:39:14|
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