Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月11日 

http://medg.jp/mt/?p=6643
東千葉メディカルセンター問題における千葉県の責任(1)
小松秀樹
医療ガバナンス学会 Vol.087 (2016年4月11日 06:00)
MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●読売新聞
 読売新聞は2016年3月9日、「東千葉メディカルセンター新年度中の全面開院困難」と報じた。記事によると、東千葉メディカルセンターは、2014年4月から一部で開院。計画では2015年度中に「看護師199人、ベッド数230」、2016年度中に「看護師276人、ベッド数314」と順次体制を拡大し、23診療科で全面開院の予定だった。2016年2月末、看護師数は156人、ベッド数は164にとどまっている。看護師が集まらず、2016年度中の全面開院を見送らざるを得なくなった。ベッド数を増やせなかったため診療収益が増やせず、2015年度資金が4億3800万円不足、2016年度も上半期だけで7億円の不足が見込まれる。このため、千葉県と東金市、九十九里町が12億円を追加支援し、不足の穴埋めをする。

●地方独立行政法人東金九十九里地域医療センター評価委員会(2016年2月5日)
 東千葉メディカルセンターを経営する地方独立行政法人の評価委員会で、資金繰り対応と短期借入金の借り換えの認可が議論された。これが上記記事になった
資金不足に対する対応策として、2015年度分として、東金市・九十九里町と千葉県から、それぞれ、1億7900万円、3億2100万円が追加支援されることになった。2016年度上半期、東金市・九十九里町と千葉県からそれぞれ、3億5900万円、3億4100万円が、当面の資金繰り支援として支出されることになった。
 地方独立行政法人は、中期計画で示された限度額の範囲内で短期借入れをすることができるが、これは事業年度内に返済しなければならない。資金不足のために返済できないときは、設立団体の長の認可を受けて、借り換える(年度越え)ことができることになっていた。短期借入金残高は、2015年10月まで3億円だったが、2015年11月以後、5億円に増えた。東千葉メディカルセンターを心配する会によると、職員の給料やボーナスを支払う金が足りなくなったためだという。5億円を年度内に返済できないため、借り換えで対応することになった。会議では厳しい意見が飛び交った。

 損益の状況は2015年度、2016年度はどういう状況になるのか、また、財政状態、貸借対照表で債務超過になるのではないか。
 2015年度の損益は約13億8千万円、2016年度につきましては約13億4千万円の損益を想定しておるところでございまして、もう一つご質問がございました具体的に今年度の決算については債務超過ということはたぶんこのまま行くと免れないという風に考えているところでございます。
(看護師が)確保できないという状況になりますと、2016年度大変な赤字、資金ショート、資金不足に陥る可能性があります。

●東千葉メディカルセンター設立の背景
 千葉県の太平洋岸は日本でも有数の医療過疎地域である。医師不足のために、2003年から2008年にかけて、自治体病院がドミノ倒し状態になり、連鎖的に危機を迎えた。
 県立東金病院は、2004年10人いた内科医が減少し続け、2006年に3人になった。この間、組合立国保成東病院の負担が重くなっていった。ギリギリで頑張ってきた成東病院の医師が耐え切れなくなった。11人いた内科医が2006年にゼロになった。公立長生病院は、2007年千葉大学が医師派遣を中止。内科常勤医が4人から1人に減少した。院長が千葉大から自治医大出身者に交代した。安房医師会病院は24時間365日の救急で医師が疲弊し、医師不足に陥った。2008年、社会福祉法人太陽会に経営移譲し再建。銚子市立総合病院は393床を有していたが、医師の給与引き下げを契機に、日本大学が医師を引き上げ、結果として、2008年9月30日、病院運営を休止した。
 崩壊が顕在化する前の2003年、老朽化した県立東金病院を廃院にして、山武郡市広域行政組合を設立主体とする九十九里医療センターを新設する構想が持ち上がった。400床の規模で、救命救急を担おうという計画だった。ところが、2008年、センター長に、支援病院への病床数割り振り権限を与えるかどうかをめぐって、山武郡市首長会議が紛糾した。支援病院と位置付けられた国保成東病院、国保大網病院が切り捨てられることを、それぞれの病院を持つ自治体が恐れたためである。自治体間の合意を形成することができず、設立主体が東金市、九十九里町の2市町だけになった。その後、名称が、東千葉メディカルセンターに変更されて、2014年4月開院された。

●看護師不足
 東千葉メディカルセンターの創設が決まった当時、千葉県の人口当たりの就業看護職員数は、47都道府県中46位、看護学生数は45位だった。しかも、少ない養成数がさらに減少することになっていた。2010年の千葉県医療審議会地域保健医療部会の資料では、看護師養成課程の1学年定員は、2009年の2752人から2013年には2348人まで減少することになっていた。県立看護大学の設置による定員減が大きな要因だった。2014年、千葉県は2025年に必要な県内の医師・看護職員数の推計結果を発表した。2025年、中位推計で、看護師は1万4千人不足する。
 千葉県における医療供給の最大の阻害要因は、看護師不足である。保険診療においては、入院患者当たりの必要看護職員数が決められているので、看護師が不足するとその分、病床を開けない。千葉県には稼働していない許可病床が大量に存在している。看護師不足のために、病床を稼働できていないにもかかわらず、2012年、千葉県は、高齢者人口の増加に合わせて、医療計画に基づく許可病床を3809床新たに募集した。許可病床は既得権益になる。多くの病院がこぞってこれに応募した。3809床増やすとすると、4000人近い看護師が必要になる。
 こうした中で、2010年10月1日、独立行政法人東金九十九里地域医療センターが設立され、東千葉メディカルセンターの開院に向けて本格的に準備が開始された。設置場所の山武・長生・夷隅医療圏は、医療サービス不足の千葉県の中でも、単位人口当たりの医師・看護師数が際立って少ない。この地域は、高齢化の進む過疎地域であり、都会から看護師が就職のために移住してくる可能性は低い。結果として、少ない看護師を地域の病院で奪い合うことになった。

●東千葉メディカルセンターを心配する会
 計画段階より、東金市民から、危惧する声が上がっていた。
「東千葉メディカルセンターを心配する会」が発行した「長屋の医事談義」は、3つの問題を挙げていた。患者数を集められるのか、医療単価を高く想定し過ぎているのではないか、医師・看護師を集められるのか。
 周辺自治体にさんむ医療センター(旧成東病院)、長生病院、大網病院がある。東千葉メディカルセンターは、周りの市町とケンカ分かれして作られた。競合関係が継続しているので、患者集めは難しい。東千葉メディカルセンターを心配する会は何より、東金市の財政破綻を心配していた。

 1日の入院単価が4万5千円という高額な患者さんが年間約10万人、外来単価1万円の患者さんが年間約20万人集まらなければ赤字ですからね。
 4年目に黒字になるには、あの大網病院、東金病院(廃院)、さんむ医療センターの3つの病院の患者をぜ~んぶあつめなくてはならない。
 4年目や7年目に黒字になるように、適当にアチコチの数字を当てはめた結果みたいだね。
三次救急患者っていうのは、この地域はで1日に1人か2人しかいないんですよ。
私の見立てでは、たぶん、このまま行ったら、医療センターは毎年最低10億円、場合によっては20億円ぐらいの赤字が出ると思います。
 そうなったら、東金市の財政はどうなるのかなあ。
 東金市はね、現在、累積赤字が330億円ぐらいあるんだよ。そして、その赤字分を返済するために年間20億円ぐらい出しているんだけど、その返済額が26億円を超えると1枚目のイエローカード、35億円を超えると2枚目のイエローカード、51億円を超えると完全なレッドカード。つまり、財政破綻だね。
財政破綻というのは、例のあの夕張市みたいなことかい?赤字が多くなりすぎて、自主的な財政運営ができなくなって、市役所の職員も半減、給料も半減、住民もドンドン市外に移転‐‐ということで、要するにゴーストタウンになっちゃうんでしょ。
 年間予算が約190億円程度の東金市にとっては、年間10~20億円という赤字が毎年ずーっと続くような「大事業」は、やるべきじゃあないんだよね。(「長屋の医事談義」より)



http://medg.jp/mt/?p=6641
東千葉メディカルセンター問題における千葉県の責任(2)
小松秀樹
医療ガバナンス学会 Vol.088 (2016年4月11日 15:00)
MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

●千葉県の責任
 東千葉メディカルセンターの設置計画には千葉県の意向が強く反映されている。「心配する会」によると、千葉県は、毎年8億円程度の東金病院への赤字補填を嫌がっていた。設置計画は、この負担を逃れるためだったという。千葉県は、東千葉メディカルセンター実現のため、2008年、二次医療圏を組み替えた。2006年の千葉県保健医療計画では、山武郡市は、印旛・山武医療圏に所属していた。2008年には、夷隅・長生と一緒になり、山武・長生・夷隅医療圏になった。「心配する会」によると、この後、千葉県は「この医療圏にだけ三次救急病院がない」と言い出した。千葉県が二次医療圏を組み替えたのは、背景になる人口を増やして大義名分を大きくし、補助金を多く出せるようにするためだった。
 東千葉メディカルセンターの評価委員会には、救急搬送のデータが毎回提出されている。2015年12月分のデータでは、東千葉メディカルセンターが受け入れた救急搬送は228件。山武郡市からの救急搬送が170件を占めた。これは山武郡市のすべての救急搬送715件の24%に過ぎない。長生郡市からの受け入れは32件しかなかった。夷隅郡市のいすみ市、勝浦市からの救急搬送はゼロだった。同年4月から12月までの9か月間でみても、いすみ市からは7件、勝浦市からの搬送は1件もなかった。この表には44もの基礎自治体からの救急搬送の受け入れデータが記載されている。このうち、29自治体は山武・長生・夷隅医療圏外である。一方、夷隅郡市に所属する大多喜町、御宿町は統計表に入れられていなかった。東千葉メディカルセンターが夷隅郡市を、自らの診療圏と考えていないことは、統計表からも明白だった。夷隅郡市の救急の大半は亀田総合病院に搬送されている。医療の実態は、安房・夷隅医療圏である。夷隅郡市は東千葉メディカルセンターに補助金をつぎ込むための名目に利用されただけだった。本来、「安房・夷隅医療圏」に配分されるはずの補助金が東千葉メディカルセンターに投入された。

●研究者、医療関係者の意見
 この問題について複数の研究者、千葉県の医療関係者から話を聞いた。以下その意見をまとめる。

 団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、地域医療をそれに見合ったものにしようというのが地域医療構想である。高齢者が爆発的に増える今後の医療需要にあわせて、その地域での超急性期、急性期、回復期、慢性期病床をその地域の状況にあうように病床配分していこうという計画経済的な考え方に則っている。まず、その構想地域を決めなければならない。二次医療圏が基本だが、実情にあわせて今までの二次医療圏にこだわらず、まず、構想地域を決めることから始める。これが医療連携会議である。地域を決めてから、現時点での実情から2025年にあった構想を立てるというものが地域医療構想の基本で、医療圏ごとの計画策定となる。連携会議で地域を決めて、構想会議で医療計画を作ることになる。

 山武・長生・夷隅医療圏は東千葉メディカルセンター設立のために、あえてつくられた不自然極まりない二次医療圏である。東千葉メディカルセンター設立のために莫大なお金がつぎ込まれたので、山武には恩恵があったかもしれない。しかし、今後の成り行きによっては、東金市と九十九里町にとって、財政破綻に向かう毒まんじゅうだったということになる。少なくとも、東千葉メディカルセンターから、夷隅はなんら恩恵を受けていない。新しくできた圏央道を使うとしても遠すぎる。夷隅の救急患者はほとんど亀田総合病院に運ばれている。救急でなくても患者の流れは夷隅から安房となっている。夷隅では2市2町の首長が連名で、夷隅は安房と同じ二次医療圏にして欲しいと千葉県知事に2015年8月の終わりに申し入れた。

 地域医療構想は地域ごとに作成するということで、二次医療圏ごとに医療連携会議が開かれている。山武・長生・夷隅医療圏と安房医療圏の連携会議で、医療圏の組み替えが議題に上った。千葉県は、介護保険計画との整合性から2年間は医療圏を変えない方向であるとの説明し、会議は紛糾した。夷隅、安房からは強い変更希望が出された。安房と夷隅が同じ医療圏である方が二次医療圏の人口規模や患者の流れから自然である。慎重にじっくり議論しなければいけないと千葉県は反論したが、以前から十分に議論されてきたことである。千葉県は、意見は承ったとして、医療圏を決めるのは、千葉県医療審議会、その部会である保健医療部会であると主張した。保健医療部会は、東金市長と山武の前医師会長だった田畑千葉県医師会長が主導権を持つ。ここでは医療圏は変えないという結論は見えていた。地域の意見を聞いて医療計画を立てるという原則を千葉県が反故にした。さらに、形勢不利と見た千葉県は、山武、長生、夷隅、安房医師会にアンケートを取り、山武や長生医師会は医療圏変更に反対しているので、変更は出来ないと言い始めた。医療は住民のもの、患者のものであり、医師会のものではない。住民の代表である首長の主張より医師会のアンケートが重んじられた。

 ここまで無理をする理由は、東千葉メディカルセンターに補助金を投入し続けるためである。失敗だったとなると、誰かが責任をとる必要が出てくる。決定に関わった職員はまだ現役で残っている。千葉県の役人の責任逃れのために、巨額の税金が投入され続けるだろうというのがこの問題に詳しい研究者の説明だった。先行きについて見通しがなく、結果に対して誰も責任をとらない。

●今後の問題
 筆者は、2012年7月、九十九里医療センター(東千葉メディカルセンター)構想についての危惧をメールマガジンに発表した(1)。当時、多くの医師がこの構想を無謀だと認識していた。

 三次救急は通常、人口100万人に1か所程度必要とされる。逆に、巨額の投資が必要なので、人口が少ないと維持できない。東千葉メディカルセンターから、20~30分で、千葉大病院、千葉県救急医療センターに到達できる。三次救急が経済的に成立しないところに、三次救急病院を創設しようとしたことに無理があった。

 医師・看護師を集められたとしても、最終的な規模は、314床、23診療科(当初の22科に総合診療科が加わった)、医師数56人、看護師数276人である。常識的には、この医師数だと、三次救急は不可能である。三次救急は救急患者の最期の砦であるが、救急医が対応できる疾患は限られる。救急以外の診療で、すべての診療科が高い水準で運営されていないといけない。私の専門領域の泌尿器科は1人しか想定されていない。泌尿器科は手術を主な治療手段とする。数名のチームで診療するのが普通である。医師一人の泌尿器科は機能しない。ふだん機能していない泌尿器科は、腎外傷、骨盤外傷、悪性腫瘍からの大出血、外科処置の必要な重篤な尿路性器感染症などに対応できない。

 2014年の医療介護総合確保推進法による地域医療構想は、都道府県に強大な権限を与えた。都道府県が地域ごとの実情を無視して突っ走っても、医療関係者は誰も止められない。言論だけが頼りになる。筆者は活発な言論活動で、厚労省、千葉県の無茶な政策を批判してきた。賛同者も多かった。厚労省の医系技官(千葉県への出向者を含む)にとって扱いにくい難敵だった。筆者が千葉県の違法行為を批判したことを契機に(2)、医系技官の井上肇は、筆者の批判を止めさせないと補助金を配分しないと、亀田総合病院の経営者を脅した。筆者は、千葉県、厚労省を批判したことを理由に亀田総合病院を懲戒解雇された(3)。井上肇が医療行政の要として千葉県に在職中、東千葉メディカルセンター構想が本格的に動き始めた。

 亀田総合病院は、筆者を解雇することで、行政の嫌がる反撃手段を捨てた。行政は無理難題を押し付けやすくなった。結果としてリスクを高めた。東千葉メディカルセンター問題や亀田総合病院事件を、民主主義のルールに則ってきちんと解決しない限り、同様の事件が頻発する。結果として国民が不幸になる。多くの目で推移を注目していく必要がある。

1.小松秀樹:病床規制の問題1:千葉県の病床配分と医療危機. MRIC by 医療ガバナンス学会. メールマガジン; Vol.539, 2012年7月11日. http://medg.jp/mt/2012/07/vol5391
2.小松秀樹: 千葉県行政における虚偽の役割. MRIC by 医療ガバナンス学会. メールマガジン; Vol.117, 2015年6月15日. http://medg.jp/mt/?p=5898
3.小松秀樹:亀田総合病院事件を刑事事件として扱うべき理由.MRIC by 医療ガバナンス学会. メールマガジン; Vol.239, 2015年11月24日. http://medg.jp/mt/?p=6292



http://www.yomiuri.co.jp/science/20160409-OYT1T50170.html
医療機関HP、規制を検討...美容外科トラブル多発で
yomiDr / 読売新聞 (2016年4月11日 読売新聞)

 美容外科などの医療機関のホームページ(HP)を巡って健康被害や契約トラブルが相次いでいることを受け、厚生労働省は、医療機関のHPを広告規制の対象とする検討を始めた。

 有識者による検討会で議論を重ね、今秋をめどに規制策について結論をまとめる。

 美容整形や脱毛、脂肪吸引などの美容医療の分野では、医療機関がHPで施術の効果や安全性を誇張したり、実際より低額の料金を表示したりして、治療を受けた患者が被害を訴えるケースが急増している。国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた医療機関のインターネットでの宣伝に関する苦情相談は、2005年度の40件から、14年度は405件に増加した。


04111.jpg

 福岡県消費生活センターでも08〜13年度は3〜9件で推移していたが、14年度は16件と急増。15年度はまだ集計がまとまっていないが、同程度に上る見通しという。「HPを見て、にきびとしみの治療を受けたが、効果がなく、高額な支払いを要求された」などの訴えが寄せられた。

 他地域でも同様の相談が相次いでいる。昨年6月に美容クリニックで脂肪を溶かす注射を打ったという近畿地方の20歳代女性は、HPに「腫れ、痛みも少なく、翌日から普通の生活が送れる」との記載があったのに、施術直後に足の腫れや痛みが出たという。東北地方の30歳代男性は「キャッシュバックあり」とうたうHPを見て脱毛の施術を受けたが、終了後に「対象外」と説明され、代金が戻らなかったと訴えた。

 医療法では、医療機関がチラシなどで広告を行う場合、記載できるのは診療科名や手術の内容などに限定し、虚偽の広告には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金もある。

 ただ、同法を所管する厚労省はこれまで、HPについては「一般に広く認知される『広告』ではなく『情報提供』にあたる」とし、閲覧者を別のHPに誘導する「バナー広告」などを除き、規制の対象外としてきた。

 厚労省は12年にHPに掲載すべきでない事項などをまとめたガイドライン(指針)を策定。しかし、その後も相談や苦情が相次いでいる現状を踏まえ、医療関係者や消費者保護の専門家らによる検討会を設置し、3月下旬に1回目の会合を開き、同法改正や解釈変更の検討を決めた。

 厚労省の担当者は「ガイドラインなどによる対策は十分ではないとの指摘もあり、専門家の議論を踏まえて対策をまとめたい」と話している。



http://www.medwatch.jp/?p=8428
制度開始から半年で医療事故188件、4分の1で院内調査完了―日本医療安全調査機構
2016年4月11日 メディウォッチ

 医療事故調査制度がスタートした昨年(2015年)10月から今年(2016年)3月末までに報告された医療事故は188件、そのうち院内調査の結果が出ている事例が50件となっている―。

 こうした状況を、日本医療安全調査機構が8日に発表しました。

ここがポイント! [非表示]
 1  医療に起因する死亡事故のうち「管理者が予期しなかった」ものを報告
 2  外科・内科がともに29件で最多、整形外科・産婦人科と続く

医療に起因する死亡事故のうち「管理者が予期しなかった」ものを報告

 医療事故調査制度は、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてを医療事故調査・支援センター(日本医療安全調査機構)に報告し、当該医療機関やセンターで再発防止策を探る仕組みです。

 昨年(2015年)10月からスタートしており、次のような形で運用されています(関連記事はこちら)。

(1)事故が発生した医療機関が、医療事故調査・支援センターに事故発生を報告し、遺族にも報告する

(2)医療機関が院内調査を行い、調査結果をセンターに報告するとともに、その内容を遺族に説明する

(3)遺族や医療機関が院内調査結果に納得できない場合には、センターに調査を依頼できる

(4)センターは調査結果を遺族と医療機関に報告するとともに、事故事例を集積・分析して再発防止に向けた普及啓発に努める

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける
04112.jpg

外科・内科がともに29件で最多、整形外科・産婦人科と続く

 日本医療安全調査機構は、制度の施行状況を毎月公表しており、今般、施行から半年後(2016年3月末まで)の状況が明らかになりました。

 それによると、報告件数は半年間で188件となり、病院からの報告が169件、診療所からの報告が19件となっています。

 診療科別に見ると、外科と内科がともに29件で、最も多くなっています。次いで ▽整形外科20件 ▽産婦人科15件 ▽精神科13件 ▽循環器内科13件 ▽消化器科11件―などという状況です。


医療事故調査制度のスタート(2015年10月)から半年間(2016年3月)で、医療事故として報告された件数は累計で188件
04113.jpg

 また医療機関から日本医療安全機構への相談は、半年間で1012件となりました。内訳を見ると、▽報告の手続きに関するもの298件 ▽医療事故の判断に関するもの267件 ▽院内調査に関するもの273件―などが多くなっています(複数回答)。

医療事故調査制度のスタート(2015年10月)から半年間(2016年3月)で、相談件数は累計で1012件
04114.jpg

 報告対象となる医療事故かどうかは、前述のように「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」か否かで判断します。

 また「管理者が予期しなかったもの」とは、次の3ケースのいずれにも該当しないケースを指します(関連記事はこちら)。

▽事前に医療従事者などが、患者などに対して死亡・死産が予期されていることを説明していた

▽事前に医療従事者などにより、死亡・死産が予期されていることを診療録その他の文書等に記録していた

▽事情の聴取などを行った上で、事前に医療従事者などにより、死亡・死産が予期されていると認めた

 
04115.jpg

 医療事故が発生した医療機関では、まず院内での調査を実施します。施行後半年間で院内調査が完了しているのは50件で、報告された事故188件の26.6%に該当します。

医療事故調査制度のスタート(2015年10月)から半年間(2016年3月)で、院内調査が完了した件数は累計で50件

 また、医療機関あるいは遺族からセンターへの調査依頼があったのは、施行後半年間で2件(全体の1.1%)となりました。



http://newswitch.jp/p/4263
新薬の販売をより早く。製薬協がアジアで審査を支援
2016年04月11日 newswitch

 日本製薬工業協会(製薬協)は、アジアで医薬品の申請や承認の円滑化につながる取り組みを強化する。新薬の申請を行う企業側と、審査を担当する規制当局の双方を対象とした研修を、11月に台湾で試験的に始める。申請や承認の手続きに必要な資料やコミュニケーションの質を向上し、手戻りを防ぐことで新薬の速やかな発売につなげる狙い。

 11月に始める研修は日本の審査機関である医薬品医療機器総合機構(PMDA)や、PMDAと類似の機能を持つ台湾の衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)と共同で行う。申請企業向けの研修は主に製薬協が、規制当局向けは当局の審査経験者が中心に担当する。受講者数は約50人の見通し。

 2017―19年にアジア各国で研修を展開し、18―20年に効果測定を行う。効果測定では、実際の審査期間短縮に研修がどれだけ寄与したかを検証する。新薬の申請・承認プロセスは国や地域により異なるため、海外進出を狙う製薬企業は申請作業に手間取って新薬発売が遅れる懸念があった。

 製薬協は7―8日に都内で行われた第5回アジア製薬団体連携会議に参加し、申請書類の標準化や当局の理解促進といった薬事規制の国際協調を進めることを各国の製薬団体と確認した。8日に会見した多田正世会長(大日本住友製薬社長)は「アジアの人々に革新的な新薬を速やかに届けることが使命だ」と述べた。

厚労省、日本の制度を世界に浸透へ  /  日刊工業新聞2015年6月30日

 厚生労働省は日本の薬事制度を国際社会で調和、浸透させるための戦略「国際薬事規制調和戦略」を初めて策定した。アジア各国を中心とし、海外の薬事制度に日本の制度が参照、埋め込まれるようにする。

 これにより、日本で開発、承認された医薬品や医療機器、再生医療製品が各国で素早く承認される道を開く。これまで厚労省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、企業や関係団体から申請、要望されたものに力を注いできた。今後は日本の制度を積極的に国際調和させ、制度自体を輸出する役割も担うことになる。

 「ウチは、とにかく来るものを一生懸命やってきた規制当局。今回の戦略により頭を切り替え、世界に発信していくことになる」。厚労省医薬食品局では、こんな声が聞かれる。

 自国の薬事制度の一部や主要部分を各国の制度と合わせ、審査作業を素早くする薬事規制の国際調和。米国、欧州との日米欧三極で取り組んできた医薬品を筆頭に、これまで国際調和は手がけていなかったわけではない。だが、今回ほど統一的で中長期的な戦略にし、かつ施策の進捗(しんちょく)を定期的に確認できる体制まで作るのは初めてだ。

 背景の一つは日本の薬事制度が国際的に遜色ないレベルに達してきたことや、かつて問題になったドラッグラグやデバイスラグ(医薬品や医療機器が海外で承認され、日本では承認、使用できるようになるまでに時間がかかったこと)もかなり解消してきたことがある。

 制度の最大の進展は2014年秋に施行した医薬品医療機器法(改正薬事法)。再生医療製品を早期に条件付きで承認する制度は国際的に非常に注目され、米国食品医薬品局(FDA)も研究するほど。

 もう一つは米FDAを筆頭に欧米当局により、自国の薬事制度を広める動きが、アジア各国に着実に浸透している点。米FDAの承認品は審査を簡略にするなど、欧米発の医薬品や医療機器が迅速に広まる制度的な素地が整えられつつある。

 簡略化対象には、日本の制度はほぼない。これでは、日本政府が成長戦略として掲げる医薬品や医療機器の国際展開につながらない。

 制度を輸出し、相手国に評価される形で定着を目指す発想や方法は、日本では経済産業省の所管領域で当たり前のこととして行われてきた。政府全体として医療産業を成長産業に掲げるならば、薬事制度の国際調和は、やはり避けて通れない道だ。
(米今真一郎)



http://blogos.com/article/171351/
フリーランス女医が教える 「名医」と「迷医」の見分け方
城繁幸
2016年04月11日 10:30 BLOGOS

フリーランス女医が教える 「名医」と「迷医」の見分け方 [単行本]

ドラマ「ドクターX」の監修も行った著者による、医療現場のリアルを赤裸々につづった本書。実に刺激的かつ、雇用問題としても興味深い内容だ。というのも、もともと専門職であり職務給とも馴染みやすい医療は、労働市場の流動化の先行モデルとして適しているためだ。

著者の主張をまとめると、大きく以下の3点に絞られる。

* 既存の大病院や大学病院はこてこての終身雇用・年功序列型組織である

意外に知らない人も多いようだが、よくテレビなどで「年収ウン千万」と豪語している先生は(成功している)開業医であり、勤務医の多くは年収1000万~1500万くらい、ちょっとリッチなサラリーマンといった給与水準に過ぎない。

くわえて、「ポスト不足」や「組織の高齢化」といった諸問題に直面しているという点でも、医者とサラリーマンはそっくりだ。若手もなかなか配属されないしポストも足りないから「“臨床教授”だの“特任教授”だのといったポストを乱発して中高年医師の自尊心を満足させてやりつつプレイングマネージャーとして前線投入」という話は、担当部長とか課長代理とかと置き換えればそのまま民間企業でも普通に見られる光景だ。

でも終身雇用・年功序列の最大の弊害は、やはり個人ごとの明確な評価、処遇システムが欠落している点だろう。多少の査定はあっても基本的に各医師は勤続年数に応じて処遇も役割も上がっていくのだが、実際にはスキルは人によってピンキリである。すると腕のあるドクターのもとには次々に過酷なオペが舞い込み週に二日も三日も徹夜する一方、「あの人に頼むと患者殺すレベル」的な人はあっさり定時上がりが可能となる→でもお給料に大した違いはないから「ヤブほど時給が高くなる」という恐ろしい現象が発生することになる。

* そして、それらは崩壊の瀬戸際にある

当然のことながら、これでは優秀者や将来性のある若手はやっていられない。比較的流動化しやすい専門を中心に、医師の流動化は既に始まっている。「俺に逆らったらもうおまえの出世の芽はないからな」という白い巨塔時代の絶対君主的な主任教授はすでに過去の存在になりつつあると著者はいう。なぜなら現在は多くの“医師専門人材紹介会社”が存在し、労働環境の悪い職場からよりよい環境へのエグジットを熱心にサポートしてくれるから。

 「俺に逆らったらおまえら、分かってるだろうな」
 「じゃ辞めます」
 「え・・・?」

という感じで、マネジメントの悪い部局からは部員丸ごと逃散なんてことも近年では勃発しているそうだ。

当然ながら、こうした事態は学会のエスタブリッシュたちにとっては面白いはずがない。転職なんてもってのほか、若手は上のものに無条件で服従すべきだというのが彼らの言う古き良き伝統なのだ。実際、某学会理事長は学会ニュースレター上で病院における滅私奉公を拒否して流動化する医師たちを公然と「モラルの喪失と感じさせる案件」と非難した。

で、それに対する著者の回答はコレである。 (理事長殿は)

 「『論文2本で教授になる方法』とか『インパクトファクター6で学長になった僕』といったハウツー本でも書けば、かなり売れるんじゃないだろうか」

ネットは転職ハードルを下げただけでなく、実績が薄いにもかかわらず年功序列でポストに就いた人をも丸裸にしてしまう。そういう人がどんな高尚なことを言ったところで「俺も滅私奉公したんだからお前らもやれよ」という本音は丸見えだ。

こうして優秀者が流動化する以上、彼らの腕を買うためにはそれに見合った報酬を用意するしかない。そしてそのためには分不相応に貰っている人間を切るしかない。医療においては長期雇用の崩壊と流動化は避けられないだろうというのが著者の見方だ。

* 労働市場の流動化は素晴らしいメリットにあふれている

さて、そうして一足先に組織から流動化した医師たちの処遇だが、中には複数の大病院と契約し一億の大台を稼ぐ猛者もいるほど活況だという。そこまでがっつかなくとも、確かな技術と経験があり、初めてのスタッフとも良好にコミュニケーションの取れる能力さえあれば、勤務医時代を大きく上回る処遇を確保することは十分に可能だそうだ。

なにより、そこには多様な働き方の無限の可能性がある。自身も母である著者の意見は傾聴に値する。

 産休・育休も、本人は無給となるが、周囲には迷惑がられることはない。育児時短を取る際も、出来高制の契約ならば同じ病院で働いても「麻酔2件で16時に帰る医師」と「4件で21時まで働いた医師」にはそれなりの報酬差が発生するため、両者に軋轢は生じない。

本来、働きぶりに応じて処遇を決めさえすれば、何の不満も不都合も生じることはない。そのプロセスに、賃金や雇用を維持させようと政府が手を突っ込むからいろいろと歪みが生じるのだ。

もちろん、組織を離れた人間は完全に自己責任が問われることになる。スキルが低かったり人間性に難のある人材はすぐに干され、誰からも声のかからなくなる弱肉強食の世界だ。でも、それは同時に、もっとも健全な世界でもある。

 ドラマ「ドクターX」の冒頭では「命のやり取りをする医療も弱肉強食の時代」とナレーションされたが、「命のやり取りをする医療」だからこそ「弱肉強食」であるべきなのだ。とくに、静止を左右する手術室とはそういう職場であるべきだ。

「ホントは自信無いんだけど昇進に実績必要だから切らせてよ」みたいなセンセイにオペされたり、優秀がゆえに徹夜続きのふらふらの中堅ドクターに腹ン中に手突っ込まれたりするよりも、市場原理の行き届いた病院で処置していただきたいと願うのは筆者だけではないだろう。



https://www.m3.com/news/general/415589
抗菌薬の重複処方7% 京大が124万人レセプト調査
2016年4月11日 (月) 京都新聞

 抗生物質(抗菌薬)を複数の医療機関から重複処方されている患者の割合は、抗菌薬を処方された患者全体の7・4%であることが、京都大医学研究科の中山健夫教授と高橋由光講師らの調査で分かった。高橋講師は「医療機関同士の情報共有が不足しているのではないか。重複処方がすべて不適切とは言い切れないが、減らせる処方はあるはず」としている。

 不必要な薬剤使用の防止が課題となる中、薬剤全般の重複処方に関する大規模で包括的な研究は初めて。医療政策学の国際専門誌に発表した。

 研究グループは、各企業でつくる健康保険組合の加入者ら124万人のレセプト(診療報酬明細書)から、2012年12月の1カ月に加入者が外来で処方された全薬剤を分析した。結果、全身用抗菌薬やせき止め薬が、処方された薬の上位の二つを占め、重複処方されている割合もそれぞれ7・4%、8・5%と、上位二つであることを突き止めた。65歳以上では薬剤全体で重複処方の割合が低いことも分かった。

 転売目的の重複処方が問題となった向精神薬についても調査し、10医療機関以上から向精神薬を処方されている患者が2人いることが判明した。ただ、多数の医療機関から処方を受けた理由は分からないという。

 高橋講師は「抗菌薬やせき止め薬は医師が簡単に処方する傾向が推測できる」と指摘する。

 近年、安易な抗菌薬投与が耐性菌を生じさせるとして問題となっており、厚生労働省も今月、20年までに抗菌薬の使用を3分の2に減らす方針を打ち出している。



https://www.m3.com/news/general/415507
件数低調、判断に戸惑いも 遺族「もっと話聞いて」 医療事故調査制度半年
2016年4月11日 (月) 共同通信社

 診療に関連した予期せぬ死亡事案を対象とした医療事故調査制度のスタートから半年が過ぎた。医療機関側が「院内調査が必要」と判断し、第三者機関に届け出たのは188件。想定を大幅に下回る件数で「『予期』を巡る判断に現場が苦慮している」との見方も。一方、調査の進め方や結果報告に関し、遺族側から「もっと話を聞いて」「分かりやすい説明を」との声が出ている。

 ▽「予期」の範囲

 制度の対象は全国約18万カ所の医療機関や助産所。第三者機関の「日本医療安全調査機構」(東京)によると、届け出があった188件の内訳は、内科と外科が29件ずつ、整形外科20件、産婦人科15件、精神科と循環器内科が13件ずつなどとなっている。

 機構側は制度開始前、届け出は年間千~2千件と見ていた。院内調査をするかどうかの判断は医療機関側に委ねられているが、制度に詳しい名古屋大病院の長尾能雅(ながお・よしまさ)副院長は「現場では『予期せぬ』の範囲をどう捉えればいいのかという戸惑いが大きい」。機構に寄せられた制度に関する相談は半年間で約千件。半数は届け出の判断や手続きに関するものだった。

 医療現場には依然として訴訟リスクへの警戒感も強いといい、関東地方の総合病院の院長は「届け出た時点で、原因が特定できなくても『医療ミスだ』と騒がれるのでは」と懸念を示す。

 機構の木村壮介(きむら・そうすけ)常務理事は「医療機関側は調査対象を幅広く捉え、原因を徹底究明して再発防止につなげる姿勢をもっと積極的に示す必要がある」と話す。

 ▽蚊帳の外

 制度上、機構に報告した事案は院内調査を実施し、その結果は遺族に説明するよう規定。遺族は不服があれば、第三者機関である機構に調査を依頼できる。

 昨年11月に食道がんと診断され東海地方の病院に入院中だった女性が急死し、院内調査が実施されたケース。抗がん剤投与後に激しい嘔吐(おうと)などの症状があり、死亡との因果関係が問われたが、「原因不明」との結論が示され、40代の娘が機構に調査を申し立てた。

 病院側は娘の要望に応じて4ページにまとめた院内調査の報告書を交付。抗がん剤の投与量や死亡の経緯が記されていたが、難解な専門用語やグラフが並べられ、娘は「遺族に内容を理解させようという気持ちは感じられなかった」と振り返る。

 院内調査の過程で話を聞かれることもなく、この点は義務化されていないが「遺族の目線を意識した対応をしてほしかった」。遺族の相談窓口を開設する「医療の良心を守る市民の会」代表の永井裕之(ながい・ひろゆき)さんも「調査過程で蚊帳の外に置かれると遺族は不信感を強める」と指摘する。

 医療側と遺族の信頼構築に向け、永井さんは「医療事故で大切な家族を亡くした人たちは『なぜ』『何が起きた』という気持ちを簡単には拭えない。医療機関側の責任が明確でない場合でも、遺族が知りたいと考える点については説明を尽くすべきだ」と強調する。

 医療事故被害者の間には、遺族の要望に応じる形で院内調査を始める仕組みを求める声も根強い。制度は6月までに見直すことになっており、届け出対象の範囲などの課題をどう整理するか、国や医療界の対応が注目される。



https://www.m3.com/news/general/415593
【佐賀】重い難聴越え医師に 「障害ある子どもたちの力に」
2016年4月11日 (月) 佐賀新聞

 重い難聴の医学生が医師国家試験に合格した。佐賀大学医学部で学んだ吉田翔さん(31)=佐賀市東佐賀町=。4月から研修医として現場に立ち、将来は「障害のある子どもたちの力になり、人生の選択肢を増やしてあげたい」と夢を描く。自らの障害を、患者の悩みを推し量る強みにして、再び挑戦の日々を送る。

■質問攻め

 吉田さんは「先天性両耳性難聴」で、難聴では最も重い2級の障害者手帳が交付されている。補聴器からの音声と、話者の口の動きを見て内容を理解しているが、「早口だと聴き取りにくく、頭の中で言葉を変換できないときもある」。

 佐賀西高から九州大医学部保健学科に進学し、検査技師を目指していた。4年次に参加した難聴児との交流会が忘れられない。保護者から「どうすれば話せるようになるのか」「育て方、関わり方を教えてほしい」と質問攻めに合った。

 「子どもたちの力になれたらと思ったけれど、経験談しか伝えられなかった。医学的な知識があれば、もっと説得力のある説明ができただろうに」。こう痛感し、医師になろうと一念発起して、2浪の末に佐賀大医学部へ入学した。

■「生命線」

 臨床現場での実習では、苦心する場面も少なくなかった。学術的な専門用語が飛び交う会議の内容が、思うように聴き取れない。やり取りをその場でパソコンに入力してもらうケースもあったが、「話を正確に理解できないままだったり、聞き間違えて診断を下したりしたら、医療事故など重大な結果になりかねない」。不安を拭うように慎重な対応を心掛けた。

 4月からの研修先、国立病院機構佐賀病院(佐賀市)は、発言の音声を即時に文字に変換して画面に表示するソフトを準備してくれた。「生命線」になる話者の口の動きを確実に見極めるため、医師らと話す際はいったんマスクを外してもらう配慮も依頼した。

 将来は耳鼻科医か小児科医になるのが目標だ。「聞こえないと話し方が分からない。人の輪に入れず、引きこもりの原因になる可能性もある。こうした『負の連鎖』に陥らないように聞こえづらさに早めに気付き、話せるようになる教育につなげたい」と語る。

 中学時代からバレーボールを続けている。難聴者による「デフバレー」の全日本チームメンバーに選ばれ、国際大会への出場も予定している。聞こえづらくてもマイナスに考えず、周りと関係を築きながら一歩ずつ―。そんなことを伝えられる存在でありたいと思っている。(古川公弥)


  1. 2016/04/12(火) 05:51:27|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<4月12日  | ホーム | 4月10日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する