Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

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4月6日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/414371?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160406&dcf_doctor=true&mc.l=151437322&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 始動する“医療事故調”
医療事故等の警察届出、2015年は前年から半減
警察庁調べで65件、1999年以来、16年ぶりの2ケタ

2016年4月6日 (水) 橋本佳子(m3.com編集長)

 警察庁のまとめで、2015年1年間に医療事故などとして警察に届出等が行われたのは65件で、2014年の137件から半減したことが明らかになった。届出等件数は2ケタにとどまったのは、41件だった1999年以来、16年ぶり。

 届出等件数の内訳は、「被害関係者等」が14件(2014年比26件減)、「医療関係者等」が47件(同比41件減)、「その他」が4件(同比5件減)で、いずれも減少している。

 届出等の件数は、1999年は41件だったが、同年に起きた東京都立広尾病院事件などを機に、2000年には124件に増加、2004年の255件がピーク。その後、いったんは減少したが、2007年は246件。以降、増減を繰り返していた(2014年以前のデータは、『医療事故、警察への届出、2割も増加』なども参照)。

 届出等件数の65件のうち、2015年中に、業務上過失致死傷等事件として送致されたのは2件(2014年比8件減)、年別送致数(届出等の時期に関わらず、2015年に送致・送付された件数)は43件(同比12件減)で、届出等件数と同様に減少した。ただし、届出等の時期をさかのぼると、2006年に届出されたものが、2015年に送致された事件もある。

 「死亡診断書記入マニュアル」改訂影響か
 「医療関係者等」の届出等件数が減少した要因の一つとして考えられるのが、2015年度版の厚生労働省の「死亡診断書記入マニュアル」の改訂だ。

 同マニュアルは、医師法21条に基づき、「医師が死体を検案して異状があると認めたときには、24 時間以内に所轄警察署に届け出る」と記載。この「異状死体」の定義は、2004年の東京都立広尾病院事件の最高裁判決を踏まえ、田村憲久・前厚労相が、2014年6月の参議院厚生労働委員会で、「外表異状説」であると説明。診療関連死が幅広く該当するわけではなく、あくまで死体の外表を「検案」して異状が認められた場合が、異状死体に該当するとの解釈だ(医師法21条をめぐる議論は、『「“事故調”、見直しは時期尚早」四病協』を参照)。

 しかし、2014年度版の「死亡診断書記入マニュアル」までは、医師法21条の記載はなく、(1)外因による死亡またはその疑いのある場合には、異状死体として24時間以内に所轄警察署に届出が必要、(2)異状とは「病理学的異状」ではなく「法医学的異状」を指す、(3)「法医学的異状」については、日本法医学会の「異状死ガイドライン」なども参考にする――と記載されていた。1994年に公表された「異状死ガイドライン」は、医師法21条が定める届出の対象を「確実に診断された内因性疾患で死亡したことが明らかである死体以外の全ての死体」 と記載、死因が不明な診療関連死なども含まれる幅広い解釈だった。
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(警察庁刑事局捜査第一課に報告があった件数)



https://www.m3.com/news/iryoishin/409773?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160406&dcf_doctor=true&mc.l=151437323&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”、「報告」と「予期」を生かせ - 長谷川剛・上尾中央総合病院院長補佐に聞く◆Vol.2
医療事故調査報告制度自体は古いパラダイム

2016年4月6日 (水) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――昨年10月から始まった医療事故調査制度について、お聞きします。「報告数が少ない」との指摘もあります(『「医療過誤か否かで、報告の要否判断」との誤解も』を参照)。

 多いか少ないかは別として、長年、医療安全に取り組んできた医療者にとっては、医療事故とは、インシデント・アクシデントレポート区分における「レベル3以上」〔仮に実施されていた場合,身体への影響は大きい(生命に影響し得る)と考えられる〕であり、今回の制度における医療事故の制度は、従来のターミノロジーとは大きく異なります。医療法上、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産であって,当該管理者が当該死亡または死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの」と規定されています。つまり医療事故という言葉を新たに定義したということになります。

 その上、報告すべき医療事故の解釈が、各種ガイドラインやセミナーでの説明が異なることもあり、医療機関や支援団体などによって、同じ事例であっても「それは報告しなくていい」あるいは「報告すべき」と判断に相違があります。報告するか否かの判断は、「医療過誤の有無は問わない」とされていますが、一般の人は、「医療事故」と言うと、「何か悪いことが起きたのではないか」と思ってしまうことも否めません。

 さらに言えば、法律上、今回の制度は医療安全のための制度であり、紛争解決機能は持たない点も、報告が少ない理由の一つと言えるでしょう。医療安全と紛争解決、責任追及は切り離すべきとは分かっていても、「確かに手術は下手だったかもしれない。しかし、これを全て医療事故と言われたら、たまらない」といったケースは多々あります。グレーゾーンの医療結果についていくら説明しても、なかなか納得してもらえない現場の問題を解決するのに、「外の機関が第三者的に協力してくれたらいい」という本音が医療機関にはあると思うのです。

――報告数の多寡は別として、医療事故調査制度が、医療安全に資する制度になり得るのでしょうか。

 過去10数年にわたり、日本では医療事故を分析して、再発予防策を作り、PDCAを回すという医療安全対策に取り組んできました。昨秋、『なぜエラーが医療事故を減らすのか』(NTT出版)の著者である、フランス人のローラン・ドゴース氏が来日した際、「古典的な報告制度はもう古い。イギリスでは、医療安全に寄与しないとして全国規模の報告制度を止めたが、日本ではなぜお金をかけて続けているのか」と言ったそうです。

 医療安全の分野では最近、成功事例から学ぶレジリエンスなどの新しい考え方が提唱されています。今回の医療事故調査制度の発端は、医師法21条の異状死体の警察への届出に関わる問題であり、10年来の議論がなされました。21条の問題は結局解決できず、今回は本制度から切り離されました。残された「医療事故を届け出て分析し情報をフィードバックする」という報告制度の在り方は古いパラダイムから抜け出せない点は否めません。

 報告事例を分析して再発防止策を考える事業としては、日本医療機能評価機構の医療事故情報等収集事業や、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の副作用・不具合等の安全性情報の収集事業があり、私自身はこれらの制度が現状では不十分な点が多々あるとはいえ、一定の成果を挙げてきたと思っています。しかし、その上に一定の死亡事例だけを取り出して再発防止策を検討するやり方は、一面的かつ部分的すぎるかもしれません。事例の数や多様さから言えば、新しい医療事故調査制度よりも、これらの事業の方が上回っています。したがって、新しい制度を作るよりも、双方の事業をもっと改善すべきであったと思っています。

――では現行の制度の意義をどう捉えておられるのでしょうか。

 医療事故調査制度は、既にできてしまったもので、しかも法律で決まった制度ですから、上手に利用しないといけない。そのキーワードは、「報告」と「予期」でしょう。

 各医療機関において、事故を隠したりせず、報告し、それを医療安全につなげる文化は非常に大事です。従来もインシデント・アクシデントレポートを提出する取り組みは行われてきましたが、「医師からの報告が少ない」などとよく言われます。医療事故調査制度では、「報告対象は、医療機関の管理者が判断する」とされており、報告が上がらないことには、管理者は判断できません。法律という外圧を利用して、院内で「報告する文化」を徹底するいいチャンスではないでしょうか。「報告する文化」が広がれば、各医療機関の医療安全のレベルは恐らく高まります。

 もう一つ重要なのは、「予期」の能力を高めることです。これは「予期を広めに行えば、報告せずに済む」といった消極的な理由からではありません。私の専門は呼吸器外科ですが、外科医として、臨床現場で常に先のことを予期して、その対応法を考えておくことは重要です。今までよりもより深く予期し、悪い事態が起きた場合に備えて準備しておく。医師でも看護師でも現場で「この先どうなるのか」と予測し、最悪の場合に備えることは大きく安全に寄与します。こうした医療安全の取り組みを、法律の要請で進める意義は大きい。

 さらに、日本医療機能評価機構やPMDAなどは、薬の名前が似ていることによる誤薬、デバイスの不具合、電子カルテなどのシステムの使いにくさなどの問題を解決するため、これまでも業界団体やメーカーなどに働きかけてきました。しかし、必ずしもその全てが改善につながっているとは言えません。今回、医療事故調査制度が法的に位置付けられたわけなので、本制度を利用して強制力を持って業界団体などに働きかけていくべきでしょう。

――この6月末に向けて、医療事故調査制度の見直しも検討されます。

 この制度の議論は、もともと医師法21条の問題を解消することが目的でした。21条の問題は継続して議論するということになっていますから、どのように取り上げられるのかには非常に興味があります。

 制度の見直しに当たっては、具体的な問題は多々ありますが、日本医療安全調査機構が担う医療事故調査・支援センターのほか、支援団体の役割をどう位置付けるかが一つの大きな課題でしょう。医療法6条の16では、センターの役割として、「病院等の管理者に対し、前号(医療事故の報告)の情報の整理および分析の結果の報告を行うこと」と規定されていますが、通知レベルで、「個別の事例については分析しない」とされました。これはセンターが「上から目線」で、裁定的に現場を支配するのを懸念した通知だと思いますが、医療機関から上がってきた報告書の中には、内容に乏しいものもあると聞きます。せっかく院内調査を行うのであれば、もう少し充実した調査を実施し、報告書をまとめることができるよう、院内調査を支援したり、提出された報告書についてフィードバックする取り組みも必要だと思います。

 医療機関の中には、院内調査報告書について、センターの「お墨付き」を求める声もあります。「これはセンターが問題ないとした報告書です」と言えば、患者の納得を得られやすいと考えているのでしょう。ただし、それでも患者が納得せず、裁判に訴え、報告書とは異なる判断が下されたら、誰が責任を取るのかという難しい問題があります。

 また例えば、同じような原因で多くの人が死亡していると思われるケースがあれば、それは強制力を持って、早急に調べる体制を求める声もあります。ある種の院内感染、あるいは特定の薬やデバイス、特定の術式に起因したケースなどが想定されます。航空機事故については、強制的な調査の対象とする基準を設け、第三者の運輸安全委員会が調査する仕組みになっています。

 もっとも、事故調査はもろ刃の剣。上手にやれば、医療機関の組織自体が学習でき、再発防止に資するでしょう。その情報を教訓として周りに広げれば、医療界全体の安全に寄与する。しかし、逆のやり方をすれば、組織は崩壊し、職員同士は疑心暗鬼になり、退職者も出て、最悪の場合、医療機関自体が経営破たんすることもあり得ます。だから上手に事故調査を行う必要があり、第三者機関が、警察国家的に調査することだけはあってはなりません。



https://www.m3.com/news/general/414297
B型肝炎訴訟、弁護士が獲得合戦…国給付金で報酬確実
2016年4月6日 (水) 読売新聞

 「着手金は0円」「安心の後払い制」――。乳幼児期の集団予防接種でB型肝炎ウイルスに感染した患者らに国が給付金を支払う制度で、弁護士による患者獲得活動が熱を帯びている。

 裁判を起こして国の手引に沿った証拠を出せば給付金を受け取れ、報酬が確実に得られるからだ。こうした活動は被害の掘り起こしにつながる反面、患者らが依頼を安易に断られるケースも出ている。

厚労省が手引
 B型肝炎の救済では、全国の感染者や遺族らが国に損害賠償を求めた「B型肝炎訴訟」で2011年6月、国が責任を認めて和解金を支払うことで合意。これを受けて12年1月にB型肝炎特措法が施行され、給付金支給の枠組みができた。

 対象は〈1〉7歳までに集団予防接種で注射器を使い回され感染した人〈2〉集団接種で感染した母から母子感染した子ども〈3〉感染で死亡した人の家族――ら。裁判手続きを取って和解すれば、病状などに応じて50万~3600万円が支払われる。

 弁護士が熱心に取り組む背景には、厚生労働省が特措法施行の翌月に給付金の申請方法を「マニュアル化」して公表したことがあるとみられる。母子健康手帳やカルテなどの証拠をそろえれば和解できるとされ、給付額の4%分が弁護士費用として別に支払われる。全国B型肝炎訴訟弁護団の一人も「厚労省の手引ができてから弁護団以外の受任が増えた」と言う。



http://www.j-cast.com/healthcare/2016/04/06263429.html
医師数、2040年に1万8000人過剰 地域や診療科によっては「不足」も
2016/4/ 6 18:30 J-CASTニュース

厚生労働省の医師需給分科会が2016年3月31日に開かれ、全国の医師数が2040年に1万8000人過剰になるという推計をまとめた。医学部の定員数が拡大してきた一方、人口減少の影響で、必要とされる医師の数は将来に向けて少なくなるのが主な原因という。

過去には医師不足だったことから、政府は08年度から16年度にかけて大学に医学部の定員増を認めてきた。その結果、全国の医学部の総定員数は、07年度の7626人から16年度には9262人まで増加した。今後、定員数が16年度のまま続くと仮定すると、15年に27万4000人だった医師数は33年には32万人となり、不足が解消される。さらに、40年には33万3000人に達し、1万8000人過剰になると見込まれる。

一方で、地域や診療科によっては医師不足が続くことも課題として指摘された。同省医政局医事課は4月5日、J-CASTヘルスケアの電話取材に対して、「推計結果を踏まえてさらに議論を重ね、医師の過剰供給や偏在を解消する具体策を講じていきたい」とこたえた。



http://mainichi.jp/articles/20160406/ddl/k04/040/139000c
東日本大震災5年
東北に根ざす医師育成 国内37年ぶり医学部新設 東北医科薬科大学、仙台で入学式 /宮城

毎日新聞2016年4月6日 地方版

 東日本大震災の復興に役立てようと、国内で37年ぶりに医学部が新設された東北医科薬科大学(仙台市)の入学式が5日、同市の電力ホールであった。医学部の1期生となる新入生たちは「地域のために役立つ医者になりたい」などと前を見据えた。

 震災後の医療体制の充実や医師不足解消を目指し、村井嘉浩知事らが政府に新設を要望して実現した。

 医学部の定員100人のうち55人について、東北の医療機関に一定期間勤務することで奨学金の返還を免除する「修学資金枠」を設けるなど、東北に根ざした医師の育成に力を入れる。

 式には医学部や薬学部の新入生ら約1000人が出席。高柳元明学長は「復興はこれから10年、20年の長い年月が必要。若い人の明るく人を思いやる力が求められている」と訓示。来賓の村井知事も「医学部の皆さんは東北の地域医療を担う人材。期待を背負っていると自覚を持ち続けてほしい」と呼びかけた。

 桐蔭学園高(横浜市)を卒業した熊田源太さん(18)は「仮設住宅で暮らす人をテレビで見て医師として少しでも力になりたいと思った。必要とされる限りこの地に残って貢献したい」と語った。【川口裕之】



http://www.sankei.com/region/news/160406/rgn1604060036-n1.html
「被災地に医療で貢献」 東北医科薬科大、新設医学部入学式で決意新た
2016.4.6 07:03 産経ニュース

 東日本大震災の復興支援の一環として、37年ぶりに医学部の新設が認められた東北医科薬科大(仙台市)の入学式が5日、同市青葉区の電力ホールで行われ、医学部の新入生100人が新たな一歩を踏み出した。

 式には医学部、薬学部、大学院の計442人の新入生が出席。高柳元明学長は「震災で沿岸部の医療資源が壊滅状態となり、医師不足に拍車がかかった。東北の復興は10年、20年と長い年月がかかり、若い人たちの前向きな力が必要だ」と呼びかけた。

 医学部新設を「創造的復興」の柱と位置づけ、実現を国に働きかけた村井嘉浩知事は祝辞で「東北の期待を一身に背負っているという自覚を常に持ち続けてほしい」と激励した。

 同大では医師の地域定着のため、医学部定員100人のうち、東北各県の医療機関に一定期間勤務することで奨学金の返還を免除する「修学資金枠」55人を設けている。横浜市神奈川区出身の医学部新入生、後藤匡範(まさのり)さん(19)は「地域に密着した総合診療医を志望している。被災地復興に医療で貢献したい」と話した。

 医学部新設は昭和54年の琉球大以後、凍結されてきたが、文部科学相が昨年8月、東北薬科大に認可した。今月から東北医科薬科大に改称された。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201604/20160406_13027.html
<東北医科薬科大>あの日から命の尊さ問う
2016年04月06日水曜日 河北新報

 東北の医療復興という使命を胸に新生医学部の門をくぐった震災世代100人の1期生。その中には、被災地で生まれ育ち、あの日から「命」の尊さ、「医」の役割を問い続けてきた若者たちがいた。
 卒業式の前日、震災が発生した。当時、中学3年だった仙台市青葉区出身の村松希信さん(20)。学校は避難所となり、子どもやお年寄りが詰め掛けた。「自分も手助けをしたかったが、何もできなかった」
 暗闇の体育館で震える避難者に声を掛け続けた医師と看護師の夫妻が忘れられない。
 「宮城で地域医療に身を投じ、災害時には国内外の被災者の元に駆けつけられる医者になりたい」。漠然とあった医師への憧れは、その時初めて進路になった。大学では救命救急医療を専門に学ぶつもりだ。
 福島県いわき市出身の小野塚航太さん(19)は「福島で子どもを助ける仕事をしたい」と語る。出産予定日より1カ月早く生まれ、母親も胎盤剥離で一時危険な状態に陥った。家族から「地元の病院に助けられた命」と言い聞かされて育った。
 震災の津波でいわき市の沿岸部は甚大な被害を受けた。東京電力福島第1原発事故の避難者が多数身を寄せる。古里の深刻な医師不足を伝えるニュースを目にするたび、地域医療の大切さを考えるようになっていた。
 「特に小児科や産科が足りないと聞く。原発事故の影響は長く続く。きっと自分が大学を卒業するになるころも。一人前の医者として地元に戻り、患者の不安に寄り添いたい」と将来を見据えた。
          ◇         ◇         ◇
 東日本大震災からの復興支援のため、特例的に医学部新設が認められた東北医科薬科大の入学式が5日、仙台市青葉区の電力ホールであった。被災地をはじめ東北各地の医師不足解消を担う1期生100人が、新たな一歩を踏み出した。



http://mainichi.jp/articles/20160407/k00/00m/040/102000c
千葉県がんセンター
手術女性の体内にガーゼ置き忘れ

毎日新聞2016年4月6日 20時43分(最終更新 4月6日 20時43分)

 千葉県がんセンター(千葉市中央区)は6日、県内のがん患者の60代女性を手術した際に医療用ガーゼを体内から取り忘れるミスがあったと発表した。ガーゼは再手術で摘出しており、女性は命に別条はないという。同センターでは腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた患者11人が相次いで死亡したほか、昨年12月には執刀医が乳がん患者の検体を取り違え乳房を切除するミスが起きている。

 同センターによると女性は腎臓がんと診断され、昨年12月上旬に腎臓の摘出手術を受けた。手術は成功したが、使用したガーゼ12枚(各縦3センチ、横15センチ)のうち1枚を除去し忘れた。医師らスタッフ7人が関わったが、術後にガーゼの枚数を数え間違えたという。

 女性は退院から約2カ月後の今年2月、腹痛と吐き気を訴えて再び来院し、腸閉塞(へいそく)が疑われるとして緊急入院。CT(コンピューター断層撮影装置)で腹部を調べ、ガーゼが丸まった状態で残っていたことが発覚した。同センターは女性に事情を説明し謝罪した。

 永田松夫病院長は記者会見で「医療事故が続いてしまい申し訳ない」と陳謝した。【川名壮志、渡辺暢】



http://mainichi.jp/articles/20160407/k00/00m/040/068000c
日本医師会
「薬事承認の際に薬価や患者数含めて議論を」

毎日新聞2016年4月6日 19時44分(最終更新 4月6日 20時48分)

 抗がん剤やC型肝炎治療薬など、画期的な効果が期待できる一方、高額な薬剤が保険収載されていることについて、日本医師会の中川俊男副会長は6日の記者会見で「これまでの薬事承認では、薬価は全く議論にならなかった」と指摘。今後は、薬事承認の際に薬価や利用患者数を含めて議論し、承認を検討すべきだと述べた。

 横倉義武会長は、症状や患者に応じてコスト意識を持った医薬品の処方を実施することを各学会の診療ガイドラインに掲載するよう提案していくことを表明した。

 また、免疫機能を高める新しいタイプの抗がん剤「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)が昨年12月、悪性黒色腫に加え、肺がんの一部に適応が広がったことについて、中川副会長は「(悪性黒色腫で承認された高額な薬価が維持されていることは)効能が追加されて市場が拡大すれば、(必要な)原価が下がったはずで、薬価を見直すべきではなかったか」と述べた。現在は薬価は薬の適応や利用者が広がっても据え置かれ、2年に1度改定する仕組みになっている。【細川貴代】



http://healthpress.jp/2016/04/post-2340.html
7割の医師が「モンスター患者」に対応!? 理不尽なクレームは誤診を招くだけ!
2016.04.06 Health Press

 どこを見回してもクレーマー気質の人が増えているように思える昨今、教育現場では以前から教師や学校を困らせる「モンスターペアレント」が問題視されてきた。

 ここ数年は医療の現場で医師や看護師などに理不尽な要求をする「モンスターペイシェント(患者)」も増え続けているようだ。

 2013年、医療従事者向けサイトを運営する「ケアネット」が、モンスターペイシェントを「自己中心的で理不尽な要求、果ては暴言・暴力を繰り返す患者やその保護者、家族等」と定義し、会員医師1000人を対象に調査を実施。

 その結果、7割近くの医師がモンスターペイシェントに対応した経験を持っており、頻度が月に1度以上という医師も1割強にのぼった。

 内容は「スタッフの対応が気に食わないとクレームをつける」が60.5%を占め、そのほかに「自分を優先した診察の要求」や「待ち時間に関するクレーム」「過剰投薬の要求」「治療法や治療薬についての強硬な主張」が続いた。

 フリーコメントには「モンスターペイシェントにより心身ともに疲れ果てて、うつ病で半年入院」「個室で診察している際に監禁された」などの訴えや、「院外なら暴行罪や脅迫罪となるが病院内だと不当に軽く扱われる」といった憤りも。

 診療現場でのモンスターペイシェント問題の深刻さが浮き彫りになっている。

モンスター患者の誤診率は42%も高いという驚くべき研究が

 こうしたモンスターペイシェントに対して警鐘を鳴らす研究結果が、イギリスの医師会誌「BMJ Quality & Safety」(電子版)の3月7日号に発表された。それによると、問題行動が多い患者は医師から誤診される危険性が高まるという。

 医師を苦しめる行為が原因で適切な治療が受けられなくなり、結局は患者本人に返ってくるというのだ。

 この研究は、オランダ・エラスムス大学医療センター・ロッテルダム医療教育研究所准教授のSilvia Mamede氏らが実施。

 この内容の実験を臨床で行うことは難しいため、医師と患者が向き合う問診での「架空のシナリオ」を制作し、医師たちから病名の診断と治療法の回答を求める方法で行われた。

 まず、いくつかの同じ症例について「普通の患者」と「非協力的な患者」の2つのシナリオを制作した。「非協力的な患者」は、医師に対して理不尽な要求が多かったり、医師の助言を無視したり、指示に従わなかったりするという設定だ。

 最初に、ロッテルダムの開業医63人を対象にこれらの架空のシナリオを診断してもらった。

 すると、単純な症例の場合では「普通の患者」と比較して「非協力的な患者」で診察ミスが6%多くなった。さらに複雑な症例で試すと、「非協力的な患者」の診察ミスは42%も多くなったという。

 さらに、内科研修医74人を対象とした2件目の実験でも同様の結果がみられた。やや複雑な症例において、非協力的な患者の場合の診療ミスは、普通の患者より20%多くなった。

医療の質を落とす負のスパイラルに

 Mamede氏は「患者の非協力的な行動は医師煩わせ気を散らせるので、医師は実際の症状に集中できない。それにより誤診が生じやすくなる可能性がある」と分析。

 「的確な診療が受けられなければ患者はさらにいらついてしまい、負のスパイラルに陥るだろう」と述べている。

 Mamede氏の推定によると、全患者の約15%に「攻撃的」あるいは「失礼な態度」「過剰な要求」「不信感」が見られるという。

 「医師はこうした行動への対処方法を学ぶ必要がある。ただ、対応をしても患者の不信感が拭えないときは、他の医師を紹介することも一つの考えだ」と話す。

 自分の要求を無理やり通して味わう満足感など一過性のもの。医師と患者の関係も、人間同士のコミュニケーションであることに変わりはない。

 医療従事者との信頼関係なくしては質の高い医療は受けられないことを、患者自身も自覚すべきだろう。
(文=編集部)



http://www.medwatch.jp/?p=8386
新専門医制度、懸念払しょくに向けて十分な議論が必要―社保審・医療部会
2016年4月6日|医療・介護行政をウォッチ

 新専門医制度や、専門医の認定などを一元的に行う第三者機関「日本専門医機構」に対し、社会保障審議会・医療部会では厳しい指摘が続いています。

 6日に開かれた医療部会では、厚生労働省から、医師偏在が助長されないよう、養成プログラムを日本専門医機構・都道府県(協議会)・厚労省の3層構造でチェック・調整していく方針が報告されましたが、中川俊男委員(日本医師会副会長)らは「スケジュール的に無理があるのではないか」との意見が出されました。

 医療部会で提示された意見は、下部組織である「専門医養成の在り方に関する専門委員会」に報告され、円滑実施に向けて更なる議論が行われます。

ここがポイント! 
1  医師偏在の助長防止に向け、機構・都道府県・国が養成プログラムをチェック
2  サブスペシャリティ領域、機構のガバナンスなど、さまざまな部分に懸念の声も
  医師偏在の助長防止に向け、機構・都道府県・国が養成プログラムをチェック

 医師偏在を助長させないための3層構造のチェックは、次のようなものです。

専門医の養成開始(2017年4月スタートとした場合)のプロセス、日本専門医機構・都道府県・国の3層構造で養成プログラムをチェックする
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(1)日本専門医機構

 ▽大病院のみ・特定の医療グループのみというプログラムは認めず、是正を求める▽必要な「地域医療の研修」が含まれていることを確認し、調整する▽「過去5年間に研修実績のある医療機関」が連携施設から漏れていないかを確認し、調整する▽診療領域ごとに、研修施設のない2次医療圏が出ないように調整する▽都市部に専攻医が集中しないよう募集定員を調整する―など

(2)都道府県

 日本専門医機構から養成プログラムの申請状況などについて報告を受け、大学・基幹施設・連携施設・医師会・病院団体・都道府県などの関係者で構成される「協議会」を設け、▽地域医療確保の観点から必要な施設が漏れていないか▽プログラムの改善が必要ないか―などを議論し、日本専門医機構に必要な改善などを求める

(3)厚労省

 都道府県からの報告を受け、専門委員会で「基準の見直しが必要ないか」を検討するとともに、日本専門医機構や都道府県の調整を支援する

サブスペシャリティ領域、機構のガバナンスなど、さまざまな部分に懸念の声も

 このうち機構による個別プログラムの審査と調整、都道府県に設置される協議会での検証などは4月中に行うことになっていますが、中川委員や加納繁照委員(日本医療法人協会会長)は「スケジュールに無理があるのではないか」と指摘。

養成プログラムチェックにおいて、日本専門医機構・都道府県・国がそれぞれいつまでに何をすべきかが整理されている
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 また新井正吾委員(全国知事会、奈良県知事)は、「奈良県では県立の医科大学に調整してもらっているが、国立大学や私立大学では都道府県の力が十分に及ばない都道府県もあるのではないか」との旨を指摘し、厚労省や文部科学省の積極的な関与が必要と求めています。

 一方、釜萢敏委員(日本医師会常任理事)は、「基本領域(外科や内科など19領域)の上に、サブスペシャリティ領域(消化器、呼吸器、循環器など29領域)が設定されているが、基本領域の研修を修了した後に、どのサブスペシャリティ領域の専攻が可能なのか、などが整理されていない。そういった段階で専攻医を募集するのは混乱を招くのではないか」と指摘しています。

 また中川委員や西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、「日本専門医機構のガバナンス」にも言及し、より根本的な議論をすべきとの考えも述べています。

 

 こうした意見は専門委員会に報告され、円滑な新専門医制度のスタートに向けて、どのような調整や改善をすればよいのかをさらに検討していくことになります。

 なお、田中滋部会長代理(慶應義塾大学名誉教授)は、「さまざまな懸念があることが分かった。それを払拭するためのプロセス・議論が重要であろう」とメディ・ウォッチにコメント。今後も、十分な議論が行う必要がありそうです。



http://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20160406-OYTNT50046.html
新玉名駅周辺に基幹病院 3病院統合、20年度開院目指す
2016年04月07日 読売新聞

 玉名市などでつくる「玉名地域医療体制づくり検討協議会」(会長=高嵜哲哉・玉名市長)は、公立、医師会立3病院を経営統合し、新しい基幹病院を同市のJR新玉名駅周辺に設置する方針を決めた。2020年度の開院を目指す。


 統合するのは、公立玉名中央病院、玉名郡市医師会が運営する玉名地域保健医療センター(いずれも玉名市)、和水町立病院。経営効率化などを目指し、同協議会が14年度から検討を進めていた。

 計画では、老朽化した玉名中央病院を廃止して、急性期医療を中心とした基幹病院を新設。ほかの2病院は「サテライト病院」として、回復期、慢性期医療を担うとしている。

 新病院を含めた3病院の病床数は、現在とほぼ同じで、最大540床となる見通し。今年度中に基本構想、基本計画を決定し、18年度に経営に当たる地方独立行政法人を設立する方針。



http://mainichi.jp/articles/20160407/ddm/002/040/036000c
日本医師会
副会長「薬価、承認の際議論すべきだ」

毎日新聞2016年4月7日 東京朝刊

 抗がん剤やC型肝炎治療薬など、画期的な効果が期待できる一方、高額な薬剤が保険収載されていることについて、日本医師会の中川俊男副会長は6日の記者会見で「これまでの薬事承認では、薬価は全く議論にならなかった」と指摘。今後は、薬事承認の際に薬価や利用患者数を含めて議論し、承認を検討すべきだと述べた。

 また、免疫機能を高める新しいタイプの抗がん剤「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)が昨年12月、悪性黒色腫に加え、肺がんの一部に適応が広がったことについて、中川副会長は「(悪性黒色腫で承認された高額な薬価が維持されていることは)効能が追加されて市場が拡大すれば、(必要な)原価が下がったはずで、薬価を見直すべきではなかったか」と述べた。現在は薬価は薬の適応や利用者が広がっても据え置かれ、2年に1度改定する仕組みになっている。【細川貴代】



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48508.html
高額な薬剤の価格、適応拡大時に見直しを- 日医・中川副会長が提言
2016年04月06日 22時00分 キャリアブレイン

 価格の高い医薬品が効能追加された後も薬価が据え置かれ、予想される年間の薬剤費が高額になるケースがあることについて、日本医師会の中川俊男副会長は6日の記者会見で、「適応拡大などの際には薬価を見直すべき」との考えを示した。また、薬事承認の可否を議論する際には、薬価や推定患者数なども踏まえる必要があるとした。【松村秀士】

 薬価が高い医薬品をめぐっては、4日に開催された財政制度等審議会の財政制度分科会で、日本赤十字社医療センター化学療法科の國頭英夫部長が、2014年9月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として薬価収載されたニボルマブ【遺伝子組み換え】(商品名オプジーボ点滴静注)について説明。同剤の薬価は、20mg1瓶が15万200円、100mg1瓶が72万9849円で、15年12月には「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能が追加で認められており、同剤を1年間、5万人の対象患者に投与した場合、薬剤費は推計1兆7500億円になるとした。

 この高額な薬剤費の予測を踏まえ、中川副会長は6日の会見で、価格が高く設定された医薬品について、「適応拡大や剤形の追加などの際には改めて薬価を見直すべき」とし、診療報酬改定に合わせて薬価を見直す現行の仕組みを変える必要性を強調した。

 中川副会長はまた、薬事承認するかどうかを最終的に決定する厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で、薬価などについて議論されていないことを問題視。オプジーボのような医薬品の承認申請が今後増えることが予想されるとし、「どのくらいの薬価になるのか、患者数がどのくらいになるのかも合わせて、承認について考える時期に来ている」と指摘した。



http://ironna.jp/article/3099
東大教授の平均年収は1156万円「職務」に見合った額といえるのか
沖大幹(東京大学教授)
iRONNA(いろんな) 2016/4/6

 大学教授の給与はいったいどのくらいなのでしょうか? その職務に見合った額なのでしょうか? そもそも大学教授になるにはどうすればよいのでしょうか?

 1200人あまりいる東大教授の場合、年間給与の総額は約1156万円(平均年齢55.9歳、平成26年度)という平均値が公表されています。最低866万円弱から最高1800万円以上まで幅が広がっている主な理由は、40歳過ぎで教授になっても年功序列のために45歳准教授約860万円というモデル給与と大差がないのに対し、研究科長などの管理職につくと6割の手当がつくからです。つまり、管理職にならないヒラの東大教授の年収は高くとも1200万円に届かないのが普通です。

 それでも、東大の平均給与は他の国立大学法人に比べてやや高めです。公務員の給与の仕組に準じた都市手当てが東京では18%と全国一であるのに加えて、東大には医学系の教員が多く、大学外で医者になった場合との給与格差是正のためとして臨床医師教員手当てが支給されるため、医系教員の割合が多い大学の方が一般に平均給与は高くなるからです。そのため、国立大学法人の中では東大は東京医科歯科大学に次いで2番目に高い給与なのです。

 しかし、その東大の平均給与も、私立大学に比べると最低クラスです。学部や専門によってまちまちのようですが、平均が東大の1.5倍程度の一流私大もあるようです。もっとも、国立大学法人に比べると教員あたりの学生数が私立大学では圧倒的に多く、講義や研究論文指導の負担を考えると妥当な違いかもしれません。

 さらに、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大といったアメリカのトップ大学の教授の給与は平均で約2千万円です。円安のご時勢、この格差はさらに開いています。学生が世界中からその講義を目指して入学してくるような名物教授ですと平均よりもさらに多額、日本の数倍の給与がもらえるようで、僕と同じ分野でプリンストン大学の大御所の先生の給与は30万ドル(約3300万円)をくだらないそうです。

 一方でアメリカでは教員間格差も大きく、大学によってはトップ大学平均の数分の一しかもらえない方もいるようです。そもそも、アメリカの多くの大学では1年間に9か月分の給与しか教員には支払われず、残り3ヵ月分の給与は自分で獲得した研究予算から自分自身に支払うか、サマースクールの講師をやって給与をもらうか、といった自助努力が必要とされています。

 これに対し、東大のみならず日本の(国立)大学の場合には、教育研究で目覚ましい成果をあげていてもあげていなくても、教授は教授、待遇にほとんど差はありません。総合的に考えると、アメリカの大学よりも日本の大学の方がまだ恵まれていると言えるかもしれません。

 また、民間企業に勤めて出世した大学の同級生と比べると安い給与かもしれませんが、上を見たらきりがありません。比べるとしてもいろいろな道を歩んでいる同級生全体と比較するべきです。僕の実感としては、やりがいのある教育とやりたい研究に従事させていただいている割には厚遇してもらっているように感じます。

 普通は嫌な仕事を我慢したり何らかのリスクを取ったりしないとお金儲けはできないところ、普通に教育研究に専念しているだけで、少なくとも自分自身の人件費がどんな教員でも定年まで保証されているというのは大変ありがたい点です。

 研究費の獲得は大変ですが、それはアメリカなどではさらに熾烈な様ですし、研究費が獲得で来たら研究する、という方よりは、研究費のあてがない時には自腹ででも研究をするような人が最終的には研究者として成功しているように思います。

 そもそも趣味が教育研究だと普段の暮らしに大金はいりません。給与水準が国際的には低くとも自由平等とやりがいがあるため、多くの東大教授が日夜教育研究に邁進し、自己実現を達成し、満足しているのだと同僚を見ていると思います。


 ただ、部局や組織によっては、気の進まない会議や書類作成に時間を奪われて、思うように自由な時間がとれなくなっている場合もあるのかもしれません。また、研究がうまくいってその分野で世界に名を馳せる学者になれても給与が特段増えるわけではなく、待遇としてはやる気を失いゆったりと日々を過ごしている同僚とほぼ同じだという点に不満をいだく場合もあるのかもしれません。

 そうした状況で海外の一流大学から良い条件の転職オファーがあれば日本を飛び出して海外に転出する一流の大学教授の先生もいらっしゃることでしょう。逆に、海外の一流研究者を海外標準の給与で遇する仕組が東大でも導入され、何人かの先生方には総長以上の給与が支払われているはずです。

 では、大学教授がそんなに悪くない仕事だとして、大学教授になるにはどうすればよいのでしょうか。大学教授を選ぶのは大学教授ですが、人物評価能力が高いから大学教授についているわけではありませんし、場合によっては私的感情に支配されたりもするでしょう。実力と実績があるからといって必ずしもなれるとは限りません。逆に、どうしても特定の分野の専門家が必要だという場合、実力や実績に乏しくとも大学教授になれる機会はあります。

 マックス・ウェーバーによる古典『職業としての学問』でも述べられている通り、学者になれるかどうかは本人の能力や努力以外の運に大きく左右されます。希望していても大学教授になれない場合には運の問題だとさっさと見切りをつけて、他の知的職業で充実した人生を送るのが良いと思います。

 大学からもらう給与以外の講演料や原稿料といったいわば「お布施」の相場、専門家として国会に召致されたりテレビから出演依頼が来たりした際にどうすればよいのか、大学教授への道、仕事、やりがいなど、本稿では紹介できなかった点については拙著『東大教授』(新潮新書、2014年)をぜひご覧ください。本のタイトルや帯に反発を覚えた方もいらしたようですが、東大に限らず全国の大学の先生方に支持を頂戴しましたので、読んで面白く感じるかどうかで大学教授に向いているかどうかがある程度わかるかもしれません。皆様のご参考になれば幸甚です。



http://ironna.jp/article/3093
大学教授は財務省よりはるかに楽 副業で稼げる時間の余裕はある
高橋洋一(嘉悦大学教授)
iRONNA(いろんな) 2016/4/6

 他人の懐具合は誰もが気になるところだ。2014年7月に高山佳奈子・京大教授がブログで自身の給与を公開したことが、いまさらであるが話題になった。

 京大教授で基本給660万円に賞与279万で年収940万円。これが高いのか低いのか。

 まず、厚労省の平成27年賃金構造基本統計調査を使って、大学教授以外の職種別給与を見ておこう(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html)。129職種を年収順に並べたものが以下の表である。
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 大学教授は、平均年齢57.5歳、勤続年数17.1年、労働時間161時間/月、超過労働0時間/月、給与月額657,600円、年間賞与2,983,400円。年収を計算すると年収1087万円で、航空機パイロット、医師、弁護士に次いで129業種中第4位である。高山氏は46歳当時の給与940万円であるが、厚労省の統計での大学教授は平均57.5歳であるので、年齢差を考慮すると、大学教授としては決して低いとはいえない。

 一般の会社の中では、大学教授の給料はどう見えるのだろうか。これも、厚労省の統計をみると、産業計の55~59歳の部長級は、平均年齢57.3歳、勤続年数28.1年、労働時間163時間/月、超過労働1時間/月、給与月額662,500円、年間賞与2,633,800円と大学教授とかなり似ている。部長級の年収は1058万円とほぼ大学教授と同じだ。

 以上の統計を見ると、日本での大学教授は職種としては高給取りに属する。会社で言えば部長級ということになる。

 日本だけを見るより、世界も見てみよう。例えば、アメリカについて、労働省の「Occupational Employment and Wages, May 2015」(http://www.bls.gov/oes/current/oes251112.htm)では、大学教員の平均給与が出ているが、それによれば772.4ドルになっている。1ドル=110円で換算すると850万円だ。これは、教授だけではないので、日本との単純な比較はできないが、大きく差があるというほどでも無いだろう。

 全米の各大学教員の給与を示すサイトもある(http://data.chronicle.com/faculty-salaries/)。そこで、教授職の給与をみると、実に多様性がある。東部の有名私大では、2000ドル程度である。筆者が3年間留学させてもらったプリンストン大学は全米10位で1945.53ドルだ。ただし、4542校中、1000ドル超は498校にすぎず、アメリカの平均的な大学の教授給与は、労働省のデータとそれほど違いがないようだ。

 以上、日本の大学教授の給与について、日本の他の職種との関係、アメリカの大学教授の給与との関係をみてきた。あくまで、統計数字で出てくるものは平均的な姿である。それらを見る限り、日本の大学教授の給与は、高すぎる、低すぎるというものではなく、まあまあというものだろう。

 冒頭の高山氏のブログには、「副収入はあるが、しばしば赤字」、「研究費は年間12万5000円」、「京大をやめません」という追記もある(http://kanakotakayama.blog.eonet.jp/)。

 さらに、かつての独立行政法人通則法での「社会一般の情勢に適合したものとなるよう」を引用しながら、圧倒的多数の論調は「私大並みに引き上げるべき」と指摘している。


 ちなみに、現行の独立法人通則法では、給与水準について「一般職の職員の給与に関する法律 の適用を受ける国家公務員の給与を参酌し、かつ、民間企業の従業員の給与、当該行政執行法人の業務の実績及び事業計画の第三十五条の十第三項第三号の人件費の見積りその他の事情を考慮して定められなければならない。」(57条)とされ、国家公務員、民間、人件費見積もりその他の事業を考慮して決めるとされており、民間だけを考慮するのではない。

 厚労省の平成27年賃金構造基本統計調査のデータは、国立、公立、私立も含んだ大学教授の数字だ。それをみると、少なくとも京大教授の給与は、「私大並に引き上げるべき」という答えにあらず、すべての大学の平均とかけ離れていない、アメリカと比較しても、著しく低くなっていないという結論になるだろう。

 それでも、京大教授の給与は低いという主張もありえるだろう。

 その場合、

1.低いと思うなら転職、転社(大)すればいい。
2.でなければ、兼業許可をもらって企業の経営法務コンサルタント、社外取をやるか、一般向け書籍、雑誌等への投稿で稼ぐ。
3.いずれにしても大学教員は個人差が大きく、組合交渉で一律に決めるのに不向き。個人の年俸制(兼業)のほうが個人の満足度は高くなる。

と考える。

 1が対応策としては、一番手っ取り早い。これを放棄するのであれば、給与は我慢せざるを得ないだろう。ただし、転職、転社(大)しなくても、2の手がある。

 ただし、国立大教員の場合、兼職制限がある(国公法103条、104条、教特法21条)。もっとも、営利企業の経営及び法務に関する助言を行う場合には、文科省の許可を得た上で、行うことができる。これを使って、企業の経営法務コンサルタント、社外取をやるのはありえる選択肢だろう。また、一般向け書籍、雑誌等への投稿で稼ぐことも可能だ。

 国家公務員から大学教授に転職した筆者から見れば、大学教授は時間の余裕が大きい。大学は忙しいという人も多いが、少なくとも筆者は財務省勤務よりはるかに楽だ。厚労省の平成27年賃金構造基本統計調査では、一月の労働時間161時間となっているが、これは裁量労働なので、形式的な労働時間であろう。大学教授は24時間働いているともいえるが、最小では講義時間にその準備だけともいえる。他業種から見れば自由に使える時間は多いと思う。その時間をどう使うかはその人次第である。「副収入はあるが、しばしば赤字」ということはまずなく、副収入を得ようと思えばかなりできるだろう。

 高山氏が給与明細を公表したのは、京大職員組合の活動の一環のようだ(http://kanakotakayama.blog.eonet.jp/default/2014/07/post-c783.html)。京大の教職員給与規程をみると、年功序列体系で一律が大原則のようだ(http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000911.html)。

 はっきりいえば、大学教員は個人差があまりに大きく、組合での団体交渉に不向きである。多くの大学教員にとって、自らが交渉したほうが、はるかに個人の満足度が高まるのではないか。団体交渉は、交渉できない人たちのためにあるもので、大学教員ならしっかりとした自分の意見もいえるだろう。しかも、世間的には、部長クラスの給与だ。普通の会社で、部長クラスは一定の人事権があるので、組合加入して団体交渉するというのはまずありえない話だ。

 大学教授といっても監督的な地位にないので組合で団体交渉できるとはいっても、給与の面で部長クラスなので、年俸制(一定の兼業許可)で個別交渉するほうが、いいのではないか。



http://mainichi.jp/articles/20160407/ddm/002/040/030000c
がん大国白書
第1部 新薬の光と影/5 日々高まる患者の期待

毎日新聞2016年4月7日 東京朝刊

 「北海道肺がん患者と家族の会」の代表、野村玲子さん(68)=札幌市=は、いつも携帯電話を手放さない。患者からの電話やメールの相談が毎日のように寄せられるからだ。「自分ががんになったことを受け入れられない。オプジーボ(一般名ニボルマブ)、そして次の新薬まで頑張りたい」「春まで頑張れば、新しい薬が出ると聞いた。それを目標に生きている」。患者の新薬への期待は高い。

 それだけに「薬の高額化が国の医療財政を圧迫する」という議論を耳にすると、複雑な思いになる。野村さんも59歳で肺がんが見つかり、手術や放射線治療を受けたが2度再発。4年前から抗がん剤「イレッサ」(一般名ゲフィチニブ)を服用する。副作用で足の指先から出血する経験もしたが、1人で悩む患者がいると思うと動かずにはいられない。

 野村さんは「自分の医療費によって若い世代に負担をかけることは望まないが、多くの患者は、治療や副作用の不安、命や先行きの不安で心がボロボロ。必死に闘っている人たちをこれ以上、追い詰めない方法はないのか」と訴える。

 毎日新聞は3月、全国がん患者団体連合会に加盟する30団体に、がんの医療費に関するアンケート調査を実施した。その結果からも、同様の思いが浮かぶ。

 27団体からの回答を分析したところ、最近増えている患者の悩み(複数回答)は「医療費の負担」(11団体)が「仕事との両立」(18団体)に次いで2番目に多かった一方、抗がん剤に対するイメージ(複数回答)を聞くと「治癒を目指すため不可欠」(24団体)、「新たな仕組みの抗がん剤開発に期待」(23団体)と希望を託す声が、「副作用」(18団体)、「薬価の低減」(14団体)という不安や要望を上回った。

 一方、国の医療費総額は増加を続け、2013年度は前年度比2・2%増の40兆610億円と、初の40兆円超えとなった。高齢化に加え、医療技術の進歩などが要因だ。さらに、患者の医療費の自己負担を所得に応じて一定額に抑える「高額療養費制度」の利用が大きく伸びている。13年度の全国の支給件数は約5406万件、支給額は約2兆2200億円だった。

 患者の自己負担分との差額を負担する企業の健康保険組合や国民健康保険組合など医療保険者の財政も厳しい。健康保険組合連合会(健保連)の14年度決算では、1409組合のうち741組合が赤字だった。さらに同年度に健保連の各組合に申請があった医療費のうち、1カ月の医療費が1000万円以上の申請が300件、そのうちがんの治療費が17件だった。

 健保連の白川修二副会長は「画期的で患者の命に関わる重要な薬については、当然保険でカバーすべきであり、それは保険の本来の役目と考えている。一方、全てを保険の対象にするのではなく、市販品の類似薬などは外すなど、国民も医療費の無駄をどのようになくしていくかを考えることが必要だ。患者個人の負担だけではなく医療費全体について議論していかねばならない」と語る。=つづく


  1. 2016/04/07(木) 09:29:33|
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