Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月4日 

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178732
メディアが報じない原発禍の街の真実
<第1回>深刻な医師、看護師不足で病気ひとつできない

2016年4月4日 日刊ゲンダイ

 震災から丸5年。ひとつの区切りとあってメディアは3・11前後に大騒ぎした。ところが、“震災週間”を過ぎたら何事もなかったかのように報じられなくなった。しかも、報道そのものも放射能汚染や避難民がいまだ帰れないといった、判で押したような同じ内容ばかり。だが、被災地における悩みはそんな表面的なことではない。昨年に続いて、南相馬市出身のルポライターが原発事故の現場に迫る。

 福島県太平洋側の浜通り。福島第1原発を擁する相双地区は、いまだ放射能禍に喘いでいる。悲惨だ。

「病気になったら死を覚悟せよ!」

 南相馬市が故郷の私はそんな住民の声を何度か耳にした。

「この2月、69歳の女性が腹痛で救急車を呼んだところ、虫垂炎だとわかった。ところが、病院が見つからず、たらい回しにされたあげく、破裂して亡くなった」

 今どき、虫垂炎で死ぬ――。

 JR原ノ町駅前通りの商店主は続けて語る。

「ここ最近は除染関係の車両の往来が増え、よく交差点で人身事故を起こす。でも、救急車が来ても、搬送先の病院が決まらず、その場に2時間以上も止まっている。医者も看護師も少なくて、搬送先が決まらないのが理由です」

 もともと相双地区は看護師や医師が少ない“医療過疎地”とされていたが、原発事故後は放射能を恐れ、看護職員が避難してさらに離職。医療体制が十分に機能しなくなった。

南相馬市には市立総合病院(写真)の他、2つの総合病院があるものの、スタッフ不足は深刻になる一方だ。

「南相馬市立総合病院の場合、震災後は新規の看護師の採用年齢を50歳まで引き上げても、集まらない。たとえ採用しても臨床経験が浅い若手のため、230床のうち稼働しているのは150床ほど。他の病院も同じ状況ですね」(病院関係者)

 原発事故後、県は医療再生のために県外の病院からスタッフを呼び込もうと、前の職場との給与差額の一部を補填する制度を設けた。

 さらに、原発禍の街の医療体制を学ぶバスツアーも企画したが、看護学生や高校生を募集しても参加者は少なく、いずれも解決策には至っていないという。

 唯一の吉報は来春、原発事故後に休校に追い込まれていた公立双葉准看護学院を南相馬市に開設することだろう。もっとも開設は大幅に遅れた。その原因は誘致をめぐり、南相馬市と相馬市が対立したことだという。

「原発事故のときは南相馬からの避難民に対して、相馬市は『住民票を移せば避難させる』というほど昔から仲が悪い」(市職員)

 もちろん肝心の医師も不足している。その打開策として、南相馬市立総合病院は月額基本給を1年目は66万2500円、2年目は72万8750円と設定して研修医を急募。現在は「除染作業員と放射能汚染」などを研究テーマに博士号を狙う研修医をはじめ、6人が在籍している。

「手当を入れれば年収は1000万円近い。たぶん研修医の年収としては日本一でしょう。看護師の中には『注射もろくに打てないくせして』と皮肉る者もいますが、それでも、医師がいるだけで多くの住民は安心するんです」(前出の関係者)

 その結果、被災地の住民は「病気ひとつできない」と嘆くのだ。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48485.html
「再生不能」の公立病院、黒字化の理由は?- 総務省、成果の事例集作成
2016年04月04日 16時10分 キャリアブレイン

 新公立病院改革プランを策定する際に役立ててもらおうと、総務省は、公立病院の経営効率化や経営形態の見直しなどの成果を取り上げた事例集を作成し、ホームページで公表した。事例集には、「再生不能」とされた病院が黒字化を達成したといった各病院の取り組みに加え、有識者による評価・分析も掲載している。【新井哉】


■自己完結型から地域完結型へ、医局に頼らない医師確保も

 公立病院をめぐっては、医師不足で小児や周産期医療などの提供体制を維持できず、診療科を休止・閉鎖するケースも少なくない。こうした状況などを踏まえ、総務省は昨年3月に新公立病院改革ガイドラインを策定。病院事業を行っている地方自治体に対し、新プランを策定して病院機能の見直しや病院事業経営の改革に取り組むよう求めていた。

 総務省は、昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」で「国公立病院の経営改善等について、優良事例の横展開を行う」とされたことを踏まえ、経営面で成果を上げている公立20病院を選定して事例集を作成した。

 事例集では、旧ガイドラインで掲げられた「経営の効率化」と「再編・ネットワーク」、「経営形態の見直し」の3つの視点に沿って各病院の取り組みを紹介。財政破綻した北海道夕張市などの公立病院の“再生”に取り組んできた城西大経営学部の伊関友伸教授や地方公営企業などの経営アドバイザーが、現時点での評価や今後の課題などを指摘する「コメント欄」も設けた。

 例えば、病院の存続さえ危ぶまれた三浦市立病院(神奈川県三浦市、136床)では、黒字化を達成するため、医療職の給与を年間約6800万円削減したほか、急性期医療を中心とした自己完結型から地域包括ケアの中核を担う地域完結型に転換した。その結果、経営改善が進み、「三浦ならでは」の地域医療の理念に賛同する医師も集まり、大学の医局人事に頼らない医師確保が行えるようになったという。

■看護師の過重労働解消、超過勤務手当が30%減少

 東日本大震災の際、被災地の医療を担った岩手県立宮古病院(宮古市、344床)の事例も掲載。同病院では、医療クラークを配置するなどして医師の負担軽減に取り組んだところ、常勤医が24人(2010年度)から30人(14年度)に増え、減少傾向だった病床利用率が上向きに転じた。また、人件費の面でも看護師の過重労働の解消に努めた結果、超過勤務手当が約30%減ったという。

 公立5病院の再編・ネットワーク化に伴い、医師の増加を図るとともに基幹病院としての医療機能を充実させた、つがる総合病院(青森県五所川原市、438床)の事例も紹介。7対1入院基本料や外来化学療法加算などの各種施設基準を取得し、14年度の患者1人当たりの医業収入は、入院と外来共に08年度に比べて約4割増えたという。

 巻末には、新公立病院改革ガイドラインの「概要」や「Q&A」の資料に加え、公立病院と民間病院の経常収支比率や病床利用率などの全国平均値や経営効率化にかかわる目標数値も掲載している。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04H8J_U6A400C1000000/
「救急車で転院」やめて 消防庁、全都道府県に通知
2016/4/4 21:52 日本経済新聞

 総務省消防庁と厚生労働省は4日までに、緊急治療の必要性が薄い患者が別の病院に移る際、救急車を利用しないよう求める通知を全都道府県に出した。消防庁の速報値によると、こうした転院搬送は、2015年の救急出動件数の1割に近い約51万件。緊急性のない搬送を減らし、全体の件数を抑える狙いがある。

 消防庁は1974年、すぐに高度な治療を受ける必要がある場合を除き、転院搬送は救急業務ではないとの見解を示している。しかし、病状が回復して転院する場合でも、医師の判断などで救急出動を求められるケースがあり、出動件数が増える一因になっている。

 通知は3月31日付。緊急性が低い場合は病院が所有する搬送車やタクシーを利用することを示した上で、地域の実情に応じたルールを、地元医師会とも合意の上で取りまとめるよう求めている。

 消防庁の担当者は「適正に利用することで、本来必要な人に救急車を回すことにつながる」と話している。

 消防庁によると、15年の救急車出動件数は約605万件と6年連続で過去最多を更新。うち転院搬送は8.4%だった。〔共同〕



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0404503160/
「救急車で転院」やめて...緊急患者に限定、総務省消防庁など要請
2016.04.04 16:50 読売新聞

 総務省消防庁と厚生労働省は、病院間で緊急性の低い患者を移動させる転院搬送について、救急車を使わないよう都道府県に要請した。

 転院搬送は全国で毎年約50万件に上るが、タクシー代わりに救急車が利用されるケースが後を絶たず、同庁などは病院や民間の患者搬送サービスの活用を促す。

 転院搬送は本来、消防法に定める救急業務ではないが、1974年の同庁見解で、緊急性があれば救急業務として認められるとした。

 しかし首都圏の消防本部によると、転院搬送の中には、病院側の入院患者数の調整や、「無料の救急車を使いたい」との患者の要望を理由に救急車が出動するケースがあるという。別の消防本部は「医師から『緊急性がある』と言われれば救急搬送せざるを得ないが、疑問を感じることも少なくない」と打ち明ける。

(2016年4月4日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/iryoishin/413532
シリーズ: 日医代議員会
「かかりつけ医は認知症患者の最大の理解者」
第136回日医臨時代議員会、医師会の支援も期待

2016年4月4日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

 3月27日の第136回日本医師会臨時代議員会で、日医常任理事の鈴木邦彦氏は、認知症患者への支援はかかりつけ医にとって重要な役割とし、「認知症患者への最大の理解者として住み慣れた地域で穏やかに過ごしていけるよう医療保険、介護保険に限らず、地域のさまざまな資源を活用してほしい」と呼びかけた。

 茨城県代議員の諸岡信裕氏は「2025年には認知症患者は700万人になると言われる。我々医療人が今後どのような行動を取るべきか、そして何をすべきか、日医の考えを聞きたい」と質問。

 鈴木常任理事は、都道府県などが実施主体となり養成する「認知症サポート医」は2015年末には5000人を超えたと説明。認知症サポート医は都道府県医師会などと連携して、地域のかかりつけ医に対し、認知症に関する知識技術や地域資源との連携などの研修を行うことが求められる。「2018年度までに全市町村に設置される認知症初期集中支援チームでは、認知症サポート医が配置要件になっており、地域における認知症対応の要を担っている。かかりつけ医や認知症サポート医にとって郡市区医師会のサポートが重要になる」として地域医師会の協力を求めた。

 また、今年4月から始まる「日医かかりつけ医機能研修制度」の応用研修においても認知症は重要な項目になっていると説明。医療と介護の連携が重要になる中で、市区町村から郡市区医師会に受託される「在宅医療介護連携推進事業」の相談支援を通じて、医療介護連携構築に積極的に取り組んでほしいと要望した。鈴木常任理事は「今まで医療と介護で分けていたが、超高齢者社会においては、高齢者医療介護とその他の医療に分けられるぐらいになる。日医としても医療介護の連携に積極的に取り組んでいきたい」と話した。

 会場からは「認知症患者は、看護師や事務員に話を聞いてもらうことで落ち着くことがある。ぜひ多職種の職員への教育を医師会として取り組んでほしい」との要望が出され、鈴木常任理事は「認知症は薬だけで治る者ではなく、介護の力でかなり落ち着く疾患。医療と介護を利用して、多職種で見ていくのがよいと思う」と答えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/409063
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
在宅専門診療所、排除せず認める - 宮嵜雅則・厚労省保険局医療課長に聞く◆Vol.5
在宅医療、「質」も「量」も重要

2016年4月4日 (月)配信 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――在宅医療については、今回、かなりきめ細かく見直しされました。宮嵜課長は、今改定の特徴として、「前回改定で修正すべき点は修正」を挙げられましたが、在宅医療関連の改定は修正に該当しますか。


「在宅医療は、質だけでなく、量の充実も必要」(宮嵜課長)
 前回改定を行う前に、在宅医療では不適切事例が相次いで発覚し、集合住宅等の関係については点数を大幅に引き下げる措置を取りました。しかし、前回は議論の時間があまりなかったので、あのような点数設定になったと思います(編集部注:同一建物・同一日の複数訪問の点数は、4分の1に引き下げ)。かなり低い点数設定をしたため、「厳しい」という声があり、集合住宅等の居住者への在宅医療であっても、別の日に個別に訪問した場合には引き下げの対象としない旨の通知を改定後に出しました。しかし、この通知が、「個別に訪問した場合には、高い点数が取れる」と解釈され、集合住宅なのに同一日ではなく、わざわざ患者さん一人一人を日を変えて診るという効率が悪い訪問診療の形態が一部に見られました。

 今回は、前回改定後の動向も踏まえ、修正すべき点を検討しました。一つは、「1日に何人に診るか」ではなく、「一つの集合住宅や施設に、何人の患者さんがいるか」を基本に点数設定しました。その数も「1人」「2~9人」「10人以上」と3段階に分けています。それに併せて、在宅医療においては、患者さんの重症度の議論がこれまであまりなかったので、今回は重症度という考えも導入しました。在宅時医学総合指導管理料(在支診)は、月2回の訪問診療が条件でしたが、一部の患者さんは月1回の訪問でも済むため、月1回でも算定できることにしました。結果的に「3×3」、合計9つの細かい点数設定にしました。

――今回の改定で、修正はほぼできたとお考えでしょうか。それともまだ見直す余地があるとお考えですか。

 前回改定では、改定の附帯意見で在宅医療関連の改定について早めに検証調査を実施するよう求めており、一番早く実施しました。今改定に向けた中医協での議論は、2015年2月から始めましたが、最初に取り上げたのは在宅医療です。十分に議論の時間は取れたので、かなりきめ細かく評価はできたと思っています。ただ、日本全国隅々までこの点数でうまくいくとは限りませんので、検証を行い、次の改定につなげていくことが必要だと思っています。

――在宅医療の観点では、在宅専門診療所を認めたのが特徴だと思います。専門診療所を積極的に位置付ける意向なのか、あるいは専門的に在宅医療に取り組んでいる診療所に一定の規制をかけるのが狙いなのでしょうか(『在宅専門診療所、「特定の施設に限定」はNG』を参照)。

 2025年に向けて地域包括ケアシステムを構築していくには、在宅医療の提供体制の充実が必要だと思います。在宅医療関連の点数には、「質」的な向上ももちろん大事ですが、「量」的にも拡大してもらいたいというメッセージを込めたつもりです。

 在宅医療を専門に行う診療所は、今までは認めていませんでした。しかし、今の在宅医療の提供体制を補完する形にはなると思いますが、今後は認めようという考えが今回の改定で入りました。先にも触れましたが、集合住宅等に住む患者さんに対し、日を分けて訪問するのではなく、同じ日にまとめて訪問しても、それなりの点数が算定できるように見直しました。その代わりに、「浮いた時間」と言っては、申し訳ないかもしれませんが、在宅医療の効率性が上がるので、もっと地域の他の患者さんを診てもらいたい。

――在宅専門診療所に対しては、集合住宅等への訪問診療だけでなく、地域の患者さんから要望があれば、広く対応してもらいたいということですか。

 在宅専門診療所は、「95%以上が在宅医療の患者」と定義しました。その上で、集合住宅・施設の患者さん以外にも診ていただくため、これらの患者さんの割合は7割以下とし、重症の患者さんを診たり、看取りの実績などを評価しました。反対に、在宅専門診療所に該当する場合でも、集合住宅等の患者さんや軽症の患者さんばかり診ているケースでは、在宅療養支援診療所でない場合の所定点数の「100分の80」(8割)の点数にするなど、段階に分けて、評価しました。



http://www.at-s.com/news/article/health/shizuoka/226379.html
初期研修400人突破 医師不足解消へ「明るい兆し」 静岡県内
(2016/4/4 07:55) 静岡新聞

 医学部を卒業後、静岡県内で初期研修を行う若手医師が2016年度、405人になる見通しで、初めて400人を突破することが3日までの県の調べで分かった。医師は初期研修を行った地で長く勤める傾向があり、地域医療課は「医師不足状態に明るい兆しが見えている」と人材の一層の取り込みを図る。

 ただ、内訳は東部74人、中部149人、西部182人と西高東低の格差がみられた。県は東部の病院を研修先に選んでもらえるよう啓発を強化する考え。

 初期研修は卒後2年間、基本的な臨床能力を幅広く学ぶ。研修希望者の意向と受け入れ先のプログラムをマッチングして研修先病院を決め、終了後は専門医研修に移行する。まとめによると、16年度に初期研修を始める医師が196人、2年目に入る医師が209人。このうち、県の奨学金利用者が計104人にのぼるという。

  奨学金は貸与された期間の1・5倍(最長9年)、県内で勤務すれば返済が全額(1440万円)免除されるシステムで、県が毎年度、関連予算約10億円をかける医師確保策の柱。制度は2007年度に導入した。制度利用者の卒業が近年増えていることが、初期研修者の増加につながった一因とみられる。

 ■静岡県、医学生の勧誘にも力

 静岡県は、県内で医療に従事する意義付けや意識付けを早いうちから図ろうと、医学生向けのリクルート事業を展開するなど若手人材への直接のアプローチにも力を入れている。

 20代や30代の若い医師を「次世代医師リクルーター」に委嘱し、合同説明会などに派遣して学生に本県で働く魅力を発信してもらう。

 3月末にも静岡市内で交流会を開き、10人のリクルーターが参加した。約80人の学生が耳を傾け、「研修病院の選び方が参考になった」との感想が寄せられた。

 県は医学生向け奨学金についても新年度分の利用募集を開始し、5月20日まで受け付けている。



https://www.m3.com/news/general/413777
医師不足改善に期待 岩手医大「地域枠」1期生配置
2016年4月4日 (月)配信 岩手日報

 県関係の医師奨学金が2008年度に定員拡充後、初となる養成医師16人の県立病院配置が1日始まった。岩手医大の新「地域枠」の1期生4人は大船渡、久慈、中部、胆沢の各県立病院に配置され、県民の期待を背に地域医療を担う。今後毎年30~50人の養成医師が初期臨床研修を終え、配置の拡大が見込まれる。

 地域枠で学んだ大崎洸(たけし)さん(26)は同日、久慈市の県立久慈病院で吉田徹院長から辞令を受け、外科医として新生活をスタート。がん患者の手術や外来・病棟での診療活動に携わる。二戸市出身で、幼少に地元診療所の医師の姿に憧れて医療の道を志した。先輩の勧めもあって初期研修を同病院で行い、先輩医師や住民の人柄に魅力を感じて終了後の勤務地に選んだ。

 県関係の医学生の奨学金は地域枠など3種類あり、一定期間、県内の公的病院や診療所勤務を義務付ける代わりに返還を免除する。義務履行は基幹病院を皮切りに始まり、中小医療機関も経験する。初期研修を終えた地域枠1期生は10人で、このうち16年度の履行開始は4人、大学院進学など履行猶予(中断)は5人、返還して義務が伴わないのは1人。16年度の養成医師の病院配置は全体で前年度比2倍の16人となった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/413800
シリーズ: 日医代議員会
医療費の地域差「抑制に使われないよう理解させる努力を」
第136回日医臨時代議員会、地域医療構想(1)

2016年4月4日 (月)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 3月27日の第136回日本医師会臨時代議員会で、副会長の中川俊男氏は、地域医療構想で外来医療の観点が欠けているとの指摘に対して、「外来データが一律の医療費抑制に使われないよう、日医は厚生労働省に地域の実情をよく理解させたいし、先生方も地元行政に対して理解させてほしい」と呼びかけた。

 大阪府代議員の中尾正俊氏が「地域医療構想に外来医療の観点がない点は問題。日医は速やかに外来医療のデータを都道府県に提供するよう厚労省に働きかけるべきでは」と質問した。

 中川副会長は、外来医療の観点がないという指摘に対して「日医としても問題意識を持っている」と回答した上で、地域医療構想の歴史的経緯を説明。2008年の社会保障国民会議で「医療の機能分化を進めるとともに急性期医療を中心に資源を集中投入することで入院期間を減らし、早期の家庭・社会復帰の実現、在宅医療・介護の充実を実現するため、地域での包括的なケアシステムを構築することを目指す」とする提言が発端だったのにもかかわらず、2011年には厚労省が急性期病床の削減を目的に急性期病床群を医療法に位置付けると提案、財政当局も平均在院日数の短縮と病床の削減を要求してきた。

 こうした流れに対し、日医は財政当局の主張を否定し、医療提供体制の再構築は各医療機関の自主的な取り組みによって進めるべきと強く主張していると説明した。その上で、議論の中で希薄になっていた外来医療の観点が、近年は「ゆがんだ形で議論の俎上に上がっている」と中川副会長は述べた。2015年10月の財政審財政制度分科会で外来医療費の地域差を是正するが提言され、厚労省も2016年3月23日に開かれた経済財政諮問会議の経済財政一体改革推進委員会の社会保障ワーキンググループで、外来医療費データを都道府県の医療費適正化計画の策定に活用してほしいと述べている。

 しかし、提供された「都道府県別年齢調整後1人当たり医療費の全国平均との差①」のデータ(厚生労働省保険局『医療費の動向について』)について、中川副会長は「単なるグラフで何の解説も付いていない。それも当然で、日医も外来医療費について分析を進めているが、実は地域差を定量的に説明できるものがほとんどない」と指摘した。しかし、都道府県行政はデータをそのまま受け取り、硬直的に外来医療費を削減しかねないとの危惧を示した。

 会場の日医代議員に対して、「医療費の地域差をもたらしていると考えられる要因、例えば地理的、歴史的背景をご教授いただきたい。外来データが一律な医療費抑制に使われないよう日医は厚労省に地域の実情をよく理解させたいし、先生方も地元行政に対して理解させてほしい」と呼びかけた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/413801
シリーズ: 日医代議員会
2025年の医療需要「冷静に受け止めなくてはいけない」
第136回日医臨時代議員会、地域医療構想(2)

2016年4月4日 (月)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 3月27日の第136回日本医師会臨時代議員会で、副会長の中川俊男氏は、地域医療構想に関連し、2025年の医療需要の推計値を「冷静に受け止めた上で対応しなくてはいけない」と呼びかけた。

 大阪府代議員の中尾正俊氏は「地域医療構想では、慢性期の療養病床における医療資源投入量や在宅医療の充実度などは考慮されておらず、適切な在宅医療を受けられない患者が増えるのではと危惧している。2017年度末に介護療養病床や医療療養病床を廃止することについて日医は反対しているが、療養病床および在宅医療に対する日医の見解を聞きたい」と質問した。

 中川副会長は「地域医療構想では、在宅医療と慢性期の病床機能を一体的に考えるとされているが、在宅医療の実情がほとんど考慮されないまま病床の必要数を算出しているのは非常に問題」と答えた。また、在宅医療を担うかかりつけ医の確保について大局的な政策が不十分であることや、市町村計画である介護保険事業計画と都道府県計画である地域医療構想の間の情報共有が不足していると指摘し、「早急に行政の施策に横串を刺さなくてはならない」と指摘した。

 慢性期病床は引き続き必要と強調し、「それぞれの地域の長い歴史の中で現在の病床がある。一律に規制して地域住民、患者を排除することがあってはならない」と訴えた。2016年1月に開催された厚労省「第7回療養病床の在り方等に関する検討会」で出された、新たなサービス類型については、「療養病床が強制的に他の機能に移行させられることや、過度な在宅偏重にならないよう議論に臨んでいく」と答えた。

 地域医療構想調整会議の議長は郡市区医師会の役員であり、地域包括ケアシステムも郡市区医師会が中心となって進んでいくとし、中川副会長は、「地域医師会の役割は極めて重要。地域医療構想と地域包括ケアシステムの連動をけん引していただきたい」と呼びかけた。

 会場から奈良県医師会長の塩見俊次氏は「中川副会長は、『地域医療構想は病床削減をするものではなく、不足している病床を増やすツール』と言ってきた。しかし、全国一律の医療需要推計値を基に、県は明らかに削減しようとしている。病床数を行政が規定することは明らかに誤りだと思う」と意見が出た。

 中川副会長は「医療需要を出す計算式は国が決めたもので変えられないが、あくまで参考値。その上でどうするかは自治体の判断。病床削減が目標であるという記載はどこにもない。冷静に判断してもらいたい」と答えた。さらに、塩見氏は「県は(計算で出された)病床数を変えることはできないと言っている。病床削減と書いてないとしても、もう少し都道府県の状況を把握してほしい」と要望した。

 中川副会長は「計算式で出された医療需要は『必要病床数』という名前が付いていたが、厚労省の検討会で『病床の必要量」』変えるように提案し、了承されている。計算の結果、2025年の患者数がそれだけしかいないことは冷静に受け止めなくてはいけない。その上で、構想区域内の医療機関同士でどのように医療を守っていくかを相談するのが地域医療構想。あきらめずに県を説得してほしい」と訴えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/413802
シリーズ: 日医代議員会
「病床報告制度と実態は一致しない」中川副会長
第136回日医臨時代議員会、地域医療構想(3)

2016年4月4日 (月)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 3月27日の第136回日本医師会臨時代議員会で、副会長の中川俊男氏は地域医療構想に関連し、「病床機能報告制度と実態は一致しない。地域医療構想調整会議で相談するのが今の仕組み。ぜひご理解いただきたい」と説明した。

 奈良県代議員の大澤英一氏は「2025年の在宅医療の必要量は、2013年度の約3倍に膨れ上がっている。マンパワーや施設などの体制づくりは非常に難しい。高齢者医療費を抑制するために在宅医療にシフトしすぎているように思える」と指摘。

 常任理事の釜萢敏氏は「地域医療構想ガイドラインでは、(患者1人1日当たりの医療資源投入量が)175点未満の慢性期および在宅医療として一体として推計することになっている。入院と在宅をどのように組み合わせるかは地域の実情を勘案する必要があり、全国一律に決められるものではない。在宅医療の選択はあくまで住民の希望でなされるものである」と答えた。

 大澤氏が「医療需要の推計値はあくまでも参考値であり、地域の実情に応じて変更できると国は都道府県の担当者に通達を出しているが、奈良県では変更できないと頑な態度をとっている」と訴えた点については、釜萢常任理事は「医師会が中心となって地元大学、病院団体、住民と連携して奈良県との協議を継続してほしい。日医も厚労省に、都道府県への指導を要請する」と対応した。

 大澤氏が「病床機能報告制度は、病棟単位の報告であり、実態とはかなり乖離している。実態を正確に反映できるものに改善する必要がある」と要望した点について、釜萢常任理事は「病床機能報告制度は各医療機関の自主的な現状認識と将来を担う役割を病棟単位で報告する制度であり、個々のレセプトデータとは異なる。ガイドラインにも将来も病棟ごとに選択した機能と患者像が完全に一致することを想定するものではないと明記されている」と説明。指摘は分かるとしつつ、「あるべき医療提供体制の実現に向けた取組を推進するための参照情報。各医療機関が自ら判断し、あるべき姿に徐々に収斂されることを願っている」と説明した。

 中川副会長も「報告制度と実態は一致しない。『急性期病棟』と報告した病棟に100%急性期の患者が入っているわけがない。それが医療であり、未来永劫一致しない。データを基に、『あなたの病棟、急性期と報告したの?でも違うよね』という相談を調整会議でするのが今の仕組み。ぜひ理解してもらいたい」と説明した。

 奈良県医師会長の塩見俊次氏が会場から、「2025年に医療需要が減るという考え方が間違いだ。団塊の世代が後期高齢者になるわけだから、医療需要が増えて当然だと思っている」と指摘すると、中川副会長は「高齢者が増えるから患者も増えるはずというイメージだが、2025年以降は高齢者数は一定。それより若年者が激減する。全体として減ると申し上げている」と説明した。

 大澤氏が「奈良県の特殊な事情で、医療審議会に医師会の会員が入っていない。地域医療構想調整会議も、医師会が弾き飛ばされるような状況でなかなかうまくいっていない。厚労省にも意見を言ったが、なかなか県まで指導できる状況ではない」との訴えに対しては、中川副会長は「医療審議会に医師会が入らないのは、医療法に抵触している可能性がある。奈良県医師会と奈良県がかみ合っていないなら、立ち合ってもいいという覚悟だ」と共同で課題解決に取り組むことを呼びかけた。



http://news.ameba.jp/20160404-158/
「地方病院」の技術は信用できない?イメージを覆す結果が…
2016年04月04日 08時00分 日刊アメーバニュース

「田舎の病院の技術なんて信用できない」
病院を探すときに、このように考える人がいるらしい。地方の病院と都会の病院では、その技術に差があると疑っているのである。
根拠はないものの、「地方の病院=技術がない」と決めつけてしまう人には、ある傾向が見られた。

■高齢者ほど地方病院の技術に疑いが

しらべぇが全国の20代〜60代の男女1352名を対象に調査してみたところ、全体ではおよそ3割の人が「地方の病院の技術は信用できない」と回答。
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男女の年代別では、病気が身近になってくる高齢層ほど地方の病院を疑う傾向にあるとわかる。また30代女性も同等の割合であるが、疑い深い人が多いのだろうか。

■田舎コンプレックスが影響…?

都道府県別の調査では、顕著な違いが見られた。千葉県民では4割の人が地方病院を信用していないのに対し、大都会・東京の人では3割程度だったのだ。
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一般的に見ると、都民のほうが地方病院を疑う傾向がありそうに思えるが、地方病院にマイナスイメージを抱く人が地方の千葉県民よりも少なかったのである。
東京都民と千葉県民の両者に、地方病院について聞いてみると…

<千葉県民(20代女性)>
「千葉県民は、みな少なからず田舎コンプレックスがあるのではと思います。距離的には東京に近いけど、東京には絶対に敵わない。
大学受験のときもそうですが、東京の大学に出たいと思う人が多い。千葉の私立大学なんてろくなところがないと思っている人が多かったです。病院に限らず、美容院や飲食店もそう。どんなものにおいても、東京はレベルが高いと思い込んでいる人がほとんどだと思います。
実際、地元の病院にかかったときに、受診病院の対応に不満を持ったこともありますよ。そうした人たちがほかにもいて、元々の千葉コンプレックスと掛け合わさって多くデータに表れてるんじゃないでしょうか?」

<東京都民(30代男性)>
「東京の病院が必ずしもいいとは限りません。ただ、都心は医療機関の絶対数が多いので、患者側に常に選択肢がある。なので、都心に住んでいる人は病院を選ぶ側のリテラシーが問われるケースが多いように思います。
私の周りにいる同じようなエリアに住んでいる知人でも、当たりの医療機関を渡り歩くような人から、毎回ハズレに当たってしまうような人まで見かけます。
僕はずっと東京住みなので、地方の病院はかかったことがありませんが、都内の病院でも技術が疑わしいとこはあります。ただ競争率が激しいことは確かなので、そこはある程度精査される可能性が高いとは思っています」
医療機関の地域格差の問題が叫ばれて久しい。
本調査結果でわかったことは、都心に住む人も郊外に住む人も、それぞれの地域をまたがって医療機関を受診するケースは稀なため、「都心の人=地方の病院を信用しない」ということにはならないようだ。
それよりも、各地域の人が自分の地域にどの程度コンプレックスやプライドがあるかということのほうが、どうやら結果には反映されやすいらしい。
(取材・文/しらべぇ編集部・chan-rie)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年3月18日~2016年3月22日
対象:全国20代~60代の男女1,352名



http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030200012/040100005/?rt=nocnt
2040年には医師が1万8000人余る!?
医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会

増谷彩
2016年4月4日(月) 日経メディカル

 厚生労働省は3月31日、第4回医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会を開催した。その中で、「医師の需要を大きく見積もっても、2040年には医師の供給が需要を1万8000人程度上回る」と推計された。医師の全体的な需給推計を提示するとともに、医師の地域・診療科の偏在に関する課題と対策について論点を整理した。


 現在、各都道府県では2025年に向けて地域の医療提供体制を再構築するための地域医療構想の策定が進んでいる。また、2017年度で暫定的な医学部定員増の措置が終了する。こうしたことから同検討会は、医療従事者の需給状況や確保対策を改めて検討するとともに、偏在を解消する方法を検討する目的で開催されている。

医師需給の推計に「仕事量」を考慮

 医師の供給は、現在の就業者数と医学部定員数(今後も2016年度の9262人が継続されるものとした)から求めた新規就業者数を合わせて推計を行った。ただし、「女性医師や高齢医師、初期研修医の労働時間や経験・技術の違いを考慮すべき」という意見を受け、その“違い”を供給推計に反映させた。

 具体的には、30~50歳代の男性医師の「仕事量」を1とした上で、「女性医師は配偶者の有無や子どもの有無、子どもの年齢に応じて労働時間が減少するため、仕事量が低下している」との考えから、後期研修以降60歳未満の女性医師の仕事量を0.8と設定した。また同様に、60歳以上の高齢医師の仕事量は0.8、1年目の初期研修医は0.3、2年目の初期研修医は0.5とした。この仕事量の差違を勘案した医師数は、2015年に27万4390人、2025年に20万2728人、2030年に31万4873人、2040年に33万3192人になると推計された。

 医師の需要推計でも、医師数は供給推計と同様に仕事量の差違が考慮された。推計は、外来医療の受療率や医師の労働時間の変化など需要に影響を及ぼす要因を考慮し、医師の需要推計が最も大きくなる組み合わせで行った上位推計、最も小さくなる組み合わせで行った下位推計、両者の間を取った中位推計の3パターンで行った。

 その結果、医師需要は中位推計で2024年頃に約30万人で供給と均衡。上位推計でも2033年頃には約32万人で供給と均衡すると推計した。いずれの推計でも、均衡後は人口減少に伴って医師需要が減少するとしている。つまり、このままのペースで医師供給が続けば、2040年には上位推計でも医師需要が31万4000人程度と推計されるため、供給が需要を約1万8000人程度上回ることになる。

女性医師の仕事量「実態はもう少し少ないのでは」

 この推計に対し、日本医師会副会長の今村聡氏は「社会の構造そのものが大きく変わる中で、女性医師や研修医の働き方、医師の業務軽減、ICT活用など、まだ不確定な要素が多い。現時点で2040年まで推計するのはかなり無理があるのではないか」と指摘。全日本病院協会副会長の神野正博氏は「医師需要は現状追認で推計するのではなく、あるべき医療、あるべき医師の労働環境を考えた上で推計すべきなのではないか」と意見した。

 また、女性医師の仕事量を0.8としたことについて意見を求められた日本女医会会長の山本紘子氏は、「女性医師の実態としては、仕事量は(0.8よりも)もう少し少ないのではないかと感じている。子どもを持つと、どうしても女性医師の仕事量は下がってしまう」と話す一方で、「現状を継続するのではなく、女性医師の負担をいかに減らすかというところから考えて変えていかなければならない」と強調した。

 聖路加国際病院(東京都中央区)院長の福井次矢氏は、「我々が医療の現場で医師不足を感じるのは、偏在の影響が大きい。だから、現場の感覚で全体の医師需給状況を見ると違和感を抱くことになる。全体の需給だけでなく、偏在の問題を同時に解決していかなければ、この推計は生きない」と話した。

医師派遣は大学が担うのか

 一方、地域・診療科の医師偏在については、前回までに現状と課題、そしてその要因を整理した。今回は、課題を踏まえた論点の整理と検討が行われた。

 今村氏は地域偏在の要因の1つとして挙げられている「人口規模の小さい地域では患者数が確保できず、十分な医業収入が得られない」という点に触れ、「診療所の承継は優遇税制がないこともネックになっている。ぜひ税制面の優遇についても検討してほしい」と訴えた。また、診療科偏在の論点の1つとして挙げられている「多額の紹介料を要する、いわゆるフリーランス医師や人材紹介業者などへの対応」について、「フリーランス医師は何人程度いるのかというところから把握できていないことが大きな問題となっている。こうした医師も、厚労省がある程度実態を把握できる仕組み作りが必要だ」と意見を述べた。また、特定の診療科の開業が多いなど、「地域における診療機能(診療科、診療形態・施設など)の需要を大きく超えるような診療機能への就業・開設について、一定の制限が必要ではないか」という論点については「地域の中で、『この診療科は十分あるのでこれ以上は必要ない』といったことを決めていく仕組みが必要だろう」と話した。

 福井氏は、「新専門医制度は、偏在の是正という観点からも千載一遇のチャンスだと考えている。各領域で、望ましい専門医数を明示するといった方向に動かしていただきたい」と期待を語った。

 なお、偏在の要因として挙げられている「大学医局や地域医療支援センター、へき地医療支援機構を含む医師派遣機能の低下」について福井氏は、「大学病院は研究と教育も重要な機能。日本から発表される論文数が減っている中で、大学病院が医師派遣機能まで担うことは負担が大きくなっている。地域の中で派遣機能を検討してほしい」と要望した。ただしこの発言には岩手医科大学学長の小川彰氏が「地方では大学病院以外に地域医療のサポートをできるところがない。そうした地域では、大学病院が医師派遣機能を担うのが妥当なのではないか」とコメントした。

 一方、全国医学部長病院長会議会長の荒川哲男氏は、医師派遣機能に関する課題を解決策として考えられている「医師のキャリア形成と就業支援を一体的に行う仕組み」の具体案として、2015年12月に日本医師会と共同提言した「卒後の医師の異動を生涯にわたり把握する医師キャリア支援センター(仮称)の各大学医学部への設置」を再度強調した。

この記事は日経メディカルに2016年3月31日に掲載された記事を一部改編したものです。内容は掲載時点での情報です。



http://www.kahoku.co.jp/editorial/20160405_01.html
東北医科薬科大/オール東北で育てよう
2016年04月05日火曜日 河北新報

 国内では37年ぶりの医大新設となる東北医科薬科大(仙台市)の入学式がきょう5日、行われる。2011年3月11日の東日本大震災で失われた医療資源の復興を掲げる東北版・自治医大。一期生には、地域医療を担う決意と熱情をもって学んでほしい。
 高齢化社会を先取りする東北はもともと、医師不足にさいなまれてきた。それに追い打ちを掛けたのが、東日本大震災だった。このため、震災復興の特例として、旧東北薬科大に医学部新設が認められた。
 東北医科薬科大は崇高な使命を背負っていると言えよう。復興を支える人材を育てて、東北全体の医師不足を補う新しい「知の拠点」とならなければならない。全ての一期生は、この志に共鳴した学生と信じる。
 ピラミッド型の古い体質を残し、かつて「白い巨塔」と揶揄(やゆ)されたこともある既存の医学部とは、無縁の新しい校風をこれから一歩ずつ作っていってほしい。
 大学の人材育成の重点は、災害医療を含め、さまざまな患者を診ることができる「総合診療医」。患者と真正面からじっくり向き合い、その声に真摯(しんし)に耳を傾ける。そんな親身に寄り添う医師が理想だ。専門的な医療技術だけでなく、人格教育に力を入れることも大切だろう。
 医療実習では被災地の病院に足を運び、今なお葛藤が続く被災者の厳しい実態に触れることが大切だ。福島原発事故からの医療再生にも力を発揮してほしい。
 25倍近い入学試験の難関をくぐり抜けてきた一期生100人は発表時点で東北、関東出身者が多かった。人気を集めた秘密は、学費負担が国公立大並みに抑えられる修学資金(定員計55人)にあったのは間違いない。
 在学6年間の学費は3400万円。最高3000万円の貸与を受けられる。貸与された資金は卒業後の一定期間(最大12年)、東北各県の提携病院に勤務すれば返却が免除される仕組みだ。その後の勤務地は自由となる。
 どれだけ地元に定着してもらえるかが、今後の大きな課題だろう。やはり、地元の自治体や医学部とのネットワークづくりは欠かせない。
 忘れてならないのは修学資金の原資になったのが、宮城県へのクウェートからの資金援助の一部90億円だったことだ。国際的にも高齢化が進んでおり、この恩返しのためにも、ゆくゆくは世界の医療にも貢献していくことが求められよう。
 医学部新設の名乗りを上げてから数年。全てが一からのスタートで、手探りだったと言っていい。準備不足の面もないわけではないだろう。
 当初、医師会や一部の医大が強く反対、批判するなど「難産」だった。「仙台市への医師一極集中が進むのではないか」。依然としてくすぶるこうした懸念は今後、大学が歩んでいく過程で晴らしていくしかない。
 待望の「新生児」である。多少小さく産まれたとしても、自治体や医療関係団体は協力を惜しまず、オール東北で大きく育ててほしい。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46502
本当の狙いは?「大病院で再診2500円」のインパクト
大病院と診療所の役割分担は進むのか

多田 智裕
2016.4.5(火) JBpress

 今年(2016年)4月の診療報酬改定では、「紹介状なし」で大病院で受診した際、通常の医療費に加えて「初診で5000円以上」「再診で2500円以上」の全額追加自己負担が義務化されることになりました。


 ですから大病院を受診したいと思った際には、まずは近くの診療所を受診して、紹介状を作成してもらってから受診した方が料金は安く済みます。「診察代2820円+紹介状料金2500円=5320円」の自己負担金額は3割でも1600円だからです。

 今回の改定については報道で多くの人がご存じのことと思います。しかし、この制度、特に「大病院での再診に2500円の追加自己負担」の本当の意味はあまり理解されていないのではないでしょうか。

大病院に通い続けることが困難に

 この制度は患者(受診者)にどのような影響をもたらすのでしょうか。それを知るには、発表された膨大な資料の中の「医科(医療)」ではなく「薬科(薬剤)」に関わる改定をあわせて理解する必要があります。

 後に詳述しますが、今年の改定では、「医薬品の適正使用」(薬の飲み残しの無駄を防ぐ)を推進するため、「200床以上の保険医療機関(つまり大病院)にあっては30日の処方が原則」と変更になっています。

 これはどういうことかというと、今まで大病院で90日分の処方をもらっていた受診者は、30日ごとに薬をもらいにいかなければならなくなるということです。


 それだけではありません。毎回、診察代に加えて2500円の全額自己負担が発生することになるのです。これでは通院先を大病院から診療所に移す人が数多く出てくることでしょう。

 つまり、再診2500円の自己負担義務化は、大病院受診を抑制するのみならず、大病院通院中の患者を中小病院や診療所へ誘導する強力な方策なのです。

長期処方を行う医療機関は激減?

 薬科(薬剤)制度の今回の改正については、「かかりつけ薬剤師制度」の導入が目玉の1つなのは間違いないでしょう(「もはやブラック、かかりつけ薬剤師制度が過酷すぎる」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46190)。

 かかりつけ薬剤師の導入により、長期処方の際の薬の飲み残しの確認は薬剤師に任せられることになったのかと思われました。

 しかし、今回の膨大な資料(「平成28年度調剤報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要」の34ページ目)の中に、薬の飲み残しや無駄を防ぐための方策として、以下の文言がさりげなく潜り込んでいます。

「30日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する」

 この一文が入ってしまったために、それより上流の医師の処方箋期間そのものに制限がかかることになりました。つまり、“30日以上の長期処方の際には、医師が病状の安定と薬の飲み残しがないか責任を持たねばならない”、さらには“医師が万が一の場合まで予測して対応方法を指導しなければならない”ということです。

 この通達によって、30日以上の長期処方を行う医療機関は激減することでしょう。

診療所への逆紹介を断るとやはり再診2500円の負担が

「病院に毎月通うようになるのは、別に面倒ではない。むしろ飲み残しが徹底的にチェックされるし、診察の機会が増えていいことだ」と思われる方もいるかもしれません。

 しかし、そういうわけにはいきません。

 上記の資料では追加の補足として、「200床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(200床未満の病院又は診療所に限る)に文書による紹介を行う旨の申出を行う」と定められています。

 つまり、大病院では、来院回数を増やして対応することは事実上許されないのです。病状が安定しているならば、中小病院または診療所へ逆に紹介せよ、ということです。

 ちなみに、紹介状を持たずに大病院を受診した時だけでなく、近くの診療所への逆紹介を断って大病院に通院し続けると、再診2500円負担の対象になります。ですから、大病院に薬を長期で処方してもらっている人は、30日ごとに通院しなければならないうえ、毎回自己負担2500円が発生してしまうことになります。

 以上で、今回の制度が中小病院や診療所への強力な患者誘導策であるということがご理解いただけたのではないかと思います。

「医療の効率化」という改革は実現できるのか

 医師からすると、大病院と中小病院・診療所の違いは、単に医療における役割の違いでしかありません。

 入院が必要な人、ないしは入院が必要になる可能性の高い人、もしくは大病院でなければできない高度な診療や検査を必要とする人が受診するのが大病院。一方、安定した病状の経過チェックや薬の処方、血液検査やレントゲン程度の外来通院のみで済む検査を受ける人が受診するのが診療所、ということです。

 どの科目で診てもらえばいいのか分からない場合には、まずは、近くの内科診療所で相談する形になります。つまり、通常の診察は「診療所で受けて、必要に応じて大病院宛の紹介状を書いてもらう」というシステムになっているのです。

 数十分~1時間単位で病状がどんどん悪化する深刻な場合を除いて、「大病院にかかった方がなんとなく安心」というだけの理由で大病院を直接受診したり、診療所でも対応可能な病状なのに大病院に通い続けても、医学的な意味はあまりありません。

 大病院は、大病院でなければ対応できない病状の方に専念した方が「医療の効率化」は進みます。その意味で、大病院から中小病院や診療所への逆紹介を強力に後押しする今回の制度改革は決して間違ってはいません。

 しかし今のところ、この制度は追加自己負担というペナルティ的な意味合いだけが大きく取り上げられ、批判する声も聞かれます。この改革が本当にうまくいくかどうかは、制度の本当の意味が広く理解されるかどうかにかかっているのではないでしょうか。


  1. 2016/04/05(火) 06:29:21|
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