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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月16日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/408101
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制、予定通り開始?延期?それとも……?
日本専門医機構社員総会、事業計画案了承されず

2016年3月15日 (火)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 「なぜ事業計画案に、医療部会の意見が反映されていないのか」

 3月14日に東京都内で開催された、日本専門医機構の2015年度の第2回社員総会。2017年度からの新専門医制度の開始に延期論も出る中、同総会は議論が紛糾した。開始は午後3時で、終了予定は午後4時30分だったが、結局、終わったのは1時間以上オーバーした午後5時30分すぎだ。

 「医療部会」とは、厚生労働省の社会保障審議会医療部会。2月の同部会では、新専門医制度により、大学病院など大病院に医師が集中し、地域医療に支障が出る懸念が相次ぎ、同部会の下に専門医に関する専門委員を設置し議論することが決定した(『新専門医の開始延期も含め検討、専門委員会発足』を参照)。

 14日の社員総会で、冒頭の疑問を投げかけたのは、日本医師会副会長の中川俊男氏ら。社員総会に先立ち、3月7日に開催された日本専門医機構の理事会では、「地域医療への影響を懸念する社保審医療部会の意見に対し、柔軟に対応していく仕組みを作る。その前提で2016年度の事業計画案を了承した」(同機構理事長の池田康夫氏)ものの、事業計画案からは伺えなかったことから、疑義が呈せられたのだ。

 社員総会の「議事次第」は、(1)2016年度の事業計画案と収支予算案、(2)医療部会での議論について、(3)理事選考規定――など。理事選考規定にも異議が出た。結局、予算案が成立しないことには4月以降、事業がストップしてしまうため、今後の修正含みで、暫定的に収支予算案だけは了承。事業計画案に「柔軟に対応していく仕組みを作る」旨などを明記、理事選考規定も見直し、改めて臨時の社員総会を4月に開催し、了承を得る予定だ。

 注目される社保審医療部会の専門医に関する委員会は、3月25日に開催予定。新専門医制度は、プロフェッショナル・オートノミーとして運営されるため、厚労省の審議会の決定に法的拘束力はない。池田理事長は、「どう対応していくべきかについては、今後の議論の内容を見ないと言えないが、医療部会の議論は非常に重いという認識を持っている」と前置きした上で、「新専門医制度による地域医療への影響を懸念する声が出ている。それを払拭するエビデンスを出し、新専門医制度の開始に向けて準備を進めている研修病院や研修医に迷惑がかからないように、延期という事態は避けるよう最大限努力していく」と、2017年度開始の方針を崩さない。

 日本専門医機構の社員として加わる、日本医学会会長の高久史麿氏も、社員総会後、m3.comの取材に対し、「2017年度の開始は、延期すべきではない。今延期したら、新専門医制度は二度とスタートできないのではないか」と答え、社保審医療部会などの意見も踏まえ、修正すべきところは修正した上で予定通り始めるべきとした。

 では、「延期も視野に」と求めていた日医はどうか(『新専門医制度、「延期も視野」と日医会長』を参照)。中川副会長は、「“延期ありき”ではない。ただし、医師の偏在を加速することだけは、絶対に避けなければならない。日本専門医機構は、医療部会の意見を踏まえて修正すべきところは修正すべき。修正なく突き進むのであれば、延期を求める」と、m3.comの取材に応じた。社保審医療部会の専門医に関する委員会では、新専門医制度により地域医療が混乱しないよう制度的に担保できるかどうかをまずは見極めるのが、日医の方針と見られる。

 学会によってもスタンスに差あり
 新専門医制度による地域医療への影響を懸念する声は、以前から出ていた(『新専門医制度、「大学医局」復権の懸念 - 末永裕之・日病副会長に聞く』を参照)。今年1月15日には、厚労省が各都道府県に対し、「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県の役割について」という通知で、「地域の関係者による協議の場の設置」などを求めた。この「協議の場」は、専攻医や専門医の偏在がないように、関係者が集まり、協議する場。1月29日には、日医から各都道府県に対し、同通知を送付するとともに、「積極的な参加を求める」としている。

 その後、日医会長の横倉義武氏が、新専門医制度に対し、「延期も視野に」と求めたのは、2月17日の定例記者会見だ(『新専門医制度、「延期も視野」と日医会長』を参照)。ある医師会関係者は、その背景について、「協議の場の設置を求めても、動いている都道府県はほとんどない。やはり地方の医師などから、地域医療への影響を懸念する声は根強く、“突き上げ”があったのではないか。日本専門医機構は、幾つかの地域で説明会を開いているものの、新制度について十分に広報がなされているとは言えない」と見る。

 その翌日、2月18日に開かれたのが、社保審医療部会。2月23日には日本専門医機構が「開始時期を延ばすことは、医療現場、教育現場に大きな混乱を生む。予定通り2017年度の開始に向けて準備を怠りなく進めていく」方針を固め、26日には関係学会にその旨を通知しているが、一方で、2月25日には全国公私病院連盟、同29日には全国自治体病院協議会が、それぞれ「新専門医制度の研修開始を延期する声明」を出している。

 日本専門医機構の社員には、18の基本領域の18の学会も入るが、その中でもスタンスには相違がある。3月14日の社員総会では、既に新制度に向けて準備が進んでいる日本産科婦人科学会などは予定通りの実施を求めた一方、日本脳神経外科学会や日本皮膚科学会などは、現状のまま進めることへの強い懸念を呈した。

 地域医療への影響の“見える化”がカギ
 新専門医制度が軌道修正なくこのまま進むことは考えにくいが、(1)医療部会等の意見を踏まえ、修正して、2017年度から実施、(2)修正対応に準備がかかるため、2018年度以降に延期、(3)いったん限りなく白紙に戻す――など、幾つかのシナリオが考えられる。

 まずは新専門医制度により、地域医療が混乱しないか、その担保ができるかどうかが、今後の動向を左右するカギとなる。池田理事長によると、日本外科学会では、既に研修プログラムの募集を締め切っており、基幹施設は190施設弱で、連携施設を合わせると、約2000施設だった。現行制度で専門医研修に何らかの形で関わっている施設と比べると、約200施設少ない。「外科学会では、これら約200施設について、連携施設になりたくてもなれないのか、あるいはなる必要はないかなどをヒアリングしている。また2次医療圏ごとの基幹・連携施設の空白地域なども調べるなどして、地域医療への影響を検証するため“見える化”を進めている」。池田理事長はこう語るが、「機構はこれまで『地域医療への影響はない』『問題ない』などと説明してきたが、根拠を示さず、具体的説明に欠ける」との手厳しい意見は根強い。その上、専攻医の給与含む身分保障などの検討課題も残っている。

 「日本専門医機構、ガバナンスに問題あり」
 新専門医制度への不安、不満が多いのは、地域医療への影響以前の問題として、日本専門医機構のガバナンス自体が確立しているとは言い難いためだ。同機構発足の直後は、新専門医制度を運営する当事者である、18の基本領域の学会を社員として入れなかったために反発を招き、混乱した(『専門医機構、18学会を社員として認定へ』を参照)。その後も、制度設計を具体化する各段階で、進め方に問題があったり、関係者への説明不足などが原因で、事あるたびに異論が出た(『専門医の更新料、日本専門医機構に「1万円」』などを参照)。財政基盤の弱さもある。新専門医制度の準備段階のため、認定料などの収入源が乏しく、日本政策投資銀行から借り入れている。

 「ガバナンスの問題を解決しないことには、新専門医制度への関係者の理解を得るのは難しい」と見る向きは多く、日本専門医機構の幹部の交代を求める声もある。しかし一方で、19の基本領域のうち、15領域は3月15日までに、各基幹施設からの専門研修プログラムの申請を締め切っている。社保審医療部会の専門委員会も3月25日の1回では議論は終わらないだろう。日医は3月27日に代議員会を控えており、新専門医制度に関する質問が出る可能性は高い。どんなシナリオになるか、先行きが不透明な中、新専門医制度の開始に向けた準備を進めざるを得ない状況が続く。



https://www.m3.com/news/iryoishin/408385
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制、「タイムスケジュール内に解決策を」
荒川・全国医学部長病院長会議会長が会見で言及

2016年3月16日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議会長の荒川哲男氏は3月16日の定例記者会見で、新専門医制度について、「延期するのではなく、タイムスケジュール内で、解消策を出していくことが大事」と述べ、2017年度からの開始に向け、予定通り進めていくべきとの考えを示した。解決策とは、連携病院として専攻医を受け入れる資格があるのに、現時点では研修プログラムから外れている病院があれば、その病院を含めたプログラムにするなど、地域医療への影響を軽微にする方策だ。

 新専門医制度については、地域医療への影響が懸念され、「延期論」も出ており、厚生労働省の社会保障審議会医療部会の下に専門医委員会を設置し、検討することが決まっている(『新専門医制、予定通り開始?延期?それとも……?』などを参照)。新専門医制度で、大学病院本院は、研修プログラムの基幹施設となることから、連携施設への対応などを検討することで、予定通り、2017年度から開始すべきというのが、荒川会長の考えだ。「厚生労働省は、各地域に、専門医制度に関する協議の場を設けるよう求めている。全国医学部長病院長会議としても、全国の大学に対し、研修プログラムの作成に当たっては、地域医療に不都合が生じないように配慮するよう求めている」(荒川会長)。

 記者会見には、同会議監事で、日本専門医機構の理事も務める吉村博邦氏も出席、新専門医制度による地域医療への影響を懸念する声が出ていることは認め、その原因として、同機構の広報活動の不足と、病院団体の意見を聞く機会の不足を挙げた。さらに、「新専門医制度の仕組みをいったん決めたら、リジッドな形で運営してきた。もう少しフレキシブルな対応が必要だったのではないか」とも述べ、現在進められている研修プログラムの審査に当たっては、地域医療への影響を検証しながら、対応すべきとの考えを示した。

 さらに吉村氏は、今年予定されている日本専門医機構の理事の改選にも言及、「医療界を挙げて、機構を運営しているような理事の構成にする必要がある」と述べ、現在は大学関係者中心の理事構成を見直し、関係者のコンセンサスを得ながら進めていく体制に変える必要性を示唆した。



https://www.m3.com/news/general/408274
収賄の医師に懲役2年求刑 人工透析めぐる汚職事件
その他 2016年3月16日 (水)配信共同通信社

 人工透析患者転院をめぐる汚職事件で、収賄罪に問われた医師赤沢貴洋(あかざわ・きよひろ)被告(41)と、贈賄罪に問われた医療法人光寿会の元実質経営者多和田英夫(たわだ・ひでお)被告(64)の論告求刑公判が15日、名古屋地裁(角田温子(つのだ・あつこ)裁判官)であり、検察側は赤沢被告に懲役2年、追徴金263万5033円、多和田被告に懲役1年6月を求刑した。判決は4月19日。

 検察側は論告で「赤沢被告はみなし公務員の立場で賄賂を受け取っており、患者の信頼を裏切る悪質な行為」と指摘した。2人の弁護側は最終弁論で、それぞれに執行猶予付きの判決を求めた。

 起訴状によると、赤沢被告は国家公務員共済組合連合会名城病院(名古屋市)で働いていた2013年4月~昨年10月、光寿会側に人工透析が必要な患者を紹介する見返りに、多和田被告から計263万5033円を受け取ったとしている。



https://www.m3.com/news/general/408332
診療報酬詐取容疑認める 逮捕のタレント女医
その他 2016年3月16日 (水)配信共同通信社

 美容クリニックの診療報酬不正受給事件で、警視庁に詐欺容疑で逮捕されたタレントで医師脇坂英理子(わきさか・えりこ)容疑者(37)が容疑を認める供述をしていることが16日、捜査関係者への取材で分かった。逮捕当初は「弁護士が来るまで話しません」と供述していた。

 脇坂容疑者ら4人は2012年11月~14年9月、経営していた千葉県船橋市などのクリニックで、患者14人を何度も診察したように装い、8自治体から計約155万円をだまし取った疑いで逮捕された。

 警視庁は、12年8月~14年11月に計約6900万円を不正受給したとみて調べている。



https://www.m3.com/news/general/408275
元北大教授を書類送検 一部弁済、不起訴見通し
2016年3月16日 (水)配信共同通信社

 北海道大で多額の預け金などの不正経理が発覚した問題で、北海道警は15日、研究費など約2千万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で元教授の男性(62)と取引業者3人を書類送検した。

 捜査関係者によると、元教授は流用した研究費の一部を弁済しており、北大が告訴を取り下げた。不起訴処分になる見通しという。

 遺伝子病制御研究所に勤めていた元教授は、預け金として業者にプールしていた研究費の一部を自家用車の車検代に使うなど私的流用したとして、2013年6月に北大が札幌・北署に告訴。「懲戒解雇相当」の処分を受けて同7月に辞職した。

 北大では04年度以降、使い残した研究費を取引業者に預け金として渡し、翌年度以降に回すなどの不正経理が総額約5億3500万円に上ったとの最終報告を14年7月に公表。教員56人を処分した。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20160316241573.html
【新潟】新十日町病院、民営なら医師退職か
勤務支援の大学側、県営継続望む

2016/03/16 09:59 新潟日報

 県議会2月定例会は15日、四つの常任委員会を開いて部局別の主な審議を終えた。厚生環境委員会では、改築後の運営主体が決まらない県立十日町病院について、県の当初方針通りに公設民営とした場合、医師が多数退職する恐れがあることを病院局が明らかにした。

 若月道秀局長は、十日町病院の外科を担う6人の医師は東京の大学による支援で勤務しているとし「十日町病院が民営化されれば、その大学は医師を全員引き上げると聞いている」と明かした。大学側は県営の継続を望んでいるという。

 県は改築後の運営は民間に委ねる方針だったが、当初有力視された県厚生連に断られたこともあり、決められずにいる。このため「当分の間、病院局が運営する」とし、新病院が開院する2020年度をめどに運営主体を決める方針。

 若月局長は今後について「医師確保が困難になる状態を招いてはいけない。医療を安定的に確保するためにはどういう経営主体が望ましいのか真摯(しんし)に検討を進める」とした。

 十日町病院は04年の中越地震による被害などを受け、14年7月から改築工事を行っている。新病院は地上7階地下1階建て。18診療科と275病床を備える。総事業費は124億円。ことし5月に外来診療棟の供用を開始し、20年4月に病棟を含めた新病院全体が開院する予定。



https://www.m3.com/news/general/408320
東千葉メディカルセンター 常勤医42人に 東金・来年度5人増
2016年3月16日 (水) 毎日新聞社

 産科医の着任が決まった東金市丘山台の東千葉メディカルセンターの常勤医は来年度、現在の37人から5人増え42人となることが14日、医師を派遣する千葉大医学部の教授会で決定した。当初計画では開院3年目となる来年度のフル稼働(23診療科、314床)を目指したが、医師数、看護師数が整わず、さらに先延ばしとなる見込み。新年度当初は19診療科、205床、看護師198人の体制で運営する。

 市医療センター推進課によると、産科医は常勤2人に加え、同センターを運営する地方独立法人が独自に非常勤1人も新たに採用し、当面は3人体制とする。外来診療は4月4日から、分娩(ぶんべん)については5月以降を予定している。【吉村建二】



http://mainichi.jp/articles/20160316/ddl/k06/010/018000c
米沢市立病院
精神科問題 市長「民間と再編で存続」 /山形

毎日新聞2016年3月16日 地方版

 米沢市の中川勝市長は15日、閉鎖になる市立病院精神科について、「市民の切実な要望を基に医師確保に努めてきたがなかなか難しいとの判断から、民間病院の精神科との再編に向けた特例を活用するしかない」との考えを明らかにした。厚生労働省の認可が必要な特例措置を活用し、市立病院の精神科が持つ70床を減らす代わりに、民間医療機関の精神科の病床を増やすことで、市内での精神科の存続につなげる。今後、公募も検討するという。

 記者会見で中川市長は「市立病院とは別に、市内に精神科病床を確保し、外来も受け入れる施設を想定している」と説明した。特例措置は、役割や機能分担などを踏まえ、公的・民間の医療機関の病床数を再編するもの。

 病床の許認可権を持つ吉村美栄子知事に協力を要請して民間病院との連携を模索したが、県からの助言などで特例措置を知ったという。「5月中旬までには一定の方向性を示せるよう最大限努力する」と述べた。【佐藤良一】



https://www.m3.com/news/iryoishin/408390
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
KHS、行方不明のカルテ、どこに?
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第16回公判

2016年3月17日 (木)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第16回公判が、3月16日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、前回に続いて2006年までKHS(Kyoto HEART Study)の事務局を務めた男性医師(以下、男性医師Bと表記)の証人尋問が行われた。弁護側は反対尋問で、KHSに登録された京都府立医大の310症例のうち47症例のカルテが見つかっていないと指摘した上で、「松原弘明教授(当時)が指示したらカルテを廃棄できるか」と質問。男性医師Bは「できないと思う」と答えた。

 京都府立医大が2013年7月に公表した調査報告書では、同大病院の患者が登録症例だったのは310症例あるが、カルテ調査が可能であったのは223症例だったとしている。弁護側は310例のうち、47症例でカルテが見つかっていない指摘し、男性医師Bに対して、カルテが見つからない理由として思い当たることはあるかと尋ねると「ありません」と答えた。

 検察側が改ざんがあったと主張する45症例のうち16症例が男性医師Bの登録症例(『「こんな矛盾した内容は書かない」、改ざん後のデータを参加医師が確認 』を参照)だったが、弁護側はそのうち、京都府立医大の4症例でカルテが見つかっていないと指摘。男性医師Bが京都府立医大を退職した後に務めた病院でも、問題の16症例のうち2症例のカルテが見つかっていない。

 両病院とも主治医が知らないうちにカルテが廃棄されることはないと確認した上で、弁護側は「松原弘明教授(当時)が指示したらカルテを廃棄できるか」と質問。男性医師Bは「できないと思う」と答えた。検察側、裁判所はカルテの保管体制について質問。京都府立医大では一定期間後に地下にある保管庫に収納されるとし、保管庫に入る際は事務に鍵を借りる必要があると説明した。

 KHS主論文の発表時、男性医師Bは事務局を離れていた。発表後に男性医師A(同じく事務局を務めていた医師で証人として2月に計6回出廷)とメールや直接会うなど連絡を取っており、男性医師Bは主論文の結果について、2009年に「(バルサルタン投与群と非バルサルタン群で)こんな差が開くとは夢にも思っていなかった」とメールで送っていた。その理由を、先行する海外の同様の試験では有意差が出ていないことを知っていたからと説明した。

 KHSの試験デザインでは、症例登録する参加医師が群分けを把握するPROBE法や判定基準にソフトエンドポイント(入院したか否かなど)を採用したことで、バイアスが入りやすいという懸念を持っていたとも証言。実際、参加医師が意図的にバルサルタン投与群に有利な結果が出るように結果を改ざんしたとする供述調書が証拠として提出されている(『KHS参加医師、「人事のため、医師として最低の行為した」』を参照)。そのことについて問われると、「非常に残念で多少の怒りを感じる」と述べた。

 事務局の体制について、プロトコールは白橋伸雄被告に助言をもらいながら、松原元教授、男性医師Aの3人で相談したとしつつ、草稿は白橋被告とノバ社の社員が作成したと述べた。また、独立解析機関になっていた京都府立医大の統計学の教授は、男性医師Bが推薦したと述べた。依頼当時は具体的な依頼内容や手順まで決めていなかったが、事務局がデータセットを用意し、独立解析機関の教授には検算や解釈をお願いすることになるだろうと想定していたと言う。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASJB14H1C_V10C16A3LC0000/
へき地への医師派遣強化 島根大、地域偏在を是正
2016/3/16 6:00日本経済新聞 電子版

 島根大学は2016年度から医師不足が深刻な島根県西部などへの医師派遣を強化する。同大学医学部付属病院が「医師派遣検討委員会」を立ち上げ、3月下旬に島根県や一般社団法人しまね地域医療支援センター(島根県出雲市)などと合同で初会合を開く。医師偏在の是正に貢献して地域医療の質向上を目指す。

 県によると15年10月1日時点の医師充足率は松江医療圏が82.7%なのに対して西部の浜田医療圏で63.8%、中山間地の雲南医療圏で62.5%にとどまる。

 島根県には将来の県内勤務を条件とする医学生向け奨学金制度がある。いわゆる「地域枠」制度で、年間の定員は32人だ。地域枠の卒業者がなるべく長い期間へき地などで勤務継続できるように、対策を検討する。

 卒業生に関する情報や各病院の医師需要のデータなどを把握していれば、欠員が出たときに交代要員を円滑に派遣できる。地域のニーズに合った医療人材の養成にもつながる。島根県側は医師のキャリア形成支援や研修医確保のための情報発信などで協力する考えだ。



http://diamond.jp/articles/-/88066
TOP経済・時事『週刊ダイヤモンド』特別レポート医療費緊急アンケート! 高齢者と現役世代の不公平には我慢できない
『週刊ダイヤモンド』特別レポート
医療費緊急アンケート!
高齢者と現役世代の不公平には我慢できない

週刊ダイヤモンド編集部 2016年3月17日

発売中の『週刊ダイヤモンド』3月19日号の第1特集は「全国病院[改革]ランキング」。改革実績で評価した病院ランキングから、知っておくべき医療とカネの真実まで、日本の医療の表と裏に迫った。本特集では、ダイヤモンド・オンライン読者と医療現場で働く医師の双方に、診療報酬改定と医療制度改革への本音を問う緊急アンケートの結果を掲載している。その一部をお届けする。

 この4月から医療の値段が変わる。例えば、紹介状を持たないで大病院を受診すると、初診で5000円以上、再診で2500円以上を追加料金として支払うことになる。医療サービスの公定価格に当たる診療報酬は、原則2年に1回見直される。全体の改定率は政府が、個々の単価はその範囲内で厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会が審議し、厚労相が決定する。

 2016年度改定の全容が明らかになったタイミングで、本誌は医療従事者向け会員サイト「m3.com」(エムスリー https://www.m3.com/)と共同で緊急アンケートを実施した。医療を受ける一般人と医療現場で働く医師の双方に、診療報酬改定と医療制度改革への本音を問うものだ。日本の医療費は40兆円まで膨張しており、財源は逼迫。国民皆保険は崩壊の危機にある。

 崩壊を回避するには、医療費削減を念頭に置いた改革が避けられない。改革は痛みを伴うものだ。具体的な医療費削減策について、どこまで我慢できるか。アンケートでは、医療提供体制、患者の自己負担、保険給付の範囲の3テーマでさまざまな策に対する許容度を尋ねた。
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【調査概要】2016年度診療報酬改定が決まったことを受け、「週刊ダイヤモンド」と医療従事者向け会員サイト「m3.com」のコラボレーション企画として、一般人と医師に医療に関する緊急アンケートを実施した。対象はダイヤモンド・オンライン会員(有効回答数419人)と「m3.com」の医師会員(有効回答数1838人)2016年2月19日から2月23日(m3.comは20日から)

 ここで取り上げた策の大半は、日本で導入の検討がなされるもの、あるいは欧米で実際に導入されているものだ。
 医師、一般人双方の許容度が高かったのは受診時定額負担だ。「外来受診時に1人100円程度の定額負担を、定率の自己負担に上乗せする」ものである。

 双方の許容度が最も低かったのは「高齢者の自己負担割合を軽減したまま、現役世代の自己負担割合を増やす」こと。対して「高齢者の自己負担割合の軽減を、現役世代の自己負担割合まで引き上げる」ことへの許容度は比較的高かった。現状、医療費の自己負担割合は70歳未満の現役世代は原則3割、75歳以上は原則1割負担となっている。

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 40代の男性会社員は「近所の内科は、平日の午前中は老人の世間話の場所と化している。不必要な医療費を削減できるような仕組みを設けるべき」と訴え、40代の病院医師「高額な抗がん剤での治療について、若い低所得労働者から『お金がないからやめる』と言われ、高齢の生活保護受給者には『どうせ国がお金を払ってくれるから、高くて良い薬をどんどん使って』と言われた」と明かす。

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 一方で、医師と一般人の許容度ギャップを見ると、医師は所得や金融資産の保有額が多い患者の負担を増やすやり方には警戒を見せている。

「医師が行う医療の一部を、看護師などの医療職ができるようにする」というタスクシフトについては、医師側は賛否両論分かれた。50代の診療所医師は「医師は誇りと矜持をもって仕事をすべきである。看護師に医師の業務の一部を代行させるうんぬんの議論があるが、このような案が提出されること自体、われわれ医師の体たらくを示している」と語る。

「人口当たり医療機関数(病床)が多い地域の医療機関を削減し、地域格差をなくす」ことについても医師の方が許容度は低い。「患者の入院期間をもっと減らす」ことには、一般人の方が許容度は低かった。

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 このような策が浮上してくる背景には、病院病床数の地域格差が大きいこと、そもそも日本の病院病床数が他国に比べて多いことがある。患者の入院期間も他国に比べると長い。

 アンケート結果によると、受診時定額負担、高齢者の自己負担割合引き上げの二つは比較的受け入れやすいものだった。では、それらが速やかに導入されていくのかといえば、事はそう簡単ではない。

 受診時定額負担は、患者の受診抑制につながる可能性があるため、開業医らが難色を示す。


 高齢者の自己負担割合の軽減をやめることについては、政治家がちゅうちょする。選挙の投票率が高い高齢者に不利な策では、選挙で票を失う恐れがあるからだ。

 政策決定に関わる関係者たちの利害がぶつかり、改革をうたえどブレーキばかり。個々の一般人、現場の医師の率直な意見は反映されない。

「わずかな診療報酬点数に翻弄されるのにはもう疲れた。地方の医療現場の疲弊度は増していくばかり。日本の医療が医療者の善意により成り立つ部分が多いことを、崩壊してから気づいても遅い」と40代の病院医師。また、40代の男性会社員は「医療にまつわるお金の動きが見えない。無駄や不正、不条理がどこに生まれるのかという検討を客観的に行ったのか不明」と指摘する。

 確かに利害調整の末に複雑化した制度は理解しづらく、国民は関心を持ちにくい。その間にも崩壊の足音は近づく──。『週刊ダイヤモンド』3月19日号の特集では、危機の実態を明らかにしている。

 また、共同アンケートを実施したm3.com(https://www.m3.com/)では、医療従事者向けに今回のアンケート結果を詳細に分析した連載を実施中。現場のリアルな声を伝えている。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kigawa/201603/546172.html
コラム: 木川英の「救急クリニック24時」
3次救急医療機関が救急車受け入れを断る理由

2016/3/17 木川 英(川越救急クリニック)

 3月に入り暖かい日も多くなり花粉症シーズン到来かと思いきや、いまだにインフルエンザで学級閉鎖などが起きている異常な2016年春です。

 また3月といえば、卒業のシーズンですね。救クリスタッフの中にも夢に向かって卒業していく人がいる一方、4月には新たに加わる人もいたりと年度末はバタバタですが、救クリも変わっていくんだなあ、としみじみ思う日々です。

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図1 受け入れに至らなかった理由(平成22年埼玉県消防防災課調べ)

 そんな中、まだ口外はできないのですが、新年度から新しい取り組みを始める予定があるので、改めて救クリの意義を考えてみました。

 日本の初期救急や2次救急は、各診療科の医師たちが交代で担当しながら何とか維持しているのが実情です。

 だから、「処置困難」や「専門外で受け入れ拒否」という事態が起こっています(図1)。

 専門じゃないけど、全ての科の患者さんを一通り診られる医師がいれば、「断らない救急医療」が可能になるのではないだろうか。という思想を元に、救急医療の革命児、上原淳院長の救クリの基盤ができるのですが、その過程において埼玉県の救急医療の問題が分かってきました。

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図2 埼玉県の救急専門医

 埼玉県の救急専門医は120人ほどで、半数は救命救急センターに所属しています(図2)。2次救急医療機関の90%以上は救急専門医不在です。

 このような状況なので、自分の専門外の症状を主訴に持つ患者さんの診療が不可能なのは致し方ないことでしょう。そして、そのしわ寄せは3次救急に及びます(表1)。

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表1 1日当たりの救急患者数

 3次救急医療機関受診の85%くらいの患者は入院が必要なく、帰宅しているという結果でした。

 これでは、「本来の」3次救急医療を全うできないことは自明です。

 そして、3次救急医療機関の医師たちは疲弊していきます。その結果、3次救急医療機関ですら救急車を断ってしまう事態が発生してしまいました(図3)。

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図3 断りの理由

 そこで、既存の病院に新たにERを設立させようと思ったとします。

 ER開始当初は、

「救急を一手に引き受けてくれるドクターが来てくれて助かる」
「空床がどんどん埋まるし、短期入院が多いから平均在院日数が短くなって病院の加算が増えた」
「救急車や時間外外来を断らなくて済むようになった」
「地域での評判が上がった」

 というような良い意見が出てくるのですが、時間が経過すると……

「救急から回ってくる患者が多くて暇がなくなった」
「ベッドが一杯で、急患のせいで定期入院患者が入らない」
「空きベッドのやりくりで他科の患者が病棟に入院して来るので分からなくて困る」
「ERの器械や人員はすぐ予算が付くのに……」


 といった不平不満が出てくるようになるようです。
(色々な事例を組み合わせました)

 こうして、救クリが誕生するに至りました(写真)。

 次回は、救クリの取り組みのデータをお示しします。

 では、また。



http://www.sankei.com/west/news/160316/wst1603160055-n1.html
3つの病院を統合し、南奈良総合医療センターが完成 ヘリポートも完備 奈良・大淀町
2016.3.16 14:15 産経ニュース

 奈良県五條市と吉野郡の3病院を再編して開設する南奈良総合医療センター(同県大淀町)が完成した。25診療科と救急センターなど8センターを備え、医師50人が常勤、平成28年度中にはドクターヘリも常駐し、救急や災害時の拠点病院として4月1日に開院する。

 センターは近鉄福神駅前で、敷地面積は約4・7ヘクタール。地上5階建ての建物内には病床232床(一般188床、高度治療室8床、回復期36床)を備え、県南部唯一の2次救急病院の役割を担う。屋上にはドクターヘリ発着用のヘリポートがあり、3階建ての看護専門学校も併設する。

 患者数の減少などで県立五條病院(五條市)、町立大淀病院(大淀町)、吉野町国保吉野病院(吉野町)の3病院の経営が悪化。県と南部12市町村で作る「南和広域医療組合」が再編を計画し、センターを新設した。同組合から移行させる南和広域医療企業団が運営する。

 町立大淀病院は今月末に閉院。国保吉野病院は4月から、県立五條病院は耐震化工事を行って来年4月から、地域医療センターになる。

 13日に行われた竣工式には約240人が出席。荒井正吾知事はあいさつで、「便利な地に病院を建てることができた。南部の医療は南部で守ることを貫き通せる病院にしたい」と述べた。



http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/327442/031500047/?bpnet
デジタルヘルス・レポート
地域医療の中で「病床機能の分化・連携」はどうあるべきか
「NEC医療セミナー2016」から

2016/03/15 20:00
増田 克善=日経デジタルヘルス

 さらなる高齢化が進行し、医療ニーズが慢性疾患を中心とするものに変化・増大していく中で、医療機関の機能分化・連携、在宅医療の充実などが求められている。診療報酬の在り方も7対1病床とその患者の数の縮小度合を重要な指標とする「病床機能の分化・連携」が推し進められている。

 こうした医療環境の中で、これからの地域医療に向けた病院の取り組みはどうあるべきか――。東京女子医科大学東医療センター(東京都荒川区)、済生会熊本病院(熊本市)、永生病院(東京都八王子市)の取り組みについて、このほど東京と大阪で開催された「NEC医療セミナー2016」で発表された。

東京女子医科大学東医療センターの取り組みとは…

 大学病院でありながらクリニックを開設し、在宅医療部を持つ東京女子医科大学東医療センター。「1934年に、東京女子医学専門学校の学生と職員が一体になって無料診療所を開設したことが、創立の原動力になっている。地域医療への貢献が東京市(当時)の外れだった当地で始まったことが、大学病院で希な訪問診療を行う『在宅医療部』として受け継がれている」。病院長の上野惠子氏は、大学・急性期病院でありながら在宅医療部がある理由をこう説明する。


 医師、看護師、事務員それぞれ1名が訪問診療・看護を実施しているが、同センターの在宅医療部の役割を上野氏は、医学生や臨床研修医、看護学生など医療従事者の在宅医療についての教育、荒川区が実施する重症心身障害児を対象とした留守番看護師派遣事業の研修会として在宅医療を担う人材の育成、在宅医療に向けた退院支援などを挙げた。小規模な診療部門でありながら、「大学・急性期病院が在宅医療部を持つことは、教育機関として非常に意義あることと考えている」(上野氏)と強調した。

 一方で、古くから地元の身近な医療機関として存在し、また小児研修医を多く受け入れていたこともあり、コンビニ受診の増大で小児科部門が疲弊するという課題や紹介率・逆紹介率が長年低迷するといった問題を抱えていた。「2013年4月に病院長に就任したとき、やはりわれわれの使命は高度急性期病院として生き残ることと考えた」(上野氏)とし、城東地区医療連携フォーラムを充実させるなど、試行錯誤しながら地域連携強化を推進した。その結果、2014年後半以降、紹介率・逆紹介率とも70~80%で推移するようになり、「2016年度に地域医療支援病院の認定を受けられる体制が整った」と述べた。

済生会熊本病院の取り組みとは…

 「医療情報と地域医療構想」と題して講演した済生会熊本病院副院長の町田二郎氏は、病床機能を電子クリニカルパスで評価し、医療の質を改善・担保することによって地域医療の中で自院の位置付けを明確にしていく手法を説いた。

 病床機能の定義には、医療資源投入量や設備・人員配置、医療の内容などから評価するが、「なぜ高度急性期・急性期病院に回復期や慢性期相当の患者が在院しているか、その患者に対する医療の質はどうなのかという視点が抜けている」と町田氏は指摘。同院で運用している脳梗塞連携コースクリニカルパスを用い、医療資源投入量、重症度・医療看護必要度、在宅復帰率を満たす妥当な入院期間を明らかにし、多職種の視点で改善活動に結びつけることが可能になることを説明した。

 同院ではクリニカルパスの記録をテンプレートで補完しつつ電子カルテのデータを構造化し、DWHで抽出・可視化して分析できる医療情報基盤を構築している。その構造化で重要な役割を果たしているのが、患者状態アウトカムを標準化したBOM(Basic Outcome Master)だ。「BOMを用いてパスを作成し、それに基づいてバリアンス発生時の記録形式を標準化することで電子パスの分析が可能になる。BOMの利点は、看護師の観察レベルの底上げ、観察内容・観察値を意味あるデータとして電子カルテに保存できる。その結果、分析精度を向上できるし、改善サイクルを回しやすくなり、現場へのフィードバックが早くなる」(町田氏)とした。

 一方、地域医療連携に医療情報をどう生かし、展開しているかでは、脳卒中連携パスの運用を例に紹介した。熊本県では、「熊本脳卒中地域連携ネットワーク研究会(K-STREAM)」が中心となり、2007年から脳卒中連携パスを県下で運用している。そのパスのデータのうち、2008年以降、同院から他施設に転院した1300例ほどの患者データを取得し、分析しているという。「様々な転帰の状況を分析することによって、急性期側での入院医療のありように問題があったのでは、ということが見えてくる。地域全体で標準的なプロセスを共有し、目標管理をもって機能分化における責任体制を構築していきたい」(町田氏)と、地域完結型医療に向けた取り組み姿勢を述べた。

永生病院の取り組みとは…

 東京都八王子市の永生病院院長の飯田達能氏は、回復期・慢性期の立場から今後の地域医療に向けた同院の取り組みを紹介した。永生病院は回復期リハビリ病棟100床、医療療養病棟150床を含む628床を持つ。同院の他、クリニック2施設、介護老人保健施設、グループホーム、訪問看護ステーション、さらには二次救急医療機関である南多摩病院(170床)を運営し、永生会グループで地域包括ケアネットワークを構築している。

 「在宅復帰を職員全員の共通意識の下、ヘルスケアサービスを提供している。慢性期病院でありながらTQM(Total Quality Management)センターを開設し、ヘルスケアの質向上を目指して活動している」(飯田氏)と病院の特徴を説明し、地域医療連携への取り組みについて述べた。

 その1つが、八王子市高齢者救急医療体制広域連絡会(八高連)。救急業務連絡協議会会員(14病院)、救急救命センター、救急センターを持つ2大学病院、老人保健施設協議会、ケアマネージャー連絡協議会、医師会、薬剤師会、消防署など17団体延べ1283機関が連携するもので、消防救急車の搬送時間の短縮に取り組むとともに、救命医療の要しない患者に対して病院救急車を使った地域高齢者搬送システムを構築している。

 また、八王子在宅療養推進プロジェクトに参画し、同院およびクリニックが市内8施設の在宅療養支援診療所とネットワークを形成して24時間の在宅支援体制を構築している。

 一方、永生会グループを中心にID-Linkサービスを利用した「MIO Karte」(Medical Information Open Karte)を構築。永生病院、永生クリニック、南多摩病院の診療情報を市内の病院、クリニック、訪問看護ステーション、介護老人保健施設など約70施設が閲覧・共有できるネットワーク環境をつくり、地域医療連携の強化に努めていると説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/408091
産科補償7年「原因分析良かった」7割 15人で分析しても「原因不明26%」の現実も浮き彫りに
2016年3月16日 (水)配信 軸丸靖子(m3.com編集部)

 日本産婦人科医会は3月9日、定例記者懇談会で、2009年の創設から7年が経過した産科医療補償制度の実績とその社会的影響に関する考察を発表した。制度運営委員会委員長代理の岡井崇氏(愛育病院院長)らの報告で、創設当初は「かえって訴訟が増える」と危惧された原因分析報告の仕組みは、現状で患者・分娩機関の双方から高い評価を得ており、産婦人科にかかる訴訟数の減少にも寄与していると言えたという。

 制度が訴訟の減少に影響
 産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した脳性麻痺で、かつ分娩週数など一定の要件を満たす児に計3000万円を補償する制度だ。日本初の無過失補償制度として設計されており、運営は日本医療機能評価機構が担っている。これまで7年間に1995件が審査され、1551件の補償が決定された。

 制度で補償と“車の両輪”に位置付けられたのが、児が脳性麻痺となった原因の分析と報告、そして再発防止に向けた取り組みだ。中でも原因分析報告については、全ての医療記録の提出を求める上、関わった医療機関と児の保護者に報告書を送付するとあって、産科医療関係者から「報告書を元に起こされる訴訟がかえって増えるのではないか」と強い危惧が寄せられた経緯があった。

 しかし実際、原因分析報告終了後に日本医療機能評価機構から送付したアンケート(2011、12、13年)では、「原因分析が行われてとても良かった」「まあまあ良かった」の回答が保護者側の65%から、分娩機関の74%から寄せられた。「良かった」理由で多かったのは「第三者により評価が行われたこと」、次いで「今後の産科医療の向上につながること」、「(脳性麻痺の)原因が分かったこと」だった。

 「あまり良くなかった」「非常に良くなかった」という回答も保護者17%、分娩機関の5%から寄せられたが、「その理由の多くは、脳性麻痺が起きた原因が結局は分からなかったことにあると考えられた」(岡井氏)という。

 制度、あるいは原因分析報告によって訴訟が増えるとの懸念は、最高裁が発表する7年間の医事関係訴訟事件診療科目別既済件数の動向から一応否定されている。制度開始当初は年84件あった産婦人科関連の訴訟は、2013年56件に減少。最高裁の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(2013年7月)では、「産科医療補償制度は施行後相当数の事件を処理しており、医療関係訴訟の事件数にも一定の影響を及ぼしているものと考えられる」とあり、「産科以外の分野への展開の可能性も注目される」と踏み込んだ言及があった。

 また、2015年11月末までに制度で補償対象になった1501件のうち、損害賠償請求も行われたのは63件(4.2%)あるが、このうち原因分析報告書が送付された以降の請求は20件(2.5%)で、原因分析報告によって訴訟が増えたとは言えなかった。

 脳性まひの原因、4分の1は不明のまま
 従来深く分析されてこなかった脳性麻痺の発症原因については、制度を介してさまざまなことが明らかになっている。最大の“知見”は、常位胎盤早期剥離が脳性麻痺の原因の半数以上(単独の原因として534例中307例)を占めると分かったこと、次いで「原因不明」が多いと分かったことだ(同142例)。

 「経験上、常位胎盤早期剥離は多いとは思っていたが、これほどとは思っていなかった。そして、第一線の先生方が15人集まって1例1例を検討してもなお原因を特定できない事例が26%もあるということが明らかになった。常位胎盤早期剥離にしてもなぜ起きるのか、どうしたら防げるのかはまだ分からない。それほど、お腹の中で何が起こっているかはやはりまだ分からないことが多いということだ」と岡井氏。

 これらの結果は制度の再発防止委員会が随時テーマごとにまとめ、妊産婦向けの保健指導に用いるチラシやポスター、産科関係者向けの報告書や参考資料、提言集として全国に配布している。逆に、再発防止委員会から日本産婦人科学会や産婦人科医会に依頼し、脳性まひの発生につながりかねない器具の使い方の詳細について調査を行うこともあり、原因分析から再発防止策の周知のフィードバックが機能しているという。

 7年の取り組みを通じて、原因分析報告書が分娩機関に対する保護者の信頼回復にはつながっていないという新たな課題も浮かび上がってきている。岡井氏は、「常に100点ではないという医療現場の実情が真に理解されていないということ。この解決にはまた別の第三者機関の関与が必要なのかもしれないが、信頼回復につながる方向に持っていかなければならない」と述べた。


  1. 2016/03/17(木) 06:24:15|
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