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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月11日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/404484
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
かかりつけ医は1人に限らず - 中川俊男・日医副会長に聞く◆Vol.3
大病院の定額負担、「紹介が原則」周知が狙い

インタビュー 2016年3月11日 (金)配信聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――中医協の診療側の意見書では、初再診料の引き上げを求めていたものの、議論はなされず、据え置きでした(『初再診料は据え置き、2016年度改定を答申』を参照)。

 医療費ベースで、医科本体で4800億円もの改定財源があった2010年度改定ですら、初再診料は1点も上がりませんでした。プラス0.49%という本体改定率では、初再診料の引き上げは無理だったと思います。

――外来では、前回改定で新設された地域包括診療料・加算の要件が緩和され、かかりつけ医を評価する点数が、認知症や小児でも新設されました(『認知症患者、小児のかかりつけ医、評価を新設』を参照)。

 地域包括診療料・加算は、前回改定で「小さく生んで、大きく育てる」という方針で新設されました。今改定では、常勤医の施設基準が3人から2人に緩和され、「育てよう」という見直しはでき、一定程度、算定する医療機関は増えるでしょう。ただし、本体改定率がプラス0.49%という状況では、大幅な見直しができなかったのは事実で、次の改定ではさらなる要件緩和を求めていきます。

 認知症は、地域包括診療料・加算の算定対象となる4疾患に入っていました。新設の「認知症地域包括診療料・加算」は、高齢社会で認知症が重要な疾患になる中で、「他の疾患、プラス認知症」ではなく、「認知症プラス、他の疾患」という算定要件を設定したことに意味があります。今改定では認知症がキーワードになっており、他の点数でも評価がなされています。認知症対応に積極的に取り組んでほしいというメッセージです。

 今改定では、「小児かかりつけ診療料」も新設されました。「原則として1カ所の医療機関のみ算定可能」というルールを導入したのは注目点。いろいろな議論があり、改定財源が少ないため最終的には「1カ所」に落ち着きましたが、このやり方がいいのかどうかは気になっている点で、今後の検証課題です。

 検証に当たっては、医療機関側からだけでなく、患者さん側からの検証も必要。小児の場合、生活習慣病中心の成人とは違い、急性疾患が多く、かかりつけ医を決めていても、夜間に具合が悪くなった場合に、他の病医院に行くケースもあり得るなど、受診行動が異なるからです。さらに、「小児かかりつけ診療料」の施設基準は、小児科外来診療料の届出をしている診療所であり、点数は同診療料よりも高い。小児医療の無料化をしている地域では、患者負担増を考慮せずに済む点も、成人とは異なるため、この辺りは丁寧な検証が必要です。

――成人の場合、内科的な疾患でも複数罹患していたり、眼科や耳鼻咽喉科などに受診するケースもあり得ます。「かかりつけ医は1人」と限定するのは、難しいのでは。

 その通りです。成人の場合、「かかりつけ医は1人」という施設基準が入らないよう、注視していきます。

――これらの点数を算定しない場合でも、「かかりつけ医」として機能し得るという理解でいいですか。

 はい、「かかりつけ医」機能を担っていることと、診療報酬は全く関係ありません。地域包括診療料などの要件を満たさなくても、「かかりつけ医」の役割を担っている医師はたくさんいます。「かかりつけ医」の評価の在り方は、まだ試行段階です。今改定で完了したわけではなく、まだ道半ばでしょう。

――外来では、特定機能病院と、一般病床500床以上の地域医療支援病院について、紹介状のない初診は最低5000円、逆紹介したにもかかわらず継続して受診した場合には最低2500円の定額負担の徴収が義務化されました(『初再診料は据え置き、2016年度改定を答申』を参照)。これにより、外来の機能分化は進むのでしょうか。「初診では最低1万円にすべき」といった議論はなかったのでしょうか。

 それはありましたが、大都市と地方では、患者の平均所得に開きがあり、「最低金額」を定めることで落ち着きました。地域によって影響は異なり、大都市では既に「選定療養」で5000円以上を徴収している病院も少なくなく、外来の機能分化にはさほど有効ではないと思います。ただ、今回の定額負担の義務化は、金額の多寡が問題ではなく、「大病院を受診するには、紹介状が必要」というメッセージを、患者さんに伝えることが一番重要なのです。

 大学病院や大病院の勤務医の疲弊が問題になっており、定額負担の義務化は、患者減少を通じて、その負担を減らす狙いもあります。ただ病院経営者にとっては、外来患者が減ると、経営的に問題が生じ得ます。この辺りは、難しい問題と言えます。



https://www.m3.com/news/iryoishin/406745
シリーズ: 地域医療構想
地域包括ケア病棟、「急性期」から「慢性期」まで
厚労省検討会、病床機能報告制度の改善案を了承

2016年3月10日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集部)

 厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は、3月10日の第14回会議で、2016年度の病床機能報告制度の改善案と、地域医療構想調整会議における議論の進め方案を了承した(資料は、厚労省のホームページ)。いずれも前回の第13回会議で議論をほぼ終えており、異論は出なかった(『4つの医療機能別、入院料の算定状況提示へ』を参照)。

 病床機能報告制度の改善案は、各医療機関が提供している医療の実態に見合った的確な医療機能を報告するのが狙い。(1)病床機能報告制度の病床数と必要病床数についての基本的な考え方の整理、(2)救命救急入院料や地域包括ケア病棟入院料などの特定入院料等を算定する病棟と、病床機能報告制度の4つの医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)の対応関係を整理――という二つの資料を、「病床機能報告 報告マニュアル」に追加する。病床機能報告制度は毎年10月に実施するため、今夏までにマニュアルの見直しを行う予定。

 (2)では、救命救急入院料や特定集中治療室管理料などは「高度急性期」に、回復期リハビリテーション病棟入院料は「回復期」、療養病棟入院基本料は「慢性期」にそれぞれ該当するなど、一対一対応が基本だ。ただし、地域包括ケア病棟入院料だけは、「急性期」「回復期」「慢性期」のいずれにも該当する。

 地域医療構想調整会議における議論の進め方は、各地域の会議において、地域医療構想の内容を実現するために参考にする。「調整会議で議論すべき内容は、地域医療構想策定ガイドラインに書かれている。そのオペレーションの部分を示したのが、『議論の進め方』だ」(厚労省医政局地域医療計画課長の迫井正深氏)。

 第14回会議では、病床機能報告制度や地域医療構想に関連して、委員から幾つかの意見が出た。日本病院会副会長の相沢孝夫氏は、「病床機能報告制度は、各病院が自らが担う機能を改めて見直すとともに、将来の在り方を検討する機会になる」とし、厚労省から医療機関への通知にはそうしたメッセージ性を持たせるよう求めるとともに、毎年10月の病床機能報告に先立ち、各病院が検討する時間的なゆとりを持つため、病床機能報告制度に関する通知は早めに出すよう求めた。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、内閣府の社会保障制度改革推進本部の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」が2015年6月に公表した第1次報告を問題視、「病床機能報告制度や地域医療構想が、病床削減のための制度として誤解されないようにしてもらいたい」と釘を刺した。第1次報告では、全国ベースおよび都道府県ベースで、4つの医療機能別に、2014年の病床機能報告制度と2025年の必要病床数などを対比したデータを提示している。「地域医療構想は、構想区域ごとに病床を整備していくのが目的。全国ベース、あるいは都道府県単位で、必要病床数などを比較するのは意味がない」(中川氏)。

 「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は10日の会議で終了。今春からは、新たに「医療計画の見直し等に関する検討会」を新設する。医療計画は2018年度から第7次医療計画がスタートする。それに先立ち、2017年度に各都道府県で医療計画の策定が行われる。その基本指針を検討するのが目的で、2016年末までに取りまとめを行い、2016年度末までに基本指針を策定する。(1)医療計画における地域医療構想の位置付け、(2)医療と介護の連携、(3)2次医療圏、基準病床数、対象疾病・対象事業――などが検討課題だ(文末を参照)。


「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」は3月10日で終了。「医療計画の見直し等に関する検討会」に議論をつなげる。

 必要病床数、病床機能報告制度と一致せず
 前述の(1)、「病床機能報告制度の病床数と必要病床数についての基本的な考え方の整理」では、まず病床機能報告制度には、「地域医療構想の策定・進捗状況の評価」と、「患者・住民・他の医療機関に、各医療機関が有する機能を明らかにする」という役割があると明記。一方で、地域医療構想で推計する2025年の構想区域ごとの必要病床数は、NDBのレセプトデータやDPCデータ、2025年の推計人口を用いて算出したものであり、「個々の医療機関内での病棟の構成や病棟単位での患者割合等を正確に反映したものではないことから、必ずしも病床機能報告制度の病床数と数値として一致する性質のものではない」ため、留意が必要だとした。

 また(2)で、特定入院料と病床機能報告制度の4つの医療機能の関係性を示した理由について、迫井課長は次のように説明した。「病床機能報告制度は、各医療機関が現に提供している医療に則して機能を報告するのが大前提。ただし、分かりにくいという声があったため、算定要件がきちんと決められている特定入院料については、一般的に、報告する機能として考えられるものを提示した」。

 2015年度の病床機能報告制度の速報値も公表
 10日の会議では、2015年度の病床機能報告制度における機能別病床数の速報値も公表された。2015年7月時点で、「高度急性期」13.6%(2014年度比1.9ポイント減)、「急性期」47.6%(同0.5ポイント増)、「回復期」10.4%(同1.6ポイント増)、「慢性期」28.4%(同0.2ポイント減)という構成比。

 6年後の2012年7月1日に予定する機能別病床数は、「高度急性期」14.2%(2014年度比1.9ポイント減)、「急性期」45.9%(同1.2ポイント増)、「回復期」12.7%(同1.3ポイント増)、「慢性期」27.3%(同0.5ポイント減)だった。

第7次医療計画の改定に係る対応において整理が必要と考えられる事項
1.2次医療圏について
 ・5疾病5事業ごとの医療圏の設定
 ・介護における圏域と2次医療圏の考え方
2.地域包括ケアシステムの構築に向けた介護との連携について
 ・地域包括ケアシステムの構築に向けた医療計画の在り方
 ・在宅医療等の充実に向けた取り組み
 ・介護保険事業(支援)計画との関係について
3.5疾病5事業について
 ・対象となる疾病や事業
 ・各疾病・事業ごとの指標
4.基準病床数について
 ・基準病床数の考え方(算定式を含む)等について
5.医療従事者の養成・確保について
6.健康増進計画等他の計画との関係について



http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/feature/CO021911/20160302-OYTAT50011.html?from=yartcl_popin
夕張は今 10年目の春
〈中〉専門医不在の診療所

2016年03月02日 読売新聞 北海道

他都市へ通院 苦労

 「集団検診で引っかかったんだけど、市立診療所のコンピューター断層撮影装置(CT)が壊れちゃってて、岩見沢の病院に行って初期のがんと分かったのよ」

 夕張市・南部地区の集会施設で2月24日に開かれたお茶会。女性のお年寄りばかり7人がテーブルを囲んだ。地域の催しの反省会をしていたが、76歳のおばあちゃんが診療所の一件を口にすると話は脱線し、病院や体調の話題に変わった。

 84歳のおばあちゃんは、「診療所には専門医がいないから、主人は体調が悪くなると、自分で車を運転して札幌に行くんだよね」。お茶をすすって続けた。「主人の容体のことで医者に呼ばれても、運転ができないから、バスと地下鉄、タクシーを乗り継いで2時間半くらいかかる。お金も大変」

 南部地区から札幌への直通バスは、新札幌行きが1日に数本あるだけだ。

 ■訪問診療も

 夕張の地域医療を担っていた市立総合病院は、財政破綻後に市立診療所になり、171床あった病床は19床に減った。地上3階地下1階の建物を引き継いだが、使っているのは1階と2階のみだ。診療科目は、総合診療科、整形外科、循環器内科、歯科など6科。婦人科は週1日の診察で、産科はない。

 病床が少なくなったのを機に、診療所は訪問診療を始めた。担当医師2人が月に2回、自宅で療養する慢性患者を中心に訪れて診察する。「自宅が病院のベッドの代わり。道路が廊下のイメージです」。診療所の指定管理者の医療法人財団「夕張希望の杜もり」の八田政浩理事長は、訪問診療をそう説明する。

 交通費もかかるため割高だが、利用者は意外と多くいた。当初は月に5、6人だったのが、今は月に80~90人を抱える。利用者の100%がお年寄りだ。外来も含め、診療所で異変が見つかれば、専門医のいる札幌などの大きな病院を紹介している。

 ネックは、やはり交通手段だ。診療所の佐藤秀悌事務長も「夕張は地の利がある。(車なら)札幌や千歳に1時間で行ける」としながら、「問題は公共交通が不便なことだ」と指摘する。

 ■若者を切望

 南部地区のお茶会は、家に閉じこもりがちな高齢者の仲間づくりを目的に、毎週1回開かれている。「買い物に清水沢まで行くのに、破綻してからバスの本数が減った」「買い物なら、(隣の)栗山町のスーパーが、月に4回、巡回バスで連れて行ってくれるよ」「みんな(買いだめに)リュックサックしょって乗ってるよね」……話題は尽きない。

 「やっぱり、若い人に来てほしいよね。このままだと、南部地区はなくなっちゃうよ」。1人のおばあちゃんが漏らした。南部地区に暮らすのは500人足らず。高齢化率は50%を超え、市内で最も高い。お年寄りの嘆きは、夕張市全体の声に聞こえた。



http://healthpress.jp/2016/03/post-2291.html
不正請求の女医・脇坂容疑者は、それでもこの先、医師としてのうのうと生きていける!?
2016.03.11 Health Press

 診療報酬不正請求の疑いで9日に逮捕された医師の脇坂英理子容疑者(37)。

 翌日のワイド番組は軒並み「タレント女医」の転落双六を報じていたが、明けて3月11日は東日本大震災から5年目の日。彼女の豪遊映像を再び流すTV局はさすがに見当たらなかった。しかし、脇坂容疑者の医師としての将来はどうなるのか?

 「年収5000万円だけど貯金ゼロ」とか「(ホストクラブで)一晩で最高900万円使った」と豪語する派手な装飾面を剥がせば、かの女医が犯した罪は至ってシンプル。斯界では「昔からよくある古典的な手口」と鼻にもかけない類いの「詐欺」である。

 しかし、日本の国民皆保険制度を支える健康保険の基金は、保険加入者全員による法定上の掛け金であり、公金として管理されるべき共同財産、事実上の「税金」だ。よくある手口で仕掛け自体は単純だが、その罪は非常に重い。

保険医の登録を取り消されてもへっちゃらな医師たち

 今回のような不正請求をした場合、厚生労働大臣は健康保険での診療ができる保険医の登録を取り消すことができる。

 経済措置としては原則5年分を遡って返還が求められ、保険医の再指定も5年間は拒まれる。裏返せば「5年経てば」再指定が可能となる。中には5年未満の実例もある。

 じつは保険医取り消し処分を受けた医師が生き延びる道は幾通りもある。代表格がいわゆる「自由診療」だ。保険適用となっていないエビデンスレベルの低いあらゆる診療の世界で、高額な治療費を請求し、むしろ荒稼ぎができたりするわけだ。

 もともと美容成形の世界はそのようなクリニックがほとんどであり、そのほかにも「がんが治る」という謳い文句で効きもしない免疫療法やビタミン大量投与治療などで患者から多額の治療費を絞り上げているクリニック、大都市圏での需要が急増中のED/AGA対応のクリニック、占い師まがいの診療所などなど挙げればきりがない。

 保険診療ができなくても医師免許さえあれば食い扶持には困らない仕組みになっているのだ。

 大半の先進国の事情に反し、そもそも日本の医師免許には更新制度がない。2005年に一度議論されかかったが、多くの議員から反対意見が出され閣議決定の原案から削除された経緯もある。

 2013年秋の医師調査『更新制度の必要性』(m3.com編集部)でも「必要」の回答は21.6%に止まった。つまり命を預かる職業としての自らを律することに関しては、これほど消極的な人たちなのだ。

 導入しても「医療の質的向上と安全の確保にはつながらないのでは?」と疑問視する声。現行の学会や研修で十分と考える向き、免許更新の審査方法が難儀と見る慎重派、時間を惜しむ現場系、思いつくあらゆる言い訳がずらりと並ぶ。

 もちろん医師免許停止という事実上の「永久剥奪」がないわけではない。厚生労働省の審議会のひとつである医道審議会は、医師、歯科医師、理学療法士・作業療法士などの免許取消・停止などの行政処分を行なうことができる。

 医師免許取り消しの処分が実施されれば、医療行為ができなくなるため、自由診療さえも不可能となる。この場合であれば元医師の医療者としての社会復帰はきわめて難しい。

医師の犯罪に対してアマアマの日本

 処分統計資料から2014年度の例を検証すると「免許取消」は4件で、内訳は「強制わいせつ・児童福祉法違反1件、準強制わいせつ2件、心身の障害1件」という事案だ。医師が起こした事件や犯罪の数に比べてその処分件数が意外に少ないと感じられる。

 ちなみに「医業停止1月」の項に「窃盗1件」、「歯科医業停止3月」の項に「診療報酬不正請求5件」等の処分例も散見されるが、世間値から鑑みて医師/歯科医師に対する罪と罰の量刑目安がかなりユルい傾向が如実に読み取れる。

 医道審議会が公表している“量刑の目安”を見ていくと、「診療報酬の不正請求により保険医の取消を受けた場合」の原則欄には「不正の額の多寡に関わらず、一定の処分とする」とある。

 これは、脇坂に限らず実態として相当数の不正請求があるため、量刑を確定させたくないのだとも読み取れる。

 刑事事件を引き起こし、実刑判決を受けた場合でも、刑期満了後10年、執行猶予であれば終了後5年を経れば、医師免許の再申請自体は可能だ。しかし、さすがに医師免許の再交付は1996年以降一切行われていないようだ。

 警視庁組織犯罪対策4課によれば、脇坂容疑者と指南役らによる不正請求の総額は約6900万円に上るという。はたして彼女の刑が消滅を迎えた際、「タレント女医」の「タレント」が剥奪されても「女医」としての復帰はありうるのだろうか!? 

 いくら“医師不足の国”だとはいえ、まさかね。
(文=編集部)



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0312/mai_160312_2664148123.html
<厚労省>医師や歯科医師19人処分 医業停止3年〜3カ月
毎日新聞3月11日(金)23時11分

 厚生労働省は11日、医師や歯科医師計19人を、刑事事件で有罪が確定したなどの理由で医業停止3年〜3カ月とする行政処分を発表した。免許の取り消しはなかった。処分は25日に発効する。【古関俊樹】

 処分者は次の通り。(当時の所属医療機関の所在地、医療機関名、氏名、処分理由。敬称・呼称略)

 <医業停止3年>勤務先なし、林俊吉(44)覚せい剤取締法違反など ▽大阪市、小松診療所、小松明寿(61)詐欺 ▽長崎県佐世保市、心サポートクリニック、多々良一郎(59)同 ▽神奈川県大和市、たけだ歯科クリニック、武田充靖(42)同 ▽埼玉県富士見市、はらだ歯科、原田直明(63)強要未遂

 <医業停止2年>大阪市、陳内科クリニック、陳若富(56)覚せい剤取締法違反 ▽東京都調布市、多摩川病院、新田慎一郎(30)同 ▽勤務先なし、槙田清(58)同

 <医業停止8カ月>愛媛県西条市、佐伯歯科診療所、佐伯勉(60)道路交通法違反

 <医業停止4カ月>北九州市、産業医科大学若松病院、岡田祥明(31)道路交通法違反 ▽茨城県境町、茨城西南医療センター病院、島正太郎(32)同 ▽長崎県諫早市、医療法人祥仁会西諫早病院、古賀直樹(38)同

 <医業停止3カ月>愛知県安城市、社会医療法人財団新和会八千代病院、泉雄介(36)迷惑行為防止条例違反 ▽東京都江東区、公益財団法人がん研究会有明病院、山崎六志(38)同 ▽札幌市、医療法人社団大鷹会環状通わたべ歯科、渡部一大(47)診療報酬不正請求 ▽北海道帯広市、たりさわ歯科クリニック、足澤明彦(55)同 ▽仙台市、さとうたけし歯科医院、佐藤健(64)同 ▽岡山県倉敷市、医療法人敬愛会倉敷森下病院、大塚信夫(93)同 ▽仙台市、台原整形外科、佐藤隆司(57)同



http://www.medwatch.jp/?p=7980
医療効率化後進国が日本の実態―高齢化先進国ニッポンを考える(1)
2016年3月11日|医療・介護行政をウォッチ MediWatch

 「日本の医療の実態は自由放任主義」「質とコストの評価が欠如している」―。経済財政諮問会議の専門調査会「政策コメンテーター委員会」の井伊雅子氏(一橋大学国際・公共政策大学院教授)は、日本の医療の現状をこのように批判します(関連記事『医療費適正化は「質担保する仕組み」の導入が前提、諮問会議に有識者が提言』)。その上で井伊氏が提唱するのが、医療の質とコストを評価し管理するシステムづくりです。日本の医療に必要なシステムとはどのようなものなのでしょうか。井伊氏にご見解を伺いました(計5回の連載)。

財政健全化の特効薬は費用対効果の評価に基づく医療の標準化

 世界に例を見ない少子高齢時代を前に、日本の医療は大きな曲がり角に差し掛かっている。高齢化によって医療のニーズは大きく様変わりし、少子化によって国力が衰える中、医療費が国の財政を圧迫する。日本の医療はこうした時代に対応していかなければならない。

 医療や介護など社会保障関連の費用は国の予算の既に3分の1程度を占めており、医療費の増加をどう抑制していくかは、医療の存続を左右する大きな課題と言えるだろう。とはいえ、医療費の一律な削減は、国民に痛みをもたらす結果を招きかねない。そこで、医療の財源が限られる中でわれわれに求められるのは、費用対効果の評価に基づき医療の標準化を進め、財源を有効活用することだ。

 こうした概念は先進国だけでなく中進国の医療にも広く取り入れられている。しかし、高齢化が最も進んでいるはずの日本は大きく立ち遅れている。高齢化先進国の日本が、皮肉なことに医療の効率化の観点では後進国に甘んじているのだ。

大手誌も高額薬剤を喧伝の現実

 中でもプライマリ・ケアの状況は深刻だ。医療提供側では、地域の医療機関同士の競争が加熱して、患者を1人でも多く囲い込もうと、新たな需要を生み出す構図に陥っている。需要側に関しては、1つにはメディアの責任が大きい。大手メディアが発行している雑誌を見て驚かされたことがある。糖尿病や高血圧症などを毎月取り上げており、例えば糖尿病の特集号では、最近の新薬として「DPP阻害薬」や「SGLT2阻害薬」などの一覧を掲載している。これらの中には非常に高額な薬剤も含まれる。

 糖尿病の治療では、軽症なら食生活や運動をはじめとした生活習慣の改善をまず指導した上で、必要に応じて投薬治療を組み合わせるのがグローバルスタンダードだが、日本では、治療の初期の段階から高額な薬剤の投与を選択する傾向が強い。そこには医療の費用対効果を評価する視点は全くない。

 大手メディアが新薬の有効性を殊更に強調すれば、後発医薬品の使用推進を国がいくら謳ってもかすんでしまう。患者による医療情報へのアクセスはもともと限られているだけに、「より高額な薬剤をたくさん使うほど万全だ」という誤った認識を広げかねない。

診療側にメリットある健康管理の仕組みを

 患者による賢い選択を促そうという米国の「Choosing Wisely」キャンペーンの影響もあってか、日本でも患者側の意識改革の必要性が叫ばれている。しかし、日本の医療は提供側主導の色彩が極めて強く、情報に乏しい患者側が賢くなるだけでは効率化を進めるにも限界がある。まずは提供側に変革をもたらすような制度づくりが不可欠だろう。

 実際にそうした動きも出始めている。多様な医療サービスに応える総合診療専門医の養成がその1つだ。専門医制度が新たな枠組みに切り替わるのに伴って17年から養成が始まる。現在は、外来での標準的な診療内容を示す診療ガイドラインは普及していないが、総合診療専門医の養成に合わせて統一的なガイドラインを普及させ、プライマリ・ケアを標準化できれば、変革への足掛かりになるはずだ。

 プライマリ・ケアをカバーする開業医への報酬の支払い方法にも工夫の余地があるだろう。例えば開業医が地域住民の健康管理や疾病予防を担当し、こうしたリスク管理への定額報酬を住民が毎年支払うような仕組みをつくれないだろうか。

 仮に開業医が地域住民の健康管理を受け持つことで、一人当たり年に定額が支払われるなら、開業医にはある程度の収入が毎年保証される。英国やデンマークなどでのいわゆる「人頭払い」に近い仕組みだ。こうした仕組みには日本の医療関係者らのアレルギー反応が強いが、ブレア政権が進めた英国の医療改革では、過小診療に陥るのを防ぐため、人頭払いに「出来高払い」や「P4P」(成果払い制度:英国ではQOFと呼ばれる)を組み合わせる仕組みを普及させた。これなら出来高報酬を確保するため、不必要な検査や薬の処方を軽減できるはずだ。

 本連載では5回に分けて、日本における医療の質とコストを評価し管理するための論点について考えていきたい(談)



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20160311240577.html
診療所めぐり加茂市と三条市が応酬
加茂市長「脅迫罪にあたる」/三条市長「無関係は通らず」

2016/03/11 11:47 新潟日報

 県央地域の夜間・休日の1次救急医療を担う県央医師会応急診療所(三条市)をめぐり、三条、燕、田上、弥彦の4市町村長が加茂市の小池清彦市長に整備費の一部負担を求めたことに対し、小池市長が反発を強めている。小池市長は三条市の国定勇人市長を名指しし「脅迫罪にあたる」と強く批判。国定市長も「関係ないとの理屈は通らない」と反論した。

 診療所は2009年の開設で、三条市、燕市、加茂市、見附市南蒲原郡の4医師会が運営する。整備費は事業参加を拒否した加茂市を除く4市町村が人口割りで負担した。加茂市民の受診も一定数あるため、4市町村長は応分負担を求め、小池市長に13年から毎年要請文を送っている。整備時の人口比率では加茂市分は約2800万円という。

 1月には4度目の要請を実施。これに対し、小池市長は9日、市議会3月定例会の一般質問に答え、「県央医師会と何の契約も結んでいない加茂市に対し、第三者が金を出せというのは脅迫罪に該当する」と持論を展開した。

 小池市長の発言を受け、国定市長は10日の会見で「加茂市医師会も参加し、実際に加茂市民も使っている。要望を続ける」と一歩も引かない構えを見せた。



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/287898
伊万里市長、病院移転動画削除問題で答弁
2016年03月11日 10時29分 佐賀新聞

 伊万里市がホームページで公開している市長定例会見の動画で伊万里松浦病院移転問題の質疑応答を削除していた問題で、市は10日の市議会一般質問で「都合が悪い部分をカットしたわけではなく、市の不利益を極力回避するため(該当部分の)非公開が妥当と判断した」と釈明した。

 古賀恭二総務部長が「事態が刻一刻と変化する中の市長発言で、市民や移転計画を進める地域医療機能推進機構の関係者に誤解や混乱を与える恐れがあると判断した」と答弁した。ホームページを管理する情報広報課と病院移転問題担当の健康づくり課が、市長と協議して決めたという。

 塚部市長は「私の発言に機構側が神経質になっているという情報があった。公表すれば今後に差し支えがあり、削除はやむを得なかった」と説明した。市が訴訟当事者になった場合を例に「今後も事情によって同様の対応はあり得る」と言及した。会見の全内容を公開してきたが、「(記者の自由な質問を除いた)市の発表項目だけを配信することも検討する必要がある」と後退をにじませた。

 移転問題について、市長は「市内存続をあきらめてはいない」と月内にも機構本部(東京)に再要請する方針。また市民部長らが同日、機構の九州地区事務所(北九州)に現地建て替えを求める要望書を届けた。移転する場合を想定した文言は外した。



http://www.medwatch.jp/?p=7976
「手術件数2000件未満はすべて地域包括ケア病院に」、厚労省から病院へのメッセージ20選―武久・日慢協会長
2016年3月11日|2016診療報酬改定ウォッチ Medi Watch

 日本慢性期医療協会の武久洋三会長は10日、4日に告示された2016年度診療報酬改定に対する見解を発表しました。改定と一連の医療行政を通じ、厚生労働省から病院へ向けたメッセージが20あると整理。手術件数が年間2000~3000件に満たない急性期病院は、「地域急性期病院」として「すべて地域包括ケア病院に移行させるつもりだ」などと指摘しました(日本慢性期医療協会に関する記事一覧はこちら)。

病床は病院の都合に左右されない

 武久会長が整理した厚労省からのメッセージのうち、急性期病院に大きく関連する項目は7つ=図表1=。高度急性期病院と急性期病院の判断軸を年間手術件数に置き、それぞれ5000件以上、2000~3000件を想定し、「その他の急性期といわれる病院は、『地域急性期病院』」としました。
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 「地域急性期病院」について、武久会長は「近くの地域からしか患者が来ず、手術や処置の特殊性が少ない」と説明した上で、地域急性期は地域包括ケア病棟に移行すべきと指摘。「地域包括ケア病棟の手術は出来高になったので、平均すると1日当たり3万円以上になるのは確実。手術によっては、7対1入院基本料や10対1入院基本料より収入が大きくなるかもしれない」(武久会長)と見通しました。

 さらに、仮に「7対1から地域包括ケア病棟になっても患者に言う必要はない。何に一体こだわるのか。病床は患者の状況で日々変化するもの、病院の都合に左右されるものではない」(同)とした上で、「これからの病院は、疾病の治療だけではなく、患者が日常に速やかに帰れるような『リハビリ力』と『ケア力』が重要」とし、今後、「地域急性期病院」に求められる機能を強調しました。

 DPCに関しては、10対1や地域包括ケア病棟、療養病床にもデータ提出を求めていることから、「病院の診療状況がすべて明らかになる」と予測。リハビリは成果主義に移行し、厳しく選別されることに言及しました。その他のメッセージについては、図表1を参照ください。

プラスは10項目、マイナスは6項目

 同会が考える16年度改定のメリットとデメリットも整理(図表2、3、4参照)。「退院支援に関する評価の充実」や「認知症加算の新設」など10項目をプラスポイントとし、「療養病棟における医療区分の評価方法見直し」など6項目はマイナスポイントとしました。

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寝たきりになるより「座りきり」

 リハビリに関しては、1日24時間のうち8時間をリハビリに充てる「3分の1ルールを守ろう」(同)と提唱。4時間を個別リハビリ、2時間をチームリハビリ(POCリハ)、2時間を自主リハビリに充てるという内訳で、「重症の人でもせめてベッド上で座位に近いギャッジアップを」と提唱し、座ることにより心肺機能に負荷がかかり、身体機能の回復につながるとしました。



http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201603/20160311_11049.html
看護学生の修学貸付金返還 12億円未処理
2016年03月11日金曜日 河北新報

 宮城県は10日、1984~2007年度に修学資金を貸し付けた看護学生の卒業後の就業状況や住所などの確認を怠り、返還や返還免除など手続きの未処理があったと発表した。未処理は1474人、貸付総額は計12億5000万円に上る。
 11年に県外で同様の事案が発覚し確認した結果、就業状況不明の卒業生が多数いることが分かった。本人や保護者の住所が判明した卒業生には就業状況を確認するなど手続きを進めるが、279人(2億5000万円)は現住所が不明。住所が分かっても、返還義務の時効が成立する可能性があるという。
 県は24年間で3542人に27億7500万円を貸与。2068人(15億2500万円)からは申請があり手続きが決定したが、1474人からは申請がなく県も確認していなかった。
 県医療整備課は「当時は制度を活用する学生が多かったため、十分に確認できなかった。再発防止に努める」と陳謝した。
 修学資金貸付制度は看護師らの県内定着を図るのが目的。保健師、助産師、看護師の学校に通う学生に月3万6000円、准看護師学校の学生には月2万1000円を貸し付ける。
 卒業後1年以内に資格を得て、県内の対象医療機関で5年間働けば返還免除される。県は、本人からの申請に基づき免除か猶予、返還を決める。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0312500443/
医師で針刺し切創が増加傾向か?
環境感染学会・エピネットサーベイランス報告

2016.03.12 07:00 Medical Tribune

 医療従事者が針刺し切創などによりC型・B型肝炎ウイルス(順にHCV,HBV)といった血液・体液媒介病原体に感染する事例を対象にし,職業感染制御研究会の針刺し切創サーベイランスツール(エピネット日本版)を用いた全国調査(JES)が2009年から行われている。第31回日本環境感染学会総会・学術集会(2月19~20日,会長=京都大学大学院臨床病態検査学教授・一山智氏)で,2013~14年度調査(JES2015)の針刺し切創および皮膚・粘膜曝露に関する解析結果が報告された。過去の結果との比較から,全体に占める看護師の報告割合は減少傾向だが医師で増加していることや医療従事者のHBs抗体保有率の向上策などに課題が見られた。

HBs抗体未獲得者は少なくない

 JES2015収集データは,2013年4月~15年3月に全国93施設(うち大学病院34施設)から報告された6,201件。岐阜県東濃保健所の木戸内清氏は,過去の調査〔2003年以前の厚生労働科学研究(3万725件),JESの2004~08年度調査(JES2009,1万4,786件),同2009~11年度(JES2011,6,732件),同2011~2012(JES2013,6,588件)〕と比較して報告した。

 まず,受傷者の職種(分析6,192件)は看護師が約50%,医師が36%などの順で,過去の結果と比べて看護師の割合は減少傾向の一方,医師は増加傾向にあった。受傷者の経験年数は1~4年で4割弱と最も多いが,5年以上の長い経験年者でも増加傾向にあることが分かった(図1)。

図1. 受傷者の経験年数
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・ 4年以下の経験年数者の受傷が多い(構成員数で要補正)

・ それより長い経験年数者は増加傾向にある

(職業感染制御研究会JESワーキンググループ提供)

 発生月は,年度始めの4月から6月にかけて多かった。発生場所(分析6,154件)は,病室・手術室が約3割,病室外・外来・処置室が1割で,過去の結果に比べて病室や病室外での発生割合は減少傾向にあったが,手術室に関しては増加していた。発生状況は,「使用中」30%,「数段階の使用」12%,「使用後から廃棄するまでの間」8%,「リキャップ時」7%で,「使用中」が増加傾向,「リキャップ時」は減少傾向にあった。

 曝露源となった患者のHCV抗体陽性率は,5,202件中13.5%と過去の調査と比べて最も低値になった。ただし,感染症陽性例のHCV抗体陽性率は約6割を占めていた。

 曝露した医療従事者のHBs抗体保有率は5,979件中74%で過去に比べて上昇していたが,HBs抗体未獲得者の割合は16%であった。

 同氏は「受傷後の報告データであることから,臨床現場で患者に接触する病院勤務者に必須のHBs抗体検査やワクチン接種に関しては課題がある」と指摘した。

 原因器材を見ると(分析6,050件),使い捨て注射針が25%程度と最も多く減少傾向は見られなかった。翼状針や静脈留置針は減少,JES2013で増加していた縫合針は増加がなく,薬剤充填針が増加傾向にあった。中空針に関しては,インスリン用が約20%と増加傾向にあり,22ゲージと23ゲージで2割前後であった。また,JES2009~2013では19.5~21.6%と増加傾向にあった安全器材による受傷は,JES2015では18.3%と減少に転じていた。

眼部への曝露に対策が必要

 皮膚・粘膜曝露事例については,JES2015で78施設から寄せられた1,196件について木戸内氏が報告した。曝露された医療従事者の職種は,報告件数に占める割合では看護師,医師の順に高かったが,職種別の常勤職員数に占める割合で見ると,助産師,医師,看護師が他の職種に比べて多かった。発生場所は病室,手術室が多かった。

 また,血液による曝露,眼部への曝露がそれぞれ6割以上と高かったこれらの結果について,同氏は「個人用防護服の導入状況の調査結果を踏まえると,手術部門以外の整備,眼の保護対策のためのフェイスマスク使用の徹底などが課題である」と述べた。今後については,「医療従事者の曝露の増加傾向に歯止めが効いていない状況にある。病院は安全配慮義務を全うしているのか疑問である。職業感染症サーベイランスなどを実施して受傷予防や感染予防に努めるべき」と述べた。

安全器材による針刺し件数が多い

 エイズ拠点病院を対象に実施している血液・体液曝露に関する施設調査については,2004年度,2010年度,2012年度に行われている。JES2015(2014年8~11月に調査実施)に関して,回答が得られた92施設の結果を神戸大学感染制御部の李宗子氏が報告。安全器材による針刺し件数が多いことなどを挙げ,「適切な作業手順の遵守と,受動安全性能を備えた器材開発が望まれる」と述べた。

 施設調査の結果を見ると,100稼働病床数当たりの針刺し切創の件数は6.4件で2012年度調査よりやや増加傾向にあり,大学病院や800床以上の施設ではそれぞれ8件弱であった。職種別に年間の針刺し切創件数を常勤換算職員数で除した発生率は,医科研修医は16.8件で過去の調査に比べて増加しており,医師も4.4件で過去に比べて減少傾向はなかった。

 針刺し切創報告時のHBs抗体陰性の割合を職種別に見ると,医師は10.3%,研修医14.1%に対し,看護師16.8%,検査技師13.4%,薬剤師15.6%と若干高かった。「入職前に抗体検査およびワクチン接種を推奨している」の回答は6.5%,「入職後に病院負担で検査やワクチン接種を受けている」が68.5%であった(図2)。また,「外部委託職員への推奨,確認まで実践している」は17.4%にすぎず,「すべて外部業者に任せている」は41.3%あった。

図2.新規採用職員に対するHBs抗体検査・ワクチン接種状況
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(職業感染制御研究会JESワーキンググループ提供)

 安全器材に関しては翼状針や静脈留置針の導入が全施設であった。ただし,86施設3,143件の分析結果から10万本使用当たりの器材別針刺し件数を見ると,翼状針は注射針(非安全器材)とほぼ同数の4.5件であった。なお,縫合針が31.1件と最も多かった。安全器材による針刺し件数は翼状針で占める割合が9割近く,静脈留置針では約半数であった。

 手術室におけるハンズフリーテクニックの導入を全手術で行っているのは15%しかなかった。全手術に実施していた施設からは,「手渡しによる針刺しが起きた際に対策を検討し,再発防止策として全医師に協力を求めた」「研修会開催や各部署で感染対策の取り組みを行い,リンクナース委員会で報告するようにしているので改善につながった」との意見が寄せられた。

手術部の分析結果では医師と看護師で発生段階に違いあり

 JES手術部分析結果(回答43施設)についても李氏が報告。「医師と看護師によって発生段階に違いがあり,発生場所とも関連があることが分かった」と述べた。

 結果を見ると,針刺し受傷の発生時間帯(分析413件)は,手術中が84.7%で手術終了前に発生が多い傾向にあった。原因器材別に見ると,手術開始前では注射針・ディスポメス,手術終了後では縫合針・その他の針による受傷が多かった。

 職種(分析696件)は,手術医では術者(24.0%)や助手(13.5%),研修医(9.1%)で,最も多いのは器械出し/直接介助看護師で35.5%であった。発生場所(分析598件)については,手術部位の側,手術部位,器械台がそれぞれ約20%で,メイヨー台は10%強であった。

 縫合針による受傷報告(分析209件)は,丸針(針付き縫合針)が半数近くと最も多く,角針(針付き縫合糸)は約2割であった。

 発生段階(分析:医師136件,看護師87件)を見ると,医師で多かったのは「自分で縫合する時」「縫合の介助時など(他者が縫合時)」,看護師では「渡す時」「受け取る時」「持針器での縫合針操作中」などであった(図3)。

図3.縫合針による損傷:職種別に見た発生段階(エピネット手術部版)
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(職業感染制御研究会JESワーキンググループ提供)

 最後に,同氏は「エピネット日本版は,手術部における針刺し・切創・粘膜,皮膚曝露の実態を詳細に分析できる,定番の予防策(ハンズフリー,鈍針使用,眼の防護の徹底など)の提唱だけに終わるのではなく,実態に基づくトレーニングや業務改善のポイントが明確になる」と述べた。

 同研究会によると,今後の分析の詳細については,職業感染制御研究会ホームページに随時掲載していく予定である。

(金本正章)


  1. 2016/03/12(土) 07:32:34|
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