Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月6日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/403091?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160306&dcf_doctor=true&mc.l=147061616
シリーズ: 若手・中堅座談会:「2035年の医療を語る」
「死ぬことがファンタジー」、死生観の教育必要◆Vol.8
「死」を主体的に選択するために

2016年3月6日 (日)配信 聞き手:橋本佳子(m3.com編集長)、まとめ:成相通子(m3.com編集部)

杉原亨氏は「死の教育」が必要と指摘。

渋谷 一つ聞きたいことがあります。グローバルな視点です。戦後の日本のように、途上国でも感染症から生活習慣病にシフトしています。今アジアの死因トップは脳卒中になり、アフリカなどでもそういう疾病構造の変化があります。

今、日本の医療がやっていること、そして、直面することは、ある意味で最先端です。高齢化にどう対応するか。これからはいかに死ぬか、認知症などで手に負えなくなった時に死をどうやって受け入れていくか。日本の医療は実は今すごく注目されている。(国境なき医師団で活動している)吉野先生は日本と海外を行ったり来たりしていますが、グローバルな視点から、日本の医療をどう思いますか?

吉野 日本は、長寿大国としてリーダーになれる、見本になれるようなものはたくさんあると思うが、なかなかそれが、外に発表できていません。日本のここは優れている、こういう食生活が良いとか、これだけ長寿である理由とか、(海外でも)気になっていると思うので、最先端の医療という意味でももっと外に発信していけたらいいと思います。

それと、日本では、医療が恵まれていない所に行って何かする人がまだ少ない。他の国に比べて、お金持ちの人が寄付をたくさんすることがセレブリティーだ、金持ちの証拠だという文化がないので、自分のために使う、高いものを買うということになってしまう。最先端という方向だけでなく、今死にかけている人、困っている人たちを何とかするという方向に、もう少し多くの人が目を向けてくれないかなと思います。

渋谷  2016年 の伊勢志摩サミットで、まさに今先生が言っていたグローバルヘルスを一つのアジェンダとして打ち出そうとしています。エボラ出血熱の流行がありましたが、あれは先進国にとっても他人ごとではない。特に安全保障の観点からも。そして、エボラ出血熱などの健康危機対応は、結局ワクチン開発の話ではなくて、保健システムの話なので、そういった面も日本がリードしてやりたいと考えています。保健システム作りや地域医療は日本が出せるバリューの一つだと思っています。アジアも高齢化対応で日本をとても注目しています。

また、高齢の患者が増え、看取る機会も増えますが、死をどう捉えるかも重要です。安楽死というと直接的すぎるかもしれませんが、死をどのように医療の中で生活に根差して受け止めて、看取るか。

森田 アドバンス・ケア・プランニングなど、元気なうちに50歳超えたら作成しましょう、臓器移植カードのように持っておきましょうとか、そういうのができればいいなと思います。意識がなくなったり、具合が悪くなった時では、お金の問題が入ってきてしまう。家族が1日でも長く生かしてほしい、と言ってくることもしばしばあります。そういうのを見てしまうと、若いうちから、50歳を過ぎた辺りからやっておかないと、結局自分の最期を自分で決められないのではないかと思います。

渋谷 現場では切実な問題ですか?

森田 胃ろうは無くなってきましたが、胃ろうの本質的な問題というのは、患者に伝わって分かっていない。「胃ろうはさすがに」と言う患者のご家族は多いけど、「じゃあCVお願いします」とか言われることもある。最期をどう迎えるか、考えないといけない。

伊藤 皆さんどう思われるか分からないが、個人的には自分が死ぬ時のことはよく考えます。どうやって死にたいかとか。死ぬ時が一番のゴールというか。自分が死ぬ時に悔いなく、皆に「ありがとう、さようなら」と思って死ねるのが一番だと思います。特に高齢の方は「どうやって生きるか」しか考えていなかったと思うが、死ぬ時のことを皆で考える機会が必要だと思う。

渋谷 森田先生が言うように、自分が人生を主体的に選べる選択肢が必要。受け身ではなく。医療を直接選択するというのは大事だが、死を選択するというチョイスがあってもいいのではないかと思います。

杉原 臨床現場では、死ぬことをファンタジーのように思っているのではないか。そういうご家族が増えてきたようにも思います。死ぬということがどこか現実ではない、自分の周りでは起こらない空想上の出来事のように感じているようです。

渋谷 まだそうなんですか。大学では特にそうかもしれないですね。

杉原 昔は感染症や結核で死んで、身近にお葬式もしていたと思います。今は皆寝たきりになると病院にケアをアウトソーシングしてしまう。「ダイイング」という、徐々に食べられなくなって、寝たきりになって、おしめを替えて、という死の過程を家で経験できたけれど、今はそれをアウトソーシングしているので、一般の人々は死生観について考える機会がない。ダイイングが目に見えないところに隠されてしまうので、ファンタジー化してしまうのではないでしょうか。

吉野 海外と死生観が違いますよね。向こうの人は死ぬことが身近にあるので、死んで「医療ミスじゃないか」という人は誰もいないし、「やってくれてありがとう」と言ってくれる。何かあって、不幸な結果になっても、「それも神の思し召しだから」という感じになる。

 日本でも、入院した時に例えば50歳以上の人なら全員に、何をやってほしくないのか、希望を書いてもらって、家族と一緒に話してもらう機会が必要です。

公平 アメリカでは、遺産管理や医療前指示書などを記録したエステートプランを残さないと、遺産を残せず、さらに医療費が超高額になってしまうおそれがあるため、リビングウィルが一般化されている。ちょっとした検査や手術で入院する時でも、必ず誰がキーパーソンで、どうしてほしいかを書くことが明確に定められていて、医療者は余計なことをしなくていいし、本人もこれらの書類を作る際に家族と明確に話し合うことができる。

森田 亀田総合病院でも、DNRを確認しています。

杉原 死の教育が大切ですね。

【参加者プロフィール】(※所属は2015年11月末現在)
【司会】渋谷健司氏 東京大学大学院教授
公平順子氏(静岡市立静岡病院所属、2000年卒)、吉野美幸氏(新座志木中央病院、国境なき医師団に所属、2004年卒)、杉原亨氏(東京医科大学病院所属、2005年卒)、伊藤丈二氏(東京ベイ浦安市川医療センター所属、2006年卒)、森田知宏氏(相馬中央病院所属、2012年卒)、岡崎幸治氏(日本海総合病院所属、2015年卒)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/405554?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160306&dcf_doctor=true&mc.l=147061621
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「医師と薬剤師」間の情報提供、疑義照会増加
調剤報酬の抜本改定、医療機関にも影響

レポート 2016年3月6日 (日)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省が3 月4日開催した地方厚生局や都道府県の担当者向けの改定説明会で、同省担当者は、調剤報酬についての説明に当たり、「累次にわたる調剤報酬の見直しの第一歩であり、患者本位の医薬分業を目指して行きたい」と説明した(資料は、厚労省のホームページ)。

 その言葉通り、2016年度改定では、調剤報酬関連でさまざまな見直しが行われる(『「かかりつけ薬剤師」の有無で点数に大差』を参照)。それに伴い、医療機関側も新たに対応が求められる。

 「かかりつけ薬剤師」を評価する点数として新設されるのが、「かかりつけ薬剤師指導料」(70点)と基本的な調剤技術料を包括した「かかりつけ薬剤師包括管理料」(270点)。いずれも、かかりつけ薬剤師以外が算定する「薬剤服用歴管理指導料」(50点または38点)より高い点数で、処方医への情報提供が要件になっている。

 「30日超」の長期投薬の場合には、分割調剤などの指示が必要になるほか、残薬の管理では、処方せん様式が変更になるなど、医薬品の適正使用に向け、医療機関と薬局との間の疑義照会、情報提供の機会が今後、増えそうだ。

【医薬分業の場合における医療機関と保険薬局との情報提供等】
 2016年度改定で新設・変更された主なものを抜粋。

・かかりつけ薬剤師指導料(調剤)
 薬局は、「調剤後も、患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案」が求められる。

・かかりつけ薬剤師包括管理料(調剤)
 対象は、「地域包括診療料・加算」「認知症地域包括診療料・加算」の算定患者。医療機関は、「当該患者が受診している医療機関のリストおよび当該患者が、これらの診療料・加算を算定している旨を処方せんに添付して患者に渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行う」とされている。また薬局は、「調剤の都度、患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案」が求められる。

・重複投薬・相互作用等防止加算(調剤)
 算定要件が変更され、疑義照会が可能な範囲を、(1)併用薬との重複投薬(薬理作用が類似する場合も含む)、(2)併用薬、飲食物等との相互作用、(3)残薬――に加えて、「その他、薬学的観点から必要と認められる事項」にも拡大するほか、「処方変更があった場合」に限り、算定可能とする。

・長期投薬の取り扱い(医科)と分割調剤(調剤)
 「30日超」の長期投薬に当たっては、処方医は「長期投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能か」を確認し、病状が変化した場合の対応方法と医療機関の連絡先を患者に周知。この要件を満たさない場合には、(1)30日以内に再診を行う、(2)200床以上の病院は、200床未満の病院や診療所に文書による紹介を行う旨を申出、(3)病状が安定しているものの、服薬管理が難しい場合は「分割指示に係る処方せん」を交付――のいずれかを行う。(3)の場合、処方医は処方せんの「備考欄」に、「分割日数および分割回数」を記載する。薬局は、分割調剤における2回目以降の調剤時は、患者の服薬状況等を確認し、処方医に情報提供する。

・処方せん様式
 薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応について、処方せん様式を変更し、処方医が(1)医療機関に疑義照会した上で調剤、(2)医療機関へ情報提供――のいずれかの対応を行う指示を記載。



https://www.m3.com/news/iryoishin/405553?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160306&dcf_doctor=true&mc.l=147061620
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
在宅専門診療所、「特定の施設に限定」はNG
在宅医療を行うエリア、住所等で客観的に明示

2016年3月6日 (日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度診療報酬改定では、在宅医療を専門に行う診療所が新たに位置付けられ、3月4日の厚生労働省の通知等および同日厚労省が開催した、地方厚生局や都道府県の担当者向けの改定説明会で、その詳細が明らかになった(資料は、厚労省のホームページ)。

 在宅専門診療所については、健康保険法上の「開設要件」と、在宅療養支援診療所(在支診)などの診療報酬上の算定要件が設定される(『「在宅患者95%以上」が在宅専門診療所』を参照)。「開設要件」では、あらかじめ在宅医療を提供する地域を、住所などで届け出ることが必要。その住所内の患者からの依頼があれば相談等に応じることが求められ、特定の高齢者住宅・施設のみに限定して在宅医療を行うケースなどは認められない。

 在宅専門診療所は、機能強化型在支診、在支診のいずれの点数を算定する場合でも、既存の施設基準に上乗せする形で、「5カ所以上の医療機関からの新規患者紹介実績」などの基準が求められる。これらを満たさない場合は、在宅時医学総合管理料(在総管)・施設入居時等医学総合管理料(施設総管)は、在支診でない場合の8割に相当する額しか算定できない。

 なお在宅関連の点数では、高齢者住宅・施設に効率的に訪問診療等を行う場合を想定して、「同一建物」の点数を引き下げる措置がある。今改定では、「同一建物居住者」と「単一建物診療患者」という言葉の使い分けがされているので、注意が必要だ。「同一建物居住者」は、「同一の建物」に居住する複数の患者に、「同一日」に訪問診療する場合に使う。訪問診療料は、「同一建物居住者」の患者か否かで点数が違う。これに対し、「単一建物診療患者」は、同じ建物に居住する複数の患者に訪問診療や医学管理を行う場合に使い、訪問診療等が「同一日」か否かは関係がない。在総管・施設総管は、「単一建物」の患者か否かで点数が異なる。

 在総管・施設総管はそれぞれ、「重症患者」「月2回以上訪問」「月1回訪問」の3区分について、「単一建物診療患者」の人数別(1人、2~9人、10人以上)の点数が設定される。「重症患者」の定義は、末期の悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群、人工呼吸器使用など。

 4日の説明会で、在宅専門診療所についての質問に厚労省担当者は次のように回答した。

【3月4日の厚労省診療報酬改定説明会における在宅医療関連のQ&A】

Q:診療所は閉めていてもいいのか、協力医療機関を確保していればいいのか。
A:「在宅医療導入に係る相談に随時応じ、患者・家族等からの相談に応じる設備・人員等が整っている」などの開設要件があるので、診療所を閉めていてはいけない。少なくとも標榜時間あるいはそれ以上にわたって、相談に応じることができるようにしておくことが必要。
 なお今回、医療法を改正するわけではなく、医療法上の開設の際、どのような要件で審査するかは、都道府県の事務であり、在宅専門診療所を認めた健康保険法上の変更については都道府県にも情報提供する。

Q:「診療地域内に2カ所以上の協力医療機関の確保(地域医師会からの協力の同意を得られている場合にはこの限りではない)」の解釈について。
A:契約書まではいかず、同意を得られたことを書面で確認できればいい。また在宅専門診療所は、在宅医療を提供する地域を届け出ることになっているので、その地域内に協力医療機関を設ける。

Q:「在宅医療を提供する地域」とはどのような形で届け出るのか。
A:今後通知で示す予定だが、住所など、ある一定の地図上の地域として示してもらうことを想定している。「この建物、ホームの入居者にしか、在宅医療を提供しない」という状況ではあってはならない。届け出た地域の患者には、きちんと差別のない形で医療を提供してもらう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/193703
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
地域包括診療料、算定は外来患者に限る
厚労省が改定説明会を開催、通知も公表

レポート 2014年3月5日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省主催の2014年度診療報酬改定の説明会が3月5日、地方厚生局や都道府県の担当者を対象に都内で開催され、通知等の詳細が明らかになった(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

 注目点数の一つ、主治医機能を評価する「地域包括診療料」「地域包括加算」については、「初診時や訪問診療時(往診を含む)は算定できない」と明記された。一部の医療者に在宅等でも算定できるとの期待があったが、算定対象が外来患者に限られる。

 説明会で厚労省担当者は、訪問診療の対象者は、「通院困難者」であると繰り返し強調。今後の事務連絡で、訪問診療の対象者を例示する予定だという。

 「地域包括診療料」「地域包括加算」と、「在宅時医学総合管理料」「特定施設入居時等医学総合管理料」は、患者を総合的に管理するための点数という意味で同等であり、外来患者については「地域包括診療料」等で、在宅患者については「在宅時医学総合管理料」等で診るというのが厚労省の方針。

 算定患者の疾患はレセプトに記載

 「地域包括診療料」と「地域包括加算」は、いずれか一方のみ届出が可能。届出施設でも、患者ごとに、これらの点数を算定するか否かを選択できるほか、同じ患者でも、月ごとに変更が可能。ただし、算定する際に当たっては、患者から同意を得ることが必要だ。

 高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症の2疾患以上を有する患者が対象だが、「疑い」の場合は、算定対象外。担当医を決め、「関係団体の研修」を受けることが要件だが、どんな研修が該当するかは後日改めて示される。

 説明会では、これら二つの点数について、数多くの質問が出た。主なものは、(1)レセプトには4疾患のうち対象とする疾患を明記、(2)患者がお薬手帳を忘れた場合、後日の確認は認めず、診察時に服薬管理を行うことが必要、(3)健康診断の受診勧奨が要件だが、実際には健診を受けなくても、勧奨したことをカルテに記載すれば算定可、(4)担当医を決め、担当医が診察した場合のみ算定可、ただし夜間救急で他の医師が診察することは可、(5)4つの疾患の投薬は院内、他の薬は院外処方にすることは可能だが、24時間開局・対応薬局であるなど要件を満たした薬局と連携することが必要――など。



https://www.m3.com/news/iryoishin/405555
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「救命等に係る内科的治療」は3つ
重症度「C項目」の詳細、明らかに

2016年3月6日 (日)配信成相通子(m3.com編集部)

 今改定の重点ポイントである、医療機能に応じた入院医療の評価では、一般病棟用の入院基本料で、「重症度、医療・看護必要度(以下、重症度)」を見直す。急性期の7対1と10対1の入院基本料算定病棟では、重症度の基準が厳しくなる一方、病棟群単位での届出などの緩和措置が導入される。また、看護師の月平均夜勤時間の計算方法が見直され、「72時間ルール」が緩和される(『7対1病棟の重症者割合、25%に引き上げ』を参照)。

 3月4日に厚生労働省が開いた2016年度診療報酬改定の説明会で、重症度に新設するC項目の詳細が公表された(資料は厚労省のホームページ)。C項目は、特定の手術後や「救命等に係る内科的治療」後の患者を評価する。それぞれの項目で術当日から2~7日間の算定期間が設定されており、術当日もその期間に含まれる。また、検査のみの実施は含めない。

 内科的治療は、経皮的血管内治療、経皮的心筋焼灼術等の治療、侵襲的な消化器治療の3つ(詳細は下記)。ただし、侵襲的な消化器治療でも、内視鏡下の早期悪性腫瘍粘膜切除やポリープ切除は含めないなどの留意点がある。評価対象となる6つの手術について、その定義と除外される場合も示した。指の骨折手術など、比較的軽微なものは除かれる。

 A・B項目も一部見直す。A項目には「無菌治療室での治療」と「救急搬送後の入院」を追加。B項目では、「起き上がり」と「座位保持」を削除し、「診療・療養上の指示が通じる」と「危険行動」を追加。危険行動とは、現行のハイケアユニット用の重症度の基準と同様に、「患者自身に危険が及ぶ可能性がある場合」を指す。4日の厚労省の説明によると、病室での喫煙や大声、暴力などの迷惑行為は該当せず、「徘徊」する場合でも転倒などで本人が怪我をするなどの危険性が無ければ含まれない。

 これらの基準の見直しを踏まえ、7対1入院基本料の患者割合は15%から25%に引き上げられる(200床未満の医療機関は、2018年度まで23%の基準の適用も可能)。重症度の評価対象となる患者の範囲や場所も見直しがあり、一部の項目については、看護師以外の職種も評価者になれる。評価者は新たな評価方法についての院内講習の受講が必要で、2016年9月末までは従来の評価票が使用できる。ただし、同10月1日以降も届け出るためには少なくとも同9月1日から新評価票での測定が必要。

 経過措置として導入される、病棟群単位の届出は、7対1入院基本料算定病棟から10対1に転換する場合に、7対1と10対1の病棟の混在を許可するもの。ただし、2016年3月末時点で直近3カ月以上7対1入院基本料算定病棟を複数持っている医療機関で、2017年3月末までに届出が必要。4病棟以上ある場合はそれぞれの看護配置の病棟を2つ以上必要等の条件がある。病棟群単位で届けると、原則として病棟群間での転棟はできず、やむを得ず転棟した場合は、転棟の前月分から10対1入院基本料を算定する。届出は1回限りだが、全ての病棟が基準を満たせれば、7対1入院基本料に戻すことは可能。看護師配置や月平均夜勤時間数は病棟群ごとに計算するため、両方の病棟群がそれぞれの基準を満たす必要がある。

 看護職員の月平均夜勤時間については、計算対象となる看護職員を広げ、基準を満たせなかった場合の減算を緩和する。これまで月夜勤時間数が16時間以下は計算対象から除外していたが、今改定で、7対1と10対1入院基本料は16時間未満、それ以外では8時間未満を除外対象に変更。減算規定は20%減から15%減になった。また、月平均夜勤時間数の基準のみ満たさない場合に算定できる「夜勤時間特別入院基本料」を新設。医療勤務環境改善支援センターへの相談と地方厚生局への書類の提出が必要だ。

 看護職員の夜間配置の評価は手厚くする。「看護職員夜間配置加算」は従来の12対1に配置加算に加え、16対1も評価。「急性期看護補助体制加算」も算定要件を緩和し、13対1病棟等や有床診療所の夜間看護体制も評価を充実する。加算の算定要件となる、「夜間看護体制の評価に関する項目」も見直した。

◆救命等に係る内科治療
・経皮的血管内治療(経皮的な脳血管内治療、t-PA療法、冠動脈カテーテル治療、胸部又は腹部のステントグラフト挿入術、選択的血管塞栓による止血術)
・経皮的心筋焼灼術等の治療(経皮的心筋焼灼術、体外ペースメーキング術、ペースメーカー移植術、除細動器移植術)
・侵襲的な消化器治療(内視鏡による胆道・膵管に係る治療、内視鏡的早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術、肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法、緊急時の内視鏡による消化管止血術)



http://www.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/news/20160306-OYTNT50190.html
炭じん事故 患者家族ら、厚労省に診療体制改善求める
2016年03月07日 読売新聞

 1963年の三井三池炭鉱三川鉱炭じん爆発事故で一酸化炭素(CO)中毒になった患者らが入院する社会保険大牟田吉野病院(大牟田市)の診療体制を巡り、患者の家族や支援者らでつくる三池高次脳連絡会議(芳川勝議長)は、厚生労働省に改善を求めた。

 厚労省は2006年3月、吉野病院の前身となる大牟田労災病院を廃止。一般財団法人・県社会保険医療協会(福岡市)に移譲した際、〈1〉4診療科への常勤医配置〈2〉病床100床の維持〈3〉高次脳機能障害の中核医療機関としての運営を目指す――などについて患者や家族と約束、確認書を交わした。

 しかし、医師不足などを理由に、精神科と神経内科は非常勤医で対応。稼働病床は50床で、新規の外来は受け付けていない。

 大牟田労働基準監督署で国と同会議の協議があり、厚労省側は、高次脳機能障害患者のリハビリに関する研究を始めていることなどを説明したが、常勤医の確保など確認書の実現に向けたメドは示さなかった。

 今月9日で確認書を交わして10年。芳川議長は「10年間進展していないのが実情だ。病院の活性化のためにも外来を再開させるべき。早期の解決を」と要望した。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03165_01
【interview】
コストを語らずにきた代償
“絶望”的状況を迎え,われわれはどう振る舞うべきか
國頭 英夫氏(日本赤十字社医療センター化学療法科部長)に聞く

週刊医学界新聞   第3165号 2016年03月07日

 今,がん領域では,抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体,抗CTLA-4抗体などの免疫チェックポイント阻害薬が注目されている。日本ではその中の1つ,抗PD-1抗体の「ニボルマブ」(オプジーボ®,MEMO)が2014年に「根治切除不能な悪性黒色腫」に対して承認され,2015年12月には「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」へ適応拡大された。従来の抗がん薬と異なる新しい作用機序を持つ同薬は,今後他のがん種にも適応が広がると予想され,大きな期待が寄せられている。しかし,國頭氏は,この免疫チェックポイント阻害薬の登場によって医療,それどころか国そのものの存続が脅かされると指摘する。一体,どこにその危険性があるというのだろうか。氏は,「すでに手遅れ」と語るが――。

――まず,2015年に非小細胞肺がんへ適応拡大された免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブが,どのような効果を持つ薬剤かを教えてください。

國頭 私が専門とする肺がん領域に関しては,実地に導入されてから日が浅いので,ニボルマブの臨床での真価が問われるのはこれからです。

 しかし,これまで出ているデータを信用するのであれば,一定の効果は見込めます。肺がん患者に対して奏効率は15-20%程度ですが,これはがんの縮小効果が認められた率なので,縮小はさせないが病態を制御できる率も含めば,もっと高くなるでしょう。また副作用には疲労感や食欲不振の他,大腸炎,皮膚炎,肺臓炎,劇症1型糖尿病,重症筋無力症などが報告されているものの,重篤な副作用の頻度は化学療法よりも低いようです。

 これらに加えて特に注目されているのが,「効く/効かない」の当たり外れはあるものの,「効いたときにはその効果が非常に長く持続する」という点です。これこそが本薬剤の特徴と言っていい。

――それは既存の化学療法や分子標的薬と比較しても,長い効果が期待できるということですか。

國頭 効果持続期間について,従来の化学療法は数か月,「効いた」場合の分子標的薬治療でも多くは1年前後という具合です。一方,免疫チェックポイント阻害薬では,その効果が数年以上に及ぶ患者もいるようです。

――データ上,かなり優れた効果が確認されているわけですね。

國頭 すでに他のがん種への適応拡大をめざす動きも見られており,ニボルマブは,腎がん,胃がん……などと,順次適用されることになるでしょう。

 また,同じく抗PD-1抗体であるPembrolizumabが米国では非小細胞肺がんへ承認されたので,近い将来,こちらも日本で使えるようになるかもしれない。いずれにしろ,今後いろいろなメーカーが同種薬剤を展開し,多くのがん患者に使われていくことになるだろうと予想しています。

治療効果が高いからこそ起こる,コストの問題

――「治療効果の高い薬剤が多くのがん患者に使われるようになる」。朗報のように思われますが,國頭先生は本薬剤の薬価の高さを指摘されています。

國頭 ニボルマブを1年間使用すると約3500万円という額に達します。これは,今まで「高額」と言われてきた分子標的薬よりもずっと高い。分子標的薬の中でも高額なALK阻害薬アレクチニブ(アレセンサ®)ですら1年間で950万円超なわけですから,ニボルマブがいかに高価な薬剤であるかがわかります。

 では,そのお金はどこから出ることになるのか。国民皆保険制度に加え,高額療養費制度がある日本では,医療費の自己負担額は最高でも年間200万円程度です。だからニボルマブを使うと,実際に患者が負担するのは総額の5%以下で,残りは全て公的負担です。したがって,ほとんどを国全体で賄うことになるわけです。今後続くであろう同種薬剤も同程度に値付けされると思うと,これらによって国の財政は逼迫すると容易に想像がつきます。

――まず単価が高い,と。

國頭 それが「大して効かない薬」の話だったら問題になりません。使うことのできない患者が出ても,「どうせ大して効かないから」と言える。無理して使ったところで,限られた効果であればかかるコストも一時的なものです。

 一方,ニボルマブをはじめとした免疫チェックポイント阻害薬はそうではない。効果は非常に高い薬です。治療に臨む患者はその薬剤に希望をかけます。医師も,適応があり,患者が希望すればどんなに高額だって投与します。データからもその治療を拒む理由はないわけですからね。

 そしてさらにこの免疫チェックポイント阻害薬は,他の薬剤にはない特徴も併せ持っているために,日本をより深刻な状況にさせると考えています。

――その特徴というのは何ですか。

國頭 まず,ニボルマブは,現時点では投与前の治療効果予測ができません。当面も,そうした予測が可能になる見込みはない。その点,例えば,分子標的薬ゲフィチニブ(イレッサ®)であれば,「EGFR遺伝子変異型には有効だが,そうでないものは無効」といったように,事前に有効性が期待される症例を同定できました。だから「無効」と見込まれる症例には投与せずに済みます。そうした予測が立てられない免疫チェックポイント阻害薬では,対象になる全ての患者に投与してみるしかない。

 ただ,先ほど話したとおり,著効を示すのは20%前後であり,何らかのよい効果が得られる場合を含めたところで,3人に1人しか効かない薬です。つまり1人当たり年間3500万円×3人のトータル1億円を超すコストで,ようやく有効例1例の治療ができる計算になる。これはさすがにコストパフォーマンスが低いと言わざるを得ないでしょう。

――確かに費用対効果のバランスを欠くように思われます。

國頭 それだけではなく,「本薬剤が効いた場合,患者にずっと投与を続けることになる」と考えられます。というのも,「効いているのに,途中で治療を中止したらどうなるのか」がまだわかりません。結果,効果が見られるうちはずっと投与が続けられることになるのが,今のデフォルトです。

 そして最も問題なのが,「『効いていない』と判定するのが難しく,投与を切り上げにくい」ということです。免疫チェックポイント阻害薬では,投与後にリンパ球の集簇によって病巣が大きくなったり,新病変が出たりしたように見える「pseudo progression(偽増悪)」が報告されています。ということは,経過を追って腫瘍陰影が大きくなっても,それが「がんの進行によるものなのか,あるいは偽増悪なのか」を区別できず,投与を中断する決め手にならない。だから医師も患者も,「これから効き始めるのかもしれない」という希望にかけて,投与を継続することになるでしょう。

――対象となる患者を絞り込めず,さらに有効・無効関係なく「いつまでも続けられてしまう」状況になる。結果,コストがかさむことになる,と。

國頭 そう。免疫チェックポイント阻害薬は,薬価が高いことに加えて,「無駄打ち」のコストまで相当に高くなりやすいという特徴を持っているわけです。

 以上をもとに総額を考えると,事の大きさに愕然とします。日本の非小細胞肺がん患者を年間10万人と推定します。早期がんなどを除き,ニボルマブの対象になる人は5万人程度はいるでしょう。皆に1年間投与すれば,その合計額は1兆7500億円です。

 現在の日本の医療費は約40兆円で,薬剤費は約10兆円ですよ? もとがこれだけのところにいきなり年間2兆円弱の負担が増すなんて,どう考えたって無理がある。何より,これがあくまで「一疾患に対する一つの薬」にかかる額だということを忘れてはいけません。私は免疫チェックポイント阻害薬の登場を契機として,いよいよ日本の財政破綻が確定的となり,“第二のギリシャ”になると考えています。

見過ごされてきた医療のコスト

――では,その危機的状況はかなり切迫したものだと言えます。

國頭 もはや手遅れじゃないかと思いますよ。日本では,ことコストに関しては,問題意識として口にする医療者はいても,何か具体的な行動をとる人はいない。問題を指摘したところで,何かそれを変える権限があるわけではないし,自分の懐とは関係ない。だから,「自分たちの考えることではない」となってしまう。実際,私が学会などの場でコストについて批判的に取り上げても,「トータルとしては他領域の薬剤費のほうが高い」とか,「それは医師でなく国が考えるべきことだ」といった声も上がりました。残念ながら,日本の医療者のコスト意識は決して高くない。それが実態なのです。

――医療にかかるコストの問題は日本だけの問題ではありません。海外ではどう扱われていますか。

國頭 例えば,かつてはコストについて細かく考えていなかった米国でさえ変わり始めています。近年の米国臨床腫瘍学会においても,治療によるベネフィットを毒性とコストで割った「value」という概念が強調されている。こうした指標を取り入れ,統計学的な有意差のみを重視するのでなく,コストを含めて「治療の評価」を考える方向性は確実に強まってきているのです。

 それにもかかわらず,「コストは語るべきものでない」としてきた日本では,使用する薬剤にかかるコストを度外視した臨床試験はあふれかえっているし,費用対効果の解析研究も充実していない。そんな状態のままに,現在の局面を迎えることになってしまった。

――見過ごしてきたわけですね。

國頭 唯一,日本で医療にかかるコストの問題に目を向けるきっかけがあったとしたら,2001年に承認された慢性骨髄性白血病(CML)に対する分子標的薬のイマチニブ(グリベック®)が登場したときかもしれません。イマチニブはCMLの予後を劇的に改善させた薬剤で,「よく効くが,ずっと続けなければならない」点ではニボルマブとよく似ている。このとき,米国ではイマチニブを市場に出したノバルティス社は薬価をつりあげ,さらにその後に出てくる同種新薬も全て高額で,問題視されました。

 日本もこのタイミングで医療にかかるコストの面に目を向け,「もっと患者数の多い疾患で,こうした類いの薬剤が出てきた場合は,どのように対応すべきか」ということを検討しておくべきだった。そうすれば,少しはマシな状態で今を迎えることができたのかもしれません。しかし,われわれはそのきっかけを逸してしまった。肺がんという患者数の多い疾患での薬剤が出てきて問題が顕在化し,逃げ道を用意できていないわれわれは,ただ,絶望あるのみです。

患者の希望を打ち砕き,誰も喜ばぬ研究に取り組む

――差し当たっては,免疫チェックポイント阻害薬の薬価を下げることで対応できませんか。

國頭 薬価を下げることは現実問題として難しいでしょう。新薬の開発には加速度的に膨大な費用がかかるようですし,「成功した薬剤」で開発コストを回収しなければ製薬企業の商売だって成り立たない。まあ,それを考慮してもニボルマブは高すぎだと思いますが。

 でも事実,薬価を仮に半分にできたところで,破綻は避けられません。薬価高騰はそんなレベルを超えてしまった。そして,その大本には「医学の進歩」があるわけです。

――それでも,先生ご自身はこの状況を問題ととらえ,ニボルマブの至適投与法の研究に取り組むと伺いましたが。

國頭 これから有志の仲間と取り組む研究は,ニボルマブ投与中の経過からなるべく早期に,「この患者は今後継続しても効果が期待できない」と予測する方法を見つけ出すためのものです。仮に,最終的に「治療してよかった患者」が3割,「効かなかった患者」が7割として,治療開始1か月の段階で「今後継続しても効果が期待できない患者」の3分の2を見通すことができれば,この時点で投与が必要な患者を半減することにつなげられます。

――そうした研究のデザインは困難を伴いそうです。

國頭 大変でしょうね。今までにない研究デザインが求められる。エンドポイントやイベントをどのように設定するか,どんなデータを抽出すべきかから考えていかねばなりません。でも幸い,協力者は見つかったので準備に取り掛かっています。

 この研究は徒労に終わる恐れも十分にあり得ます。新たな治療を開発・検証するための研究であれば,ネガティブな結果でも「この治療では期待されるほどの効果は出なかった」という結論で論文になるし,研究者としての業績にもなります。しかし,私たちが行う「無効例を無効として判断し,治療を止める」方法を見つける研究というのは,「何もそういう因子がなかった」では論文にならない。何にもならないんです。私だけで行う研究ならそれも気になりませんが,協力を仰いだ優秀な若手たちがいる。彼らの時間を浪費させることにならないか,それが非常に心配です。

――でも成果は心待ちにされます。

國頭 私はそうは思いません。成果が出たところで,誰も喜ぶ類いのものでもないのです。そもそもが,救う患者を増やすのではなく,「あなたは効きそうにない」と判定を下し,患者の希望を打ち砕くための研究なのですから。

――そう言ってまで着手されるのは,使命感によるものなのでしょうか。

國頭 いや,次世代に対するせめてもの罪滅ぼしですよ。われわれ世代の医師が見過ごしてきたツケが噴出してしまった。こんな研究で解決策を提示することは期待できないとしても,少しでも破綻を先送りできないのか,われわれは悪あがきする義務がある。

「救命艇状況」の中で

――その研究が成果を出したとしても,根本的な解決に結び付けるのはやはり難しいのですね……。

國頭 それは無理でしょう。医療にかかるコストが高まっていくとともに,超高齢社会を迎えた日本では,がんを含めて患者そのものも増えていく。いずれ高齢者数が減少に転じるときも来ますが,それまで国自体が保つのかだって怪しい。

 もし今,抜本的な策を行うなら,例えば「一定年齢以上は対症療法しか提供しない」と決めてしまうことですよ。その年齢以上の人は,延命的な医療そのものを諦めてもらう。医療を全ての人に行きわたらせることができないので対象者を絞る,という考え方です。対象を絞るに当たって,社会的な活動性や障害の有無などで「生命の価値」を判断するのではナチス・ドイツと同じになる。やるなら一番公平な手段として,年齢で区切るしかない。

――皆に受け入れられるものか,なかなか難しい意見です。

國頭 ならば全員で崩壊を迎えるか,です。われわれが置かれているのは「救命艇状況」です。全員が助かることはない。冗談ではなく,年齢で区切るという,深沢七郎著『楢山節考』(新潮社)で描かれた社会を作るぐらいのことをしなければ,社会を維持するのは到底無理だと思うのです。

 突き詰めると,これは医療の在り方を問い直すものです。「治療は何のために行うのか」,さらに言えば「人間は何のために生きるのか」を考えることでもあります。本来,こうした問題だって,ずっと以前から考えておくべきでした。それを今,「金」の問題に追い立てられて,ようやく始めるというのだから悲しい話です。

――お話を伺って,先行きの暗さが浮き彫りになった思いです。

國頭 これは非常に暗く,誰にとっても不快な話なんです。いっそ「もはや手遅れ」と開き直って,科学的な興味に任せた研究を行い,業績につながる論文でも書くほうが,破綻が近付く社会に生きる医師として“正しい姿”なのかもしれない。海外逃亡も視野に入れて。

 それでも,私は希望のない研究をやります。逃げる先も,他になすべきこともありませんしね。


MEMO ニボルマブ(オプジーボ®)
 ニボルマブは,PD-1とPD-1リガンドの経路を阻害する免疫チェックポイント阻害薬。この経路は活性化したリンパ球を抑制するシステムに関与しており,がん細胞はこのシステムを利用して生体の免疫反応を回避しているとされる。PD-1の機能を抑制するという,既存の抗がん薬とは異なる作用機序を持っていることに加え,世界に先駆けて日本が実用化したことからも注目される新しい薬剤。臨床試験の結果からは高い効果を示し,副作用は少ないとして従来の免疫療法のイメージを一変させた。しかし,費用が高い点は課題となっている。肺がんの場合,ニボルマブは1回3 mg/kg(体重)を2週間隔で投与することになっており,体重60 kgの患者で換算すると,1回当たり約130万円,年間で約3500万円にも上る。

(了)

くにとう・ひでお氏
1986年東大医学部卒。国立がんセンター中央病院内科,三井記念病院呼吸器内科などを経て現職。専門は胸部腫瘍,臨床試験方法論。「里見清一」名義で『誰も教えてくれなかった癌臨床試験の正しい解釈』(中外医学社)の他,『偽善の医療』『希望という名の絶望』『衆愚の病理』『医師の一分』『医師と患者のコミュニケーション論』(いずれも新潮社)など著書多数。現在,『Cancer Board Square』(医学書院)で,「死にゆく患者と,どう話すか――國頭先生の日赤看護大ゼミ講義録」を連載中。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53832/Default.aspx
NPhA中村会長 調剤報酬踏踏まえ「薬局淘汰や薬剤師選別に危機感」 会長1年続投も
公開日時 2016/03/07 03:50 ミクスオンライン

日本保険薬局協会(NPhA)の中村勝会長は3月4日の記者会見で、16年4月実施の調剤報酬改定でかかりつけ薬剤師が導入されたことや医療ICTの流れが強まっていることから、「経営面では、調剤報酬の削減以上に薬局の淘汰や薬剤師の選別が始まることが予想され、非常に危機感を感じている」と述べた。中村会長は今年5月で任期を満了するが、3年連続薬価改定が予想されるなど業界環境の変化が大きいことを踏まえ、次期会長に南野利久副会長(メディカル一光)を据えた上で、会長職を1年間続投することも表明した。

中村会長は、調剤報酬について、服薬状況を一元管理する“かかりつけ薬剤師”が定義されたことを評価した。その上で、電子お薬手帳に加え、4月から電子処方せんの運用が開始されるなど、医療ICTによる情報一元化の流れが強まっていると指摘。「処方せんが紙から電子化されると、患者さんの同線は門前薬局から、患者さん自ら指定する薬局に変わる。その時までに『かかりつけ薬剤師・薬局』として患者さんに選ばれていなければ、立地から人への流れに抗うことはできない」と危機感を示した。

◎医師、看護師、栄養士と連携 地域住民の健康を全面サポート

具体的な薬局像として、医師や看護師、栄養士などとの連携の重要性を強調。地域住民を対象に栄養士と共同で健康サポート教室を開催することや、薬局で簡易検査を実施し早期に受診勧奨を行うなど、「薬局の中で過ごす待ちの姿勢から地域に飛び出し、地域住民とかかわることで、健康をサポートする体制を作っていく」ことの必要性を強調した。

薬剤師の職能については、全自動のロボットシステムなど人工知能(Ai)が進歩する中で、薬剤師の職能はピッキング業務など調剤(対物業務)のウエイトは減り、服薬指導へと大きくシフトすると見通した。処方せん薬だけでなく、OTCやサプリメント、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品などについても相談できる薬剤師の必要性を強調。薬剤師自身が「自己研さんに励み、国民からの期待、行政機関からの期待、医師からの期待、その他さまざまな期待に応えていくことが求められる」と述べた。こうした中で、「医学的・薬学的知識が豊富で患者さんと真摯に向き合える薬剤師」を団体一枚岩となって育成する姿勢も強調した。

そのほか、C型肝炎治療薬など高額薬剤の登場や、後発医薬品(GE)の数量シェア引き上げなどで、不動在庫が増加する中で、「多くの薬剤を仕入れている経営者団体である当協会だからこそ解決でき、かつ薬剤費の削減に貢献できると思っている」と述べた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/405382
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”の見直し、自民党の検討次第か
厚労省担当者、学会で現時点での見解を講演

2016年3月6日 (日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 第2回日本医療安全学会学術総会が3月5日、都内で開催され、シンポジウム「院内事故調査の実施方法と調査制度の問題点」で、厚生労働省医政局総務課医療安全調査室長の平子哲夫氏が講演した。2015年10月からスタートした医療事故調査制度は、「医療事故の再発防止により医療の安全を確保することが目的であり、個人の責任追及ではない」と繰り返し強調、さらに同制度は既存の他の制度に上乗せされるものであり、医師法21条の異状死体の警察への届出などは従来通り行う必要があることも指摘した。

 医療事故調査制度は医療法上、今年6月までに再検討が求められ、その動向が注目されている(『医師法21条の届出、「犯罪と関係ある異状」に変更を』などを参照)。この点についての質問には、「(厚労省)内部で検討しており、自民党のワーキンググループでも議論が始まった」と回答するにとどまった。シンポジウム後、m3.comの取材に答えた平子氏は、「厚労省内で検討会を新設して議論することは、現時点では考えていない」と説明。さらに昨年10月からの制度開始からまだ間もなく、制度自体が普及しているとは言い難いことから、制度の正しい理解と普及が先決だとの考えを語り、仮に何らかに措置を講じるにしても、大幅な見直しは難しいとの見通しを示した。

 シンポジウムには、医療事故調査制度の医療事故調査・支援センターの役割を担う、日本医療安全調査機構専務理事の木村壮介氏も登壇。制度開始から4カ月間で報告件数は115件であり、「月100件程度の報告を想定していたが、実際にはその3分の1程度」と説明(『医療事故調査制度、センターに初の調査依頼』を参照)。その理由として、(1)医療事故かどうかを、医療機関が「自ら判断」することに難渋している、(2)医療事故として報告することへの抵抗感、(3)医療事故の説明等を遺族に行っていない例がある――などを挙げた。(3)について、木村氏は、「Claim Orientedから、Event Orientedへ脱却していない」とし、「医療事故に対する考え方の切り替えが必要」と指摘した。さらに「中立・公正性、専門性、透明性」の担保のためには、院内調査に外部委員を入れることは、「限りなく義務に近い」とも強調、支援団体による支援、センター調査でさらに中立性等を高めていくことが求められるとした。

 「“事故調”、個人の責任追及にあらず」

 平子氏が講演で、「医療事故調査制度は、従来の制度に対するプラスアルファ。同制度で対応すれば、他の報告制度の対応をせずに済むわけではない」と強調したのは、制度に対する誤解がある裏返しだ。

 その一例として、平子氏は医師法21条に基づく異状死体の届出を挙げた。医療事故調査制度による報告とは別に、同条に該当する場合は警察への届出が必要になる。

 制度の目的についても、「医療安全のためであり、個人の責任追及ではない」と随所で強調。院内調査や報告書作成などに当たっては、事故の当事者の責任追及にならないよう、匿名性に配慮するなどの注意が必要だとした。

 医療事故調査・支援センターへの報告事例についても、「医療に起因したか」「予期したか」の二つの軸で判断するとし、「医療過誤の有無や、患者家族からのクレームの有無は判断の軸になっていない。医療安全に資するかどうかという点から、報告対象か否かを判断する」(平子氏)。「医療に起因したか」の視点からは、併発症や原病の進行による死亡などは含まれないと説明。「予期したか」の判断は、一般的な死亡の可能性や記録だけではダメで、個々の患者の状況について、個別具体的に死亡を予期していたか否かが問われるとした。

 「Event Orientedへ脱却していない」

日本医療安全調査機構の木村壮介氏
 木村氏は、10月の制度開始からの自身の経験を踏まえて講演。センターへの報告件数は、10月から1月までの4カ月間で115件。2月の実績はまだ公表されていないが、ほぼ1日1件のペースだという。当初の想定より報告件数が少ないとし、その理由として、前述のように3点を挙げた。(3)の「事故の報告・説明を遺族に行っていない例がある」として、「Claim Orientedから、Event Orientedへ脱却していない」ことに加え、時期を失すると「実は…、事故として調査を…」とは遺族に説明しにくいこと、また地域の支援団体への相談で「事故としなくてもいい」と言われるなど、報告対象の考え方に地域差があることを示唆した。

 医療事故か否かの判断についても、木村氏は「事故の発生部分にのみ着目している。事例の全体像を俯瞰するように」と注意を促した。(1)臨床診断と治療経過・既往症を念頭に置く、(2)事故発生前後の状況、死亡までの経過の詳細を検討、(3)死亡の予期に関する説明・記録等に関する検討、(4)推定死亡原因の検討――が必要だとした。

 院内調査の報告書がセンターに報告されたのは、4カ月間で15件。報告書の不十分な点として(1)委員会構成に関する記載がない、(2)事故原因の背景に関する記載がない、(3)死因の検討がされていない(発生したことの裏返しに止まっている)、(4)医療従事者や遺族の意見は「記載なし」が多い――などを挙げた。「まだ自らが調査をすることに慣れていない。研修などを行っていくことが必要」(木村氏)。

 「病理解剖ベースに相互に検証を」

 そのほかシンポジウムでは、日本病理学会会長(東京大学人体病理学教授)の深山正久氏、日本医師会常任理事の今村定臣氏、神谷法律事務所の弁護士である神谷恵子氏が講演。

 深山氏は、医療事故調査制度に先立つ「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」で、病理解剖を実施した結果、死因が明らかになった事例などを紹介し、病理解剖の重要性を説明。医療事故調査制度でも、「予期しなかった死亡」の死因が病理解剖で判明するケースもあり得るとした。医療安全の基盤を構築するためには、解剖の結果なども踏まえ、医療者同士が相互に検証し合う文化の形成、「相互検証力」を醸成する必要性を説いた。もっとも、特定機能病院でも剖検率は10%(日本医療機能評価機構による病院機能評価事業の2012年の書面審査のデータ)に留まる。深山氏は、海外の研究を引用しつつ、遺族の理解を得て、剖検するためには「医師の勧め」が重要であると強調した。

 「疑わしい医療事故も積極的に報告を」

 今村氏は、日医の医療安全対策委員会が2015年8月にまとめた第二次答申を基に、院内調査の在り方について講演(『“院内事故調”、委員長は外部委員、日医委員会答申』を参照)。特に強調したのは、院内調査における支援団体の重要性だ。都道府県医師会などの支援団体は、特に医療事故の発生初期段階で、医療事故に該当するか否かの判断、Aiや病理解剖の実施など、さまざまな支援を行うと説明。各都道府県には、医師会のほか、大学をはじめとする他の支援団体があるため、「支援団体連絡協議会」を設置し、相互の連携強化が必要とした。そのほか今村氏は、医療法上、医療事故調査・支援センターへの報告は、「提供した医療に起因し、または起因すると疑われる医療事故」と規定されていることから、「医療事故が疑われる症例も、積極的に報告することが望ましい」と求めた。「死亡の原因を科学的に調査し、遺族に誠意をもって説明することは、医療提供の基本」(今村氏)。

 「患者家族から申出も調査対象に」

 神谷氏は、(1)事故の当事者へのケア、(2)医療事故報告の標準化、(3)医療事故調査制度の患者家族の利用――の3点から講演。(1)のうち、事故を起こした医療者については、本人が自殺した例を挙げ、「事故発覚後、医療者が孤立していないか」「医療機関と医療者の利害が対立していないか」「事故調査注に医療者にどんな配慮をしていたのか」などについて留意する必要性を指摘。「医療機関と医療者の利害が対立していると見られる場合などは、第三者が入る事故調査委員会を設置すべきではないか」と述べた。

 (2)については、「医療事故の報告を定型化していくことが必要」と指摘。当該医療事故が「予期されている」との「説明」や「記録」がない場合、管理者の判断に恣意性が入る可能性があるため、「説明や記録ができない緊急事態であった」「予期していれば、当然講ずる対策が取られていた」「有害事象発生時に対応できる体制を整えていたか、それができない場合に転送したか」などと、ある程度定型化が必要だとした。(3)については、医療事故調査制度では医療機関がセンターに報告した事例のほか、患者家族の申し立てを認めるべきと提案。



https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20160306_6
医療・介護、ICTで共有 本県沿岸、システム構築進む
(2016/03/06) 岩手日報

 東日本大震災で被災した本県沿岸部で、情報通信技術(ICT)を使った医療・介護情報の「双方向共有システム」構築が進んでいる。久慈地域では5日、関連67施設が手を組んだ「北三陸ネット」が稼働し、気仙地域でも「未来かなえネット」が4月にスタートする。同意を得た住民の情報を専用ネットワーク上で一元管理。多重のバックアップで災害時に医療情報を失うリスクを軽減させる。マンパワーが不足している医療、介護など多職種の連携により、切れ目なく質の高いサービス提供が期待される。

 北三陸ネットは2014年設立のNPO法人北三陸塾(理事長・竹下敏光久慈医師会長)が運営する。久慈、洋野、野田、普代4市町村の病院、医科診療所、歯科医院、薬局、介護施設、自治体の計67施設が連携し、5日現在で住民約120人が登録した。

 特長の一つは、高齢化社会で重視されている在宅診療の支援システム。機密性を保ったコミュニケーションツールを用い医師、訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパーらが登録者の生活情報や治療履歴などを共有。各分野で必要な情報を瞬時に得られるようになる。

 大船渡、陸前高田、住田の2市1町では、一般社団法人「未来かなえ機構」(代表理事・滝田有気仙医師会長)が昨年4月からシステムづくりを本格化。4月1日に医療・介護の地域連携システム未来かなえネットを始動させる予定だ。2月末現在で約1500人が登録している。

 医療施設や薬局、介護施設など29施設が、患者が忘れがちな薬の処方履歴、電子カルテ、食事など生活状況に関する情報を共有。医療施設が変わっても問診の必要がなくなり、薬剤師も病名が分かると処方箋の説明をしやすいなどの利点がある。


  1. 2016/03/07(月) 05:35:49|
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