Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月29日 

http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20160301/CK2016030102000012.html
総合診療の人材充実へ 新年度、県立一志病院に育成拠点
2016年3月1日 中日新聞 三重

 県は二〇一六年度中に、総合診療・家庭医療を担う人材を育てるための拠点「県プライマリーケアセンター」(仮称)を県立一志病院(津市白山町)内に設置する。二十九日の県議会本会議で、今井智広議員(公明)の一般質問に佐々木孝治医療対策局長が答弁した。

 総合診療・家庭医療は外科や内科、小児科など幅広い分野を診察する。一志病院はその拠点病院で、同センターでは総合診療医や看護師らを養成する。

 財源には、消費税増税の増収分を積み立てる県の「地域医療介護総合確保基金」の活用を検討している。

 医務国保課によると一志病院をめぐっては現在、津市が三重大に「津地域医療学講座」(寄付講座)を設け、一志病院に三重大の家庭医三人を配置している。医師は研修医の指導や研究に加え、現地で診療もしている。

 ただ、津市の寄付講座は今年三月末で終了する。佐々木局長は四月以降、県が三重大に寄付講座を設けて医師を派遣してもらう方針を今井議員に明かし、「これまでと同様に白山・美杉地域の医療は確保されると考えている」とも述べた。

 同課によると、講座名は「県総合診療地域医療学講座」。経費の負担は年間三千四百万円余。設置期間は一六年度から五年間を予定している。

 一志病院は県立病院改革の一環で民間移譲の方針が決まっているが、現在も県が運営を続けている。

 鈴木英敬知事は今後の運営形態のあり方を尋ねた今井議員に対し、今年前半をめどに一定の見通しを示す考えを示した。

(相馬敬)



https://www.m3.com/news/iryoishin/403850
電子処方せん普及率98%、「患者情報」も共有
医療IT先進国、エストニアの教授が講演

2016年2月29日 (月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター主催のシンポジウム「医療分野におけるICT活用の未来」が2月23日、エストニアのタリン工科大学のピーター・ロス教授を招いて、都内で開催された。

 エストニアは、日本のマイナンバーに相当するIDを全国民が持ち、医療分野に限らず、行政手続きや社会生活のさまざまな場面で活用する、ICT先進国の一つだ。ロス教授は、「e-health」という医療・健康情報のプラットフォーム導入の現状やメリットを紹介。医師は患者を診察する際、他の医療機関での診療情報を参考にするが可能になっており、放射線科医であるロス教授にとって、他院で撮影した過去の画像データを参考にできることはメリットだという。処方せんもオンライン化、今では98%が「電子処方せん」であり、重複投薬などのチェックも即時に行うことが可能だ。

 導入当初は、情報セキュリティーの問題のほか、利用頻度が少ない「e-health」に投資をしていくことなどに批判はあった。医療機関間で患者情報を共有することに抵抗感を覚える医師もいた。医療機関別のIDカードと医師個人のパスワードの活用、職種別のアクセス権の設定、データ閲覧履歴の把握などでセキュリティーを担保。「e-health」のメリットを宣伝するとともに、実際に運用してその良さが理解されるようになるにつれ、利用が進んだ。全ての医療機関に、患者情報の共有を求める法律があるという。

 「自ら診察した患者情報を共有することについて、医師はどう思っているのか」との質問に、ロス教授は、「私の字は読みにくかったが、デジタル化され、皆が読めるようになった」と笑いを誘った上で、「紹介状を読み、前の病院のデータを見て、患者の所見が書くことができるため、私の診察時間を節約でき、患者に追加の検査をしなくても済む。治療の結果なども共有され、医療の透明性が高くなった。医師は患者に対してだけでなく、社会に対して責任を持つ必要がある」と答えた。

 主催者を代表してあいさつした、森田朗氏(政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター 政策形成プロセス実践領域プログラム・マネージャー)は、我が国の医療分野のICT化では、電子カルテやタブレット端末などの普及、医療や健康管理データの蓄積とこれらビックデータのイノベーションなどでの活用、マイナンバーの登場など、さまざまな動きがある中で、相互に関連付けながら進めていく必要性を強調。同時に、医療財源が厳しい中で、科学的な政策立案を進めていく上でもデータ活用が求められるとした。

 エストニアの人口は約130万人で、日本の100の1。医師の養成校も3施設と少ない。国の規模や人口が異なれば、医療のICT化の目的や構築すべきシステム、その困難さなどが違ってくるものの、森田氏は、「エストニアでは、我々の想像を超え、社会全体でICTを活用した仕組みが作られている。わが国の課題を解決するために参考になる知見が得られれば」と語った。

 「医療のIT政策は大きな転換期」
 シンポジウムでは、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)の武田俊彦氏と、慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教授の宮田裕章氏の2人が、日本のICT化の現状や将来について話題提供した。

 武田政策統括官は、「医療のIT政策は大きな転換期を迎えている」と発言、その一つのステップが今年1月からのマイナンバー制度の開始であり、2020年までに実現する医療ICT化について3つのポイントを挙げた。(1)マイナンバー制度のインフラを活用した、医療連携や医学研究に利用可能な番号の導入、(2)医療機関のデータのデジタル化+地域の医療機関間のネットワーク化、(3)医療データの利用拡大のための基盤整備――だ。

 これらのICT化の推進により、医療機関の事務では保険証の資格管理がリアルタイムで可能になるほか、地域医療ネットワークでの情報共有、平均在院日数など各種指標の病院間の比較、新薬・医療機器の開発での活用など、さまざまな面での利活用が想定されるとした。

 直近のテーマとして挙げたのが、この4月以降解禁予定の「電子処方せん」。これが実現すれば、医療機関が電子的に処方せんを発行でき、薬局側でそれを見ることができるだけでなく、薬局での処方内容を医療機関にフィードバックできる。「電子版お薬手帳」と連動させれば、効率的な服薬管理も可能になる。

 宮田氏は、医療分野のビックデータの活用で、ベンチマークが活用になる現状などを紹介。例として挙げたのが、外科系学会が運営するNational Clinical Database(NCD)。NCDでは、施設間の治療成績の比較が可能になるほか、患者の術前の情報を入力すると、術後アウトカムの予測値なども把握できる。日米の治療成績の比較も可能。例えば、膵頭十二指腸切除術では、日本の方が成績はいいが、平均在院日数は長い。各種指標で現状を分析していけば、「医療の質とコストを両立させる対策は可能」とした。

 今後の展開として、例えばゲノムタイプの情報から薬剤感受性が分かるなど、推奨される治療法の確認、適用外の治療への注意喚起、有効な術後治療の提案などができるようになると説明。医薬品や医療機器については、開発段階では低コストでデータ収集が可能になるほか、発売後に有害事象が起きた場合にデータをモニタリングして、施設あるいは機器のどちらに問題があるかなどが把握しやすくなるといったメリットがあるとした。さらに地域医療連携での活用例として、「広島県がん連携ネットワーク」を紹介。

 山本氏は、ビックデータと言っても、そのデータ量の多さと個人情報保護の観点から、分析は容易ではない現状を説明。NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)の提供は2011年11月からスタートしたが、提供したのは60件強にとどまり、それを上回る数の件数が提供不可となっている。提供されるのは匿名データだが、分析の仕方により個人が特定できる可能性、提供先のセキュリティー体制、利用目的(公益性)などが問題とされた。

 鈴木氏は、ビックデータを扱うには、規制の強化と緩和の両面から検討する必要性を指摘。欧米ではプライバシー保護の水準を上げているため、それと同水準でなければゲノムデータなどを国際レベルで収集できない。この問題を解決しなければ、産業の空洞化が起きると警鐘を鳴らした。一方で、2015年9月に成立した改正個人情報保護法では、「結論から言えば、無駄な規制強化が入った」と鈴木氏は述べ、医療については個人情報保護に関する特別法を作らなければ、臨床研究や創薬に支障を来すと指摘。各自治体で条例が制定され、個人情報の取り扱いが異なる点も問題があるとした。


【タリン工科大学教授のピーター・ロス教授の講演要旨】

◆エストニアのICT化をめぐる現状
・IDナンバー(マイナンバー)は、1990年から導入。
・医療制度は日本に似ており、保険制度。ヘルスケアのコストは対GDP比で約6%。医療のICT化により、医療の効率、透明性、質が向上した。
・エストニアは、他の分野でもICT化が進んでいる。全ての学校はネットが使え、「e-school」化している。私には13歳の子供がいるが、子供の成績は、私が来日している間、日本からでも見ることができる。その他、税金関係をはじめ、さまざまな取引が、オンラインで行われるようになっている。ネット投票も実施しており、前回の国政選挙では約3割がネット投票だった。
・ICT推進のきっかけの一つが、約10年前の「e-tax」化。以前は、申告してから税金の還付までに、7、8カ月かかったが、「e-tax」では、1週間くらいと短い。メリットを感じてもらうことで、ICT化が進んだ。
・もっとも、エストニア人の約3分の1は、デジタルスキルがないか、低い。いまだ各種取引を紙ベースでやっている人は多い。現在使っているものを奪わず、「上乗せ」の形でサービスを提供することが、ICT化の成功にとって重要。

◆IDナンバーとデータ交換基盤、「X-road」
・エストニアは、1991年にソビエト連邦から独立した。同国の国民と、エストニア国民を区別する手段として、導入されたのが、国民一人一人に付与するIDナンバー。自らのアイデンティティーを示すために導入するという動機づけがあり、実現できた。このIDナンバーをベースに、エストニアは、電話を使う時代から、ファクスを経ずに、ネットベースのテクノロジーに入った。
・医療に使用しているIDナンバーは、税金など他の分野で使っているナンバーと同じであり、全て単一の番号で賄っている。eIDカードが発行され、IDが搭載されたSIMカードも活用しているため、スマートフォンなどからシステムにアクセスすることが可能。電子署名もできる。
・医療や税金などは、異なるデータベース上でデータ管理がなされているが、「X-road」と呼ぶネットベースのデータ交換基盤で相互に連携されている。「X-Road」は2000年代半ば後半からにかけて普及し、年々利用する国民、利用する機会は増えている。
・安全性は、誰がどのデータベースにアクセスしたか、全ての行動のログを残すことなどにより担保している。この点が、誰が何を閲覧したかが分からない紙ベースでの運用とは異なる。

◆e-healthについて
・病院、開業医、薬局などがバラバラの医療データベースを使っている。各データベースは、「X-Road」を介して、データ交換が可能。
・医療データベースには、診察、検査、処方などの情報が入っている。例えば、救急患者が搬送される前に、患者の過去の病歴などを見ることができる。他の開業医でどんな治療がなされているかを見たい時などに見ることができる。私は放射線科医だが、X線の腫瘍疑いの所見があった場合、3、4年前に同様な所見があるか否かを確認することもできる。変わりがなければ良性と判断できるが、大きくなっている場合は悪性の可能性を考え、さらなる検査を行うなど、診断に役立つ。
・患者にとっても、自分の医療情報を見ることができ、受診予約をする際などにも使っている。
・処方にも活用されており、医師は電子処方せんを発行、薬局は、「X-Road」にアクセスして、処方せんがアップロードされているかを確認して調剤する。医師、薬局、患者の皆が、同じ処方・調剤情報を共有できる。2015年には処方せんの98%が電子処方せんに移行している。
・医療分野のICT化は2000年頃からスタート、「Health Information Exchang Platform」の構築が2000年代後半に進み、2010年から電子処方せんが進んだのもこれがきっかけ。他の医療機関での処方薬が分かるため、同じ病気で既に処方されている場合には、警告が出るような仕組みにもなっている。そのほか、新しいサービスが生まれつつあり、遠隔診察ができるサービスなども開発されている。

◆e-health成功の秘訣
・成功するための要因は、(1)ガバナンスが重要であり、保健省が中心となって作った基金で運営、(2)e-healthを運営するため、60~70の法律を制定、(3)大きなデータベースを持たず、分散させ、「X-Road」でつなぐシステムを導入、(4)データを乱用しないよう、医師などの職種別のアクセス権設定、(5)医療行為等の記述の標準化――だ。
・もちろん、医師の中には、データ共有に反対の声もある。セキュリティーへの懸念に対しては、「いつ誰が、どのデータを見たか」というログを残すことで対応。医療情報は以前は医師が独占的に持っていたが、データ共有で生まれるメリットを説明していくことで、理解が得られるようになっている。
・今後は、ビックデータを活用したさまざまな展開が考えられる。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48215.html?src=catelink
専門医制度、社保審の委員会の議論を重視- 日病・堺会長
キャリアブレイン 2016年02月29日 20時00分

 日本病院会(日病)の堺常雄会長は29日の定例記者会見で、2017年度から始まる予定の新たな専門医制度について、「医療部会の委員会での議論を重視したい」と述べ、新制度の是非を検討するため、社会保障審議会医療部会の下に設置される委員会の議論の行方を見守る考えを示した。【敦賀陽平】

 新制度をめぐっては、全国公私病院連盟が開始時期の延期を求める声明を出しているが、堺会長は「どちらかにくみするということではなくて、成果をどうやって出せるかということに注目したい」と述べた。研修プログラムなどを認定する一般社団法人「日本専門医機構」に対しては、「活動が見えにくい」との苦言を呈したものの、「プログラムがほとんどそろう状況。せっかく頑張ってきたのだから、バックアップしていきたい」とも語った。

 堺会長によると、27日に開かれた常任理事会では、「批判をするのは簡単だが、建設的な意見を一緒に考えていくべきではないか」という意見が多かったという。

■「切り分けの方向性が示された」―万代常任理事が改定を総括

 この日の会見では、中央社会保険医療協議会(中医協)の委員を務める万代恭嗣常任理事が、16年度の診療報酬改定を総括した。

 万代氏は、算定対象が広がる「医師事務作業補助体制加算」を例に挙げ、「隅々まで行き届いている改定だと思う。現場の感覚を取り入れてくれた」と評価する一方、「急性期だけでなく、リハビリ、療養病床についても、本当に医療をしているところとそうでないところを切り分ける方向性になっていた」として、「本体部分のプラスをどう取っていくかが、病院運営上の喫緊の課題だ」と強調した。

 また、ICU(特定集中治療室)などを持つ500床以上の病院で、届け出病棟数に制限が設けられた地域包括ケア病棟に関しては、「病棟の性格上、それを担うのは200床未満のようなところだと思うが、制限についてはもう少し緩やかに、段階的にやってもよかったと個人的には思う」と述べた。



http://www.medwatch.jp/?p=7821
C項目の内科的処置、「消化管出血への処置」や「血管内処置」などを盛り込む必要―日病・万代常任理事
2016年2月29日|2016診療報酬改定ウォッチ MediWatch

 2016年度の診療報酬改定により、医療・看護必要度のC項目として「救命等に係る内科的治療」が導入されるが、少なくとも「消化管出血への処置」や「血管内処置」などは手術に匹敵するもので、具体的項目として盛り込むべきではないか―。

 こういった考えを、日本病院会の万代恭嗣常任理事(中央社会保険医療協議会委員)が29日の定例記者会見で明らかにしました。

 また堺常雄会長は、「新専門医制度の適切実施に向け、日病としてバックアップしていく」考えを強調しています。

DPCのII群要件、将来的には「絶対的基準」とすべき

 万代常任理事は、2016年度改定について「現場も視野に入れた、全体として整合性のとれた、隅々まで行き届いた内容になっている」と厚生労働省のかじ取りを高く評価(関連記事はこちら)。その一例として医師事務作業補助体制加算を挙げ、▽急性期(一般病棟)以外の療養病棟・精神病棟でもある程度算定できるようになった▽特定機能病院でも一部算定できるようになった▽作業場所の範囲が拡大され、カルテ入力などは必ずしも病棟で行う必要がなくなった―転が評価できると述べました(関連記事はこちら)。

 一方、7対1入院基本料における重症患者割合の引き上げ(200床以上は25%、200床未満は23%)など「急性期入院医療には極めて厳しいものになる」とも見通します。

 そうした中で、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度」にC項目が新設され、そこには「救命等に係る内科的治療(2日間)」が含まれていますが、どのような治療項目が含まれるのか、が注目されています。

 この点について万代常任理事は、「救命という点ですぐに思い浮かぶのは『消化管出血への処置』があり、これを含めるのは当然であろう。また、『血管内処置』も手術に匹敵するものである」との見解を示しています。さらに、「救命等の『等』をどこまで読むのか。しっかり通知で対応してもらいたい」との希望も述べました。

 3月上旬に示される通知などの中では「6-7項目が例示されるのではないか」との見方もあり、厚労省の動きが注目されます。

 また2016年度改定では、ICUなどを持つ病院や許可病床数500床以上の病院では「地域包括ケア病棟は1病棟に限る」ことになります(関連記事はこちら)。この点について万代常任理事は、「地域包括ケア病棟の医療上の性格を担うのは確かに200床未満の病院である」と指摘。ただし、「個人的な見解」であることを強調した上で、「設置病棟数の制限は、もう少し緩やかに、段階的に行ったほうがよかったのではないか」との見解も示しています。地域によっては、1つの病院で高度急性期医療を展開しながら、同時に在宅患者などの急性期増悪といった軽度急性期(いわゆるsub acute)に対応する機能を持つ、という形態を認めて良いのではないかという考えに立つものでしょう。

 さらに万代常任理事はDPCのII群要件について、「将来的には『絶対的基準』を設定すべき」との見解も明らかにしました。現在、DPCのII群病院になるためには、(1)診療密度2)医師臨床研修の実施(3)高度な医療の提供(4)重症患者に対する診療の実施―の各項目について、I群病院(大学病院本院)の最低値を上回らなければいけないという要件が設定されています。

 しかし、これらは「相対的基準」であるため、I群病院の実績に大きく左右され、かつ診療報酬改定の度にII群病院の入れ替わりが生じてしまいます。

 万代常任理事は、この点について「4月1日から、突然II群になりました、III群になりましたでは、医療を受ける患者・国民にとって分かりにくい。将来的には、II群とIII群の性格付けをし、医療を受ける患者・国民にも分かりやすくすべきで、『絶対的基準』を設けるべきであろう」との考えを述べました(関連記事はこちらとこちら)。

 2016年度改定に向けてDPC評価分科会でも絶対的基準の論議が行われましたが、十分なデータが揃わず時間切れに終わりました。2018年度の次期改定やさらに将来の改定において、II群の「絶対的基準」に関する議論が続けられることでしょう。


新専門医制度、批判だけでなく「建設的な意見」を出すことが重要

 新たな専門医の養成が来年(2017年)4月からスタートする予定です。しかし、8日に開かれた社会保障審議会・医療部会1では、新専門医や養成プログラムを認定する日本専門医機構に対し「地域医療への配慮が十分ではない」との批判が相次ぎ、専門委員会を設定して、さらなる検討を行うことになりました。

 この点について堺会長は、批判の背景には「専門医機構の情報が分かりにくい」という側面もあるとし、日病としてバックアップしていく考えを述べました。堺会長は「四病院団体協議会(日病、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)では専門医機構から説明を受け、そこでは『なるほど』と理解することができたが、説明会に参加できない病院にはなかなか分かりにくい面がある。私(堺会長)や末永裕之副会長が見える化をサポートしていきたい」と述べています。

 また、18日の医療部会では、日本医師会の中川俊男副会長らから「2017年4月からの養成開始は延期すべき」との指摘がありました。この点について堺会長は、「『延期すべき』『延期すべきでない』という抽象論ではなく、例えば『延期すべき』と主張するのであれば、その理由はどこにあるのか、具体的に議論していく必要がある。18日の医療部会は、専門医機構からのヒアリングにすぎなかった。専門委員会で具体的に議論し、修正できる部分は修正し、足りない部分は皆で策を練っていくことが重要であろう」との見解を述べました。

 さらに堺会長は、日病の常任委員会で「批判をすることは簡単だが、建設的な意見を述べていく必要がある」という意見が多数出ている点も強調しています。



http://mainichi.jp/articles/20160229/ddl/k38/040/307000c
キッズジョブまつやま
「やりたい仕事」挑戦 手術体験、児童ら夢中 /愛媛

毎日新聞2016年2月29日 地方版

 小中学生の職業体験イベント「キッズジョブまつやま」が28日、松山市湊町7の市総合コミュニティセンターで開かれた。市内の小中学生約1500人がパイロットやメーキャップアーティストといったあこがれの職業に挑戦した。

 市文化・スポーツ振興財団と市小中学校PTA連合会が一昨年に続いて開き、約60のブースが出展した。「医師」のブースは県立中央病院の医師らが指導。手術衣を着た子供たちは、電気メスで鶏肉を切ったり、内視鏡手術の訓練機器でモニターを見ながら手術用のはさみでピンをつかむことに挑戦した。同市北斎院町、市立味生第二小2年、小川貴久君(8)は「思ったより難しく、大変な仕事だと思いました」と話した。【伝田賢史】



http://news.biglobe.ne.jp/it/0229/giz_160229_1632644487.html
米病院のハッキングは容易。特定の患者を死に至らしめることもできる
GIZMODO 2月29日(月)15時3分


結論:患者を危険に陥れるのも簡単。

セキュリティ保護を提供するIndependent Security Evaluatorsが発表した論文によると、彼らがテストとして行ったハッキングでは複数の医療施設のシステムに簡単に侵入できたそうです。

彼らが2年かけて行ったこのテストでは12の医療施設、2箇所の医療データセンター、2つの医療テクノロジー・プラットフォーム、2種類の医療デバイスが対象となっており、ハッキングは残念なことに大成功だったようです。USBドライブをコンピューター・ターミナルの近くの床に落としておく、もしくは誰でも使えるようになっているポートに差し込む、など実に初歩的な方法で中枢システムに入り込みコントロールすることができたとのこと。

中でも特に恐ろしいのは、患者のモニターをコントロールすることができた点。アラームを誤作動させたり、誤った数値を表示させるなど、致命的な事故に結びつくような操作もできたようです。さらには薬品提供システムにも入り込むことができたというから医療関係者のショックは大きいようです。間違った薬を患者に出させてしまうこともできるわけですよね...。

病院のシステムがシャットダウンされるのも恐ろしいですが、この論文で明らかになったのは、装置やモニターをコントロールして特定の患者を死に至らせることも可能だということ。

じゃあどうやってこういったハッキングを防ぐの?と誰しも思うわけですが、そこもなかなか一筋縄ではいかなさそうです。

というのもたったひとつ大きなセキュリティ問題があったわけではなく、色々な箇所でちゃんとしたソフトウェアが使われていなかったり、セキュリティに関する施設ポリシーが存在しなかったりとハード・ソフト両面で複数の問題があるようです。

病院がハッキングされること自体は前からありましたが、これまでは患者の個人情報を守る、という点にリソースが注がれてきました。たまたま今回はセキュリティ会社が先に警鐘を鳴らした形になりましたが、今後医療関係者は大幅な改善が求められそうです。


source: Security Evaluators via The Register
http://gizmodo.com/security-testers-managed-to-hack-hospital-patient-monit-1761426524
Chris Mills - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)



https://www.m3.com/news/iryoishin/403759
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”の成否、「医療界の取り組み次第」
山本・厚労省検討会座長、医療安全実践教育研究会で講演

2016年2月29日 (月)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 一橋大学大学院法学研究科教授の山本和彦氏は2月28日、大阪市内で開催された医療安全実践教育研究会主催の第3回学術集会で、「医療事故調査制度の創設の経緯、特徴、課題」と題して講演、昨年10月からスタートした医療事故調査制度は、「プロフェッションとしての医療者への期待に基づく制度」であることが大きな特徴であるとし、国民から広く信頼を集め、制度を機能させるためには、医療者が自立的、かつ「オール医療界」で取り組む重要性を強調した。

 山本氏は、法律家の立場から見ると、運輸関係の事故調査委員会や“消費者事故調”は、公的な組織で強制力を持って調査をするのに対し、医療事故調査制度は、院内調査が基本であり、第三者による調査も民間組織に委ねされているのが特徴だと指摘。2008年に厚生労働省が作成した医療事故調査制度の「大綱案」とも大きく違い、医療者がプロフェッションとして、医療界を挙げて調査に取り組む制度設計になっていると説明した。

 医療事故調査制度は、法律上、今年6月までに一定の検討を行い、必要な措置を講じることが求められている。山本氏は「この制度がうまく回っていくかどうかは、医療界全体にとって非常に重要。『不十分』と社会的に評価されてしまうと、何らかの見直しが必要という世論になり、今とは違う考え方に基づく制度になっていく可能性がある」と述べ、制度見直しの行方は医療界の取り組みにかかっているとした。

 山本氏は、2015年3月に取りまとめを行った、厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」の座長を務めるなど、医療事故調査制度の創設に長年かかわってきた(『医療安全の“ボール”は医療界に』などを参照)。同制度の創設に向けた経緯や制度の仕組みなどについて、同検討会の座長としての思いにも触れながら、約50分にわたり講演した。その概要は以下の通り。

講演後、フロアから医療事故調査・支援センターへの医療事故報告の考え方についての質問があった。本制度では、「医療に起因する、医療機関の管理者が予期しない死亡」が報告対象。山本氏は、「管理者の判断に委ねられているため、医療機関によって報告基準が違ってくることはあり得る」と認めつつ、制度の目的を踏まえて、管理者が判断するとともに、センターへの相談などの積み重ねで、おのずから一定の基準に収束していくとの見通しを示した。

【山本和彦・一橋大学大学院法学研究科教授の講演骨子】

 患者・家族の「ゆがんだ期待」
 医療事故が起きた時、患者や遺族は、原因究明と再発防止を願うが、それは医療事故に限らない。全ての事故の被害者には、「なぜ起きたのかを知りたい。二度と起きないようにしてもらいたい」という思いがあるのだろう。

 事故対応の制度として、早い時期にできたのは、航空機事故の調査制度。その後、鉄道や船舶など運輸関係の調査制度ができ、最近では“消費者事故調”ができた。しかし、医療にはそうした制度がなく、原因究明を求める患者や遺族は、民事や刑事の裁判に訴えていた。その結果、医療事故関係の民事裁判の件数は1990年代から2000年代前半にかけて急増、刑事事件化するケースも増加した。

 しかし、民事裁判は損害賠償請求や責任追及、刑事裁判は刑罰を加えることを目的とした制度。その手段として原因究明を行うのであり、原因究明は目的ではない。また再発防止はこれらの裁判の目的ではなく、裁判に訴えるのは患者や遺族の「ゆがんだ期待」と言える。

 したがって、原因究明と再発防止を主たる目的とした制度が医療でも必要不可欠であることは間違いない。10月からスタートした医療事故調査制度は、不十分かもしれないが、原因究明等を目的とした日本で初めての制度。

 成立に至らなかった「大綱案」
 今回の制度は、プロフェッションとしての医療者の責任を中核に据えたのが最大の特徴。こうした仕組みに至った理由を考えるためには、議論の長い経過を振り返る必要がある。長年の議論があり、直接的には2007年に厚労省に検討会が設置され、2008年に「大綱案」がまとまり、立法の直前くらいまで行った。この時の議論は、運輸関係の事故調査制度や“消費者事故調”と基本的には発想が似ており、行政が主体となり、公的な機関が強制力を持って調査を行う仕組み。

 医療界ではこの頃、重要な課題として、医師法21条の取り扱いがあった。医療機関が異状死体を警察に届け出ていたが、その代わりに公的機関に届け出て、公的機関がその中から選択して警察に届け出るスキームを考えていた。

 運輸関係の事故調査委員会などのように、行政から一定の独立性を持った公的機関を作り、そこで調査を行うのは、法律家にとってはなじみやすい制度。しかし、「大綱案」に対しては、一部の医療界から反対の声があり、また政治情勢の変化もあり、実現には至らなかった。

 一種の仕切り直しで、2011年から厚労省で新たな検討(医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会)がスタートした。私は検討部会(下部組織の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」)の座長を引き受けるに当たって、相当の不安があった。これまでの議論の経緯があり、本当に一つの制度にまとまるのかどうか確信がなかった。しかし同時に、医療界がプロフェッションの立場で、自立的に医療事故に対応していくという機運が、いろいろなところで生じており、その機運を生かしていけば、問題解決の糸口が見えるのではないかと考えたことが、座長を引き受けた時の認識だった。

 当初は手探りの状態で、大綱案と比較しつつ、どのような制度を作っていくかが課題だったが、最終的にでき上がったのは、大綱案とかなり異なる制度。医療界の自立性、自発性を生かす制度になったのではないか。医師法21条の問題とは切り離し、純粋に原因分析と再発防止、それに基づく医療の安全の向上を中核に据えた制度であり、刑事の問題は別のスキームとして考える。第三者機関は民間の組織であり、行政ではない。また権力的な強制的な手法ではなく、医療界の自発性に期待する。何より、第三者調査に至る前に院内調査を重視する――。これはまさに医療者がプロフェッションとして尊重されている表われ。他の事故調査において、例えば、JR西日本の福知山線脱線事故など、事故を起こした企業の社内調査に委ねるのは、通常では考えられないこと。しかし、医療事故調査において、院内調査をまず行うことが国民に受け入れられたのは、国民の医療への信頼からだろう。

 「オール医療界」で取り組むことが、医療界から示されたことを受けて、今回の制度が形成されたと認識している。この点が今日の講演でまさに一番言いたかったこと。

 医療事故の「全件報告義務」
 次に医療事故調査制度の概要だが、目的は、原因究明と再発防止であり、個人の責任を追及するものではない。医療事故調査・支援センターに報告、調査の対象とする医療事故は死亡事例で、その考え方は法律で規定されている。「医療に起因したか」「管理者が予期したか」という視点から判断される。医療起因性が要件なので、医療機関内の管理行為に起因するものは対象ではない。ただし、入院患者が転倒した場合など、医療行為と転倒が関係するのかどうか、事案によっては微妙な場合がある。「管理者が予期したか」だが、「予期」は言葉的には主観的なもののように見えるが、省令で予期の内容は規定している。

 医療事故が発生した場合には、センターに報告することが求められる。日本の医療機関で起きた医療事故について、「全件報告義務」が課せられたことになる。従来、日本における医療事故の発生件数については、想像の域を超えなかった。今回の制度により、全ての医療機関が、医療法上の報告義務を果たせば、医療事故に関する客観的な統計データが明らかになる。これは極めて重要なこと。

 医療機関がセンターに報告する際には、遺族に対して説明を行う。各医療機関は速やかに院内調査を行う義務を負う。調査に当たっては専門性などを担保することが求められるが、中小規模の医療機関では調査が難しい場合もあるため、支援団体が設けられ、必要な支援を行うことになっている。医療界全体でそのようなバックアップ体制が取られるのは重要なこと。

 厚労省の検討会では、調査結果をどのような方法で遺族に説明するかが議論になった。最終的には口頭または書面、あるいはその双方の適切な方法で行うとされ、「調査の目的・結果について、遺族が希望する方法で説明しなければならない」とされた。

 第三者調査などを行う組織として、センターが設置された。これは行政機関ではなく、民間の機関であり、厚労省が指定する「指定法人」。日本医療安全調査機構がセンターとして指定されたが、事故調査だけでなく、医療事故調査に携わる医療者への研修活動、調査に関する相談支援、制度の普及啓発活動などの役割を担う、今回の制度の要の存在。

 医療機関の管理者あるいは遺族がセンター調査を依頼できるが、医療法上の医療事故の定義に該当しないものは、いくら求めても調査の対象にはならない。今回の制度は、院内調査が前提なので、センター調査は、その検証が中心となるだろう。センター調査に当たっては、医療機関に調査への協力を求めることができる。大綱案のように罰則規定はないが、調査に協力しない場合には医療機関名を公表できる。医療機関の自発性を期待した制度と言える。

 「全件報告義務」を課されているが、センターへの報告件数は4カ月間で115件(『医療事故調査制度、センターに初の調査依頼』を参照)。想定された件数よりは、かなり少ないレベルにとどまっているが、そもそも想定された件数が正しいかどうかの確証はなく、「全件報告義務」が果たされているかどうかは論評できない。院内調査の結果報告は15件。今後はその数が増えていく。センター調査依頼も1月に最初の申請があった。

 制度を評価するには、時期尚早であり、今後の動向については慎重に見ていかなければいけない。しかし、改正医療法成立時の附則で、「法律の公布から2年以内」に見直すとされている。まだ制度が始まったばかりで、どんな状況かは見極められないが、これから今年6月にかけて、見直しに向けた何らかの作業が行われていくことになるだろう。

 今回の医療事故調査制度は、プロフェッションとしての医療者への期待に基づく制度であり、医療界全体で制度を受け止める必要がある。この制度がうまく回っていくかどうかは、医療界全体にとって非常に重要。「不十分」と社会的に評価されてしまうと、何らかの見直しが必要という世論になり、今とは違う考え方に基づく制度が作られていく可能性がある。今後の医療界の取り組みを見守りたい。

 調査報告書の取り扱いなど検討課題多々
 そのほか、医療事故をめぐっては、事故の調査対象者を免責にするか、あるいは事故報告書を訴訟において証拠として用いることの是非など、制度的にはいろいろな問題が残っている。

 医療事故について、医療界では免責を求める声が強いことは理解しているが、日本では、他の事故調査制度を含め、免責制度を持っていない。海外では、免責をして事故調査を円滑に進める政策判断もある。医療に限らず、各種の事故調査制度全体を見て、横串を刺して考えていくことが必要。正面から本格的に取り組むべき課題だと考えている。そのほか、紛争の予防の問題や21条の取り扱いなどの問題もある。

 長年、医療事故調査制度の議論に携わり、医療界と、法律界が相互に理解をし合うことは、なかなか難しいと思っている。無用な相互不信を感じることもあった。そのようなものを克服して、相互に理解を深めていくことこそが、良い制度に発展させていくためにも必要ではないか。



hpress.jp/2016/02/post-2267.html
「病院にかかる回数」が世界一! “初診5000円”でマンパワー不足は解消できるのか?
ヘルスプレス 2016.02.29

 かつてない速さで高齢化が進行するわが国の医療機関は、どこも診療待ちの高齢者であふれている。医療事故や過剰な投薬など、財政やサービス面にも課題が多い。しかし世界的にみれば、国民がこれほど医療を受けやすい国は他にない。

 誰でも自由に安価な医療を受けられる日本の「国民皆保険制度」は、世界保健機関(WHO)から総合点で世界一と評価された制度だ。先進国でもいまだに民間保険中心の国や、無保険の国民が多い国もある。

 では、現代の日本の医療水準は世界よりも進んでいるのだろうか?

 先日2月2日に、ニッセイ基礎研究所が公表した「医療の国際数量比較」と題するレポートから、日本の医療制度の特徴を見てみたい。

世界一病院にかかる回数が多い日本人

 このレポートは、OECD(経済協力開発機構)34 カ国の医療と医療制度に関する統計「OECD Health Statistics 2015」を元にして、12種類の指標について日本と欧米主要12カ国のデータを比較したものだ。

 まず医療の「クオリティー」について見ると、日本女性の平均寿命(86.6歳)は世界一、男性(80.2歳)もトップクラス。ヨーロッパでは、女性はスペイン(86.1歳)、男性はスイス(80.7歳)の平均寿命が長い。さらに日本の乳児死亡率は出生1000人当たり2.1人と12カ国中最低であり、小児医療の質も高い。

 ちなみにアメリカは平均寿命が相対的に短く(女性81.2歳、男性76.4歳)、乳児死亡率は日本の約3倍にのぼる。

 次に、国内総生産(GDP)に対する医療費の割合から「コスト」を測ってみる。かつては医療コストが安かった日本もここ10年で医療費割合が伸び、2013年はGDPの10.2%。12カ国の中位くらいまで増加した。国民1人あたりの医療費も2004年に2,300$だったのが、2014年には3,800$に膨らみ、中位に近づいている。

 ちなみに最もコストが高いのはアメリカで8,700$。医療制度が市場主導のため、医療費が制御できていないことを示しているという。

 また、日本の患者1人あたりの年間受診回数は平均12.9回。2位ドイツ9.9回、3位カナダ7.7回を引き離して1位となっている。さらに入院患者の平均在院日数も、多くの国が数日であるのに対し、日本は30.6日と突出。日本では患者の自己負担が他国より軽く、誰にでも医療が受けやすいことが見てとれる。

医療設備も他国を圧倒して世界一だが…

 医療資源はどうか。日本の人口1000人当たりの医師数は2.3人で、実は12カ国中最下位だ。上位のドイツやスイスの医師数は日本の約2倍にもなる。看護師数は1位スイス17.4人、2位デンマーク16.3人に対し、日本は7位で10.5人。ちなみに薬剤師は1.6人で、12カ国中最も多い。

 人口100万人あたりの病院数では、67.1院で他を圧倒。下位のアメリカ18.2院やオランダ16.0院とは相当の開きがある。さらに人口1000人当たりの病床数も13.3床と断トツ。他国の平均が約4床であることから、その多さがわかる。多くの国では病床数を削って医療費の抑制を図っているのに対し、日本は施設の整備によって医療の整備を進めてきた。

 最後に、高度医療機器であるCTとMRIの配置数を比べると、日本は人口100万人当たりCTが101.3台(2位アメリカ41.0台)、MRIが46.9台(2位アメリカ38.1台)で他国を圧倒している。日本とアメリカ以外の国々は、配備の途上にあるようだ。

 レポートでは日本の医療について「これまで日本は、安価で質の高い医療に容易にアクセス可能な精度を確立してきた」「その精度は、医師数を増やす代わりに、医療施設や設備を充実させることで構築してきた」とまとめている。それらは患者にとって良いことで、高く評価されるべきだろう。

日本は海外より医師への信頼度が低い!?

 それにもかかわらず、日本人の医療への満足度は高くない。国際比較調査グループISSPの調査(2011年)によると、「医療制度に満足している」人の割合は1位ベルギー93%から、最下位のチリ22%までバラツキがある。その中で43%の日本はOECD34カ国中29位となり、下から数えた方が早い。

 背景には、相対的に医師への評価が低いことがあるようだ。「医師はあらゆる治療法について患者と話し合っている」と思う人の割合は1位が台湾で73%だが、日本は36%で34カ国中22位。また「医師が信頼できる」と思っている人は、1位がスイス94%に対し、日本は62%で23位。いずれも下位に沈んでいる。

 逆に「医療制度が効率的に運営されていない」と不満を感じている人の割合は51%。ポーランド、ブルガリア、アメリカ、チリ、ロシア、南アフリカに続いて8位と上位に食い込んでしまっている。

 日本では自分が行きたい病院に直接アクセスできるため、最初から大病院を受診する患者が多く、一部の病院に患者が集中しやすい。さらに患者数は多いのに医師数が少ないため、外来診察は長時間待たされるうえに実際の診察時間は短い。

 厚生労働省はこの4月から、紹介状なしで大病院を受診した患者に初診時で5000円以上、再診時で2500円以上の定額負担を求める。大病院が重症患者の治療に専念できるようにする狙いで、かかりつけ医との役割分担を進めるものだ。現行でも大病院の多くは紹介状のない患者から初診時に3000〜4000 円を徴収しているので、実質は1000〜2000円ほどの負担増になる。

 近年は、医療費抑制のために診療報酬が削られたにもかかわらず、病院は患者一人ひとりに時間をかけて向き合うことを求められている。質の高い医療を求める患者の要求水準が上がっているのに、専門分野の医師は不足するばかり。優れた制度があっても日本人の医療満足度が低い背景には、期待と現実とのギャップが広がる悪循環があるのでははないだろうか。

 コストが上がる中で医療の質を高めるためには、無駄の見直しが不可欠だ。カルテや診療報酬明細書の電子化で、過剰な診療や投薬が行われていないかを検討するなどで、効率化をめざす取り組みが進められている。

 将来も日本の優れた制度を維持しつつ、質の高い医療を選択できるようにするためには、患者である私たちも自律的に安易な受診を避けるなど、意識を変えていく必要があるのかもしれない。
(文=編集部)


  1. 2016/03/01(火) 09:52:08|
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