Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月24日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/402403
シリーズ: 始動する“医療事故調”
医師法21条の届出、「犯罪と関係ある異状」に変更を
日医が改正を提言、罰則規定の削除も求める

2016年2月24日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会は2月23日の常任理事会で、「医事法関係検討委員会」(委員長:柵木充明・愛知県医師会長)の答申、「医師法第21条の規定の見直しについて」を、日医の現時点での21条に関する見解として取り扱うことを了承した。同答申は、警察への届出対象を、「死体を検案して犯罪と関係ある異状があると認めたとき」とし、21条に違反した場合の罰則規定(33条の2、50万円以下の罰金)の削除を求める内容だ。24日の定例記者会見で、日医常任理事の今村定臣氏が明らかにした(資料は、日医のホームページ)。

 今村常任理事は、「医療事故調査制度は、司法は関与しない制度設計になっている。21条の見直しも、基本的には同制度とは関係ない」と説明。しかしながら、同制度は、2014年6月に成立した改正医療法の附則で、施行後2年以内、つまりこの6月末までの見直しが求められており、21条の届出の在り方も検討課題となっていることから、「その点では、無関係ではないだろう」と補足した。今後、与党自民党などに21条改正を提言していくとし、「今の通常国会は難しいが、今秋に臨時国会があれば同国会で、あるいは来年の通常国会で改正できればありがたい」(今村常任理事)。

 「医事法関係検討委員会」は、改正医療法の附則を踏まえ、2015年7月から21条について検討を開始。計4回の委員会などを経て、2月9日に答申した。

 21条の異状死体の届出をめぐっては、2004年に東京都立広尾病院事件の最高裁判決で、「外表異状説」と判断された後も、診療関連死を届け出るか否かなど、その解釈や運用をめぐって混乱が生じている。21条の改正を求めるのは、改正医療法附則への対応と、これらの混乱を収めるのが狙い。

 今回の21条改正案の考え方について、今村常任理事は次のように説明。「死体の検案を唯一委ねられている職業が医師であり、医師は犯罪の痕跡が認められた場合には、警察に協力する責務を負うという前提に立っている。この協力は、あくまで医師の職業倫理によるべきであり、罰則を持って強制される性質のものではない」。

 委員会での検討過程では、「犯罪と関係がある異状」との表現が医師に馴染みにくく、かえって混乱を増大させるとの意見も出て、「病死または自然経過による死亡でない疑いのある死亡」との表現案も出た。しかし、立法技術上、法律に新しい用語を入れる手続き上の困難さなどから、「犯罪と関係がある異状」に落ち着いた。「書きぶりについては、かなり議論があった。より良い表現があれば、それを採用することはやぶさかではない」(今村常任理事)。

 医師が「犯罪と関係がある異状」をどう判断するかについて、今村常任理事は、「外表の異状がない場合でも、実際には犯罪の痕跡が認められることはあり得る」と述べ、外表の異状だけでなく、血液検査や画像診断などの異常で犯罪が疑われる場合には届出の対象になると説明した。



http://news.biglobe.ne.jp/economy/0224/prt_160224_9335176823.html
【医師アンケート調査】花粉症の最新治療「舌下型免疫治療」の施行について、耳鼻科医の34%が「やるかどうか思案中」で最多
PR TIMES2月24日(水)14時3分

医師10万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)は、会員医師を対象に、「舌下型免疫治療*について」のアンケートを実施いたしました。以下、結果をご報告します。

*「舌下免疫治療」は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、アレルギー反応を弱めていく「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」の内、舌の下に薬を滴下する治療法です。スギ花粉症では2014年10月より、ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎では2015年11月より、この舌下型免疫療法薬が発売されています。処方するために、医師はあらかじめ指定の講習会やeラーニングを受講する必要があります。

■調査結果:花粉症などのアレルギー疾患に対する「舌下型免疫治療」の施行について

(対象者:耳鼻咽喉科の医師102人**、調査期間:2015/1/18 〜 2015/1/24)
[画像1: http://prtimes.jp/i/10134/60/resize/d10134-60-798030-1.jpg ]
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[画像2: http://prtimes.jp/i/10134/60/resize/d10134-60-679434-2.jpg ]
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**全回答者(2,576人)の内、耳鼻咽喉科を標榜する医師105人から、「診療する機会がない」と回答した医師3人を除いた計102人を対象として集計しています。

■サマリー

「舌下型免疫治療」の施行について、耳鼻咽喉科の医師102人が回答をした。結果、最も多かったのは「やるかどうかを思案している」で34.3%であった。治療薬の発売から間もないため、もう少し様子を見て「効果や安全性を確認してから」という声や、導入における「手続きの煩雑さ」を懸念しているケースが多かった。
「すでに始めている」と回答した医師は26.5%だった。「患者の希望で、まずスギ花粉から始めている」という声が多かった。
「やりたい」と回答した医師は12.8%であり、そのほとんどが講習会やeラーニングは受講済みであった。価値は感じているものの、患者のニーズや適正が懸念点になっているようだった。
「やらない」と回答した医師は26.5%だった。主な理由は、「治療期間の長さ」や「副作用などのリスク」であった。


■回答コメント(一部を抜粋)

「すでに始めている」  27件
・スギに関しては安全性が高いと考えて、開始しました。(50代、勤務医)
・患者さんの希望で始めている。(50代、開業医)
・例数は少ないが、始めてます。ダニは、副作用が出るらしく考慮中です。(50代、開業医)
・効果が出ている患者さんも増えています。(50代、勤務医)
・症状の度合いにより考えます。必ず毎年あって、症状がひどくなるようなら、免疫療法勧めます。(50代、勤務医)

「やりたい」  13件
・唯一の根治療法ですので。ただし患者を慎重に選ぶ必要はあります。(50代、勤務医)
・若年者はやる価値があると思います。(40代、勤務医)
いつでもできますが、効果など見極めてからにしたいです。(40代、開業医)
・やりたいですが、なかなか投与期間も長いので、適した患者がいません。(30代、勤務医)

「やるかどうかを思案している」  35件
・発売後日も浅いので、もう少し経過を見てからと考えています。(70代、勤務医)
・安全性や有効性を確認してからです。(40代、勤務医)
・講習会も受講済みですが、あまり積極的にやりたいとは思っていません。中途脱落が非常に多いみたいですし、効果が出るまで2年というと、対象になる人は少ないのではないでしょうか?(50代、開業医)
・すでに資格があります。すぐにでもできます、しかしいったんアナフィラキシーショックが起こったときの対応をしにくい今はできないでしょう。(50代、開業医)
・講習は受けているが、地域からニーズが上がってこない。(30代、勤務医)
・手間がかかる割には診療報酬が少ない。(40代、勤務医)

「やらない」  27件
・長期間に及ぶ治療が継続できるか疑問。(30代、勤務医)
・時間がかかる、効果が確実ではない、アナフィラキシーなどのリスクがある。(30代、勤務医)
・十分に対応できないと、モンスター患者がこわい。(50代、勤務医)
・自分がスギ花粉症でとても困っているなら、後鼻神経切断術を受けます。(40代、勤務医)
・緊急時対応が困難です。(50代、開業医)
・需要が増えれば考え直すと思いますが。(30代、勤務医)


■記事引用時のお願い
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」調べ、と明記ください。
WEB上での引用に際しましては、「MedPeer」にhttps://medpeer.jpへのリンク付与をお願い致します。

■参考
昨年2015年2月に行った、「医師が自身で行っている”花粉症対策”」についての調査結果は以下をご覧ください。

◇医師が自身で行っている”花粉症対策”について
治療の開始時期は「2月」、最重要視する花粉除去対策は「マスク」、治療法は「薬物療法(ケミカルメディエーター受容体拮抗薬)」が1位に。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2015/02/Posting_201502232.pdf


【メドピア株式会社について】
・社名:メドピア株式会社( https://medpeer.co.jp )
・代表者:代表取締役社長 石見 陽 (医師・医学博士)
・設立:2004年12月
・運営サービス:医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」( https://medpeer.jp )

メドピア株式会社は、「Supporting Doctors, Helping Patients.」を理念として、現在10万人以上の医師(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用サイト「MedPeer」を運営しています。医師同士が臨床現場で得た知見を「集合知」として共有する場を提供することで、医師の診療を支援するとともに、MedPeerの医師会員および集合知を源泉として、製薬企業をはじめとした企業に対して医師向けのマーケティング支援サービスを提供しています。

【お問い合わせ先】
メドピア株式会社 広報担当 藤野
電話:03-6447-7961 | メール:pr@medpeer.co.jp



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0224050022/
働くがん患者サポート、企業に治療と両立の支援促す...厚労省が指針
(2016年2月24日 読売新聞)

 がん患者らが治療を受けながら働き続けられるように、企業が行う支援策などを示した指針を厚生労働省が23日公表した。

 がん対策基本法に基づく就労支援の一環で、このような指針の策定は初めて。

 がんは、治療技術が向上し、長く付き合うことができる病気になった。仕事を持ちながら通院している人は約32万人いるが、仕事を辞めてしまう人もおり、対策が急務だった。

 指針では、企業は、労働者から病気の症状や就業上必要な配慮などについての情報を得て、産業医と相談しながら、無理なく働くことができる計画を立てるとした。また、時間単位の休暇制度や時差出勤制度などの検討や導入を図る。

 労働者が安心して働けるための相談窓口の設置や、告知を受けて動揺し、退職を早まることがないよう精神的な配慮も求めた。

 対象とする病気としては、がんのほか、心臓病や脳卒中など長期間の治療が必要な病気も盛り込んだ。厚労省は今後、経団連や医師会などとも連携しながら、指針の周知を進めていく。

 全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は「患者と企業、医師らが、治療しながらどうすれば働き続けられるかを一緒に考えるきっかけとなる大きな一歩と評価したい。一方、病気を理由とした人事面での不当な扱いを防ぐ仕組みなども必要」と話している。



指針のポイント

▽ 労働者が安心して相談できる窓口を設置
▽ 労働者からの病状報告などを受けて、企業が支援計画を作成
▽ 無理なく働けるように時差出勤や短時間勤務、在宅勤務も検討
▽ がん告知のショックで早まって退職しないよう精神面に配慮


http://www.medwatch.jp/?p=7763
有床診の減少止まらず7864施設に、2016年度診療報酬改定の効果のほどは?―医療施設動態調査(15年12月)
2016年2月24日 MediWatch

 何度もお伝えしていますが、有床診療所が減少を続けています(関連記事はこちらとこちら)。2015年12月末には前月から41施設減少し7864施設となったことが、厚生労働省が毎月公表している医療施設動態調査から明らかになりました。


有床診、前月から41施設・596床減少
 厚生労働省は毎月、全国の病院・診療所の増減を「医療施設動態調査」として公表しています。

 2015年12月末の医療施設総数は、全国で17万8366施設。前月に比べて77施設減少しています。これまで「無床の一般診療所の増加」が続いていましたが、15年11月から12月にかけて無床診の増加は1施設に止まりました。一方、有床診療所や歯科診療所は前月から二桁の減少となっています。

 病院は8475施設で、前月から4施設減少しています。種類別に見ると、一般病院が7412施設で4施設減少、精神科病院は1063施設で前月から増減なし、都合、4施設の減少となっています。

 一般病院の中で、療養病床を持つ病院は3841施設(前月から1設減少)、地域医療支援病院は503施設(前月から3施設増加)という状況です。

 有床診療所は7864施設で、前月から41施設減少しました。8月末に8000施設を割り込み、その後も減少にまったく歯止めがかかっていません。

有床診療所の減少には歯止めがまったくかからず、2015年11-12月は減少に加速がかかっている
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 2016年度の診療報酬改定に関する答申を、中央社会保険医療協議会総会が2月10日に行いました。有床診に特有の改定項目としては、▽在宅復帰機能強化加算の新設(1日につき一般では5点、療養では10点)▽夜間看護配置加算の評価充実(加算1、加算2ともに5点引き上げ)―があり、このほか「認知症地域包括診療料・同加算の新設」や「処置に関する評価の充実」「診療所型認知症疾患医療センターとかかりつけ医が連携した取組の評価」などがあります。

 これらが4月から運用されますが、有床診の減少に歯止めがかかるのか注目したいところです。

一般病床、療養病床は前月から増加したが、長期的には減少傾向
 一方、病床数を見ると、2015年12月末の全病床数は167万1898床で、前月から737床減少しました。

 このうち病院の病床数は156万5530床で、前月に比べて141床減少しています。種類別に見ると、一般病床は前月から174床増えて89万3682床に、療養病床も71床増加して32万8803床となりました。ただし、長期的には平均在院日数の減少や医療の外来シフトなどによって、病床の必要数は減少傾向にあります。

 また有床診療所の病床数は前月から596床減少し、10万6294床となりました。減少ペースがやや早まっており、状況によっては2016年中に10万床を切る可能性もあります。

病院の病床数は、長期的に見ると減少傾向にある。ここ最近停滞していたが、また減少カーブを描きだした
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療養病床数は長期的に見ると、緩やかな減少傾向にある
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http://news.mynavi.jp/news/2016/02/24/081/
外国人が考える日本の医療費問題 - 「母国の5倍」「風邪の費用は半分」
  [2016/02/24] マイナビニュース

「日本のほうが医療費が高額」と答える回答者が多かった
体調が優れないときに病院やクリニックで診察をしてもらうのは万国共通といえる。日本のような皆保険制度では医療費が安く抑えられるが、各国で医療事情は異なり、国や地域によっては手術などを受けると法外な値段を請求されるケースもある。

そこで今回、日本在住の外国人20人に母国と日本の医療費の違いについて、具体的な金額なども含めて答えてもらった。

Q.  日本の病院の医療費(受診費)は母国と比べて高いですか、低いですか。風邪などの診療にかかった費用など具体例で説明してください

■日本のほうが高額
・「母国に比べては高いが、日本の収入からすると普通だと思う。風邪になった場合、診療から処方で保険が効いても1,000円。やっぱり母国に比べて高い」(韓国人/34歳/男性)
・「初診料、検査料が高い」(チェコ人/58歳/男性)
・「高いです。母国より5倍ほど高いです」(ウクライナ人/25歳/男性)
・「保険を考えると、やはり日本の方が高いと思う。保険をかけていない簡単な身体検査だけでも、何千円もかかってしまう」(中国人/28歳/男性)
・「非常に高いです。風邪のときも高いです。ベトナムでは処方箋がなくても薬を買うことができますので、風邪のときにお医者さんに行かなくてもいいです」(ベトナム人/36歳/男性)
・「日本の医療費は高いです。しかし、健康保険があるから結果的に母国と同じ費用になってます」(フィリピン人/35歳/女性)
・「高いと思う。風邪の診療の場合、日本は保険分を引いても3,000~4,000円かかるが、母国の場合は保険に入っていれば1,000円以内ですむから」(香港人/34歳/女性)
・「イギリスがタダですから、比べたら日本が高いです。国民保険を使っているので、受診費はほどよいと思います」(イギリス人/31歳/女性)
・「保険があれば、母国の方が安いです。風邪ぐらいなら診療は400円ぐらいです」(イラン人/28歳/女性)
・「会社員は医療保険があるので、とても良いと思いました。母国と比べて高いです」(ブルガリア人/33歳/女性)

■日本のほうが低額
・「健康保険があるから、安いです」(インドネシア人/36歳/男性)
・「低いです。というのは母国はタダですが、それは国立に限られており、私立に行くとすごく高いです。風邪は母国だと0円です」(ポーランド人/30歳/女性)
・「安いです。母国では健康保険は普及していないので、風邪にかかる費用は日本の倍です」(マレーシア人/31歳/女性)
・「日本における治療費は母国に比べて安いです。風邪の場合は健康保険を使えば2,000円以下の費用で受診できます。薬も安いです」(エジプト人/33歳/男性)
・「低いです。大病院~診療所(クリニック)まで病院の規模によって負担金が異なるんですが、母国は基本外来診察の場合は100~360元、急診は200~450元、歯科診療は150元~です。また、漢方も負担してます」(台湾人/30歳/女性)

■その他
・「昔、母国の病院は無料だったんですが、最近はいろいろ変わってよくわかりません」(ギリシャ人/33歳/男性)
・「入院したことがないのでわかりません」(フランス人/35歳/男性)
・「日本の病院はまだ通ったことがありません……」(シリア人/35歳/男性)
・「病気にもよりますが、風邪でしたら母国が安くて、ガン治療は日本の方が高い」(モンゴル人/39歳/女性)

■総評

結果を見ると、「母国よりも日本の医療費は高い」と答えた人の割合が多かった。日本では保険に加入していれば、検査や手術などにかかる費用(自己負担割合)は70歳未満なら3割ですむし、医療費が一定限度額を超えないようにする「高額療養費制度」という制度もある。かなり抑制されているように感じるが、世界には医療費がかからない国もあるため、1円でも払うとなれば「高い」と感じる人たちもいるようだ。

原則として医療サービスが無料の「国営保健サービス」と、治療費用が全額患者負担の「プライベート医療」のいずれかより医療機関を選択できるイギリスなどにみられるように、各国の医療体制は実にさまざまだ。海外旅行に行く際は、事前に当該国の医療サービスや医療費事情などを調べておくとよいだろう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/402265
元東大教授、「重大な詐欺」で懲役5年求刑
研究費の不正利用、被告・弁護側の反論採用せず

2016年2月24日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 元東京大学政策ビジョン研究センター教授の秋山昌範氏が、研究費を不正受給したとして詐欺罪に問われた裁判の第26回公判が2月24日、東京地裁(稗田雅洋裁判長)で開かれ、検察は懲役5年を求刑した。3月に弁護側の最終弁論が行われ、結審し、今夏に判決が出る予定。

 検察は、2009年度の長寿医療研究委託事業の委託費(以下、委託費)と、2009年度から2011年度の厚生労働科学研究費補助金(以下、科研費)について、秋山氏は、パストラルコンピューターシステム株式会社(PCSK)をはじめIT関連会社計6社(以下、関係会社)と共謀して、業務を行った事実はないにもかかわらず、あるように装って内容虚偽の納品書と請求書を発注、東京大学から1894万4400円、岡山大学から294万円、計2188万4400円を不正受給したことが詐欺罪に当たると主張。6社には5~10%の金額を支払い、約1949万円を秋山氏が実質的に経営していた「有限会社ARI」の運転資金に充てたとしている。

 論告求刑で検察は、委託費と科研費は公的な資金であり、適正使用が求められるとし、仮に調査報告書などの成果物があったとしても、発注先を偽ることは「重大な詐欺」に当たると指摘。秋山氏について、「全く反省するところがない」などとし、懲役5年を求刑した。

 これに対し、秋山氏および弁護側は、2015年3月の初公判から一貫して容疑を否認(『秋山・東大元教授、「私は無罪」と主張』を参照)。関係会社はプロジェクトマネジャーの役割を務め、ARIと共同して成果物として調査分析報告書を作成、同報告書は秋山氏がその後の研究を進める上で、重要な意味を持つなどと反論していた。2015年12月に計4回行われた秋山氏への本人尋問では、「私はいまだになぜここにいるのかが分からない」「検察官の取り調べでは、不当な捜査がされていたとずっと主張し続けた」と語った。24日の公判でも、「私は無罪。今回の研究費は、全て研究目的に使用した」と主張した。

 勾留期間は666日に及ぶ
 秋山氏は、2009年8月に東大政策ビジョン研究センター教授に就任。本事件の勾留期間中で、本裁判の初公判の直前の2015年3月6日、東大から懲戒解雇処分を受けた(『東大、秋山教授を懲戒解雇、研究費不正で』を参照)。本処分について、東大は「処分に対する弁明も代理人を通して行った」としているが、秋山氏は12月の本人尋問で、「処分に先立ち、弁明の機会を設けるよう求めたが、認められなかった」と証言している。

 本裁判で問題になったのは、東大政策ビジョン研究センター時代の研究。2013年7月25日に逮捕、同年8月14日に起訴された(『東大教授、研究費の詐欺罪で起訴』を参照)。保釈されたのは2015年5月20日で、勾留期間は666日に及んだ(『秋山元東大教授、逮捕から約1年8カ月で保釈』を参照)。

 東大、岡山大、IT会社から多数証人に
 公判は、2月24日で26回に及んだ。公判で証人した関係者は多岐にわたる。ARIの元社員2人、PCSKをはじめ計6社の関係者、委託費の研究分担者の岡大教授、科研費研究を受託するよう依頼を受けた名古屋工業大学の教授、東大と岡大の研究費の経理処理を担当する会計担当者、東大政策ビジョン研究センターの当時のセンター長や秘書、医療ITに詳しい新潟大学教授などだ。

 本裁判で問題になっていたのは、(1)関係会社は、ARIに「再委託」するための会社であり、見積書・仕様書・納品書・請求書等の作成を行ったにすぎないのか、あるいは業務を行った事実があるのか、(2)秋山氏は、関係会社が業務を行った事実があるか否かを認識していたかどうか、(3)関係会社が業務を行った事実がないとしても、納品物があれば、科研費等は支払われるか否か――の3点だ。

 ARIの元社員2人と関係会社の証人らは、総じて検察側の主張を支持する証言をしていた。これに対し、12月の秋山氏への本人尋問は、これらの証人と食い違う場面が多々あった。検察は、証人の証言について、相互の整合性が取れている上、当時のやり取りのメール等の内容と合致しているとし、「高い信用性が認められる」と採用。一方で、秋山氏および弁護人の反論は、客観的な根拠に欠け、曖昧などの理由から、信用性が低く、採用できないとした。またARIが研究を不正利用したのは、従業員2人の給与支払いを一時停止するほど、経営が悪化したARIの運転資金に充てるためだとした。

 (1)について、検察は、ARIの元社員2人と関係会社の証人らによる「研究には関与していない」との証言を採用、関係会社が「東大や岡山大から業務を受注して、それを行った事実はない」と結論付けた。証人は公判で、「名義貸し」「中請け」「スル―案件」「口座貸し」「商社機能」など、実にいろいろな言葉で、ARIに再委託をしたことを認めていた。科研費等の研究において、再委託は原則禁止されている。秋山氏から研究の話があった際、「ARIの名前は、出さないでもらいたい」「何もしなくていい」と言われたとの証言も出た。ただし、民間企業では、再委託はあり得る業務形態であるために、公的な研究費において再委託は原則禁止されていることを当時は知らず、「悪い」という認識に欠けていた証人もいた。

 (2)で検察は、秋山氏が、関係会社が業務を実施していないことを認識していたとした。その理由として、関係会社が見積書等の作成や大学への納品物の納品、ARIが納品物作成という役割分担をするよう指示していたことなどを挙げた。また検察は、秋山氏が東大教授就任時、ARIの役員を辞めたものの、実質的に経営しており、東大に兼業届を出しておらず、禁止規定に違反すると指摘、それを隠すために、間に関係会社を置いたなどとし、これらの事実からも、関係会社が業務を実施していないことを認識していたのは明らかだとした。

 (3)に関し、まず検察は、公的な研究費については、透明性のある適正な執行が求められるとし、目的外使用、不要な手数料の支払い、利益相反取引、架空発注、再委託などは認められず、不正行為があった場合には研究費返還の可能性があるとした。各研究者は、当該業務を実施する意思が認められるからこそ各業者に発注しているのであり、大学の会計担当者は各種書類でその確認を行っているとし、「受注業者が誰であるかについて、大学側は高い関心を持っている」とした。仮に納品物があったとしても、受注業者の名前が偽られているのであれば、研究費等の支払いはなされないと結論付けた。

 「なぜ被告と証人の証言が食い違うのか」
 2015年12月に計4回行われた秋山氏の本人尋問の最後日、12月22日の最後の時間に行われた、裁判官による尋問。裁判の争点に加え、なぜ各証人と秋山氏の証言が食い違うのかを質す場面が多々あった。

 裁判長とは、以下のようなやり取りがあった(発言内容の要旨。カッコ内は、編集部による補足)。

裁判長:PCSKのA氏は、結局、実際の作業はARIの元社員が実施したと証言している。
秋山:報告書作成でワープロを打つ作業は彼らがやった。ただし、報告書作成までの検討など、特にラディス(PCSKが開発していた物流システム)関係のことは、A氏と話し合わないと報告書は作成できない。
裁判長:A氏は、ARIの元社員との会議には参加したが、業務の中身については口出ししていないと証言している。
秋山:私の記憶とは違う。
裁判長:ARIの元社員も、2009年度の委託費の納品物は、(2009年12月19日に在宅医療の現場を見るための)新居浜視察に関する資料と秋山氏のレクチャーで作成し、A氏は関係していないと言っている。
秋山:全く認識が違う。
裁判長:ではなぜ元社員は、そう証言したのか。
秋山:分からない。私もそこが一番の疑問。

裁判長:新居浜視察は、証人(PCSK の役員、ARIの元社員)は、(岡山大の)委託費の研究とは関係するものではないと証言していた。事前に話していなかったのか(委託費の研究成果物は、新居浜視察などに基づく調査報告書)。
秋山氏:彼らの証言が嘘だと思っている。事前に、(委託費の研究を依頼した岡山大教授が作成した)パワーポイントは見せていた。
裁判長:パワーポイントは見ていたけれども、新居浜の視察は、エクスカリバー(秋山氏が開発していたPOSシステムを医療に応用したシステム)に関するものであり、委託費のためではなかったと証言している。
秋山:それは私の記憶と全く違う。誰が見ても、不自然だと思うが(視察翌日の12月20日に、岡山大教授と打ち合わせを実施)。
裁判長:12月22日に、(ARIの元社員がメールに書いていた)委託費の作業は、iPhoneを使ったシステムの概要等に関するものであり、現地調査報告書にはなっていない。これはなぜか。
秋山:その後に、ARIの元社員から「勘違いだった」とメールがあった。iPhoneはフラッシュに対応していないので、私は現時点ではシステムを作ることは難しいと考えていた。
裁判長:電話した際に、「iPhoneがフラッシュで対応していないなら、現地調査報告書でいい」と言わなかったのか。
秋山:私は、言ったと思う。
裁判長:ではなぜシステムのことを、ARIの元社員は話しているのか。
秋山:彼は頑固なので、システムを作りたいと考えていたのだろう。だから、後で謝っている。
裁判長:現地調査報告書を成果物にするという話はその段階で出たとは思えない。間違いなく言ったのか。
秋山:はい。



https://www.m3.com/news/general/402288
医師への退職勧奨「違法」 愛知・碧南市に賠償命令
2016年2月24日 (水)配信 共同通信社

 碧南市民病院(愛知県碧南市)の歯科口腔(こうくう)外科部長だった男性医師(61)が、パワーハラスメントがあったとの理由で退職を勧奨され、拒んだのに退職に追い込まれたとして、市に約4300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は23日、「自由な意思決定を妨げており違法」として市に約4100万円の支払いを命じた。

 倉田慎也(くらた・しんや)裁判長は判決理由で、病院側は退職勧奨を拒んだ医師が所属する大学医局の教授を通じて退職を求めたと指摘。「退職勧奨は自由意思で拒否できる。事実上の人事権を持つ医局に退職を勧めさせ、自由な決定を妨げた」とした。

 判決によると、2010~11年、市役所や新聞社に医師がパワハラをしたとの投書が届いた。医師は否定し詳しい調査を求めたが、病院側は調査せず退職を勧めた。医師は12年3月末で退職した。

 碧南市は「判決文が届いておらず、詳細を把握していない」としている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/402269
シリーズ: 降圧剤論文問題と研究不正
男性医師、イベント発生となるように加筆?ノバ社側尋問
ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第12回公判

2016年2月24日 (水)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 ノバルティスファーマ社の降圧剤を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員とノバ社に対する第12回公判が、2月23日に東京地裁(辻川靖夫裁判長)で開かれ、前日に続きKHS(Kyoto HEART Study)の事務局を務めた男性医師への弁護側による反対尋問が行われた。弁護側は男性医師が行ったデータの加筆について、「イベントと言うには難」という記述を削除するなど、イベント発生と判定されるような行為があったと示唆する質問をした。男性医師は検察側尋問に対して「もともとの結果に忠実に加筆した」と証言していた。

「イベントというには難」を削除
 2月1日公判の検察側主尋問で、男性医師は2009年4月にエンドポイント委員会で差し戻しとなった約40症例について、白橋伸雄被告に「何とかしてください」と言われ、当直の最中に加筆したと証言している(『「全て白橋氏がやってくれた」、府立医大医師』を参照)。ただ、「もともとの報告に忠実に加筆した」として、どちらかに有利になるような加筆はしなかったと強調していた。

 23日の公判で、弁護側は加筆の内容について追及。加筆は40例ではなく60例だと指摘した上で、入力データに「登録直後に冠動脈新規病変ありと診断。イベントと言うには難」と記載されている例を紹介。主治医の考えを男性医師に尋ねたところ、「主治医としては、登録前から病変があったとして、治療はしたが、イベントではないと判断されると思って報告しているのだろう」と述べた。その上で、弁護側は男性医師が行った加筆内容を「わずか半年後に狭心症の発作発現。ステント留置試行、狭窄度90%、半年後に狭心症発作出現」と指摘。「イベントと言うには難」という記述が削除されていた。

 弁護側が「これはイベントを肯定する方向か、否定する方向か」と尋ねると、男性医師はしばらく間をおいて、「否定する方向。『わずか半年後』という記述がある」と釈明。「イベントとしては難」を残すべきではと指摘されると、「その通り」と、肯定する方向に加筆されているのではと尋ねられると「私はそうは思いませんでした」とそれぞれ答えた。

 エンドポイント委員会から「入院を伴うか否か」というコメントがついた別の症例では、「うっ血性心不全、救急受診で入院加療」と加筆していた。弁護側の尋問に対し、男性医師は心不全のイベント発生基準に「入院加療」があることを知っていると説明。入院加療を付け加えた理由を「登録医は大学院時代に指導した部下。面倒くさがりやで、よほどのイベントでないと報告しない。報告する以上は、心不全入院はまず間違いなく、加筆した」として、主治医の判断を超えていないと述べた。いずれの症例もエンドポイント委員会でイベント発生と判断されている。

 「加筆がバルサルタン群に有利になったのでは」という指摘に対しては、「どちらの群かは分からなかった。間違えて加筆しても同等に影響が出るはず」と述べた。

「CASE-Jはあんな結果、学会幹部は苦々しい思い」

 弁護側は、東京慈恵会医科大学で行われた医師主導臨床試験「JIKEI HEART Study」(JHS)や京都大学で行われた降圧剤ARB「ブロプレス」に関する臨床試験「CASE-J」との関連についても質問。CASE-Jは、心血管イベントの発生などを主なエンドポイントとして、プロプレスと、CCB(カルシウム拮抗薬)のアムロジピンの2種類の降圧剤の有効性を検証した多施設の医師主導の臨床研究試験(『京大研究者「広告内容知らず」、CASE-J』を参照)。主要評価項目の複合系心血管イベントについては、両群に有意差がなかった。

 2007年7月の京都府立医大元教授の松原弘明氏と男性医師のメールのやり取りでは「JHSが立派なデータを出したのに、CASE-Jがあんな結果になり、日本高血圧学会の重鎮の先生方が苦々しく思っているような噂を耳にした」という記述があったと紹介。男性医師は「あんな結果とは、有意差が出なかったこと」と説明した。

 また、2009年6月の男性医師から松原氏へのメールでは「インパクトファクター(IF)ではEuropean Heart Journal が7.9、Lancetが28.6。ランセットは格が高く、JHSもLancetで発表しており、目標は高くいかがですか」とあったと指摘。このメールを書いた時の心境について「私はこんな立派な雑誌に投稿したことがなく、白橋氏に勧められて書いたメール。向上心のない私には関係ないが、(IFが高い雑誌に掲載されると)研究者として格が上がる」と説明した。

調査委に最新データを提供せず

 論文に疑義が呈された後、2013年に京都府立医科大が設置した調査委員会に対しては、男性医師がデータを提供していた。調査委員会報告書によると、提供された「web入力データ」は2009年1月21日に作成されたもの。しかし、データ管理会社からは2009年7月か8月ごろまで更新されたデータが送られてきていたことを明らかにした。最新のデータを提供すべきだったのではと問われると、「一番新しいファイルだと思って提出した。あわてて送付資料を作った」と述べた。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0238460.html
メーカー、MRI以外も受注 美瑛談合事件 4年で1億6千万円
02/24 07:10、02/24 08:15 更新 北海道新聞

 【美瑛】上川管内美瑛町の町立病院発注の磁気共鳴画像装置(MRI)の指名競争入札を妨害したとして、官製談合防止法違反容疑で同病院放射線技師矢野雅人容疑者(48)が逮捕された事件で、この入札で導入したMRIのメーカーが2010年以降、MRI以外にも高額の医療機器を次々と受注していたことが23日、同町への取材で分かった。受注件数は4年間で3件計1億6124万円に上り、道警捜査2課などは、ほかの入札についても発注の経緯を慎重に調べている。

 町によると、町立病院は《1》10年4月、コンピューター断層撮影装置(CT)を3286万円《2》11年4月、入札に不正があったとされるMRIを1億130万円《3》13年5月、透視診断装置を2707万円(いずれも税込み)―で購入。納入業者は一部異なるものの、いずれも同一メーカーの製品で、放射線科で使用する医療機器だった。予定価格に対する落札率は《2》《3》は99・9%で、《1》は不明という。

 旭川東署などによると、矢野容疑者は11年4月、町立病院のMRI発注に関する指名競争入札で、あらかじめ購入を決めていた医療機器メーカーの40代男性社員と共謀し、意中の旭川市の医療機器納入業者に予定価格を下回る卸売価格を告げて落札させ、入札の公正を害したとされる。



http://www.asahi.com/articles/ASJ2S6RJDJ2SULBJ017.html
医師会、異状死の届け出義務を明確化 医師法改正案公表
武田耕太2016年2月25日00時04分 朝日新聞

 医師に異状死の届け出を義務づけた「医師法21条」について、日本医師会は24日、届け出義務の対象について、医師が「犯罪と関係があると認めたとき」と明示する改正案を公表した。現在は対象があいまいで、医療現場が混乱しているなどの指摘を受けたという。

 改正案ではこのほか、医師の倫理に基づいて報告するのが基本理念とし、届け出義務に違反したときの罰則規定(50万円以下の罰金)を削除する、とした。

 医師法21条は、死体や、妊娠4カ月以上の死産児を検案して異常を認めたときには、24時間以内に警察に届け出ることを医師に義務付けている。福島県立大野病院で2004年、帝王切開手術を受けた女性が死亡した事故では、手術した医師が業務上過失致死と医師法21条違反の疑いで逮捕され、その後無罪判決を受けた。医師からは、異状死の範囲を明確にするよう求める声があがっていた。

 医師会は改正案を盛り込んだ提言のなかで、医師法21条は本来、殺人や傷害致死など重大な刑事犯罪の捜査の端緒を得やすくするために定められた、などとしている。

 昨年10月に始まった医療事故調査制度は、医師が「予期せぬ死」と判断すれば、第三者機関に届け出ることを求めている。医療界には医師法21条の届け出義務との整理を求める声もあり、今年6月までに、医師法21条のあり方も含め、制度を見直すことになっている。(武田耕太)



http://diamond.jp/articles/-/86878
知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴【第111回】
紹介状なしの大病院受診で
「5000円以上」上乗せが決まった理由

早川幸子 [フリーライター]
2016年2月25日 ダイヤモンドオンライン

 2月17日、TBSラジオの「荒川強啓 デイキャッチ」という番組に出演し、4月から始まる「紹介状なしで大病院にかかった場合の特別料金」についてコメントした。


 特別料金の導入について、番組に寄せられたリスナーの投稿から関心の高さが伺えたが、限られた時間のなかで伝え切れなかったことも多かった。

 本コラムでは、過去にも大病院の初再診料の特別料金については紹介しているが、4月からの制度開始を前に、改めて導入の背景にあるものを整理しておきたい。

新制度導入の目的は
金持ち優遇なのか?


 2月10日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)で、2016年度からの診療報酬(医療費の単価)が正式に決められ、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入」についても発表された。

 診療所や中小病院などの医師の紹介状(診療情報提供書)を持たずに大病院を受診した患者に対して、窓口での一部負担金に加えて、定額負担を義務化することが決定。定額負担の対象となる医療機関、金額など具体的な内容は次の通りだ。

○対象となる医療機関:
 ・特定機能病院
 ・一般病床500床以上の地域医療支援病院
 具体的には、高度な医療を提供している大学病院や国立病院機構、複数の診療科がある大きな民間病院など。

○定額負担の最低料金
 ・初診時5000円(歯科は3000円)
 ・再診時2500円(歯科は1500円)
 この金額は最低料金で、実際の金額は病院の裁量で決められる。

○例外規定
 ・緊急その他やむを得ない事情がある場合
 救急の患者、難病などで公費負担医療の対象になっている患者、無料定額診療事業の対象患者、HIV感染者。

 ・その他、定額負担を求めなくてもよい場合
 同じ病院内の他の診療科を受診中の患者、メタボ健診やがん検診などの結果で精密検査を受けるように指示された患者、症状が重くて受診後すぐに入院した患者、その病気を専門に治療する診療所が地域にない場合、新しい薬などの治験に協力している患者、災害で被害を受けた患者、など。

 今回の改正に対して、「金持ち優遇」「貧乏人は大病院に来るなといわんばかり」といった批判も出ているが、緊急時の例外規定なども設けられており、紹介状を持たない患者を何がなんでも大病院に寄せ付けない措置ではない。

 特別料金の負担の対象となるのは、軽症にもかかわらず、「大きな病院のほうが安心だから」「ブランド病院に通院したい」「いちばん近いから便利」など、個人的な理由で大病院を受診している患者だ。

 なぜ、国はこのような仕組みを作ったのだろうか。

勤務医の4割の労働時間が
過労死認定基準を超えている


 医療制度の国際比較をしたとき、日本の特徴のひとつとしてあげられるのが医療機関へのアクセスのよさだ。

 日本では、「いつでも、どこでも、だれでも」の標語に象徴される通り、健康保険証1枚あれば、規模の大小を問わず日本全国どこの医療機関でも受診できる。このような医療体制を敷いている国は、世界中どこを探してもない。

 この「いつでも、どこでも、だれでも」というシステムは、これまで「いつでも自分の好きなときに、好きな医療機関を自由に使ってよい」と理解されてきた。それが患者の大病院嗜好、設備の整った病院を好む傾向を生み、軽症・重症にかかわらず、大病院に患者が押し寄せる構図を作ってきた。

 この「フリーアクセス制」は、医療を利用する患者にとっては自由度が高く、便利なシステムだが、限られた医療資源を効率よく使うという観点では弊害も多い。

 大病院が専門性の高い治療に特化していれば、医療器材や人材も集中的に投入できる。だが、日本の現状は、軽症、重症にかかわらず、さまざまな患者に広く対応せざるを得ない状態なので、経済的にも、運営的にも、効率が悪い。

 そして、症状に関係なく大病院に患者が押し寄せることで、患者本人に悪気はなくても医療全体の効率を阻害し、病院で働く勤務医に過酷な労働を強いる原因になっていることは否めない。

 夜中の患者の急変や救命救急に対応するための当直、オンコールは当たり前で、24時間どころか、36時間連続勤務を行っている医師もいる。短時間の仮眠だけで、当直明けに十分な休養もとらないまま、通院患者の外来診療に当たるということが日常となっているのだ。

 実際、勤務医の4割が1週間60時間以上の労働をしているが、これは一般的に考えると残業が120時間で、過労死認定基準を超えた労働時間となる。また、宿直をした翌日も86.2%が通常通りに勤務しており、勤務医の過酷な労働環境が伺えるのだ(独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の4割が週60時間以上の労働 ~『勤務医の就労実態と意識に関する調査』調査結果~」より)。

 今は、大手メディアではほとんど報道されなくなり、「医療崩壊」という言葉も聞かれなくなったが、世間がその言葉を忘れただけで、勤務医の労働環境が根本的に改善されたわけではない。

 今日もどこかで、36時間勤務の疲れきった医師が患者の診療に当たっている。病院医療は制度的な保証ではなく、「現場医師のがんばり」という非常に脆いものの上に成り立っている面が大きいのだ。

 すでに医療現場が限界にきているところに加えて、目前に迫っているのが2025年問題だ。団塊の世代が75歳以上になると、医療を必要とする人が今まで以上に増え、病院のベッド数が足りなくなることが予想されている。

 そこで国が目指しているのが、「大病院は専門性の高い手術や抗がん剤の治療」「診療所や中小病院は慢性期の治療や日常的な健康管理」などと医療機関が役割分担をして、病院完結型の医療から、地域全体で患者を治し支える医療への転換だ。

 国民にも医療機関の利用方法を見直してもらう必要があるため、その対策として導入されたのが、4月から始まる紹介状なしで大病院を受診した患者への特別料金の義務化だったのだ。

特別料金による患者誘導に
大きな効果があるかは疑問


 こうした特別料金の導入は、今回がはじめてではない。すでに入院用のベッド数が200床以上の病院では、紹介状なしで受診した患者から特別料金を徴収してもよいことになっている。だが、特別料金を加算していた病院は、初診時45%と半数に満たなかった。

 さらに、2013年4月からは「低紹介初・再診料」という制度も導入された。高度な医療が必要ないのに患者の自己都合で通ってくる患者が多い大病院の初再診料を引き下げ、その分、患者に特別料金を請求するという制度だ。

 だが、この仕組みも患者を誘導する大きな手立てにはならず、今もまだ大病院の通院患者のうち6~8割は紹介状を持たずに受診している。

 そこで、今回、特定機能病院、ベッド数500床以上の地域医療支援病院には、特別料金の徴収を義務付けることでインパクトを与え、患者の誘導をはかろうとしたわけだが、露骨な誘導に不快感を覚えた国民も多いだろう。

 筆者自身も、限りある医療資源を有効活用するために医療機関の役割分担は必要だと思うが、お金を使った誘導には疑問を覚える。しかも、大病院が特別料金を徴収しても、さしたる効果はないことが報告されているのだ。

 2015年4月16日、全国医学部長病院長会議が発表した「選定療養費と外来患者数についての調査結果報告」では、次のような報告がある。

 《選定療養費の金額変更により、選定療養費算定患者数の減少、紹介率・逆紹介率上昇について一部確認することが出来ますが、金額変更はあくまでも一端であり、紹介・逆紹介の向上への取り組みを行っている病院が、数値に表れているかと思われます》

 つまり、紹介状を持たない患者から特別料金を取ることよりも、大病院と中小病院、診療所が連携して、患者を紹介しあう取り組みを行っている地域のほうが、医療機関の機能分化に貢献していることが報告されているのだ。

 また、2013年度の中医協の資料「入院医療等調査評価分科会調査と日本医師会・四病院団体協議会調査との比較について」では、医療機関の機能分化が進まない理由として次のようなことがあげられている。

 ・選定療養費(特別料金)をとっても、紹介状を持たない患者が多数受診する
 ・地域に連携できる医療機関が少ない
 ・患者数を確保するなど経営上の理由がある

 こうした問題を解決しないで、ただ患者から特別料金をとっても、本当の意味での医療機関の機能分化をすることはできないだろう。

 反対に、今回の制度は「お金さえ払えば、いつでも大病院で診てもらえる」といった誤解を与えることになりかねない。また、「たくさんお金を払っているんだから、早く診療しろ!」とモンスターペイシェント化する患者を増やすのではないかといった心配も生まれる。

 お金を使った誘導には限界があるし、新たな弊害も生む。前出の調査報告にもあるように、医療機関の役割分担を推進するためには、医療機関同士が連携を強めて、患者を紹介しあう仕組み作りが急がれる。

 時間はかかっても、制度変更の背景にあるものを患者に説明し、患者教育をしていくことが何よりも大切なことなのだと思う。

 勤務医の労働環境を含めた医療の実態が理解されれば、自律的に医療機関を使う患者は増えていくはずだ。そして、必要なときはいつでも大病院にかかれることがわかれば、安心もできる。

 そのためには、医療者を中心とした患者への説明が必要だが、患者もたんなる傍観者ではいられない。

制度導入の効果を検証し
きちんと国民に報告を


 日本の医療制度は、国民が支払う税金と健康保険料によって運用されている公共性の高い事業だ。医療者に負荷を与えすぎて病院が機能しなくなったら、いちばん困るのは医療を受けらなくなる国民だ。医療者だけではなく、国民も、限られた医療資源を有効活用するように心がけなければならないだろう。

 2014年に改正された医療法では、国民に対して、次のような責務が盛り込まれた。

 医療法 第六条の二の3
 国民は、良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携の重要性についての理解を深め、医療提供施設の機能に応じ、医療に関する選択を適切に行い、医療を適切に受けるように勤めなければならない。

 つまり、「いつでも好きなときに、好きな医療機関を使ってよい」というこれまでのフリーアクセスの概念を改め、「必要なときに、病状に合った医療機関を使う」といった考えに変えていく必要があるということだ。

 今回の制度改革は、決して、国民に「大病院に行くな」というメッセージではない。「いつでも大病院ではなく、その時の病気の症状にあわせて、医療機関を使い分けてください」というものだ。

 特別料金の徴収による患者の誘導に不快感を覚える人も多いはずだが、それだけ日本の医療制度が切羽詰っていることの表れでもある。

 診療所や中小病院で紹介状を書いてもらえば、大きな病院で必要な治療は受けられる。ちなみに、紹介状の正式名称は、診療情報提供書といい、書いてもらうには費用がかかる。ただし、健康保険が適用されるので、3割負担の人で750円、1割負担なら250円だ。

 いきなり大病院に行くよりも、自己負担する医療費も抑えられるので、まずは地域に信頼できるかかりつけの診療所を見つけて、今後は賢く医療機関を使い分けるようにしたい。

 そして、当然のことながら、国民に負担を強いる制度を導入した国の責任も問われる。

 2016年度の中医協の答申書の付帯意見には、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の影響を調査・検証し、外来医療の機能分化・連携の推進について引き続き検討すること」が付け加えられている。

 紹介状なしの大病院受信時の定額負担が、たんに病院の収入を増やすための施策ではなく、医療機関の役割分担を促すためのものであるならば、その効果を国民に報告する義務があるし、もしも効果が出ないということが政策の方向転換をしなければならないだろう。

 答申での約束通り、制度導入の効果があったのか否か、国民は報告を待っている。


  1. 2016/02/25(木) 06:07:13|
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