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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月11日 診療報酬改定

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2016-02-11/2016021104_01_1.html
診療報酬改定答申
「医療崩壊」再来招く
削減路線いっそう

2016年2月11日(木) 赤旗

 中央社会保険医療協議会が10日に出した2016年度診療報酬改定の答申は、安心・安全の医療を求める国民の願いに背き、入院でも外来でも在宅でも徹底した削減で、国民を医療から遠ざけようとする重大な内容です。

 答申の背景には、安倍内閣が「骨太方針2015」で、高齢化などによる社会保障費の自然増を毎年5千億円程度に抑えようという医療「構造改革」路線があります。

 安倍内閣は、すでに15年度までの3年間で1兆5千億円もの削減を行ってきました。16年度は介護・年金などで大きな制度改定がないため、診療報酬を狙い撃ちしました。1%を超える改定は、毎年2200億円の社会保障費削減を強行した小泉内閣以来10年ぶりです。

 「医療崩壊」後、全国で相次いだ医師不足や医療機関の縮小・撤退を復元する抜本的な報酬増は行われていません。しかも大企業優先のアベノミクスで、日本の「貧困大国」化は悪化しています。

 今回改定でさらなる病床削減や患者負担増を押し付ければ、社会問題化している「医療難民」を深刻化させるのは必至です。「新3本の矢」で掲げた「安心につながる社会保障」とは名ばかりというほかありません。

 しかも、参院選後には「入院部屋代の引き上げ・対象拡大」「75歳以上の窓口負担を1割から2割に引き上げる」などの負担増・給付減をねらっています。中医協では「(小泉内閣での)機械的削減が地域医療の崩壊をもたらしたのは共通の認識だ。既成事実化してはいけない」(日本医師会)との批判が出されています。安心・安全の医療を壊す安倍暴走政治は、国民との矛盾を広げるだけです。 (松田大地)

診療報酬改定の主なポイント
 ・重症者向け病床の要件を厳しくして削減
 ・紹介状なし大病院受診で、初診時5000円以上、再診時2500円以上を徴収
 ・かかりつけ医、かかりつけ薬局への報酬引き上げ
 ・後発医薬品の価格を新薬の原則5割に引き下げ
 ・湿布の処方枚数を1回70枚までに制限



http://www.asahi.com/articles/ASJ2C2H0XJ2CUBQU006.html
診療報酬、認知症診療、生活改善リハビリに手厚く
蔭西晴子

2016年2月11日07時45分 朝日新聞

 4月からの診療報酬改定では早期退院の後押しをする一方、在宅での医療を充実させる。増加が見込まれる認知症患者向けには、新たな仕組みが設けられた。

【フォーラム「どうする 最期の医療」第1回アンケート】
 65歳以上の認知症患者数は、2012年の462万人が25年には700万人に増えると推計される。別の病気で入院しようとしても、トラブルを起こすかもしれないと断られるケースがあり、入院を受け入れると最大で1日1500円を支払う加算を新設。認知症に詳しい医師と看護師、社会福祉士などからなる「認知症ケアチーム」をつくることを条件とした。

 ケアチームは退院後の支援も家族と考え、在宅復帰と介護サービスにつなげる。患者の自己負担は増えるが、取り組む医療機関が増えれば必要な時に必要な医療を受けられる環境が整うことになる。

 一方、集中的なリハビリを行う回復期リハビリテーション病棟には、成果が上がらなければ報酬を減らす仕組みを導入。リハビリ回数とADL(日常生活動作)の改善状況を3カ月ごとにみて、2回連続で一定水準の成果がなければ出来高払いで報酬を請求できる上限を下げる。
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http://www.asahi.com/articles/ASJ2C2FC4J2CUBQU001.html
診療報酬抑制へ「入院より在宅」 4月から
小泉浩樹

2016年2月11日07時46分 朝日新聞

 4月から医療機関に支払う治療や薬ごとの値段が10日、決まった。医療費を抑えるため、入院患者の早期退院を促して在宅での療養を誘導する内容となっている。かかりつけの医師や薬剤師の報酬は手厚くなる。将来を見据え、高齢者が必要な医療や介護を受けられる態勢づくりを目指す。

 診察料や薬代などの公定価格である診療報酬は2年ごとに見直され、中央社会保険医療協議会(中医協)=厚生労働相の諮問機関=が10日、2016年度の改定を答申した。政府は昨年末、14年度改定より薬代を1・33%減、診察料などを0・49%増とし、全体で0・84%引き下げると決定。中医協は、この範囲内で個別の値段を設定した。

 今回の改定では、大病院が重症患者の治療に専念できるよう診療所との役割分担を明確にしたうえで、かかりつけ医の普及を促す仕掛けをちりばめた。

 「こんにちは。眠い?」

 東京都国立市で診療所を営む新田国夫医師(70)は今月2日、市内の家庭を訪れ、ベッドで寝ていた岡田たけ子さん(94)に声をかけた。岡田さんは4年前、脊髄(せきずい)の神経が圧迫される病気で下半身がまひして歩けなくなった。新田さんは1~2週間に1回のペースで訪問する。自宅でのリハビリで、歩行器を使ってトイレに行けるまで回復した。

 昨年末、ショートステイ中に転倒して腰と頭を打った。連絡を受けた新田さんは診療所で診察し、連携する医療機関がCT検査をした。硬膜下血腫が見つかったが、入院の必要はないと判断。いまは硬膜下血腫はなくなったという。岡田さんの長女で大学教授の宣世(のぶよ)さん(66)は「先生のお陰で、働きながら在宅でやってこられた」と話す。

 団塊の世代がすべて75歳に達する25年には、全人口に占める75歳以上の割合が今の12%から18%になる。このままでは医療を受けられないお年寄りが続出しかねないため、厚労省は患者の早期退院を促し、在宅で療養してもらうよう地域で連携して患者を支える医療体制を描く。実現へのカギを握るのが、患者を継続的に診察しており、必要に応じて訪問治療をし、ほかの医療機関につなぐかかりつけ医の普及だ。

 今回の改定では、認知症で高血圧症などの疾患がある人を診察するかかりつけ医への「認知症地域包括診療料」(1万5150円)を新設。在宅専門の診療所の設立も新たに認めた。

 ただ、狙い通りになるかは不透明だ。日本医師会幹部は「医師は専門領域がある。一人の医師が専門でない分野を含めて診る仕組みに無理がある」と指摘。総合的な知識が求められるかかりつけ医の普及に疑問を投げる。

 14年度の前回改定では、三つの生活習慣病と認知症のうち複数を患う患者のかかりつけ医を対象に、月ごとにまとめて報酬を払う定額制の診療料を新設。だが、14年7月時点で請求した医療機関は122施設で、18府県ではゼロだった。

●薬飲み残し減へ指導

 服薬状況を継続して一元的に把握するかかりつけ薬剤師には、服薬指導の報酬として700円が新たに支払われる。多重投与や残薬というムダを省く狙いだ。

 鹿児島県南九州市の「しんまち薬局」に昨年5月、中年夫婦が大量の薬を入れたタンスの引き出しを持ち込んできた。市内の夫の実家に帰省した際、80代の両親の飲み残しに気づいた。父親は毎日17錠、母親は21錠を飲んでいたという。

 相談を受けた薬剤師の上野泰弘さん(58)は、複数の薬局で調剤していた薬を一括して引き受けた。曜日ごとに棚を分けた「お薬整理箱」をつくり、計10錠ほど減らした。切れる前に受診を促す連絡をすることで飲み残しもなくなった。

 近接する特定の病院の処方箋(せん)を95%超扱う「門前薬局」への報酬は減らす。東京都港区の大手薬局チェーン「クオール薬局高輪店」は基準にひっかかりそうだ。そこで先月から、患者からファクスで処方箋を受けて来店前に薬を用意するサービスを知らせる案内を置いてもらえるようほかの近隣病院に営業に回る。

 また、後発医薬品(ジェネリック)の普及を促すため、新たに保険適用する際の価格を原則として先発薬の6割から5割に下げる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/398226
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「かかりつけ薬剤師」の有無で点数に大差
「月4万回超」の大型チェーン薬局にもメス

2016年2月11日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度診療報酬改定で、大きな影響を受けるのが、保険薬局だ(資料は、厚生労働省のホームページ)。かかりつけ薬剤師・薬局の評価が目玉であり、大型の門前薬局に対しては従来以上に締め付けを強化する。薬という「対物」の業務よりも、患者への服薬指導という「対人業務」を評価するのが基本的考え方(『「薬局改革の元年」、2016年度改定』を参照)。

 かかりつけ薬剤師を配置し、患者への服薬指導等を行っているか否かで、改定による影響は大きく変わってくるのが特徴だ。

 服薬指導等を評価する点数としては、「薬剤服用歴管理指導料」があるが、今改定で「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が新設される。これらは、かかりつけ薬剤師が行う業務を評価する新点数で、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で、服薬指導等を行う場合に算定できる新設の点数だ。

 「かかりつけ薬剤師指導料」は出来高の点数で1回70点。「かかりつけ薬剤師包括管理料」はユニークな点数で、医療機関が算定する「地域包括診療料」「地域包括診療加算」、今改定で新設された「認知症地域包括診療料」「認知症地域包括診療加算」のいずれかを算定する患者を対象とする。包括点数で1回270点(時間外等加算など、一部の点数以外は、出来高算定不可)。いずれも患者1人に付き、かかりつけ薬剤師は1人。当該患者の署名付きの同意書を作成することが必要だ。

 一方、「薬剤服用歴管理指導料」は、現行の41点から、過去6カ月以内に処方せんを持参した患者の場合は38点、それ以外の患者では50点に変更。この見直しは、「お薬手帳」を持参して服薬指導を受ける患者の負担軽減が目的だ。

 調剤基本料に対する基準調剤加算も、現行は「加算1」12点と「加算2」36点の2体系だが、改定後は一本化され32点になり、施設基準も見直す。同加算は、「かかりつけ薬剤師指導料」または「かかりつけ薬剤師包括管理料」の届出を行っていることなどが前提。

 さらに、「かかりつけ薬剤師指導料」をはじめ、かかりつけ機能に関連する点数を「過去1年間、一定数算定していない保険薬局」の場合、調剤基本料の50%の額しか算定できなくなる(適用は、2017年4月1日から)。

 いわゆる門前薬局に対しては、処方せん受付回数・集中率による現行の調剤基本料の特例範囲を拡大し、集中率をかかわらず、「特定の医療機関からの処方せん受付回数が月4000回以上」を対象に追加。「全体の処方せん回数が月4万回超」の薬局グループに属する薬局のうち、特定の医療機関からの集中率が95%超の薬局などの調剤基本料を引き下げる。

【2016年度診療報酬改定◆調剤報酬の主要改定項目】

◆かかりつけ薬剤師の評価
・かかりつけ薬剤師指導料の新設:70点(1回につき)
 施設基準は、(1)保険薬剤師として3年以上の薬局経験勤務、当該薬局に週32時間以上勤務、施設基準の届出時点で当該薬局に6カ月以上在籍、(2)薬剤師認定制度認証機構の研修認定等を取得(適用は2017年4月1日から)、(3)医療に係る地域活動に参画――の全てを満たす保険薬剤師を配置していること。
・かかりつけ薬剤師包括管理料の新設:270点(1回につき)
 「かかりつけ薬剤師指導料」の施設基準と算定要件を満たしていることが求められ、「地域包括診療料」「地域包括診療加算」「認知症地域包括診療料」「認知症地域包括診療加算」のいずれかを算定している患者が対象。さらに調剤の都度、患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案することが求められる。(1)時間外等加算、夜間・休日等加算、(2)在宅患者の調剤加算、訪問薬剤管理指導料、緊急訪問薬剤管理指導料、緊急時等共同指導料、(3)退院時共同指導料、(4)薬剤料、特定保険医療材料――以外は算定不可。
・基準調剤加算の施設基準の変更
 現行は「加算1」12点、「加算2」36点だが、「かかりつけ薬剤師指導料」または「かかりつけ薬剤師包括管理料」の届出、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーなどの要件を追加し、「基準調剤加算」32点に一本化。さらに「調剤基本料1」への加算に限定。
・調剤基本料の見直し
 「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」「重複投薬・相互作用防止等加算」「在宅患者訪問薬剤管理指導」等を、1年間一定数算定していない薬局については、2017年4月1日から、調剤基本料を100分の50とする(処方せん受付枚数が月600回以下の薬局を除く)。

「かかりつけ薬剤師指導料」の算定要件
1. 患者が選択した保険薬剤師が患者の合意を得た上で、同意を得た後の次の来局時以降に算定。
2. 同意については、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、その旨を薬剤服用歴に記載。
3. 患者1人に対して、1人の保健薬剤師のみがかかりつけ薬剤師指導料を算定できる。かかりつけ薬剤師以外の保険薬剤師が指導等を行った場合は当該指導料を算定できない。
4. 手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称を記載。
5. 担当患者に対し、次の業務を実施。(1)薬剤服用歴管理指導料に係る業務、(2)患者が受診している全ての保険医療機関、服用薬等の情報を把握、(3)当該患者から24時間相談に応じる体制を取る、(4)調剤後も患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案する、(5)必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を実施。

◆薬学的管理・指導の充実
・薬剤服用歴管理指導料の見直し
 現行は41点だが、「原則過去6カ月以内に処方せんを持参した患者」38点、「それ以外の患者」50点に変更。

◆医薬品の適正使用の推進
・重複投薬・相互作用防止加算の見直し
 現行は医療機関に疑義照会を行い、(1)処方変更があった場合:20点、(2)処方変更がなかった場合:10点――だが、改定後は、(2)を廃止し、(1)を30点に変更。
・ブラウンバックの活用の評価、分割調剤の導入
 「外来服薬支援料」185点の施設基準を見直し、あらかじめ保険薬局への服用中の薬剤等を持参する動機づけのために薬剤等を入れる袋(いわゆるブラウンバック)を配布する取り組みを通じた管理も評価。
・処方せんの指示に基づく残薬に伴う日数調整の実施
 処方せんに、薬局で残薬を確認した場合、(1)医療機関へ疑義照会した上で調剤、(2)医療機関へ情報提供――のいずれかの対応をするよう、医師が指示する欄が新設される。薬局は、それに従い、対応することが求められる。

◆門前薬局の評価の見直し
・調剤基本料の特例の拡大
 調剤基本料2:25点:「処方せん受付回数月4000回超、かつ集中率70%超」または「月2500回超、かつ集中率90%超」 ⇒ 改正後は「月2000回超、かつ集中率90%超」または「特定の医療機関から月4000回超」(集中率を問わない)に変更。
 調剤基本料3(新設):20点:グループ全体の処方せん受付回数が月4万回超で、「処方せん集中率が95%以上」または「特定の医療機関との間で、不動産の賃貸借取引がある薬局」が対象。
・調剤基本料の特例対象からの除外要件の見直し
 上記の特例は、「24時間開局している」ことを条件に除外されるが、改定後は、この要件を廃止する代わりに、(1)当該薬局に勤務している薬剤師の5割以上が「かかりつけ薬剤師指導料」または「かかりつけ薬剤師包括管理料」の施設基準に適合した薬剤師である、(2)「かかりつけ薬剤師指導料」または「かかりつけ薬剤師包括管理料」にかかる業務について、相当の実績を有する――が除外要件となる。



https://www.m3.com/news/iryoishin/398595
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
横倉日医会長、「2016年度改定の5つのポイント」
2018年度改定に向けて「たすきつなぐ」役割

2016年2月10日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会会長の横倉義武氏は、2016年度診療報酬改定の答申を受けて2月10日に会見した。今改定の位置付けについて、「地域包括ケアシステムの構築をバックアップする改定」と評するとともに、社会保障・税一体改革の第一歩が2014年度改定であれば、今改定はその改革を継続する一歩であり、2018年度の医療と介護の同時改定に向けて「たすき」をつなぐ役割を果たすとの見方を示した。

 改定の総論としては、地域包括システムの構築に向け、「地域の医療資源を有効活用しながら、必要な財源を配分することが重要」であるとし、今改定は、前回の改定に引き続いて少ない財源の中、「それなりの評価ができたのではないか」とコメント。

 改定の各論については、5つのポイントがあると説明。(1)患者の身近な診療所や中小病院のかかりつけ医のさらなる評価、(2)在宅医療の推進、(3)入院の機能分化、(4)医療技術の適正評価、(5)医薬品の適正使用――だ(文末参照)。

 今改定は、認知症対策などの重点分野は評価された一方、初再診料をはじめ、基本診療料は据え置かれた(『初再診料は据え置き、2016年度改定を答申』を参照)。横倉会長は、「右肩上がりの経済成長の時代であれば、より強い要求ができるが、今回はそれができなかったため、基本診療料の引き上げが十分にできなかった」と認めたものの、一方で、政府との交渉の過程で一番望んでいたのは、薬や材料などの「モノ」から「ヒト」の評価への転換であるとし、手術などの技術料は一定の評価がなされたことに理解を求めた。

 今改定の中で、医療現場への影響が最も大きいのは、一般病棟7対1入院基本料の要件の厳格化だ(『7対1病棟の重症者割合、25%に引き上げ』を参照)。横倉会長は、「高齢化に伴う疾病構造の変化に対応し、急性期後の受け皿病床への転換を促す必要性については理解しているが、急激な見直しによる医療現場の混乱で、最終的に不利益を受けるのは患者、国民」と指摘。「重症度、医療・看護必要度」の評価項目が見直され、該当患者割合の要件は「15%以上」から「25%以上」に引き上げられた。病棟群単位で入院料の届出を行わない200床未満の病院については、経過措置として2年間は「23%以上」とされたことは評価したものの、「医療現場への影響をしっかり検証した上で、必要であれば、期中に対応を行うべきだと思う」とし、2018年度改定を待たずに、何らかの措置を行う選択肢に含みを残した。

 横倉氏は、「今後さらに財源は厳しくなることが予想されることから、医療と介護の同時改定に向けて早々から検討を開始しなければならないと思っている」とも述べ、そのためにも改定の影響検証を行う必要性を強調した。

 日薬会長「かかりつけ薬剤師は新機軸」
 10日の改定は、日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会の合同記者会見、続いて日医、四病院団体協議会の合同記者会見が行われた。

 日本歯科医師会会長の山科透氏は、「長期低迷している歯科医療の環境から言えば、限られた財源の中で、十分満足できるものではないが、幾つかの点で特色があり、期待できる」と述べ、口腔機能の維持向上により、健康寿命の延伸、患者のQOL向上を進めるという方向性が示されたことなどが評価できるとした。

 日本薬剤師会会長の山本信夫氏は、調剤報酬に対して厳しい目が向けられている中で、医科:歯科:調剤の財源配分率は従来通り、「1:1.1:0.3」が守られたことを評価。大型の門前薬局については見直しを行う一方、「かかりつけ薬剤師」という新しい基軸が打ち出されたことについて、「2025年に向けて、医薬分業を本来の姿に戻すという、強いメッセージが打ち出された」と受け止めた。


2016年度診療報酬改定を受け、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3師会合同で会見を実施。続いて、四病協との合同記者会見も実施(『7対1の要件厳格化、病院団体幹部が危機感』を参照)。

【横倉会長が挙げた2016年度改定の5つのポイント】(発言要旨)

1.患者に身近な中小病院やかかりつけ医のさらなる評価
 前回改定で新設された地域包括診療料・加算の要件緩和のほか、認知症と小児について、かかりつけ機能の評価が拡大された。前回改定では大病院の紹介率、逆紹介率を引き上げ、この規定を満たさない病院の長期処方に関する処方料、処方せん料、薬剤料の減算措置を設けるなど、大病院から診療所や中小病院への外来患者の誘導策が講じられた。今回の改定では、法律改正に伴い、医療機関相互の機能分担と連携推進のため、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院に定額負担が導入された。外来機能の分化を進めていく中で、かかりつけ医機能を強化し、今後の改定でもさらなる評価を求めていく。

2.在宅医療の推進
 地域包括ケアシステムの確立において、在宅医療の推進は極めて重要。前回改定では、在宅医療の不適切事例に対応するための改定が行われたため、地域医療の現場において、在宅医療に真摯に取り組んでいる先生方のモチベーションを下げるような対応がなされた。今改定では、「同一建物居住者」の定義の見直しや、同一建物の訪問人数についての評価の細分化が実施されたことは一定の評価。
 また今回は在宅医療を専門に行う診療所を一定の要件の上で認めた。超高齢社会を迎え、地域包括ケアシステムをより効果的に機能させるためも、在宅医療を担うかかりつけ医をバックアップするために、在宅医療を専門に行う診療所を排除するのではなく、その活用も視野に入れていくことが必要。地域包括ケアシステム推進の中で、積極的に地域医師会と協力して地域医療を守ってもらいたい。

3.入院の機能分化
 前回に続き、7対1入院基本料の要件の厳格化が実施された。高齢化に伴う疾病構造の変化に対応し、急性期後の受け皿病床への転換を促す必要性については理解しているが、急激な見直しによる医療現場の混乱で、最終的に不利益を受けるのは患者であり、国民。一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」を急性期の患者特性を評価する項目に見直した上で、該当患者割合は15%以上から25%以上に引き上げられた。200床未満で、病棟群単位の届出を行わない病院については、経過措置として2年間は23%とされたことは一定の評価をしているが、医療現場への影響をしっかり検証した上で、必要であれば、期中に対応を行うべきだと思う。病棟群単位による届出が可能になったことは、評価をしている。 また看護職員の月平均の夜勤時間数の計算方法が医療現場の実情に合った形になったことも評価している。支払側や日本看護協会が懸念するように一部の看護師の負担増にならないよう、医療界としても留意する必要がある。

4.医療技術の適正評価
 手術報酬に関する外保連試案に基づいて、手術料の見直しが行われたことは評価している。また各学会から提案され、医療技術評価分科会で評価された新規技術および既収載技術の再評価が行われ、少な財源の中、医師の技術が評価されたことは評価できると受け止めている。

5.医薬品の適正使用
 服薬管理を行う医師から見て、長期処方が原因で患者や家族による薬剤管理が難しくなる場合があり、残薬の原因の一つになっている。今回の改定の対応により、薬剤師との連携を通じて、処方の見直し、より適切な服薬指導、薬剤管理が行われることを期待する。また高齢者における薬物治療に関するエビデンスが蓄積されてきており、学会等の最新の知見を踏まえて医師が適切に処方することが求められると認識している。なお、薬剤師との連携を通じた処方の見直しにより、処方日数や重複処方の改善につながると思っている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/398787
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
調剤「一人負けではない」、日薬会長
財源比率「なんとか守れた」と一定評価

2016年2月11日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 2016年度診療報酬改定の答申を受け、日本薬剤師会の山本信夫会長が2月10日に会見し、「厳しい調剤批判の中、薬剤師、調剤の一人負けとの声もあるが、かかりつけ薬剤師という新しい切り口の中で、調剤報酬を一定程度評価いただいた」と総括した。山本会長は、医科・歯科・調剤の財源比率で調剤0.3を「何とか守れた」とし、診療報酬本体の調剤の改定率がプラス0.17だったことなどを評価。一方で、大型門前薬局の調剤報酬見直しについては、「忸怩たる思い」と述べた。

 山本会長は今改定について、「2025年の地域包括ケアに向けた、大きな方針が示された。力強いメッセージのある改定だった」と述べ、特に評価できる点として「かかりつけ薬剤師」という新たな概念に基づく点数の設定を挙げた。

 「かかりつけ薬剤師指導料(1回70点)」と「かかりつけ薬剤師包括管理料(1回270点)」が新設されたことについて、「薬局や施設ではなく、薬剤師が調剤料以外の評価項目になったのは今回が初めて」と指摘。患者の署名付きの同意書や薬剤師の勤続年数、研修認定の取得などの要件が課せられたことについても、「見た目の要件は高めだが、薬剤師の地域医療提供体制への参画という観点からも努力すべき目標だ」として、方向性を支持した。

 現行制度でも、高齢の慢性疾患の患者など、ゆるやかな担当制で「かかりつけ薬剤師」がいるケースは少なくない。今改定で患者負担増の可能性を指摘されると、山本会長は「余計に払ってもいいと患者が思えるような仕事を薬剤師ができるようにしないといけない」と指摘。「全ての患者がかかりつけ薬剤師を持つことが望ましいと思う」として、国民の理解を得ながら「かかりつけ薬剤師」を普及すべきだと主張した。

 基準調剤加算では、在宅訪問の実施や開局時間、相談時のプライバシーの配慮などの要件の見直しも行われた。山本会長は、「かかりつけ機能の重視の観点から、できるだけ多くの薬局が基準に達する取り組みを」と積極的な対応が必要だと指摘。在宅医療については、「在宅患者訪問薬剤管理指導料」の算定制限が緩和されるなど、「在宅にさらに参画せよとの国の期待がある」とした。

 後発医薬品の評価見直しについては「多くの薬局で厳しい内容だ」と指摘。政府の後発医薬品の普及目標が上がったことで、薬局の「後発医薬品調剤体制加算」の要件が10%ずつ上がったことで、「なお努力が必要だ」とした。

 今回の改定では、調剤に関する項目で要件の見直しや評価の引き下げがあった一方、薬学管理料の評価が手厚くなった。この点について、山本会長は「国としても調剤ではなく対人業務を評価するという方針が示された。本当に必要なところに財源が行くことが必要で、薬剤師の本来の仕事ができるようにするのが重要だ」と発言。調剤報酬の半減を求める声もある中で、改定結果は「一定程度の評価ができる」と繰り返した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/398236
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
認知症患者、小児のかかりつけ医、評価を新設
地域包括診療料、「常勤医2人」に基準緩和

2016年2月11日 (木)配信 成相通子(m3.com編集部)

 2016年度診療報酬改定では、外来の機能分化・連携の推進のため、かかりつけ医の評価を強化する。紹介状なしの受診時に定額負担の徴収を導入する大病院に対し、患者がアクセスしやすい中小病院や診療所で、患者を継続的に全人的な医療を提供する「かかりつけ医」の普及を目指す。

 複数疾患がある認知症患者の主治医機能の評価として、「認知症地域包括診療料・加算」を新設するほか、3歳未満の小児が継続して受診する場合に「小児かかりつけ診療料」が算定できるようになる。また、「地域包括診療料・加算」の施設基準では常勤医師を3人から2人に減らすなどして緩和し、届出機関の増加を狙う(『かかりつけ医を重点評価、小児も対象に』を参照)。

 かかりつけ薬局・薬剤師やかかりつけ歯科医についても、診療報酬上で定義し評価する(『「内服薬2種類以上、減少」で250点』を参照)。

【2016年度診療報酬改定◆かかりつけ医の評価に関する主要改定項目】


◆認知症地域包括診療料・加算の新設

 現行の「地域包括診療料・加算」は、「高血圧症」「脂質異常症」「糖尿病」「認知症」のうち2疾患以上ある患者が対象だが、新設の「認知症地域包括診療料・加算」は、認知症以外に1以上の疾患がある患者が対象。施設基準は「地域包括診療料・加算」と同じだが、投薬の制限があるのが異なる点だ。「認知症地域包括診療料・加算」は、1処方で内服薬が5種類以下、そのうち抗精神薬は3種類以下であることが必要だ。

 「地域包括診療料・加算」よりも10~12点高い点数設定だ。従来、「認知症」を含む2疾患以上で「地域包括診療料・加算」を算定し、内服薬の要件を満たす患者については「認知症地域包括診療料・加算」の算定が可能。

◆小児かかりつけ診療料

 3歳未満の患者のかかりつけ医を評価するのが新設の「小児かかりつけ診療料」だ。継続的に受診していることと、患者の同意が必要。原則的に1カ所の医療機関のみ算定可能で、他の医療機関と連携の上、受診医療機関を全て把握し、必要に応じて紹介なども行う。健診歴や健診結果、予防接種歴を把握した上での指導や助言、患者の電話等の問い合わせに対応することが求められる。

 施設基準は、「小児科外来診療料」と「時間外対応加算1・2」の届出があり、小児科または小児外科の専任常勤医の配置のほか、定期接種や初期小児救急への参加などの6つの要件に3以上該当すること。3歳未満で算定したことのある患者は、未就学児の間、算定できる。点数は処方せんを交付する場合は初診時602点、交付しない場合は712点、再診時は初診時より189点低い。

◆地域包括診療料・加算の施設基準を緩和

 「地域包括診療料・加算」は2つの施設基準を緩和する。病院に関する2次救急指定病院等の要件は廃止し、常勤医師数は3人以上から2人以上に引き下げる。

◆かかりつけ歯科機能の評価

 歯科では、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の評価を新設するほか、在宅歯科医療と医科歯科連携を推進する。かかりつけ歯科医機能強化型診療所は、複数の歯科医師や歯科衛生士の配置、歯科訪問診療料の届出があること、在宅療養を担う医師や介護関係者との連携体制の整備などを要件に、う蝕や歯周病、口腔機能の重症化予防を評価。また、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を新設や栄養サポートチームへの歯科医師の参画に加算を設定する。現行の「在宅かかりつけ歯科診療所加算」は、施設基準を緩和した上で「在宅歯科医療推進加算」に名称変更する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/398778
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
7対1の要件厳格化、病院団体幹部が危機感
ネットの改定率「マイナス」の影響も懸念

2016年2月11日 (木)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 日本医師会と四病院団体協議会は2月10日、2016年度診療報酬改定に関し、合同で記者会見をした。各団体トップが共通して言及したのは、7対1入院基本料の要件厳格化に伴う病院経営への影響であり、データを蓄積し、検証していく必要性を訴えた。日医会長の横倉義武氏は、病院経営の現状の厳しさを挙げ、「医療現場への影響をしっかり検証した上で、必要であれば、期中に対応を行うべきだと思う」と発言し、次期2018年度改定を待たずに何らかの対応を講じる選択肢もあり得るとした。

 改定率については、診療報酬本体の0.49%増を評価しつつも、「ネットではマイナス」との指摘が上がった。改定内容に関しては、「少子高齢化の中で、機能分化と連携、入院から在宅、あるいは介護という流れがあり、その特徴がよく出た改定」(全日本病院協会会長の西澤寛俊氏)、「非常に良く考えられた、また計算もされた改定」(全日病副会長の猪口雄二氏)との評価で、2025年の医療提供体制の構築に向けて、重点施策に手厚い改定がなされたと受け止めた(『初再診料は据え置き、2016年度改定を答申』参照)。

 日医副会長の中川俊男氏は、中医協委員として総会で議論した立場から、7対1入院基本料をめぐる議論について、「7対1病床の削減、イコール改革ではないということを訴えたが、なかなか伝わらなかったのは残念」と振り返った。

 7対1入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の25%以上という要件について、「25%という数字が本当に妥当だったのか」と問いかけたのは、日本病院会会長の堺常雄氏。「ぜひ適切な早い時期に実態調査を行い、検証する必要がある」と求めた。ただ、病院経営においては、10対1入院基本料への転換を判断しても、実際に転換するにはタイムラグが生じるとし、検証に当たってはこの辺りも踏まえることが必要だとした。

 西澤会長も、「10対1入院基本料に移行しても、看護職員をすぐに減らすことはできない。7対1入院基本料の人員配置で、10対1入院基本料の点数しか算定できないことになる」と経営の厳しさを訴え、特に同協会会員に多い中小病院への影響を懸念、検証の必要性を指摘した。また「重症度、医療・看護必要度」の評価項目は救急医療や外科系が中心であるとし、「内科系の中小病院が、7対1入院基本料を取りにくくなる。25%という基準を満たさなければ、急性期とは言えないのかを検証していくことが必要」と述べた。個人的には「重症度、医療・看護必要度」を他の方法に変えるべきと考えているという。

 日本医療法人協会会長代行の伊藤伸一氏は、7対1入院基本料の要件厳格化に伴い、要件を満たしている施設には、より重症の疾患が集まるようになると予想されることから、「もう少し加点を考えてもいいのではないか」と、次回改定での検討を要望した。

 7対1入院基本料の「重症度、医療・看護必要度」は、2014年度診療報酬改定でも見直された。中川副会長は、「朝令暮改の診療報酬改定は、現場の混乱をもたらす」と指摘。支払側は、今回改定された「重症度、医療・看護必要度」と「在宅復帰率」に加え、平均在院日数も含めた、「3点セット」での見直しを求めており、今改定以降の対応を慎重に行わなければ、次回改定でさらに7対1入院基本料の要件が厳しくなる可能性は否定できない(『支払側、「全体は評価」、個別に懸念も』を参照)。


日医と四病協の合同記者会見は、日医と三師会の合同記者会見に続いて実施された(『横倉日医会長、「2016年度改定の5つのポイント」』を参照)
 「ネット改定率はマイナス」
 日医と四病協の会見は、日医と三師会の合同記者会見に続いて実施(日医と三師会の会見内容は、『横倉日医会長、「2016年度改定の5つのポイント」』を参照)。四病協の各団体代表と、中医協委員の医科の5人の委員が出席した。

 今改定率は、診療報酬本体は0.49%増(うち医科は0.56%増)、一方、薬価改定は1.22%減、材料価格改定0.11%減のほか、特例の市場拡大再算定など「外枠」の部分の改定があり、改定率を診療報酬本体のみで語るか、あるいはネットの改定率に触れるとしても、どの数字を使うかを注視していく必要がある。堺会長と西澤会長は、いずれも「ネットマイナス」に言及した(『「2回連続のマイナス」、2016年度改定率決定』を参照)。

 堺会長は、「本体部分は0.49%のプラスとなったのは評価できるが、(薬価等の改定を差し引いた)ネットではマイナス。各病院がそれぞれに見合うよう病院機能を充実させるためには投資が必要。医療経済実態調査でも分かるように増収減益が現状であり、かなり厳しい状況」との認識だ。

 西澤会長も、「診療報酬本体については、前回改定は0.1%、今回改定では0.49%であり、かなり厳しい財政の中で、これだけ本体がプラスになった点は評価するが、一方、ネットで見ればマイナス。どの程度、我々の経営に響いてくるかは未知数であり、この辺りが懸念として残っている」と述べた。

 伊藤会長代行は、「大変状況的に厳しい改定だと思っている。他業種との比較を考えると、医療においても職員の給与を上げなければいけないが、医科の0.56%では引き上げは厳しい状況であり、ひいては地域の医療機関の存続にかかわる状況を生み出す可能性もあると考えている」と厳しさを訴えた。

 「病棟群単位」の届出、経過措置扱いに疑問
 具体的な改定項目として、言及された一つが、7対1入院基本料から、10対1入院基本料に変更する際に限り、病棟群単位の届出が認められた点。

 堺会長は、もともと日病の提案であり、「病床の機能分化が進められる中で、一つの病院が一つの機能で成り立つことは難しいという考えから出たもの」と説明しつつも、期限が次回改定までの2年間とされていることから、その期間で判断するのは難しいとした。日病常任理事の万代恭嗣氏は、「中医協総会で、病棟群単位の届出は単なる経過措置ではなく、一つの病院にとっては機能分化であることを訴えたが、認められなかった」と述べ、病棟群単位の届出の恒久化を求めた。

 伊藤会長代行は、「夜間休日救急搬送医学管理料」の算定対象に、「平日の夜間」が加わったことを評価。ただ、点数も従来の200点から3倍の600点に上がったものの、「2次の救急体制を維持するための人件費と考えると、まだ十分な評価ではない」と述べ、引き続き引き上げを求めていくとした。加えて、「総合入院体制加算」の実績要件が緩和されたことも評価した。

 日本精神病院協会会長の山崎学氏は、同協会として3項目を要望していたと説明。第一は、身体合併症を伴う認知症患者を受け入れる治療病棟の新設であり、「今回は財源がないので、新しいメニューは次回送りになり、できなかった」(山崎氏)。第二は、看護職員の月平均夜勤時間数の要件緩和であり、今回若干要件が緩和されたので「一歩前進」とした。第三は、入院中の患者が他の医療機関を受診した際の減算規定の緩和であり、今改定では入院基本料等の減算率が大幅に軽減された。精神科病院は単科が多いため、評価できる改定だとした。

 会見に出席した5人の中医協委員の発言要旨は以下の通り。

◆日医副会長の中川俊男氏
 診療報酬本体のプラス0.49%は、今の財政状況の中で、横倉(義武)会長を中心にがんばったという自負がある。「重症度、医療・看護必要度」は、2年前に見直したばかりだが、その直後から「見直した方がいい」という意見が出たのは非常に不本意だった。中医協総会で、7対1入院基本料病床の病床稼働率は経年的に下がり続けていることを何度も主張した。それに伴い、平均在院日数も下がり続けている。さらに言えば、一般病床の利用率は激減しており、この5年間で2ポイントも下がっている。「7対1病床の削減、イコール改革ではない」ということが、なかなか伝わらなかったのは残念。朝令暮改の診療報酬改定は、現場の混乱をもたらずので、我々自身も慎重にしなければいけない。
 長期投薬を見直す方向性が示されたことは、画期的。初診も再診も30日を原則として、それを超える場合には理由を書く。例えば、90日処方が当たり前という状況は、本来の医療の姿をゆがめてきたと思う。その是正の方向性が示されたことは評価。

◆日医副会長の松原謙二氏
 大病院の新たな患者負担が制度化されたことは高く評価。これは患者の負担増を求めるのが目的ではなく、あくまでも機能分化を進め、適切な場所で適切な医療を受けられるようにするのが目的。今後、それが実効性を伴うようにしていくことが大事。また、ニコチン依存症管理料の対象は、若い人も含めることについて、1号側(支払側)に理解してもらえたことを高く評価したい。

◆日医常任理事の松本純一氏
 在宅医療が推進される。前回の改定で、いわゆる同一建物への訪問診療について、不適切事例を意識するあまり、若干無茶な改定になった。それが是正されたことは非常にいいが、同一建物の場合、効率良く訪問できるが、患者一人一人を診察するという意味では減額すべきものではないはず。その意味ではまだまだだ。また月1回の在宅時医学総合管理料等が新設されたことは、今後、無駄な医療費を使わなくなるためにも評価。

◆日病常任理事の万代恭嗣氏
 改定率については、皆さんが言った通り。あえて一つ挙げれば、病棟群単位の届出という考えが入った点は評価。ただ、運用についてははなはだ厳しい。「ただ名前が入っただけ」とは言わないが、それに等しい要件。この点は、今後の議論に載せていくべき。中医協総会では、病棟群単位の届出は、単なる経過措置ではなく、一つの病院にとっては機能分化ということを切々と訴えたが、1号側の委員はその場では比較的同意しても、日を変えると「7対1削減ありき」という論調で、経過措置を強く主張した。

◆全日病副会長の猪口雄二氏
 7対1入院基本料以外にも、データを取って見続けなければいけないと考えていることはたくさんある。一つは、回復期リハビリテーション病棟で初めて入るアウトカム評価。もう一つは、療養病棟入院基本料2に、医療区分の要件が入り、要件を満たさない場合には減額される点。2年後の改定における療養病床の再編の中で、どのように影響するかを見ていかなければいけない。「非常に良く考えられた、また計算もされた改定」と関心もする一方で、これから十分にデータを蓄積して発言していかなければいけない。



https://www.m3.com/news/iryoishin/398228
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「後発品70%以上」、処方料3点加算
処方せんで後発品の銘柄指定は「理由」記載

2016年2月11日 (木)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度診療報酬改定では、後発医薬品を使用する院内処方の診療所の評価を新設するなど、後発医薬品の使用促進策を打ち出す(資料は、厚生労働省のホームページ)。政府が「骨太の方針2015」で、後発医薬品使用の数量シェア目標を「2017年央に70%以上」と引き上げたことへの対応だ(『後発薬、診療所の「院内処方」を評価』を参照)。

 後発医薬品の使用促進策は、医療機関と薬局の双方が対象で、医療機関については院内、院外処方ともに後発医薬品の使用を評価。診療所への評価として新設されるのが、処方料に対する「外来後発医薬品使用体制加算」。1調剤当たりの後発医薬品の割合が70%以上の「加算1」が4点、60%以上の「加算2」が3点だ。院外処方の場合には、一般名処方促進に向け、「後発医薬品が存在する全ての医薬品について一般名処方」した場合を高評価とする。

【2016年度診療報酬改定◆後発医薬品の使用促進の主要改定項目】
 ※「調剤報酬」の記載がない場合は、全て医科診療報酬。

◆院内処方を行う診療所の後発医薬品使用を促進
・「外来後発医薬品使用体制加算」を新設
 当該医療機関において調剤した「後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品の合計」に占める「後発医薬品」の割合が、70%以上の「加算1」4点、60%以上の「加算2」3点の2段階。(1)薬剤部門または薬剤師が、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、後発医薬品の採用を決定する体制を整備、(2)当該医療機関において調剤した全薬剤に占める「後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品の合計」の割合が50%以上 、(3)後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨を受付と支払窓口に掲示している――が施設基準。

◆院外の処方の後発医薬品使用を促進
・「一般名処方加算」の高ランクを新設
 現在は、処方せんに1品目でも一般名処方が含まれれば、「一般名処方加算」2点を算定できる。改定後は、「後発医薬品が存在する全ての医薬品が一般名処方」の場合を「加算1」3点として評価し、従来の加算は「加算2」2点とする。処方せんに後発医薬品の銘柄を記載して「変更不可」とする場合は、その理由を記載。

◆入院における後発医薬品使用を促進
・入院基本料の「後発医薬品使用体制加算」の高ランクを新設
 現在は「加算1」(35点)と「加算2」(28点)の2段階だが、使用割合を引き上げ、かつ高ランクを新設し、3段階に変更。当該医療機関において調剤した「後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品の合計」に占める「後発医薬品」の割合が、70%以上の「加算1」42点、60~70%未満の「加算2」35点、50%以上60%未満の「加算3」28点。

◆薬局における後発医薬品の使用を促進(調剤報酬)
・「後発医薬品調剤体制加算」の施設基準の引き上げ
 現在は「加算1」(数量ベースで後発医薬品の調剤割合55%以上)18点、「加算2」(同65%以上)22点だが、調剤割合をそれぞれ65%以上、75%以上に引き上げ、点数は据え置き。
・基準調剤加算の施設基準の見直し
 特定に医療機関からの処方せん割合が90%以上、かつ後発医薬品の調剤割合が30%未満の場合は、基準調剤加算は算定不可。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53724/Default.aspx
中医協 16年度診療報酬改定答申 大手チェーン薬局迫られる経営転換
2016/02/12 03:52 ミクスオンライン

中医協(田辺国昭会長・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は2月10日、2016年4月実施の診療報酬点数について取りまとめ、塩崎恭久厚労相に答申した。改定は、2025年に到来する超高齢化社会に向けた地域包括ケアシステム実現に向けたマイルストーンに位置づけられる。入院医療の機能分化・強化に向けた急性期病院の要件厳格化、かかりつけ薬剤師の創設などの施策を診療報酬、調剤報酬の点数として示した。高齢化が進み、“かかりつけ機能”が重視される中で、調剤報酬では、患者の服薬状況を一元的・継続的に把握、服薬指導する「かかりつけ薬剤師指導料」、「かかりつけ薬剤師包括管理料」を新設する。一方で、大型門前薬局について鋭い切り込みが入り、月4万回超のグループに属す処方せん集中率95 %超の保険薬局などでは、調剤基本料(41点)を半分にあたる20点まで引き下げる。塩崎厚労相は「病院の前の風景を変える」と語ったが、それが現実になる時も近い。大型門前薬局を多く抱えるチェーン薬局は、いままさに経営転換を迫られている。

◎“医薬分業元年”はラストチャンス? 薬剤師の職能も正念場

「明治時代の医制発布以来から何度目かの医薬分業元年ということになる。今回は最後のチャンスに近いのではないか。調剤薬局では薬剤師の職能全体が正念場を迎えている」。支払側の花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は中医協後の会見で、こう自身の見解を語った。

医薬分業をめぐっては、昨年の規制改革会議の議題に取り上げられ、8月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太方針)にも“患者本位の医薬分業”が明記された。結果的には医科、歯科、調剤の配分を守った上でのプラス改定となったが、調剤報酬は「2年間大変厳しい調剤批判の中で進んだ改定だった」と日本薬剤師会の山本信夫会長が会見で語った通り、強い逆風が吹く中での改定となった。調剤医療費のうち、技術料で6割を占める調剤料・製剤加算について内服薬の15日分以上の調剤料や一包化加算が引き下げられた一方で、薬学管理料に手厚い配分を行った。これまで調剤偏重と言われていた“対物業務”を“対人業務”へと大きく舵を切る強いメッセージを発信したものと言える。

こうした流れを象徴するのが、かかりつけ薬剤師指導料(1回につき70点)、かかりつけ薬剤師包括管理料(1回につき270点)の新設だ。患者自身が“かかりつけ薬剤師”を選択し、患者の服薬状況を一元的・継続的に行った上で服薬指導を行ったことを評価する点数だ。患者の署名付きの同意書を作成して初めて算定できる。24時間相談にのることや、調剤後の服薬状況などを把握し、処方提案することも求められる。「今までにない概念に基づく点数だ。薬局、施設以外に調剤料以外薬剤師の点数で、明確に評価項目に挙がったのは初めてだと認識している」と山本会長も会見で強調した。医薬品の安定供給が求められ、施設要件に評価の重点が置かれてきた調剤報酬だが、薬学的知見に基づき、薬剤師がいかに職能を発揮できるか。重複投薬・相互作用防止加算への手厚い評価や、残薬の日数調整について処方せん様式を変更するなど、薬剤師の疑義照会を後押しし、職能を発揮しやすいような仕組みも導入する。今後は、正確さに代表されるような画一的なサービス提供だけでなく、薬剤師個々の資質が問われる時代に入る。

◎岐路に立たされる調剤チェーン 調剤基本料引下げ、基準調剤加算見直しで

こうした中で岐路に立たされているのが、大手調剤チェーンだ。調剤基本料(41点)は、処方せん回数と集中率で引き下げられる特例(25点)があるが、その範囲を拡大。処方せん受付回数月4000回超かつ集中率70%超、処方せん受付回数2500回かつ集中率90%だったが、処方せん受付回数2000回、集中率90%まで拡大した。さらに、特例よりも点数が低い20点という点数を新設した。処方せん回数が月4万回超のグループに属する保険薬局のうち、①処方せん集中率が95%超、②特定の医療機関との間で不動産の賃貸取引がある―薬局が対象になる。さらには、どの点数も未妥結減算でさらに引き下げられる。

特例の適応から除外されるための要件は、24時間開局が廃止され、▽勤務する薬剤師の5割以上がかかりつけ薬剤師指導料又は、かかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に適合した薬剤師であること、▽かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料にかかる業務について相当な実績を有していること――が新たな要件となった。2017年4月1日からは、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料、重複投薬・相互作用防止加算、在宅患者訪問薬剤管理指導などを1年間一定数算定していない保険薬局では、調剤基本料を半分に引き下げる。

調剤基準加算は32点に一本化され、かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の届出や、かかりつけ薬剤師の勤務実績などの要件、特定の保険医療機関の集中率が90%超の保険薬局では後発医薬品の調剤割合が30%であることなどが算定要件とされた。調剤基本料の引下げを受けている保険薬局では算定することができない。

一時期浮上していた20店舗以上の保険薬局に対する調剤基本料の減算は盛り込まれなかったが、日本保険薬局協会(NPhA)の南野利久副会長(株式会社メディカル一光)は、「結果的にはほぼ同じだった。厳しいマイナスになる。大手だけではなくて、中小のチェーン薬局でも厳しくなる」と述べた。さらに、「調剤基本料も基準調剤加算、(後発医薬品の)シェア率もある。シェア率の努力が難しい」と述べた。こうした中で、かかりつけ機能を果たす、在宅薬剤管理指導業務への参画などでハードルをクリアすることが必須との見方を示した。

厚生労働省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、「かかりつけ薬局しか生き残れない」と昨年の日本在宅医学会で語ったが、多くの保険薬局が経営の転換を迫られることになる。ただ、大手調剤チェーンの中には、調剤基本料が引き下げられることで安さにより患者を集客し、薬価差益に重きを置く保険薬局もあるとの声もある。スケールメリットを求めて、合併や買収が加速するとの指摘もある。こうした中で、在宅やかかりつけ業務にシフトする保険薬局との二極化を懸念する声もすでにあがっている。次回改定までの二年間に、保険薬局が生き残りをかけてどのような姿になるか、注目されるところだ。

◎後発医薬品 診療所での評価を新設 80%目標達成に向けギア

そのほか、後発医薬品数量シェア80%目標が示される中で、診療所における後発医薬品を評価する「外来後発医薬品使用体制加算」の新設、一般名処方加算の見直しなど、さらなる促進に向けた施策が盛り込まれた。外来後発医薬品体制加算は数量シェア70%の場合(体制加算1)は4点、60%の場合(加算2)は3点が算定できる。一般名処方加算では、後発医薬品が存在するすべての医薬品が一般名で処方された場合の点数を新設、これまでの2点より高い3点を算定できる。後発医薬品使用体制加算も新指標に値を変えたうえで、後発医薬品70%以上とする基準を新設。新指標で数量シェア70%以上(後発医薬品使用体制加算1)は42点、60%以上(加算2)で35点、50%以上(加算3)で28点を算定できる。DPC病院でも機能評価係数Ⅱの評価上限を70%に引き上げた。

薬局でも後発医薬品体制加算をこれまでの55%、65%から10%ずつ引き上げ、65%以上(18点)、75%以上(22点)とする。


  1. 2016/02/12(金) 05:50:10|
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