Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月30日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/395171?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160130&dcf_doctor=true&mc.l=141910151
シリーズ: The Voice(医療)
必要な医師数とは そろそろパンドラの箱を開けましょう

オピニオン 2016年1月29日 (金)配信中村幸嗣(危機管理専門血液内科医)

 日曜の朝日新聞記事です。(あの時それから)
記事中の元官僚の言葉に琴線が触り、こんなツイートをしました。

#朝日新聞
   あのときそれから
   医師数 ぶれ続ける政策より

   将来に向けて医師はどれくらい必要なのか。(中略)
   医療行政に詳しい元官僚はつぶやいた。
   『誰も全体像をわかって議論していないのではないでしょうか』

   それを調べるのがお前の仕事だろう
   怒!
   今からでも調べろ!
   2016年1月23日 18:46


 私のFBにも載せたところ同級生(消化器内科+精神科)からとてもいいコメントをいただきました。以下少し表題について書きたいと思います。

 医師数は本当に足りないのか。今まで記事にしてきたテーマです。そして必要な医師数とはどこから導き出されるのでしょう。私の同級生のコメントです。

 「必要」という基準ひとつとっても、「必要最小限」から「必要十分」まで幅が広い。また同じ日本語で「必要最小限」と表現しても、例えば極小未熟児が救えない地域が存在する状態を必要最小限の医療が確保されていると見るのか、確保されていないと見るかは論者次第で違う。

 結局、「必要が充足された」の判断基準を共通化することなしに議論は噛み合うはずがない。だから、「全体像を分かる」の前段階の、何をもって「医療崩壊の解決」や「望ましい医療体制確立」と判断するかというゴールの共通認識確立が大事だと私は思います。

 医療に結果責任負担や無謬の注意義務を限りなく要求するなら、医師はいくら増やしても足りないし際限ない医療費膨張をも認容してもらうしかないでしょう。反対に「力及ばず死亡」を老若男女問わず全て「仕方ない、寿命だった」と国民の殆どが受容してくれるなら、過疎地域に医師を確保する必要性自体がそもそも下がってくるでしょう。

 「税負担増は嫌だが、日本全土であまねく最高の医療体制確立はなきゃ嫌だ」は、そもそも両立しえない「ないものねだり」でしょう。頭が悪いから正しい政策に至らないのではなく、みんなで不能解を探しているだけなのではないでしょうか?

 素晴らしい意見です。以前私が救急現場問題で述べさせていただいた(救急医療への提言(1):マグネットホスピタルから4年半)

★ 成熟した国家として、国民の医療に何を要求し何を供給するかというビジョン★
につながります。
具体的に言えば、
1 がん診療はどこまでするか

 a 何割改善する可能性があれば緩和治療を選ばず改善させる侵襲的治療を行うか
 b 合併症、副作用が出るとすれば何割までであれば治療を行うか

  これは現在の治療内容、予後予測をしっかり説明して、患者さん、家族に治療等を決定してもらうという現在の医療決定の手順を踏んでいくと思われます。この流れはこれからも続くでしょう。
  ここでの問題点に、医師の説明が下手、患者が理解できないなどが絡んで大変です。そんなこんなである人間は、正直で残酷な医師より言葉の優しい民間医療になびきます。

 c 医学的には根拠に乏しい個人の希望を優先するのであればどこまで実施するか、またその費用は

  日本の保険制度/予算を考える際どこまでを保険で、どこまでを自費でという問題が存在します。保険適応治療では患者さんの払いは高額療養制度でだいぶ緩和されています。しかしそれでも治療費の問題は存在しています。
  医療者側が忙しすぎて寄り添えない原因などから根拠のない民間医療に陥いる患者さんは、言い値の値段で効果が少ない民間医療を受けます。当然保険診療より利益が出ますので患者の払いはさらに大変になり、利益重視の民間医療は日本で蔓延っています。

2 終末期医療、そして尊厳死はどうするか

 意識のない、人工呼吸器で管理されている患者さん。認知などで正常な判断ができず胃瘻などで生きている患者さん。この間米国では医師からの余命宣言で安楽死した患者さんもいましたが(米国の安楽死問題 医者の余命宣告はそんなに当たらない)本当に治療の適応という上で難しい問題です。
 医師側から回復の見込みはないと言われても、最後まで出来る限りの治療をという家族もいます。それこそ96歳で手術して100まで元気な三笠宮さまという例もあります。(三笠宮さま 96歳の心臓手術 医師の言葉 責任)何が正しく何が間違いという確立した答えはありません。
 欧米には死生観を補う宗教があるのですが、日本は戦後家族制度の崩壊も相まって今ひとつ死に向き合えていません。その意味でも樹木希林さんのキャンペーンは良かったと思っています。(死ぬときぐらい 好きにさせてよ!そのためには人、金、時間、そして知識が必要)

 まだまだ細かいことはありますが、結局は命をどのように扱うのか、いや医療が助けるべき命の定義というある意味パンドラの箱を開けて議論をすべきです。そうすることで本当に初めて必要な医師数、費用がわかります。前提が違っては終着点はいつまでたっても見えません。なんとなく現場に任してはもう限界になっていると思っています。そう思ってから6年が経ちます。少ししか医療の現場が改善されていないことが残念です。

※本記事は、2016年1月26日の『中村ゆきつぐのブログ』で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。




http://digital.asahi.com/articles/DA3S12174900.html?_requesturl=articles%2FDA3S12174900.html&rm=150
(あのとき・それから)昭和48年 一県一医大構想 医師数、ぶれ続ける政策
2016年1月23日16時30分 朝日新聞

一県一医大構想の一環で最初にできた山形大学医学部の最初の入学式。1期生のうち地元出身者は1人だった=1973年11月(山形大学医学部創設十周年記念誌より)
 (1973年)

 この春、私立の東北薬科大(仙台市)に医学部が誕生する。東日本大震災の復興特例で、新設は国内で37年ぶり。定員100人に2463人が志願。6年で3400万円かかる学費を、最高で3000万円まで条件つきで貸与する修学資金枠を55人分用意したこともあり、24倍を超す狭き門になった。

 新設を巡っては、これ以上の「激戦」が43年前にもあった。当時の田中角栄内閣が閣議で決めた「一県一医大構想」の先陣を切る形で、山形大、旭川医大、愛媛大の3医学部で1973年10月、最初の入試があった。

 認可が遅れたため通常より半年遅い、異例の秋入試。最も倍率が高かったのは山形大で実質倍率は37倍だった。1期生になった山大付属病院長の久保田功教授は、「『ああ、これで浪人せずに済む』とホッとしたことを覚えています」と振り返る。

     *

 医師の養成は40年代まで、東大などの旧帝国大と、戦時下で短期間に医師を育てるために増えた旧医学専門学校が担っていた。戦後しばらくは、大陸から引き揚げてきた医師も加わり、医師数はむしろ多かった。

 だが、高度経済成長期に入り、61年に国民皆保険制度ができて医療機関を受診しやすくなると、病院にかかる人が増えた。同時に医師不足と、医療の質に対する不満が顕在化していく。

 国は、60年代は医学部などの定員を増やして対応したが、医学部がない県では医師確保が難しかった。このため、医学部設置は地域の「悲願」に。70年、戦後初の国立医学部が秋田大に設置されると、医学部のない県の中央への陳情が盛んになった。

 この頃、自民党幹事長で、次期首相を狙う田中角栄は山形を訪れ、「佐藤(栄作)首相は5選はしないだろうし、これから(残る任期の)2年間は政治に没頭できる」として、将来の新幹線や高速道路などの整備と合わせ、医学部建設の調査費計上を約束。それは地方での選挙対策の「切り札」の一つでもあった。

 73年には4校、74年に滋賀、宮崎など3校、といった具合に、79年の琉球大まで、7年で16の国公立の医学部・医科大ができた。私立の新設も相次ぎ、81年には防衛医大を除いた79校で、入学定員は8280人になり、10年余りで倍以上になった。

 ところが82年、「将来、医師が過剰になる」という声が医学界などから上がり、国は削減策に転換する。国の医師需給の検討会は84年、「2025年に医師の1割程度が過剰になる」という推計をもとに、「1995年をめどに最小限10%程度削減する必要がある」という意見を出した。結局、定員は2003年に7625人まで減り、一県一医大達成時より約1割減った。

     *

 だが皮肉なことに、医師過剰時代は訪れていない。医師の質をあげるために導入した新人医師の臨床研修の必修化、医師を地域病院に派遣する医局制度の崩壊、医療の高度化などで、現場は医師不足で疲弊している。

 国は08年から定員の増加政策に転じ、今年から医学部の新設も再開される。「わが国の医師数政策ほど振り子のように揺れた政策はめずらしい」「1割削減という目標は達成された。だが、その時すでに1割過剰どころか、1割以上不足であることが明らかになっていた」と、国立保健医療科学院の岡本悦司統括研究官は著作で述べている。

 将来に向けて医師はどれくらい必要なのか。医療や介護の費用の面でも重要な見通しだが、医療行政に詳しい元官僚はつぶやいた。「誰も全体像をわかって議論していないのではないでしょうか」(権敬淑)

 ■優秀な看護師育成に力を 医学部の立ち上げに関わった山形大元教授・精神科医、外崎(とのさき)昭さん(78)

 戦時中に医学専門学校がたくさんできた影響で、1940年代半ばは、医学部の入学者は1万人以上いたんじゃないでしょうか。引き揚げの医師も加わって、多くが開業医に。そういう方が当時の国民衛生のために活躍された。

 しかし、GHQの公衆衛生福祉局長は、日本の医学教育について、「日本に医科大学無し」と厳しく評価しています。日本の教育や設備、医療の質は決して高くはなかったんです。

 60年代半ばになると、戦後に開業した先生方の子弟が医学部を目指した。そのころは定員も減り、ものすごい競争に。そういう背景も、当時の一県一医大構想につながっています。

 東北大で解剖学を教えていて、山形に初めて足を運んだのは72年秋。地元では医学部への期待はあっても、現実的な理解は薄かった。「医者が来てくれればいいだけ。教育や研究はいらない」と言われたり、「死体を置くなんて」と解剖学教室に反対が起きたり。苦労はしましたが、理想を持って一から創るのはやりがいがありました。

 現在、精神科医として社会と折り合いをつけづらい人や認知症の方と接します。日本の医療、介護の将来を考えるなら、医学部の定員をいじるより、教育の充実で優秀な看護師を育てたり、介護者のレベルアップに力を注いだりする方が現実的ではないでしょうか。

 ■医学部と入学定員を巡る流れ

1886年~   旧帝国大7校に医科大学
1940年代前半 各地に医学専門学校
61年    国民皆保険制度が確立
73年2月  一県一医大構想を閣議決定
  9月  旭川医大、山形大、愛媛大に医学部開設
79年    琉球大に医学部。無医大県解消。
82年    医師過剰への配慮を閣議決定
84年    厚生省検討会が医師数1割削減の意見を出す
85年    地域別の医療計画づくり開始
86年    医学部入学定員を約1割削減へ
97年    医学部の整理・合理化も視野に医学部定員削減を続ける閣議決定
2004年    新人医師の臨床研修が必修に
08年    医師不足を背景に既存校の定員を期間限定で増やす
16年    特例で東北薬科大に医学部
17年    国際医療福祉大に医学部(予定)



https://www.m3.com/news/iryoishin/394054?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160130&dcf_doctor=true&mc.l=141910148
シリーズ: 真価問われる専門医改革
専攻医数、「激変回避」のため調整も- 池田康夫・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.2
研修プログラム審査、1次と2次の2段階

インタビュー 2016年1月30日 (土)配信  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――2015年12月から、研修プログラムの申請受付も開始しました。

日本専門医機構理事長の池田理事長によると、研修プログラムは今年6月の終わり頃に公表予定。
 産婦人科と耳鼻咽喉科、病理、臨床検査については、12月1日から申請受付が始まっています。それ以外の領域でも、順次開始しており、現時点で申請を受けているのは、19の基本領域中、14領域。内科も間もなく開始します(取材は1月13日に実施)。残る4つの領域のうち、一番遅くなるのが恐らく総合診療でしょう。総合診療については、モデル専門研修プログラムの最終の検討段階にあり、今月(1月中)には完成予定で、2月上旬から申請受付が始まるでしょう。

 産婦人科については、研修プログラムがほぼ出そろったようです。耳鼻咽喉科も先日、札幌での専門医研修に参加したのですが、100施設弱と想定される基幹施設から申請があったと聞きました。

――基幹施設は、各領域でどの程度の数を想定されているのでしょうか。

 多いところで、外科は300前後の施設、内科は350前後の施設。小児科、整形外科、産婦人科が200施設弱。一方、単科の領域は、大学病院を含めて、100施設前後でしょう。

 予測しにくいのが、総合診療。総合診療については、研修プログラム整備基準の作成までは既に終え、機構のホームページにも掲載していますが、全国からいろいろな質問が来ています。

 総合診療の研修プログラムは3年間で、うち18カ月が総合診療固有の研修、残り18カ月のうち内科6カ月、救急と小児科が各3カ月は必修という内容です。指導医1人つき、指導できる専攻医は3人までですが、中小規模の施設などから、内科と日本プライマリ・ケア連合学会の両方の指導医資格を持っている場合、何人まで指導できるのかといった質問など、研修プログラム作成に関連したものが、中小病院あるいは診療所から多く日本専門医機構に寄せられています。これらの質問についてのQ&Aを、間もなく機構のホームページに掲載します。

――総合診療の領域では、診療所でも10数人の医師で運営しているケースがあります。

 その通りです。一方で、大学病院でも総合診療の研修をやっています。これらを合わせ、総合診療では300~400くらいの研修プログラムが申請されるのではないでしょうか。

――研修プログラムの申請受付は、いつまでですか。今後のスケジュールをお教えください。

 だいたい申請開始から2カ月間を予定しています。12月から開始した領域では、1月末がメドです。2月から開始する領域でも、3月末くらいまででしょう。その後に、研修プログラムの審査を行います。審査には、1次審査と2次審査があります。1次審査は、各領域の研修委員会が担当し、審査基準に従い、申請受付の終了から1カ月から1カ月半くらいで実施。2次審査は5月末から、6月の半ばくらいまでに、全ての領域で終える予定です。6月の終わり頃に、全国各地にどんな研修プログラムがあるかを、領域別に公表します。

 7、8月にかけて、2年目の初期研修医が、各研修プログラムを見て、見学に行ったりして、9月から10月にかけて、第1回の専攻医の募集を行い、採用試験を実施するスケジュールになります。第1回の試験で決まらない医師については、第2回、第3回の募集を行っていきます。第4回くらいまでやると、だいたい落ち着くでしょう。初期臨床研修のようなマッチングのシステムは考えていないので、採用試験は、各基幹施設で試験と面接が行うことになります。

――研修プログラムの審査は、どんな基準で行うのでしょうか。

 領域別の研修プログラムの審査基準は今、作製中です。

 1次審査の基本は3つあります。第一は、研修内容が充実しているか、専門性が担保されたプログラムになっているか。第二は、地域医療とリサーチマインドの涵養がプログラムに組み込まれているか。第三は、研修施設群が適切に構成されているかです。例えば、全国に複数の病院を展開している組織が、地域を超えて全国で研修施設群を構成することや大病院連合での研修プログラムはやめてほしい。地域の病院がその地域で研修施設群を作り、その施設群で経験できない診療領域がある場合に、他の遠方の地域にも連携施設を持つことをなどを否定するわけではありませんが、基本的には都道府県あるいは2次医療圏の単位でプログラムを作成してもらいたい。

 1次審査は、各専門学会から推薦された委員などで構成する領域別の研修委員会で行います。ただし、1次審査は個別の研修プログラムの審査なので、全体像は分かりません。2次審査は、日本専門医機構と、領域別の研修委員会が合同で行い、各領域の研修プログラムが全国でどんな分布になっているかといった視点から審査します。ある領域の研修プログラムが1つもない県がある一方、数多くある県があったりする場合、募集する専攻医数に地域による偏りが生じ、新専門医制度の開始後、医師の地域偏在を助長することになります。こうした事態を避けるため、「是正勧告」をする予定です。地域医療の混乱を回避するために、激変を避けることが重要です。

――その「是正勧告」には強制力はない。

 そうです。初期の臨床研修とは異なり、新専門医制度は法律に則った制度ではないので、強制力はありません。しかし、日本専門医機構の設立時の社員である、全国医学部長病院長会議や日本医学会連合などから、大学病院や学会に対し、ステートメントを出し、「是正勧告」などがうまく機能するように進めたいと考えています。

――募集予定の専攻医の分布を検証する場合、現状の専攻医の養成数などが参考になると思います。各学会は地域別の専攻医数を把握しているのでしょうか。

 おおよそは把握しています。過去3年間の平均を基に、そのプラス20%以内程度に収まるように、各地域の専攻医の募集数を検証する予定です。

――募集する専攻医の合計数は、応募専攻医数よりも多いので、どこまで調整が可能なのでしょうか。

 募集専攻医数の方が、かなり多いと、都市部に集中したりする懸念はあります。都市部には減らしてもらい、地方には増やしてもらうといった調整を、どの程度行うかについては、2次審査までには2カ月くらいあるので、その間に検討します。

――専攻医が応募した段階で、地域偏在を是正するような仕掛けは考えておられますか。

 その辺りは、どんな仕組みにしたら一番いいのかを今、検討しています。我々は基幹施設等と説明会で話し合いをしていますが、今の初期臨床研修医への情報提供や話し合いは不十分です。当事者である彼らに新専門医制度を理解してもらう努力が必要です。

――取得する専門医の領域、あるいは研修地域について強制される仕組みは、専攻医には敬遠されるのでは。

 日本専門医機構の理事会でも話は出ていますが、「職業選択の自由」があるわけです。それぞれの希望を叶えられるようにする工夫は必要。しかし、各基幹施設が研修のキャパシティを超えて専攻医を採用することはできないことは理解してもらわないといけません。

――今秋から採用試験を開始するとのことですが、その採用結果は、各基幹施設から、学会および日本専門医機構に報告してもらうことになりますか。

 はい。研修は始められませんし、報告により、各基幹施設で研修する専攻医が、日本専門医機構に登録されることになります。登録がなければ、専門医資格は取得できません。



https://www.m3.com/news/iryoishin/395112?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160130&dcf_doctor=true&mc.l=141910150
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
後発薬、診療所の「院内処方」を評価
「全て一般名処方」の高加算も新設

レポート 2016年1月29日 (金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は1月29日、2016年度診療報酬改定で、後発医薬品の使用促進に向け、診療所については院内処方の場合でも後発医薬品の使用率に応じて加算を設けるほか、院外処方の場合に後発医薬品がある全ての医薬品を一般名処方した場合の加算を手厚くする方針を了承した(厚生労働省のホームページ)。そのほか、入院料の加算である「後発医薬品使用体制加算」では高い評価を設け、薬局の「後発医薬品調剤体制加算」の基準を引き上げる。

 政府は「骨太の方針2015」で、後発医薬品使用の数量シェア目標を「2017年央に70%以上」と引き上げた。2016年度改定はこれを踏まえた対応。

 後発医薬品関係の主な改定内容は以下の通り。

【2016年度診療報酬改定の主な項目(後発医薬品関連)】


1.院内処方を行う診療所の後発医薬品使用を評価
 「外来後発医薬品使用体制加算」を新設、「加算1」と「加算2」の2段階とする(後発医薬品の数量割合の要件は今後決定)。薬剤部門または薬剤師が、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、後発医薬品の採用を決定する体制の整備などが条件。

2.「後発医薬品使用体制加算」の高ランクを新設
 従来は「加算1」と「加算2」の2段階だったが、高ランクを新設し、3段階に変更(後発医薬品の数量割合の要件は今後決定)。

3.「一般名処方加算」の高ランクを新設
 現行は、処方せんに1品目でも一般名処方が含まれれば、「一般名処方加算」(2点)を算定できる。改定後は、「後発医薬品が存在する全ての医薬品が一般名処方」の場合を「加算1」として評価し、従来の加算は「加算2」とする(後発医薬品の数量割合の要件は今後決定)。

4.薬局の「後発医薬品調剤体制加算」の施設基準の引き上げ

 「加算1」(数量割合55%以上)、「加算2」(数量割合65%以上)の数量割合をそれぞれ引き上げ(具体的数値は今後決定)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/395185?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD160130&dcf_doctor=true&mc.l=141910149
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
支払側意見、「暴言に近い」と日医中川副会長
7対1の要件見直し、意見の集約はできず

レポート 2016年1月29日 (金)配信 成相通子(m3.com編集部)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が1月29日に開かれ、7対1入院基本料の要件見直しについて議論した(資料は、厚生労働省のホームページ)。支払側と診療側で意見集約はできず、議論は持ち越しになった。2月の答申までに決定する。

 厚労省が提示した改定案では、一般病棟の「重症度、医療・看護必要度(以降、重症度)」について、手術直後の患者や「救命等に係る内科的治療」が必要な患者を評価するM項目を新設。重症度の該当患者(以後、重症者)の範囲を拡大した上で、7対1入院基本料の施設基準となる病棟内の重症者の割合を現行の15%から引き上げる。支払側からは「25%に引き上げても、速やかに退院すべき患者が75%もいる」との発言が飛び出し、日本医師会副会長の中川俊男氏が「それは違う。暴言に近い」と苦言を呈する場面もあった。

内科治療も含まれ、「改善」

 今回提示された改定案で、重症度の評価対象に内科的治療が含まれたことに対し、診療側は「ある程度改善された」と評価。重症者の割合の引き上げについては、医療現場への影響が大きいとして、「20%台前半」(日本医師会副会長の中川俊男氏)を求めた。2015年12月の厚労省の資料では、内科的治療に関する見直しが含まれていなかったため、内科系の総合病院に不利になる懸念があった(『内科系の総合病院、経営困難に』を参照)。

 「20%台前半」を求める診療側に対し、支払側は、「当初は25%と主張していたが、対象患者が拡大しており、25%より高い数字にすべきだ」(健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏)と述べ、真っ向から意見が対立。

 厚労省が提案した在宅復帰率の計算式の見直しについても、新たに有床診療所を退院先として認めることに反発。在宅復帰率は基準の75%を超えている病院が多く、「形骸化している」(幸野氏)として、平均在院日数の短縮を今改定に盛り込むよう改めて求めた(『7対1入院基本料、“平均在院日数の短縮”は明記せず』を参照)。これに対し、中川氏は、「在宅復帰率が高いことは悪いことなのか。病院完結から地域完結の医療へと進んでいる表われであり、むしろこれは評価すべきこと」と返し、平均在院日数についても、さらなる短縮には強く反対した。

病棟群の届出を新設

 7対1入院基本料病棟から10対1入院基本料病棟に転換する際の激変緩和策として、今改定で初めて導入する「病棟群単位の届出」については、対象病院の拡大と期限を設けずに導入することを求める診療側と、あくまで経過措置にとどめるべきだとする支払側で意見が分かれた。これまで一般病棟の入院基本料は、病院単位で統一し、混在が認められていなかったが、複数病棟を病棟群としてまとめ、7対1と10対1を同時に届出ができるようにする。

 7対1入院基本料の見直しについて、改定案で盛り込んだのは、重症度のほか、在宅復帰率の見直し、病棟群単位での届出許可など。支払側が主張する「平均在院日数の短縮」は改定案に含めなかった。

10対1の評価を充実

 重症度については、A項目に新たに「無菌治療室の治療」「救急搬送」を追加。B項目は「起き上がり」「座位保持」を削除した上で、「危険行動」「診療・療養上の指示が通る」を追加し、認知症やせん妄の患者を評価できるようにした。さらに手術後の状況や、内科的治療を評価するM項目を新設し、「救命等に係る内科的治療」のほか、開頭・開胸・開腹、腹腔鏡・胸腔鏡といった手術や、全身麻酔や脊椎麻酔が必要な場合などの手術直後(一定日数内)については、重症度が高いと評価し、重症患者として取り扱う。

 病棟群単位の届出については、改定案で施設基準を設置。2016年3月末までに7対1入院基本料の届出があり、4以上の病棟を持つ病院は1つの入院基本料の病棟数を複数にすること、 届出は1回に限定し、届出をした場合は7対1と10対1の間での転棟を原則禁じることなどが盛り込まれている。これに対し、診療側は基準の緩和を求めた。

 このほか、改定案では重症者の割合を条件に、10対1入院基本料算定病棟に対して、看護必要度加算の評価引き上げも提案され、この点について異論は出なかった。



http://jp.wsj.com/articles/JJ10188886575198493846917884574072726579313
若手医師確保、給与や休日増で=年100万増で3%上昇—日医総研
2016 年 1 月 30 日 17:30 JST 更新 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

 病院が若手医師の年収を100万円増やせば、勤務先として考慮される確率が3.4%高まるとの調査結果を、坂口一樹・日本医師会総合政策研究機構主任研究員と森宏一郎滋賀大教授が30日までにまとめた。休日増や当直勤務の減少も効果があった。医師不足に悩む地域が対策を講じる際の参考になると期待される。

 調査は若手医師を対象に、2015年5〜6月、全国80大学の診療科を通じて実施。年収や所在地など八つの条件を記した架空の病院の求人票を示し、勤務先の候補になるかを尋ね、1302人から有効な回答を得た。

 調査結果によると、年収が100万円上がると、選択される確率が3.4%上昇した。休日が月1日増えると、同様に1.2%上昇。逆に当直が月1回増えると、3.3%低下した。

 過疎地や離島は避けられる傾向が強く、現在東京に勤めている医師が異動する場合は、800万円近くの年収増が必要な計算となった。北海道・東北に勤務している医師では年約200万円の増加で済んだ。

 男性は女性の2倍、収入を重視し、女性は当直の少なさなどを重視していた。 

[時事通信社]



https://www.m3.com/news/iryoishin/395393
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「治療に関係ない検査」で自費徴収を検討
厚労省「選定療養」の拡大提案、「差額診察室」も

レポート 2016年1月30日 (土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、1月29日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、保険外併用療養費の「選定療養」の類型追加などを提案したが、診療側と支払側からともに異議が出て、再度整理し次回以降の総会で改めて議論することになった(厚生労働省のホームページ)。

 「選定療養」の類型追加案として厚労省が提案したのは、「治療中の疾病または負傷とは直接関係しない検査」。併せて、タミフルの予防投与など実費徴収できる範囲の明確化、差額ベッドと解釈されてきた「特別の療養環境」に、「差額診察室」を加え、長時間滞在が必要な治療を個室など特別の療養環境で行った場合の患者負担徴収など、既存の「選定療養」の解釈の幅を広げることも提案した。

 「治療中の疾病または負傷とは直接関係しない検査」の例として挙がったのが、ノロウイルス検査だ。同検査は、3歳未満と65歳以上には保険適用されているが、それ以外の年齢層は対象外。例えば、食品などを扱う会社に勤務する壮年層が腹痛を訴えた場合に、雇用先から「ノロウイルス感染ではない」証明を求められた場合などに、ノロウイルス検査分を実費で負担することなどが想定される。

 保険外併用療養費は、先進医療などの「評価療養」と、差額ベッドなどの「選定療養」に大別できる。「評価療養」は、保険導入を前提としているが、「選定療養」は、保険導入を前提としていない。しかし、厚労省は、今回の「選定療養」の対象拡大に当たって、「医療を取り巻く状況の変化や技術の進展等によって保険導入の可能性が生じることがあり得る」との解釈も同時に提示。「ノロウイルス検査で、ウイルス感染が判明し、治療法が変わるようになるのであれば、(現在保険導入になっていない年齢層でも)保険導入することはあり得る」(厚労省保険局医療課保険医療企画調査室長の三浦明氏)。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、提案されたノロウイルス検査と同様の考え方を広げていくと、「普通の医療が押し込められる可能性がある」と警戒。さらに「選定療養」が「保険導入することはあり得る」との厚労省に解釈に、医療保険制度の考え方を根本的な変更につながりかねないことから、「今回は無理、止めるべき」と議論に入ること自体を避け、今後改めて慎重に議論することを求めた。

 支払側も、「中医協だけでなく、(社会保障審議会)医療保険部会で議論しないとまずいのではないか」(連合総合政策局長の平川則男氏)、「次回以降の議論してもらいたい」(健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏)との意見が出るなど、「選定療養」の対象拡大以前の問題として、議論の進め方に戸惑いを隠さなかった。

 「選定療養」の拡大は、告示事項。厚労省は、2016年度診療報酬改定の答申時に、告示することを目指していたが、そもそも拡大が可能か、拡大する場合でもその時期など、先行きは不透明だ。

 「制限回数を超える医療行為」、腫瘍マーカーの対象拡大も

 診療側と支払側ともに議論自体に異論を呈したのは、厚労省が用意した資料のタイトルが、「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果について」となっていたからだ。

 「日本再興戦略」(改訂2014)に基づき、関連学会・医療関係団体・国民から、「選定療養」に追加すべき項目を昨年募集。その結果、91件の意見が挙がり、その結果を基に、厚労省は、(1)「選定療養」の新たな類型として位置付け、(2)実費徴収を認める、(3)引き続き検討、(4)既存の「選定療養」の類型の見直し――に分類した。

 「選定療養」は現在、10類型。(1)として厚労省の今回の提案が認められれば、11類型になる。

 差額ベッドのイメージが強い「選定療養」については、「アメニティ」という言葉で形容されてきた。しかし、実際には、紹介状のない大病院受診の際の初診時の負担など、「アメニティ」には当てはまりにくいものも含まれる。このため厚労省は今回、「選定療養」を、「快適性・利便性に係るもの」「医療機関の選択に係るもの」「医療行為等の選択に係るもの」という3つのカテゴリに分けられると新たに整理。「これまで選定療養は、漠然とアメニティという言葉が使われ、少し丁寧さが欠けていたように思う。アメニティの一言で、10類型を片づけることができるのか」(三浦室長)。

 「医療行為等の選択に係るもの」のカテゴリは、将来の保険導入の可能性もあるというのが厚労省の解釈。(1)として挙がった、「治療中の疾病または負傷とは直接関係しない検査」がこれに該当する。

 (2)の「実費徴収を認める」の対象案として挙がったのは、タミフル・リレンザ等の予防投与、検査当日のキャンセル料、院内託児所の使用料、がん患者等を対象とした美容・整容等の支援、糖尿病患者を対象としたがん検診など。(4)の「既存の選定療養の類型の見直し」には、「差額診察室」のほか、「制限回数を超える医療行為」として現在認められている腫瘍マーカー以外への対象拡大(PSAなど)などが候補だ。

「選定療養」の考え方(厚労省による、既存の10類型の分類)
1. 快適性・利便性に係るもの
    特別の療養環境(差額ベッド)、予約診療、時間外診療
2. 医療機関の選択に係るもの
    大病院の初診、大病院の再診
3. 医療行為等の選択に係るもの
    制限回数を超える医療行為、180日超の入院、歯科の金合金等、金属床総義歯、小児う触の指導管理



http://medg.jp/mt/?p=6470
Vol.030 『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (11): 急性期病院からの退院と自治体病院建設
医療ガバナンス学会 (2016年1月30日 06:00)
2016年1月30日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

(ソシノフブログhttp://www.socinnov.org/blog/p469より転載)
小松秀樹

●急性期病院が退院を急がせる理由
 亀田総合病院の藤田浩二医師に、急性期病院からの退院について書いてもらった。急性期医療とは、藤田医師が述べたように、病気の発症から、進行を止める、あるいは、回復が見込める目途を付けるまでの医療である。急性期病院からの退院をめぐっては、早く退院させようとする病院側と、長くとどまりたい患者側で行き違いが生じる。病院側が早く退院させたがるのは経済的理由による。急性期病院は莫大な資金を必要とする。診療報酬はギリギリで設定されているので、多くの患者を受け入れないと赤字になる。急性期医療と回復期医療を区別する必要が生じたのは、診療内容の違いもあるが、急性期医療に膨大な資源と人材が必要だからである。
 自治体病院の建て替えは、自治体にとって大きな問題である。医学の進歩と共に、基幹病院は巨大になり続け、その財政規模は、人口数万の基礎自治体を超える。赤字になると母体の自治体の財政が破綻しかねない。一方で、住民は多様なサービスを求め、これが病院を大きくする圧力となる。さらに東日本では医師・看護師不足のため、病院の新設や規模の拡大にリスクを伴う。医師・看護師を集められなければ膨大な赤字が生じるからである。現在、自治体病院には国庫から補助金が投入されているが、国の累積債務が膨大になっていることから、国からの補助金は、将来削減される可能性がある。状況が厳しく、意見対立が大きいため、医療は政治問題化しやすい。

●国保松戸市立病院建替計画検討委員会
 以下、自治体財政と病院についての議論を観察する。1995年、国保松戸市立病院は耐震性に問題があるとされ、以後20年近く、建て替えが検討されてきたが、計画が二転三転した。2008年川井市長が移転構想を表明したが、2010年の市長選挙で現地建て替えを主張した本郷谷氏が当選した。これを受けて、立替計画検討委員会で検討されたが、現地建替えには問題点が多く、移転建て替えすべきとの結論になった。

 2010年10月から、2011年3月にかけて松戸市立病院立替計画検討委員会が開催された。議事録から、立場による意見の違いを見たい。

市民
 市民公募委員の応募作文では、救命救急の充実、維持、小児・周産期の充実、24時間受け入れを望む声が大きかった。一方で、高齢者医療、慢性期医療、寝たきり予防、認知予防、終末期医療の充実を望む意見が2位の10件あり、あらゆることを大病院に期待していること、市民が医療と財政の状況を十分に理解していないことがうかがわれた。2010年12月12日、市立病院建て替えに関する意見を聴く会が開かれた。急性期病院に看取り、長期入院を求める意見が目立った。
 「市立病院については、自分の人生の最後を締めくくる場所だというふうに考えておりま すので、ホスピス、この制度を取り入れていただきたいと思います。」
 「高齢者が病院から早々に追い出されないような、そういう対策も考えていただきたい。」

 国や県に頼めば、いくらでも金が出てくるというお上頼みの意見も目立った。
 「国民の命を預かるというのは国の責任。市長は国に対して、あるいは県に対して、相応の補助金の支援を強く求めるべき。」

●病院管理者
 病院管理者は現状の狭い土地での建て替えではなく、新築移転と600の病床を維持することを望んだ。
 「病院医師105名にアンケート。現地建替えには7割の方が反対しています。残り3割は保留の方がほとんどで、賛成の方は2名しかいませんでした。」
 「3次救急と小児医療とか不採算部門の責任を我々が全うしないといけないということが第一義的にこの病院の存在意義。150 床くらいは新生児科及び小児科、小児外科が占めていますので、全体で 600 床くらいは必要だということです。」
 「500 床以下ですとほとんど黒字は出ていません。採算部門である程度病床数を確保してその入院患者数を上げないと、経営赤字が続いて病院が継続できないという事態になります。」
 「地域ごとに病床数が決まっており、病院間で争奪戦になっております。今松戸市立病院は600床を使っておりますけれども、150床返した瞬間に他の病院が持っていってしまいます。」

●医師会
 医師会は難しい患者を、医師会員の求めに応じて、迅速に松戸市立病院に引き取ってもらうことを望んでいた。医師会代表は、膨大な項目のリストを提出して、各項目の医療を高レベルで提供することを求め、600床が必要だと述べた。
 「全国 867 自治体の公立病院で分析を行いましたのが図でございます。病床数が減ずるにつれて、1日当たりの入院単価が正比例して減少いたしました。病床が減少するにつれて平均在院日数は延長し、病床稼働率は低下しました。」

●市民公募委員
 市民公募委員の一人は、経済合理性について粘り強く議論した。会議の運営がどのようなものだったか理解できる。
 「一番気にしているのは現在の松戸市の財源なんです。これで、例えば、600床なり520床なり540床なりの建物をつくっても毎年20億、30億近くの赤字補填をしていたら、多分、いずれ指定管理者制度とか、民間に移譲するという話も現実問題として出てきてしまうのではないかと思うのですが。」
 「平成 16 年度から平成21年度にかけては平均在院日数も減ってます。しかも病院稼動率は落ちてます。それに来ている延べ患者数も落ちてます。事実としてこの数字というものが存在すると思うのですが。この委員会で600床だということを先生方は言い切られましたけども、このまま600床で突っ込んでいっちゃっていいのでしょうか。松戸市立病院は今80%で病床率稼動してますけれども、周りで実際に病床が増えるわけですよね。千葉西及び新東京病院で。そうすると、この稼動率というのは、実際ひょっとしたら現在よりも下がる可能性もあると思うのですけれども。600 床はまずいんじゃないかなというふうに思うんですね。いかがでしょうか。」
 「公立病院の改革プランの評価委員会では、M先生が、松戸市立病院は500床でもいけるんじゃないかというかなり具体的な話をされています。」
 「平成 42 年の平均在院日数 10.5 日というシミュレーション値については、もっともっと短くなっていくという可能性も高いのではないかというふうに私は思います。また急性期病院として松戸市立病院がやっていくのであれば、このぐらいのレベルの平均在院日数の短縮をどんどんと達成していかなければ、収益の改善というのはやっぱりまずは見込められないのではないか。」
 「前の川井市長さんが紙敷の方ですごい病院をつくるぞというふうに600ベッドでの移転計画を描いて、それで何故か松戸市医師会さんの方でも600床に固執されちゃっているような気がするんです。私なぜダウンサイジング、ダウンサイジングと言うかというと、やっぱり市立病院を維持していって欲しいからなんです。」
 「Y委員長を批判するわけじゃないんですが、やっぱり600床の方に舵を切っちゃいましたよね、この我々の委員会として。」
 「そうじゃなくてもっと病院の規模というものを、改革プランとか客観的な数字が出ているものに則って議論していく必要があると思うんです。」
 「(M先生をこの委員会に呼んで)松戸市立病院500とか、手術に強い病院にしたらそういう運営の仕方もあるんじゃないかとか、そういう意見を是非聴きたい。」
 「冒頭で委員長が、評価委員会の委員の先生をお呼びするのは今回は控えたいということですが、我々のこの建替計画を検討する委員会と、経営の改革を評価する委員会とは目的が違います。ただ全く違うかというと決してそうではないと思います。改革プランというのは総務省が平成 21 年からやりなさいということで松戸市も始めました。『3 年以内に経営改善をし、それでもその後 2 年経っても黒字化されなければ、独法化、あるいは民間移譲しなさい』というようなかなり突き付けられている条件だと思います。私委員の一人として強く委員長に参考意見として評価委員会 の先生の意見を聴く機会を設けていただきたいと希望します。」

●自治体病院専門の学者委員
 副委員長として、議事録に正確な記録を残すことに気を配った。このため、議論の実態がよくわかる形で公開された。学者の立場を堅持し、対立に関わることを注意深く避けた。

●病院建築専門家委員
 全体でどこまでお金をかけられるか、病床利用率が低迷した場合にどの程度の財政負担まで覚悟するのかという懸念については、上記市民公募委員以外で明確に発言したのは、病院建築の専門家だけだった。

●コンサルティング業者の試算
 「一般論で場所を限定しない更地に600床程度の急性期病院を建設した場合、建設費はどのくらいになるのか(土地買収費は除きます)。600 床規模で算出しますと、113億4千万円から144億円となります。」

●質問状
 市民公募委員は委員会の進行を問題視し、以下の内容を含む質問状を提出したが、質問者が期待するような回答は返ってこなかった。
・ Y委員長が第9回委員会において、『600床規模以外での答申はするつもりがない』とする議事進行を行ったが、これは、一方の意見・主張のみに傾倒し公平性を欠く。
・ (医師会代表のY委員が)第9回委員会において『松戸市が発表した公式な実績値』を根拠なしと否定したが、病院建設事務局はどのような見解をもっているか。

●最終的な建設費
 市議会で新築移転が決まり、2013年、600床で、上限提示価格134億円で一括発注されたが、応募した3社はいずれも辞退した。そこで上限価格を設定せずに再度公募。最終的な建設費は600床で191億円になった。総事業費は268億円に達するという。2017年12月の開院を目指して、2015年11月25日、起工式が行われた。

●自治体病院と自治体の今後
 筆者自身、600床での新築移転という結論に対し強い意見を持つものではない。しかし、議論の進行は興味深い。紛糾の状況が議事録にリアルに示されている。議論が尽くされたように見えない。全体として、医療に携わっている委員、すなわち、松戸市立病院に医師を送りこむ大学の代表(委員長)、医師会代表、松戸市立病院管理者はいずれも、病床数を600床に維持しようとした。学者の委員は対立に関わろうとしなかった。財務上の責任を負う立場での議論は市民公募委員1名に限られており、投資拡大側が数的に優位だった。

 こうした委員会が日本中で行われていることは想像に難くない。財政上の理由で、抑制がかかる場面が想定できない。過大な投資、人手不足で病院が赤字になるのを阻止できない。国、自治体の赤字が膨らむ中で、病院の新築を契機に、自治体の存続が脅かされる事態が頻発する可能性がある。すべてを把握し、長期的見地から国益を考え、国民を適切に指導する「お上」は、存在しない。これを住民は覚悟すべきである。



http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2016/01/30/20160130m_04.html
室蘭・日鋼記念が首都圏対象者向けの検診と観光ツアー
【2016年1月30日(土)朝刊】 室蘭民報

 室蘭・日鋼記念病院(柳谷晶仁院長)は、室蘭や登別のホテルに宿泊しながら、がんの有無などを調べる検査(PET―CT)が受診できる「PET検診ツーリズム事業」をスタートする。西胆振の観光・医療資源を組み合わせた「地域宿泊型検診ツアー」として、首都圏をターゲットに2月1日から募集を開始。4月まで実施する。


 PET―CTは、がん細胞だけに目印を付ける専用の検査薬を投与し、陽電子放射断層撮影(PET)とコンピューター断層撮影(CT)の両装置の鮮明な画像で腫瘍の位置や大きさを撮影する検査。これにより「全身のがんの有無だけでなく、がんの位置や大きさ、進行度なども捉えることができる」(同院)という。

 ツアーは2泊3日。同院でのPET―CT検査の合間に、夜景、食など室蘭・登別の観光が楽しめるお得感を前面に打ち出した。

 同事業は昨年7月、室蘭商工会議所の創立90周年記念事業・元気づくりファンドに採択。関係機関などと実施に向けた調整を進めていた。

 同院では「室蘭の医療・介護の充足度だけでなく、観光資源などの魅力も広く認知され、地域全体の活性化に寄与できれば」と意欲を話している。
(松岡秀宜)



http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160130-046238.php
病理診断センター新設 磐城共立病院、中核病院の役割強化
2016年01月30日 08時24分 福島民友

 いわき市は29日、新年度の市立総合磐城共立病院の組織改正を発表した。2014(平成26)年に指定されたがん診療連携拠点病院として、現在ある病理診断部門を独立させて「病理診断センター」を新設、地域の開業医や医療機関からの病理診断に関する相談体制を整え、地域の中核医療機関としての役割を強め、地域全体の医療水準向上を図る。

 病理診断は、がんなどの病気を特定するために欠かせないが、市内の病理医は同病院の1人を含む計2人のみという。

 組織改正により、地域の開業医や医療機関からの病理診断に関する相談などを請け負い、同病院の病理医が対応することで、18年末に開院予定の新病院での医療提供体制強化にもつなげることが狙い。

 事務局組織では、新病院開院に向け業務を効率的に推進するため、契約や物品取得などの業務を総務課から病院建設課に集約させるほか、経営企画課企画係を「企画広報係」に名称変更し、経営企画課と総務課で担ってきた広報業務を一元化する。


  1. 2016/01/31(日) 05:55:30|
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