Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月19日 

http://www.news-postseven.com/archives/20160119_378417.html
手術や投薬と違って検査は儲からぬと乳がん若手医師不足に
2016.01.19 16:00 news ポスト セブン

 昨年12月25日、千葉県がんセンター(千葉市中央区)が会見を行い、早期乳がんの患者Aさん(30代)と進行乳がんの患者Bさん(50代)の検体(検査の材料となる血液や組織)を取り違え、誤った診断により、Aさんの右乳房を全摘出する手術をしたと発表した。

 すでに患者2人と家族に謝罪し、院内に事故調査委員会を設置して原因を調べている最中だと報告したのだ。

 病気になったとき、重篤であればあるほど「有名な病院に行きたい」「名医に診てもらいたい」と思うのは当然のことだ。ましてや、今回のような事故を耳にすれば、そんな危険のない病院にかかりたいと一層思うだろう。

 でも、一生懸命病院を選んで信頼できる医師に委ねても、今回のような事故に遭遇する可能性はゼロにはならない。千葉県がんセンターも、その地域では信頼された病院だったのだから。

 とすると、私たちが事故を未然に防ぐためにはどうしたらいいのか。まず考えつくのは、「セカンドオピニオン」だ。

 セカンドオピニオンとは、今かかっている主治医の診断や治療方針だけに依らず、患者がほかの医師に相談して求める見解のことをいう。

 主治医の診断等に納得がいかない場合に、転院したり、ほかの病院で治療を受けたりするのではなく、違う意見も聞いた上で、患者が最終的に納得した治療に至ることが目的だ。今回の事故の場合も、もしAさんが針生検の結果に疑問を感じて、他院に行っていれば――。

 だが、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんは、驚くべき事実を指摘する。

「セカンドオピニオンを受けたとしても、最初の病院で生検をしたら、その組織の標本や診断結果を別の病院に持って行くのが一般的です。別の病院で、生検の検査をし直すことは稀でしょう。ですから、取り違えられた細胞組織を持っていって診てもらっても、あまり意味はない」

 本当は早期がんなのに、最初の病院で“進行がん”の結果と取り違えられてしまったら、セカンドオピニオンをしても、結果は進行がんになる可能性が高いということだ。

「乳がんの場合は、基本的に“2度刺し”はしません。針を刺して細胞を採る生検は、患者さんへの負担が大きい。何度も部位を刺すことによって、良性の腫瘍の場合でも刺激されて大きくなることがあるし、悪性の腫瘍だと、がん細胞が複数個所に散らばってしまうリスクもあるからです」(ベルーガクリニック院長の富永祐司さん)



https://www.m3.com/clinical/news/392125
高齢者薬物指針「ストップ」の真意-秋下雅弘・ガイドライン研究代表者に聞く◆Vol.1
「中止・変更を考慮」が「即中止」と誤解
日本老年医学会

2016年1月19日 (火)配信

一般内科疾患内分泌・代謝疾患投薬に関わる問題

 2015年12月に『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』が発刊された。同年4月の原案公表時に医療従事者の間で少なからず議論を呼んだのは、当初「ストップ」と名付けていた処方適正化スクリーニングツールである(『高齢者薬物療法指針2015案を公表』を参照)。同ガイドライン研究代表者の秋下雅弘氏(東京大学大学院加齢医学教授)に、その名づけの真意やガイドラインの要点を尋ねた。(聞き手・まとめ:森圭吾、m3.com編集部)

あくまで処方適正化のスクリーニングツール

――「ストップ」と名付けた薬剤のリストは、かなりの衝撃を持って医療従事者に受け止められました。

 このリストは、2005年の初版に掲載した『高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト』の改訂版で、主旨は前回と何ら変わっていません。名称が控えめ過ぎて認知されなかったのではないかという反省から、欧州で作られた高齢者の処方スクリーニングツール「Screening Tool of Older person’s Potentially inappropriate Prescriptions(STOPP)」からヒントを得て「ストップ」としたのですが、当初は大きく誤解されました。

 薬剤師やマスコミなど高齢者の薬物問題に意識の高かった人たちは好意的な反応がほとんどでしたが、一般の患者や医師には「ストップ=即中止すべき薬剤リスト」と受け止められてしまった。あくまでポリファーマシー対策や副作用予防へ処方を再考するためのリストと説明していたにもかかわらずです。このため「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」と名称を変えましたが、それでもまだ少なからず「=中止すべき」と誤解している方もいるようで、処方の適正化へ向けた必要なステップとして丁寧な説明を繰り返していくしかないと思っています。

 今後は老年医学会の学術集会と各地方会での教育企画を充実させたり、教育用スライドセットや一般向けパンフレットを作成したりして、啓発活動を強化していきます。

非専門領域の長期薬物療法を見極める一助に

――このガイドラインは、どのように活用されるべきなのでしょうか。

 15年以上前の報告ですが、高齢者薬物有害事象の頻度を東京大学老年病科で検討したところ、75歳以上の後期高齢者では緊急入院の15%以上を占め、10%に満たない74歳以下の層より薬の効き過ぎが多いことが分かりました。代謝や分布、排泄など臓器予備能が低下する一方で、消化管の吸収能はほぼ変化しないため、結果的に過量投与に陥りやすい。さらに、認知機能や視力、聴力の低下でアドヒアランスが低下し、症状発現の遅れも発生しやすく、何より後期高齢者や要介護高齢者の医療提供の難しさはエビデンスが決定的に不足していることにあり、薬物有害事象を早期に察知、また予防し、適切に対処するスクリーニングツールが必要なのです。

 このガイドラインの要諦である「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」を含んだ高齢者の処方適正化スクリーニングツールは、75歳以上の高齢者と75歳未満でもフレイル(心身の予備能低下)や要介護状態にある高齢者を主な対象としています。慢性期、特に1カ月以上の長期投与が基本的な適用対象です。

 利用の対象は、かかりつけ医や主治医を務める実地医家で、特に非専門領域の薬物療法が含まれる場合の活用が狙いです。服薬が5剤を超えればふらつきや転倒の発生リスクが高まることなどが知られています。ガイドラインでは、明確に「何剤以上であれば」という基準はありませんが、専門的な治療が求められる急性期から亜急性期の場合を除き、何らかの薬剤性障害が疑われる場合は、スクリーニングツールなどを使って減量や中止を検討してほしい。

 薬物有害事象の疑いを見極めるきっかけとしても活用できると思います。主治医であれば本来は、リストがなくても服用中薬剤の優先順位を付けられるスキルが求められますが、このリストを使って20-30人の患者を診察していれば、自然と取捨選択のスキルが身に付くと思います。



https://www.m3.com/clinical/news/392122
小児の医薬品誤飲事故に警鐘
PMDAが消費者庁委員会の報告書を紹介
医薬品医療機器総合機構

2016年1月19日 (火)配信

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)はこのほど、小児の医薬品誤飲事故についてまとめた消費者庁消費者安全調査委員会の事故等原因調査報告書をオンラインで紹介し、警鐘を鳴らしている。5歳以下による医薬品などの誤飲事故件数が、2014年の1年間で8433件に上り、一般用医薬品よりも医療用医薬品で誤飲が増加傾向にあるという。PMDAでは、誤飲が発生した場合は専門の相談機関に連絡するか、必要に応じて医療機関を受診するよう呼び掛けている。

 事故等原因調査報告書では、日本中毒情報センターに寄せられた情報として、5歳以下の小児による医薬品などの誤飲事故は2006年から増加傾向にあるとしている。2014年に寄せられた8433件の誤飲事故のうち、症状を有した事例は849件に上った。

 具体的な事例としては、1歳7カ月の子供が医薬品を保管している居間の棚に座椅子などで足場を作ってよじ登り、胃腸薬を4-5錠飲み込んだ。別の事例では、2歳5カ月の子供と一緒に昼寝しようとした親が、自身の寝つきのため高さ58.5cmのベッドサイドテーブルに精神安定剤を2-3錠置いていたところ、子供が手に取り誤飲したという。

 消費者安全調査委が2012年に同センターに報告された症状を有する誤飲事故869件のうち、小児本人による誤飲事故764件を分析したところ、1-2歳による事故が549件と71.9%を占めた。月齢別では6カ月から9カ月にかけて大きく増加し、2歳6カ月頃までが比較的多い傾向にあった。

 PMDAでは、「小児救急電話相談」や「中毒110番」の利用法を示した上で、医薬品の保管場所は子供の成長を踏まえて十分気を付け、服用する際には子供の手が届く場所に放置せず、速やかに服用するよう求めている。



https://www.m3.com/clinical/news/390818
ブラックジャックは受入れられなくなる
どうなる?10年後、20年後【脊椎脊髄病】【血管外科】(サブスペシャルティ領域編5)
2016年主要医学会代表者アンケート

2016年1月19日 (火)配信

 近い将来、臨床現場に起こるであろう変化を領域別に予測してもらうm3.comの新年アンケート「主要医学会トップに聞く!『どうなる?10年後、20年後の医療』」。各領域からの回答を順に紹介していく(回答は各学会の公式見解ではなく、回答者個人の見解となります。ただし、匿名希望もあることから、ご回答いただいた先生の氏名は記載しません)。

再生医学の臨床応用が進む――日本脊椎脊髄病学会

(1)10年後に大きな発展が見込まれる診断や治療の技術、方法は?
 損傷脊髄の再生、変性椎間板の変性抑制と再生、骨類似の素材、骨誘導型素材の応用といった再生医学的治療
 ナビゲーション手術の発展
 骨粗鬆症脊椎に適した金属素材の開発と臨床現場での応用
 脊椎、脊髄由来の疼痛管理の改善

(2)20年後も診療の要であるだろう診断や治療の技術、方法は?
 脊椎脊髄外科にとって最も重要なのは神経診断学である。画像診断に振り回されない的確な診断と治療法の決定能力は、将来も変わらず必要である。若手の先生方には、安全で標準的な脊椎脊髄外科手術を習得し、実践してほしい。

(3)10年後には施行する機会が減ると思われる診断や治療の技術、方法、あるいは患者数が減ると見込まれる疾患は?
 標準的な技術を逸脱した手術法。特定の医師にしかできないと言われる手術法は必ず廃れる。いわゆるブラックジャック的な術者は受け入れられなくなる。


直達手術、減っても必ず習得を――日本血管外科学会

(1)10年後に大きな発展が見込まれる診断や治療の技術、方法は?
 血管内カテーテル治療やロボット治療といった低侵襲治療
 術後退院まで含めた無痛手術
 直達手術の経験数減少を受けた直達手術のシミュレーター

(2)20年後も診療の要であるだろう診断や治療の技術、方法は?
 直達手術、血管内治療

(3)10年後には施行する機会が減ると思われる診断や治療の技術、方法、あるいは患者数が減ると見込まれる疾患は?
 血管内治療の発達を受け、直達手術を施行する機会は減る。ただし、この治療法の習得も不可欠である。

本アンケートは、日本専門医機構で基本領域に位置づけられている19領域、ならびに現時点でサブスペシャルティ領域に位置づけられている29領域の専門医を認定する計50学会の代表者個人を対象に行いました(回答期間2015年11月20日~12月25日)。ご協力いただいた医学会代表者様、ならびに事務局の方々にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201601/CK2016011902000176.html
「全患者避難」想定して 大災害経験の医師・看護師らがシンポ
2016年1月19日 東京新聞

 災害が起きると、救護に当たる病院も危険にさらされる。昨年、福島市で開かれたシンポジウム(弘前大・摂南大・福島県立医大が共催)では、東日本大震災など大災害を経験した医師や看護師らが、全患者避難を「あり得るリスク」として事前に想定し、備えることの大切さなど、教訓を共有した。 (由藤庸二郎)

 「津波は二階までの想定だったが、実際は海と川から挟み撃ちされて四階まで浸水した」。二〇一一年の東日本大震災発生当時、岩手県陸前高田市の県立高田病院長だった石木幹人さん(現・同市地域包括ケアコーディネーター)は想定の甘さを反省点に挙げた。
 病棟はパニックに。衛星電話はあったが使い方を誰も知らなかった。日ごろから医師同士が顔を合わせている内陸部の県立病院と、早い段階で連絡が取れたのが幸いした。受け入れの申し出があり、ヘリコプターなどで入院患者の大半を素早く搬送。救護所設置と被災患者の受け入れがスムーズに進んだという。
 石木さんは「いざというときに『頼むよ』『分かった』で通じる関係をつくっておくことがとても大切だ」と強調した。

 患者を受け入れる側は-。福島市の福島県立医大病院で副病院長として対応した横山斉教授(心臓血管外科)は、行政との情報共有の重要性を語った。
 病院は断水が起きたが施設被害は軽微。ただ東京電力福島第一原発事故の避難指示の範囲が日々拡大し、受け入れ患者も増加の一途。一時は待合室にもあふれた。病院の体制をよく知る中堅の医師が県庁に交代で詰め、対策本部に集まる情報を刻々と病院に伝えたことが役立ったという。
 病院では、移動できる病状の患者はさらに別の病院に搬送。重症者の受け入れ機能を維持した。ただ、運ばれてくる患者の中には病名や病状、飲んでいる薬の情報がない患者も多かった。原発事故からの避難は一刻を争い、送り出す側に情報を整える余裕がなかったため、患者情報の引き継ぎが課題として残った。
 〇四年の新潟県中越地震では六十八人が死亡し、約四千八百人が重軽傷を負った。同県小千谷市の小千谷総合病院では屋上の貯水槽が破損。病棟に大量の水が流れ込んだ。以後、八日間断水し、電気は五日間止まった。佐藤和美看護部長(当時)は「建物が使えてもライフラインが止まれば医療はできないと思い知った」という。
 発生時は現場の看護師が「訓練通りにやろう」と励まし合い、適切に避難誘導ができたという。まず軽症患者を自宅に戻し、重症者は百人以上を併設の介護老人保健施設の免震棟に移した。被災地外の病院に連絡して八十人以上をヘリなどで搬送してもらった。
 病院ではその後、この教訓を基に災害対策を見直し、責任者を決めて訓練を充実。毎年の予算も計画的に配分、物心両面で備えている。佐藤さんは「最低限のマニュアルがあれば、いざというときそれ以上のことができる」と力説した。



http://www.medwatch.jp/?p=7283
「新たな時代の皆保険」と「地域包括ケアシステム」との構築が、超少子高齢社会の最重要課題―厚労省・唐澤保険局長
2016年1月19日|2016 診療報酬改定ウォッチ

 19日に厚生労働省が開いた全国厚生労働関係部局長会議で、厚労省保険局の唐澤剛局長は「超少子高齢化に対応した医療・介護モデルの構築が最大の課題である」とし、(1)新しい時代に合った国民皆保険制度(2)地域包括ケアシステム―の2つの仕組みを作り上げていくことが重要と強調しました。

超少子高齢社会では、皆保険維持がとても困難


 唐澤保険局長は、国民皆保険制度について「失業して収入がなくなっても、病気がちであっても、誰でも、どこ医療機関にかかっても、低額の費用で医療を受けられる」素晴らしい制度であると述べ、「新しい時代に向けて、国民皆保険制度を守っていくことが極めて重要である」点を再確認しました。高齢化が進み、医療技術も進展する中で、その成果を国民に還元しながら、低廉な費用負担で保険制度を運営することはとても難しくなっています。

 この側面については、昨年(2015年)の医療保険改革で「国民健康保険の財政運営主体を2018年度から都道府県に移管する」ことになりました。厚労省保険局国民健康保険課の榎本健太郎課長は、▽各市町村からの納付金学算定ルール▽国保運営指針―に関する原案を提示し、今後、都道府県と市町村を中心に制度運営の準備を進めていくことを説明しています(関連記事はこちら)。

 一方、地域包括ケアシステムの構築について唐澤保険局長は、「急性期と回復期・慢性期、介護の連携は、非常に難しい。これらをつなげていくために、いわば『地域における総合的なチーム医療改革』を行うことが必要である」と強調。

 この点、2016年度の次期診療報酬改定では、「病床の機能分化・連携」と並んで、「地域包括ケアシステムの推進」が重点課題に掲げられていることが、厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長から説明されています(関連記事はこちらとこちら会)。


医療費の地域差を分析し、その要因を「見える化」

 皆保険制度を維持していくためには、膨張し続ける医療費を、国民が負担できる水準に抑える(適正化する)ことが必要です。

 2008年の医療保険改革では、都道府県に「医療費適正化計画」の策定が義務付けられました。2015年の医療保険改革では、医療費適正化計画のベースとなる基本方針について次の3つの視点に基づく見直しが行われました(2018年度から反映)(関連記事はこちらとこちら)。

(1)病床機能の分化・連携の推進の成果を踏まえた入院医療費の推計式の設定

(2)外来医療費の推計式の設定

(3)現在の行動目標(特定健診・特定保健指導の実施率、平均在院日数など)について、医療費適正化効果の観点からの見直し

 厚労省保険局医療費適正化対策推進室の安藤公一室長は、「入院・外来ともに医療費の地域差の要因を詳細に洗い出し(このため、例えば受療率、1人当たり日数、1日当たり診療費の3要素に分解した分析などを行う)、地域差の背景を見える化する。その上で保険者に関係あるものは取り組みをしてもらう(例えば目標値などの設定)」と、これらの見直しの基本的な考え方を説明しています。

 また薬剤費については、▽後発医薬品の使用▽重複投与▽多剤(7剤以上)投与―の3つの視点から分析を行い、地域差の要因などを見える化することになります。


予防・健康づくり推進に向け、保険者の種類に合わせたインセンティブ


 ところで、医療費を適正化する手法の一つとして、最近は「予防・健康づくり」が重視されています。

 厚労省保険局総務課の渡辺由美子課長は、この一環として、2016年度予算案で▽レセプト・健診情報などの分析に基づいた保健事業などの推進(6億5000万円)▽保険者協議会における保健事業の効果的な実施への支援(1億円)▽重複頻回受診者などへの訪問指導、高齢者の低栄養(フレイル)防止の推進支援(4億5000万円)―などを計上していることを説明しています(関連記事はこちら)。

 また予防・健康づくりを進めるためには、保険者や個人に一定のインセンティブを与えることが有用と考えられています。現在、保険者に対するインセンティブとしては「特定健診・保健指導の実施率に基づく、後期高齢者支援金の加算・減算制度」があります。

 これは、特定健診などの実施率が高い保険者については、75歳以上の後期高齢者医療を支えるための支援金を安く設定するというものですが、なかなか実効性が上がっていません。この点について安藤公一・医療費適正化対策推進室長は2018年度から、次のように保険者の区分ごとの「予防・健康づくり」インセンティブを設ける考えを説明しています。

▽健康保険組合、共済組合:後期高齢者支援金の加算・減算制度(現行制度)の見直し

▽協会けんぽ:各支部の取り組みを、都道府県単位保険料率に反映させる

▽国保(都道府県・市町村):保険者努力支援制度を創設する

▽国保組合、後期高齢者医療広域連合:各組合・広域連合の取り組みなどを特別調整交付金に反映させる

 安藤公一・医療費適正化対策推進室長は、インセンティブを付与するに当たっての指標として▽特定健診などの実施率、メタボリックシンドローム該当者・予備軍の減少率▽特定健診などに基づく受診勧奨などの取り組みの実施状況▽糖尿病などの重症化予防の実施状況▽加入者に広く行う予防・健康づくりの取り組みの実施状況▽加入者への適正受診・服薬を促す取り組みの実施状況▽後発品の使用促進に関する取り組みの実施状況―の6点を説明しました。


25対1医療療養などの新たな移行先、今後、社保審で議論

 後者の地域包括ケアシステム構築に向けては、前述の診療報酬改定のほかに、医療介護連携も重要でしょう。従前は、医療は主に医政局と保険局、介護は老健局という具合に縦割りになっていましたが、現在は両者をつなぐ「医療介護連携政策課」が保険局に設置されました。

 厚労省保険局医療介護連携政策課の城克文課長は、15日に「療養病床の在り方等に関する検討会」が取りまとめた、25対1医療療養・介護療養の新たな移行先案として、医療内包型2案・医療外付け型1案の合計3案について説明を行っています(関連記事はこちら)。

 これらは、今後、社会保障審議会に報告され、これをベースに具体的な制度設計論議が行われます。



http://www.medwatch.jp/?p=7273
地域医療構想策定に向け、「地域で欠けている医療機能」や「医療提供体制の評価」が必要―厚労省・神田医政局長
2016年1月19日|医療・介護行政をウォッチ

 厚生労働省が19日、全国厚生労働関係部局長会議を開催しました。これは翌年度における厚生労働行政の重要事項を、都道府県の保健福祉などの担当者に2日間にわたって説明する会議です。

 会議の中で厚生労働省の神田裕二医政局長は、「今年はすべての都道府県で地域医療構想を策定してもらうが、その際にはデータを活用して『地域に欠けている医療機能はないか』『現在の医療提供体制の評価』などを行ってほしい」と強調しました。

地域医療介護総合確保基金、病床機能の分化・連携に重点配分

 医政局からは、神田局長と梅田珠実審議官から、大きく次の3テーマについて説明が行われました。

(1)医療提供体制改革

(2)医療安全対策

(3)後発医薬品の使用促進

 このうち(1)の医療提供体制改革では、やはり病院・病床の機能分化推進に向けた「地域医療構想」と「病床機能報告制度」に注目が集まります。

 地域医療構想は、2025年における医療需要と病床の必要量を▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期―の4機能ごとに推計し、現在の医療提供体制からどのように機能分化を進めていくかの、いわば設計図です。この設計図(構想)と毎年度の病床機能報告との隔たりを、2025年までに、徐々に埋めていく(地域医療構想調整会議)ことで、機能分化を図ることになります(関連記事はこちら)。


地域医療構想と病床機能報告結果の乖離を、調整会議で埋めていくことで、徐々に機能分化・連携を推進していく


 今年(2016年)中にすべての都道府県で構想が策定される見込みですが、神田局長は次の2点(とりわけ後者)を重視するよう強調しました。

▽病床機能報告による現状と地域医療構想における必要病床数との比較(病床の機能分化・連携について、まず病床機能報告制度によって、各医療機関が担っている病床機能の現状を把握する)

▽病床の機能区分ごとにおける構想区域内の医療機関の状況の把握

 後者では、例えば「がん、脳卒中、心筋梗塞などの主な疾患に対応できる医療機関の分布」を把握することが必要です。具体的にはDPCデータを用いて、医療機関ごとにMDC(臓器別の疾患分類)別の患者数を集計することで、「各医療機関の機能」を把握するとともに、「地域で欠けている医療機能」がないかなどを確認することが求められます。

 また、地域の医療提供体制の定量的な評価・分析も重要となります。このためには、レセプトの発生頻度に大きなばらつきが生じていないかなどを見ることが考えられます。神田局長は「神奈川県の2次医療圏別に胃がんに対する内視鏡手術のレセプト発生頻度(年齢・人口構成を補正)」を紹介しました。

 それによると川崎南部医療圏では全国平均よりも当該レセプトの発生頻度が極めて高く、県西医療圏や県南医療圏では逆に極めて低いことが分かりました。神田局長は、「疾病の発生状況が異なるのか、それとも医療提供体制に問題があるのかなどを分析してほしい。それが機能分化に関する話し合い(調整会議)の出発点である」と強調しています。

地域医療構想策定に当たっては、レセプト出現率などから「現在の医療提供体制の評価」を行うことも肝要

 機能分化を進めるにあたっては施設・設備の整備が必要なケースも出てくるため、厚労省は地域医療介護総合確保基金を都道府県に設置し、ここから財政的支援を行うことにしています。2015年度には医療分として904億円(病床機能分化・連携に454億円、在宅医療確保に65億円、医療従事者の確保・養成に385億円)が確保され、2016年度の予算案でも同額が計上されています。神田局長は「病床機能分化・連携に重点配分」する考えなどを示しています(関連記事はこちら)。

非営利HD型医療法人、来年4月から施行

 病床機能の分化・連携を推進するためのツールの1つとして、地域医療連携推進法人(いわゆる非営利ホールティングカンパニー型の医療法人)制度があります。

 これは、医療法人をはじめとした、病院・診療所・介護老人保健施設を開設する複数の非営利法人が参加して地域医療連携推進法人を設立し、地域医療の再編に向けた統一的な連携推進方針の下に、地域医療構想の実現に向けて医療・介護事業を推進する、というもので、昨年(2015年)の国会で成立した改正医療法の中に規定されたものです(関連記事はこちら)。

 この医療法改正では、このほかに次のような見直しが行われました(関連記事はこちら)。

▽医療法人のガバナンス強化(一定の医療法人では公認会計士による監査の実施など)

▽医療法法人の分割規定の整備

▽社会医療法人の認定要件などに関する見直し(社会医療法人の認定を取り消されても、一定の要件に該当する場合には、救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施計画を策定し、都道府県知事の認定を受けた場合には収益継続を可能とするなど)

 この改正法の施行について梅田審議官は、次のように2段構えとする考えを明らかにしています。

【医療法人のガバナンス強化、分割制度、社会医療法人の認定要件など】:今年(2016年)9月目途に施行(16年3-4月を目途に政省令などを公布)

【地域医療連携推進法人、外部監査など】:来年(2017年)4月目途に施行(16年10-12月を目途に政省令などを公布)


特定機能病院、今年10月から承認要件を見直し

 梅田審議官は(2)の医療安全対策に関連して、特定機能病院の承認要件見直しにも言及しました。

 大学附属病院(これも特定機能病院)で重大な医療事故が発生し、調査の過程で院内の医療安全に対するガバナンス体制が不十分であることが判明したことを受け、2015年4月に塩崎恭久厚生労働大臣をトップとする「大学附属病院等の医療安全確保に関するタスクフォース」が設置されました。そこでは、全国の大学病院などについて実地調査を行い、特定機能病院の内部統制を強化(医療安全担当副院長を医療安全管理責任者に就けるなど)するとともに、外部監査をするための監査委員会を設置することなどを提言しました(関連記事はこちら)。

特定機能病院において医療安全管理体制を強化(内部統制の強化、外部監査の強化)するとともに、医療法に「特定機能病院には高度な医療安全管理体制が求められる」旨の理念規定を置くことになった

 厚労省では、この提言を受けて特定機能病院の承認要件見直しに向けた検討を進めており、梅田審議官は「今年(2016年)4月を目途に必要な省令などの見直しを行い、10月を目途に施行する予定である」と説明しています。


 なお、梅田審議官は後発医薬品の使用状況には都道府県間で大きなばらつきがあることを指摘。その上で、「2017年央に70%以上、2018-20年度末までのなるべく早い時期に80%以上」という骨太方針で定められた新たな後発品使用目標の達成に向けて、▽市区町村または保健所単位レベルでの後発品使用促進に向けた協議会の設置・開催▽汎用後発品リストの作成―などに力を入れるよう都道府県担当者に要望しました。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47884.html?src=catelink
病床機能報告、急性期が47.9%に増加- 厚労省、15年度の速報値
2016年01月19日 18時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は、19日に開催した「全国厚生労働関係部局長会議」で、2015年度の病床機能報告制度の結果(速報値)を発表した。病院や診療所が報告した現在の病床機能が急性期だった割合は47.9%で、前年度と比べて0.8ポイント高かった。【佐藤貴彦】

 病床機能報告制度は、医療機関の開設者などが年一回、自院の病棟が担っている現在の機能や将来担うつもりの機能などを、▽高度急性期▽急性期▽回復期▽慢性期-の4つから選んで都道府県に報告するもの。報告するのは一般病床と療養病床の機能で、精神病床などは含まれない。集まった情報は、団塊世代が75歳以上になる2025年に必要な病床数を機能ごとに準備するための現状把握などに用いられる。

 15年度の報告は、同制度が始まって2度目となる。速報値は、昨年12月2日までに集計作業を終えたもの。機能ごとの内訳は、高度急性期が16万7202床(14.2%)、急性期が56万1812床(47.9%)、回復期が12万1410床(10.3%)、慢性期が32万3236床(27.5%)だった。前年度と比べると、高度急性期(1.3ポイント減)と慢性期(1.1ポイント減)の割合が低下した。回復期は1.5ポイント増加していた。

 この結果について厚労省の担当者は、医療機関に昨年配布したマニュアルで、高度急性期や回復期を選ぶ基準を明確にしたことのほか、各都道府県で将来必要な病床数の推計作業が進んでいることなどが影響した可能性があると話している。

 報告の締め切りは原則、昨年10月末だが、まだ約2万床分の回答がないことなどから現在も受け付けている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/392064
シリーズ: 真価問われる専門医改革
新専門医制、「がん」研修に支障も - 堀田知光・国立がん研究センター理事長に聞く
サブスペシャルティ「がん専門医」の位置付けも課題

2016年1月19日 (火)配信 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 2017年度の新専門医制度の開始まで1年強。その具体像が明らかになるにしたがい、幾つかの懸念の声が出ている。その一つが、がんなどの専門領域、疾患横断的な経験と知識が求められる領域の専門医のあり方だ。

 国立がん研究センターでは昨年6月に単独で、さらには12月に6つのナショナルセンターの合同で、日本専門医機構に対し、専門医制度に対する要望書を提出している。がん研究センターの専門医研修の現状も踏まえ、要望書の内容などを、理事長の堀田知光氏にお聞きした(インタビューは2016年1月12日に実施)。

――国立がん研究センターのレジデントの研修体制をお教えください。また新専門医制度により、どんな影響を受けるとお考えでしょうか。

 レジデントには正規と短期があり、いずれも条件は、臨床経験2年以上で、募集案内には「良性疾患を経験してから来てもらいたい」という旨を記載しています。正規は3年間のプログラムで、中央病院で年間30人程度、東病院で年間20人程度をそれぞれ採用。短期は希望により3カ月から2年間のプログラムで、中央病院では常時30人程度がいる状況です。

 (卒後2年間の)初期臨床研修は基本的な診療能力を身に付けることが目的なので、一般的な疾患を経験するために、研修医は大学から外に流れるのは当然でしょう。しかし、次の専門医研修のステップでは、各領域の専門的な技術、経験を積むために、大学が機能する必要があると考えています。実際に、2017年度からの新専門医制度では、大学や地域の中核病院などが基幹病院になり、研修施設群を構成することになるので、基本的な仕組みとしては悪くないと思います。

 ただし、オールジャパンに対するミッションを担うナショナルセンターの視点から見ると、研修施設群に縛られる制度では、幾つか困る点があります。

――具体的にはどんな点でしょうか。

 現状では、基本領域の良性疾患の専門医研修を一定程度終えて、その後にがん研究センターでがん領域の研修をすれば修了できるような医師が、3年間の正規レジデントとして来るケースが普通です。この点が新専門医制度でまず問題になり、正規レジデントの研修を受け入れにくくなることが想定されます。

 今回の新専門医制度では、研修プログラム制を採用し、研修施設群を構成することが求められます。がん研究センターの場合、がん診療に特化していますから、基本領域の専門医研修として基幹施設になれるのは、病理を含む限られた領域に限られるでしょう。病理の指導医は約20人おり、大学病院などよりも手厚く、がん研究センターで経験できない症例については、連携施設と組めば対応できます。

 しかし、それ以外の領域では、基幹施設となるのは難しい。例えば、内科の専門医研修では、循環器や呼吸器、消化器、神経などの良性疾患を幅広く経験する必要があり、がん研究センターが基幹施設になっても、多くの研修を連携施設に依頼することになり、現実的ではありません。一方、がん研究センターの短期レジデント研修を専門医研修の一部として認めてもらうためには、あらかじめ他の基幹施設の連携施設になる必要があり、研修の途中で、連携するプログラム施設群以外の専攻医が「このがんの分野を、がん研究センターで短期間でも勉強したい」と思った場合でも、そのニーズに対応できなくなるでしょう。

 また、正規レジデントの場合、過去5年の実績を見ると、卒後平均5.5年でレジデントのコースに入っています。したがって、2年間の初期研修を終えてすぐにがんセンターに来る医師は多くはないのですが、今後は基本領域の専門医取得後が基本となると想定されるため、正規レジデントの開始が若干遅くなる懸念もあります。

――6つのナショナルセンターでは、日本専門医機構に要望書を提出したとお聞きしています。

 2015年12月のことです。またがん研究センターでも6月に単独で、(1)研修体制が整っていれば、基幹施設として認める、(2)研修施設群を超えた研修も認める――ことを求める要望書を提出しています。

 新専門医制度では、「初期臨床研修の基幹型臨床研修病院の指定基準を満たす教育病院の水準」を持つことが基幹施設の条件。(1)は、がん研究センターでは初期臨床研修を実施していませんが、中央病院と東病院が、連携施設と組み、他の基幹施設の基準についても達成できる体制を確保している場合には、基本領域とサブスペシャルティ領域の基幹施設として認めてもらうための要望です。機構の回答は、「十分な研修プログラムが整っていれば認める」、つまり初期臨床研修の実施の有無だけで単純には判断せず、プログラム次第ということでした。

 (2)を要望したのは、やむを得ない理由以外は、研修施設群を超えた研修ができないとされているからです。この点については、機構から、現段階では明確な回答がありません。既に触れましたが、がん研究センターと連携する研修施設群に所属していないと、当センターでの基本領域の専門医研修に参画できない制度では、ナショナルセンターとしての役割が果たせないと懸念しています。全国から有為な人材を集めて、研修を行い、高度な専門性と研究マインドを持った専門医として、また全国に戻っていただき、医療の均てん化、日本全体の医療の質の向上に寄与するのが、ナショナルセンターの役割です。なお、我々のところでは、現時点で50くらいの基幹施設との連携に向けた検討を行っており、新専門医制度のプログラムが明らかにされるにつれてオファーの数は増加しています。各学会、専門医機構のプログラムとの整合性が取れるよう配慮しつつ、できる限り受け入れる予定です。

――サブスペシャルティをめぐる問題は。

 サブスペシャルティの研修については、基幹施設として取り組んでいきたいと思います。例えば、呼吸器内科の専門医を取得する場合、喘息などをはじめ幅広く研修することが求められますので、がん研究センターで自己完結する研修は難しい。しかし、がん以外の部分は、他の連携施設の研修と組み合わせれば、サブスペシャルティの専門医の研修は可能だと考えています。

 ただしその際、日本専門医機構が定めた「専門医制度整備指針(第1版)」において、専門医研修の施設認定基準として「初期臨床研修体制が整っているところ」と定められ、さらに、「基本領域とサブスペシャルティ領域の連動した研修」が明示され、実際各学会が示した研修プログラムにも色濃く反映されているところは懸念点です。そうなれば結果的に、「最初(初期臨床研修)から乗れなかったら、ずっと乗れなくなる」可能性が出てきます。

――サブスペシャルティの問題では、どのようにがん関連の専門医を位置付けるかについても課題です。日本専門医機構に、「未承認診療領域連絡協議会」のほか、アドホックな委員会として「がん診療の専門医に関する委員会」が設けられています。

 現在、がん関連の専門医としては「がん薬物療法専門医」がありますが、日本専門医機構のサブスペシャルティとしてはまだ認められていません。ただ機構で今後議論されるため、積極的に位置付けられる方向に向かっているのは事実です。そのほか、日本医学会や日本内科学会などからも要望が出ており、日本専門医機構もがん関連の専門医の重要性については認識していると思います。

 がん疾患は全ての診療科にわたり、横断的です。特定の診療領域のサブスペシャルティとして位置付けるのは難しい。また例えば、消化器外科の手術対象の多くががんであり、内科領域でも、血液内科では対象疾患の大半ががん。がんに特化した専門医を位置付ける必要性はあまりないとの意見もあるのは事実です。他のサブスペシャルティと並列で位置付けるのは難しいので、どの領域からも行ける「臨床腫瘍専門医」などが必要であると考えています。

――改めて基本的な点をお聞きしたいのですが、専門医制度をめぐる一連の見直しを受けて、専門医のレベルはどう変わるとお考えでしょうか。

 これまでの専門医制度は各学会の考えで、研修プログラムや専門医認定の方法、さらには専門医の質もバラバラだったのは事実です。新しい制度では、専門医試験自体は各学会が実施しますが、領域ごとに整備指針を作成し、研修施設群ごとの研修プログラムは第三者が認定する仕組みになりました。患者さんや国民にとって分かりやすい制度にすることが第一の目標なので、その点では一歩前進だと思います。

 ただし、繰り返しになりますが、研修プログラム制を導入した点が、我々としては引っかかるのです。プログラム制は、大学などの基幹施設が中心となり、関連施設を束ねて、研修施設群を構成するやり方。そこに専攻医を囲うことになるので、我々ナショナルセンターとしては少し動きにくいわけです。

――基幹施設が大学病院中心になり、地域医療への影響を懸念する声もあります。

 我々が基本領域の研修プログラムを作った場合でも、連携施設に一定期間、出す必要があります。その際に、連携施設での研修達成度をどう評価するかは難しい問題です。大学であれば、指導医を送るという機能を持っていますが、市中病院が基幹施設になった場合に、連携施設に対して、指導医を送る体力があるのかどうか。そうなると研修レベルが本当に保てるのか、という話になります。その意味では、指導医の派遣も含めて、ある程度、大学中心にならざるを得ない制度だと思います。ただ、それが旧来の医局制度、復活につながると見る向きもあるのでしょう。

 今回の見直しは、専門医制度の標準化を図るのが第一。第二に、今以上の医療崩壊につながらない配慮が求められます。今後、これらがどうなるかが注目されます。



http://digital.asahi.com/articles/ASJ1M4GW3J1MULBJ00C.html?_requesturl=articles%2FASJ1M4GW3J1MULBJ00C.html&rm=351
がん生存率、10年後は58% 3.5万人追跡調査
石塚広志
2016年1月20日00時02分 朝日新聞


主ながんの10年生存率
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 国立がん研究センターなどの研究グループは19日、がん患者を10年間追跡して集計した10年後の生存率を初めて公表した。全てのがんの10年生存率は58・2%で、5年生存率より5ポイント近く低かった。胃や大腸では5年生存率とほとんど変わらない一方、乳房や肝臓は5年後以降も下がり続けており、部位別の傾向が浮き彫りとなった。

 研究グループは一般的な5年生存率のほか、より長期の分析を進めており、全国規模の10年生存率が初めてまとまった。がんと診断された場合、治療でどのくらい生命を救えるかを示す国の指標となる。

 県立のがんセンターや国立病院機構など全国16のがん専門病院で、1999年から2002年に、がんと診断された約3万5千人を追跡した。初期から末期まですべての進行度合い(ステージ)が含まれている。

 ログイン前の続き主な部位別では、甲状腺の91%が最も高く、前立腺(84%)、子宮体がん(83%)、乳房(80%)と続いた。低いのは膵臓(すいぞう、4・9%)で、肝臓(15%)、胆囊(たんのう)胆道(20%)、食道(30%)と続いた。

 5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)のうち、胃と大腸は5年生存率と比べて2ポイント前後しか変わらなかった。臨床現場では現在、5年間が治療や経過観察の目安とされており、それを裏付けた格好となった。

 一方、乳房の場合、5年生存率は9割近いが、5年後以降もほぼ同じ割合で生存率が下がる。集計した千葉県がんセンター研究所の三上春夫・がん予防センター部長は「何年経っても再発し、根治が難しいことを示している」と話した。

 肝臓は約3割の5年生存率が1割台に下がる。肝臓がんは慢性肝炎や肝硬変を経て発症することが多く、手術ができても再発率が高い。国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は「最初のがんを治療しても、次々とがんが出てくる傾向がある」と説明した。乳房や肝臓などのがんでは、6年目以降も引き続き、経過観察する必要があるといえそうだ。

 ただ、調査の対象となったのは10年以上前にがんと診断された患者で、研究グループでは「医療の進歩で、現在の生存率は向上している」とする。国立がん研究センターの堀田知光理事長は「10年前は(治療効果が期待できる)抗体医薬や分子標的薬が出て間もなかった。今、診断された人の10年先の生存率はずいぶん変わっているだろう」と話している。

 集計結果は、全国がん(成人病)センター協議会のサイト(http://www.zengankyo.ncc.go.jp/)で見ることができる。(石塚広志)

     ◇

 《調査の詳細》 研究に参加した全国32のがん専門病院のうち、信頼性を担保するため患者数50人以上、追跡率90%以上などの条件を満たした岩手から大分までの16病院が対象。1999年から2002年に白血病などを除く計28種類のがんと初めて診断された3万5287人(5~94歳)を分析した。患者はがん以外の病気や事故などで亡くなる場合もあるため、がん以外の死亡の影響を補正した「相対生存率」で示している。


  1. 2016/01/20(水) 05:49:14|
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