Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月7日 

https://www.m3.com/news/general/388964
大阪北逓信病院を閉鎖へ 日本郵政、合理化で3月末
2016年1月7日 (木)配信 共同通信社

 日本郵政が運営している大阪北逓信病院(大阪市北区)を3月末で閉鎖することが6日分かった。赤字の病院事業に関する経営合理化の一環で、入院患者の他の病院への転院などを進めている。当初は売却の方向で調整していたが、建物の老朽化が激しいことなどから閉鎖を決めた。

 日本郵政は現在、全国で11カ所の逓信病院を運営している。4月以降に残る10カ所の病院についても売却などを検討するとみられる。

 逓信病院は旧郵政省の前身である逓信省の職員や関係者向けの病院として開設された。今は日本郵政グループの関係者以外でも利用できる。



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0107038177/
大阪北逓信病院閉鎖へ...日本郵政、経営合理化で〔読売新聞〕
yomiDr. | 2016.01.07 Medical Tribune /

 日本郵政が経営合理化のため、大阪北逓信病院(大阪市北区)を3月末で閉鎖することがわかった。日本郵政は昨年11月に東京証券取引所に上場し、収益力向上が求められている。残る逓信病院は全国で計10か所となり、さらに譲渡や閉鎖を検討していく。

 大阪北逓信病院は1953年に開院した。内科や小児科などがあり、一般の患者も受け入れている。赤字が続いていたため、地元の医療法人に譲渡を打診していたが、譲渡先が見つからず、閉鎖することにした。入院患者は近隣の病院に受け入れを要請している。
 逓信病院は1938年、当時郵便事業などを担当していた職員や家族を診療するために東京で開院したのが始まりだ。2007年に日本郵政が発足し、同社直営の病院となった。
 病院事業は15年3月期に営業利益で60億円の赤字を計上しており、経営合理化のため、15年4月に仙台、新潟、神戸の3病院を譲渡していた。
(2016年1月7日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/iryoishin/388956
「『高齢者の生きがいづくり』がキーワード」、横倉日医会長年頭あいさつ
「かかりつけ医」推進のため地域包括診療料の見直し要望

2016年1月7日 (木)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 日本医師会の横倉義武会長は1月6日の定例記者会見での年頭あいさつで、「『高齢者の生きがいづくり』が本年のキーワード」と述べ、「かかりつけ医」を中心とした健康寿命の延伸に力を入れる考えを示した。4月に控える診療報酬改定でも、「かかりつけ医」の評価を求めたほか、2017年度から始まる新専門医制度については、地域医療と専門医制度を整合させるため、地域医療の崩壊を来さないプログラムの作成や関係者による「協議の場」の設置を求めた。

 2016年は地域医療構想を策定する年で、横倉会長は、各地域において地域医療包括ケアシステムを構築する必要性を指摘。日医として「地域に根ざしたかかりつけ医の存在が、高齢者の尊厳を保ち、住み慣れた地域でいつまでも健康に過ごせる社会を実現するカギであると確信している」として、4月から日医が始める「かかりつけ医機能研修制度」をアピールした(『「2016年、かかりつけ医を推進」- 横倉日医会長に聞く◆Vol.1』を参照)。

 かかりつけ医を中心に健康寿命を延伸していく方針を示した上で、安倍内閣が提唱する「一億総活躍社会」を実現するためには「高齢者の生きがいづくり」が今年のキーワードになると指摘。2015年7月に発足した「日本健康会議」とともに、先進的な予防・健康づくりを全国に広げるための活動をオールジャパンで取り組んでいくと述べた。

 診療報酬改定については、(1)技術料に包括されている医療用消耗品などが人件費を圧迫していることから、基本診療料など人件費、技術料が包括されている項目への重点配分、(2)地域包括ケアを推進するため、各機能を担う医療機関のコストを 適切に反映した診療報酬体系の実現、(3)「かかりつけ医」をきちんと評価するために地域包括診療料と地域包括診療加算の要件見直し――の3点を挙げた。

 消費税については、2016年度税制改正大綱で「特に高額な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえ、2017年度税制改正に際し総合的に検討し結論を得る」の文言が加わったことで、抜本的解決へ前進した書きぶりとなっていると説明した(『医学生修学金、「返還免除益」は非課税』を参照)。

 新専門医制度に関しては、地域医療の崩壊を招くことのないよう、日医が昨年末に発表した、一定の要件下で指導医がいない中小医療機関での研修を認めるべきとする「新しい専門医の仕組み―地域医療を守るための提案―」を改めて紹介。「地域医療と専門医制度を整合させるため、それぞれの地域において都道府県、大学、医師会等の関係者が協議・連携するための協議の場を設置することが不可欠である」と訴えた(『新専門医研修、「指導医不在でも一定要件下で認めるべき」』を参照)。

 6月に見直しが予定されている医療事故調査制度についても、1月から支援団体のスタッフを対象にした研修会を開催すること報告。医療事故の初期対応から調査報告書の作成、遺族への説明までの一連の過程において、他機関とともに、医学的専門性と公正性を持って調査を的確に行える総合的な調整力を有する人材の育成を目指す。



https://www.m3.com/news/general/388995
「医療安全順守と質の向上願う」天野篤・順天堂大教授
2016年1月7日 (木)配信 毎日新聞社

 ◇研修医や患者さんと共に

 医師国家試験まであと1カ月あまり。試験では3日間で500問を解きます。今の医学生は、私のころより問題数が多くて負担も大きいようですが、多くの知識を得て研修医生活に入ることは患者の皆さんのためになるので、しっかり試験に立ち向かってほしいです。

 さて、より重要なのが、合格後の医師たちを受け入れる研修体制です。研修では、一定のルールに基づき、責任を持って教育することが求められます。そのルールとは、診療行為の中で患者の安全を常に考慮する医療安全の順守、さらに研修医といえども「医療の質を保証する」という心構えと実践です。

 昨年は、手術、特に公的な医療保険で認められていない腹腔鏡(ふくくうきょう)関連の治療で患者が亡くなるという不幸な事例が、いくつも報告されました。医療安全の根幹を揺るがす問題だったため、厚生労働省は、高度な先端医療を担う特定機能病院で医療安全を柱とする診療体制を再点検し、医療事故調査制度も実現しました。医療安全は、患者一人一人の人権を尊重しながら医療過誤を極力回避する病院診療の中心となる原則ですが、治療によって思わぬ副作用や合併症が起きることもあり、迅速で丁寧な説明をしながら最適な対処をする方針も含まれています。

 医療安全の徹底には患者の皆さんの協力が欠かせません。診察や手術開始前には間違いが起きないように「名前と生年月日」を確認しますが、「面倒くさい」と感じる患者の方もいるようです。医療者は採血や検査の前に手指の消毒だけでなく、感染を防ぐため手袋をつけなければならないのですが、「温かみがない」と感じている方もいます。事前の検査で、転倒による骨折を防ぐため高齢者には車いすでの移動を勧めていますが、「年寄り扱いだ」と嫌悪感をいだく方もいます。それでも分かりやすい説明を心がけ、診療経験の多少に関わらず、こうした取り組みを常に続けることが義務付けられているのです。

 医療の質を保証していくため、検査や治療の際には、滅菌や消毒、汚染物の処理法、薬物や医療器材の管理法などを厳重に守らなければなりません。大規模な災害への備えでは、避難訓練や職員の対応に偏りがちですが、扱っている多くの引火物や有毒ガスが出る薬物にどう対処すべきかを日ごろから考えておくことが重要です。患者の皆さんを誘導したり、トイレ内に閉じ込められた人がいないかを確認したりすることも必要です。

 このように、一見して当たり前のように思えることを患者の皆さんに周知し、必要な協力を得るためにも、医療従事者は患者からの信頼を得ていることが必要です。医療界が昨年の反省を踏まえつつ、今年もより一層、患者の皆さんとの信頼関係を築き、医療安全を順守して医療の質を高める方向にまい進することを願わずにはいられません。=次回は2月4日掲載

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 ■人物略歴
 ◇あまの・あつし
 1955年生まれ。埼玉県出身。83年日本大医学部卒。亀田総合病院、新東京病院などを経て、2002年から現職。12年に天皇陛下の心臓バイパス手術を執刀したことで知られる。



https://www.m3.com/news/general/389039
津南病院 療養病棟休止を前倒し 2月中めどに 町が方針
2016年1月7日 (木)配信 新潟日報

 津南町は6日の町議会全員協議会で、3月末としていた町立津南病院の療養病棟(52床)の休止時期を、2月中に実質前倒しする方針を明らかにした。療養病棟の入院患者は全員一般病棟に移る。

 津南病院では慢性的に看護師が不足しており、2016年度は15年度より5人少ない41人となる見通し。この看護師数では一般(62床)、療養の2病棟の維持は難しいとして町は昨年夏、療養病棟を3月末で休止する方針を示していた。

 現在、看護師は病棟ごとに所属が分かれているが、4月以降は療養病棟のスタッフは一般病棟などを担当するようになる。このため同病院は、療養病棟の看護師が一般病棟での対処法を学んだり患者情報の引き継ぎをしたりするには移行期間が必要と判断。休止時期を早めることで移行期間を設けることに決まった。

 全員協議会では、泌尿器科と呼吸器外来の診察日数を4月から増やすことも説明された。



https://www.circl.jp/2016/01/07/8086/
電子カルテ導入で患者の不満爆発? 医師が向き合う相手は誰なのか
WRITER: kix
2014.01.07 CIRCL(サークル)

 病院で受診すると、電子カルテの情報が表示されたパソコン画面とにらめっこしている医師の姿をよく目にするようになった。
 日本では、2015年の電子カルテ導入率(予測)は、病院全体で41.4%、300床以上の大規模病院では77%だ(※1)。
 患者の情報を院内で共有できることなどメリットが大きい一方、医師が画面ばかり見て、患者の顔をみて話をしてくれないといった不満の声を耳にする。

医師と一度も目を合わせることがない診察

 長女がまだ4歳だった頃の話だ。近所のかかりつけのクリニックが休診となる土曜夜。長女が突然、40度の発熱と嘔吐(おうと)を繰り返し、水分が取れない状況になった。仕方なく、総合病院の救急窓口へ駆け込んだ。
 1時間ほど待ち、ようやく診察室へ。「どうされましたか?」とパソコンに向かって話す医師。そして、私から聞き取った話をすべてパソコン画面に打ち込んでいく。医師は長女をちらっと見ただけで、聴診器を当てることも、喉を診ることもなかった。私たちは、そのまま処置室へ通され、点滴を受けて帰った。
 医師と目が合うことは一度もないままだった。単純な胃腸風邪で点滴さえすればOKという状況だったのかもしれない。後ろに数多くの患者が控えていたからなのかもしれない。
 しかし、本当にちゃんと診てくれたのかなという不信感しか残らなかった。

パソコン画面ばかりを見る医師の評価は低い

 医師がパソコン画面ばかり見ていることへの患者の不満は、日本だけのことではないようだ。
 アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームは、医師がパソコンを使うことと患者とのコミュニケーションとの関係を調べようと、2011年から2013年にかけて、公立病院の医師39人の診察の様子を観察した。
 研究対象となった患者は47人で糖尿病やリウマチ、心不全など、慢性的な病気の治療で訪れている人たちだ。診察をビデオで記録し、医師がパソコンに向かっている時間を把握した。また、患者には診察後に聞き取り調査をした。
 その結果、25件の診察で医師はほとんどの時間、パソコン画面に向かってばかりだった。「とてもよい診察」と好評価をくだした患者は半分しかいなかった。一方、パソコン画面を見ることが少なかったのは19件の診察。80%を超える患者が「とてもよい診察」と評価した。
 医師がパソコンを見つめる時間が多いほど、患者と目を合わせる時間は少なくなり、患者の評価も低くなったようだ (※2)。

患者も電子カルテを共有する時代に?

 電子カルテは、医師にとって、院内の他の医師との情報共有ができることや、患者情報を把握しやすいことが大きなメリットだ(※3)。一方、カルテ記載に時間がかかる、患者と向き合う時間が減ったという声が聞こえてくるのも事実だ。
 電子カルテを導入する病院はさらに増えるだろう。その状況の中で、これからの診療はどうあるべきだろうか。
 医師は少しでも多く、患者と目を合わせる努力をすることがまず第一だ(※2)。また、患者と電子カルテの画面を共有することが改善策の1つにもなる(※4)。患者と医師が一緒に画面を見ながら話すという状況は、患者にとっては安心感につながる。さらに、「先生は画面ばかり見て自分を診てくれない」という不満も解消される。
 診察室でそんな光景が見られるようになったら、医師と患者の信頼関係はさらに強まるにちがいない。

※1:電子カルテ導入率2015 https://qmir.files.wordpress.com/2015/11/ehr2015.pdf
※2:Doctors’ use of computers during appointments leaves patients less satisfied http://www.reuters.com/article/2015/11/30/us-health-ehr-satisfaction-idUSKBN0TJ2QO20151130
※3:「電子カルテの利点と欠点は同等」3割◆Vol.5 https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/178588/
※4:【第5回】患者を救う電子カルテ(page 4) http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20150616/423380/?ST=ndh&P=4



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47789.html
国立大病院、4年連続で経常利益が減少- 文科省発表
2016年01月07日 14時10分 キャリアブレイン

 国立大附属病院は、高度な医療を提供するための診療経費や人件費などがネックとなり、収益が伸びても、利益は減る傾向にある―。このような実情が、文部科学省が発表した国立大の2014年度決算で浮き彫りになった。同省によると、全国の国立大附属病院の経常利益は、4年連続で減り続けているという。【松村秀士】

 全国43の国立大附属病院を合算した経常収益は、前年度比418億円増加の1兆1938億円で、経常費用は同521億円増加の1兆1745億円。経常収益から経常費用を差し引いた経常利益は193億円と、前年度より103億円減少。4年連続で利益が減った。

 費用の内訳は、診療経費6656億円(前年度比280億円増)、人件費4477億円(同209億円増)などで、受託研究費などは前年度より2割超増加の176億円となった。特に診療経費と人件費の伸びが、経常利益を押し下げる要因となった。

 同省は、14年4月の消費税率の引き上げや高度先端医療の提供に必要な医薬品や医療材料の購入などによって診療経費が増加していると指摘。その上で、国立大附属病院が中核的な医療機関として先端医療や地域医療で重要な役割を担っているとし、「医療負担に見合った診療報酬改定や教育・研究充実の視点からの財政支援が必要」と指摘している。



http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/010700063/?ST=ndh
医療の「質」の議論が置き去りに、医機連会長が警鐘
大下 淳一
2016/01/07 16:02  日経デジタルヘルス

 日本医療機器産業連合会(医機連)は2016年1月6日、東京都内で年頭記者会見を開催した。会長の中尾浩治氏(テルモ 代表取締役会長)が登壇し、医機連としての2016年の重点課題などについて説明した。

 中尾氏は冒頭、2014年11月の施行から1年余りが経過した、医薬品医療機器等法の影響に言及。同法が後押しする形で「デバイスラグは解消に向けて大きく進んでいる。医療機器の申請から承認までの期間は、米国よりもむしろ日本の方が短いという報告さえ目立つようになった」とした。

 医機連の重点課題に挙げたのは、次の8つ。(1)医療保険制度改革への対応、(2)医薬品医療機器等法の運用への対応、(3)諸外国の規制への対応、(4)コンプライアンスの徹底、(5)イノベーション人材の育成、(6)UDI利活用の推進、(7)医療ICTの推進、(8)広報活動の活性化、である。

 (1)については、在宅医療機器への適切な評価や医療機器の特性を踏まえた診療報酬、外国価格参照制度の廃止、などの要望に触れた。(6)では、米国や欧州で先行するUDI(医療機器の個体識別)規制の日本への波及に言及。規制への対応というスタンスではなく、医療の「安心・安全のために活用すべきとの立場で、行政などと連携していく」とした。

 中尾氏は、医療制度改革などにかかわる昨今の議論が「短期的な財政論に偏重している」と指摘。「お金(コスト)の議論はもちろん重要だが、医療を受ける側の立場に立った、中長期的な医療の質の向上にかかわる議論がほとんど出てこない」ことに警鐘を鳴らした。こうした傾向は「医療の質向上につながる」(同氏)と語る、医療等IDに関する議論にも見られるという。



http://mainichi.jp/articles/20160107/ddm/016/040/026000c
iPS細胞で新薬開発開始
毎日新聞2016年1月7日 東京朝刊

 武田薬品工業と京都大iPS細胞研究所は、がんや糖尿病、心不全など六つの疾患でiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った新薬開発や再生医療の研究を始めたと発表した。高齢化で世界的にも患者の多い疾患に向け、早ければ3年後に新薬の臨床試験を開始するとしている。

 計画によると、神奈川県藤沢市の湘南研究所内に約2200平方メートルの施設を開設し、iPS研究所の6人を中心に60人が参加する。4月に対象となる疾患を10以上まで増やし、40人以上の研究者を国内外からさらに受け入れる予定。



http://biz-journal.jp/2016/01/post_13200.html
武田薬品、最大の危機…業界帝王がトップ陥落か 容赦なき事業切り離しで解体的改革
文=編集部
2016.01.08 Business Journal

 2015年、武田薬品工業ではクリストフ・ウェバー氏が同社としては初の外国人CEO(最高経営責任者)に就任し、注目を集めた。

 その武田は同年11月30日、特許が切れた薬の販売事業を本体から切り離すと発表した。後発薬(ジェネリック医薬品)世界最大手のテバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)と16年4月以降、国内に合弁会社を設立して、特許の有効期限が切れた薬(特許切れ薬)の販売を任せる。武田は新薬の研究開発と販売に集中して収益力を高めるのが狙いだ。
 合弁会社の出資比率はテバが51%、武田が49%。5人の役員のうち、3人をテバで出す。武田は「長期収載品」と呼ばれる特許切れ薬の販売や医師への情報提供などに携わる社員60人を合弁会社に移す。テバは日本法人のテバ製薬(名古屋市)が新会社に参加し、後発薬の拡販を進める。テバ製薬は16年10月以降、社名を武田テバファーマに変更する。
 武田は高血圧症治療薬ブロプレスや消化性潰瘍薬タケプロンなど30品目の販売を合弁会社に移管する。ブロプレスは15年3月期に国内で946億円を販売し、武田にとって国内最大の商品である。それでも、特許切れにより販売は急減しており、15年4~9月期の販売額は313億円と前年同期比で4割強の減収となった。

武田の決断の背景

 日本の製薬会社が長期収載品を本体から切り離すのは異例だ。高齢化で膨らむ医療費に歯止めをかけるために後発薬の普及率を高めたい国の方針が、武田の決断の背景にある。後発薬は特許の切れた成分を使った薬で、新薬より3~5割程度安い。政府は15年5月、後発薬の普及率(数量ベース)を13年度の5割弱から20年度までに8割に引き上げる目標を掲げた。
 新薬のうち特許が切れて5年以上たっても売れ続けているブランド薬(長期収載品)の価格は下がらざるを得なくなる。対象品目に対する後発薬の普及率が7割の水準に達するまで、通常のペース以上に価格は下がり続ける。
 特許が切れた途端に後発薬にシェアを奪われることは米国で顕著だったが、日本市場もこの傾向が強まってきた。武田はブランド薬頼みでは収益を確保できないと判断。本体から切り離すことを決断した。
 テバとの合弁会社は武田の連結対象から外れ、持ち分法適用会社になる。武田は新会社に移管するブランド薬の詳細を詰めているが、ブロプレス分だけでも大幅に売上高が減る。利幅は薄いが、大きな売り上げのある特許切れ薬があったからこそ、武田は国内最大手の座を維持してこられた。

 武田の医療用医薬品の国内売上高に占める特許切れの薬の比率は45%。その大半を切り離すとなると、大幅な減収は避けられなくなる。14年度に576億円を販売した前立腺がんの薬リュープリンや糖尿病薬アクトスなどは新会社に販売を移管しない方向だ。減収の幅をどこで食い止めるかが、今後の経営上の焦点となる。
 この点に関して武田は15年12月28日、「減収の影響は17年3月期で500億円程度になる」と見通しを発表した。特許切れ薬の販売が急減していることや武田に入る販売手数料などを考慮すると、減収のダメージは軽減されるとしている。

業界勢力図への影響

 武田とテバの提携は日本の後発薬品メーカーの地図を塗り変えることになるだろう。製薬会社のグローバルランキング(14年)によるとテバは12位。武田は17位。テバは世界最大の後発薬企業なのだ。
 テバは08年9月に興和と合弁会社、興和テバを設立し、日本の後発薬市場に参入した。11年5月、後発薬メーカー第3位の大洋薬品工業の発行済み株式の57%を370億円で取得。最終的に100%の株式を取得して完全子会社にした。総額で1000億円を超える大型のM&Aとなった。
 同年9月に興和との合弁事業を解消し、興和テバを完全子会社にした。12年4月に大洋薬品と興和テバが統合し、テバ製薬が発足した。テバ製薬の売上高は700億円規模。
 国内の上場している後発医薬品メーカーは日医工(15年3月期売上高:1270億円)、沢井製薬(同1054億円)、東和薬品(同714億円)が上位3社。テバ製薬の売上高は非公開だが、武田とテバの合弁新会社に参加することで大幅にアップすることになる。一気に、国内に売上高1000億円を目指すと宣言していた。社名は武田テバファーマに変わることをテコに、さらに売り上げを伸ばす。
 後発薬メーカーのトップに浮上するものと見られている。武田は名を捨てて実を取る。特許切れ薬事業を分離することの衝撃は、予想以上に大きいのだ。
 ウェバー改革の第2弾は、非重点分野の呼吸器薬事業の切り離しだ。武田は15年12月16日、海外展開している呼吸器事業を英製薬大手、アストラゼネカに売却すると発表した。売却額は5億7500万ドル(約700億円)。16年3月末までに売却を完了する。
 売却の対象はぜんそく薬ダクサスとアルベスコ、アレルギー用点鼻薬オムナリスの治療薬3品。臨床試験にまで至っていない初期段階の新薬候補7品も譲る。治療薬3品と新薬候補のほとんどは、11年に買収したスイスの製薬大手、ナイコメッドが手がけていたものだ。3品の売上高は15年3月期の実績でおよそ240億円である。武田は、がんや消化器領域を重点分野に定め、経営資源を集中する方針だ。もともと呼吸器薬に力を入れていなかったこともあり手放すことにした。
 世界8位のアストラゼネカは、欧米のビッグ・ファーマ(大手製薬会社)のM&A合戦の渦中にある。14年春、世界首位の米ファイザーがアストラに買収を提案した。その時の金額はなんと10.2兆円。買収提案を拒否し、独自路線を貫いている。さらに、M&Aの標的にならないためにアストラはM&A攻勢に打って出た。15年11月、高カリウム血症の治療薬を開発中の米ZSファーマを3300億円で買収。12月にはオランダと米国に拠点を置く抗がん剤を開発中のベンチャー企業、アセルタ・ファーマを4900億円で手に入れると発表した。
 アストラは主力の高コレステロール血症治療薬クレストールが米国で特許切れになったのを受けて、買収で活路を開こうとしている。武田から呼吸器薬事業を買収するのは、その一環だ。

国内製薬トップの座が危機に

 武田の15年3月期連結決算の最終損益は1457億円の赤字となった。1949年の上場以来初めての赤字転落だ。99年に発売したかつての主力薬アクトスに対して、米食品医薬品局が長期服用することで膀胱がんの危険が高まると指摘。集団訴訟の対象になり、和解金や訴訟関連費用など3200億円を引当金として計上して赤字に陥った。
 16年3月期の最終損益は680億円の黒字になる見込みだ。しかし、国内2位のアステラス製薬の1750億円に大差をつけられ、3位の第一三共の750億円にも及ばない。
 武田は収益力を回復させるために後発薬を切り離し、呼吸器薬事業を売却。経営資源を新薬開発に集中する。武田は08年にバイオベンチャーの米ミレニアムを9000億円かけて買収。手に入れたがんや消化器領域の新薬候補が、ようやく発売時期を迎えつつある。
 武田は特許切れ薬の切り離しで、大幅な減収になることは避けられないだろう。500億円程度の減収にとどまるかどうかは予断を許さない。大型の新薬が育つのは先のことになる。
『会社四季報 2016年新春号』(東洋経済新報社)によると、武田の17年3月期の売り上げ予想は1兆9000億円(16年同期を1兆8500億円としている)。500億円のマイナスにとどまれば、16年3月期並みの売り上げになる。一方、『四季報』のアステラス製薬の17年3月期の売り上げ予想は1兆5100億円。アステラスが大きく業績を伸ばしても、首位は死守できるかもしれない。
 だが、製薬業界の帝王に永らく君臨してきた武田は、国内トップの座から滑り落ちるという、会社設立以来最大の危機を目前にしていることは間違いない。
(文=編集部)


  1. 2016/01/08(金) 05:40:51|
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