Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月4日 

https://www.m3.com/news/general/388221
「妊娠・育児中以外の医師にも配慮を」、日本産婦人科医会
2016年1月4日 (月)配信 成相通子(m3.com編集部)

 日本産婦人科医会はこのほど、2015年度の「産婦人科勤務医の待遇改善と女性医師の就労環境に関するアンケート調査報告」を公表した。1施設当たりの勤務医師数は増加傾向にあるものの、妊娠・育児中の女性医師が多いため、当直勤務や勤務状況の改善はほとんど見られず、通常勤務の医師への配慮が乏しいことから「産科離脱に至る危険のある状況」と指摘し、改めて強い危機感を示した。日本産婦人科医会は、改善策として、育児中の女性医師の力の活用や、当直勤務への配慮が重要だと指摘した。

 調査結果では、小学生以下の子どもを育児中の女性医師は、ほぼ半数が当直免除を受けていた。報告書は、本人のキャリア育成のためにも、チーム制などの勤務の工夫を導入して常勤を続け、育児中も当直やオンコールを担当することが必要だとしたほか、厳しい当直勤務の改善策として、当直翌日の勤務緩和の導入や、それができない場合には外来休診日の設置を提案。さらに、「突然の医師のバーンアウト・産科閉鎖よりもまし」であるとして、「診療規模の縮小」も考慮すべきだとした。「分娩・手術手当の導入や増額の交渉」も必要だとしている。

 アンケートは、産婦人科勤務医の勤務状況と女性医師の就労環境に関して、日本産婦人科医会が2007年度から毎年実施。2015年度は同年6月から8月にかけて、全国の分娩取扱施設のうち有床診療所を除く1074施設を対象に調査を行った。有効回答は781施設(72.7%)。

 1施設当たりの常勤医師数は2007年度(4.5人)から年々増加傾向にあったが、今回は6.3人で2013年度からほぼ横ばい。常勤医師1人当たりの分娩数は前年度(82.9件)から79.9件に減少した。女性医師数の割合は常勤医師で40.9%と初めて40%を突破。男女合わせた非常勤医師数は調査開始から初めて減少に転じたが、高齢や妊娠・育児、大学院などの理由で、常勤先がないフリーの医師が36.3%を占めた。

 1人当たりの勤務時間は減少傾向で、当直を除く1週間の勤務時間は平均47.4時間となったが、1カ月の平均当直回数は5.8回でほぼ横ばい。外科の3.0回、救急の4.2回を上回った。当直翌日の勤務緩和を導入する施設は増加傾向にあるものの25.2%と少数派で、体制があっても、100%実施できているのは7.2%にすぎず、77.8%の大多数の施設が実施率は半分以下と回答した。

 女性医師のうち、妊娠中・育児中の医師の割合は42.9%で2014年度の52.3%から減少。妊娠中の勤務緩和は47.1%の施設が導入している。育児中の女性医師の勤務状況は、44.2%が夜間当直なしで勤務、27.0%が時短で勤務、25.0%が勤務緩和を受けながら夜間当直をしており、勤務緩和なしで夜間当直をしているのは23.3%だった。妊娠・育児中以外の男女医師に対して、勤務緩和や給与格差、昇進などへの配慮をしていると答えたのは22.8%だった。

 当直を除く1週間の勤務時間には地域差が見られ、長かったのは、青森(54.2時間)、福島(57.0時間)、富山(53.7時間)の3県。1カ月の当直回数は山形(8.5回)、福井(8.8回)、愛媛(8.4回)の3県で多かった。勤務緩和の導入率は、妊娠中は石川県(8.3%)で低く、岩手県(85.7%)で高かったほか、育児中は宮崎県(12.5%)で低く、神奈川県(61.5%)で高かった。女性のフリー医師が多いのは、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県の7都府県で、全体の55.6%を占めた。

 日本産婦人科医会は、常勤医数の増加や勤務緩和体制の促進などの改善も若干見られるものの、育児中の女性医師の半数は当直をしていないため、「通常勤務の医師への配慮はほとんど実現していない」と現状を分析。過酷な勤務状況が続いており、フリーの医師や育児中の医師の力の活用が重要だと強調した。



https://www.m3.com/news/general/388171
「人工呼吸器欠陥で死亡」 ALS患者遺族が業者提訴
2016年1月4日 (月)配信 共同通信社

 全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患った埼玉県の男性=当時(65)=が死亡したのは、人工呼吸器の欠陥が原因だとして、遺族が28日、呼吸器を輸入販売するフィリップス・レスピロニクス(東京)に約7200万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 訴状によると、男性は2013年にALSを発症。入退院を繰り返した後、自宅で療養していた14年10月に人工呼吸器が作動しなくなり死亡した。この呼吸器は同4月から使っていた。通常の使い方だったのに電源コードが断線したとし、製品に欠陥があったと主張している。

 提訴後、記者会見した妻(62)は「なぜ事故が起こったのか明らかにしたい」と訴えた。

 遺族の代理人によると、フィリップス社から同じ製品で過去1年間にコードの断線が17件あったと説明を受けたという。

 同社は「訴状を受け取っておらず、コメントは控える」としている。



https://www.m3.com/news/general/388241
【兵庫】新規の分娩受け入れ休止へ 明石市立市民病院
2016年1月4日 (月)配信 神戸新聞

 明石市立市民病院(兵庫県明石市鷹匠町)は28日、新規の分娩(ぶんべん)受け入れを来年1月から休止すると発表した。出産対応数が10年前の約1割に落ち込んだのが理由だが、同病院は高度医療が必要な妊婦の受け入れ先でもある。市が「子どもを産み育てやすいまち」を掲げることとのギャップを感じる人も出そうだ。

 同病院には現在、産婦人科の医師が3人いる。藤本莊太郎理事長(69)によると、2005年度の分娩数は426件だったが、08~09年度に医師不足で分娩対応を休止した影響や、病棟が新しい病院に人気が集まることなどから、14年度は51件にまで減少した。

 市内では現在、2病院と4診療所が出産に対応。14年度は明石医療センター(同市大久保町八木)で1061件、あさぎり病院(同市朝霧台)で965件などの分娩実績がある。市民病院は子宮が本来の位置から下がる「子宮脱」の手術で近畿1位の実績を誇るが、藤本理事長は「市内の医療機関に、妊婦受け入れ体制の余裕があることが分かったので、休止を決めた」と述べた。

 一方、市民病院は明石医療センターなどとともに2次救急医療も担う。泉房穂市長は、人口30万人を目指すため「任期中、12月末の人口が1月より減る年があればすぐに辞任する覚悟」とも述べており、市議の一人は「利用者数が少ないからといって分娩を中止するのはいかがなものか」と批判する。

 市民病院によると、現在受診中の妊婦は出産まで対応する。里帰り出産を予定する妊婦の健診は今後も受け入れる。(井原尚基)



https://www.m3.com/news/general/388244
佐大病院、診療ミスで重度障害 患者と家族に謝罪
2016年1月4日 (月)配信 佐賀新聞

 佐賀大学医学部附属病院は28日、下半身の脱力感を訴え外来受診した40歳代の女性患者に、磁気共鳴画像装置(MRI)検査を行わなかったため疾患を見落とし、両下半身まひなど重い後遺症が出る診断ミスがあったと発表した。主治医以外の医師にも意見を求めるコンサルトシステムが機能しなかった。同病院は厚労省九州厚生局など関係機関に届け出るとともに、患者と家族に説明、謝罪した。

 女性患者は今年10月、「両下半身に力が入らなくなった」と訴え、車いすで来院。患者は精神科に通院中で、呼吸が極端に速く、上半身が震えていたことから、主治医の総合診療医は、ストレスなどが引き起こす身体障害「転換性ヒステリー」の可能性が高いと判断した。

 コンサルトシステムで意見を求めた神経内科医から「血液検査とMRI検査を行うべき」との具申があったにもかかわらず、主治医は血液検査だけ行い、MRI検査は後日行うことにして他の病院に転院させた。

 ところが、発症から3日後にMRI検査をしたところ、脊椎に血腫が見つかり、附属病院で緊急手術したが、女性は両下半身のまひとぼうこう直腸障害が生涯続く重い後遺症が出た。病院側は「初診時に検査し、すぐに手術していれば、後遺症は避けられた可能性も否定できない」としている。

 会見した森田茂樹院長は「医師としてベストを尽くせば防ぐことができたミス。患者に多大なる苦痛を与えたことに対し深くおわび申し上げたい」と謝罪。コンサルトシステムを機能させるよう現場に周知するなど、再発防止策に取り組むという。



https://www.m3.com/news/iryoishin/386217
シリーズ: 2015年の医療界:1000人アンケート
2016年、注目度1位は「新専門医制度」◆Vol.6
2 位は診療報酬改定、3位はマイナンバー

医師調査 2016年1月4日 (月)配信 成相通子(m3.com編集部)

Q.7 2016年の見通しや目標などについてお伺いします。2016 年の注目トピックスは何ですか(複数回答可)。
01041.jpg
01042.jpg
(画像は 17位 / 18位 で上下2つに分割、それぞれクリックで拡大)

 2016年の注目トピックを尋ねた質問では、1位は「新専門医制度の動向」という結果になった。新専門医制度は2017年度開始に向け、制度の詳細が決まりつつある。2015年には、19番目の基本領域に位置付けられる総合診療専門医の骨格が決まったほか(『総合診療専門医の「医師像」、明らかに』を参照)、日本専門医機構に専門医の更新料や5年間有効の研修プログラム審査・認定料の金額などの金額も決定(『専門医の更新料、日本専門医機構に「1万円」』を参照)。各基本領域で専門研修プログラムの整備基準が決定し、モデルプログラムの作成が進んでいる。

 2位はネットでマイナス1.03%、本体でプラス0.49%の改定率が決定した2016年度診療報酬改定の議論(『「2回連続のマイナス」、2016年度改定率決定』を参照)。基本方針は地域包括ケアシステムの推進と医療機関の機能分化・連携の強化で、従来の改定方針と大きな違いはないが、7対1入院基本料算定病床の削減や、湿布薬の処方制限、紹介状なしの大型病院受診時の定額負担導入、在宅医療では訪問診療の診療報酬算定要件の厳格化などが検討されており、開業医にも勤務医にも大きな影響を与える可能性がある。

 3位は、「マイナンバー制度の開始、社会保障・税の番号制度検討」。マイナンバーは2015年末に配布が始まったが、医療分野でも番号制度の導入が検討されており、利便性の向上が期待される一方、個人情報の漏えいが危惧されている。(『地域医療連携用ID(仮)の創設を提案、厚労省研究会』を参照)。4位は、「安倍政権と医療改革」、5位には「医療事故・訴訟関係、医療事故調査制度」がランクインした。8位と10位には、東北薬科大学と国際医療福祉大学が進める医学部新設の話題が入り、昨年に引き続き注目度の高さが伺えた。

 「その他」で寄せられた意見では、2015年10月から義務化された事業所の「ストレスチェック制度」(4人)があった。



http://www.huffingtonpost.jp/yuto-maeda/medically-underserved-area-kobe_b_8909110.html
意外な医療過疎地域、兵庫〜関西修行記 vol.2~
前田裕斗
神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科後期研修医
2016年01月04日 17時42分 JST 更新: 4時間前 ハフィントンポスト

生まれ育った関東を離れ、神戸で研修を始めて半年が過ぎた。より明快な発言の求められる関西で修行する中で臨床力やプレゼンテーション能力がついてきたことを感じる。土地や人に慣れ周りを見る余裕が出てくると、ある違和感に気づいた。その違和感とは何か?

前稿(MRIC vol.113異国修行のすゝめ)では地元を離れて研修することの利点を述べたが、本稿では「東京者」だからこそ気づいた兵庫県の医療における問題点を紹介したい。

違和感を感じたきっかけは救急搬送の多さだ。産婦人科だけでもほぼ毎日のように搬送を受けている。私が現在勤める神戸市立医療センター中央市民病院は三宮に程近い場所にあるのだが、神戸市内はおろか50-60km離れた姫路や加古川から患者が搬送されてくることもある。

なぜこんなにも遠くから?東京や、私が初期研修を受けていた川崎の病院では精々10-20km以内の隣接区からの搬送があるくらいだ。そもそも神戸市内に病院は多くあるのに、なぜこんなにも当院への搬送が多いのか?

気になり調べてみると、兵庫県内の医師不足と偏在に行き着いた。そもそも兵庫県の産婦人科医師数は全国平均16.7人(女性人口10万人あたり、以下全て同様*1,2)に対し15.7人とやや少ない。加えて神戸市17.8人に対し、阪神地区15.9人、播磨地区全体では14.4人と医師偏在の問題もある。細かく見れば、但馬地区9.9人、丹波地区10.6人、北播磨地区11.1人、西播磨地区9.4人とほぼ半数しか医師がいない地区もあるのだ。

さらに神戸市内で緊急腹腔鏡手術の対応が可能な病院は数少ないことも問題で、なんと夜間となると片手で数えるほどしかない。婦人科で緊急手術が必要な代表的疾患といえば異所性妊娠、卵巣腫瘍茎捻転が挙げられるが、治療は今や腹腔鏡手術が主流となってきている。

そのため、これらの疾患が神戸市内で発症した場合はかなりの確率で当院へ搬送されることになる。神戸市内には確かに多くの産婦人科医がいるが、クリニックに所属している医師も多く病院に所属する医師数は実は少ないのだ。

どうしてこのような医師不足・偏在が存在するのだろうか。原因は医師養成機関の少なさにある。兵庫県内には西宮に兵庫県立医科大学、神戸市内に神戸大学と2つの医学部があるが、北部の但馬・丹波地区や西部の播磨地区には医学部が存在しない。

医師養成機関がない地域では医師数が少なく、神戸大学や大阪大学、岡山大学などの医師派遣に頼っているのが現状だ。医師全体が不足しているならば、産婦人科のような医師全体の中でも成り手が少ない科はなおさらである。

では、解決のためにはどうすればよいか。根本的には姫路市など播磨地区の大都市に医師養成機関を設立することが望ましい。しかしそれではいつ実現するかもわからない。我々自身ができることはないだろうか。

現在、近畿地方の産婦人科で同期会を作れないか考えている。産婦人科医を増やすためには初期研修医、学生の勧誘が必要だが、最も効果的なのは優れたロールモデルだ。若手が活躍し、発信力の高い診療科ほど人気がある。若手がまとまり活躍するためには交流が必要だが、意外なほどに大学間、病院間の交流はないのが現状だ。

元々の母集団が少なく多くの医師は医局に属するが、医局の医師が他医局の医師に飲もうとは言いづらいのだろうか。その点自分は医局とは関係ないため声をかけやすく、既に幾つかの大学の同期とコンタクトを取っている。折角異なる地域に来たからには、自分にしかできない形でどのように地域に貢献していけるかを考えていきたい。

本稿をご覧いただいた近畿地方で働く産婦人科専攻医1年目の方、ぜひymaeda1636@gmail.com(編集部注:アットマークを半角に変える)までご一報ください。ご連絡お待ちしています!

*1 厚生労働省:医師・歯科医師・薬剤師調査
*2 総務省統計局:人口推計

(2015年12月21日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



http://healthpress.jp/2016/01/post-2190.html
医師不足を救う医療クラークは女性の新しいキャリアとなる!
2016.01.04 ヘルスプレス

「家庭と仕事を両立しながら、これだけやりがいを感じられる仕事は他にはあり得ないと思う。」と言うのは医師事務作業補助者の33歳女性だ。

「日本は医師不足」と言われるが、医師が医師らしい仕事をするのは意外と難しい。事務作業などの雑務に忙殺されるからだ。その事務作業を軽減するスタッフは医師事務作業補助者と呼ばれる。医師事務作業補助者の活躍は間接的に医師不足を解消し、病院経営に貢献する。

 私は仙台市の基幹病院の一つである仙台厚生病院に勤務しているが、入職当初に驚いたのが「医師が医師にしかできない仕事に集中できる環境が整っていること」であった。医師の業務を代行する優秀なスタッフが多いためだ。看護師、薬剤師、放射線技師などのスタッフが優れているのに加えて、特に事務職の働きが際立っている。その中でも仙台厚生病院では「医療クラーク」と呼ばれる医師事務作業補助者が特徴的で、しかも皆優秀だ。医療クラークの働きにより医師の業務が大幅に軽減され、医師が医師らしい仕事に従事できている。

専門性が高いが特定の資格は不必要

 特筆すべきは、仕事の専門性が高いにもかかわらず、医療クラークには特定の資格が不要であることだ。医療クラークは能力や経験年数によって評価され、学歴で評価されることがない。専門学校卒、短大卒、大学、大学院卒と最終学歴は異なる。そもそも医療系の学歴を持っている必要がない。皆、様々なバックグラウンドを持っている。また、残業や休日出勤が少ないため、家庭と仕事を無理なく両立して働けることも特徴だ。

 医療クラークの林斉子さん(33歳)は子育てしながら働いている。前職は和裁で着物の仕立てを行っていたが、業務量に波があって家庭との両立が難しいことから、病院事務に転職した。林さんは「患者さんのために働く医師が心から自分を頼りにしてくれることがやりがい。自分のような異なるバックグラウンドを持っている人も入職時はみんなゼロからのスタートであり、努力次第でレベルアップしていけることも魅力。家庭と両立しながらこれだけやりがいを感じられる仕事は他にはあり得ないと思う。」と話す。

 主任の田中 奈津子さん(35歳)は病院事務歴10年のベテランだ。医療クラークの前身である一般クラーク導入初期から仙台厚生病院で勤務している。田中さんは医療クラークについてこう語る。「一般的な病院のクラークは“何でも屋さん”になりがちで、患者対応、医師の指示受け、電話応対など、業務内容も多岐にわたっていました。色々な仕事をしているというやりがいもありますが、何年続けてもステップアップしている実感を持てなかったことも事実です。しかし3年前に“医師の事務作業を補助する医療クラーク”と“受付や電話対応をする一般クラーク”に分業化され、状況が変わりました。今は医療クラークとして、身に付けた専門性を医師のために役立てることができています。勉強すればするほど現場でそれを活かせる達成感がありますし、モチベーションも向上します。」。

 仙台厚生病院の患者数は多い。心臓カテーテル検査数、心筋梗塞患者数、胃・大腸癌の内視鏡治療数、肺癌手術数はいずれも東北一だ。しかし、実はこれを陰から支えているのは、医療クラークを含むコメディカルの働きによるところが大きい。実際に、日常臨床業務を医療クラークなしで行うことはほとんど不可能だ。優秀な医療クラークが増えることにより、地域の医師不足を解消する可能性があるが、実は病院経営の面からもメリットがある。確保困難な医師を増やすよりも、資格のいらない医療クラークを増やす方が容易だからだ。

 医療クラークが資格不要な専門性の高い仕事で、かつ家庭との両立が可能であれば、それは女性にとっての新しいキャリアになるかもしれない。

文=宮坂 政紀
仙台厚生病院 心臓血管センター循環器内科医師
(2016年1月4日 MRIC より転載)



https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/01/04/230920764
大分大医学科1人→4人に 女性の教授登用続々
1月4日大分合同新聞朝刊23ページ

 大分大学医学部医学科の教授に女性の登用が続いている。16年間1人だけだった同科の女性教授は、2015年に3人が加わり計4人となった。同学部は「医師確保が大学の使命。女性医師のロールモデルが増えることで、出産・結婚後も働き続ける人が増え、医師不足の解消につながる」と期待している。

 医学部によると、教授のポストが空くと国内外に公募し、書類選考やプレゼンテーション、教授会による投票などを経て決める。より多くの応募者を集めることで、結果的に女性の教授登用が続いたという。
 15年は4月に中川幹子教授(医学部付属医学教育センター)、5月に松浦恵子教授(生物学講座)、9月に花田礼子教授(神経生理学講座)が就任。1999年から務める岸田哲子教授(法医学講座)を含め、医学科の教授53人中4人が女性になった。
 医学部生は6年間学んで医師免許を取得した後、数年間現場で経験を積んで“一人前”になる。がむしゃらに学ぶ時期と結婚・出産の時期が重なることが多く、女性は人生設計が立てにくいという。
 学生の教育を担当する中川教授は「医大生のキャリア教育も必要。育休から復帰した先生には積極的に声を掛け、子育てや働き方のことなどを相談しやすいようにしている」と言う。
 大学は育児・介護中の研究者に補助員を配置し、病児保育を導入するなど支援態勢を整備してきた。子育て真っ最中の花田教授は「仕事量が落ちて情けなくなることもあったが、周囲の理解があると自分を卑下しなくて済む。社会的支援は大切だ」と話す。
 大学の男女共同参画を担当する松浦教授は「女性は出産や結婚など置かれる環境が多様で不均一。それぞれに合った支援が必要になる。女性間のネットワークづくりも大切」。岸田教授は「したいことをするにはある程度の立場が必要。女性自身が『私なんて』と言わず、たくましくあれ」と後輩にアドバイスした。
 守山正胤医学部長は「女性の登用が進み、教授会の雰囲気も前向きになっている。今後、臨床講座で女性教授が誕生するのも自然な流れだろう」と述べた。 



https://medical-tribune.co.jp/news/2016/0104038095/
医師の偏在問題に医師会・全国医学部長病院長会議が提言
第77回日本臨床外科学会

2016.01.04 Medical ribune

 2004年に新医師臨床研修制度が導入されたことで,大学病院の医師派遣機能が失われ,多くの研修医が特に都市部の大規模病院での勤務を選択した。そのため,地域の医療機関では医師不足が深刻化し,地域偏在問題が生じたとされる。第77回日本臨床外科学会総会(2015年11月26〜28日,会長=福岡大学消化器外科教授・山下裕一氏)では,医師の資格を持つ与野党の国会議員6人が出席した総会特別企画「政党討論会」〔司会=東邦大学理事長・炭山嘉伸氏,日本テレビ放送網(株)解説委員・高田和男氏〕が開催された。外科医の地域偏在問題がテーマの1つとなり,日本医師会・全国医学部長病院長会議の医師偏在解消策検討合同委員会による提言が示され,問題点,解決策などで意見が交わされた。

「医師だけに地方に行け」というのは無理な話との指摘も

 厚生労働省は,医師不足の解消,地域医療の確保の観点から,2008年度に医学部入学定員を増やし,2010年度からは地域枠を中心に引き上げた。さらに,2014年の医療介護総合確保推進法の成立により,医療提供体制の改革として2015年度から「地域医療構想」を二次医療圏単位で策定することとした。これは,各地域の10年後の医療需要の推計などを用いて,その地域の需給に即したバランスの取れた医療機能の分化と連携を各都道府県が主体となって策定するというもの。また,2014年度から医師の確保とキャリア形成を支援する「地域医療支援センター」が各都道府県に設置された。
 これに対しフロアからは,「地域医療支援センター設置による十分な成果が得られていない地域も少なくない」 「医師の数だけを増やしても地域に根差さないと偏在問題は解決しない」 「地域枠卒業生の異動を継続的に把握できるシステムがない」 「僻地への医師派遣はキャリア継続などの面で不安」 「今の地域枠制度では経験の浅い医師が過疎化地域で診療することになり,質の高い医療を国民に平等に提供できない」など,多数の問題点が指摘された。
 また,野党議員からは,「新医師臨床研修制度はプライマリケアの能力習得という意味で一定の役割を果たしているが,導入時に医師配置についての公的な関与を考えていなかった点が問題」 「地域崩壊が進んでいるのに『医師だけに地方に行け』というのは無理な話で,地域再生と併せて対策を考える必要がある」 「国の医療に対する公的支出を抑制する一方,医師数増加は矛盾が広がる」 「医療への公的資金投入は雇用も満たし経済効果も見込めるので推進すべき」との意見も出された。

強い危機感を抱く医療側が解決策を示す

 医師の地域偏在・診療科偏在の解消に向け,日本医師会と全国医学部長病院長会議の医師偏在解消策検討合同委員会により5つの提言として,①医師キャリア支援センターの設置②出身大学がある地域での臨床研修の実施③病院・診療所の管理者要件への医師不足地域での勤務経験の導入④地域ごと,診療科(基本領域)ごとの医療需給の把握⑤医学部入学定員の削減と新たな医学部設置認可の差し止め―が示された。
「医師キャリア支援センター」は,在籍する大学あるいは出身大学に事務局を置き,複数の大学がある地域は大学間の協議会を設け,医学部入学時から生涯にわたり,キャリア形成をフォローし,医師の異動を把握するというもの。各都道府県の「地域医療支援センター」と情報を共有し,地域の医師会や医療機関とも密接に連携する。これにより,地域に臨床研修医が集まり,卒業生がとどまることが期待されている。
 この提言について,議員からは「地域医療支援センターや病院・診療所に一定の勤務経験を求めることは大いに検討すべき。ただ,医師数に関しては,診療科偏在の面からもどの診療科にどの程度不足しているのかを含め,適正な医師数を議論する必要がある」などの意見が示された。

医師の数だけ増やしても問題解決にならない
東邦大学理事長 炭山嘉伸氏のコメント

 日本臨床外科学会は,全国46道府県に支部を持つ実地外科医のための学会であり,毎年「総会特別企画」として,医療にまつわる諸問題について,医師であり与野党の国会議員である皆様とともに,「政党討論会」を6年連続開催している。
 今年は,医療における控除対象外消費税と,この医師偏在問題をテーマとした。新医師臨床研修制度が発足した後,大学の持っていた医師派遣機能がなくなったこともあって,地域における医師偏在格差が深刻な問題となっている。このまま医師の数だけ増やしても問題解決にはならないという観点から,日本医師会,全国医学部長病院長会議も具体的対策案を提言してきた。
 私も日本私立医科大学協会の代表として関わってきたが,この政党討論会においては,厚生労働省の地域医療構想を含め,この提言案について討議がなされた。今後もこの問題について,学会を挙げて取り組んでいくつもりである。
(宇佐美陽子)


  1. 2016/01/05(火) 05:30:30|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<1月5日  | ホーム | 1月3日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する