Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

1月2日 

https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/160101/20160101074.html
足並みそろうか 広域連合の健康、医療産業創生
2016年1月1日 大阪日日新聞

 関西圏の産学官が昨年設立した「関西健康・医療創生会議」を後押ししたのは、地方分権の突破口を目指す関西広域連合だった。目的達成のため圏域のポテンシャル向上は欠かせず、新たな健康、医療産業を創生する意向だが、医療系大学と関連企業間の「ギャップ」が課題に挙がるなど成果は未知数だ。東京一極集中の是正に向けた関西広域連合の試みは奏功するのか。オール関西に向けた2016年の動きを展望した。

関西広域連合の構成自治体首長。「はなやか関西シンボルマーク」のように「関西は一つ」にまとまるか

 「日本第二の文化圏でありながら人口が減る」。創生会議議長の井村裕夫・京都大名誉教授は昨年12月の設立記念シンポジウムで危機感をあらわにし、関西広域連合が後押しした理由を「関西圏から新産業が伸びてほしい」と説いた。

■野心的
 新産業を創生する方策の一つが、創生会議分科会会長の細井裕司・奈良県立医科大理事長の構想だ。情報通信技術の企業を巻き込んだ次世代の遠隔医療や在宅復帰支援のモデル構築などを計画し、事業共同体の研究会を今年1月に立ち上げる。「医学の知識をまちづくりに生かす」と細井氏は唱えるが、賛同企業の輪の広がりは課題であり「野心的」(創生会議関係者)な域を超えられるかは見通せない。

 シンポジウムは、医療系大学と製薬企業の意思疎通の課題も浮き彫りにした。塩野義製薬の手代木功社長は「(医薬品開発をめぐる)発見を産業化しないのは企業が悪いと(医師側は)言うが、特許を取ったか尋ねると『何それ?』となる。“ギャップ”は大きい」と事例を説明。医療の研究、生産拠点が集積する関西だが、創生会議が解決すべき課題は尽きない。

■副首都
 創生会議の取り組みなどを基に「地域の魅力を高める」という青写真を描く関西広域連合にとって、もう一つの眼目が東京と関西圏で中枢機能を分担する「国土の双眼構造」の実現だ。

 今年3月末に方向性が示される政府機関の地方移転を前に要請行動を申し合わせた関西広域連合だが、その「国土の双眼」化をめぐって構成自治体間に不協和音もある。松井一郎大阪府知事が掲げる「副首都」に、竹山修身堺市長が「大阪都構想の隠れみの」にならないようくぎを刺したためだ。

 関西広域連合が全国初の広域連合として発足して5周年を迎えた昨年12月、奈良県が新加入して構成自治体は2府6県4政令市になった。「名実共に関西が一つになった」と連合長の井戸敏三兵庫県知事は強調したが、オール関西の足並みがそろうかどうかが今後の焦点になる。



http://toyokeizai.net/articles/-/98235
C型肝炎の特効薬、バカ売れで浮上する問題
2015年5月発売、いきなり国内販売トップに

長谷川 愛 :東洋経済 記者
2016年01月02日 東洋経済

2015年、最も注目を浴びた製薬会社の一つが、米国のギリアド・サイエンシズだ。

肝臓がんの原因となるC型肝炎の2つの特効薬、「ソバルディ」(遺伝子型2型のC型肝炎ウイルスの感染者向け)と「ハーボニー」(1型ウイルスの感染者向け)が2013年末の発売直後から爆発的に成長し、2014年の医療用医薬品売上高は、前年の世界18位から9位に急浮上した。
2015年5月に国内で発売したソバルディは、同年7~9月に432億円を売り上げ、国内製品別売り上げランキングでいきなりトップに立った(IMSジャパン調べ)。あまりの売れ行きに、厚生労働省はソバルディ、ハーボニーを対象候補に、2016年度の薬価制度改革で、年間販売額が1000億円以上などの条件を満たした製品の薬価を最大50%引き下げる仕組みの導入を決めた。
約8000人の従業員を抱えるギリアドは、感染症領域に強みを持ち、エイズ治療薬(抗HIV薬)で世界最大手。日本で有名な抗インフルエンザ薬「タミフル」も創製した。C型肝炎薬の大ヒットで業績が様変わりした今、ギリアドのトップは何を思うのか。タミフルの開発者でもある、ジョン・ミリガン社長を直撃した。

患者同士の口コミで売り上げが急拡大


――いきなり世界トップ10入りを果たして、どんな心境か。

まだ慣れないが、いやな感じはしない。今の売り上げの背景にはサイエンスや、これまで積み上げてきた努力があり、よい医薬品を患者に届けることができている。

ギリアドは1987年設立の、まだとても若い会社だ。売り上げ規模も展開地域もさらに拡大していく。2013年に日本法人が本格的に立ち上がり、ソバルディ、ハーボニーを発売できたこともとてもうれしく思っている。

――ソバルディ、ハーボニーのすさまじい売れ行きをどう見ているか?

今まで経験したことのない状況だ。世界には、何十年も革新的な治療薬を待っていたC型肝炎患者がたくさんいる。われわれの薬は100%近い治癒率があり、従来よりも短期間で治療できるので、医師にも患者にも広く受け入れられている。患者同士の口コミでも広がり、患者から医師に「ぜひこの薬を使ってほしい」と言うケースもある。

――「治癒」が実現する薬なので、数年後に売り上げが激減するリスクがあるのでは。現に、ソバルディは米国ですでにピークアウトしている。

リスクだとは思っていない。ソバルディ、ハーボニーは「治癒する」という意味で一般的な薬とはまったく異なる。慢性疾患の薬は10年、20年と飲み続けなければならないが、われわれの薬は12週間で治療を完全に終えることができる。この性質により、初期段階で多くの患者に投与されるが、新規の患者も出てくる。ただ、世界的にソバルディから(ソバルディの成分を含有する配合剤である)ハーボニーに徐々に置き換わっていくとは見ている。

――米アッヴィが2015年11月に、1型C型肝炎ウイルスの感染者向けの特効薬「ヴィキラックス」を国内で発売した。競争激化の中、勝算は?

C型肝炎薬での勝算は十分にある。ソバルディとハーボニーが優れた薬であることはもちろんのこと、ソバルディと別の薬剤による、新たな配合剤や併用療法も開発している。それにより、C型肝炎の領域ではつねに競合に一歩先んじていけるだろう。

治療完了までの薬剤費は500万円を超える

――ソバルディは1日1錠6万1799円、ハーボニーは1日1錠8万171円で、治療が完了するまでにそれぞれ約546万円(併用薬含む)、約673万円の薬剤費がかかる。

高い価格と言われるが、製薬会社は莫大な投資をし、非常に大きなリスクを負って、新薬を開発している。ソバルディ、ハーボニーもその中で生まれた。治癒するという革新的な効果や患者の数(国内100万人前後)を考えると、高すぎるとは思わない。ふさわしいレベルの価格だと考えている。

もし治癒しないままでC型肝炎の患者が長年治療を続けると、医療費は高額になる。一方で、特効薬を飲めば、今まで若くして亡くなっていた患者が元気になり、通常の生活を取り戻すことができる。長い目で見れば、医療制度への負担は軽減されるだろう。

――この薬があまりにも売れているので、厚生労働省は、ソバルディ、ハーボニーを主なターゲットに、年間販売額が1000億円以上などの条件を満たした製品の薬価を最大50%引き下げる仕組みの導入を決めた。

今までと違う状況であることを理解してもらっていない。売り上げが一気に伸びるのは、治癒する薬であるため、患者が短期間で一気にアクセスしているからだ。

――ソバルディはまだ製品になるかわからない臨床初期段階で、2012年に米国のファーマセット社を買収して獲得した。なぜ110億ドルという大金を投じる決断ができたのか。

決してリスクの高い買い物だったとは考えていない。当社にいる多くの専門家が、長年ファーマセット社を研究して、ソバルディの元になる化合物が、安全性や有効性に優れ、C型肝炎薬として非常に有望だと判断した。

ソバルディのような、遺伝子を構成するヌクレオチドに関与する薬は、世界の製薬会社でギリアドしか発売していない。その意味では、われわれがソバルディの元の化合物の性質をいちばん深く理解できていたと考えている。

有望な化合物を保有する企業は積極的に買収

――2015年11月に米ファイザーがアイルランドのアラガンを19兆円で買収すると発表したように、製薬業界ではM&Aが活発だ。ギリアドの方針は。

われわれの研究開発投資は、世界大手と比べるとまだ小さい。開発品ポートフォリオを拡充するために、今後もM&Aを続けていこうと考えている。当社にいる専門家やサイエンティストに調査してもらい、つねに有望な化合物を探している。

ファーマセット社の案件は大型買収に思われるかもしれないが、実際はそれほど大きい規模の買収ではない。ファーマセット社のように、人数的に小規模でも、有望な化合物をたくさん持っている企業を買収したい。

――創薬が年々難しくなる中、C型肝炎の特効薬をはじめ、エイズやインフルエンザの分野でも画期的な製品を出せているのはなぜか。

サイエンスとデータを最も重視している。競合との関係やマーケティング上の理由などに基づいて意思決定するのではなく、重要な決断はサイエンスとデータを十分に理解したうえで行うべきだ。

――国内市場でC型肝炎の次に狙っている分野は。

次に注力しているのが、がんの領域。血液がんの非ホジキンリンパ腫を対象に、新しいクラスの薬剤を開発している。すでに欧米では発売済みで、開発後期段階の臨床第3相試験を行っている。

そのほか、日本に何百万人もの患者がいるNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)や、潰瘍性大腸炎、関節炎などの治療薬も開発中だ。

発展途上国の患者に治療薬を届けるのが使命

――エイズやC型肝炎は発展途上国に患者が多い。そのような新興市場での戦略は?

発展途上国でのビジネスにはモデルがないので、手探り状態でやっている。HIV感染者は世界に約3500万人、C型肝炎患者は約1億8500万人おり、半数以上が発展途上国にいる。こうした患者に治療薬を届けていかなければならず、われわれは非常に大きな責任を負っている。

エイズに関しては2003年に「HIVアクセス・プログラム」を開始し、発展途上国に当社の薬を低価格で提供している。また、生産能力が大きいインドの後発医薬品メーカー数社とライセンス契約を結び、エイズ治療薬やC型肝炎薬を多くの患者に届けている。エイズ治療薬を届けた発展途上国の患者数は800万人に達した。

――日本の製薬会社は最大手の武田薬品工業でも世界17位(2014年)と、世界で存在感がない。日系メーカーについて思うことは?

日本企業の研究開発力は非常に高いと思う。当社も2014年に小野薬品工業から、がん細胞のシグナル伝達を阻害するタンパク質をターゲットとする化合物を導入しているし、小野薬品は米ブリストル・マイヤーズ スクイブと共同で、がん免疫薬も開発した。

ただし、いわゆる西側諸国までフィールドを大きく広げた企業は少なく、武田薬品、アステラス製薬、第一三共くらいではないか。高い研究開発力を備えたまま武田薬品のスケールになれば、世界での存在感は増していくと思う。



http://blogos.com/article/152705/
日本の大学ランキングが急落した理由とは?(その1)
豊田長康
2016年01月02日 19:11 BLOGOS

 新年あけましておめでとうございます。

 気がつけば昨年の10月からブログを更新していませんでしたね。11月29日に鈴鹿医療科学大学で開催され、多くの皆さんに参加していただいた第二回日本薬膳学会での会長講演を初めとして、その前後に毎週のように全く別のテーマで講演をさせていただき、猛烈な忙しさでした。本来は去年の間に書いておくべきテーマであったのですが、お正月休みに入ってやっと書くことができたという状況です。日本の研究力の低下について書籍の執筆も頼まれているのですが、進捗がずいぶん遅れています。すみません。

 でも、このブログも、その書籍の一部にしますからね。

 さて、平成15年は日本人のノーベル賞連続受賞の喜ばしいニュースとともに、タイムズ社(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション、以下THEと略します。)による世界大学ランキングで日本の大学の順位が急落し、200位以内に2大学しか残らないという惨憺たる結果が報道され、関係者に激震が走った年でもありました。下村博文前全文部科学大臣も昨年の10月2日の記者会見で日本の大学の順位の急落について記者の質問に答えておられます。

 日本政府は日本の高等教育政策の中で、以前から世界大学ランキングを目標に掲げています(図表1)。第一次小泉内閣の時、国立大学が法人化される前夜の平成13年6月に出された「大学(国立大学)の構造改革の方針」(いわゆる遠山プラン)には、ランキング何位とまでは書かれていませんが、「国公私トップ30を世界最高水準に」と書かれています。

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 第二次安倍内閣の時、平成19年6月の教育再生会議第二次報告では「世界の上位10校以内を含め上位30校に少なくとも5校が入る。」と書かれており、また、第2次安倍内閣の平成25年6月の日本再興戦略に「今後10年間で世界大学ランキングトップ100位以内に10校以上を入れる。」と書かれています。なお「世界のトップ100大学に⒑校」は、平成25年1月日の第一回産業競争力会議において竹中平蔵議員が提出した資料の中に書かれています。

 僕はこのような大学ランキングを政策目標に設定することは良いとは思いません。大学のミッションは多面的であり、1つの評価軸では適切な評価ができないということが一つの理由です。もう一つは、現在の日本のように財政状況が厳しく大学への公的資金総額が削減されている状況では、上位大学だけを重点化する政策が掲げられれば、すでに世界の中でも最も急峻な大学間傾斜がいっそう急峻となり、スカイツリーのような超急峻な大学間傾斜になって、多くの大学が弱体化し、結果的に国家全体としての大学力が低下するからです。

 目標としては国家全体の高等教育や研究力の数値目標を、その前に掲げるべきであると考えます。なお、大学間の「選択と集中」政策は、公平な機会を与えて競争させる「競争原理」とは対極の概念であり、持てる者を上から選び、公平な競争に人為的に決着をつける政策であると考えます。したがって競争原理によって期待される大学間ランクの交代は起こりにくくなります。

 法人化以降の高等教育政策(国立大学)の潮流は、大学への公的資金の総額削減、「選択と集中(重点化)」、基盤的資金の競争的資金への移行、ということであり、その結果、まず中下位の大学の弱体化が起こりました。今回の世界大学ランキングの低下は、「選択と集中」政策の恵みを享受してきたはずの上位大学だけの問題であり、今まで、地方大学の存在意義を訴えつづけてきた僕としては、あまり関心はありませんでした。しかし、中下位大学のみならず、上位大学の国際競争力も低下していることは、日本の大学が総崩れ状態であることを意味するとも考えられます。

 また、大学ランキングには、常に批判がある一方で、世界の人々に大きな影響を与えることも事実であり、留学生の大学選択や国家のブランド力にも関係してきます。どの国でも、政治家や報道機関や国民の大きな関心事になっています。

このような理由で、今回、あまり気が進まなかった大学ランキングについても考察してみることにしました。

 今回の日本の大学ランキングの急落について、新聞報道やネット上でも、なぜ日本の大学ランキングが急落したのか、また、それをどう捉えるべきなのかについて、さまざまな意見が飛び交いました。そのほとんどは的を射たご意見であると思います。一部は、皆さんのご意見の繰り返しになるかもしれませんが、今回は、自分自身で分析した結果に基づき、僕なりの考察を試みたいと思います。

 まず図表2に示したTHEの世界大学ランキングにおける日本の大学のランキングの推移を見ていただきましょう。タイムズ社が大学ランキングをはじめた当初はQS社という会社がランキングのデータを分析していましたが、2010年からトムソン・ロイター社に代わり、その時点でいったん日本の大学のランキングは急落しています。そして、今回、2015年にトムソン。ロイター社からエルゼビア社にデータ分析担当会社が代わり、再度、日本の大学の順位が急落しました。

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 THEの世界大学ランキングにおける2010年と2015年の日本の大学の異常と感じられる急落は、データ分析を担当した会社の評価方法の違いによるものと考えられます。今回のTHEのホームページには、評価方法が変更されたので、それまでの結果と、2015年度の結果とは連続性がなく、継時的な比較をすることは無意味であると書かれています。

 THEのホームページには、ランキングのもとになる評価項目について、その方法や重み付けが解説されており、日本の大学の順位急落の要因をある程度推測することができます。

それによると、ランキングは大きく5つの大きな指標と、さらにそれを細分化した13の指標で点数が付けられます(図表3)。その5つあるいは13の指標について、重み付けがなされた上で、その合計点でランキングが決まります。「教育」「研究」「被引用数」のそれぞれが30点であり、この3つで90%の点数が決まってしまいます。このうち「被引用数」は、実は研究力の指標です。また、「教育」の評価項目の中にも、研究に大いに寄与する博士に関する項目の重みが8.25%あり、企業からの収入2.5%や国際共同研究2.5%も研究に寄与すると考えられますので、これらを合計すると73.25%が研究に関連する評価と考えられます。

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 なお、「被引用数」は、その論文が他の研究者の論文に引用される回数であり、その回数が多いということは「注目度」が高いことを意味します。「注目度」は、論文の「質」を表す一つの指標(代理変数)と考えられています。

 さらに、各指標の重みづけは、研究分野によって調整がなされます(図表4)。たとえば被引用数(Citation)を見てみると、「Arts & Humanities」では15%、一方「Clinical, Preclinical & Health, Life Sciences & Physical Sciences」では35%の重みとなっています。

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 いずれにせよ、「研究力」がランキングの最も大きな評価指標になっているということであり、国立大学法人化以降、学術論文数の停滞や分野によっては減少など、研究力の指標で海外の大学にどんどんと引き離されている日本の大学のランキングが低下してもおかしくありません。

 各指標の点数(スコア)は累積確率スコア(cumulative probability score)で示されています。これは、例えばある大学のスコアが60ならば、その大学の下に60%の大学があるということを意味します。つまり、相対的な値ということであり、日本の大学が従来の研究力を維持していたとしても、海外の大学に対して相対的に研究力が低下すれば、日本の大学のスコアは低下して、ランキングも低下することになります。

 図表5、6、7を見ていただきますと、日本の大学が顕著に低下している評価項目としては「教育」「研究」「被引用数」がありますが、その中でも「被引用数」の低下が大きいことがわかります。「教育」「研究」については従来から徐々に低下しており、その延長線上で今回も低下したように感じられますが、「被引用数」については、それほど低下していなかったものが、今回突然大きく低下したという感じですね。

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 「国際化」のスコアはそもそもの点数が非常に低く、また、今回わずかに低下しているようですが、重み付けが7.5%しかないので、全体の点数にそれほど大きな影響は与えなかったのではないかと考えます。もちろん、今後日本の大学のランキング低下を防ぐためには大学の国際化にいっそうの力を入れる必要がありますが、今回の急落の直接の原因ではないということです。

 また、今回、日本と同様に、韓国の大学も順位が急落していますが(図表8)、200位以内に4大学が残っており、図表9、10、11に示すように、「被引用数」は1大学を除いて、3大学ではあまり低下しておらず、日本の大学の順位の急落とは少し異なっています。韓国は「教育」と「研究」で急激にスコアが低下しています。

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 THE以外の大学ランキングも見てみましょう。THEのランキングの最初の時代を担当していたQS社は、その後もランキングを公表しています(図表12)。THEのランキングのような2度にわたる急降下はみられませんが、多くの日本の大学のランキングは毎年低下し続けており、今までに200位以内にランクインしたことのある大学は14大学ありましたが、2015年は8大学となっています。

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 上海交通大学による大学ランキングでは、100位以内に日本の4大学が残っています。ただし、このランキングでも日本の大学は徐々にランクを下げています(図表13)。

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 THEに限らず、どの大学ランキングでも、日本の大学はその順位を下げていますが、今回のTHEの世界大学ランキングにおける日本の大学の順位の急落や「被引用数」の急落は、ちょっと急峻すぎますね。

法人化以降の日本の大学の研究力の相対的低下に基づいて、当然の帰結として生じる大学ランキングの低下以外に、どうも被引用数の評価方法の変更が、日本の大学に対して大きく影響したようです。

 昨年の12月3日に、国立大学法人の電気通信大学において研究大学強化促進事業の一環として開催されたシンポジウムで、僕は「日本の研究力はなぜ弱くなったか」というテーマで講演させていただいたのですが、その時に同じく講演をされた岡山大学理事の山本進一さんが、THEのランキングについてもお話になりました。山本さんによれば、今回の評価方法の変更により日本のランキングが急落することについて、THEの責任者があらかじめ日本を訪れて、説明をされたそうです。そして、岡山大学が幹事校、自然科学研究機構が世話役をしておられる「大学研究力強化ネットワーク・大学ランキング指標タスクフォース」がTHEに対して申し入れを行ったとのことでした。その内容はネット上で公開されています。

https://www.runetwork.jp/images_activity/20151030_pdf_01.pdf

 図表14に「大学ランキング指標タスクフォース」がTHEに提出した申し入れの要点を僕なりに10項目にまとめてみました。これらの項目は、日本の大学にとって有利になると考えられる申し入れであると考えられます。

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 この10項目の中で1~6までは、何らかの形で「被引用数」と関連して掲げられた記述であると思います。今回のTHEの評価で日本の被引用数スコアの急減が、ランキング急減の主因と考えられますので、この申し入れでも重点的に書かれていますね。

 7番目のreputation(評判)という、曖昧さを感じさせる評価項目について、申し入れでは「現行の方法では、多くの研究分野をカバーする有名大規模総合大学等の一部上位校に集中する傾向があり、指標としての弁別性は悪い。弁別性が悪い指標であるが故に、全指標に対して Reputation の比率をいまよりも下げることを要望する。」と書かれています。

 THEの今回のランキングで大学のReputationがどのように変化したのかということについては、「World Reputation Rankings」を見るとわかります。

 図表15に日本と韓国の大学の「World Reputation Rankings」の推移を示しました。100位より下位のランキングについては記載がありません。また50位より下位のランキングは10点刻みなっており、グラフではたとえば51-60位の場合「55」の値にプロットしてあります。

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 東京大学と京都大学のReputationランキングは、2015年に低下をしたといっても僅かの低下ですが、他の日本の大学は一気に100位より下位になってしまっています。図表5に戻っていただいて、「教育」と「研究」のスコアをもう一度みていただきますと、東大と京大はそれほど変わっていませんが、東大・京大以外の大学は、それまでの延長線上の低下とはいえ、大きくスコアを下げており、これにはReputationランキングの低下が大きく影響していることを感じさせます。

 また、図表15の韓国のReputationランキングの推移を見ていただきますと、いずれの大学も大きく低下しており、韓国の「教育」と「研究」スコアの低下に大きく影響したことが考えられます。

僕も「大学ランキング指標タスクフォース」の「Reputation(評判)の評価指標の重み付けを小さくすべきであるという申し入れに賛同します。ただし、東大、京大は、このReputationランキングがそれほど低下していなかったために、「被引用数」スコアの大幅低下をカバーできて、全体のランキング低下を多少なりとも抑えられた可能性があるのではないかと思っています。

図表14に示した申し入れの8と9は、2015年9月16日にトムソン・ロイター社によって発表された「The World Most Innovative Universities」(世界で最も革新的な大学)を念頭に置いた申し入れであると思われます。

http://ip-science.thomsonreuters.jp/ssr/news/20150930/

 トムソン・ロイター社のサイトにおける説明では「この、ランキングでは、大学の業績としてあらわれる学術論文と特許を組合わせて分析を行った新しいランキングです。大学と企業の共著論文による産業界への貢献度なども加味することで、大学の業績を多面的に俯瞰することができるものです。特許においては、特許の数量、特許出願に対する登録率、グローバル性や引用数を、また学術論文においては大学と企業の共著論文、引用数などの項目を総合的にスコアリングしてランキングを決定しています。」と書かれています。

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 図表16に示しましたように、このランキングですと、日本の大学が世界100位以内に9校入っており、他のランキングよりも日本にとって有利になります。日本では東京大学ではなく大阪大学がトップになることも面白い結果です。韓国も8大学入っており、日本のトップ大学よりも上位に2大学も入っています。THEのランキングで、分析担当がエルゼビア社に代わったとたんに、日本の大学も韓国の大学も順位が急落しましたが、トムソン・ロイター社が全く別の評価指標で今回新たに発表したランキングで、日本と韓国の多くの大学がランクインしたことは、大学のあるべき評価軸は一つではいけないことを如実に示しています。

日本にとって、トムソン・ロイター社は様様ですね。

 今後、このイノベーションを評価軸とする大学ランキングが上がるように、大学も頑張り、政府も支援をする必要があると思います。今後これが下がるようでは、もう日本は救いようがないと思います。

 地方大学は「地域イノベーション」で頑張ればいいと思います。今の世界大学ランキングの評価軸では、地方大学はランクインしてきませんが、それならば「地域イノベーション」を評価軸とした世界ランキングを作ればいいだけの話です。一度、トムソン・ロイター社に、そんな評価軸の大学ランキングができないかどうか頼んでみますかね?

国の政策としては、今までの「総額削減+大学間の選択と集中」政策ではなく、「大学総活躍政策」をとっていただきたいと思います。それが日本を元気にする最も効果的な政策であると信じています。

次回のブログでは、今回のTHE大学ランキングで日本が最も大きな影響を受けた「被引用数」スコアの急落について、もう少し詳しく考察を進めたいと思います。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/160102/bsb1601020700001-n1.htm
「死の谷」一足飛びに乗り越えて メイド・イン・ジャパン、創薬に挑む武田薬品
2016.1.2 07:00 SankeiBiz

 「死の谷」と呼ばれてきた日本の製薬業界の悪習を武田薬品工業が変える。「死の谷」とは、大学の優れた新発見を製品化できずに腐らせてしまう制度的問題を意味する。武田は人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使ったがんや糖尿病などの再生医療の実現に向け、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥教授が率いる京都大iPS細胞研究所のスタッフらを抱え込んだ研究機関を神奈川県に設置。創薬で欧米勢が圧倒的な強みを持つ中、アカデミズムと企業の垣根を壊し、「メイド・イン・ジャパン」の再生医療の確立を目指す。(阿部佐知子)

 同じ釜の飯を喰う

 武田と京大iPS細胞研究所は平成27年12月15日、武田の湘南研究所(神奈川県藤沢市)で、がんや糖尿病、心不全など6つの疾患でiPS細胞を使った新薬開発や再生医療の研究をスタートしたと発表した。

 「大学で論文は書けるが、患者に(研究成果が)届かない。研究者が(製薬)企業に入ることで、臨床応用という世界に飛び込んでいくすばらしい舞台だ」

 会見した山中教授は、両者の提携についてこう意義を語った。

 従来の産学連携は、製薬会社の社員が大学に出向して基礎分野の研究に参加するのが一般的だった。今回のように製薬会社の研究機関に直接入りこんで、臨床段階まで携わるのは日本の製薬業界では極めて異例のことだ。いわば、武田と京大の研究者が同じ釜の飯を食いながら、再生医療の臨床試験という一つの目標に取りかかる構図だ。

 国立大学法人の職員である京大の研究者と武田の社員では、一緒に研究をしていても、勤務や出張の勤務規定が異なる。京大職員が武田の社員食堂で割引価格で利用できるように福利厚生面などの細かな規定も見直しをして、実現にこぎつけた。

 湘南研究所内に約2200平方メートルの施設を開設し、iPS研究所の6人を中心に60人が参加する。来年4月に対象となる疾患を10以上まで増やし、40人以上の研究者を国内外からさらに受け入れる予定だ。

 知的財産については、汎用性のある技術は京大iPS研が所有。最終的に生み出された再生医療の関わる知財は武田と京大iPS研との共同所有にする。

 遅れをとる日本勢

 異例の提携にこだわった理由について、山中教授は日本の創薬が抱えて続けてきた「死の谷」と呼ばれる課題をあげる。

 「死の谷」は、研究開発段階から実際に事業化するまでの間に立ちはだかる、

 開発費用のほか、大学研究を医療につなぐ橋渡し役の不在が原因で起きる。

 新薬創出で世界1位の米国では、大学などの研究機関が由来のものが6割をしめるが、日本では2割以下といわれている。

 欧米では基礎研究と製薬企業を結びつけるバイオベンチャーがあり、有望な研究をベンチャー企業が育て、大企業に事業を売却するといった流れが定着している。しかし、日本ではこのプロセスがなかった。

 今回の提携が成功すれば、「死の谷を一足飛びに乗り越える」(山中教授)といい、日本の弱点を克服できるモデルケースになりえる。

 「革新をもたらすものが日本の研究で生まれてくる」と語った武田薬品のクリストフ・ウェバー社長。山中教授は「(取り組みを)成功させ、日本で生まれる画期的で新しい基礎研究の成果を社会への応用につなげたい」と強調した。

 早ければ3年後にも、日本で生まれた新薬の臨床試験を開始する。iPS細胞研究は、日本の製薬業界と大学の古い体質さえ変え、日本の医療を飛躍させようとしている。



http://www.pressdigitaljapan.es/texto-diario/mostrar/391329/
サイバー犯罪者、医療機器のハックが主流になる可能性
Taichi Nakagawa
16年 01月 02日 19時 12分 Pressdigital Japan, Barcelona

ウォッチガード・イベリア・PALOPSのギエルモ・フェルアンデス氏によると、ブラックマーケットで盗んだクレジットカード情報を売るよりも医療機器や、医療個人情報を販売することで10倍以上の利益を上げることが出来ることが分かった。

ギエルモ氏によると、現在ハッカーは医療機器をハッキングするために目を向けていると語り、医療機器のハッカーに対する対策は十分でない、と語った。

「医療機器も日進月歩で、デジタル機器の影響を受け、”オンライン”機器として機能している。 しかし、それらの機器をハッカーの手から守る技術は後手に回っている。」とのこと。

ソース : Los ciberdelincuentes se centran en la sanidad
http://www.pressdigital.es/texto-diario/mostrar/391312/los-ciberdelincuentes-se-centran-en-la-sanidad



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ28HJI_S6A100C1MM8000/
再生医療品を本格生産 テルモ・大日本住友、設備増強
2016/1/3 2:00日本経済新聞 電子版

 病気やけがで損なわれた身体機能の回復に使う再生医療製品が国内で実用段階に入る。テルモは2016年4月から、人の細胞から作った心不全治療用の製品を本格生産する。大日本住友製薬は国内初となるiPS細胞由来の治療薬開発で、17年にも同細胞を培養する専用施設を稼働する。大学や研究機関の基礎研究が軸だった再生医療の事業化が加速する。

 再生医療品は人の細胞から作られ、機能が損なわれた組織や臓器を補う役割を果たす。14年11月に医薬品医療機器法(旧薬事法)が施行され、国の承認を得るまでの期間が大幅に短縮された。日本は再生医療の製品化で欧米に遅れてきたが、新法施行で事業面で追いつく可能性も出てきた。

 テルモは15年9月に、新法に基づく第1弾として細胞シート「ハートシート」の製造販売の承認を受けた。重症心不全の患者が対象で、患者自身の大腿部などの筋肉組織を採取した細胞をシート状にして培養し、手術で心臓に貼り付けて治療する。従来は実験室レベルでの製造だったが、16年春に神奈川県にある研究開発センター内に本格的な生産体制を整備する。

 細胞を凍結保存したり培養したりする装置などを整備し、年間30例以上の生産に対応できるようにする。投資額は3億円程度を見込む。新宅祐太郎社長は再生医療事業を「5~10年後に10億~20億円規模に育てたい」と話す。

 大日本住友は22億円を投じ、iPS細胞の培養施設を神戸市に建設する。健康な人から採取した細胞から作ったiPS細胞を使い、加齢黄斑変性という目の網膜の難病やパーキンソン病の治療薬開発を進めている。臨床試験(治験)などの進展を見込み、自社施設を持つことに決めた。

 再生医療は既存の化学合成の薬では対応できない難病などの治療に効果が期待される。経済産業省の予測では、国内の再生医療の市場規模は20年に950億円、30年に1兆円規模に達する。

 旧薬事法の下で承認を受け販売していた再生医療製品は、富士フイルムホールディングス(HD)の子会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングが手掛ける培養表皮と培養軟骨の2製品だけだった。同社も、培養軟骨の生産能力を従来の5倍強の年間2千数百個に引き上げた。

 新法では治験の症例が少なくても、有効性が推定され、安全性が確認できれば条件付きで早期承認されるようになり、日本は世界の中でも迅速に再生医療製品を実用化できる国となった。オリンパスが膝の軟骨を再生させる製品の治験準備を進めているほか、外資系企業にも日本で研究開発を進める動きがある。
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