Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月30日 

http://mainichi.jp/articles/20151230/ddl/k10/040/036000c
群馬大病院
術後患者死亡「マンパワー不足」 事故調 /群馬

毎日新聞2015年12月30日 地方版 群馬県

 群馬大医学部付属病院で同一医師による肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、医療事故調査委員会の上田裕一委員長(奈良県総合医療センター総長)は29日の記者会見で「マンパワーがきわめて不足していた」と病院の診療体制が十分でなかった可能性に触れた。日本外科学会に委託した医学的調査の対象は2007〜14年度、手術後に死亡した64例で、他の医師14人による34例も含まれていた。来年4月をめどに報告書をまとめる予定。

 京都市で記者会見した上田委員長によると、対象は旧第1、2外科の計15人が行った消化器外科手術約6700件中、術後に院内で死亡した64例で、「全てに問題があったわけではない」。旧第2外科の肝胆膵(かんたんすい)チームだった男性医師(3月に退職)による腹腔(ふくくう)鏡手術8例など30例も含む。

 日本外科学会の検証委は約50人で構成され、部位別に九つの小委員会を設置。24日の第1回会合で64例中13例を除外し、今後、男性医師による30例を含む残り51例について、遺族の了解を得て手術前後の記録を精査する。男性医師にも聞き取り調査するとみられる。

 また、事故調は20日、男性医師からヒアリングを実施。男性医師は、死亡症例検証会が開かれていなかったことを認めた一方、「患者の容体変化や死亡は毎日、外科内の引き継ぎとして情報共有されていた」という趣旨の話もしたという。【尾崎修二】



http://news.livedoor.com/article/detail/11012525/
現役医師が明かす「医者が行きたくない病院を見た目で判断する方法」
2015年12月30日 9時38分 マイナビスチューデント

8日に放送された「まさかソコなん?」(関西テレビ)では、各分野のプロが見た目だけで、その善し悪しを見分けている判断基準を暴露。その道のプロは、素人ではわからない目で判断をしていることが明らかになった。

現役医師が明かしたのは、「見た目でわかる、行きたくない病院」まず、医師がひとりでやっている町医者の場合は、簡単にわかるそうで、それは看板。

おおたけ消化器内科クリニックの大竹真一郎医師によると、何種類もの科が書いてある病院は行きたくない病院だとか。

医師免許を取得すれば、どの「科」でも掲げられる。町医者の場合、需要があるため内科を表記することが多いが、決してその医師が内科専門とは限らないという。

大竹医師によると、実は、2番目に書いてある科が、専門の場合にしていることが多いとか。風邪の症状はひとつではない。安易に風邪と診断して薬を処方する医師は危険だ。逆に、ひとつの「科」のみ書いてある病院は、自信がある証拠だそう。病院に入る前に、まず看板をチェックしよう。

次は、歯医者。丸橋全人歯科の丸橋医師は、「私だったら行きたくない歯医者はすごく多いんです」という。

丸橋医師は、「行きたくない歯科医院の本棚には、多くの場合、ゴルフの本がたくさんあります」とのこと。
待合室に並べてある本で、その医師がどういう思考なのか傾向がはっきりわかる。握力を使うスポーツをすると、手の繊細な作業に支障が出て、震えが出たり、固定がきかなかったりすることがある。

歯科医師は、手先を使って繊細な治療をする。雑な治療をされないためにも、歯科にかかるときには、待合室をチェックしよう。

そしてもうひとつチェックしたいのが、待合室にある表彰状。感謝状がたくさん飾ってある歯科医にはいきたくないという丸橋医師。

感謝状や表彰状は、講演に参加したり、学会に参加したり、登録するだけでも、貰えるので手に入れるのは簡単。そのため、感謝状がたくさんあっても意味がないとか。

しかし、その中に「認定書」がある場合は別。「認定書」は、優秀な医師にのみ与えられる場合があるため、優れているかどうか判断基準になる。

今や、コンビニよりも多い歯科医。
サービスが過剰になっているが、やはり医師の技術が一番大事。どの病院を選ぶか迷ってしまったら、以上のような目で判断してみてはどうだろうか。



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2015/1230038104/
【2015年 私の5大ニュース】
新春特別企画 2015年私の5大ニュースと2016年の抱負

(日本赤十字社医療センター第二産婦人科部長 木戸 道子)
2015.12.30
 2015年はどのような年だったでしょうか。医療を必要とする人々を支援すべく,奔走を続ける先生方も多いことと思います。一方,第三者機関による医療事故調査制度の開始,次々と現れる新薬とジェネリックの躍進など,医療を取り巻く環境の変化を感じる出来事も相次ぎました。Medical Tribuneは医療関係者と医療・医学の最新情報をつなぐ架け橋として,鋭意活動を続けていきます。本企画では魅力あるコンテンツづくりに多大な貢献をいただいている,さまざまな診療科・領域でご活躍の先生たちに,2015年の5大ニュースと2016年の抱負としてそれぞれの身の回りに起こった変化や展望を語っていただきました。

1. 産婦人科医不足は改善せず

 分娩取り扱い施設の減少,出産年齢の上昇,ハイリスク妊婦の増加などを背景に、少子化にもかかわらず勤務先ではお産が増加しており,2012年以来は年3,000件超が続いている。全国的な産婦人科医不足で,自分の夜間休日の勤務もまだ続きそうである。元気で仕事ができることに感謝し,母子の大切な命を預かる仕事を次代に継承していきたい。

2. 妊娠出産育児マンガ本の発刊

 診療のかたわら,マタニティ・育児雑誌の記事監修や,妊娠出産育児情報をまとめた「Baby+」の執筆協力などに携わった。気軽に読める「マンガ解説 よくわかる!妊娠と出産」(学研)も4月に発刊した。妊産婦さんやご家族の参考になるとよいのだが。

3. 女性ヘルスケアアドバイザープログラムに参加

 知識を整理して新しい情報を学ぼうと日本産科婦人科学会主催の「女性ヘルスケアアドバイザープログラム」に申し込んだ。医学的なことのみならず女性の貧困やDVなど社会問題にも対応した盛りだくさんの内容に毎回感動。全国から集まった産婦人科医が熱心に聴講している姿にも励まされた。女性の生涯にわたる健康支援がさらに進んでいくことが期待される。

4. 「女性医師のさらなる活躍を応援する懇談会」報告書が公表される

 昨年(2014年),厚生労働省に設置された懇談会に構成員として参加してきた。今年1月に報告書が公表され,資料は厚労省のホームページで閲覧できる。離職防止のための支援策のみならず,指導的立場となる人材の育成に向けて一段進んだ施策が求められている。課題は山積しているが,取り組みを継続していくことが大切である。

5. 医療勤務環境改善支援へ動き出す

 医療介護総合確保推進法に基づき,全国で医療勤務環境改善支援センターの設置が進んでいる。厚労省「医療分野の勤務環境改善マネジメントシステムに基づく医療機関の取組に対する支援の充実を図るための調査・研究」に参加し,実施における課題について検討を行っている。秋からは社会保障審議会医療部会委員の重責も担うことになった。医療者の過重労働が改善し医療安全が向上していくことを願っている。
2016年の抱負

 診療やさまざまな担当業務で忙殺されがちだが,出会いを大切にし,家庭や職場などで温かく見守ってくれる人々に感謝しつつ,地道な活動を続けていきたい。



http://gigazine.net/news/20151230-human-3-0/
無料で人体の構造を立体的に隅々まで確認できる3D解体新書「HUMAN 3.0」レビュー
2015年12月30日 12時00分00秒 GIGAzine

普段は皮膚に覆われて見ることのできない骨格・内臓・筋肉・神経などの人体構造を、3Dグラフィックで好きなだけ見ることができるブラウザ版の解体新書のようなウェブサイトが「HUMAN 3.0」です。病気を患った時に自らの体内について勉強したい患者や、人体構造の知識が必要な介護士、医療系の学生・教師から本職の医者から単に人体構造に興味のある一般ユーザーまで、誰でも無料とは思えないレベルで人体構造を学習できるとのことなので、実際に使ってみました。

HUMAN 3.0
https://human.biodigital.com/index.html

ブラウザからHUMAN 3.0にアクセスすると、トップページには男性の骨格模型が読み込まれます。

マウスでドラッグすると骨格模型の向きを変えることができ……

マウスホイールが縮小・拡大に対応。


調べたい部位をクリックすると、英語で部位の名称や説明が表示されます。

左側のメニューには「Skeletal System(骨格系)」「Ligament System(靱帯系)」「Digestive System(消化器系)」「Urinary System(泌尿器系)」「Respiratory System(呼吸器系)」などの項目があり、トグルボタンをオンにすると、該当部位が骨格模型に肉付けされます。

残りの「Endocrine System(内分泌系)」「Nervous System(神経系)」「Cardiovascular System(心臓血管系)」「Lymphatic System(リンパ系)」「Viscera System(内臓)」「Muscular System(筋肉系)」「Integumentary System(外皮系)」も全てオンにするとこんな感じ。人体の知りたい部位だけを表示できるわけです。

右下にある「Explorer」のアイコンをクリックすると、左側のメニューを非表示にでき、全画面で人体模型をチェックできます。


操作方法に慣れれば「口の中から外を見る」のようにピンポイントで普段は見られない人体の部位について勉強できるようになります。

右上のバーにある鉛筆アイコンをクリックすると、表示している人体を編集するメニューが出現します。「Transparency Mode」だと人体の全ての部位を透明にすることができ……

メスアイコンはクリックした部位を削除することができ、半分人体模型を作り出すことも可能。

人体の一部分のみのプリセットは「Featured」から表示することができますが、いくつかの項目がロックされています。これらは有料のプレミアムアカウントに移行すると閲覧可能になります。

ウェブサイトやブログに自分が見ていた部位をウィジェットにして埋め込むことも可能で、右上の埋め込みアイコンから「GENERATE CODE」をクリックすると……

埋め込み用のHTMLタグが生成されました。これをHTMLエディタに貼り付ければOKです。

実際に埋め込みを表示すると以下のような感じ。複数人に同じ人体パーツを共有できるため、同じ勉強を行っているグループ内などで活用できそうです。



http://mainichi.jp/articles/20151230/k00/00m/040/076000c
化血研
業務停止110日 厚労省処分、1月上旬にも

毎日新聞2015年12月30日 07時45分(最終更新 12月30日 07時45分)

 熊本市の一般財団法人「化学及(および)血清療法研究所」(化血研)が、国が承認していない方法で血液製剤を製造していた問題で、厚生労働省が化血研に対する業務停止処分の期間を110日とする方針を固めたことが関係者への取材で分かった。医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく業務停止処分としては過去最長という。

<化血研>「最初は試験的」元理事長、隠蔽認識は否定
<化血研>無届けでボツリヌス毒素運搬

 厚労省の業務停止処分の最長はこれまで、抗ウイルス剤「ソリブジン」の臨床試験で発生した死亡事例を国に報告しなかったなどとして、1994年に製造元の日本商事(当時)に出した105日。

 厚労省は既に処分内容を化血研に伝えており、弁明を聞いた上で早ければ1月上旬にも処分する。

 厚労省は5月に化血研を立ち入り検査し、献血で作る血液製剤が国の承認と異なる方法で製造されていることを確認した。

 化血研の第三者委員会の調査で不正は遅くとも1974年から続き、12製品の31工程で無断で添加物を加えるなどしていたことが判明。国の査察で不正が発覚するのを免れるため、承認通りに作ったとする虚偽の記録を作成するなどしていた。

 厚労省はこうした隠蔽(いんぺい)工作を特に悪質と判断。「医薬品の製造販売業の許可取り消しに相当する事案」として検討し、業務停止処分にする方針を固めていた。化血研のシェアが高い血液製剤やワクチンは処分の対象から外す予定。

 化血研の不正製造で健康被害は確認されていないが、塩崎恭久厚労相は「組織的に長期間にわたって監督当局をだましてきた。健康被害が出ようが出まいが関係ない」と厳しく処分する考えを示していた。【古関俊樹】



http://mainichi.jp/articles/20151231/ddm/016/040/003000c
戦後70年・日本のサイエンス
医療の進歩、変わる死生観 延命最優先から患者の意思尊重へ

毎日新聞2015年12月31日 東京朝刊

戦後、病院で亡くなる人が増えたが、最後の時を過ごす場所は多様化している=千葉県内のホスピスで宮間俊樹撮影


 戦後、衛生状態が改善し、高度な医療が誰でも受けられるようになったため、日本は世界有数の長寿国となった。一方、脳死や延命治療などを巡り、新たな問題も起きている。技術や医療の進歩は、日本人の生と死をどのように変えてきたのだろうか。【下桐実雅子】

 ●感染症に抗生物質

 戦前、日本人を苦しめてきたのは感染症だった。結核は「国民病」として恐れられ、1918年から世界中で大流行したインフルエンザ(スペイン風邪)では、国内で38万人の死者が出たと報告されている。

 長く死因の上位を結核や肺炎、胃腸炎が占めていたが、戦後、抗生物質の普及により感染症で亡くなる人は激減し、平均寿命は延びていく。61年には、国民皆保険制度が整い、誰もが薬や医療技術の恩恵を受けられるようになった。感染症に代わって、脳卒中やがん、心臓病が死因の上位に浮上した。

 60〜70年代には、口から食事が取れなくなっても、血管に栄養を注入して長期生存できる「中心静脈栄養(高カロリー輸液)」と呼ばれる技術が開発された。駆け出しの医師として大学病院の外科に勤務していた東京都小平市の山崎章郎(ふみお)さん(68)=ケアタウン小平クリニック院長=は「抗がん剤の種類が限られ、がんは切るしかない時代。根本治療ができなければ、少しでも命を延ばすことが最優先された」と振り返る。

 病院での死の迎え方に一石を投じてベストセラーになった山崎さんの「病院で死ぬということ」(90年)の中には、臨終を迎える人への蘇生術の様子が生々しく描かれている。「呼吸が停止し、心臓が停止しそうになったとき、医師たちの一人は人工呼吸を開始し、一人は心臓内に強心剤を注入するや即座にベッド上に飛び上がり、患者にまたがると、全身の力を込めて心臓マッサージを開始した」。できる限りの治療を求める社会のニーズに応えた結果でもあった。

 ●「病院死」50%超える

 77年、日本人の亡くなる場所は病院が自宅を抜き、79年には「病院死」が50%を超えた。山崎さんは「病院で迎える死は、その過程が医学的に管理されており、家族が入る余地はない。病名の告知もタブーの時代、患者本人は自分がなぜ死ぬのかを知らされず、その意向が反映されることはなかった」と語る。

 大阪では77年、終末期医療のあり方に関心を持つ医療関係者が集まり、「日本死の臨床研究会」が発足した。終末期医療に詳しいノンフィクション作家の柳田邦男さん(79)は「研究会はその後のがん医療の転機となった。死を陰に置くのではなく、表に出してしっかりと向き合い、患者がその人らしく、最期まで納得して生きられるよう支援することを目指した」と話す。

 ●終末期の関心高まる

 80年代には、全国的にも安らかな最期を目指す「ホスピスケア」「ターミナルケア」が注目された。81年、聖隷三方原病院(浜松市)に国内初のホスピスが開設され、3年後には淀川キリスト教病院(大阪市)にもできた。

 抗がん剤など、がん治療の効果を判断するのに、「Quality Of Life」(QOL、生活の質)の視点が入り始めたのもこのころだ。東京大特任教授の清水哲郎さん(68)=死生学・倫理学=は「『治療で命が延ばせるか』だけではなく、快適に過ごせるのか、人生の中身を考えようという動きが出てきた。QOLを大事にするホスピスケアと同じ流れだった」と語る。QOLという考え方は、がんがモデルとなり、その後、高齢者の医療に広がった。

 市民の中でも「生と死」を考える活動やホスピス設置を求める運動が全国に広がった。90年代に入ると、「病院は本来、治療の場だ」と考える医師たちが、家に帰ることを望む患者を住み慣れた自宅でみとる在宅医療の試みも、各地で目立つようになった。

 また91年、東海大病院の医師が58歳の末期がん患者に薬物を投与して死なせる事件が起こり(のちに殺人罪が確定)、終末期の医療への社会の関心が高まった。死期が迫った時に延命治療を拒否する意思をあらかじめ文書で示す「リビングウイル」の普及を進めていた「日本尊厳死協会」の会員数はこの事件後、急増した。2004年と06年には、北海道立羽幌(はぼろ)病院と射水(いみず)市民病院(富山県)で末期がん患者らの人工呼吸器を取り外して死なせたことが発覚した。

 こうした多様な動きが広がって、がんや難病に対する死生観が変化し、死を表に出して議論する「死の社会化」が起こったと、柳田さんは分析する。「一人一人が自分の死の迎え方や死を前にした時、いかに生きるかを考えるようになり、実際にその状況も変わってきた」。死に直面した人たちが人生の意味や死への考えを社会に発信する闘病記が増えたことも、大きな影響を与えたという。

 ●「脳死」の概念生まれ

 一方、人工呼吸器の普及は、心臓は動いていても脳の機能が失われ元に戻らない「脳死状態」という新たな概念を生み出した。68年に札幌医科大で和田寿郎教授(当時)が行った国内初の心臓移植は、提供者が本当に脳死だったのかが疑われ、大きな問題になった。その結果、日本では移植医療は長く停滞したが、85年、厚生省(現・厚生労働省)の研究班が新たな脳死判定基準(竹内基準)を発表し、再び議論に上った。

 90年、首相の諮問機関・脳死臨調(臨時脳死及び臓器移植調査会)が設置され、「脳死は人の死か」を巡って、33回の会合で大激論が展開された。92年に当時の宮沢喜一首相に手渡された最終答申は、脳死を「人の死」とし、脳死者からの臓器移植を認めたが、人の死とすることに反対の梅原猛氏ら4人の少数意見が併記される異例の内容だった。参与として議論に参加した東京大客員教授の米本昌平さん(69)=科学史=は「医師の専権事項だった脳死の判定が社会に引きずり出されてコントロールできなくなり、政治的なテーブルができた」と話す。

 しかし、答申から臓器移植法が97年に施行されるまでは5年の月日を要した。2010年の改正法施行で15歳未満や家族同意での臓器提供も認められるようになったが、脳死は今なお、「死とは何か」という問題をわれわれに突きつけている。

 人工呼吸器は、難病患者の医療も大きく変えた。全身の筋力が徐々に低下する進行性の難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者は、呼吸にかかわる筋力も低下するため、生きるためには人工呼吸器が欠かせなくなる。80年代から在宅でも人工呼吸器を使えるようになり、その後、健康保険の適用にもなった。

 しかし、人工呼吸器を使うALS患者は国内で3割にとどまる。ALSの母を10年以上、在宅で介護した経験がある川口有美子さん(53)=NPO法人さくら会副理事長=は「呼吸器をつけて20年以上生きる人もいる。延命ではなく人生そのものだ。しかし、療養の場が家になり、介護してくれる人がいないと生きられない」と指摘する。

 今、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使った難病治療や再生医療に大きな期待がかかる。それが実用化したとき、日本人の死生観はどう変わるだろうか。(このシリーズは今回で終わります)
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http://biz-journal.jp/2015/12/post_13094.html
連載  不要ながん治療が患者を殺す?
がん診断の9割は間違い?治療やめたら治る例も

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
2015.12.31   Business Journal

 1年がもう少しで終わりますが、今年も芸能界やスポーツ界では多くの人ががんで亡くなりました。すぐに頭に浮かぶ名前を挙げても、歌舞伎役者の坂東三津五郎さん(すい臓がん、59歳)、俳優の今井雅之さん(大腸がん、54歳)、フリーアナウンサーの黒木奈々さん(胃がん、32歳)、女優の川島なお美さん(肝内胆管がん、54歳)、大相撲理事長の北の湖敏満さん(大腸がん、62歳)と多数に上ります。
 もちろん一般の人でもがんで亡くなっているケースは非常に多く、我が国では統計上3人に1人ががんで死亡しています。また、がんを発病している人は2人に1人といわれています。これは、国立がん研究センターが2014年に発表した、男性の60%、女性の45%ががんを発病しているというデータに基づいています。
 ところで、一括りにがんといっても、それらにはさまざまな状態があり、本当にがんといえるのか疑われるケースも多いようです。『医者に殺されない47の心得』(アスコム)の著者である近藤誠医師(元慶應義塾大学医学部講師)は、がんと診断されているケースの多くは「本当のがんではない」、すなわち“がんもどき”であると指摘しています。特に、乳がんと前立腺がんの9割以上は、がんもどきであるといいます。

がんと腫瘍の違い

 がんとは悪性の腫瘍のことです。腫瘍は正常な機能を失った細胞の塊で、悪性とそうではないものがあり、悪性でない場合は単なる腫瘍です。ちなみに医学界では、「良性腫瘍」という言葉がよく使われていますが、これは「良い腫瘍」とも受け取られ、誤解を招く恐れがあります。腫瘍は正常な機能を失った異常な細胞の塊ですから、「良いもの」ということはあり得ません。ですから、「良性」ではなく「悪性ではない」という表現が正しいといえます。
 腫瘍が生じる原因は、放射線、ウイルス、化学物質、紫外線などであることがわかっています。それらが細胞の遺伝子を壊したり変形させたりすると、細胞分裂の際に突然変異を起こし、異常な細胞になります。これは、本来の細胞の機能を果たすことができないものです。これが腫瘍細胞であり、その塊が腫瘍です。
 ただし、悪性ではない腫瘍は、それほど問題はありません。一定の大きさにとどまり、臓器を機能不全に陥れることはないからです。また転移することもなく、ほかの臓器を侵食することもありません。近藤医師は、この悪性でない腫瘍をがんもどきと呼んでいるのです。
 一方、悪性の腫瘍は際限なく増殖して正常細胞を侵食し、臓器を機能不全に陥れます。また、転移して他の臓器で増殖し、それも機能不全にします。その結果、人を死に追いやるのです。これが、がんです。
 腫瘍が悪性か悪性でないかを判断するのは、なかなか難しいようです。以前岩手県に行った際に開業医の方々と懇談する機会があったのですが、悪性かどうかを判断できるのか質問したところ、内科医は「判断できる」と答えましたが、脳外科医は「判断できない」と答えました。また、近藤医師も「がんの見極めは、とても難しい」と述べています。

がんではないのに、手術や抗がん剤で命を落とす?

 あるケースを紹介しましょう。知人の元テレビディレクター(男性、54歳)は、東京都内の大学病院で前立腺がんと診断され、検査のために肛門から金属の棒を入れられたところ、翌日から腰に激痛が走り、歩けなくなってしまいました。前日まで普通の生活をしていたにもかかわらずです。そのため、「このままではがん治療で死んでしまう」と考え、その後の治療を拒否しました。そして、自然食を心がけるようにしたところ、体調は回復し、がんは消失したとのことです。
 この知人の場合、実際はがんではなく、悪性ではない腫瘍だった可能性が高いといえます。前述のように近藤医師も、前立腺がんの9割以上はがんもどきであると指摘しています。
 さらに、肝内胆管がんのため54歳という若さで亡くなった川島なお美さんの場合も、本当にがんだったのか疑わしいとの声があります。実は川島さんは、近藤医師にセカンドオピニオンを求めていました。近藤医師は川島さんとのやりとりを、インタビューに答えるかたちで「文藝春秋」(文藝春秋/11月号)で述べています。それによると、川島さんは都内のある病院でのMRI検査で肝臓に2センチほどの影が確認されました。つまり、腫瘍が見つかったわけで、担当医に手術をすすめられたようです。
 しかし、その腫瘍は悪性か悪性でないかわからなかったため、川島さんは手術を拒みました。そして、近藤医師にセカンドオピニオンを求めてきたのです。
 近藤医師は、「川島さんがDVDに入れて僕のところに持ってきた検査画像では転移の所見は認められなかった」と述べています。がんとは、増殖を続けて正常細胞を侵食し、また転移して他の臓器をも侵食する腫瘍のことです。その意味では、「転移がない」ということは、がんではない可能性があるということです。
 そこで近藤医師は、ラジオ波焼灼術という治療法をすすめました。これは、ラジオ波を患部に照射してがんを焼き切ってしまうというものです。しかし結局のところ、川島さんはがんを切除する手術を受けて、その後亡くなってしまったのです。
 冒頭で述べたように、現在2人に1人ががんを発病しているといわれていますが、筆者の知人や川島なお美さん、また近藤医師の指摘を総合すると、それらの多くは実際にはがんではなく、悪性ではない腫瘍の可能性があります。それをがんと診断され、手術や抗がん剤の投与などによって、結果的に命を落としているケースが少なくないのかもしれません。
 健康診断などでがんと診断されても、その言葉を鵜呑みにせずにセカンドオピニオンやサードオピニオンを求め、悪性か悪性でないかを十分に確認する必要があるでしょう。そうしないと、取り返しのつかないことになりかねません。なにしろ直接生死にかかわることですから、慎重の上にも慎重を期すようにしましょう。
(文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト)



https://www.m3.com/news/iryoishin/387429
シリーズ: The Voice(医療)
オーストラリアの薬局解体新書~日本の保険薬局の今後を考える~ 第2回 医療制度および薬局を取り巻く背景

2015年12月30日 (水)配信 藤田健二


 創薬研究員、薬局薬剤師、学習支援・薬局研究部門のマネジャーを経て、シドニー大学大学院で薬学博士号の取得を目指す藤田健二先生に、オーストラリアの医療制度および薬局実務を読み解きながら、今後の日本の保険薬局のあり方について考察していただく本連載。第2回は、「医療制度および薬局を取り巻く背景」についてお話しいただきます。

かかりつけ医を中心としたプライマリケア・システム
 オーストラリアでは、日本の人口のわずか6分の1に相当する約2,300万人が、日本の約20倍の国土に暮らしています。さらに、内陸部は砂漠や草原が大部分を占めており、人口の多くは沿岸部に集中しているため、医療機関へのアクセスの容易さが住む場所によって影響を受けやすいという特徴があります。
 オーストラリアの医療保障制度は、税方式による国民皆保険制度を基本として、病院での診療部分をカバーするメディケアと、処方せん医薬品をカバーするPharmaceutical Benefits Scheme (PBS)によって支えられています。この2つの公的システムによって、患者の医療費負担を軽減していますが、対GDP総医療費は2012年で9.1%に達しており(日本は10.3%)、増大する医療費の抑制が喫緊の課題となっています。
 オーストラリアで医療機関を受診する場合は、一般医(General Practitioner/ GP)に電話をして予約を取ります。ただし、イギリスのような1人のGPをかかり医として登録する制度ではないため、受診するGPを自由に決定および変更することができます。GPは歯科を除く全ての診療科の疾患が対象。専門医や病院への受診は緊急な場合を除いてGPからの紹介状が必要なため、GPがプライマリケアにおけるゲートキーパーの役割を担っています。

医療機関と薬局の利用頻度
 2009年時点でのGPの人数は2万5707人で、人口10万人当たりのGP数は113人。参考までに、日本の診療所に従事している医師数は10万0544人(2012年)、人口10万人当たり79人です。また、オーストラリアでは、1人当たりの年間受診回数6.6回に対して(日本は13.1回)、薬局の年間利用回数は14回以上というデータがあります。
 なぜ、オーストラリアでは、医療機関の年間受診回数が薬局の利用回数の半分なのでしょうか。1番の要因は、オーストラリアではリピート処方せん(処方せん1枚で複数回に渡りGPを受診せずに薬局で薬を受け取れる制度)が導入されており、患者の症状と使用医薬品によっては最大12ヶ月間GPの診察を受けないからだと考えられます。しかし、それは同時に、薬局薬剤師も患者の薬物治療管理に相応の責任を担っていることを意味しています。

薬局が置かれている状況
 ここで、オーストラリアと日本の薬局が置かれている状況を3つの側面から比較します。
 まず、1薬局がカバーしている人口についてです(表1)。2012年時点でのオーストラリアの薬局数は5240店、1店舗が4100人をカバーしているのに対し、同年での日本の薬局数は5万5797店、1店舗が2300人をカバーしており、オーストラリアの薬局の方が1店舗当たり約1.8倍多くの住民をカバーしている計算になります。
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表1.人口と薬局数についての日豪比較

 次に、1店舗当たりの薬剤師数を見てみましょう(表2)。2012年時点でのオーストラリアの薬局薬剤師数は1万3451人(人口10万人当たり 59人)、日本の薬局薬剤師数は15万3012人(10万人当たり 120人)です。ただし、オーストラリアには、ファーマシーテクニシャン(テクニシャン)と呼ばれる調剤助手が薬剤師1人につき1~2人いるため、調剤業務を担う従業員数を日本と比較する場合、テクニシャンの人数もカウントする必要があります。薬剤師と同数のテクニシャンが勤務していると仮定して2職種の人数を合算すると、人口10万人当たりの薬局薬剤師とテクニシャン数の合計は119人となり、上述した日本の120人とほぼ同数になります。
 つまり、日本の薬剤師数は海外と比較して過剰だという話をときどき耳にしますが、薬局薬剤師とテクニシャンを合算した総数で比較すると特別過剰にはなりません。ここで取り上げた数字を用いて1店舗当たりの薬剤師(テクニシャン含む)の人数を比較すると、オーストラリアは6.6人、日本は2.7人となり、1店舗で調剤業務を担う従業員数はオーストラリアの方が2.4倍多いことが分かります。
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表2.薬局薬剤師数についての日豪比較

 最後に、1店舗当たりの処方せん応需枚数についてです(表3)。年間の処方せん枚数はオーストラリアでは2億7500万枚、日本では7億6000万枚であり、これを1店舗当たりの応需処方せん枚数(月間)に換算すると、それぞれ4400枚と1100枚に相当します。つまり、日本の薬局と比べて、オーストラリアの薬局の方が1店舗当たり約4倍多く処方せんを調剤している計算になります。
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表3.処方せん枚数についての日豪比較

 以上をまとめると、オーストラリアの薬局は、1店舗当たりの調剤業務を担当する従業員数は日本よりも2.4倍多いものの、日本よりも1店舗当たり1.8倍多くの住民をカバーして、4倍量の処方せんを応需していることが読み取れます。このような違いが生じる理由は、両国間に大きく3つの違いが存在するからではないかと考えています。
 1つ目は、調剤方法の違いです。オーストラリアでは包装単位で調剤を行うため、日本のように箱から薬を取り出してシートをハサミで切って輪ゴムでとめる業務がありません。服用方法などの必要事項が記載されたラベルを箱に貼って完了なので、ピッキング時間が短時間ですみます(写真1)。
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写真1.箱出し調剤の様子(筆者撮影)

 2つ目は、薬歴記載方法の違いです。オーストラリアでは、薬歴の記載が必須ではありません。ただし、患者と話をした結果、薬学的介入につながった場合は、決められた方法で記載する必要はあります。よって、このことも業務時間の短縮につながります。
 3つ目は、法規制の違いです。オーストラリアでは、日本のように薬剤師一人当たりの処方せん応需枚数に制限がないため、少人数でも多くの処方せんを応需することができます。また、オーストラリアでは、薬局の開設や移転に対して政府が厳しいルールを設けています。その結果、適正数の薬局が適切な位置に配置されており、全ての国民が平等に薬局へアクセスできることを可能にしています。
 このように、患者の薬物治療管理に悪影響を及ぼさない範囲での調剤業務の効率化と偏りのない薬局配置が、日本よりも少ない薬局数で多くの処方せんを応需することを可能にしていると考えられます。

オーストラリアは「コンサルタントファーマシスト」を活用
 今後、日本で、かかりつけ医による医療提供体制が構築されて医療機関の機能分化が進めば、大病院の前で林立している薬局数が減少するとともに、薬局の立地面での偏りも徐々に解消されていくと考えられます。今回取り上げたデータをもとに、将来的な処方せん枚数の伸びなどを考慮せず、単純に両国の人口対薬局数だけを考えると、日本は約3万1000店舗あればオーストラリアと同等のサービスが可能という結論になります。
 しかし、こうした単純な数値比較だけでは意味を持ちません。なぜなら、近年オーストラリアでは、薬局内での業務が忙しくて在宅や介護施設での活動ができない薬局薬剤師の代わりに、薬局外でのサービス提供を専門とする薬剤師「コンサルタントファーマシスト」が誕生しており、こうした動きは、日本が目指す健康サポート薬局とは異なる方向に進んでいく可能性があるからです。そのため、海外の薬局事情を日本と比較考察する場合、今回取り扱った定量的なデータだけでなく、薬局に求められる機能を含めて、さまざまな角度から考察する必要があります。

【主な参考文献】
Duckett, S., and Wilcox, S. (2015).The Australian Health Care System (5th ed.).South Melbourne,Vic: Oxford University Press.
Hattingh, L., Low, J. S., & Forrester, K. (2013).Australian pharmacy law and practice (2nd ed.).London: Elsevier Health Sciences APAC.
The Pharmacy Guild of Australia. (2015).Retrieved November 27, 2015, from http://www.guild.org.au/.

※本記事は、エムスリーグループが運営する薬剤師向け情報サイト『薬キャリPlus』で、2015年12月25日に掲載したものです。  https://pcareer.m3.com/plus/article/report-from-australia-2/

専門家プロフィール/藤田 健二(ふじた けんじ)
昭和薬科大学大学院卒業後、杏林製薬会社に入社、新薬の探索研究に3年間勤務。その後、薬樹株式会社の薬局薬剤師として3年、同社における社内外の学習支援・薬局研究のマネジメント業務に4年従事した後、渡豪。2015年6月、シドニー大学大学院臨床疫学プログラム修了。2016年3月より同大学院博士課程へ進学予定。35歳。



https://www.m3.com/news/general/387433
注射の痛み、塗り薬で緩和
2015年12月29日 (火)配信 毎日新聞社

 注射などの痛みで子どもが泣き叫び、手に負えなくて困ったという体験をもつ親は多い。つい最近、注射の痛みを感じなくさせる塗り薬が登場したが、医師の間でさえ認知度は低く、あまり普及していない。いったいどのような薬なのか。

 ●小児用局所麻酔薬

 この薬はエムラクリーム。皮膚に塗るクリーム状の局所麻酔薬(主成分はリドカインとプロピトカイン)だ。世界ではすでに70カ国以上で使われ、国内でも大人向けには使われてきたが、今年6月にやっと注射針を皮膚に刺すときの局所麻酔薬として小児用にも承認された。

 ●処置の苦労も減り

 東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)では10月から、子どもの採血や点滴挿入時、注射針を刺すときに苦痛が伴う検査処置時などでエムラクリームを使い始めた。以前は注射と聞いたり、針を見たりするだけで泣く子が多く、人形やおもちゃを持たせてあやすなど、処置の必要を説明し協力を求めるにも大変な苦労をしてきたという。

 しかし、「エムラクリームの導入後は、自発的に手を差し出す子どもまで出てきた」と看護師でチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)の原田香奈さん(38)は痛みや苦痛の軽減効果を話す。

 原田さんは「それにしても、日本でも子どもに使えるようになるまでの道のりは長かった」と感慨深げに話す。8年前、子どもや家族に心理社会的な医療支援を提供する専門職であるチャイルド・ライフ・スペシャリストの資格を取るため、米国の大学に2年半留学、オハイオ州の子ども病院で研修を受けた。

 そこで驚いたのが採血や点滴挿入時の光景だった。米国の病院では採血や注射などで子どもの皮膚に注射針を刺すとき、看護師たちは「これから痛みを取るために魔法のクリームを塗るよ」と言って腕に白いクリームを塗っていた。これが局所麻酔の塗り薬だった。日本と異なり、子どもたちが嫌だと暴れたり、泣き叫んだりする光景はほとんどなかった。

 それから8年。同大森病院では、子どもの腕からカテーテルを入れるときにも、腕に塗ってみたところ、通常の挿入時の痛みの度合いを8~10とすると、クリームを塗ったときの痛みは0~1の感じだと答えた。

 いまも緊張と不安で泣く子どもはいるが、注射針を刺す時の痛みを緩和できるようになった。4歳の子どもでも絵本を見ながら、「本当だ、痛くない」とエムラクリームの効果に驚いている。

 エムラクリームは以前でも、成人患者の血管腫や母斑の治療では皮膚へのレーザー照射時に使用が認められていた。注射時の痛みが嫌で病院へ行きたがらない子どもが多い現状があるだけに、同クリームの有効性などを研究してきたJR東京総合病院の花岡一雄名誉院長(日本麻酔科学会専門医)は「注射や点滴などで局所麻酔薬が乳幼児や14歳以下の小児にも使えるようになったことのメリットは非常に大きい」と今後、痛みの緩和に大きく貢献すると話す。

 クリームを使うときは注射針を刺す約1時間前に、腕など注射針を刺す部分に塗って、プラスチックフィルムで密封した状態にしておく必要がある。塗ってすぐに注射できないもどかしさはあるが、以前のように子どもが腕を出して落ち着くのを待ったり、処置の仕切り直しに時間がかかったりするのに比べると相当に楽だ。

 ●全国に普及を

 原田さんは「日本では痛みを我慢し、頑張ったらほめる文化がある。しかし、何度も採血が必要な子どももいるので、痛みを軽くする方法があるならば、痛みの我慢は必要ないはずだ」と全国の病院に普及することを願っている。【小島正美】



https://www.m3.com/news/iryoishin/387132
シリーズ: The Voice(医療)
ドイツの薬局・薬剤師レポート 第1回 ドイツの医療制度と薬剤師を取り巻く環境

2015年12月28日 (月)配信 アッセンハイマー慶子

 ドイツでは2004年、増大する医療費を抑えるため大規模な医療制度改革が実施されました。これが薬局・薬剤師にとっての転機となりました。医療保険で償還される医薬品数の減少、保険請求薬価の見直し、OTC価格の自由化、支店の解禁(3店まで) など、ドイツの薬局は厳しい経営環境に置かれることになったのです。そのような中でも、「国民の健康を守る医薬品の専門家」というマインドを忘れず、業務の効率化とサービス・学術面の向上を図り、信頼される「行きつけ薬局」の地位を保つべく地道な努力を続けるドイツの薬局・薬剤師をレポートします。

ドイツの医療保険制度
 ドイツは皆保険制度を採用しており、国民の約9割が公的医療保険に加入し、約1割が民間医療保険を利用しています。公的医療保険の保険料は給与額の15%前後で、日本同様に労使折半ですが、扶養家族の保険料は徴収されません。
 また、一定給与水準以下の国民は公的医療保険に加入する義務があり、その給与水準は、2015年現在、月給4575ユーロ、年給で5万4900ユーロ(源泉徴収前)。加えて、公務員、自営業者、自由業者は給与額に関わらず民間医療保険に加入できます。

医療機関にかかるまで
 医師はホームドクター(主に総合医か内科医)、専門医と役割が明確に分担されており、国民はかかりつけのホームドクターを任意に選ぶことができます。
 軽い症状であれば、国民の7割はまず薬局に相談に行きます(ABDA統計より:IFAK Insutitut 2011調べ)。
 疾患の種類や症状によって異なるホームドクターを受診し、その後必要に応じて、ホームドクターに専門医を紹介してもらいます。受診に際して、初診料はかかりませんが、検査費は項目によって自己負担となる場合があります。
 ドイツは完全医薬分業のため、処方箋は全て院外に出ます。医師には調剤権がないので、医療用サンプルを除き、医薬品を患者さんに直接渡すことは許可されていません。

ドイツで薬剤師として働く
◆薬剤師になるまでの道

 ドイツでは22の大学に薬学部を設置しており、4年制(8ゼメスター制)を採用しています。2年次と4年次の終了時にそれぞれ国家試験があります。また、薬学生は2年次終了までに学期休みを利用して8週間の実務実習を行なわなければなりません。卒業後、1年間の実務実習を経て、薬剤師資格取得のための第3次国家試験を受けます。

◆ドイツの薬局、従業員数
 ドイツでは薬局は営利目的のためだけに経営されるべきでないという理念から、薬局開設者は薬剤師の資格が必要で、他資本や外国資本によるチェーン店経営を許可していません。
 2014年現在、ドイツ全土では2万441店の薬局があります(人口約4000人あたり1店の割合)。4万9821人の薬剤師が働いており、このうち女性の占める割合は71.3%。薬剤師の他にも、以下のスタッフが働いています。

薬学実習生 1467人
PTA(薬学技術アシスタント、いわゆるテクニシャン。実習生を含む) 6万1973人
薬剤師アシスタント、薬学エンジニア(両者旧資格で現在のPTAにあたる) 6543人
ヘルパー、PKA(薬学商業従事者。主に在庫管理を行う)、その他 3万2946人

 薬局数は2004年の医療改革後は増加傾向にありましたが、2008年の2万1602店をピークに減少し始めています。今後は統廃合が進み、各薬局が経営の効率化を図るだろうと言われています。(出典:Die Apotheke Zahlen Daten Fakten 2015)

薬局の業務
 ドイツでは医薬品を「要処方箋薬(Verschreibungspflichtig)」、「薬局指示薬(OTC, Apothekenpflichtig)」、「普通薬(Freiverkäuflich)」の3つのカテゴリーに分類します。
 このうち「要処方箋薬」と「薬局指示薬」は薬局でしか販売できません。原則的に大人へは「要処方箋薬」のみ、子ども(18歳未満)へは「要処方箋薬」と「薬局指示薬」が法定保険償還対象となります。ドイツの薬局は処方薬のみならずOTC、 医薬部外品、ホームケア用品、化粧品など、多くの品物を扱います。日本の調剤薬局とドラッグストアの両方の機能を合わせたような混合型です。
 そして薬局は、「速やかな医薬品供給」と「医薬品の有効性、安全性、品質の維持」を業務の2本柱とし、また、国民の健康を守る職務から、以下の業務を行っています。

・調剤業務
・OTC医薬品、サプリメントの相談販売
・介護施設、医院への医薬品供給
・処方された医薬品の配合禁忌・相互作用のチェック
・疑義照会
・輪番制の夜勤 (ひと晩に全国で約1400店の薬局が担当)
・血糖値、血圧の測定
・調剤用原料の確認試験
・製品情報、健康管理情報の提供
・副作用の関係当局への報告
・市販医薬品検査(外観、表示の適正をチェック)
・医薬品不良ロットの報告・回収・返品
・不良医療機器、不適サプリメント等が疑われた際の関係当局への報告

 上記以外にも町の健康イベントへの参加、学校での授業など、国民に薬局の仕事を知ってもらうためのアピール活動も行っています。

◆調剤業務
 調剤業務といっても日本と異なり「箱出し」が原則。箱は適応症、投薬期間に合わせて3サイズがあります。処方箋の受け取りから医薬品を出すまで非常に短時間で済むため、薬局には待合室を設置していません。もちろん、処方内容によっては製剤を調合することもあります。
 平日は医薬品の卸会社から1日に3~5回の配送があり、薬局に在庫がない場合も迅速に商品の補充ができます。
 医薬品の支払いは箱ごとに請求され、保険請求価格が50ユーロ以下なら、1箱あたり5ユーロ。50ユーロを超える場合は1箱当たり10%の負担で、上限は10ユーロです。

◆OTC医薬品、サプリメントの相談販売
 2004年の医療制度改革で、大人へのOTC医薬品処方が保険償還外となりました。これを機にOTC医薬品の相談販売も重要な業務の一つになり、応対にあたる薬剤師、PTAの力量が問われています。ですから、薬剤師やPTAは学術セミナーやメーカーによる医薬品の勉強会に参加し、知識を積極的に吸収しています。
 また、患者さんの中には、医薬品やサプリメントに関する質問、健康相談のためだけにいらっしゃる方もいます。たとえ即答できなくても、調べて必ず何らかの情報を提供しないと、薬局は来局者に見放されてしまいます。「ありません」「できません」「知りません」だけの回答は、薬剤師には認められないのです。

※本記事は、エムスリーグループが運営する薬剤師向け情報サイト『薬キャリPlus』で、2015年6月25日に掲載したものです。

専門家プロフィール/アッセンハイマー慶子(あっせんはいまーけいこ)
ドイツ「セントラル薬局」開設者、薬剤師。一般社団法人日本コミュニティファーマシー協会理事。
「29年前、ドイツの大学院に入学したばかりの頃、研究室の同僚の働きぶりを見て、『薬学は衣食住に関わるオールラウンドな学問である』と感じました。大学で取得した専門知識を職場だけでなく、趣味や日常生活に生かしていたことに大変驚いたのです。連載を通してドイツの医療制度と薬剤師を取り巻く環境や、仕事の大切さや楽しさを伝えていければと思います」



https://pcareer.m3.com/plus/article/report-from-north-america-6/
北米現地レポート
第6回「カナダ薬剤師の実態と免許取得までの道」

薬キャリPlus 2015.12.24

日本で調剤薬局、ドラッグストアでの薬剤師勤務を経て、その後カナダの薬局でテクニシャンとして経験を積んだ五味さやかさん。その経験をもとに、現在お住まいのカナダ・ブリティッシュコロンビア州から、北米の薬剤師・テクニシャン事情をレポートしていただきます。
Contact :http://w-oasis.co.jp/globalpharmacist/contact/

カナダの医療者数
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カナダと日本の薬剤師数比較
(Canadian Pharmacists Association、厚生労働省のデータをもとに作成)

カナダには現在、約3万9000人の薬剤師が存在します。2009年~2012年の間にその数は10%増え、人口および労働人口の増加率(両者とも4%以下)をしのぐ勢いで伸長。人口10万人に対する薬剤師数は95人に達しています(なお医師は209人、看護師は1046人)。
なお、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師の調査 平成24年」によると、日本の場合は、人口10万人に対する薬剤師数は219.6人。医師数は237.8人です。

薬剤師数は年々増加していますが、平均年齢(43.5歳)は数年前からほとんど変化がありません。50歳以上の薬剤師は3割以上、日本同様に女性薬剤師の割合が多く、6割をしめています。

薬剤師の勤務先とその割合
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薬剤師の勤務先
(Pharmacist Workforce, 2012)

各州の薬剤師の勤務状況を調査した「Pharmacist Workforce, 2012」によると、勤務中の薬剤師のうち8割強(85.3%)はフルタイム(正社員・パートタイム)で勤務しており、自営は1割弱(7.6%)、残りは派遣を含む臨時的な雇用形態で雇用されています。

勤務先は、薬剤師約3万9000人のうち、薬局が2万7500人、病院が6500人、残りの5000人が製薬会社や政府、大学の他、NOPやNGO団体、弁護士やジャーナリスト、コンサルタントとして活躍しています。
なお、日本の薬剤師は、「薬局の従事者」が15万3012人(総数の54.6%)。「薬局勤務」の割合は年々増加しており、「病院・診療所勤務」は平成8年以降横ばいです。

しかし近年は、都市部における薬剤師の就職難が問題になっています。2012年の調査では、登録薬剤師のうち8%は未就業で、その3分の2以上は求職中でした。

実際、筆者が知る薬剤師の話では、ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバー市内では新卒の就職が困難で、大学卒業およびコースを修了後、ほとんどの人が全国規模で就職活動をしているそうです。郊外や引越しを伴う派遣先での勤務経験を経て、市内へ戻ってくるケースも多くあります。

給与

Payscale.comによると、カナダの薬剤師の平均年収は、ボーナスや残業代なども含めると平均約748万円(C$1=¥92.66で換算)で、平均時給は約4165円(2015年時点)。これらは、勤務している地域によっても異なり、年収で約590万円~1057万円、時給で3274円~4964円程度のばらつきがあるようです。
また、5年以下の薬剤師と20年以上の薬剤師とでは約100万円の差があり、最も給与の高い都市と最も安い都市とでは、150万以上の差がみられます。

<経験年数による薬剤師の平均給与の差>
  ・5年以下の新入り:約825万
  ・20年以上のベテラン:約936万

<都市による薬剤師の平均給与差>
  ・最も給与が安い都市(バンクーバー):約750万
  ・最も給与が高い都市(カルガリー):約908万

外国人薬剤師の実態

外国人薬剤師(国外で薬剤師資格を取得した後、カナダの薬剤師資格を取得した外国人)の割合は、全薬剤師数の4分の1(24.5%)に上るそうです。国別にみると、上位5ヵ国はエジプト、アメリカ、インド、イギリス、フィリピン国籍で、外国人薬剤師の全体の3分の2を占めています。

外国人薬剤師の就業比率が最も高いのがトロント市のあるオンタリオ州で、2012年にオンタリオ州で勤務していた薬剤師の約4割(39.6%)が外国人薬剤師であったそうです。なお、ブリティッシュ・コロンビア州は15.6%、アルバータ州は15.4%。また、海外薬剤師の9割近くが「薬局」に勤務しています。

薬剤師免許取得への道

薬剤師やテクニシャンの資格試験を実施しているのはNPO法人のThe Pharmacy Examining Board of Canada(PEBC)ですが、資格を与えるのは各自が所属する州政府のため、薬剤師資格が全国すべての州で有効というわけではありません。これは、州によって法律や医療制度が異なるためです。異なる州で薬剤師として働く際は、実務実習や語学力、法律の知識などに関する試験に合格すれば、新たにその州での資格を取得することができます。

州によって多少異なりますが、一般的に薬剤師資格取得の条件は以下の通り。

 カナダの大学(現在10の大学が認められている)において薬学士、もしくは薬学博士課程を修了

 薬剤師免許試験(筆記・実技)および各州の薬事法試験に合格
 一定期間の実務実習を終了
 一定レベル以上の英語もしくはフランス語能力を証明(試験の要件を満たす)

カナダの大学で学士もしくは博士課程を修了していない場合でも、書類審査により同等のレベル(学位証明、成績証明、免許証、語学力等)が保証された場合、海外薬剤師にも資格取得の機会が与えられます。

3種類の試験を受験し、必要な時間数の実務実習を受けるのが一般的です。

◆審査試験(Pharmacist Evaluating Examination)
他国の大学で受けた薬学の知識が、カナダの薬学部の教育レベルに達しているかどうかをチェックするための試験です。選択マーク式で、全300問中60%以上(180問)の正答率で合格できます。

◆国家試験1-筆記試験(Multiple Choice Question)
選択マーク式で全300問を出題。合格のための基準正答率は設けておらず、試験の難易度に応じて適当な合格ラインが定められています。

◆国家試験2-実技試験:オスキー(OSCE)
日本で実施されているオスキーよりもレベルの高いカウンセリング力が求められます。合計約12個の課題が出題され、各問題の解答時間は7分間。出題内容は、服用歴の確認や処方せん監査、薬剤に関連した問題の解決、服薬指導、フォローアップ内容の考案などで、問題によっては一般用医薬品や医療機器の選択や推奨も含まれます。ほとんどが患者や患者家族、医療従事者等との対話形式で行うものですが、一部医薬品情報(DI)の回答や処方せん内容に関する問題点等の指摘と推奨医薬品の提案など、記述問題も含まれます。

費用と時間

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資格取得までにかかる時間と費用(Cost and Time to Licensure by NAPRA)

資格所得までに要する時間と費用をWebサイト「Cost and Time to Licensure by NAPRA」で試算したところ、すべての試験に1回で合格した場合、以下のようになりました。

ただし、それぞれの試験を1回で合格している人の割合が少ないのも事実で、以下の内容に、さらにOSCE試験(1回$1500)や実務実習の時間、生活費などを考慮に入れると、200万〜300万円以上かかることが予想されます。

各州が提供している実技演習プログラムや政府が支援している公式のWebサイトなどではさまざまな情報が提供されています。

※詳細は、以下のサイトをご覧ください。
National Association of Pharmacy Regulatory Authorities (NAPRA)
The Pharmacy Examining Board of Canada (PEBC)

変わりゆく薬剤師の世界

カナダでは、昨今、政府の政策により移民の受け入れを進めています。一方、その移民の人口増加率をしのぐ勢いで薬剤師が増加。特に外国人薬剤師の割合が増えているという事実は、興味深い内容です。仮にこの事態が日本で起きた場合、皆さんはどのように感じるでしょうか。日本で移民の数が増加し、海外医療従事者達が皆さんの身近なところで活躍している姿を、頼もしいと感じますか、それとも脅威と感じますか。

また、薬剤師増加に伴い、都市部における就職難という新たな問題が生まれています。目下、大学側は薬学部の学習項目の拡大や修学年数の増加を検討しており、そうした動向からも、今後はさらに薬剤師の「質」に重点が置かれると思われます。

外国人薬剤師の増加や、都市部での就職難など、カナダの薬剤師業界が抱える課題は、日本にも起こりうる事態。ぜひカナダだけでなく、諸外国の薬剤師事情にも目を向け、考える機会を作ってみてください。

参考:
“Pharmacists in Canada”:Canadian Pharmacists Association
Pharmacist Income (Canada) : Payscale.com

  1. 2015/12/31(木) 06:10:42|
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