Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月28日 

http://www.kobe-np.co.jp/news/akashi/201512/0008682616.shtml
新規の分娩受け入れ休止へ 明石市立市民病院
2015/12/28 21:30神戸新聞

 明石市立市民病院(兵庫県明石市鷹匠町)は28日、新規の分娩(ぶんべん)受け入れを来年1月から休止すると発表した。出産対応数が10年前の約1割に落ち込んだのが理由だが、同病院は高度医療が必要な妊婦の受け入れ先でもある。市が「子どもを産み育てやすいまち」を掲げることとのギャップを感じる人も出そうだ。

 同病院には現在、産婦人科の医師が3人いる。藤本莊太郎理事長(69)によると、2005年度の分娩数は426件だったが、08~09年度に医師不足で分娩対応を休止した影響や、病棟が新しい病院に人気が集まることなどから、14年度は51件にまで減少した。

 市内では現在、2病院と4診療所が出産に対応。14年度は明石医療センター(同市大久保町八木)で1061件、あさぎり病院(同市朝霧台)で965件などの分娩実績がある。市民病院は子宮が本来の位置から下がる「子宮脱」の手術で近畿1位の実績を誇るが、藤本理事長は「市内の医療機関に、妊婦受け入れ体制の余裕があることが分かったので、休止を決めた」と述べた。

 一方、市民病院は明石医療センターなどとともに2次救急医療も担う。泉房穂市長は、人口30万人を目指すため「任期中、12月末の人口が1月より減る年があればすぐに辞任する覚悟」とも述べており、市議の一人は「利用者数が少ないからといって分娩を中止するのはいかがなものか」と批判する。

 市民病院によると、現在受診中の妊婦は出産まで対応する。里帰り出産を予定する妊婦の健診は今後も受け入れる。(井原尚基)



http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/264099
佐大病院、診療ミスで重度障害
2015年12月28日 19時43分 佐賀新聞

 佐賀大学医学部附属病院は28日、下半身の脱力感を訴え外来受診した40歳代の女性患者に、磁気共鳴画像装置(MRI)検査を行わなかったため疾患を見落とし、両下半身まひなど重い後遺症が出る診断ミスがあったと発表した。主治医以外の医師にも意見を求めるコンサルトシステムが機能しなかった。同病院は厚労省九州厚生局など関係機関に届け出るとともに、患者と家族に説明、謝罪した。

 女性患者は今年10月、「両下半身に力が入らなくなった」と訴え、車いすで来院。患者は精神科に通院中で、呼吸が極端に速く、上半身が震えていたことから、主治医の総合診療医は、ストレスなどが引き起こす身体障害「転換性ヒステリー」の可能性が高いと判断した。

 コンサルトシステムで意見を求めた神経内科医から「血液検査とMRI検査を行うべき」との具申があったにもかかわらず、主治医は血液検査だけ行い、MRI検査は後日行うことにして他の病院に転院させた。

 ところが、発症から3日後にMRI検査をしたところ、脊椎に血腫が見つかり、附属病院で緊急手術したが、女性は両下半身のまひとぼうこう直腸障害が生涯続く重い後遺症が出た。病院側は「初診時に検査し、すぐに手術していれば、後遺症は避けられた可能性も否定できない」としている。

 会見した森田茂樹院長は「医師としてベストを尽くせば防ぐことができたミス。患者に多大なる苦痛を与えたことに対し深くおわび申し上げたい」と謝罪。コンサルトシステムを機能させるよう現場に周知するなど、再発防止策に取り組むという。



http://www.yakuji.co.jp/entry48120.html
【2015年回顧と展望】「門前」から「かかりつけ」「地域」への流れ定着を‐日薬副会長
日本薬剤師会副会長 石井甲一
2015年12月28日 (月) 薬事日報

 2015年は、薬剤師会にとって大きな嵐の真っ只中を歩いているような1年だったと思います。しかし一方で、イベルメクチンの開発で大村智氏がノーベル生理学・医学賞受賞という、うれしいニュースもありました。

調剤報酬の不適正請求

 2月、大手薬局チェーンの子会社が薬剤服用歴未記載のまま調剤報酬を請求していたとの新聞報道があり、当該企業もその事実を認めたため、厚生労働省より、全保険薬局を対象とした自主点検が指示されました。

 このような行為は、保険調剤のみならず、薬剤師そのものの信頼性を貶めるものであることから、3月に本会から都道府県薬剤師会に対し、研修会の実施を依頼すると共に、6月には本会の医薬分業対策委員会が作成した研修会用資料を都道府県薬剤師会に提供しました。

規制改革会議からの指摘

 2月、規制改革会議が「医薬分業における規制の見直し」をテーマとして取り上げ、3月に厚生労働省、日本医師会、健康保険組合連合会、有識者と共に、本会からは森副会長が参加した公開ディスカッションが行われました。

 ディスカッションの場では、本会が、かかりつけ薬局・薬剤師による面分業を目指してきていることを強調する一方、薬剤師による疑義照会、後発医薬品の使用促進、残薬支援等による医療保険財政や医療安全への貢献についてデータを示して訴えると共に、本会および都道府県薬剤師会にお願いし、構造規制の緩和に反対する決議を行い、日本薬剤師連盟の協力を得ながら、規制緩和に対する反対活動を展開しました。また、有村規制改革担当大臣、塩崎厚生労働大臣に対しては、決議文を添えた要望書を提出しました。

 その効果もあり、6月30日に閣議決定された規制改革実施計画では、医療機関の敷地内あるいは施設内への保険薬局を認めるとの結論には至らず、具体的な検討の場は厚生労働省に移ったと捉えています。

無資格調剤

 5月には薬局において無資格者に飲み薬の調整、軟膏剤の混合等を行わせていたとの報道がなされました。その後、厚労省より事実の確認と、このような行為が再発しないよう適切な指導を要請する都道府県衛生主管部(局)長宛の通知が発出されました。薬剤師の役割は処方箋の受け取りから始まり、服薬指導、さらには患者さんの服薬状況のフォローまで幅広いものであり、このような事例の発生は、薬剤師業務への信頼性を失うばかりか、薬剤師の存在そのものにも及ぶことになると捉えなければなりません。

健康サポート薬局と患者のための薬局ビジョンからの指摘

 9月、厚労省の「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」が、「健康サポート薬局のあり方について」との報告書をまとめました。健康サポート薬局は、これまで本会が目指してきた「かかりつけ薬局」機能を有しつつ、加えて、要指導医薬品等の供給等と共に地域住民に対する健康相談・健康サポート機能を備えた薬局であるとされました。今後、具体的な基準が作成され、基準を満たす薬局を行政が公表する制度が来年度からスタートすることになります。

 また、10月には「患者のための薬局ビジョン」が厚労省から示されました。同ビジョンには「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へとの副題がつけられており、25年までに全ての薬局が「かかりつけ薬局」になることを目指すべきであるとしています。行政から大きな応援をいただいたと捉えており、その期待に全国の薬局・薬剤師が応えていかなければなりません。

診療報酬・調剤報酬の改定

 来年4月は2年に一度の診療報酬・調剤報酬の改定が行われます。改定に向けて中央社会保険医療協議会が議論を続けてきましたが、一方で財政制度等審議会において、調剤報酬を標的にし、極めて厳しい対応を迫る議論が巻き起こりました。10月の会議に提出された資料には「現行の調剤報酬については、診療報酬本体とは別に、ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直しが必要」とする方向性が示されました。

 本会では、日本薬剤師連盟と連携しながら、医科1:調剤0.3を堅持した公平な改定となるよう陳情活動を展開してきましたが、加えて、調剤報酬のみを対象とした特例的改定を阻止することを訴えることにしました。今月4日の中医協における調剤報酬の検討では、「かかりつけ薬剤師・薬局の評価」「対人業務の評価の充実」「いわゆる門前薬局の評価の見直し」の3点が資料として示され、議論が行われました。

 その結果、今月21日、次期診療報酬改定は0.49%の引き上げ、医科0.56%、調剤0.17%と1:0.3を堅持することができました。しかし、一方で薬価の引き下げが行われ、また、いわゆる大型門前薬局等に対する評価の適正化という制度改革が行われることになり、必ずしも満足できるものではないと捉えています。

今後の展望

 患者のための薬局ビジョンに示されている、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へという流れを着実に実行に移していかなければならず、全ての薬局が、地域住民にとって身近な「かかりつけ薬局」に移行できるよう、本会としても努力していく必要があると考えます。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128622
高齢者の薬どう減らす…副作用増、薬局は出すほど利益
(2015年12月28日 読売新聞)


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 高齢者の多くが不適切な薬の処方を受けている可能性が、厚生労働省研究班の調査で明らかになった。複数の持病のある高齢者には多剤投与が行われている実態もあり、薬の副作用で健康を害する例も少なくない。無益な薬の処方で体調を崩せば、さらに医療費、介護費もかさむ。今後、必要な対策は何か。

■入院中に削減

 「薬を3種類減らしました。時々、病棟に様子を見に行きます」

 宇都宮市の国立病院機構栃木医療センター。内科の矢吹拓医師(36)は、骨折で入院中の95歳女性に語りかけた。60歳代の次女は「こんなにたくさん薬を飲んで大丈夫かと思っていた」と胸をなで下ろした。

 矢吹医師らは今年1月、同病院に「ポリファーマシー(多剤)外来」を開設、入院してきた高齢者の薬を減らす取り組みを始めた。65歳以上で5種類以上の薬を飲み、同意を得た患者を呼び、院内の薬剤師、看護師らと共同で体調を見ながら必要度の低い薬や副作用のリスクの高い薬を減らす。10月までに37人(平均年齢81歳)を診察。入院時に平均8・6種類だった薬が同4・6種類になった。

 退院時にはかかりつけ医に患者の診療情報とセンター長名で薬の削減に協力を求める文書を送る。地域の患者を診る宇都宮協立診療所の関口真紀まさのり所長(60)は「病院全体の取り組みとわかり、診療を見直すきっかけになる」と話す。

■副作用の背景

 総合診療医の徳田安春・地域医療機能推進機構顧問は、「特に影響を受けやすい80~90歳代の患者が増えているにもかかわらず高齢者特有の薬の作用や副作用に対する知識が医師の間に浸透していない」と指摘する。薬の代謝機能が衰えた高齢者が一般成人と同じ量の薬を飲むと副作用が出やすい上、薬同士の相互作用の影響も受けやすい。

 高齢者は飲む薬の種類が増えると、副作用が起きやすいというデータがある。だが、内科、整形外科など細分化した診療体制では患者が飲む薬の全体像を把握しにくく、薬の種類も増えやすい。近年、新薬が相次いで開発され、使える薬が増えたことも背景にある。

 薬局は、薬を処方するごとに調剤料が入るため、積極的に薬を減らそうという動きが起きにくい。

■「収益より信頼」

 薬の削減に取り組む薬局もある。首都圏で約140店を営む調剤薬局チェーン「薬樹やくじゅ」(本社・神奈川県)は約9割の薬局で医師の指示のもと、通院が難しい在宅患者や介護が必要な高齢者宅に薬剤師が薬を届ける。

 「訪問薬樹薬局 保土ヶ谷」(横浜市)の訪問薬剤師、高橋麗華さん(38)は痛み止めなど6種類を飲んでいた神経因性疼痛とうつうの90歳代女性の薬を、医師と相談しながら3種類に抑えた。

 薬樹は店舗の3割に管理栄養士を置く。服薬と栄養両面のサポートを通じて、症状が落ち着き、薬が減った糖尿病患者もいる。薬剤師の訪問事業は約5年前に本格化させた。地域の在宅医や訪問看護師らとの情報共有を徹底し、往診にも同行する。「薬が減れば目先の収益は落ちるが、かかりつけ薬局としての信頼が得られ、リピーターになってもらえる」と小森雄太社長(51)は説明する。

 だが、こうした取り組みは一部の薬局で始まったばかりだ。「薬を出すほど利益が出る、今の仕組みは問題だ」と小森社長は語る。(医療部 赤津良太、社会保障部 辻阪光平)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128615
高齢者への多剤投薬対策、厚労省検討案に「上下関係」の壁?
(2015年12月28日 読売新聞)

 厚生労働省は来年度の診療報酬改定で不適切な多剤投薬を減らす方針を掲げ、今年度中に具体策を詰める。

 いくつもの病院に通う高齢者の服薬情報を集めて管理する「かかりつけ薬局」が多剤投薬を見つけて医師に連絡する。国内外の学会などが作成した高齢者には避けるべき薬のリストを参考に医療機関が不適切な投薬を自ら減らしたり他の医療機関に連絡したりする――などが検討されている。投薬を減らした医療機関や薬局への診療報酬を手厚くする方針だ。

 不適切な処方を減らせば、膨張する社会保障費の削減にも結びつく。副作用の治療費が浮くだけでない。高齢者がいったん体調を崩し入院すると、体力が弱り、自宅に戻れず介護施設に移らざるを得ない例も少なくない。大量に処方された薬の飲み残しも多く、これを減らすことで年間100億円超の薬剤費が削減できるという試算もある。

 だが、医師からは「他の医師の処方に口を出せない」との声が根強い。全薬局の7割が医療機関近くに開設する「門前薬局」で、どこまで汗をかく薬局が出てくるかは不透明だ。「医師と薬剤師は上下関係があり、連携は難しい」との指摘もある。

 徳田安春・地域医療機能推進機構顧問は「本来はかかりつけ医が責任を持って薬の調整をすべきだが、当面は高齢者の薬に詳しい総合診療や老年医学の医師が専門外来を作って適切な処方に変える方法もある」と話す。いかに実効性のある仕組みを作れるかが課題となる。

(医療部 米山粛彦)



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128614
佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」
聖マリアンナの虚言

(2015年12月28日 読売新聞)

 2015年4月に多くのメディアが取り上げた精神保健指定医の資格の不正取得問題をご記憶の方は多いだろう。この連載でも関連記事を書いたが、最終的に23人が指定医資格を取り消され、医業停止1、2か月の処分を受けた。その聖マリアンナ医大病院(川崎市)でまたもや、患者の信頼を裏切る問題が起こった。

「シュレッダーで破棄した」と口裏合わせ

 この病院の神経精神科に以前通院していた30歳代の女性が、指定医資格の不正取得問題に不信感を募らせ、協力した臨床試験の原本閲覧を15年8月に求めた。すると、この試験の責任研究者を務める准教授と、病院、大学の職員が口裏を合わせて「シュレッダーで破棄した」とウソをつき、閲覧を拒み続けたのだ。病院は4か月後の12月21日、一転して原本の存在を認め、女性に謝罪したのだが、この幼稚なウソ対応は一体、何なのだろうか。虚言の背景に何があるのか。経緯を詳しく見ていこう。

 女性(別の複数の医師に「精神疾患ではない」と診断され、今は服薬をやめて元気になった)は、10年10月にこの病院を受診した。過労が続いて気が滅入めいり、前月から「周りに見られている気がする」といった強い不安に駆られるようになったためだった。初診の医師は「短期精神病性障害の疑い」と診断した。この障害は1か月以内に回復する。だが、4日後に診察した准教授は「統合失調症」と診断し、抗精神病薬を服用する臨床試験への参加を勧めた。女性は「社会の役に立つのなら」と考えて協力した。

 この臨床試験は、統合失調症を初めて発症した患者を対象に、市販の2種類の抗精神病薬を使って認知機能の改善度を比較する内容だった。女性は11年10月まで参加することになり、複数の認知機能検査と血液検査を繰り返し受けた。臨床試験は09年から12年までの計画で始まり、途中で16年まで延長されて、患者約40人が参加した。

 女性は12年に別の医療機関に移ったが、指定医資格の不正取得問題の報道で、神経精神科の医師たちが患者の治療の記録(症例)を使い回したことを知り、不信感を募らせた。主治医だった准教授も処分を受けたため、女性は15年8月、臨床試験からの自分のデータの削除と、検査結果などの原本閲覧を求めた。

医療安全と研究推進の職員がウソに関与

 准教授はデータ削除には応じたが、原本は「シュレッダーにかけた」として閲覧させず、医療安全管理室の職員2人と、大学院研究推進課の職員1人も「破棄したと聞いている」などと説明した。

 余りにも不自然な説明に納得できない女性が、病院と話し合いを続けると、准教授は12月、「顧問弁護士に相談して、正直に告白しろと言われた」として原本の存在を認め、コピーを女性に提供した。病院は、准教授を含む職員4人がウソに関わったと説明した。准教授は「僕が言い出したのではなく、4人で話して決めた。破棄したことにした方が安心すると思った」と明かし、「結果的にウソをついたと思う」と女性に謝罪したが、女性は「ウソをついてまで隠したかった何かがあるのでは」と、不信感をますます強めることになった。

生命倫理委で試験継続の可否を検討

 厚生労働省研究開発振興課は「臨床試験の指針は患者への十分な説明を求めている。不信感を抱かせる対応は絶対に避けなければならない」とする。研究倫理に詳しい斉尾武郎医師(精神科医)は「医療安全と研究推進の両部門までがウソをつく大学の臨床試験は、全て疑わしい。他の臨床試験も含め、徹底した調査が必要だ」とする。

 女性は「指定医の問題で多くの医師が処分を受けたというのに、相変わらず患者をバカにしている。原本や開示したカルテの記載、利益相反の面でも疑問が多い」として、さらに追及する構えだ。病院もこの臨床試験の調査を始めており、「近く、生命倫理委員会を開いて試験の継続の可否を検討する」としている。

 私は15年夏から、この問題を取材してきた。女性が指摘するように、ウソ対応以外にも不可解な点は多い。まずは、病院名に恥じないウソのない調査と、臨床試験参加者への誠意ある対応を求めたい。



佐藤光展(さとう・みつのぶ)
読売新聞東京本社医療部記者。群馬県前橋市生まれ。神戸新聞社の社会部で阪神淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)などを取材。2000年に読売新聞東京本社に移り、静岡支局と甲府支局を経て2003年から医療部。取材活動の傍ら、日本外科学会学術集会、日本内視鏡外科学会総会、日本公衆衛生学会総会等の学会や、大学などで「患者のための医療」や「精神医療」などをテーマに講演。著書に「精神医療ダークサイド」(講談社現代新書)。分担執筆は『こころの科学増刊 くすりにたよらない精神医学』(日本評論社)、『統合失調症の人が知っておくべきこと』(NPO法人地域精神保健福祉機構・コンボ)、『精神保健福祉白書』(中央法規出版)など。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128613
在宅医療の高齢者、48%に「不適切」薬…副作用も
(2015年12月28日 読売新聞)

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 副作用の恐れがあるため高齢者に「不適切」とされる薬が、在宅医療を受ける高齢患者の48%に処方され、うち8%の患者に薬の副作用が出ていたという大規模調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめた。高齢者の在宅医療で処方の実態が全国規模で明らかになるのは初めてという。同省では高齢者に広く不適切な処方が行われている可能性があると見て、来年の診療報酬改定で薬の適正使用を促す枠組み作りに乗り出す方針だ。

 高齢者は薬の代謝機能が衰えるため副作用が出やすい。近年欧米では高齢化に伴って社会問題になり、学会などが高齢者には避けるべき薬のリストを作っている。日本にも同様の基準はあるが医療現場には浸透しておらず、高齢者に深刻な副作用が出たとの報告が相次いでいる。

 厚労省研究班は2013年、高齢患者の飲む薬の全容を把握するため、通院が困難な患者を医師が訪問する在宅医療に着目。医師と連携した薬剤師が訪問業務を行う全国3321薬局に調査を実施した。1890薬局が回答し、在宅医療を受ける65歳以上の患者4243人の処方薬を把握した。同研究班がこのデータを米国で高齢者の処方指針とされるビアーズ基準の日本版に基づき分類すると、2053人(48・4%)に「不適切」とされる薬が処方されていた。

 このうち165人(8%)に副作用が認められた。複数の薬の副作用が出ている例もあった。最も多かったのはベンゾジアゼピン系の睡眠薬・抗不安薬で、ふらつき、眠気、転倒、記憶障害の他、妄想や幻覚などの副作用が出た患者もいた。心不全に使うジゴキシンは食欲不振や中毒、胃潰瘍や精神症状の改善に使われるスルピリドでは震えやこわばりなどの副作用があった。

 研究代表者の今井博久・国立保健医療科学院統括研究官は「副作用の少ない代替薬があるので、不適切な処方を漫然と続けるべきではない。医師と薬剤師が連携して処方内容を見直す体制作りが必要だ」と話している。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128609
乳房全摘出…検査結果が診察と矛盾、それでも検体取り違えを疑わず
(2015年12月28日 読売新聞)

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 千葉県がんセンター(千葉市中央区)が乳がんの女性患者2人から採取した病理検査の検体を取り違え、誤って1人の右乳房を全摘出した医療事故で、当初の診察とは矛盾する検査結果が出たにもかかわらず、同センターがこれを重視せず、検体の取り違えを疑っていなかったことがわかった。

 2人は同じ日に病理検査を受けており、同センターは「検査結果は、(取り違えに気付く)一つのポイントだった」と認めている。

 2人は10月中旬、針を刺して細胞組織を採取する「針生検」を受けた。1人は30歳代の早期がん患者。もう1人は50歳代で、医師の視診などで当初から「進行がん」が疑われていた。

 生検の結果、30歳代の検体からはがん組織が検出されず、50歳代の検体から進行がんの組織が検出された。しかし、検体が取り違えられていたため、「50歳代の女性からがん組織が見つからない」という事態になったが、同センターは「針生検(の精度)には限界があり、がん組織が採取できないことはしばしばある」として、この結果を「偽陰性」と判断。検体の取り違えを疑わず、再検査を行って進行がんと診断し、必要な治療を行っている。

 一方、生検の結果から30歳代の女性は誤って進行がんと診断され、12月上旬、直ちに必要がないにもかかわらず、右乳房の全摘出手術を受けた。その時に採取された組織と10月の生検で採取された組織ではがんの型が異なっていたため、検体の取り違えが判明した。

 同センターは今月18日、外部専門家を含む「院内事故調査委員会」を設置した。委員会では、どうして検体の取り違えが起きたかだけでなく、検査結果の評価が妥当だったかについても検証の焦点になりそうだ。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128595
乳房全摘出、病院長「原因特定できず」
(2015年12月28日 読売新聞)

 あってはならない医療事故がまた起きた。千葉県がんセンター(千葉市中央区)で患者の検体を取り違え、30歳代の女性が直ちに必要のない手術で右乳房を全摘出された事態を受け、記者会見した同センターの永田松夫病院長らは「患者さま、ご家族に深くおわび申し上げる」と深々と頭を下げた。

 ただ、原因については「現時点では特定できていない」と述べるにとどめ、専門家らによる調査委員会で究明するとした。

 早期がんの30歳代女性と進行がんの50歳代女性の検体は同じ日に採取されていた。永田病院長らによると、取り違えが起きた「針生検」と呼ばれる病理検査は、マニュアル通りに行われていれば、病理医が診断を終えるまでに乳腺外科の主治医と看護師、看護補助者、病理検査科の臨床検査技師、複数の検査補助者、病理医の9人前後が関与する。各段階で取り違えを防ぐため、患者名などを書いたラベルを貼った検体容器や伝票を照合する決まりだ。

 このうち、乳腺外科と病理検査科のどの段階でミスが起きたかについてセンター側は「今のところわからない」と繰り返した。また、必要のない手術で乳房を全摘出した責任を問われると、永田病院長は「そこの部分は戻らない。大変重く受け止めている」と硬い表情で答えた。

 同センターは、透明性を確保するため、弁護士や病理医ら外部委員4人を含む計9人の「院内事故調査委員会」を設置。これに先立ち病院側が行った医師や看護師ら関係者5人への聞き取り調査では、「マニュアル通り行っていた」と答えたといい、調査委で徹底的な原因究明を行い、再発防止策を講じるとしている。

 病理検査は、針などを使い患者から採取した組織を顕微鏡などで詳しく調べる検査。がんの広がりや種類などの診断に活用し、切除範囲の決定など治療方針に大きな影響を与える。

 組織を採取し、臨床検査技師が標本を作り、病理医が診断する。一連の過程には、医師以外に複数の医療スタッフも関わる。

 多くの患者を診療する病院はどこも、検査前に患者本人に名前を名乗ってもらい、検体に貼ったラベルの氏名と照合するなどの手順はマニュアル化している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47721.html
厚生連の「公的医療機関」位置付けを維持- 厚労省、社会医療法人に変更後も
2015年12月28日 09時00分 キャリアブレイン

 厚生労働省は、公的医療機関の開設者となっている厚生農業協同組合連合会(厚生連)について、社会医療法人に変更した後も公的医療機関に位置付けることを決めた。今年の通常国会で、厚生連が社会医療法人に組織変更可能な規定が盛り込まれた改正農業法の成立を受けた措置。今年度内に医療法第31条で規定する公的医療機関の開設者の告示を改正する方針だ。【新井哉】


 厚生連をめぐっては、農林水産業・地域の活力創造プラン(2014年6月改訂)で、公的医療機関として地域に必要なサービスを提供する際、組合員以外の利用規制が問題となる場合、「社会医療法人に転換することを可能とする」と明記。こうした状況を踏まえ、社会医療法人への組織変更規定を含む改正農業法が8月に成立した。

 社会医療法人は、へき地や救急、周産期医療など地域で必要な医療の提供を担う医療法人を認定するもので、一定の収益事業が可能。病院や診療所、介護老人保健施設の非収益事業や本来業務の医療保健業については、法人税が非課税となっており、公益性が強く求められている。

 厚生連の病院と診療所は全国に約140施設ある。厚労省は、国民に必要な医療を確保するために設けられた公的医療機関の制度の下で「地域医療の確保に一定の役割を果たしてきた」と指摘。引き続き公的医療機関としての役割が期待されていることや、組織の目的や社会的な役割はこれまでと同じであるとの理由から、「法人格の形式的な変更をもって、ただちに指定を外す理由にはならない」としている。

 ただ、社会医療法人に変更後、都道府県知事に認定を取り消されて通常の医療法人になった場合、地域医療の確保にかかわる役割を十分に果たせない可能性がある。このため、厚労省は、社会医療法人の認定を取り消された際は、公的医療機関の開設者から外す規定を設けるという。改正告示の適用は、改正農協法の施行日と同じ来年4月1日を予定している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47741.html
薬価引き下げの新ルール、「極めて理不尽」- 業界団体が声明
2015年12月28日 17時00分キャリアブレイン

 来年春の薬価制度改革の骨子がまとまったことを受け、日本製薬団体連合会(日薬連)など3団体はそれぞれ声明を発表した。骨子には、既に保険収載されている医薬品のうち、年間の販売額が極めて大きい品目の薬価を最大半額にする「特例再算定」の創設が盛り込まれたが、日薬連側は「極めて理不尽」だとしている。【敦賀陽平】

 特例再算定の内容は、(1)年間の販売額が1000億円超から1500億円以下で、予想販売額の1.5倍以上(2)年間の販売額が1500億円超で、予想販売額の1.3倍以上―のいずれかを満たす品目を対象に、(1)では最大25%まで、(2)では最大50%まで薬価を引き下げる―というもの。

 声明で日薬連側は、薬価設定時の前提条件の変化すら考慮されておらず、単に販売額などで薬価を引き下げるルールだとして、「極めて理不尽なものと捉えている」と主張。その上で、国民皆保険制度の持続性を保つため、「薬剤費全体と個別医薬品の市場規模の在り方を抜本的に検討した上で、最大の当事者である製薬業界にとって納得性のある結論にしていただきたかった」との苦言を呈した。

 また日本製薬工業協会も、「イノベーションの否定そのものと言わざるを得ず、到底容認することはできない」との見解を示した。

■「市場実態に基づかない要望をした」―GE薬協
 骨子には、2020年度末までに後発医薬品のシェアを8割以上に引き上げるとする政府目標の達成に向け、後発品の置き換え率(シェア)が低い長期収載品(後発品のある先発医薬品)の薬価を引き下げる特例(Z2)の基準を厳格化することや、新規の後発品の薬価を先発品の原則5割に引き下げることも盛り込まれた。

 これについて日薬連側は、「後発品への置き換えによる医療費適正効果額は年々スピードを増す形で増加している」などとして、「特例引き下げの強化は容認できない」と主張した。

 一方、経営状況の厳しさなどから新規の後発品の薬価の維持を求めていた日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、厚生労働省が9月に行った薬価調査で、新規の後発品の公定価格と実売価格との乖離率が先発品よりも大きかったことに触れ、「市場実態に基づかない要望をしたことについて深く反省している」と陳謝した。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=128600
相次ぐ患者・検体取り違え…医療事故、後絶たず

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 患者や検体の取り違えによる医療事故は後を絶たない。

 横浜市立大病院(横浜市)では1999年1月、それぞれ心臓と肺の手術を受ける予定だった男性患者2人を取り違える事故が起きた。病棟の看護師が1人で2人の患者を搬送し、手術室の看護師に受け渡す際に間違いが生じた。同病院は事故後、名前を記入したリストバンドを患者に着けるなどの対策を講じた。

 乳がんを巡っては昨年、兵庫県高砂市の高砂市民病院で、病理検査を受けた女性2人の検体を取り違え、誤った検査結果を伝えるミスが起きた。良性だった女性は、別の病院で乳腺の一部と周囲を切除する手術を受けた。摘出した組織からがん細胞が見つからず、誤りが判明した。

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)では2013年12月、小児がんの一種の「神経芽腫」の男児に移植する予定だった本人の幹細胞を、同じ病気で入院していた別の女児に誤って移植した。主治医の思い違いなどが原因だった。

 また、熊本大病院(熊本市)や大阪市立総合医療センターなどでは、肺がん患者の検体を取り違え、別の患者の肺の一部を摘出した。東北大病院(仙台市)では07年12月、前立腺肥大症の患者を前立腺がんの患者と取り違え、誤って前立腺を摘出する事故が起きている。

(2015年12月28日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/general/387143?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151228&dcf_doctor=true&mc.l=137029029&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
2千万円支払いで和解 がん誤診、胃切除
2015年12月28日 (月)配信 共同通信社

 兵庫県立加古川医療センター(加古川市)でがんと誤診され、胃の3分2を切除された男性患者の遺族が県などに損害賠償を求めた訴訟は25日、県が病院側の過失を認め遺族に2千万円を支払うことで、神戸地裁で和解が成立した。県が同日、発表した。

 県などによると、病院は2011年3月、病理検査の際に他人の標本と取り違え、70代の男性を胃がんと誤診した。男性は胃潰瘍で手術は必要なかった。男性は12年8月に術後の後遺症に苦しみ自殺したが、和解内容では「胃の切除との因果関係は不明」としている。

 遺族が今年5月、5500万円の損害賠償を求め提訴していた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/387187
「かかりつけ医推進事業」概算要求から大幅減、厚労省予算案
「地域医療介護総合確保基金」は2015年度と同額の904億円

2015年12月28日 (月)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省は12月24日、2016年度予算案を発表した(資料は、厚労省のホームページ)。予算規模は30兆3110億円で2015年度比3963億円の増加。政府全体の社会保障関係費は31兆9738億円で、同4412億円増の過去最大規模となった。新規の重点施策として概算要求で4.5億円を要求していた「かかりつけ医による医療提供体制の構築」は2100万円にとどまった(概算要求については、『「かかりつけ医」推進に4.5億円、厚労省概算要求』を参照)。病床の機能分化・連携、在宅医療の推進する「地域医療介護総合確保基金」は、2015年度の904億円と同額を確保した。

 厚労省地域医療計画課によると、「かかりつけ医による医療提供体制の構築」事業は、8月の概算要求時点では「かかりつけ医を広めるためのモデル事業を市区町村から公募、優れたアイディアを採用する」としていたが、要求額の4.5億円から2100万円に大幅に減額された。モデル事業はできなくなったため、「予防・健康づくり、病診の連携、在宅医療・介護連携等、かかりつけ医として幅広く活動している医療機関について」の効果検証を行うとしている。2.3億円を要求し、1.8億円にとどまった「かかりつけ薬局を推進する『患者のための薬局ビジョン』」と大きな差が付いた。また、後発医薬品については、政府の利用推進の方針を受け、品質確保対策の促進事業は7.1億円を確保した。

 厚生労働省予算内での医療分野は11兆5438億円で、同538億円増(0.5%増)。介護は同1030億円増(3.6%増)の2兆9323億円。年金は同1971億円(1.8%増)の11兆2498億円。

その他の主な予算事項は以下の通り。 

・認知症高齢者等にやさしい地域づくりのための施策の推進  82億円
・「かかりつけ医」による医療提供体制の構築   2100万円
・専門医に関する新たな仕組みの構築に向けた取組  1.9億円
・特定行為に係る看護師の研修制度の推進  4.1億円
・医療事故調査制度の適切な運用  8.2億円
・救急医療体制の整備、医療提供体制推進事業費補助金150億円の内数及び医療提供体制施設整備交付金25億円の内数
・ドクターヘリの導入促進  61億円
・災害医療体制の充実 99億円、医療提供体制推進事業費補助金150億円の内数、医療提供体制施設整備交付金25億円及び国立病院機構運営費交付金144億円の内数
・臨床効果データベース整備  1.4億円
・後発医薬品の品質確保対策の促進  7.1億円
・クリニカル・イノベーション・ネットワークの構築  31億円
・ゲノム医療の実用化に向けた取組の推進  36億円
・革新的な医薬品等の実用化に向けた質の高い臨床研究の推進等  57億円
・データヘルス(医療保険者によるデータ分析に基づく保健事業)の効果的な実施の推進  7.5億円
・糖尿病性腎症患者の重症化予防の取組への支援  0.4億円
・患者のための薬局ビジョンの推進  1.8億円
・予防・健康インセンティブの取組への支援  1.2億円



https://www.m3.com/news/general/387150
研究不正で教授停職1カ月 熊本大、論文の画像流用
2015年12月28日 (月)配信 共同通信社

 熊本大は25日、1998~2012年に発表した論文9本に画像の流用などの不正が見つかった研究グループを主宰する同大大学院生命科学研究部の光山勝慶(みつやま・しょうけい)教授(58)を、停職1カ月の懲戒処分にした。

 大学は、光山教授が論文を執筆した助教授や研究員に対して、論文作成やデータの保管方法の指導や確認を怠ったため不正が繰り返されたと判断した。光山教授は「ケアレスミスだった」と説明し、大学も論文の内容に影響を与えるものではないとしている。

 原田信志(はらだ・しんじ)学長は「研究者倫理の徹底と再発防止に努める」とのコメントを出した。

 熊本大は3月、光山教授が責任著者を務めた心疾患などの病態解明に関する論文に、実験画像の流用や画像自体の加工が見つかったとして、研究不正を認定した。



https://www.m3.com/news/general/387155
向精神薬、ネットで拡散 生活保護悪用、対策急務 「キャッチアップ2015」
2015年12月28日 (月)配信 共同通信社

 副作用の危険性がある向精神薬が、インターネットを通じ拡散した実態が明らかになりつつある。兵庫県警が6月以降、計6人を逮捕した不正転売事件。生活保護など医療費の公費負担制度が悪用され、重複処方された医薬品が横流しされた。薬物中毒で死亡した購入者もおり、防止策の整備が急務となっている。

 「ネットの掲示板で向精神薬の売買を知った」。向精神薬の営利目的所持容疑で今月逮捕された無職女性(32)=兵庫県西脇市=は、県警の調べにこう語ったという。母子家庭への医療費助成制度を使い、2010年以降に約18万錠の医薬品を安価で得ていたとみられる。女性はその後、起訴猶予となった。

 一方、県警はこれまでに転売容疑で生活保護受給者だった京都市の男女2人を逮捕。複数の医療機関に何度も通うなどして、医薬品を無料で入手していたという。

 拡散の「ハブ」とされるのが、東京都の小岩井由香(こいわい・ゆか)被告(56)=麻薬取締法違反罪などで公判中=だ。京都市の男女や奈良市の薬剤師の男、別の京都市の男を通じて西脇市の女性などから向精神薬を仕入れ、09~15年にネット上で123人に販売したとされる。うち埼玉、和歌山、兵庫、鹿児島の4県の計5人が過剰摂取による薬物中毒で死亡。うち4人は自殺とみられる。

 不正は止められなかったのか。京都市は11年度以降、レセプト(診療報酬明細書)を電子化し、生活保護受給者による重複処方を審査。ただ今回の事件では生活保護以外の支援制度も使われており「統合的なチェックができず見抜けなかった」(担当者)という。

 厚生労働省によると、12年11月の1カ月間に重複処方を受けていた受給者は6825人。うち76%は、別の症状で複数の病院にかかるといった正当な理由はなかった。だが調査は改善指導が主な目的で、犯罪につながるケースを見つけ出すのは困難なのが実情だ。

 「不正防止策を医療機関同士で共有することが重要だ」と指摘するのは、日本精神神経科診療所協会の浅野達蔵(あさの・たつぞう)理事。転売目的の患者は、医薬品を指定して処方を求める傾向があるという。浅野理事は「過剰な管理は一般の患者の不利益となる。医師が自覚を持ち、不正を見抜く目を養う必要がある」と話している。

 ※向精神薬

 精神疾患の治療に使われる抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの総称。中枢神経に作用し、精神機能に影響を及ぼす。乱用の危険性があるため、麻薬取締法の対象。過剰に服用すると、幻覚や錯乱などの症状が現れ、死亡するケースもある。インターネットを通じた不正転売が社会問題となっている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/383309
シリーズ: 始動する“医療事故調”スペシャル座談会
拙速な制度の見直しは危険◆Vol.7
医師法21条との関連は別問題

2015年12月27日 (日)配信 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――新たな医療事故調査制度がどのように機能するか、最初の立ち上がりが重要です。

山本 先ほど武田先生が言われたように、医療事故調査とは何かをきちんと理解して、この制度が前提としている趣旨に従って、運営していける人材の養成は非常に重要な問題だと思います。

 他の分野、例えば消費者事故調でも、やはり人材が足りない。消費者庁がスタートした時は、年間100件の調査を行うとしていましたが、数年経っても、まだ5、6件程度。調査ができるような人材の養成が、日本全体でできていない。今回、センターの役割として、「事故調査に関わる知識、技能の研修」が入ったのは、人材養成という趣旨も含んでいると思います。

3氏はいずれも、医療事故調査制度の見直しは、拙速に行うべきではない、と釘を刺す。

――人材養成のためには、センター自身が体制を整えなければいけない。

山本 その通りです。

武田 国としては、ここで重大決断をした。一種のパラダイムシフトを国が先導した稀有な例であり、これで終わりではなく、ここからが始まりで、人材養成にも、力を入れてもらいたいと思います。

――センター調査の在り方も、今後、問題になってきます。センターには、各分野の専門的人材はいないので、さまざまな学会に支援を仰ぎ、機能させていかなければいけない。

長田 センター調査も含め、事故調査の方法や報告書の書き方について、トレーニングしていくことが必要。報告書一つで、印象が変わってきてしまうからです。

山本 センターには、対象となる医療事故が全て報告されてくることになるので、その中から、この制度にかなった報告書はどんなものなのかを例示していくようなことも必要でしょう。

――医療法において、医療事故調査制度は、「公布後、2年以内に見直す」となっています。先ほど、武田先生から「執行猶予にしてもらいたい」との意見が出ましたが、見直しを延期することは可能なのでしょうか。

山本 「法律の公布後から」とされたのは、見直し規定としては稀有な例です。「法の施行後から」、つまり制度の開始を起点とするのが、普通でしょう。

 今回の制度では、公布から施行まで1年半近くかかっています。いったん始めた制度を、施行からわずか数カ月で見直すのは、制度全体を評価する期間としては、やや短すぎると思います。制度が機能しているのか否かについて、慎重に見極めないと、場合によっては誤った方向に改正のベクトルがかかりかねないと懸念しています。

 法律上は、「公布後2年以内に法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとする」となっています。検討を加えた結果、「必要な措置を加えるかどうかの判断がまだできない」となる可能性ももちろんあるでしょうから、繰り返しになりますが、慎重に考えていただきたい。

――仮に見直す場合、どの辺りの見直しが必要になるとお考えですか。異状死体の届出を定めた医師法21条との関連で、見直しが必要との意見も一部にあります。

山本 医師法21条の問題をまた巻き込むと、問題はかなり複雑になってくることは明らかです。「(医療事故調査制度が)現状の仕組みのまま、21条を廃止することができる」と思っている人がいるとすれば、「難しいことをお考えになっている」と言わざるを得ません。21条を関連付けて改正するには、(2008年に、厚労省が医療事故調査制度案としてまとめた)「大綱案」とは言いませんが、別の制度が必要。21条の問題と切り離した結果、今回のような制度になったわけです。
 もっとも、21条自体をいいと思っているわけでは、必ずしもありません。何らかの検討は必要でしょう。

――医師法21条をどう解釈され、どのように見直すことが必要とお考えなのでしょうか。

山本 医療機関が自らの判断で医療事故を警察に届け出ることが必要か、しかも刑罰を科してまでやる意味があるかということです。「大綱案」自体がいいかは別としても、「大綱案」では、一度、第三者である医療専門家の目を通し、「専門家から見てもこれは許し難い」という事例だけを、警察に通知する制度を作ろうとしたわけです。

 医療の専門家から見れば、現状では「なぜ、これを起訴するのか」という事例があるかもしれません。しかし、警察や検察は、基本的には医療の素人であり、彼らを責めても仕方がない話。医療の専門家の判断を尊重する仕組みは、選択肢としてはあり得ると思います。ただ、「同業者の判断が、責任追及につながる」と問題視する声もあり、どんな制度がいいのか、私自身、結論を持っているわけではありません。医療の専門家を交えて議論する必要はありますが、繰り返しになりますが、今回の制度の見直しとは別の議論です。

――ただ、その専門家が信用できない場合もあり得ると思います。例えば、産科医療補償制度は、「専門家が判断している」制度であり、無過失補償の対象となった事例についての原因分析報告書の内容を問題視する意見も聞きます。報告書を受け取った分娩機関が異議を唱えたため、再検討したところ、委員会での意見は二分したとの報告もあります。その場合には両論併記するのが専門家としての正しい態度ではないでしょうか。警察や検察など、医療者以外が、専門家の意見を過信する懸念もあるのでは。

山本 法律の世界においては、「過失」は、注意義務が前提になります。その「注意義務」には水準論があり、どんな水準を下回れば、過失があったかを考えます。一般的には、民事でも、また刑事でも、「標準的な医療機関の注意義務を、前提にしなければならない」と考えられています。

 しかし、どの世界でもそうかもしれませんが、超一流の方々が集まると、「なぜこんなことをしたのか」「これは絶対におかしい。過失があるはずだ」と厳しく判断し、高いところに「注意義務」を設定しがちです。それを全て警察に送っていたら、大変です。この辺りは、ぜひ医療界の方々に考えていただきたい。

長田 逆のパターンで、「他の病院で起きたのなら、仕方がないけれど、僕に限ってはこれは事故に当たる」という議論になることもあり得ます。「先生にとっては、そうかもしれませんが、一般的にはあり得ます」と言っても、納得されなかったりします。

 日本において「一番の医師」は,たった1人しかいないのです。医師が100人いたら、100番の医師もいるわけです。一番の医師は、「僕に任せれば、手術は成功した」と、言いたいのでしょう。けれども、例えば、野球の世界では、イチローの打率は4割にとどきません。6割失敗しても、拍手喝さいを受けます。なぜ医師だけ、100例の手術をして、大半は成功しているのに、高すぎる目標に届かなかったからといって非難されてしまうのか……。

 話を元に戻して,武田先生はどのようにお考えですか。

武田 医師法21条は、「体表に異状がある場合に届け出る」という解釈であり、私も今回の制度とは切り離して考えるべきだと思います。

 また最後に、患者安全の視点から一言、付け加えさえてください。「事故予防」は、1次予防、2次予防、3次予防という考え方をしなければいけません。病気と同じで、事故が起きる前に防止するのが、1次予防。「早期に発見し、早期に対応する」という2次予防の考え方で言えば、同様の事故、問題が続いた場合、「問題が起きていることに早く気づき、対応策を講じるべきだったのではないか」という議論になります。さらに3次予防では、「事故を拡大させない、同じ事故を起こさない」ことが必要。(2009年に発表された)「WHO医療安全関連国際標準分類のための概念フレームワーク」ではこのような表現になっています。

 さらに言えば、「事故から予防策を学ぶ」のは、「外れ値」、つまり失敗事例から学ぶという、いわゆる「SafetyI」の考え方。しかし、医療事故に至るには、さまざまな分岐点があり、失敗事例だけを分析して、原因を特定することは難しいケースが多い。医療は複雑系であり、「事故予防」の今のトレンドは、「外れ値」に限らず、成功事例まで幅広く目を向けて事故を回避する、「SafetyII」という考え方です。これを法律で進めるのは難しいでしょうが、幸い今回の医療事故調査制度は、「学習型」の仕組みなので、うまく「SafetyII」の考え方につながるように、誘導していただければと期待しています。

 今回の制度で、さまざまなデータが出てきます。他のデータ、例えばDPCデータなどと合わせながら、医療の質や各医療機関の機能を評価していくのが、これからの医療の在り方ではないでしょうか。質が高いところを評価していくインセンティブの仕組みを作れば、日本の医療機関全体の質向上につながっていくと思います。



https://www.m3.com/news/iryoishin/384612
シリーズ: 2015年の医療界:1000人アンケート
1位はあの大学の問題、2015年の10大ニュース◆Vol.4
大学の不祥事相次ぐ一方、ノーベル賞の明るい話題も

2015年12月27日 (日)配信 成相通子(m3.com編集部)

Q.4 2015年の10大ニュースは何だと思われますか(10個まで選択可)。

Q.4では、2015年の10大ニュースとして、m3.comに掲載した主要90本のニュースの中から、最大10までの選択肢で聞いた(回答者、勤務医505人、開業医500人)。

全体の順位                    それぞれの票数と順位
                          勤務医 開業医

1  群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術に      291   247
   関する一連の問題(通年)           (1位) (1位)

2  理化学研究所のSTAP問題(通年)         229   228
                          (2位) (2位)

3  ノーベル医学・生理学賞に大村智氏(10月)    130   156 
                          (3位) (3位)

4  東京女子医科大学病院の誤投与の問題(通年)    124   109
                          (4位) (4位)

5  聖マリアンナ医科大学の精神保健指定医      87   91
   不正取得問題(通年)               (5位) (5位)

6  東北薬科大学の医学部新設に向けた動き(通年)    83   85
                          (6位) (7位)

7  韓国でMERSが発生、流行、日本でも対応へ(6月) 72    81
                          (9位) (8位)

8  2016年度診療報酬改定に向けた議論(通年)     66   86
                          (11位) (6位)

9  神戸国際フロンティアメディカルセンターの    77   74
   生体肝移植問題(通年)              (7位) (10位)

10 2017年度の専門医制度改革に向けた議論(通年)   76   69
                          (8位) (11位)


 1位は、2014年末から報道が続いた「群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術に関する一連の問題」。計538票を集め、多くの医師が高い関心を持ち、関連報道を注視していたことが分かった。同問題では、同じ執刀医による肝臓の腹腔鏡手術を受けた患者8人が死亡したのを受け、大学側は事故調査委員会を設置。3月に「最終報告書」を公表したが、外部委員の意見を聞かずに「執刀医に過失があった」と記載していたため公表後に削除したほか、外部委員が委員会にほとんど出席していなかったなど、事故調査に問題があることも判明した。

 大学は、改めて事故調査委員会を設置し、病院組織としての問題点などを総合的に検証、再発防止案を策定する「群馬大学医学部附属病院改革委員会」も設置した。病院改革委員会はこれまでに、「医療従事者として適格性を疑われる医師が主要構成員として存在したことにより起こった」とする中間まとめを提出(一連のニュースは『シリーズ:群馬大学腹腔鏡死亡事故』を参照)。

 2位は理化学研究所のSTAP論文問題。2014年に引き続きマスコミで大きく取り上げられた。2015年は、3月に理研の「運営・改革モニタリング委員会」が再発防止案をまとめ、野依良治・理化学研究所理事長(当時)が記者会見し、ES細胞の混入した人物が特定できないまま、理研は一応の幕引きを図った。元ユニットリーダーの小保方晴子氏をめぐっては、Nature誌などへの論文投稿料、約60万円を理研が返還請求したほか、早稲田大学が小保方氏の論文に不正があったとして、博士学位を取り消した。兵庫県警は被疑者不詳で、ES細胞の窃盗容疑の告発状を受理している。

 3位は久々の明るい話題となった、大村智氏(北里大学特別栄誉教授)のノーベル生理学・医学賞受賞。大村氏が開発に寄与した抗寄生虫薬イベルメクチンは、発展途上国だけでなく日本でも疥癬などの治療に使われ、多くの医師にとっても身近な話題になったようだ。大村氏のひた向きな研究姿勢や、美術や科学技術振興への積極的な支援も注目された。

 4位は東京女子医科大学病院のプロポフォール投与事件。4月に外部調査委員会による事故調査報告書が公表された(『「死因は禁忌薬の使用」、女子医大第三者委9』を参照)。群馬大と東京女子医大は、6月から特定機能病院の承認を取り消されている。5位は、聖マリアンナ医科大学病院の精神保健指定医の不正取得問題。同大は、教授を諭旨退職、指導医らを懲戒休職などとする学内処分をしたほか、23人が医業停止処分を受けた。

 6位には、医学部新設が決まった東北薬科大学の話題。7位は韓国で発生し、日本でも対策に追われたMERS。8位は2016年度診療報酬改定に向けた議論、9位は術後の死亡率の高さが問題視された、神戸国際フロンティアメディカルセンターの生体肝移植。10位は2017年度の専門医制度改革に向けた議論。総合順位には入らなかったが、開業医の9位は、C型慢性肝炎の画期的新薬に保険収載が認められたニュース。効果が極めて高いものの、高額であることが話題となった(11位以降はこちら)。

11位以降
全体の順位
11  C型慢性肝炎の画期的新薬、「高効果、高薬価」(5月)
12  ノバルティスを業務停止へ 副作用報告違反で初 厚労省(2月)
13  医療事故調査制度がスタート(10月)
14  千葉がんセンターの腹腔鏡下手術の死亡事案問題(通年)
15  国家戦略特区(千葉県成田市)の医学部新設に向けた動き(通年)

16  亀田総合病院、『医療崩壊』小松氏を懲戒解雇(9月)
17  12月からストレスチェック制度開始、変わる産業医(11月)
18  高血圧学会、元教授を処分 バルサルタンで「データ操作」疑惑 (1月)
19  臨床研修医の採用8千人超え、過去最多更新(6月)
20  国立国際医療研究センター病院の造影剤誤投与問題(通年)

21  生命科学系の論文80本、不正疑いネットで指摘 (1月)
21  マイナンバー制度収賄容疑で厚労省室長補佐逮捕(10月)
21  化血研の処分検討 厚労省、血液製剤問題で(11月)
21  レセプト債4社が破綻、227億円償還不能か(11月)
21  医師の66.2%が受診中断の経験、保団連調査(1月)

26  特定機能病院の承認取消、厚労省の立入検査(通年)
26  41万件で1億7千万円 くすりの福太郎不適切請求(6月)
28  医師に謝礼1千万円超184人 製薬会社、講演料など(4月)
29  酒たばこ「18歳から」紛糾 成人年齢引き下げ、自民提言(9月)
30  ノバルティスに業務改善命令、副作用報告遅れ(11月)

31  医学部定員、2016年度は9262人に、128人増(10月)
32  京都大学病院、元准教授を収賄容疑で逮捕(6月)
33  武田に業務改善命令、誇大広告認定、厚労省(6月)
34  厚労省予算3%増の29兆9000億円、2015年度(1月)
35  骨太の方針発表、後発薬普及、医療費適正化(6月)

36  調剤薬局の薬歴未記載問題が発覚(3月)
36  総合診療専門医の「医師像」、明らかに(4月)
36  群馬県で、健康診断中の女性がX線台から落ちて死亡(5月)
36  ノバルティスを業務停止へ 副作用報告違反で初 厚労省(2月)
36  教授が医大学長をパワハラで提訴へ、浜松医大(6月)
36  41道府県で病床削減の試算、患者動態現状通りで(6月)
36  国家戦略特区(千葉県成田市)の医学部新設に向けた動き(通年)
36  看護師の特定行為に係る研修制度がスタート(10月)

44  札幌医大、教授を懲戒解雇、兼業で(5月)
44  2018年度から医療に新たな番号制度、産業競争力会議(5月)
46  発症後1日半で急死、インフルエンザ脳症(1月)
46  東大、推薦入試も難関 募集要項を正式公表(7月)
  1. 2015/12/29(火) 06:47:40|
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