Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月16日 

http://www.qlifepro.com/news/20151216/discuss-on-polypharmacy-and-improvement-department-of-medicine-cross-cutting-approach.html
【臨床薬理学会学術総会】ポリファーマシー改善で議論-診療科横断的アプローチを
2015年12月16日 AM11:00 QLifePro

ポリファーマシー(多剤併用)改善の考え方やその対策が11日、都内で開かれた日本臨床薬理学会学術総会で討議された。登壇した総合診療医らは、「薬の数が多いことだけではなく、その中身が問題になる」「今の医学教育は、薬の足し算は得意だが、引き算は教えていない」「効果を優先して安全性を顧みることが不足している」などと説明。その改善に向け、各診療科に対する横断的なアプローチができる薬剤師の役割に期待感を示した。

総合診療医が熱いメッセージを発した

医師の浜野淳氏(筑波大学病院医療連携患者相談センター総合診療グループ・緩和ケアセンター)は、高齢者に対して潜在的に不適切な処方を検出する「ストップクライテリア」を用いて、日本の在宅医療患者430人を対象にスクリーニングを行ったところ、在宅患者の約40%で不適切処方が認められたと報告。また、高齢者への使用が推奨される薬剤を示した「スタートクライテリア」でスクリーニングしたところ、在宅患者の約60%で本来投与すべき薬剤が投与されていなかったとした。

基本的には薬の数の多さが問題になるが、「数が少なくても、本来投与すべき薬剤が投与されていないために不適切処方になる場合もある。一方、数が多かったとしても適切な場合もある。数だけでなく、処方の内容や質が問題になる」と強調。ポリファーマシーを含めた不適切処方の是正に取り組むよう訴えた。

また、金井貴夫氏(筑波大学病院水戸地域医療教育センター水戸協同病院総合診療科)は、日本の65歳以上の入院患者700人のうち、その63%が5剤以上を服用していたという調査結果を紹介。「4.9%の患者が薬の有害事象を有しており、ポリファーマシーが有害事象の圧倒的なリスクファクターになっていた」と話した。

複数の論文の解析から、ポリファーマシーによって副作用、費用、救急外来受診率、入院期間、合併症率、転倒、骨折、死亡率が高まると指摘。「今の医学教育は足し算。薬をいかに使おうとするかという発想しかない。薬を足し算することは得意だが、引き算は全く教えられていない」と述べ、その改善に向けて「第一に医学教育に問題がある。薬剤師の不満は、疑義照会でフィードバックしてもそれに怒る医師がいること。卒前、卒後の医学教育でいかに教えていくかに尽きる」と語った。

原田和博氏(笠岡第一病院内科)は「ポリファーマシーの根本には縦割り医療がある、効果を優先して安全性を顧みることが不足している」とし、「そこに誰がメスを入れるのか。横の領域を担当する臨床薬理学の医師、総合診療医、薬剤師だ」と、その役割に期待を示した。

座長を務めた医師の徳田安春氏(総合診療医学教育研究所)は、薬剤師に向けて「病院薬剤師は研修医の回診に同行して処方をチェックしてほしい。薬局薬剤師は、電話での医師とのコミュニケーションはリスクが高いため、医師とのミーティングを週1回開催するなど、チームで取り組んでほしい。参考となる論文を医師に提供するなど働きかけを強めてほしい」と呼びかけた。



http://mainichi.jp/articles/20151217/k00/00m/040/054000c
降圧剤データ改ざん
ノバルティス社も否認 初公判

毎日新聞2015年12月16日 19時31分(最終更新 12月16日 20時40分)

 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)を巡る臨床試験データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員、白橋伸雄被告(64)は16日、東京地裁(辻川靖夫裁判長)であった初公判で「改ざんしていない。統計に関わったが、医師の研究を手伝っただけ」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。法人としてのノ社も「白橋氏による不正は確認できない」と否認した。

 逮捕から約1年半が経過した今月になって保釈された白橋被告は黒のスーツ姿で出廷した。起訴内容について「症例の水増しはしていない」と用意した書面を読み上げ、改ざんを明確に否定した。

 ノ社は出廷した執行役員が「臨床研究に対する信頼を大きく損ない、社会的責任を痛感している」と陳謝した。しかし「社内調査などで真相解明に努めたが、白橋氏による改ざんは確認できず、当社が刑事罰を負う根拠はない」と主張した。

 起訴状によると、白橋被告はノ社の担当部長としてバルサルタンの効果を検証した京都府立医大の臨床試験でデータ解析を担当。医師らが2011年と12年に発表した論文で、別の降圧剤を服用した患者グループの脳卒中の発症例を水増しするなど、バルサルタンの効果が高くなるようデータを改ざんし、虚偽に基づく論文を海外誌に投稿させたとされる。従業員の違法行為で会社の刑事責任を問う両罰規定に基づき、ノ社も起訴された。【山下俊輔】

事件の背景


 白橋被告が問われているのは、京都府立医大の臨床試験の論文を虚偽広告に使ったとする薬事法違反だが、これはバルサルタンを巡る疑惑の一部でしかない。

 捜査に立ちはだかったのは時効の壁だ。バルサルタンの「特別な効果」を探る臨床試験は京都府立医大のほか、東京慈恵会医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大で実施され、名大を除く4大学はデータの不正操作の可能性を指摘。白橋被告は、滋賀医大以外の4大学の試験に関与していた。

 しかし宣伝効果が特に大きかったとされる慈恵医大が07年に発表した論文は、14年2月に東京地検特捜部が強制捜査に入った時点で、3年の公訴時効が既に成立。京都府立医大が09年に発表して広告に多用された主論文も同様だった。

 ノ社は5大学に11億円もの奨学寄付金を提供し、大半の大学でこの情報は隠されていた。各大学の調査委員会は、論文のデータ改ざんに研究者が関与した可能性にも言及しており、未解明の疑惑は残る。

 一方、この事件をきっかけに、研究不正防止に向けた動きも進みつつある。

 新薬の承認を目指す臨床試験(治験)では、途中のデータチェックなどが法律で義務付けられている。一連の疑惑を受け、厚生労働省は広告への使用が想定される臨床試験なども規制対象とする新たな法案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針だ。

 研究者と企業との利害にまつわる「利益相反」問題への意識も高まった。製薬業界は奨学寄付金などの資金提供状況の公開を始めるなど透明化を進めているが、事件を受けて厚労省は新法による公開義務化を検討している。【河内敏康、八田浩輔】



http://mainichi.jp/articles/20151217/k00/00m/040/173000c
降圧剤データ改ざん
検察側と弁護側の冒頭陳述 初公判

毎日新聞2015年12月17日 00時59分(最終更新 12月17日 00時59分)

 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)を巡る臨床試験データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員、白橋伸雄被告(64)は16日、東京地裁(辻川靖夫裁判長)であった初公判で「改ざんしていない。統計に関わったが、医師の研究を手伝っただけ」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。法人としてのノ社も「白橋氏による不正は確認できない」と否認した。

 検察の冒頭陳述によると、ノ社は02年ごろからバルサルタンの販売戦略の一環で医師主導の臨床試験の結果を広告に活用する方針を打ち出し、有利な結果が見込める試験に多額の寄付金を提供していた。この年に実施された東京慈恵会医大に続き、京都府立医大でも04年に臨床試験が始まった。

 検察側の構図によると、統計解析を担当した白橋被告は、バルサルタンを服用した患者群と比較する別の降圧剤を服用した患者群との間で、脳卒中の発症例などでバルサルタンに有利な差が出ていないことに気付いた。この結果が表に出ればバルサルタンの広告・販売戦略に影響が出て、社内での自身の評価も低下すると懸念。慈恵医大と同様に有利な結果を出すため、別の降圧剤の発症例を水増ししようと考えた。

 一方、白橋被告の弁護側は冒頭陳述で、京都府立医大の医師が過去に研究論文を改ざんしたことや、症例を取りまとめていた別の医師が症例を加筆していた可能性なども指摘し、「第三者による症例の水増しがあった可能性がある」と述べた。

 また、白橋被告が改ざんしたとされる症例数を除外しても論文の結果に影響はないと主張した。

 ノ社の弁護側は「学術論文に薬事法を適用するのは表現の自由、学問の自由の観点から疑問がある」と主張。論文は、薬事法が規制対象とする医薬品の広告に当たらないとした。白橋被告側と同様、試験に関わった医師らを念頭に「第三者による改ざん」を指摘した。



http://www.m3.com/news/iryoishin/384068
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
DPC、「臨床研究中核病院」の評価で対立
年始に結論持ち越し、「屋上屋の評価」との指摘も

2015年12月16日 (水)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)の12月16日の会議で、2016年度診療報酬改定に向けて、DPC制度の在り方を議論したが、臨床研究中核病院を制度上評価するか否かで診療側と支払側で意見が対立、結論は年始に持ち越された(資料は、厚生労働省のホームページ)。

 DPC制度については、中医協のDPC評価分科会と基本問題小委員会における議論を経て、2016年度の改正内容はほぼ固まった(『DPC病院、「高度な内科系技術」も評価』を参照)。しかし、2015年4月から医療法上で位置付けられた、臨床研究中核病院の取り扱いについて意見が分かれていた。

 16日の議論でも、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏が、臨床研究中核病院をDPCで評価するのは「リーズナブル」と支持したのに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「今回の改定で入れるのは拙速」「一般財源で評価しているものについて、DPCで評価するのは屋上屋を重ねることになる」などと述べ、断固反対。

 中川氏の強い反対にもかかわらず、厚労省保険局医療課企画官の眞鍋馨氏は、「各側の意見があったということで、来年に向けて引き続き議論していきたい。1月に改めて案をまとめて提案する」と引き取り、結論は出さなかった。

 臨床研究はまだ“謹慎期間”

 臨床研究中核病院は、DPCの「機能評価係数II」における7つの係数のうち、「保険診療係数」の中で評価する。臨床研究中核病院の前身は、厚労省予算事業で行われていた、2011年度からの「早期・探索的臨床試験拠点」(5法人、6病院)、2012年度からの「臨床研究品質確保体制整備病院」(10法人、10病院)。後者には、腹腔鏡事故が問題になり、特定機能病院の承認も取り消された群馬大学医学部附属病院が含まれていた。2015年4月から制度化された臨床研究中核病院には、その教訓も踏まえ、高い基準が設定され、現在承認されているのは、国立がん研究センターの中央病院と東病院、東北大学病院、大阪大学医学部附属病院の計4病院。

 花井氏は、「臨床研究中核病院は、臨床研究の基準だが、評価療養がより優れた環境で提供できるので、あながち研究のみの基準ではない。しかも、予算事業の病院で起きた部分を反映させ、厳しい基準で設定した経緯がある。保険診療係数の変更なので、(影響は少なく)リーズナブルではないか」と、DPCで臨床研究中核病院を評価することを支持。

 これに対し、基本問題小委員会でも反対していた中川氏は、「臨床研究中核病院を医療法上で位置付けでたことは画期的。日本の臨床研究は、出直したばかりで、まだ“謹慎期間”であり、今回の改定で入れるのは拙速。そもそも一般財源で推進すべき事業であり、医療法上の制度を診療報酬上で位置付けることには慎重でなければならない」と繰り返し反対した。

 眞鍋企画官が1月以降、改めて検討するとしても、中川氏は納得せず、「(臨床研究中核病院のDPCでの評価を)やめないという意味か」と質したが、眞鍋企画官は「事務局(厚労省)で検討する」との回答にとどまった。

 そのほか、DPC制度では、改定1年後の2017年度から「病院情報の公表」も、「保険診療係数」の中で評価する。検討されているのは、(1)年齢階級別退院患者数、(2)診療科別症例数の多いものから3つ、(3)初発の5大癌のUICC病期分類別ならびに再発患者数、(4)成人市中肺炎の重症度別患者数等、(5)脳梗塞のICD10 別患者数、(6)診療科別主要手術の術前、術後日数、症例数の多いものから3つ、(7)その他(DICの請求率など)――の7項目だ。

 花井氏からは、インシデントやアクシデントの数など、何らかの医療安全に関する項目を入れるよう要望が挙がった。眞鍋企画官は、7項目はDPCデータから把握できるものであるとし、7項目に加え、追加するか否かはDPC評価分科会で検討するとした。



http://www.m3.com/news/general/383976
インスリン投与、実刑判決 看護師の無罪主張退ける
2015年12月16日 (水)配信 共同通信社

 東京都世田谷区の「玉川病院」に入院していた90代の女性に不必要なインスリン製剤を投与して低血糖状態にしたとして、傷害罪に問われた看護師高柳愛果(たかやなぎ・あいか)被告(26)=懲戒解雇=に東京地裁は15日、懲役2年6月(求刑懲役4年)の判決を言い渡した。弁護側は即日控訴した。

 被告は一貫して無罪を主張していたが、江見健一(えみ・けんいち)裁判長は、診療記録を基に「被告は女性の血糖値について虚偽や架空の測定結果を診療記録に書いた」と認定し、「犯人でない者の行動としては考えがたく、医療技術を悪用した卑劣な犯行だ」と指摘した。

 判決によると、14年4月3~9日の3回、入院患者に治療上不要なインスリン製剤を投与し、低血糖発作の状態にした。インスリンには血糖値を下げる働きがあり、大量に投与した場合、発作で死亡する恐れもある。



http://www.m3.com/news/iryoishin/383391
「たらい回し報道で喪失感」、コウノドリの荻田氏◆Vol.2
りんくう総合医療センター荻田和秀氏インタビュー
2015年12月16日 (水)配信 聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――産科医療では、「妊婦のたらい回し」「搬送拒否」といった言葉で報道された過去があります。当時はどのような影響がありましたか。
 もちろん影響はありました。来てくれる妊婦や患者がどう思うかというのもありますが、一番は同業者で心が折れるやつがすごく多くて、「ここまで一生懸命やっているのにこういう評価をされるのは耐えられない」と言っている人は多かった。自分の手技や方針が上手くいかなかったら、どうしようと思い怖くなってしまう。そこに報道の影響が加わるとダメージが大きくなる。僕ら医師もピュアというか子供が多いので、報道イコール世論と思ってしまう。患者とも本来なら同じ目線で話ができるのに、報道が出た後は目が合わなくなってしまいます。そういう意味では、報道が出るたびに大きな喪失感を感じていました。

――10月に出版した『嫁ハンをいたわってやりたいダンナのための妊娠出産読本』では、最後の一章を使って、大阪の産科医療の現状や周産期医療に対する考え方を説明しています。

りんくう総合医療センターの荻田和秀氏
 漫画でも一貫して言ってもらっているが、僕らは神様でも、スーパードクターでもなく普通の人間。人間同士で話をしていくためにディスクローズした方がいい。神様やスーパードクターを期待する医療システムは必ず破たんします。

 一方で、周産期医療の理想は「オムニポテント(全能性)」と「ユビキタス(偏在性)」だとも考えております。どんな症例でも受け入れるだけの資材や人員を確保する必要はどうしてもある。アクセスしやすさも重要。断らない施設が一つあって、その周りにアクセスしやすい施設があるのが一番イメージとして近いです。

 この地域でやろうとしているのは電子カルテの活用。泉州南部では「なすびんネット」という、患者さんの同意のもと診療情報を共有するネットワークシステムを運営しており、それは進めていく必要があります。「オムニポテント」と「ユビキタス」はどちらも神学の言葉で、僕らは神ではないと言っていますが、近付く努力はしないといけないとも思っています。

――大阪の周産期医療体制は上手くいっているのでしょうか。
 大阪はアナーキーな街なので、お上からの話ではみんな言うことを聞かないが、仲間内で「こんなんしましょうか」と相談して決めていくことができる。学閥関係なく周産期をやっている人間で、定期的に飲みに行ったりして、困った時に相談できる信頼関係があります。東京のような「スーパー総合周産期センター」システムはないですが、それぞれが使命感を持ってやっており、行政も一緒になって考えてくれる。大阪で仕事ができて本当に良かったと思っています。

――主人公の鴻鳥サクラは医師であり、ジャズピアニストでもあります。萩田先生がジャズピアニストでもあることからの設定ですが、今もライブを行っていますか。
 いろんな仕事を仰せつかっているので、エフォートの95%は本業で、ライブをやるのは4カ月に1回ぐらい。全く練習できていません。ドラマのように、音楽もやって仕事もやってというのはなかなか難しい。休みの日でも、「相談はカジュアルにしてね」と言っているので電話は来ます。飛び出していかなくていけないのは月に1回ぐらい。ドラマのようにライブ途中に飛び出していくことはないです。

――産科医は医師の中でもハードという印象があります。
 オンのときどれだけ忙しくても、しっかりオフが取れればおそらくチャラになるんですよ。良く寝て、家族と過ごす時間を確保できれば。産婦人科は半分以上女性医師ですから、できるだけオフの時はオフとして過ごしてもらえるような体制作りをしないといけない。男性医師も含めて早く帰るなど、フレキシブルな勤務ができるように気を使っています。当センターは、主治医制ではありますが、当直は2人体制で、ファーストコールはオンコールで、次は僕。よほどのことがない限り、主治医が呼ばれたりしないようにしています。

――ドラマをきっかけにマスメディアにたくさん関わられました。その経験から医師、医療従事者に訴えたいことはありますでしょうか。
 もっと発信してほしい。医師は職人ですが、自己満足でいいかと言えば、絶対違う。いろんな人に評価され、こちらからも思いを伝えることで、我々の仕事は展開していくと思う。僕もやっているが、子供の見守りグループ活動をしたり、地域で講演をしたりしていけばいい。確かに忙しいけど、僕らの世代でなんとかしないと。僕(1966年生まれ)ら、は非常に泣きを見てきた世代。研修医残酷物語と言われた時代に医師になり、2004年の新研修制度のあおりを食って、産科崩壊の時に第一線にいた。これからもこのまま何事もなく終われるはずはない。もう少し地域や妊婦さんの目線に下がっていく努力をし、発信していくことで産科を取り巻く環境を良くしていけたらと思います。



http://www.m3.com/news/general/383977
男性看護師を懲戒解雇 下関市民病院、窃盗有罪で
2015年12月16日 (水)配信 共同通信社

 山口県の下関市立市民病院は15日、窃盗罪で有罪判決を受けた男性看護師(37)を懲戒解雇処分にすると明らかにした。

 病院によると、看護師は8月13日、下関市内の自宅近くのアパートで、ベランダに干してあった女児の水着を盗んだ疑いで山口県警に逮捕された。その後、窃盗罪で起訴された。下関簡裁は今月14日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。

 病院は14日、懲戒審査委員会を開いて処分方針を決めた。今後、労働基準監督署の手続きなどを経て正式に処分する。



http://www.m3.com/news/iryoishin/383955
シリーズ: The Voice(医療)
小松氏“亀田事件”に見る医師のプロフェッショナリズム
「国家権力の意向」より「患者の利益」優先の議論を

2015年12月16日 (水)配信 岡崎幸治(日本海総合病院研修医)

 去る9月25日、医療界に大きな衝撃が走りました。泌尿器科の第一人者であり、2006年に上梓された『医療崩壊』の著者、小松秀樹氏に対し、役所の意向を受けた亀田総合病院の執行部から、副院長職からの懲戒解雇処分が下されたのです(『小松氏に懲戒解雇処分、「到底納得できず」』を参照)。

 私は、一年目研修医として山形県の日本海総合病院に勤務しております。医学部6年生だった昨年には、研究不正が続出した母校・東京大学の医学部に関する公開質問状を、総長などに提出致しました(『東大総長の回答、「残念」と医学生』を参照)。

 この拙稿では、その時の原動となった「医師のプロフェッショナリズム」に関連させて、この事件について考えてみます。

 私が4人の同志である同級生と共に公開質問状を提出したのは、東京大学総長、医学部長、附属病院長の三方でした。当時、母校では高血圧薬、白血病治療薬、アルツハイマー研究の分野における研究不正がメディアで取り沙汰されておりました。大学内で聞かれた見解は「研究不正は、資源がない中で管理プロトコルが定まっていなかった、構造の問題だ」とするものです。しかし、母校の対応は、社会に対峙する主体性を欠いた身内のかばい合いに見え、社会の不信を助長するものでした。昨年の2月3日、白血病治療薬研究の責任者に、「直接ご説明をいただきたい」とご連絡申し上げましたが、一向に返答がいただけません。そして心ならずも、同志と共に6月23日公開質問状をお送りするに至ったのです。結局、8月26日に学生への説明の場として「臨床研究について考える会」が開催されました(『東大が説明会、「不満残るも、ほぼ満足」』を参照)。

 私達の行動を契機に、医学部の教授会内では、説明責任の不履行を問題視する声が上がったと伺いました。しかし、対外的には当事者の先生は現在もまだ大学に残っておられます。研究不正が疑われれば、まず学内で自律的に調査し、社会に対する説明責任を果たすことが必要ですが、いずれもいまだに十分ではなく、母校の「研究不正の温床」汚名は払拭できていません。

 このように私達が母校の研究不正に対して公開質問状をお送りした動因は、医師の「プロフェッショナリズム」でした。つまり、医師は「プロフェッショナル」であり、それ故、医療の実践には「患者第一」の精神に基づき積極的に自律する姿勢が欠かせないということです。

 この考えは、社会の信頼を獲得するために古代ギリシャのヒポクラテスの時代から医師達に不可欠なものになっています。医療は専門性が高く、外部からの監視・介入が難しい。それ故、懸命な治療が功を奏さねば、「人を無駄に傷つけた犯罪者だ」と一概に責めを受けてきました。そこで、社会に立場を認証されるために取ったある行動、それが、‘profession’(=「神への宣誓」)であり、反射的に課せられる、「自己への戒律」です。

 患者の健康を第一に治療を行うことを神に誓い、その戒律を自らに課す。このことによって、医者は社会の信頼を得て、ひたすらに患者に尽くすことができたのです。

 この「医師のプロフェッショナリズム」の重要性は古今東西を通じて変わりません。それどころか、現代になって一層その重みを増しています。

 医師の負の歴史の中で最も悲惨なものは、ナチス・ドイツにより強制収容所内のユダヤ人に行われた人体実験でしょう。終戦後、ニュルンベルグで執り行われた「医療裁判」、“doctor’s trial”においては、ナチスの命令に従っただけの医師に死刑判決まで下されてしまいました。これこそ、医師が「プロフェッショナリズム」に反し、「患者の利益」より「国家権力の意向」を優先した帰結です。医師が専門知識を人道に反し用い得ることが分かり、医師への信頼が失墜する中、世界の医療界は猛省し、1948年にWMA(世界医師連盟)は「ジュネーブ宣言」を採択しました。ここでは「私の患者の健康を、私の第一の関心事項とする」と医師のプロフェッショナリズムが改めて宣誓され、これにより世界で患者の信頼が回復されました。

 医療は本質的に「侵襲的」で「不確実」であるが故、専門知識を持たない患者さんに医療を提供する上で「信頼」が決定的に重要になります。そのため、はるか昔のギリシャ時代に端を発する医師のプロフェッショナリズムが、今なお世界中で尊重されているのです。

 医療不信に陥っている現在の日本では、今こそ確たるプロフェッショナリズムによる社会の信頼の獲得が求められます。

 10月から施行され激烈な議論が交わされている医療事故調査制度。一般向けの主要な報道を見ると、ある問題点が共通して取り上げられます。それは、「医療事故かどうかの判断に加われないため、遺族の好きなように医療事故調査制度を運用できない」という点です。「群馬大学腹腔鏡死亡事件」が引き合いに出され、死亡の事故関連性を伝えられなかった遺族の悲痛の声が取り上げられます。

 このような報道に対し、医療者・法学者の専門家からは、「説明責任」を、「医療安全」を目的とする同制度に盛り込もうとすると、いずれの目的も達し得ないどころか、訴訟リスクを高め、医療を萎縮させてしまう危険性が指摘されています。しかし、こうした主張が世間の理解を得られにくいのは、1999年の「都立広尾病院事件」を契機とする、「医者はいざという時には『患者第一』の精神を蔑ろにして保身に走る」という国民感情が今なお根強いからでしょう。それを裏付けるように、医療事故の立件送致数(警察が刑事事件として捜査し、検察に送致した数)は、1998年にわずか9件であったものが、1999年を境に急増し、2000年代半ばにピークに達し、その後は減少したものの、2014年は137件といまだ10倍以上です(『医療事故、警察への届出、2割も増加』を参照)。

 今後、社会の信頼をさらに失ってしまえば、いわゆる「医療バッシング」の激化に伴って、一層患者さんに医療を行い難くなってしまうのではないでしょうか。

 翻って見てみますと、小松氏の言動こそまさに、「プロフェッショナリズム」の体現です。小松氏が主導し、千葉県から、いったん決まった補助金が明確な根拠なく減額され、今回の争論のきっかけとなった事業、「亀田総合病院地域医療学講座」。そのもともとの着想は、「安房10万人計画」にありました。

 千葉県の房総半島の南端に位置し、日本創世会議が「消滅可能性都市」に分類した安房地域は、高齢化率が2015年には39%、2025年には44.4%と、日本平均(同26.7%、30.5%)よりも急激に高齢化します。

 小松氏は医療を軸に地域コミュニティを維持する方策を練り、全国の自治体に新しい解決モデルを提示することを目標としていました。さらに、小松氏は、亀田総合病院から県内の他の病院への医師派遣についても、法的に問題があると指摘していました。 そのために硬直的な官僚組織である政府や県に対し、鋭い提言をしたところ、その言動が問題視され、副院長職からの懲戒解雇処分を受けるに至ったのです。状況からは、亀田グループは役所の意向を受けたのだと思わざるを得ません。

 結局、司法に解決が求められざるを得なくなっています。(『千葉県職員を告訴、亀田総合病院の元副院長・小松氏』を参照)。

 小松氏の騒動は単なる雇用者―被雇用者間の紛争では片付けられません。自身の職の安泰より、広範かつ長期的な患者の利益を優先した、行政の時流にそぐわぬ医療統治体制に対する挑戦です。私は、小松氏の行動には患者・社会の利益を求める「プロフェッショナリズム」の姿勢が貫徹しているように見受けます。

 大変残念なのは、その行動を挫いたのが、他でもない、「医師」であるはずの亀田グループの執行部だということです。「患者第一」に立脚する合理的な議論を歓迎し、理性の土俵で議論・反論する。そうしてこそ、真に患者の利益を尊重するプロフェッショナルです。

 人類未踏の高齢化率で社会保障費が切迫し、国の百年の計である教育振興費すら侵食されています。このような時勢でこそ、自由な議論が必要です。にもかかわらず、言論自体を封殺してしまうのは、本当に国民のためになる行動には思えません。

 私達は、「患者第一」の視点に立ち、学生の立場ですべきと考えたことを実践しました。権威と専門性の牙城に籠っているかのように見えた母校に対し、公開質問状を提出した私達5人は、「東大医学部の先生方に御指導いただいている自分達は、患者さんを救う真摯な医療を、果たして将来、国民の信用を得て実践できるのでしょうか」と執行部に伺い立てました。先生方から納得のいく回答を得らなかった翌日には、議論を多くの国民に知ってもらうために、文部科学省12階の記者会見室で記者会見を開きました。

 こうした私達の行動に対し、大学は処分を下すどころか、不十分ではあるものの向き合って対応してくださいました。そして私達は現在、それぞれの第一希望の病院で初期研修を積ませていただいております。

 患者さんの役に立つにはまだあまりに未熟ですが、医師のプロフェッショナリズムの精神に基づいて、今後とも精進して参りたいと思います。

岡崎 幸治(おかざき こうじ)氏 
2015年3月、東京大学医学部医学科卒業、4月から日本海総合病院(山形県酒田市)で研修。大学時代は、第65代東京大学応援部主将を務める。




http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0213705.html
無償の医学奨励金、残高5千万円超 稚内市「活用して」
12/16 16:00 北海道新聞

 【稚内】大学の医学部・歯学部在籍者を対象に、年間最大20万円を無償支給する稚内の私設の医学奨励金の利用が伸びていない。過去5年間の新規利用は4人で、2013年以降は新規申し込みがない状態だ。創設から40年近くたった現在も、5千万円以上の基金が残っている。管理している市は「資金は潤沢にあるので、多くの家庭に制度を知ってもらい、活用してほしい」と呼びかけている。(佐々木馨斗)

 奨励金は3種類あり、市内の開業医や、医学生の息子を亡くした市民が1973~83年にかけて創設し、市が事務手続きを行っている。親やきょうだいが市内在住で、自身も稚内に1年以上住んだことのある医学部生(医学科)と歯学部生(歯学科)が対象。卒業まで年5万~10万円が支給され、医学生の場合は3種合わせ最大20万円受けられる。

 これまで、133人に3種合わせて約3685万円を支給。だが近年は新規利用が落ち込み、当初、約8800万円に上った基金の残高は、まだ約5200万円ある。

 市によると、医学部進学のため都市部の進学校に進む生徒も多いといい、「制度そのものを知らない家庭も多いかもしれない。これから医師を目指す子供にも広く知ってもらい、稚内出身の医者が少しでも増えればうれしい」とPRする。

 市は本年度分の奨励金の申し込みを来年1月8日から始める。在学証明書と住民票があれば申請可能で、年齢や成績は問わない(留年した場合を除く)。問い合わせは市教育総務課(電)0162・23・6518へ。



http://jp.wsj.com/articles/SB12245266549339404205904581418931967065602
医師は診察時にコンピューター画面見過ぎ-患者の不満の一因に
担当医の注意がパソコンなどに集中する時間が長くなっている

THE WALL STREET JOURNAL
By SUMATHI REDDY
2015 年 12 月 16 日 12:55 JST

 診察を受ける際に診察室にいるのが、もはや患者であるあなたと担当医の2人だけでないことにあなたは気付いたかもしれない。

 患者の診療記録が紙の上ではなく電子的に処理されるケースが増えるなか、担当医の注意がパソコン、ノートパソコンやタブレット端末に集中する時間がどんどん長くなっている。研究論文によると、これにより、医師と患者の力関係に変化が生じる場合があるほか、コミュニケーションをめぐる新たな課題も生まれている。

 11月にJAMA(米医学学会誌)インターナル・メディシンに掲載された論文によると、診察時に医師がコンピューターの画面を多く見ると、患者は自分の受けた診察を低めに評価したことが分かった。また、ノースウェスタン大学の研究チームによれば、電子カルテを使う医師は画面を見ることに診察時間の約3分の1を費やしていた。この研究は、およそ100人の患者の診察を録画して視線のパターンを分析したもので、インターナショナル・ジャーナル・オブ・メディカル・インフォマティクス(医学情報学)に昨年掲載された。医学情報学は情報技術(IT)をヘルスケアの分野に適用する。

 一部の病院はワークショップを実施し、電子カルテにデータを入力しながら患者との関係も維持するテクニックを医師に教えている。画面を使って患者に健康状態を教えるのも1つの手だという。血圧が時間とともにどう変化しているかを示すグラフを表示するなどだ。

 電子カルテにより、患者に関する情報にはるかに容易にアクセスできる、と話す医師もいる。その一方で、画面を見ることで過度に注意がそがれると述べる医師もいる。ニューヨーク市にあるウエストエンド小児科の小児科医マイケル・ローゼンバウム氏は「私は患者を見ることで患者について学んでいるし、患者とアイコンタクトをすると、自分の発言の説得力が若干増すと思っている」と話す。

 医師は情報をコンピューターに入力しなければならないが、それによって生じる最大の問題がアイコンタクトの欠如だ、と専門家たちは指摘する。アイコンタクトは患者との間に信頼と絆を構築する。このため、これがないと患者を疎遠にしかねない。また、医師は患者が発するボディーランゲージや合図を読み取ることもできなくなる。

 ノースカロライナ州ローリーに住むメアリー・ミッチェルさん(68)は、最近新しい家庭医の診察を受けに行ったが、医師とアイコンタクトを交わしたのは1回だけだった。彼女は「彼はカルテをざっと見て、6つほどの検査を指定し、終わったら戻ってくるようにと告げた。彼は立ち去るときに私の手を握ったが、目が合ったのはその1回だけだった」と述べた。

 一部の病院では、10年以上にわたって電子カルテが使われているが、その使用は連邦政府の奨励補助金のおかげで近年急速に増えている。全米外来医療調査(NAMCS)によると、2013年時点で電子カルテを使用している医師の比率は78%と、06年の29%から増加した。電子的に患者の記録を残す狙いは、複数の医師間の連携を強化し、医療ミスを減らすことにある。

 医学情報学を専門とするリージェンストリーフ研究所の研究員で、JAMAインターナル・メディシン論文とともに掲載された論説文を執筆したリチャード・フランクル氏は数年前、診察室内でいかにコンピューターを扱うのが最善かについて一連の提言をしている。

 インディアナ大学医学部の教授でもあるフランクル氏は、患者を診察する前に電子カルテを精査するよう医師に告げている。また診察中に、コンピューターがどのように使われているか数分間説明するよう勧めている。同氏によれば、情報を入力することで、患者の心配事を真剣に受け止めていることを患者自身に知ってもらうことが重要であるほか、画面を使い、グラフやチャートをみせて患者に体の状況を伝えることも重要だという。

G3註:
Neda Ratanawongsa, MD, MPH, et al. Association Between Clinician Computer Use and Communication With Patients in Safety-Net Clinics ONLINE FIRST
JAMA Intern Med. Published online November 30, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.6186
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2473628
Richard M. Frankel, PhD. Computers in the Examination Room ONLINE FIRST
JAMA Intern Med. Published online November 30, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.6559
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2473626



http://www.asahi.com/articles/SDI201512165162.html?iref=com_apitop
医者は患者に嘘をつけるか?
大野智
2015年12月16日09時42分 朝日新聞 アピタル

前回のコラム(http://www.asahi.com/articles/SDI201512084564.html)で「セカンドオピニオン」についてとりあげました。

患者自らが理解・納得して医療を受けるために、さまざまな意見を聞くことは、決して悪いことではありません。そのため、医師を始めとした医療者も、患者に対して、最新の科学的根拠(エビデンス)を踏まえて、分かりやすく説明するよう心がけています。

また、患者の権利意識の高まりとともにインフォームド・コンセントという言葉も浸透し、検査や治療をおこなう前には、その目的、得られる利益や可能性のある危険性なども包み隠す説明される傾向にあります。

そこで、次のようなケースについて、一緒に考えてみたいと思います。(※私自身が実際に経験したことをデフォルメして紹介しています)

ある患者さんが、手術をおこない進行がんであることが判明しました。目に見える範囲では、がんは取りきれたものの、手術後の再発リスクを減らすために抗がん剤治療(化学療法)を受けることになりました。そしてその後、あらかじめ決められた抗癌剤治療を無事、終えることができました。

しかし、その後も再発のリスクが「ゼロ」になったわけではありません。そのことも患者さんに伝えられ、定期的に通院して検査をする必要があることが説明されました。

一連の診療の流れの中でその都度、説明がおこなわれ、患者さんも理解・納得して治療を受けてきました。

ところが、次のような発言が患者さんの口から漏れ出てきました。

「先生のおっしゃることは頭では理解はできています。納得もしています。でも、再発するかもしれないという不安は常にあって……。先生、嘘でもいいので『絶対に大丈夫。再発しません!』って言ってもらえませんか? 先生にそう言ってもらえたら、頑張れる気がするんです」


先の状況が不確実であると、人は誰しも「不安」を感じます。将来が心配になったり、時に恐怖を感じたり、あるいは何か漠然とよくないことが起こるのではないかという気持ちになったりしたことは、普段の生活の中で誰しも経験することだと思います。

これまで、このコラムでは「医療には絶対はない」「医療には不確実性が伴う」ということを繰り返し述べてきました。ですから、医療を受けるということは、常に「不安」と隣合わせなのかもしれません。

過去のコラムで、詳しすぎる説明は、患者さんを余計に不安に陥れているのではないか、そして、それが医療不信にもつながっているのではないかということをとりあげたことがあります。


■「安全」と「安心」の違い(http://www.asahi.com/articles/SDI201510246954.html)

■「医療本」は、なぜ売れるのか?(http://www.asahi.com/articles/SDI201510246950.html)


「セカンドオピニオン」の話に戻りますが、残念ながらセカンドオピニオンを受けても、医学・医療の不確実性を克服するような絶対的な治療法を提示してくれるということは基本的にありません。(※ときどき怪しげな治療法を「100%治ります」などと宣伝しているところもありますので注意が必要です)

医学・医療の不確実性からくる「不安」を払拭するためにセカンドオピニオンを活用しても、解決には至らないことがあります。患者側には、医学・医療の不確実性を許容し、納得する覚悟が求められます。

これは「インフォームド・コンセント」においても同様です。

写真・図版1216.jpg

しかし、人間の心は、そんなに強いものではありません。「医学・医療の不確実性を許容し、納得する覚悟を決めろ」と言われても、「はい、わかりました」と簡単にはいきません。

では、患者の拭い切れない不安に対して、医療者は、どう対応したらよいのでしょうか。また、患者は、医療者とどう向き合っていったらよいのでしょうか。

個人的な意見ですが、今、医療現場で一番重要なことは、医師と患者との信頼関係ではないかと思います。そのためには、お互いがお互いに敬意を払う相互尊重、お互いに相手を理解しようとする相互理解、お互いが自分なりの立場で責任を持つ相互責任が求められます。

どちらか一方だけが、努力するようなものではなく、医師と患者がお互いに責務を果たすことで、信頼関係が築かれていくのだと思います。

これまで私自身がコラムで述べていたことと矛盾するかもしれませんが、信頼関係が本当に築かれている患者さんであれば、私は冒頭で紹介した患者さんに『絶対に大丈夫。再発しません!』と、ある意味「嘘をつく」こともあるかもしれないことを告白しておきます。

<アピタル:これって効きますか?>
http://www.asahi.com/apital/healthguide/kiku/

アピタル・大野智(おおの・さとし)
大阪大学大学院准教授
大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座 准教授/早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 客員准教授。1971年浜松市生まれ。98年島根医科大学(現・島根大医学部)卒。主な研究テーマは腫瘍免疫学、がん免疫療法。補完代替医療や健康食品にも詳しく、厚労省『「統合医療」情報発信サイト』の作成に取り組む。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47633.html
看護必要度見直し案、「とんでもなく危険」- 医法協・加納会長
2015年12月16日 21時00分 キャリアブレイン

 四病院団体協議会(四病協)は16日に総合部会を開き、厚生労働省が示した一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の見直し案への対応などについて協議した。同省の試算によると、看護必要度の要件を満たす患者の割合が仮に25%以上になると、7対1病床の半数近くはこれを下回る。日本医療法人協会(医法協)の加納繁照会長は終了後の記者会見で、「とんでもない危険な話。絶対に反対だ」と述べた。【敦賀陽平】

 厚労省案は、手術直後の対応を評価する「M項目」の新設など、看護必要度の項目を一部見直した上で、現行では「A項目2点以上かつB項目3点以上」となっている評価対象を拡大する一方、「25%以上」を軸に患者割合(現在15%以上)の引き上げも検討するというものだ。

 加納会長によると、この日の部会では、M項目とA項目の内容に重複する部分があり、「内科の重症度の評価が全体的に低い。今後、四病協で何か提案できないか」との意見も出たという。

 ただ、「25%以上」の患者割合について加納会長は、「データをしっかり出して対抗する。実測値を確認してから発言していきたい」として明言を避けた。日本病院団体協議会(日病協)の診療報酬実務者会議が年内に、看護必要度に関する調査結果をまとめる見通しのため、日病協と連携しながら、厚労省側に説明を求めていく方針だ。

■昨年度の一般病院の経常利益率は1.5%
 加納会長はまた、独立行政法人福祉医療機構のデータを基に、昨年度の病院の経常利益率をまとめた資料を部会に提出。それによると、昨年度の一般病院の経常利益率は1.5%で、前年度に比べて0.8ポイント減少した。2007年度には0%まで下がっており、加納会長は「医療崩壊が話題になった年に近い。危険水域に入ってきた」との見方を示した。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47623.html
採血時の検体容器取り違えで注意喚起- 医療機能評価機構が事例公表
2015年12月16日 12時00分 キャリアブレイン

 日本医療機能評価機構は、採血時に他の患者の検体容器と取り違えた事例が、2012年1月から今年10月までの間に9件あったことを明らかにした。こうした事例が起きた医療機関では、採血を行う直前に患者のネームバンドと全ての採血管のラベルを照合するなどの再発防止策に取り組んでいるという。【新井哉】

 同機構によると、事例の1つでは、検査部から採血管が届いていなかったため、リーダーの看護師が患者Aの採血管2本(血算、生化)と患者Bの採血管3本(血算、生化、凝固)を準備して1つのトレイに入れた。

 患者Aを受け持つ看護師は、トレイの採血管5本のうち2本の氏名が患者Aであることを確認したが、残りの採血管は確認せずに採血を実施。5本全部に患者Aの血液を注入して検査部に提出。一方、患者Bの主治医は、患者Bの採血管がなかったため、採血管を準備し、採血後に検査部に提出。その際、患者Bの検体が提出済みとなっていることを指摘された。

 別の事例では、看護師が患者Cと患者Dの採血管をワゴン車に乗せ、患者Cのベッドサイドに行き、患者確認を実施した。ナースコールが鳴ったため、採血業務を一時中断。患者Cのところに戻り採血を再開した。

 その際、ワゴンに置いてあった患者Dの採血管を手に取り、照合を行わないまま採血を実施。前回の値との比較を行った検査科から病棟に疑義の問い合わせがあった。事例が発生した医療機関では、採血業務を中断後に再開する場合、最初の照合手順に戻るといった再発防止策を行っているという。



http://medica.sanyonews.jp/article/4945
玉野市が市民病院経営改善へ方針 16年春、徳島の法人と業務提携
(2015年12月15日 更新)山陽新聞

 玉野市は15日、市民病院の経営改善に向け、2016年4月から徳島市の医療法人平成博愛会(武久洋三理事長)と業務提携する方針を市議会厚生委員会で示した。当初は同会を指定管理者にして経営を任す考えだったが、当面は病院職員の公務員身分を維持して改革したいとする同会の意向を尊重した。

 市民病院は1992年度から毎年赤字が続き、14年度末で38億円の累積赤字を抱えている。市は職員を非公務員にして経営を民間に委ねる指定管理者制度の導入を検討。3月に大阪市の医療法人を管理者に決めたが5月に辞退され、平成博愛会を新たな候補としていた。

 市によると、同会側から「県外の医療法人が参入し、急に公務員の身分を失うのは職員にとって不安。指定管理者制度の枠組みにとらわれずに経営改善し、3~5年後に想定する病院建て替えに合わせて身分を切り替えてはどうか」との提案があったという。

 市は、病院経営全般をチェックする人材の派遣▽系列病院との医療機器共同購入によるコスト削減▽給与制度の改革に向けた助言―などの連携を想定しているが、具体的中身や調印時期は調整中。指定管理料は不要となり、赤字削減の実績に応じた報酬の支払いを検討している。

 市は並行して、指定管理者制度に移行しながらも公務員身分の勤務を認める構造改革特区の申請も目指す考え。

 厚生委では、西村薫三副市長が経緯を報告。委員からは「身分の維持は職員のモチベーション向上につながる」「直営での経営改善は相当な手腕が必要」などの意見が出た。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/massie/201512/545074.html
コラム: 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」
マスメディアは一体誰の味方なのか?

2015/12/17 池田 正行 日経メディカル

 2015年10月22日に放送されたクローズアップ現代「なぜ医療事故は繰り返されるのか~再発防止への模索~」は、「報告する死亡事故の判断基準が曖昧な上、その判断が医療機関に委ねられていることから実効性に疑問の声も上がっている」として、医療事故調査制度(事故調)を批判しました。しかし事故調はまだ発足したばかりで、評価に足るアウトカムもまだ出ていません。そんな時期にあえて事故調を批判する背景には、一体何があるのでしょうか?

 事故調があれば、北陵クリニック事件、杏林大割り箸事件、東京女子医大事件、福島県立大野病院事件は、全て「事件」とはなりませんでした。刑事訴追が事故原因を隠蔽した高濃度カリウム製剤誤投与事故やウログラフィン誤使用事故でも、事故調が正常に機能していれば、事故原因が解明されその後の事故防止に多大な貢献をしたに違いありません。事故原因の隠蔽と再発する事故によって成り立ってきた医療事故報道と事故調とを比べて、どちらが市民に貢献するかは自明なはずです。

 失敗は次の失敗リスクを低減するための貴重な糧です。失敗から学ぶのは世間の一般常識です(関連記事)。失敗の連続である医療事故報道は、学びの宝庫のはずです。だとすれば、クローズアップ現代が最も優先すべきは、発足からまだ3週間しか経たず、成功も失敗も見い出せない事故調を批判することよりも、北陵クリニック事件で世論形成に重大な影響を与えたような、自らの報道の失敗を振り返ることだったはずです。そうしなかったのは、自分たちの使命は何か?自分たちは一体誰の味方なのかという根本的な問いかけを忘れている何よりの証拠でしょう。

報道に見る利益相反の例
 マスメディアは商業的利益を追求する立派な企業である。これはメディアリテラシー教育における大切な基本概念の一つです(関連記事)。ところが、日本ではメディアリテラシー教育そのものが行われていないので、マスメディアが企業であると明確に認識している人はまだまだ少数派に属します。裏を返せば、自分たちが奉仕すべき相手を忘れたマスメディアの利益相反のエビデンス、事例検討のための教材が日本の報道には豊富に存在することになります。

 <与党>たばこ増税検討 軽減税率の財源 (毎日新聞 2015年10月24日)
 自民、公明両党は23日、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率を導入する財源として、たばこ税を増税する案の検討に入った。(中略)ただ、 2017年4月の消費増税と同時にたばこ増税に踏み切れば「喫煙者に二重の負担を強いる」(自民党幹部)との反発の声もあり、実現するかどうかは不透明だ。(後略)

 新聞各社は日本たばこ産業(JT)に対して伝統的に利益相反を抱えてきました。「今日も元気だタバコがうまい」という、今では想像を絶する衝撃的なキャッチコピーを掲げた広告が紙面を飾ったのは1957年です。たばこ事業そのものの露骨な新聞広告はなくなりましたが、「マナーキャンペーン」という名の、世界でも類を見ないタバコの「ステルスマーケティング」は、今なお新聞紙上を飾っています。

 上記の記事は、2013年にノバルティス社を徹底的に叩くキャンペーンを展開した新聞各社にとって、JTがどういう位置付けにあるかをよく表しています。たばこ増税が禁煙に対する最強の動機付けになる周知の事実を踏まえた上でこの記事を読むと、新聞各社の報道姿勢が、バルサルタンとたばこのどちらが市民の健康に貢献するかという科学的判断に基づくのではなく、ノバルティス社とJTのどちらが大切なスポンサーかという経済的判断に基づくことがよく分かります。

 本来マスメディアは市民の味方のはずでした。しかし、事故原因を究明するどころか逆に隠蔽して事故再生産構造を温存する医療事故報道や、製薬会社を叩く一方で禁煙の動機付けに反対する姿勢は、市民を守るという本来の使命を忘れて、利益相反にまみれた過ちを繰り返してきたマスメディアの姿を浮き彫りにしています。

危機感欠如?
 我々医療者の多くは、警察・検察が正義の味方であり、裁判が事故原因を究明し事故防止に役立つかのような誤謬(ごびゅう)に満ちた報道から、患者・家族、市民、そして我々自身を守るために、事故調運営に協力していこうと考えています。

 医療者だけではありません。長年にわたり続いていた医療事故報道の誤りに気づいた市民は、サイレントクレーマーとなって、空洞化したマスメディアからの距離を拡大しています。彼らが声を上げないのには立派な理由があります。市民に奉仕するという本来の使命を忘れたジャーナリストたちに大声で抗議するのは、時間の無駄としか思えないからです。それでもテレビの場合には、視聴率によってサイレントクレーマーの実力行使を感度良く検出することができます。

 一方、新聞の場合には、世界に類を見ない個別配達制度が、各紙に対するサイレントクレーマーのサボタージュ行動を隠蔽してしまいます。各戸に毎日届けられる新聞のどのページがどれだけ読まれているかを的確に把握できる指標は存在しません。しかし、新聞広告の媒体価値が発行部数の減少をはるかに凌ぐ速度で低下していることに敏感な広告主からの圧力で、広告単価も落ちています(関連記事)。そんな切羽詰まった状況にもかかわらず、警察・検察の宣伝ビラを「知識」と称し、能天気に軽減税率の利権漁りにうつつを抜かしている新聞社の姿は、テレビ局の記者からも嘲笑の的となっています。

 事故調さえ骨抜きにすれば従来型の医療事故報道が継続可能だと、いまだに彼らは思っているのかもしれません。しかしそれは滑稽な勘違いです。マスメディア崩壊の原因は、外因によるのではなく、内在するからです。脈の取り方一つ知らず、最も重要な一次資料である診療録も読めない人々が、業過罪立証は医療事故原因を究明するなどと嘘八百を並べて、裁判官を、市民を、だまし続ける。そんな報道がこれからも市民に受け入れられるとでも思っているのでしょうか?自分たちが闊歩している豪勢な社屋が、今やタイタニック号と化していることにも気づかずに。


  1. 2015/12/17(木) 05:55:34|
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