Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月7日 

http://www.qlifepro.com/ishin/2015/12/07/the-report-of-medical-care-and-long-term-care-4/
フランスの医療と介護(4)在宅入院とは
2015年12月7日 QLifePro医療ニュース 医心

今回の視察の主目的は「在宅入院」について学ぶことでした。
在宅入院連盟(L’hospitalisation a domicile)エリック・ジネジー事務局長
サンテサービス(民間非営利のHAD事業社最大手)ミシェル・カルモン代表
お二人からお話をお聞きしました。

■HAD(※1)の診療サービス
「在宅入院」という名称からは医師が連日訪問するイメージがあるが、実際には訪問看護による医療処置+身体介護が中心(看護師・助産師・看護助手などの派遣のみを行う)。日本的には訪問診療というよりは、訪問看護に近い。
HADの医師はコーディネートのみ行い診療はしない。HADを導入しても、患者の主治医がかかりつけ医であることは変わらず、往診が必要なケースはかかりつけ医に依頼する。

●「在宅入院」の患者
患者は自宅や施設にて入院的治療を受ける。対象者は新生児から高齢者まで。慢性疾患の管理ではなく、重症疾患への対応が中心。
患者に対するケアは入院時のように毎日、1日に複数回訪問も多いが、毎日訪問でないケースもあるとのこと。

●利用までの流れ
① 医師がHADの必要性を認める(医師の指示箋が必要)
② その後、HAD側で受け入れの可否を判断
③ 自宅の療養環境のチェック
④ 在宅入院を開始
かかりつけ医が主治医であることは変わらず、病院からの導入の場合でも、かかりつけ医の同意(指示)が必ず必要。
なお、HADは

・24時間×365日対応
・100%医療保険対応
・患者憲章(患者権利法)に基づいて対応
・すべて外部の医療機能評価機構(HAS)から認証を受けている。

フランスでも医療費は年々増、対GDP比でも増加してきていて、
高齢化および医療技術の進歩がその要因と考えられている。
歳入が減少し歳出が増加しているので、財政赤字は拡大している。
この点日本のほうが高齢化は圧倒的に進んでいるが、フランスも同様。

■法的に定義されたHADの役割
① あくまで在宅「入院」なので、サービスを提供する期間が限定されている。
② ただし提供期間の更新は可能。
③ 単発の往診には対応しない。計画的・頻回の訪問を担当する。
フランスでは他国と比較し、外来やプライマリケアが大変遅れており、これがHADを必要とする1つの要因とのこと。

■診療実績
2014年の実績では、HADの延べ入院日数4,439,494日/延べ入院件数156,284件であった。
平均入院日数は30日となる。
在宅入院患者数は106,000人(うち死亡退院患者が15,000人)。
一方、全入院患者は700万人であり、フランス国内における入院診療の0.6%を担当しているにすぎない。

■診療費
在宅入院の1日の医療費は平均200ユーロ/月6,000ユーロ。
高額な一部の医薬品を除き、ケアやケア・薬剤や衛生材料・搬送費・外部委託費(薬局や開業看護師など)などが包括された数字。診療報酬は訪問日のみに発生するのが原則だが、在宅化学療法や周産期ケア・リスク妊婦などの場合は、それぞれ包括的な評価がある。

※施設診療(EHPAD(高齢者施設)への診療)
施設に入居している高齢者が通院するのは現実的ではないということで、HADは施設への診療も提供している。HADの活動の4%はこれらの高齢者向け施設に提供されているが、地方では10%以上を占めているところもある。同一住所の複数の患者を診療した場合には、平均で13%減算。
※HAD導入によるかかりつけ医の診療報酬の変化
かかりつけ医が在宅主治医であることには変わらず、診療行為はそのまま診療費として支払われる。HADの母体によって支払いの形式は異なる(公立の場合はHADからの支払い、民間の場合はかかりつけ医が直接請求)。

■診療内容
もっとも多いのが複雑ガーゼ交換(陰圧下)全体の25%、ターミナルケア、人工栄養、在宅化学療法、人工呼吸管理、術後管理と続く。
全医療行為のうち3分の1が、がんに関する医療処置。

■運営形式
全国に311のHADが存在。
うち131が民間非営利型(在宅入院の42%を担当)。128が公立病院付属(在宅入院の41%を担当)。52が民間営利。サンテサービス(民間非営利)では1日1400人、パリ公立病院協会では800人を担当しているが、一般に小規模のところが多く、平均では民間非営利50件/公立病院付属17件/民間営利26件程度。
一般にHADは急性期から慢性期の全体に対応するが、中には小児特化、悪性腫瘍特化、リハビリ特化型のHADも存在する。
HADが成立するためには、25万人以上の人口規模が必要になる(HADの対象患者は人口5000人に1人程度)。それ以下であれば、SSIADやかかりつけ医、ネットワークなどで対応していく。

■運営体制
プロパーで雇用しなければならないのは、以下の3職種。それ以外は外部連携でもよい。
・コーディネートドクター(臨床をしない医師)
・コーディネート看護師(管理担当・処置はしない)
・看護助手(身体看護を担当)
看護師についてはプロパーで雇用しているところ、外部の開業看護師との連携をしているところもある。
大規模HADの中には「院内薬局」を持っているところもあると。

■患者のエントリーと転帰
69%が退院時に導入
31%が在宅(SSIAD・かかりつけ医・MAIA・CLICなど)から導入

57%が在宅復帰または在宅維持
33%が入院
10%が死亡

■エントリー後の流れ
① ケアプロジェクト(身体・心理・社会的側面のアセスメントから治療方針・治療計画を決める)
(コーディネートドクターが担当)
② 治療計画に従いかかりつけ医とコメディカル(看護師・薬局・臨床検査センター・病院など)が動く。
「在宅入院」というネーミングだが、オーガナイズド・プライマリケアに相当するものかもしれない。
③ ロジスティック(ベッド・酸素などの療養環境整備)


■サンテサービス代表 ミシェル・カルモン氏より ————————

フランス保健省のプライオリティは以下の順番。

① 外来手術
② 日帰り入院
③ 在宅入院。

国の政策、患者の希望(フランスでも70%が在宅看取りを希望している)の双方にかなうものであり、家族の近くにいるということが、患者治療上も非常に効果がある。一方、医療面でも入院治療と遜色のない医療が提供できるし、通院から解放することもできる。
在宅で望ましい医療を提供されることが、多くの患者さんの満足度に反映されている。
国も医療経済上も効果的な診療サービスであると認識しており(同様の医療サービスを入院で提供すると5倍のコストがかかる)、また病院の平均在院日数の短縮にも貢献している。これはコスト面だけでなく、医療資源の有効活用という面からも有益であり、実病床の削減も可能になる。この方向性を維持するためにも、今後もHADを推進していきたい。
OECD加盟国の中でも在宅入院という試みが拡がっており、現在、ロシアでもHADが展開されようとしている。

(サンテサービス社について)
フランス最大のHAD事業者であり、HAD以外にSSIAD(訪問看護+身体介護)も提供、在宅医療に関する義務的教育事業やHADの導入コンサルティング(クリニカルパスの提供など)も行っている。職員900人、年商1億ユーロ。首都圏を3ブロック(東部・西部・南部)に分けてサービスを提供しており、300以上のネットワークおよび開業コメディカル(看護師・心理療法士・MSW・リハ職)と連携している。

(HAD事業の開設について)
HADの開設にはARS(※2)の認可が必要であり、病院開設と同様の厳しさがある。
ただし、HADは国策的に5カ年計画で2018年までに倍増させることになっている。そのためにはHADに対する(一般市民のみならず)病院やかかりつけ医、開業看護師などに対する理解を深めることが重要と。


HADはフランスの在宅医療のしくみであると理解していたが、日本でいえば、訪問診療というよりも訪問看護に近い形であることが分かりました。在宅医療が必要になった場合、かかりつけ医がHAD導入を指示し、自らは主治医として関わり続けます。しかし、在宅ケアの大部分(ほとんどすべて)が看護師および看護助手によって行われ、医師の介入は非常に小さい(往診に行くのは死亡診断の時くらい?)ようです。
HADが行うのは在宅療養のコーディネート+訪問看護+身体介護であり、コーディネートを専業の医師が行うことで治療計画を含めたケアプランが提供できるところが日本の居宅介護支援とは異なるところ。
フランスは看取り率が非常に低く、一方で在宅看取りを望む患者が多いという点は日本と同じ。看護師を中心としたコメディカルが力を発揮しているフランスだが、この前にお話をお伺いした開業看護師のジネストさんは、在宅での看取りの難しさを繰り返していました。在宅医療にもう少し医師が積極的に関われる仕組みがあれば、フランスでは飛躍的に看取りを増やせるのでは、という印象も持ちました。
逆に、日本では訪問看護が量的・質的にもっと力を発揮できる状況が作れれば、同様のことを期待できると感じました。


※1)在宅入院(Hospitalisation a Domicile:HAD)、またはその事業を行う事業体の全国的な組織「在宅入院連盟」のこと。2008年現在、フランス全土に177の事業所がある(1事業所あたり60床程度か)。患者さんの自宅のベッドを1床としてカウントする。対象疾患は精神科を除く周産期からターミナルケアまでの急性期疾患。サンテサービスは民間非営利の事業体で、在宅入院連盟の有力な加盟団体のひとつ。主にパリとその周辺で活動している。なお連盟には公営、民間非営利、民間営利などさまざまな運営形態の事業所が加盟しているが、その事業は運営形態を問わず公的保険の対象であり、診療報酬も設定されている。

※2) ARS:地域圏保険庁(Agence Régional de Santé : ARS)
保険支払いを含めた地域の予算配分、サービス配置などについて予算を認証する権限を持つ(佐々木注:日本における地域医療計画をさらに強化した概念か)。日本のように透析ベッドやMRIなど、民間の判断で自由に投資できるというわけではなく、保険を使うものについては、ARSが許可したものでなければ導入できない(フランスではPETは全国に数台しかない)。公的権限が非常に強い。


(編集部より)
佐々木医師がオーガナイザーを務め、各方面で大きな話題となっている「在宅医療カレッジ」の特別企画としてシンポジウムが開催されます。「地域包括ケア時代に求められる医療と介護の役割」 と題し、厚労省の専門官も含めたパネリスト10人のディスカッションが行なわれるとのこと。詳しくはこちらをご覧ください。



http://www.huffingtonpost.jp/hideki-komatsu/kameda-hospital_b_8735714.html
亀田総合病院事件を刑事事件として扱うべき理由
小松秀樹  亀田総合病院副院長

2015年12月07日 12時54分 JST  ハフィントンポスト

懲戒解雇

私、小松秀樹は、2015年9月25日、懲戒委員会での形ばかりの弁明の後、即日、亀田総合病院を経営する医療法人鉄蕉会から懲戒解雇を通告された。解雇予告通知なしに解雇することは、労働基準法20条違反である。弁明の機会付与通知書には「手段の如何を問わず、厚生労働省及び千葉県に対する一切の非難行為を厳に慎むことを命じます」と日本国憲法の下ではありえない文言が記載されていた。

安房10万人計画

懲戒解雇の3年6か月前、2012年3月、私は、安房地域の人口減少への対応策として、医療・介護によるまちづくりビジョン「安房10万人計画」を提唱した。安房地域に首都圏から高齢者を迎えて、楽しく穏やかな余生を過ごしてもらうことと、それによる雇用創出が目的だった。以後、インフラ整備のための活動を行ってきた。

安房地域医療センターでの無料・低額診療開始、民間公益活動へのふるさと納税利用の制度化、社会人に安定した雇用を提供するための看護学校創設、看護学生寮への高齢者向け住宅併設、高齢者の人生の重要な決定を支えるワンストップ相談サービスの事業化などである。こども園を中心とした複合組織による子育て支援(必要時夜間保育、病児保育、学童保育、母子家庭・父子家庭支援)の準備も進めつつあった。安房10万人計画のハブとして特定非営利活動法人ソシノフを設立した。

亀田総合病院地域医療学講座

2013年9月、亀田信介院長から、亀田総合病院地域医療学講座の話が持ち込まれた。「2013年度から3年間で、地域医療再生臨時特例交付金から5400万円の予算が出ることになった。何をするのか前提を捨てて考えてほしい」と依頼された。私は地域医療学講座の活動を安房10万人計画に組み込むことにした。地域で魅力的な取り組みをしていることを全国に発信することで、医療人材確保策としたいと考えた。ソシノフの活動の一部を地域医療学講座が担当する形になった。

21世紀に入り、ケアについての社会の要請が、医学的な治癒をめざす医学モデルから、患者の生活の質を高める生活モデルに変化した。この変化に厚労省は「地域包括ケア」という言葉で対応しようとしている。医学モデルでは、病気の定義、診断、治療、治癒の概念を医師が提示する。生活モデルではニーズは明示されず、ニーズについての情報を様々なサービス提供者や周囲の人々が把握しなければならない。行政の上意下達のヒエラルキー構造だと、現場は上ばかり見ることになり、それぞれの現場でニーズを把握してサービスを向上させることが困難になる。

一方で、現場の個々のサービス提供者が認識と判断の主体になると、衝突や混乱が生じる。ソシノフでは、混乱を避けつつ、サービス水準を向上させるために、地域包括ケアについての非権力的な行動プログラム、すなわち、規格を作成しようと考えていた。規格に認証、契約、協定などが加わることで、予見可能な形でサービスが提示され、実行が担保される。規格が社会で認知・承認されるには、オープンな議論で改定されなければならない。

熟慮の末、地域医療学講座の活動内容を2つに絞った。1つは、地域包括ケアについての映像シリーズ作成とそのシナリオを書籍化することである。地域包括ケアは、完成型として提示されるべきものではない。継続的に議論し、発展させていくべきものである。すべての人々にとって切実なことなので、誰もが自分で地域包括ケアについて考えることができるよう、思考の枠組みと材料を提示することをめざした。

2つ目は、前に述べた地域包括ケアの規格作成である。2013年度後半から、映像シリーズ作成の準備を始めた。枠組みについてのコンセプトの明確化、プログラム作成、講師の選定を行った。2014年度はシナリオ作成と撮影を行った。2015年度は、映像と書籍の編集出版、規格作成を予定していた。

千葉県の虚偽通告

ところが、2015年5月1日、新任の千葉県健康福祉部医療整備課の高岡志帆課長と新田徹医師・看護師確保推進室長から、地域医療学講座の2014年度の補助金を1800万円から1500万円に削減する、2015年度の予算は打ち切りにすると告げられた。2015年3月30日付けの1800万円の交付決定通知(千葉県医指令2082号)が送付されてきていたにもかかわらずである。理由として、10分の5補助だったこと、予算がなくなったことをあげた。

地域医療再生基金管理運用要領には、「都道府県は、事業者から基金事業に係る助成金の申請を受けた場合には、審査を行い、当該申請の内容を適正と認める場合は、当該事業者に対し助成金の交付を行うものとする」「都道府県は、基金事業を中止し、又は終了する場合には、厚生労働大臣の承認を受けなければならない」と書かれている。不適切だと認められる場合を除いて、県の役人の恣意で、助成金の交付を拒むことはできないし、事業を中止することもできない。

通告は、虚偽によって予算削減を受け入れさせ、予算要求を阻止しようとしたものである。私は厳しく追及した。同席していた亀田隆明、省吾両氏も怒りを露わにして同調した。亀田隆明鉄蕉会理事長は、亀田総合病院から自治体病院に何人か支援医師を派遣していると発言し、引き揚げを示唆した。私は、高岡課長に対し、基金の使い道と残金を明らかにするよう求めた。

亀田隆明氏の豹変と千葉県の虚偽の破綻

この2週間後、亀田隆明理事長が態度を変え、私を千葉県との交渉から外して、理事長と高岡課長だけで交渉すると主張し始めた。私はそれまで事業内容について、県と何度も長時間にわたる協議を行い、合意を形成してきた。私を外せば交渉は成立しない。地域医療学講座は、外部の学者が関与する公費が投入された公益目的の学術活動である。プログラムディレクターである小松秀樹には、個別医療法人を超えた責任がすでに生じていた。

私は、亀田総合病院に勤務する弁護士と戦術を相談した。言論で叩いた上で、千葉県の提案に乗らず、当方の正当性を主張し続けて1か月ほど頑張れば、向こうから折れてくるというのが結論だった。そこで、経緯を「亀田総合病院地域医療学講座の苦難と千葉県の医療行政」(1 2 3)と題する文章にまとめて、メールマガジンMRICに投稿した。

5月27日、予想通り千葉県が折れてきた。高岡課長は、補助率が10分の10だったこと、交付金は残っており、出納局が管理していることを明らかにした。「2014年度は1800万円確保することができた」と語ったが、これは正確ではない。3月30日にすでに確保されていたのである。

一方で、2015年度の予算が認められるかどうか曖昧にした。これでは事業を実施できない。国で決まった基金の扱いとしては普通ではない。そこで、県を押し込むために「千葉県行政における虚偽の役割」をMRICに投稿。実名を含めて、出来事をできるだけ正確に再現した(5)。

言論抑圧とまちづくり組織の破壊

6月22日、経営者の亀田信介、省吾両氏から内密で話があると呼ばれた。信介氏から、「厚労省関係から連絡があった。千葉県ではなく厚労省の関係者である。厚労省全体が前回のMRICの記事に対して怒っており、感情的になっていると言われた。記事を書くのを止めさせるように言われた。亀田総合病院にガバナンスがないと言われた。行政の批判を今後も書かせるようなことがあると、亀田の責任とみなす。そうなれば補助金が配分されなくなるとほのめかされた」と告げられた。

「亀田は私立病院であって、公立病院のように守られていない。4000人の従業員の雇用を守らないといけない。以後、千葉県の批判を止めてもらえないだろうか」と要請された。私は、「言論を抑えるというのはひどく危険なことである」「権限を持っていて、それを不適切に行使すれば非難されるのは当たり前だ」と主張し、いずれ社会に発信すると伝えた。議論内容を確定させるために信介氏に会話記録をメールで送ったが、修正を求められることはなかった。信介氏に対しては、大きな問題に発展するかもしれないので、連絡があった厚労省職員とは距離を置いて、接触しないよう忠告した。

この後、亀田隆明理事長は地域医療学講座とソシノフの活動を妨害し始めた。7月13日、ソシノフ代表理事の小松俊平に対し、「地域医療学講座がもめて、そこでソシノフの名前が出たことで、国も県もソシノフに拒否反応を示している。補助金が変に使われたのではないかと疑っている。1円もソシノフにいっていないとしても、このようになってしまった以上、鉄蕉会としても、亀田隆明個人としても、今後ソシノフのメンバーに加わることはできない」として、亀田隆明、省吾両氏がソシノフから脱退すると表明した。

さらに「地域医療学講座は鉄蕉会が県から委託された事業で、金は鉄蕉会が出している。地域医療学講座をソシノフと関係させるのはやめてほしい」と述べた。設立時の運営会員の内、2名がソシノフから離れ、医療法人鉄蕉会と学校法人鉄蕉館の協力が得られなくなった。亀田グループは、安房地域のまちづくりより、行政の機嫌をとることを優先した。行政の圧力によってまちづくり活動の枠組みが壊された。

このやり取りの内容を確定させるために、会話記録を添付したメールを亀田隆明理事長に送付した。隆明理事長は、修正を求めることなく、「信頼関係が重要な県等との協議について、外部者が閲覧できるメルマガ等に、その協議の内容を実名入りで投稿することは信義にもとる行為であり、当法人の幹部は行うべきではない。そのような行為がなされている状態を放置していると、ガバナンスの効いていない法人として評価が低くなり、補助金支給等の裁量の幅のある案件で不利な取扱いを受ける恐れがある」と返事してきた。

地域医療学講座とソシノフを関係させるなということは、DVDと書籍の出版を差し止めよということに他ならない。すでに、映像シリーズのDVD、書籍はソシノフが販売することで合意されていた。そもそも、医療法人鉄蕉会は出版を業務としていない。亀田隆明理事長は、映像についての契約書に捺印していた。この契約書は千葉県にも送付し、了承されていた。隆明理事長は自分が契約書に捺印したことを失念していたらしい。契約書の存在が伝わり、側近から契約書のコピーの提出を求められた。提出後、出版の妨害がなくなった。

2015年8月末、書籍『地域包括ケアの課題と未来-看取り方と看取られ方』(ロハスメディア)をやっと出版することができた。すべての基礎自治体、保健所などに配布する予定である。内容をソシノフのサイトに順次公開していく(5)。いまどき、行政による出版妨害はめったにあることではない。是非、内容をご覧いただきたい。

井上肇結核感染症課課長

7月15日、経営者に近い人物から、第三者を介して、言論抑圧をしかけたのが厚労省の井上肇結核感染症課課長であると伝えられた。ぼんやりしていた像が鮮明になった。彼は以前より、行政が大きな権限を持つことを是とし、批判されることを極端に嫌っていた。東日本大震災当時、千葉県に在職していたが、亀田隆明理事長を通じて、私に行政批判を控えるよう言ってきたことがある。行政が民間の救援活動の障害になった事例をインタビューで紹介したことが、井上肇の逆鱗に触れたのである。

私は、行政による言論抑圧として記録を残すために、井上肇の名前こそ出さなかったが、「大規模災害時の医療・介護」で言及した(6)。その後の議論で、彼は、東日本大震災時の行政の対応に問題があったことを認め、首相が保健・医療分野を指揮する「ツァー(皇帝)」を政府内に任命し、「ツァー」に強力な権限を与えて対策を進めていくべきだったと主張した。

強力な独占的権限は、機能しないとすべてが動かなくなり、暴走すると甚大な被害が生じる。東日本大震災では、首相官邸がすべてを仕切ろうとしたが、情報が集まりすぎて機能停止状態に陥った。私は、行政に頼るだけでなく、多くの目で観察して被害情報を共有し、対応可能な人や組織が自主的に動く民間ネットワークの活動を活かすべきだと反論した。

井上肇は、千葉県を離れた後しばらくして、厚労省でインフルエンザを担当することになった。私は、厚労省のインフルエンザ対策についても批判してきた(「新型インフルエンザ対策特別措置法:病気と国家による害悪に備える」(7))。

彼がインフルエンザの担当者になる前後、私との間で、メールによる長い議論があった。私は、2009年の新型インフルエンザ騒動当時、厚労省が、医療現場の実情を無視したアリバイ作りのための大量の事務連絡で医療現場を混乱させたこと、WHOが検疫を推奨しないと声明を出したにもかかわらず、科学的根拠を提示することなく、検疫や停留措置で人権を侵害したことなどを指摘した。

彼は、日本が世界のインフルエンザ対策を担うインナーサークルの一員であることは誇るべきことであり、インナーサークルの立場からは、科学的に意味がなくても、検疫を実施しなければならない、インナーサークルに所属して一生懸命やっているのだから、説明がなくても社会はこれを受け入れるべきであり、インナーサークルの状況を含めて全体像を知ることなく厚労省を批判するべきでないと主張した。

これでは、行政に対する批判を一切するなと言うに等しい。2009年のH1N1インフルエンザは病原性が弱く、日本の被害は少なかった。彼は、行政の努力の結果、被害を少なくできたと主張し、日本はワクチンを製造できる数少ない国の一つだと誇らしげに述べた。しかし、日本のワクチンに新型インフルエンザの発症を抑える効果がなかったことを示す明白な証拠があったこと(Human Vaccines 7:1,1-2,2011.) を知らなかった。スーパーコンピューターを使ったシミュレーションで、感染者の大半が検疫をすり抜けたと推定されたこと(Eurosurveillance:15(1):Article 4, 2010.)を知らなかった。

彼は、議論で追い込まれると、私に対する敵意を隠そうとしなくなった。私は以下のようにたしなめた。「批判されることにただ反発するだけでは、能力の欠如を示しているとしか受け取られません。」「行政が厳しい批判にさらされるのは、立憲主義をとる近代憲法の前提です。」「誠実な説明がなければ、厚労省が追い込まれるか、強権で抑え込むかになります。現状は後者ですが、いつまでも続けられるとは思いません。」

懲戒処分原因事実

行政による言論抑圧は看過できることではない。私は、知人の厚労省高官に作成途中の、調査と厳正対処を求める文書の原案を送って、手渡す窓口と日時を相談した。この文書が、千葉県に送られ、高岡医療整備課長から、9月2日11時18分、亀田隆明理事長に送られた。メールには「補足のご説明でお電話いたします」と書かれていた。この日、亀田総合病院経営管理本部であわただしい動きがあったこと、亀田隆明理事長が9月中に小松秀樹を懲戒解雇すると息巻いていたことを知人から伝えられた。

処分通知書の懲戒の原因事実は、「貴殿は、職務上及び管理上の指示命令に反し、亀田総合病院副院長の名において、厚生労働省に、2015年9月3日付け厚生労働大臣宛書面を提出し、同省職員の実名をあげ、調査と厳正対処を求める旨の申し入れを行った(懲戒処分原因事実3)」と締めくくられていた。公務員の不正について調査と対処を要請したことが、懲戒処分の理由として堂々と記載されていた。

刑事事件として扱うべき理由

亀田総合病院事件の本質は国家による言論の自由の抑圧である。千葉県の課長を含む複数の公務員が関与していたことから、井上肇の個人的不祥事とすることはできない。医療法人鉄蕉会は、行政の圧力の下に、懲戒処分を実施したものであり、懲戒をめぐる紛争は単なる私人間の紛争ではない。人権侵害をもたらしたプロセスは、行政と医療法人鉄蕉会の支配-被支配関係の中で生じており、小松秀樹と代理人は詳細を調査する方法を持たない。

本事件は、公務員による憲法と法治主義への組織的挑戦であり、国の根幹にかかわる。放置すると国を危うくする。事件では、刑事法に抵触する行動がいくつか認められた。調査権限を有する機関が本格的に調査し、刑事法をもって厳正に対処すべき事案である。

私は代理人と共に、検察と何度か協議を重ねた上で、告訴状、告発状を検察に対し提出した。検察はこれを受け付けた。検察による捜査が近いうちに開始されるはずである。厳正な捜査と判断を期待するものである。

1 亀田総合病院地域医療学講座の苦難と千葉県の医療行政(1)  http://medg.jp/mt/?p=3953
2 亀田総合病院地域医療学講座の苦難と千葉県の医療行政(2)  http://medg.jp/mt/?p=3955
3 亀田総合病院地域医療学講座の苦難と千葉県の医療行政(3)  http://medg.jp/mt/?p=3957
4 千葉県行政における虚偽の役割 http://medg.jp/mt/?p=5898
5 ソノシフ http://www.socinnov.org/
6 大規模災害時の医療・介護 http://medg.jp/mt/?p=1436
7 新型インフルエンザ対策特別措置法:病気と国家による害悪に備える http://medg.jp/mt/?p=1804

(2015年11月24日「MRIC by 医療ガバナンス学会」より転載)



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doto/1-0210165.html
産婦人科医ゼロ、最寄りの北見へ90分 救急車でお産「今後も起こり得る」
12/07 12:00、12/07 12:17 更新 北海道新聞

 【紋別】紋別市内の20代の妊婦が紋別地区消防組合消防署の救急車内で男児を出産した。遠軽厚生病院に、まだ産婦人科常勤医がいた今年4月24日の出来事だった。隊員3人の適切な処置もあって、母子はその後、健康に過ごしているという。同病院が分娩(ぶんべん)を取りやめた10月以降、こうしたケースは起きていないが、搬送先が遠距離になっていることから「今後も起こり得る」(同消防署)と、気を引き締めている。

 男児を取り上げたのは大森政谷さん(39)、大原徳公(やすゆき)さん(31)、山田真也さん(26)の3人。

 同日夜、妊婦の家族からの要請で救急車が到着したとき、すでに陣痛が切迫した状態だったという。健診している医療機関が同病院だったため、直ちに遠軽へ向かったが「出産のサイン」とされる2~3分間隔の陣痛が始まり、湧別町内で救急車を止め、お産に臨んだ。

 山田さんが運転席で待機。大森さんが携帯電話で同病院の医師からの指示を聞き取り、救急救命士の資格を持つ大原さんへ正確に伝えた。「ゆっくりと時間をかけ、へその緒が首に巻き付いていないか何度も確認しながら分娩介助を試みた」(大原さん)という。

 その後もクリップでへその緒を止めた上で、低体温を防ぐため乾いたタオルで何度も何度も新生児の体を拭きながら、同病院に大切な「二つの命」を搬送し任務を終えた。

 大森さんは、無事に誕生した証しといえる「おぎゃー」という声を聞いた瞬間のことを、「安堵(あんど)感も喜びもなかった。1秒でも早く病院へ送り届けなきゃと必死だった」と振り返った。

 同消防署によると、救急車の搬送時間は紋別から遠軽までが50分ほどだったのに対し、10月以降は最も近い北見までで90分、さらに旭川だと120分になる。

 「最善を尽くすのが自分たちの仕事」(同消防署)としながらも、出産時につきまとう、さまざまな「想定外のケース」に言及。「初期陣痛の兆候があった時点で、かかりつけの医療機関と速やかな連絡を」を呼びかけている。(葛西信雄)



http://www.qlifepro.com/news/20151207/establish-your-comprehensive-evaluation-special-provisions-for-basic-dispensing-fees-increase.html
【厚労省】かかりつけ 包括評価を新設-調剤基本料の特例は拡大
2015年12月07日 AM10:30 Q Life Pro

厚生労働省は4日、次期調剤報酬改定に向けた論点を、中央社会保険医療協議会総会に示した。かかりつけ薬剤師の要件を明確化した上で、かかりつけ薬剤師が行う業務を包括的に評価する仕組みを新たに設けることや、電子版お薬手帳を評価する方向性を打ち出した。一方、いわゆる門前薬局の評価を適正化する観点から、調剤基本料の点数が低くなる特例対象を次期改定以降、段階的に拡大すると共に、特例対象から除外するための24時間開局の要件を廃止することや、未妥結減算制度が導入される前から高い妥結率を維持していた小規模薬局を対象から外す方向の見直し案も示された。

論点では、「患者のための薬局ビジョン」で、かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき機能として、▽服薬情報の一元的・継続的把握 ▽24時間対応・在宅対応 ▽医療機関等との連携――などを求められていることを踏まえ、「患者が選択する、かかりつけ薬剤師の要件等を診療報酬上明確にした上で、医師と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握する業務を評価してはどうか」とし、かかりつけ薬剤師業務の包括的な評価の検討も提案した。

現時点で、特定の薬剤師が行う業務を包括的に評価する仕組みはなく、新たな点数が設けられるものと見られる。この提案には、支払、診療の両側委員から特に異論は出なかった。

基準調剤加算は、薬局ビジョンを踏まえ、在宅訪問の実績要件をさらに求めると共に、開局時間、相談時のプライバシーに配慮した要件の追加や、24時間対応に関する実態に即した要件を明確化するなどの方向性を示した。また、薬局に一定時間以上勤務する薬剤師を配置することを基準調剤加算の要件に追加することも提案した。

お薬手帳については、「電子版の手帳であっても、紙媒体と同等の機能を有する場合には、算定上、紙媒体の手帳と同様の取り扱いが可能と位置づけてはどうか」とした。

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、電子お薬手帳の規格が標準化されていない点を指摘し、「まずは規格を統一化してから電子化すべき」とし、慎重な姿勢を示した。

診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)も、全国どこの医療機関でも閲覧できなければ「紙と同等とは言えない」との考えを示した。

薬剤服用歴管理指導料については、患者が同じ薬局にお薬手帳を持参して繰り返し来局することのインセンティブを与えるため、2回目以降に手帳を持参して来局する場合の点数を低くすることを提案した。

財政制度等審議会が提案している調剤料の見直しでは、「加算の仕組みについて、例えば、調剤日数に応じて増加する一包化加算などの評価を見直してはどうか」とした。

大規模門前薬局の適正化に向けては、処方箋受付回数と集中率による特例対象の要件を拡大するほか、薬局の収益状況や医薬品の備蓄等の効率性も踏まえ、「店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局、特定の医療機関との関係性が深いと見なされる薬局の評価を見直す」ことを提案した。

これに対しては、診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)が地域によっては、いわゆる門前薬局ではない、小規模の薬局でも特定の医療機関からの処方箋が集中するケースもある点を指摘し、「仮に集中率が高くなったとしても特例点数から外れるような措置を求めた。

未妥結減算制度の対象となる薬局の見直しも提案。小規模薬局などは、制度が導入される前から高い妥結率を維持している一方、妥結率が低かったのはチェーン薬局で、小規模薬局を制度の対象から外すことが想定される。

診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、調剤報酬改定に当たって、▽報酬体系を抜本的に見直し、かかりつけ薬剤師を評価▽医科と整合性のない調剤報酬を是正――を柱とすることを提案。薬局の体制を評価している基準調剤加算を抜本的に見直し、かかりつけ薬剤師を評価する報酬の新設を求めた。

(薬事日報)



http://www.sankei.com/west/news/151207/wst1512070060-n1.html
診療報酬不正受給で堺市のクリニック院長を処分…近畿厚生局
2015.12.7 17:01 産経ニュース

 近畿厚生局は7日、診療報酬を不正に受給したとして、堺市北区の「ナガヤマクリニック」の長山栄勲院長(70)の保険医登録と、医院の保険医療機関指定を取り消すと発表した。取り消しは14日付。

 厚生労働省医事課によると、長山院長は詐欺罪で起訴され、平成25年12月、執行猶予付きの有罪判決を受けた。同課は昨年10月、2年間の医業停止処分とした。

 近畿厚生局によると、23年2月から25年12月にかけて外国人の患者6人の治療を付け増して約18万6千円を不正に受給するなどした。

 調査に対し長山院長は「経済的に支払いが困難な人の一部負担を免除し、その穴埋めのために付け増した」と話しているが、厚生局は確認していないという。



https://medical-tribune.co.jp/news/2015/1207037973/
ジェネリック普及率56%、2年前から10ポイント増〔読売新聞〕
2015.12.07  yomiDr. Medical Tribune

 後発医薬品(ジェネリック)の普及率(数量ベース)が、2015年9月時点で56・2%となったことが、厚生労働省の調査結果で明らかになった。
 2年前の前回調査の46・9%から10ポイント近く上がった。後発薬を多く出した病院や薬局への診療報酬を手厚くした効果が大きかったとみられる。
 政府は医療費抑制策の一環で、後発薬の普及率を17年半ばに70%以上、18~20年度の早い時期に80%以上とする目標を掲げている。厚労省は来年4月から、保険適用される後発薬の価格設定を現行より低くし、さらに普及を図る方針だ。
(2015年12月7日 読売新聞)



http://news.yahoo.co.jp/pickup/6183375
<後発医薬品>普及率8割方針で業界に波紋…増産、新薬集中
毎日新聞 12月7日(月)21時42分配信 

 政府が医療費抑制に向けて安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及率を2020年までに8割以上にする方針を打ち出したことを受け、大手製薬各社が対応を急いでいる。後発薬メーカーは増産体制の構築を図る一方、後発薬の利用拡大でシェア低下が必至な先発薬(新薬)メーカーは特許が切れた新薬の事業をリストラし、経営資源を新薬の研究・開発に集中しようとしている。ジェネリック普及の波は業界再編につながる可能性もある。【吉永康朗】

 「国の目標が出たことで、(売上高の45%を占める)特許切れの長期収載品の売り上げは一層低下する」

 新薬大手、田辺三菱製薬が11月末に開いた中期経営計画(16~21年度)を発表する記者会見。三津家正之社長は危機感をあらわにした。実際、国の後押しで大型病院や調剤薬局では特許切れ薬から割安な後発薬への処方切り替えなどが進む。

 長期収載品の売上高割合が半減すると見込む田辺三菱製薬はコスト体質改善に向けて国内従業員の約2割(約1100人)を削減、事業の重点を新薬の研究・開発にシフトする方針。計7000億円を投じて5年間で新薬10品の開発を目指すとともに、米国市場進出で収益確保を狙う。

 新薬最大手の武田薬品工業はより踏み込んだ対応を打ち出す。特許切れ薬の販売などの事業を後発薬世界最大手「テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ」(イスラエル)と設立する合弁会社に移管。武田薬品本体は利幅が厚い新薬開発に集中して、京大iPS細胞研究所との新薬開発の共同研究などを本格化させる。

 一方、後発薬各社は需要取り込みへ増産を急いでいる。沢井製薬は11月、2カ所目となる研究開発拠点(大阪府吹田市)を稼働させた。投資額は60億円で、多様な後発薬開発や生産能力の増強が狙いだ。17年度までの設備投資額(従来は約440億円)を200億円上積みするほか、新工場建設や既存の製薬工場の買収も検討する。

 新薬開発にしろ、後発薬の増産にしろ、多額の投資が必要で、各社は厳しい体力勝負を迫られる。厚生労働省は9月にまとめた「医薬品産業強化総合戦略」で、先発薬メーカーについて「M&A(企業の合併・買収)等による事業規模の拡大を視野に入れるべきだ」と指摘。後発薬メーカーについても「集約化・大型化も含めそのあり方を検討することが必要」と分析し、業界再編の可能性を示唆した。

 ◇後発医薬品(ジェネリック医薬品)

 新薬の特許が切れた後、別のメーカーが同じ成分で製造する薬。研究・開発費を抑えられるため、効能が同等の薬を安く提供できる。政府は今夏、医療費抑制を狙いに、2020年度までに割安な後発薬の普及率を8割以上にする目標を決めた。日本の後発薬の普及率は49%(13年10月からの1年間平均)で、米国(92%)やフランス(64%)などと比べて低い。厚生労働省の試算によると、普及率が8割になれば医療費を約1.3兆円抑制できる。



http://biz-journal.jp/2015/12/post_12768.html
連載 上昌広「絶望の医療 希望の医療」
医師不足深刻化でも、大学医学部が定員増に必死の抵抗…「医師不足利権」の病理

文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授
2015.12.08 Business Journal

 医師不足の日本で、医師を派遣する権限は絶大だ。そこに利権が発生する。利権にたかるのは、大学幹部や県庁の役人だけではない。医局を仕切る医学部の教授なら、誰もが利権のお裾分けに預かっている。
 大学教授たちがたかる相手は主に民間病院だ。都内の病院経営者は「外科医などを常勤で派遣してもらえば、億単位の売り上げが期待できる。教授に数百万円戻しても十分に元はとれる」と言い切る。
 医師派遣には金がつきまとう。この状況は以前から変わらない。ただ、従来は「袖の下」と見なされていた。ところが、近年の特徴は、公然と行われるようになったことだ。きっかけは「寄付講座」だ。国のお墨付きのもと、役所までが正々堂々と寄付金という「袖の下」を送るようになった。

 この結果、最近は大学以外の医療機関までもが「医師派遣ビジネス」に乗り出している。その一例が千葉県の「医師不足病院医師派遣促進事業」だ。
 この事業では、医療機関が医師1人を千葉県内の自治体病院に派遣すると、医師への給与とは別に月額125万円が派遣元の医療機関に支払われる。3分の2は千葉県、残りは派遣先の自治体病院が負担する。つまり、医師を1名派遣すれば年間1500万円を受け取ることになる。「医師の技量は問われないから、問題のある医師を送ればいい(千葉県の病院勤務医)」ことになる。
 千葉県の亀田総合病院関係者は、「幹部は損税の穴を埋めるため、医師派遣を推し進めている」と打ち明ける。地域医療の雄である亀田総合病院といえども、経営が悪化すれば医師派遣ビジネスに手を染めざるを得ない。
 このように医師不足はさまざまな利権を産み出している。メディアが「医師不足」「医療崩壊」を報じれば報じるほど、利権が拡大する。

多くの利権

 もちろん、厚労省も黙ってみているわけではない。自らの権限を強め、利権に食い込もうとしている。厚労省は14年度から地域医療支援センター運営事業を開始した。その目的について「都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取組むコントロールタワーの確立」を挙げている。
 具体的には、この組織が「公的補助金決定にも参画」し、「優先的に支援すべき医療機関を判断」するらしい。これでは、まるで「社会主義」だ。官僚が強大な権限を握る。その結果、多くの利権が生まれる。

 例えば昨年、厚労省医系技官で健康局長を務めた矢島鉄也氏が、千葉県病院事業管理者に就任した。医師免許はあるものの、病院経営などやったことがない素人で、典型的な天下りである。天下り先が減った昨今、「役人にとって干天の慈雨」(元厚労官僚)ともいえるポストだ。
 なぜ、このような厚労省の振る舞いに医師たちは文句を言わないのだろうか。それは、このような流れは大学にとっても都合がいいからだ。
 医師不足の多くの地域で、実質的に医師を差配しているのは大学だ。地域医療支援センターは大学と無関係に運営できない。政府や県庁と連携することで、補助金のおこぼれにあずかることができる。
 例えば岩手医科大学の場合、総収入に占める補助金の比率は14.9%で、近年増加傾向だ。09年度の32億8700万円から、13年度には49億5200万円に増加した。いまや一流国立大学医学部なみの金額だ。
 財政難の日本で大学が受け取る運営費交付金や補助金は減っている。医師不足が問題となっていない東京の私立医大は、特にそうだ。14年度、日本医科大学が受け取った補助金は前年と比べ10億円減ったという。
 もちろん岩手医大の場合、震災の影響もある。しかしながら、それだけでは説明できない。その証拠に岩手県からの補助金は震災前の09年の7億7600万円から10年9億9600万円と増加している。震災後の12年には17億1600万円となった。岩手医大の経営にとり、医師不足ほどありがたいことはない。

「医学部新設は絶対に認めず」

 救急車のたらい回しが頻発しようが、入院できない患者がいくらいようが、厚労官僚や医学部教授にとって医師不足の現状がもっとも好ましい。何もしなくても金とポストを得ることができるからだ。できるだけ、医師不足の状況を維持したい。こうなると、彼らの敵は、医師が増えることだ。医師を増やそうとする動きには、一致団結して抵抗する。
 例えば08年、舛添要一厚労大臣(当時)が医学部定員を増やそうとしたときには、文科省医学教育課長に出向中だった医系技官は、東京大学などの医学部長に「医師はなるべく増やさない方向で頼みます」と電話し回った。
 この時は結局、舛添氏に押しきられ、その後の民主党政権もこの路線を踏襲したが、12年に自民党が政権に復帰以降、医学部定員増員を骨抜きにした。09年度には医学部定員が、693名も増員されたのに、14年度の増員はわずかに20名だ。08年当時、定員を5割増やすことが目標とされたが、結局2割の増員で打ち止めにした。

 代わって宮城県や千葉県成田市に医学部新設の話が持ち上がった際には、前出の岩手医大や千葉大の学長たちが反対の急先鋒に立った。
 小川彰・岩手医大学長は「医学部の新設は、医師不足に対してまったく意味がない」という奇妙な理屈をこね、「医学部新設は絶対に認めず」という論陣を張った。もちろん、新規参入を妨害し既得権を守りたいだけだろう。
 日本の医師は絶対数が足りず、遍在している。この問題を解決するには、医師の養成数を増やすしかない。あるいは医師が独占してきた業務を看護師や薬剤師に解放すべきだ。そうすれば、駄目な医師・病院・医学部は淘汰されるだろう。真っ先に淘汰されるのは、前述のような既得権益層だ。逆に彼らや厚労官僚の権限を強化しても問題は悪化するばかりなのは、これまでの経緯から明らかだ。今こそ、国民の視点に立って医療提供体制の在り方を抜本的に見直さねばならない。
(文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授)



http://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20151207-OYTNT50051.html
時短勤務の女性医師募集
2015年12月08日 読売新聞

 出産や子育てで離職した子育て中の女性医師の復職を支援しようと、県が7日、育児をしながら短時間勤務する女性医師(通称ママドクター)の募集を始めた。女性医師のキャリア形成を支援しながら、医師不足の解消を図る狙いがある。

 募集するのは、子育てで一時的に離職している女性医師。県立の病院、診療所などに勤務する。子どもが小学3年(最長)までは時短勤務、その後はフルタイムで働いてもらう。

 厚生労働省が2010年に公表した調査結果によると、県内は必要医師数2240人に対し、640人が不足している。県立の病院、診療所26か所に勤める女性の正規医師は70人(今年9月現在)おり、うち12人が時短勤務をしたり、育児休業を取得したりしている。

 ママドクターには外来診療などをしてもらう予定で、内科と総合診療科で募集する。受け入れ先の体制が整っていれば、他の診療科で働くこともできる。

 勤務地は県立中央病院か盛岡市近郊で、勤務時間が週19時間25分~24時間35分になるように、5種類の勤務形態を選べる。土・日曜は休みで、年間20日間の年次有給休暇を取得できる。

 県医療局医師支援推進室は「県外からも広く募集するので、ぜひ応募してほしい」と呼びかけている。

 応募資格は、<1>医師免許を持ち臨床経験がある <2>採用時点で小学生3年までの子を養育している――など。書類審査や面接で選考する。問い合わせは同室(019・629・6366)へ。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS07H63_X01C15A2EE8000/
患者負担の上限引き上げ浮上 70歳以上の医療費
2015/12/8 0:33日本経済新聞 電子版

 2016年度の診療報酬改定を巡り、月ごとの医療費の自己負担に上限を設けた「高額療養費制度」を見直し、患者負担を増やす案が政府内で浮上している。70歳以上の負担を引き上げる内容で、財務省と厚生労働省が検討している。制度改正で浮いた財源は、医療関係者が求めている医師の診察料や検査料引き上げの財源に充てる。ただ高齢者の批判を恐れる与党内の反発は強く、実現するかは不透明だ。

 高額療養費の制度は、病気で高額の治療費がかかった患者が窓口で払う月々の負担額に歯止めをかけている。例えば60歳で年収約800万円の人が月100万円のがん治療を受けたとき、実際の負担は約17.2万円ですむ。

 70歳以上になると自己負担はさらに減る。年収約800万円の70歳の人が入院して月100万円の治療費がかかっても、負担は8.7万円と現役世代の半分。ただ高齢化が進むなか、財政への負担は増している。

 財務省は歳出を抑え、世代間の不公平を和らげるため、高齢者の負担を現役世代並みに引き上げる改革を求めてきた。7日の経済財政諮問会議で政府が示した経済・財政計画の工程表案も、高額療養費の見直しについて「16年末までに結論を得る」と記した。

 高額療養費の見直し論が強まるのは、医療の公定価格である診療報酬が16年度に改定されるのを前に、予算をめぐる関係者の攻防が活発になっているためだ。

 診療報酬は薬の公定価格(薬価)と診察料や検査料など医師らの技術料(本体)からなり、政治力のある医師会は本体部分の増額を求めている。来夏の参院選への配慮もあり、与党の厚生労働族議員を中心に、医師会の意向は無視できないとの声が多い。

 そこで財務省は診療報酬の本体部分を増やす条件として、高額療養費の縮小を持ち出した。財源なしに診察料などを増やすことはできないとの判断が背景にある。

 政府が6月に決めた財政再建の目標を達成するには、16年度予算の社会保障費の伸びを厚労省の概算要求よりも1700億円少なくする必要があると財務省ははじく。

 このうち薬価については、市場価格の下落に伴い約1500億円を抑制できる見通しだが、残り200億円分の追加削減が必要。財務省が財源として高額療養費に目を付けたのは、歳出が増加基調にあり削減による長期的な財政の抑制効果が高いためだ。

 ただ高額療養費の見直しは17年度以降となるため、16年度の歳出抑制にはつながらない。このため政府内では、1年限りの財源を捻出する手立ても検討されている。有力なのは、景気回復で保険料収入が増えている中小企業向けの全国健康保険協会(協会けんぽ)への補助金を減らす案だ。

 もっとも高額療養費の見直しには、公明党を中心とする与党の厚生労働族議員が強く反発。「17年度は消費増税も予定され、高齢者の負担は増やせない」「高齢者の負担を多くして、医師の給料を増やすのか」などの声が上がっている。

 厚労省幹部も「与党の理解はまったく得られていない」と漏らしており、高額療養費の見直しには高いハードルがある。



http://www.m3.com/news/general/381422?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151207&dcf_doctor=true&mc.l=134012798&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
診療報酬「本体」が焦点 引き上げ楽観論も
2015年12月7日 (月)配信 共同通信社

 医療の公定価格である診療報酬の2016年度改定は、医薬品と医療材料の「薬価部分」が1・4%程度引き下げられる見通しとなり、医師らの技術料など「本体部分」に焦点が移る。増額を求める厚生労働省や医療関係団体に対し、財政規律を重んじる財務省は抑制を主張。官邸を巻き込んだ綱引きが続くが、自民党の厚労族議員からは、本体部分引き上げに向けた環境が整いつつあるとの楽観論も出始めた。

 厚労省は4日、医薬品などの価格調査結果を中央社会保険医療協議会(中医協)に提示した。市場で実際に取引される価格は、医薬品が公定価格を平均で8・8%、医療材料は7・9%下回った。薬価は実勢価格に近づけるルールがあり、医療費に換算すると6千億円超、国費で1600億円程度の削減につながる見込みだ。これは診療報酬の改定幅で1・4%程度に相当する。最終的には月内に確定させる。

 診療報酬は薬価部分と本体部分で成り立ち、財源は税金と保険料、患者の自己負担だ。報酬を1%下げると医療費を約4300億円抑制できる。菅義偉官房長官は3日の記者会見で「国民負担をできる限り抑制できるように、省庁間で議論を深める」と述べた。

 政府は財政健全化のため、16年度予算で高齢化に伴う社会保障費の自然増を約1700億円抑える方針だ。ただ診療報酬の支払い時期がずれるため、16年度に反映される国費削減効果は1600億円のうちの9割程度。多くが自然増の抑制に回される見通しだが、まだ数百億円は足りない計算だ。

 このため財務省は本体部分にも切り込むよう求めている。特に薬剤師の技術料に当たる「調剤報酬」に厳しい目を向け、大病院の前にずらりと並ぶ「門前薬局」を問題視している。

 一方、本体部分の引き上げを求める動きも顕在化してきた。日本医師会(日医)の横倉義武(よこくら・よしたけ)会長は3日、官邸に菅氏を訪ねて直談判。自民党の議員グループも4日、菅氏に本体部分の増額を要請した。

 来夏の参院選を控え、日医などの意向を気にする自民党の厚労族議員の中には、4日の調査結果を歓迎するムードが広がった。薬価引き下げで捻出できる財源が想定よりも多くなると受け止めたためだ。政府は診療報酬以外の抑制策も検討しており、本体部分に手を付けなくても自然増の抑制達成に近づいたとの見立てだ。ある議員は「調剤報酬を引き下げ、医師の技術料は増やす。本体部分はトータルでプラスにしたらいい」と持論を展開した。



http://www.m3.com/news/general/381420
16年末に高額医療見直し 歳出改革の工程表
2015年12月7日 (月)配信 共同通信社

 政府の専門調査会は4日、医療費の患者負担に上限を設けている「高額療養費制度」を2016年末までに見直すことなどを盛り込んだ歳出改革の工程表案を公表した。メタボリック症候群とその予備軍を20年度までに08年度の約1400万人から25%減らすといった数値目標も設定した。高齢化で膨張する社会保障費の抑制につなげる。

 今月下旬の経済財政諮問会議で正式決定し、各省庁に財政健全化に向けた取り組みを促す。

 政府は基礎的財政収支を20年度に黒字にすることを目指し、まずは18年度の赤字額を国内総生産(GDP)の1%程度に抑える中間目標を掲げている。記者会見した専門調査会の新浪剛史(にいなみ・たけし)会長(サントリーホールディングス社長)は、工程表案に沿って改革に取り組めば中間目標を達成できるとの認識を示した。

 歳出の3割超を占める社会保障分野では、70歳以上の医療費負担を現役世代に比べて軽くしている高額療養費制度を見直し、世代間の公平な負担の在り方を検討する。医療費の地域間格差を半減するほか、生活習慣病を予防するため健康診断の受診率を80%以上に引き上げる目標も掲げた。

 小中学校の教職員定数は、少子化の進展などを踏まえた中期見通しを18年度までに策定する。



http://www.m3.com/news/iryoishin/381407
医療維新
「消費税補てん率の計算に異議」、国立大病院長会議
東大、千葉大では補てん率64%

2015年12月7日 (月)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 国立大学附属病院長会議は12月4日、東京都内で記者会見を開き、医療機関の消費税負担の問題について、厚生労働省が示した補てん率と大学病院の実際の負担で大きく差があり、計算方針に問題があると訴えた。合わせて、11月24日に出された自民党の「大学病院を支援する議員連盟」の決議文を紹介し、同会議が消費税問題を強く主張したが「決議に乗らず残念な結果になっている」と報告した。

 11月30日に開催された「中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(医療機関等における消費税負担に関する分科会)」で厚生労働省が報告した「2014年度の消費税率8%への引上げに伴う補てん状況」では、大学病院が多く含まれる特定機能病院への補てん率は98.09%と示された(『消費税補填、「診療報酬では限界」』を参照)。

 12月4日に会見した同会議常置委員会委員長の山本修一氏(千葉大学医学部附属病院長)は「我々の主張と違って非常に驚いた」として、緊急に東京大学医学部附属病院と千葉大病院の2病院の補てん状況を独自に算出。その結果、東大病院で68.3%、千葉大病院で58.6%にとどまり、どちらも年間1億円超の補てん差額(両大学平均64%)が発生していた。

 その差について、厚労省は実際の投資金額ではなく減価償却費を基礎に計算したことによるものとし、山本氏は「実際の消費税負担額と相違することから、計算法の合理性に問題がある」と指摘。「建物の減価償却は40年間だが、その間に継続的に診療報酬による補てんがなされるかは明確でない」として、緊急的な財源措置とともに消費税率10%引き上げの際には「抜本的な改善が必要である」と強調した。今後、全ての国立大学病院で同様の試算を行うとしている。

 また、11月24日に開催された自民党の「大学病院を支援する議員連盟」での決議文では2016年度予算において必要な措置をすべき事項として、「大学改革推進等補助金等、高度医療人材の養成と大学病院の機能強化」「大学病院が担っている高度な医療機能等に対する診療報酬上の適正な評価」などが盛り込まれたと報告。一方で、消費税負担の問題については「『このままでは設備投資が進まず大学病院の高度な医療が提供できず、補助を出していただきたい』と提言したが、『財源がない』と一言で片づけられ、決議に乗らず残念な結果になっている」と山本氏は述べ、悔しさをにじませた。


  1. 2015/12/08(火) 06:17:55|
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