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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月6日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/381258?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151206&dcf_doctor=true&mc.l=133979820
シリーズ: 改革進む医学教育
国際医療福祉大学、「明治以来の医学教育を変える」
「新時代の医学教育を考える」をテーマにシンポ

2015年12月6日 (日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 NPO法人日本医学ジャーナリスト協会主催の公開シンポジウム「新時代の医学教育を考える」が12月5日、都内で開催され、国際医療福祉大学総長の矢崎義雄氏は、「明治以来、100年以上の伝統がある医学教育システムは、巨木のようにでき上がっている。そこを変えるのは難しい。本学は白地のキャンバスに絵を描ける。新しい木を育てるために、根の部分からシステムを作ることができる」と述べ、医学部新設にかける意気込みを示した。


 国際医療福祉大学は、国家戦略特区の「東京圏」として指定された成田市で、2017年4月の開学を目指し、医学部新設の準備を進めている(『成田の医学部新設、正式決定目前』などを参照)。矢崎氏は、医学部新設の事業者として正式に決定した11月27日の国家戦略特区諮問会議での安倍晋三首相の発言を紹介、「医学部改革のモデル事業として、新しい医学部を作りたいという、私どもの訴えを的確にコメントとして表してもらった」と評価した。

 矢崎氏は、m3.comの取材に対し、同大学では今秋、医学部教員を公募していたが、外国人および海外在住の日本人から100人以上、国内でも同大学の病院などに勤務する医師を含め、数百人の応募があったと説明。採用教員は200人以上の予定であり、教員の選考をはじめ、2016年3月までの文部科学省への設置認可申請の準備を進めている。

 シンポジウムの冒頭のあいさつで、同協会会長を務める水巻中正氏は、「日本の医学教育は、変革期に差し掛かっている」とし、その理由として、国際医療福祉大学のほか、東北薬科大学が宮城県仙台市に2016年4月に医学部新設を予定していることに加え、医学教育の「2023年問題」を挙げた。「2023年問題」とは、米国以外の医学部出身者に対して、米国で医業を行う資格を審査するECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)は、2023年以降のECFMGへの申請は「国際的な認証評価を受けている医学部出身者に限る」方針を掲げたため、それをクリアするよう、臨床実習の充実などの対応を迫られていることだ。

 シンポジストは、矢崎氏を含めて4人。東京医科歯科大学医学部特命教授の奈良信雄氏は、国際的な認証評価を行う日本の組織として、「日本医学教育評価機構」(JACME;Japan Accreditation Council for Medical Education)をこの12月に設置したことを紹介。理事長には、高久史麿・日本医学会会長が就任した。奈良氏は、「医師の養成は、国民の役割でもあることを理解してもらいたい」と述べ、今後の医学教育の一つの課題となる臨床実習の充実には、国民の協力が重要だとした。

 名古屋大学大学院医学系研究科教授で、日本医学教育学会理事長の伴信太郎氏は、「今の医学教育は、社会のニーズに応えていない」とし、「地域医療」と「国際貢献」への対応が遅れていると指摘。東京医科大学の元学長・理事長の伊東洋氏は、変革が求められる医学教育には、リーダーシップを持つ人材が求められるとした。

 国際医療福祉大学、専任教員25人以上を配置

 矢崎氏は、新設医学部の目的について「国際性豊かな、総合的な診療能力の高い医師の養成」と述べ、グローバル化の時代には、ボーダレスに教育を考えていかなければならないと説明。医学部定員140人、うち留学生を受け入れる国際枠は20人だ。

 カリキュラムの特徴は4つ。第一は、講座単位、あるいは基礎と臨床を分けた講義ではなく、「基礎・臨床統合型カリキュラム」を器官系統別に組むこと。座学ではなく、臨床応用して学ぶ機会、グループ討議などを多用し、参加型で進めるほか、1コマ90分の大学が多い中、60分にする。模擬患者を育成して活用するほか、シミュレーションセンターも充実させる。5300平方メートル規模になるといい、「米国のトップクラスのシミュレーションセンターの規模」(矢崎氏)。

 第二は、国際的コミュニケーション能力を高めるため、教員として英語のネーティブスピーカーを採用、1、2年次は集中して英語教育を行うとともに、大多数の科目で英語による授業を行う。希望者には、USMLE(米国医師国家試験)に対応できる特別授業を行う。海外での臨床実習を最低でも 4週間にわたり実施する方針。

 第三は、リベラルアーツの重視で、広い視野で物事を考え、自分で学ぶ力を身に付けるのが狙い。第四は、チーム医療への理解を深める機会を設けること。「成田キャンパスでは、看護師や理学療法士なども養成する。多職種の医療者が、患者を中心して働くというチーム医療を学生の時代から学んでもらう」(矢崎氏)。

 これらを実践するために、設置するのが、「医学教育統括センター」であり、この点が大きな特徴だという。各教授が別個に教育をするのではなく、教育全体を統括する権限を持ち、カリキュラムの編成や評価などを行う。専任教員を25人以上配置する予定だ。

 国際医療福祉大学は、栃木県大田原市のキャンパスを中心に、多くの医療者の養成に取り組んでいる。矢崎氏は、海外から多くの留学生が来ている実績があり、中国のリハビリテーションを学ぶ大学が、国際医療福祉大学の卒業生を中心に運営されている例も挙げ、新設医学部でも同様に、「東南アジアを中心に、各国の公衆衛生、医療人材を育成するためにも、留学生を受け入れていきたい」とした。

 医学教育、課題は地域医療と国際貢献

 名大の伴氏は、医師の卒前から生涯教育までの教育体制を紹介。医学教育については、6年のうち、3分の2が各大学共通のコアカリキュラム、残る3分の1が選択科目で、「この3分の1について、各大学は、ミッション、目指すところに向かって、独自の教育をやっている。新しい医学部を作るなら、よほど特徴のあるものにならないと意味はない」と伴氏は指摘した。

 また伴氏は日本の医学・医療が抱える問題として、「社会のニーズに医学部が応えられていない」ことを挙げた。「高度先端医療と地域医療」、あるいは「国内での貢献と国際貢献」という視点から見るとバランスの悪さがあるとした。「高度先端医療と地域医療」については、地域医療のニーズが高まっているにもかかわらず、その担い手を十分に養成しきれていないとし、「地域枠」の学生をいかに教育していくかが課題だとした。「国内での貢献と国際貢献」については、国連機関で働く日本人医師が少ない点を挙げ、「保健医療において、世界への平和的貢献ができていない」と指摘。地域医療と国際貢献について、「これらは両極端のように聞こえるが、地域で教えながら、国際人を育てていくことも可能」であるとし、名大に来る留学生は、地域包括ケアへの取り組みに関心を示すと言い、伴氏は「これからの日本には、先端医療ではなく、この分野での国際貢献が求められるのではないか」と述べた。

 JACME、12月に設立

 奈良氏は、この12月に設立したJACMEは、「2023年問題」への対応が契機になったものの、医療自体がボーダレスになり、医師も海外で活躍する時代にあり、医学教育の質保証の観点からも求められるとした。

 JACMEでの取り組みに先立ち、奈良氏らは、全国医学部長病院長会議の「医学教育の質保証検討委員会」の取り組みとして、既に5大学で2014年度までにトライアル認証評価を行ったことを紹介(『「JACME」、全80大学が参加し今秋発足』を参照)。この9月以降も、3校への認証評価を行ったという。

 グローバル時代における医学教育改革の方向性として、奈良氏は、(1)カリキュラムの充実(学習成果基盤型教育、統合型カリキュラムの導入)、(2)少人数教育(講義から少人数のアクティブ・ラーニングへ)、(3)鎮床実習の充実(見学型から診療参加型実習へ)、(4)シミュレーション教育の活用――などの方向性を提示。(3)について、2013年の時点で、国際的な認証評価の目安になる、臨床実習の「72週以上」に相当する「2000時間以上」を満たしている大学は80大学中26大学であり、「1500時間未満」も9大学あったほか、臨床実習後にOSCEなどによる評価を実施している大学も、54大学にとどまることから、「2013年からは増加したかもしれないが、臨床実習の時間だけでなく、中身の充実が不可欠」(奈良氏)。

 伊東氏は、東京医科大学で進めている医学教育改革を紹介。医療倫理や医療安全など横断的な科目を充実させるなど、カリキュラムを見直すほか、臨床実習は従来44週だったが、段階的に52週、将来は74週に増やす予定であり、東京慈恵会医科大学、昭和大学、東邦大学と連携し、取り組んでいる。学生の主体的な学びを促進するため、「eポートフォリオ」も導入。学習成果の蓄積・共有、教員からのフィードバック、実習日誌など、学生と教員の双方向のさまざまな情報を、「eポートフォリオ」上で展開することにより、学生の成長レベルや問題点を抽出し、学生個人に合わせた指導ができるなど、手間はかかるものの、メリットが大きいという。「今の医学教育はさまざまな変化が求められ、トップがリーダーシップと根拠に基づき、改革を進めることが必要」と伊東氏は述べ、講演を締めくくった。

 医学教育にも多職種連携の視点必要

 4人のシンポジストの講演の後、フロアとの質疑応答があったが、問題提起された一つが、医療、介護、福祉の連携、ひいては多職種連携の在り方。

 奈良氏は、「10年前とはかなり異なっている」と述べ、各大学は、看護師や理学療法士、作業療法士などとのチーム医療に関する教育を取り入れていると紹介。

 矢崎氏は、国際医療福祉大学が、看護師をはじめとする医療職の質向上を目指して、医療関連職種の総合大学として発足した経緯を説明、「関連職種の連携授業をこれまでやってきた。医学部とコメディカルの学部を持つ大学は少ない。こうした視点からさらに充実していきたい」と回答。成田市に新設予定の医学部に先立ち、2016年4月に看護学部と、理学療法士などを要請する医療保健学部を開設するため、医学生と他学部の学生が同じキャンパスでの授業が可能であるとした。

 これに対し、「多職種連携は、従来の臨床実習においては、視野に入っていない」「私は楽観していない。そんなに簡単にできるものではない」とコメントしたのが、伴氏。「同じキャンパスで学ぶという感覚ではなく、地域に出て、住民も参加した多職種による学びが必要」とし、こうした教育の実践には、教育担当者のリーダーシップが求められるとした。

 アクティブ・ラーニング(能動的学修)への取り組みも議論になった。中央教育審議会は2012年8月の答申で、「生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学」を目指すため、知識の伝達ではなく、学生が主体的に問題を発見し、解を見いだしていくアクティブ・ラーニングへの転換を求めている。

 矢崎氏は、アクティブ・ラーニングの実践には、教員の確保が課題になるとした。教員は、教育だけでなく、臨床や研究にも取り組んでいるため多忙であり、教育に関する評価は遅れ、個人の努力に任されているのが現状だという。この問題解決のため、成田の医学部に設置するのが、医学教育統括センターであり、基本的には教育に専念する教員を確保し、そのためのキャリアパスも考えていくとした。「本学で成功すれば、他の医学部にも広がっていくのではないか」(矢崎氏)。

 奈良氏は、「卒業した時点から、(日常診療という)応用問題から始まるが、そのトレーニングができていない。日本の教育全体を考えなければいけない」と述べ、教員の養成や意識改革に加えて、医学部入試の方法自体を変えていくことも必要だとした。

 そのほか、「医学部入試の偏差値が、異常に上がっている。一方、福祉系の大学入試の偏差値は下がっている」と指摘し、チーム医療実践に当たっての弊害にもなり得るのでは、との指摘も上がった。伴氏は「高大連携」が必要であるとし、高校教師にも偏差値がいい生徒ではなく、「将来、医師になったら、かかりたい」と思える生徒に、医学部を勧めるよう、日本医学教育学会でもさまざまな場で働きかけていくとした。



https://www.m3.com/research/polls/result/29?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151206&dcf_doctor=true&mc.l=133979823
意識調査
結果医療従事者の休日の過ごし方は?【薬剤師会員からの質問】

カテゴリ: 生活・趣味 回答期間: 2015年11月26日 (木)~12月3日 (木) 回答済み人数: 2180人

 忙しい医療従事者の皆さまはどのように休日を使ってリフレッシュしているのか、はたまた休日を取ることもままならないのでしょうか。今回は薬剤師会員から寄せられた「休日の過ごし方」についてお尋ねします。

医療従事者の66%が休日「月4日以下」

 「丸一日の休日」を尋ねたところ、最多は「月3-4日」の34%。「月1-2日」の25%、「ゼロ」の7%を合わせると、66%が「週休二日」の半分以下しか休みが取れないという結果でした。特に136人が休日ゼロと答えた「医師」で休日が少ない意向にありまいた。
 休日の過ごし方では「自宅」と「外出」はほぼ半々。複数選択で尋ねた「休日にやること」では、「買い物」(51%)、「掃除・洗濯」「睡眠」(ともに36%)、「読書・DVD観賞、ゲームなど」が34%でした。
 お勧めの「リフレッシュ法」では、買い物、運動、温泉(スーパー銭湯)、子供と遊ぶ、飲酒などが多かったです。
回答者総数は、2180人。開業医336人、 勤務医1174人、歯科医師8人、看護師46人、 薬剤師546人、その他の医療従事者70人でした。

Q1 丸1日休みという日は、平均して月に何日ありますか?
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開業医 : 336人 / 勤務医 : 1174人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 46人 / 薬剤師 : 546人 / その他の医療従事者 : 70人
※2015年12月3日 (木)時点の結果

Q2 休日の過ごし方として多いのは?
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開業医 : 336人 / 勤務医 : 1174人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 46人 / 薬剤師 : 546人 / その他の医療従事者 : 70人
※2015年12月3日 (木)時点の結果

Q3 休日にやることとして多いのは?【複数選択】
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開業医 : 336人 / 勤務医 : 1174人 / 歯科医師 : 8人 / 看護師 : 46人 / 薬剤師 : 546人 / その他の医療従事者 : 70人
※2015年12月3日 (木)時点の結果

Q4 お勧めのリフレッシュ方法を教えてください。 【任意】

お勧めリフレッシュ方法

・感動モノの小説を読んで思い切り泣くこと。【薬剤師】
・スーパー温泉でサウナに入ります。【勤務医】
・お風呂で大声で熱唱すること。【その他の医療従事者】
・Active rest【勤務医】
・マッサージに通う。【勤務医】
・実家に帰る。【勤務医】
・園芸で土いじりもリフレッシュできます。【開業医】
・バイクに乗って、温泉に入りに行く。【開業医】
・整体やマッサージ店でリラックスする。仕事以外の友達としゃべる。【薬剤師】
・好きな音楽を大音量で聞く。【薬剤師】
・その時、自分が何を望んでいるかを自身に尋ねて、1番ピンとすることをする。【薬剤師】
・月に一回はダイビングで違う環境を作るようにしている。【薬剤師】
・仕事のことは考えずに好きなことをする。【勤務医】
・爆買い!笑【勤務医】
・何も考えずにひたすら歩きます。20㎞も歩けば爽快な疲労感で、風呂もゴクラク、メシもうまい。下肢のポンプ機能が増して下肢虚血が防げます。金もかからず、自分の身の丈に合ったリフレッシュ健康法だと思っています。【勤務医】
・海を見に行く。【開業医】
・スポーツクラブでの筋トレやウォーキング、その後のサウナ、あとはゴルフ練習場での球打ち、くらいでしょうか。【勤務医】
・日の出とともに起き、屋外で十分体を動かし、暗くなったら眠る。【勤務医】
・ドトールで勉強。【勤務医】
・早起きしての洗車!【看護師】
・カフェ巡り。【勤務医】
・旅行のことを考える。行かないまでも計画を立てる。【勤務医】
・SNSのオフ会参加。【歯科医師】
・体を動かすことです。寝過ぎるとよくないし、起きるリズムはなるべく崩さないようにしています。【薬剤師】
・3000円/人以上のランチを妻と食べに行く。【看護師】
・運動ですね。やはり、体を動かすっていいですが、家事であまり時間がありません。子供と遊ぶもいいですし、でも、ひとりで映画もいい。昼から酒飲んで、こたつで昼寝。気持ちいいですね。【看護師】
・普段なかなかでき難く乱雑になっているところを掃除すると、かなり気分的に爽快になりお勧めです。【開業医】
・息子の野球の応援が唯一のリフレッシュです。【看護師】
・75歳、男性医。ラジオ深夜便・明日への言葉を聞きながら約60分の早朝ウォーキングすることが週4~5回。ラジオ体操ほぼ毎日。【開業医】
・自宅からも勤務先からも遠い地域に旅行することは、よいリフレッシュ法と考えます。【勤務医】
・大好きな紅茶の飲み比べをしながら、読書や音楽DVD鑑賞をすること。【薬剤師】
・特ににないが、老後の趣味を見つけようと思っている。【薬剤師】
・疲れて何もできねー。【勤務医】
・登山!森林浴もできて、体力作りもできる。新鮮な経験もできて健康的でお金もかからない。【薬剤師】
・学会出張以外、丸1日、病院に行かない日がない。リフレッシュ法は、WOWOWで映画見ること。【勤務医】
・シャツのアイロンかけ。【勤務医】
・何と言っても宝塚歌劇の観劇です。まるで夢の中です。【勤務医】
・青春18切符で時間に関係ない旅行をする。でもなかなかできない!【開業医】
・ももクロ(ももいろクローバーZ)にはまる。【開業医】
・休みがありません。酒。【勤務医】
・犬と一緒に温泉旅行でゆっくりくつろぎ、乗馬で馬と触れ合って癒される。人間から離れるのが良いのかもしれません。【開業医】
・土日休日のため、金曜の夜にリフレッシュする。そうすると、土曜日まるまる自分のしたいことをして充実した一日を送っても、日曜日には本当にだらだらと過ごせる。【勤務医】
・家庭菜園は楽しい。できたものも新鮮でおいしい。【勤務医】
・M3でポイントを稼ぐ。【勤務医】
・朝から酒を呑む。呑んだくれる。夕方には呑むのを止める(二日酔いにならぬため)。【開業医】
・家にいると家族サービスで疲弊するので、たまに緊急手術などで呼び出されると逆にリフレッシュされる。【勤務医】
・日頃車で通りすぎるだけの場所に歩いて行く。地元のイベントに意識して参加する。メールではなく手紙を書く。【看護師】
・晴耕雨読をモットーとしています。具体的には、晴れた日はハイキング、露天風呂、ガーデニング、雨の日は専ら映画館にこもり、待ち時間に読書。要は人と会わないことです。【勤務医】
・学会に遠出するとき寄り道をすること。【勤務医】
・情報が入らない状況に自分を置く。【勤務医】
・何もしないで、だらだら過ごすのが贅沢と思うが、もったいなくて何かしてします自分がいます。何もしないのは、体は休まりますが、気分的に損した気持ちになります。【勤務医】
・朝一番で映画に行き、散歩しながら感じのいいカフェやレストランを見つけブランチ、その後また散歩して途中にカフェで読書。家族と夕食を食べて、子供の近況を聞いて、余力があれば家でまたお気に入りの映画をDVDで見ながらいつのまにか入眠、おやすみなさい!【勤務医】
・ラグビーの試合で走る。【勤務医】
・愛車をサーキットで走らせること。集中できてすっきりします。【勤務医】
・ギター職人として、ギターを修理調整する。【開業医】



http://www.m3.com/news/general/381259?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151206&dcf_doctor=true&mc.l=133979825
化血研、20年前から「隠蔽工作」研究チーム
2015年12月6日 (日)配信 読売新聞

 一般財団法人・化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が血液製剤などを国の未承認の方法で製造していた問題で、化血研が約20年前から、不正を隠したまま承認を得るための研究を血液製剤の製造部門で進めていたことが関係者の話でわかった。

 研究を踏まえて承認申請する際、虚偽の製造記録を国の検査で提示してきたことが露見しないよう、別の虚偽を記載して承認を得たケースもあった。厚生労働省は、ウソにウソを重ねた化血研の行為の悪質性は高いとみて、隠蔽工作の全容を調べている。

 化血研の第三者委員会の調査報告や関係者の話によると、化血研では1974年以降、承認書と異なる製法で多くの血液製剤が作られるようになった。

 国の検査(査察)態勢の厳格化が見込まれた95年頃から、虚偽の製造記録を検査で提示する隠蔽工作が始まったが、こうした不正を長く続ければ、発覚を免れるのは難しいとの危機感が所内で高まった。このため、血液製剤の各製造部門では、製造実態に合わせて承認内容の変更を申請することを目指した研究を開始し、「プロジェクトチーム」も発足させた。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47518.html
有床診入基料、医師配置加算など引き上げを- 日医・検討委が答申
2015年12月06日 12時00分 キャリアブレイン

 日本医師会の「有床診療所委員会」は、有床診療所(有床診)に関する課題などを取りまとめ、横倉義武会長に答申した。有床診の医師の業務負担が軽減されるよう、有床診療所入院基本料における医師配置加算の点数の引き上げなどを求めている。【松村秀士】

 答申書では、有床診の4割は、1人の医師が対応しているとし、医師の負担を軽減するために、複数の医師で対応できる体制の整備の必要性を強調。その上で、診療報酬上の評価として、医師配置加算1(88点)と同加算2(60点)を引き上げるべきだとした。

 また、有床診での夜勤の看護職員を増やし、夜間の安全体制を強化するための措置として、夜間看護配置加算1(80点)と同加算2(30点)の引き上げも要望した。

 答申書は、有床診の事業継承についても触れ、一般診療所だけでなく、有床診でも開設者の高齢化が進んでおり、「継承問題を解決することが喫緊の課題」と指摘。この課題の解決策として、2017年度に施行が予定される「地域医療連携推進法人制度」の活用に期待を示した。

 同制度は、地域の複数の病院や診療所を一体的に運営できる仕組み。答申書では、有床診が「地域医療連携推進法人」に参加した場合、「法人間で、病床再編やキャリアパスの構築、医師・看護師などの共同研修、医療用機器の共同利用、資金貸し付けなどを行うことができる」とし、事業継承を円滑に進められる可能性があるとした。

■ショートステイへの参入に向け、施設基準など緩和を

 答申書では、有床診の介護分野への対応についても言及した。有床診が短期入所生活介護(ショートステイ)を実施すれば、利用者の健康管理や家族の負担軽減につながるほか、医療も提供できると説明。ただ、現状は有床診のショートステイへの参入が進んでいないとし、その普及に向けて施設基準や要件の緩和が必須だとした。



http://www.sankei.com/life/news/151207/lif1512070002-n1.html
診療報酬本体微増へ 高額療養費見直し担保に
2015.12.7 05:00 産経ニュース

 政府は6日、平成28年度診療報酬改定について、29年度に患者の自己負担を軽減する「高額療養費制度」を見直して財源確保することを担保に、診療報酬の医師らの技術料にあたる「本体部分」を微増させる方向で検討に入った。28年度は、景気回復により全国健康保険協会(協会けんぽ)への補助金が減額される分を一時的に充当する方向だ。

 高額療養費制度に関しては、政府の経済財政諮問会議の専門調査会が4日に公表した歳出抑制に向けた工程表案で「関係審議会で具体的内容を検討し、28年末までに結論を得て、その結果に基づいて速やかに必要な措置を講ずる」と明記。70歳以上の高齢者で優遇されている負担上限額を現役世代の基準に合わせることなどが想定されている。

 政府内で検討されている案では、高額療養費制度の具体的な見直し内容の決定は世論の反発を避けるため参院選後に先送りするが、年末の28年度予算案の編成過程で見直し実施を確約することにより、捻出される財源を29年度以降の「本体部分」に充てる方針を容認するとしている。

 28年度については、景気回復による保険料収入の増加などで協会けんぽの準備金に余裕が生じているため国庫補助金が減額されることになっており、減額分を「本体部分」の財源に充当する方向で調整する。

 政府は28年度に始まる財政健全化の計画で、社会保障費の伸びを3年間で計1兆5千億円程度を目安にすることを決定。28年度予算案では厚生労働省の概算要求から約1700億円の削減が必要だが、診療報酬の医薬品や医療材料の「薬価部分」の引き下げ分約1500億円しか確保できていない。来年度は診療報酬の「本体部分」の引き下げも想定していたが、来年夏の参院選を控え、大票田の日本医師会など医療関係団体に配慮。高額療養費の見直しで財源を確保し、「本体部分」への切り込みは見送ることにした。一方で、薬の過剰投与が指摘される大病院周辺の大型門前薬局が問題視されており、「本体部分」の中の調剤報酬に関しては引き下げられる方向だ。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03153_02
【寄稿】
全米チーフレジデント会議に参加して
聖路加国際病院,レジデント教育の新たなチャレンジ

松尾 貴公,岡本 武士,北田 彩子,矢崎 秀,石井 太祐,望月 宏樹(聖路加国際病院内科)
週刊医学界新聞   第3153号 2015年12月07日

 現職のチーフレジデントとその候補者が全米から集まる「全米チーフレジデント会議(Chief Residents Meeting)」が,2015年4月27-28日の2日間にわたって米国テキサス州にて開催されました。今回,日本の病院のチーフレジデントとして初めて,聖路加国際病院のチーフレジデント経験者および予定者の計6人が参加しました。本稿では,当院と米国のチーフレジデント制度の特徴と,参加した会議の模様,そして帰国後の当院の取り組みについて報告いたします。

レジデント育成の要となるチーフレジデントの役割とは

 日本では2004年に新医師臨床研修制度が発足し,初期研修医は2年間のスーパーローテーションが義務付けられています。それ以前にもいくつかの臨床研修病院では独自の研修システムに基づいた研修医教育が行われていました。当院は1967年にレジデント制度を導入し,それと同時に初期研修医のまとめ役である「チーフレジデント」という役職を設け,研修医の指導に力を入れてきました。当院の内科チーフレジデントは教育者としての役割だけでなく,研修プログラムの作成,病床運営,院内における各種委員会への出席や研修医採用など,さまざまな分野の役割を担います。内科チーフレジデントは,毎年レジデントの投票によって3人選出され(多くは卒後4-5年目),その3人が4か月ずつ職務を果たします。

 一方,米国のチーフレジデント制度を見てみると,当院とは異なる点がいくつかあります(表)。大きな違いは,任期は原則1人1年間で,2-3人で分業する場合が多いことです。また,就任時期は,日本での初期研修に当たるResidency programを終えた後,各専門領域のFellowshipに進む前の卒後3-4年目で,内科プログラムの責任者であるProgram directorや前年度のチーフレジデントから推薦を受けて選考されます。

表 聖路加国際病院と米国のチーフレジデント制度の比較(任期・役割)
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 チーフレジデントに就任すると臨床から離れ,レジデントや医学生の教育,ローテーション表を含むカリキュラム作り,研修医の採用・評価など幅広い業務に従事します。任期中にProgram directorやレジデントから360度評価を受けることも米国ならではの特徴です。任期を通してリーダーシップや教育のノウハウを体得し,その後医学教育のFellowshipや,比較的人気の高い各専門領域のFellowshipに進むことになります。この1年間のチーフレジデントとしての経験が,その後の医師としてのキャリアにおいて有利に働くそうです。

Workshop参加で役割を再確認,新たに見えた改善点

 さて,私たちが日本のチーフレジデントとして初めて参加した全米チーフレジデント会議は,例年4月に2日間かけて行われます。今年はテキサス州のヒューストンで開催されました。

 同会議は,米国の臨床研修プログラムを評価・認定するAccreditation Council for Graduate Medical Education(ACGME)認定施設所属のProgram Directorsの会であるThe Association of Program Directors in Internal Medicine(APDIM)が主催します。APDIMは,Alliance for Academic Internal Medicine(AAIM)という米国とカナダの医学部や教育病院で組織された団体の傘下にあり,APDIMの他にはThe Association of Professors of Medicine(APM),The Clerkship Directors in Internal Medicine(CDIM)などが所属しています。

 米国ではProgram directorと呼ばれるレジデンシープログラムの責任者が存在し,レジデントの採用や病院のプログラムの作成などを担っています。チーフレジデントはこのProgram directorの指導の下,研修医の教育を軸に管理職としての役割,さらには臨床研究や論文執筆などの学術的活動も積極的に行っています。会議の参加者は,各病院で次期チーフレジデントになるレジデント(多くは3年目レジデント)であり,今回は800人強が集まりました。

 2日間にわたるプログラムは,全員で講義を受ける6つのPlenary sessionと,スモールグループに分かれて参加者同士で話し合う3つのWorkshopがありました。Plenary sessionではチーフレジデントの役割には何があるのか, 医学教育の方法,自己啓発や問題解決の方法,メンターシップなどについてのレクチャーが行われました。

 また,計3回のWorkshopは,1回につき約10個のプログラムから興味のある内容1つを選んで参加します。私たち6人は,おのおのが興味を持つものの中から異なるプログラムを選び,最終的には全員で内容を共有できるように受講しました。

 ここではその内の,“Chief Resident Mistakes”をテーマにしたプログラムの内容を紹介します。

 チーフレジデントは毎年異なる人が務め,その任期には限りがあります。そのためチーフレジデントは,起こしやすい失敗などを事前に学ぶことはもちろん,自分の起こした失敗を後任に伝え,よりよい活動ができるよう引き継いでいくことが必要になります。Workshopでは,まず代表的な注意事項を実例に沿って受講しました。その後15人程度のグループに分かれ,自院のチーフレジデントのこれまでの問題点を出し合い,気を付けるべきことを議論し,グループごとに発表しました。このDiscussionを通して米国でのMistakesを共有することができ,チーフレジデントが抱える問題は日本と共通する部分も多いと実感しました。

 この他,ベッドサイドティーチングの効果的な方法,Burnout(燃え尽き症候群)への介入の仕方などのセッションが人気を集めていました。

 2日間を通して,今まで体系的に学ぶことのなかったチーフレジデントの役割を学習するとともに,当院の改善点や今後の展望を議論することができました。また,米国のチーフレジデントとの交流やメーリングリストの参加といったネットワークも形成することができ,それぞれの病院で抱える問題を共有できたことも収穫です。

よりよい研修の実現に向けて学びをすぐに教育に実践

 4月の会議に参加してから,私たちはそこで得た知識を早速院内の取り組みに生かしています。一つは「教え方」についての教育です。当院は屋根瓦方式の教育をモットーとしており,初期研修医は医学生への,シニアレジデントは初期研修医への教育を担っています。ただし,細かい「教え方」に関しては個々人の裁量に委ねられていた部分がありました。そこで,この機に体系立った「教え方」を学ぶことができるよう,自己満足に陥らないレクチャーの仕方や,「Teach less(一度に教えすぎない)」の概念を当院のレジデント全員で共有する機会を設けました。

 また,当院の目玉ともいえるグランドカンファレンスの症例検討会においては,チーフレジデントが他のレジデントの手本となるようファシリテーター役を務めたり,ランチョンカンファレンスにおいて,インタラクティブな教授方法であるクイズ形式の“Jeopardy”を取り入れたりと,活発な教育活動を率先して展開しています。

 チーフレジデントが担う個々の役割からも,構想を考えています。まず「Administrator」の役割としては,ちょうど今,新・内科専門医制度への移行という転換期にあるため,内科専門研修プログラムの作成やレジデントおよびシニアレジデントの採用試験の改革にかかわっています。採用基準や試験問題の作成にまでチーフレジデント経験者が一丸となって取り組んでいます。さらにこの機会を生かし,教育や採用試験に関連した臨床研究もできないかと,企画しているところです。

 「Mentor」の視点からは,レジデントの進路支援強化を検討中です。既存の「メンター委員会」では年に数回,当院の修了生を招いて先輩方のキャリアを聞く講演会を開いています。今後はメンター委員会と修了生の連携をより深め,市中病院をターゲットとした卒業後のキャリアプランについて提示していくことを予定しています。

 今回全米チーフレジデント会議に参加したことで私たちは,チーフレジデントの4か月間,日々奮闘し,時に失敗しながら任期中に多くのことを学んだことを思い返すとともに,その解決のヒントを発見することができました。次回からは,チーフレジデント就任前のシニアレジデントが心構えを身につけられるよう,経験者ではなく,予定者のみを派遣することに決めました。経験者,現職者,予定者の三者で連携を図りながら,当院チーフレジデント制度の取り組みに継続性を持たせ,よりより研修作り,よりよい病院づくりに貢献していきたいと考えています。

◆参考URL
2015 APDIM Chief Residents Meeting.



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03153_01
【対談】
「家庭医」って何だ?

吉田 伸氏(頴田病院/飯塚・頴田家庭医療プログラム 臨床教育部長)
藤沼 康樹氏(医療福祉生協連家庭医療学開発センター センター長/千葉大学大学院看護学研究科附属 専門職連携教育研究センター 特任講師)
週刊医学界新聞   第3153号 2015年12月07日

 「地域を支える医療」の重要性は共有されるところとなっている。その中で,大きな役目を果たすと期待されているのが「家庭医」と呼ばれる医師だ。しかし,一口に「家庭医」といっても,想起されるイメージは,各人の住む地域や受療経験に影響され,定かなものでない。日本プライマリ・ケア連合学会で認定する「家庭医療専門医」の総数も約450人(2015年6月時点)と,決して多くはないのが現状だ。一体,家庭医とはどのような医師であり,どんな役割を果たすべき医師なのだろうか――。本紙では,日本の家庭医の先駆者で,その在るべき姿について考察を重ねてきた藤沼康樹氏と,若手家庭医の吉田伸氏による対談を企画。吉田氏の問いに藤沼氏が答えるかたちで,「家庭医」像の輪郭線をなぞっていく。



吉田 私にとって藤沼先生は,日本の家庭医のパイオニアで,1つの拠点をベースに活動される家庭医というイメージです。驚かされてしまうのが,ローカル的な発想にとどまることなく,看護学や哲学,または文化人類学など,多様な領域の知見を取り入れながら,家庭医について考察されている点ですね。

藤沼 そんなイメージでしたか。

吉田 私も一つの地域で10年間働き,また米国・英国の家庭医との交流を経て,自分なりの「家庭医」像を固めつつあります。今回は,あらためて藤沼先生に家庭医像について尋ねたいと思って,この場に来ました。

多様な学問が越境的に結びつく知の体系

藤沼 ただ,僕も海外の家庭医に言わせれば「self-taught family doctor」。あくまで“自習を頑張った医師”です。確かに,僕が若手のころは家庭医療を系統的に教えるプログラム・指導者が存在してなかったので,事実なんですけれど。

吉田 当時はそうですよね。独学を迫られる時代にあって,藤沼先生はなぜ家庭医療の道へ進んだのでしょう。

藤沼 僕の場合,家庭医療が持つ「知の体系」に興味を持ったというのが一番の理由です。だから他の家庭医と比べたら,僕自身は対人援助の志向はあまり強くないほうだと思いますよ。

吉田 え,そうなのですか。

藤沼 でも,だからこそ家庭医療に強い関心を抱いたんだろうとも感じていて。もともと僕の関心は,「人が人をケアするってどういうことか」「『患者』と言われる人はどういう存在か」とか,そういうところに向いていた。ただ,こうした問いって,現代医学のいわゆる生物医学的な学問体系とはそぐわないじゃないですか。でも家庭医療は全然そんなことない。疫学や経済学,心理学,人文諸科学など,あらゆる領域の知が越境的に結びついて成り立っている。偶然,米国家庭医療の専門雑誌を手にとったとき,「自分の求めていた知の体系がここにある!」と思い,以来ここまで進んできたという感じです。

吉田 家庭医療を俯瞰して語る藤沼先生のスタンスの原点が見えますね。

藤沼 今は「イノベーター」を自負するようにしていて,家庭医療の理論的な裏付けや,それに基づく専門的な知識・技術について伝えていく役割を担いたいと考えているんです。

内科学とも異なる射程

吉田 藤沼先生は家庭医療を知っていく過程で,家庭医療の言説に対し,疑問を感じることはありませんでしたか?

 私はもともと初期研修を飯塚病院で過ごし,救命救急センターや総合診療科では病歴聴取,身体診察や検査を行い,鑑別診断に応じた治療を進めるという診療スタイルの経験を積みました。その意味では,医師として最初にインストールされたOS(operation system)は「内科医」だったわけです。だからなのかもしれませんが,家庭医として後期研修を開始した際,家庭医療で語られるメソッドにどこか懐疑的な思いもありました。例えば,Stewartらの「患者中心の医療」で示されている解釈モデル1)。「患者さんの解釈をこんなきれいな言葉で語れるものかな」と疑っていたんです。

藤沼 僕も「患者中心の医療」を読んで心理社会的な要因を考慮した外来診療のスキルを知ったのですが,やはり当初は「どれほど診療に役立つものなのだろうか?」と思いましたよ。でも,書籍に書かれているアプローチを外来診療に取り入れてみたら,患者の反応が違う。外来診療構造の枠組みから考え直していく必要性さえ感じました。「すごい,本当に効果あるんだ!」って感動した記憶があります。

吉田 そう,実践してみると,現場の患者に当てはまっていく感覚があるんですよね。私も数年をかけ,ようやく患者中心の医療で語られていることが理解できるようになりました。それで痛感したのが,家庭医療にはきちんとしたスキルやメソッドの裏付けがあるんだ,ということです。

藤沼 患者と医療者の共通基盤の形成をめざした方法論が,明確に言語化されているんだよね。だから卓越した家庭医であれば,患者の一つひとつの所作に対し,「どのような意味に根差した行動であるのか」まで認識できる。だから診療時の患者への声掛けも,単なる接遇として発しているわけでなく,ラポール形成のための一言であったりするわけです。

吉田 まさにそうした点が「内科医」として身につけた診療スタイルとは異なる点だと感じます。

藤沼 内科学の体系とは異なる世界観が,家庭医療学には広がっているということなのでしょう。内科学は,内科的疾患の病態生理と治療を中心に考察していくもので,患者の「疾患」がポイントとなっている。一方,家庭医療学が扱うのは,疾患どころか診断自体がつかない健康問題であったり,患者の家庭や患者と相対する医師の姿勢であったりと,あらゆる方向に向かっていく。ですから,家庭医療学は,内科学と異なる射程を持つ学問体系であるととらえるべきだと考えています。

対人関係上の継続性の構築が鍵

吉田 そういう部分に,私も家庭医療の面白さを感じるようになりました。それで日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会などを通して家庭医の面白さを広報してきたのですね。

 ただ,多くの方にとって「家庭医」という存在がとらえづらいようなのです。もちろん皆,優れた家庭医が各地にいること自体は経験的にわかっているものの,「ではどういう能力を持つ人が家庭医なの?」と感じるようです。

藤沼 前提として,「家庭医」の能力は,核となる「core」と,個性である「own style」によって規定されています。coreは普遍的に持つ能力で,後者のown styleは医師自身の性格,地域やプライマリ・ケアの対象となる人口集団の性質,周囲の保健・医療・福祉リソースなど,多様なものに影響を受けて成り立っている。このような能力そのものの構成や,coreとown styleを切り分けて個々の能力を考えられていないと,「どこかとらえづらい」と感じてしまうのでしょう。

吉田 なるほど。

藤沼 だから家庭医の原像を共有し,それらを言語化していくとわかりやすいと思いますよ。例えば,ぱっと思いつくのが,幼児だったころは頻繁に診ていた患者が,中学生になって数年ぶりに受診したというケース。「こんにちは」ってあいさつされたりして。

吉田 「成長したなぁ」と感動する場面ですね。

藤沼 あぁ,僕はそこで情緒的な感動はないんですよ。「これがSaultzの言う『interpersonal continuity』2)かな」と感動するタイプなので(笑)。

吉田 藤沼先生らしい! でも,ご指摘になったinterpersonal continuityは,家庭医のcoreに該当するものだと思います。これは必ずしも「数週間,数か月に1回など,定期的に訪れる患者との関係性」や「ある患者の特定の疾患を治療し続けていること」を指しているわけではないのですよね。

藤沼 一部を指しているけど,全てではありません。大事なのは,「対人関係上の継続性」が基盤にあること。つまり患者の頭の片隅に家庭医の姿があり,「また困ったことがあったとき,あの医師に相談しよう」という認識が存在しているという点が重要なんです。

吉田 患者が必要なときにその医師を思い起こすかどうか,ですね。

藤沼 そう。ですから家庭医は,疾患に由来した問題が解決を見ても,医師-患者関係を終了させることはしません。むしろ,患者の健康問題の解決に必要なリソースとして「いつでも存在している」という認識を持たれるような関係性作りに努める。家庭医のcoreの一つに,こうした継続性の構築が挙げられます。

地域に腰を据える――「20年」が1つの目安

吉田 「継続性」に関連して私が関心を持っているのが,家庭医が拠点を変えることについてです。「家庭医=地域に根付いた医師」というイメージがある中,家庭医はどのぐらいの期間を一つの地域で過ごすべきなのだと思いますか。拠点を変えるに際しても,適切なタイミングってあるのでしょうか。

藤沼 なるほど。まず,卒後10年までは診療所に限らず,いろいろセッティングで系統的に学ぶのが理想です。

 その上で,いよいよ地域基盤型のプライマリ・ケアを主たる任務としようと思うなら,個人的には「20年間は1つの地域に腰を据える」ことをお勧めしたい。比喩的に言えば,「0歳のときに診た患者が,20歳になるところまで診る」経験ができるぐらいですね。

 感覚的なものですが,そのぐらい継続してかかりつけ患者を診ていると,地域の患者を人口集団として,さらに時間軸を伴ってとらえられるようになります。その経験は,家庭医としての視野を広げる印象がある。ですから20年は1つの地域を診て,それから別の地域に移るというのがよいかと思います。

吉田 20年ですか。確かにある程度まとまった時間を過ごすことで,interpersonal continuityを実感できるという面もありますからね。

 ちなみに,その視野の広がりというのは,「家庭医が地域に溶け込む」ことによる影響もあるのでしょうか。

藤沼 いや,あえて言うなら,溶けこむか否かは「関係ない」と思います。というのも僕自身,患者さんの居住地域には住まないタイプで,決して地域に溶け込んではいませんから(笑)。ですがそのことによる支障も経験していないので,地域とのかかわりの程度は各家庭医の嗜好に任せてよいんじゃないかと考えています。

 しかしこの点について,もともと英国の家庭医に相当するGP(General Practitioner)であったMcWhinneyは,書籍『Textbook of Family Medicine』の中で「家庭医は地域の一員になるように」と推奨していますね3)。

吉田 私はMcWhinney同様,地域に溶け込んだほうがいいのではないかというスタンスです。同じ生活圏を共有し,自分たちの日常をよく知る医師に診てもらうことが,住民にとっての安心につながるという考え方には共感できますから。しかし一方で,それを全ての家庭医に求められないとも正直感じています。「地域に住むのが絶対!」というのは,重い決断を迫りすぎる,というか。

藤沼 文献を読んだり,海外の家庭医に話を聞いたりする限り,他国の家庭医も地域に根を下ろす医師ばかりではないようですけれどね。「Rural」と言われる田舎の地域であればまだしも,都市型の家庭医となると,そうした人はグッと少なくなるみたいです。

地域のかかりつけ患者に“責任”を持つ

藤沼 だから僕は,「住む/住まない」はともかくとして,「かかりつけとなっている人口集団を意識し,必要とするケアの性質によってレイヤー化していくこと」,それがプライマリ・ケアを担うという意味では重要なことなのだろうと考えています(図1)。

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図1 プライマリ・ケアを提供する診療所や病院外来におけるレイヤー化のイメージ(クリックで拡大)

藤沼氏の作成による例。診療所や病院の一般外来に通院している患者群を,仮の健康リスクに基づいてレイヤー化した。図のように,リスクが高いレイヤーには個別の手厚い介入(ケア・マネジメント)を,リスク中等度から低いレイヤーには多職種連携による集団教育の介入(パネル・マネジメント)を行うなど,レイヤーを意識した介入の戦略を発想しやすくなる。
吉田 人口集団をレイヤー化する?

藤沼 「自施設を利用する人たちのほぼ全数について,どんな人たちがどれくらい存在し,どのようなかたちで利用しているのかを分類して把握すること」と言えるでしょう。

 家庭医は目の前の患者だけでなく,地域の人口集団の健康状態についても目を配らねばなりません。そこでレイヤー化という方法が有効で,数年に1回急性疾患でかかる人,2年に1回くらい風邪でかかる人,月に1回は慢性疾患でかかる人……などに整理できるのはもちろん,レイヤーごとに健康状態の向上をめざした効果・効率的な介入を発想しやすくなるのです。

吉田 面白いです。「地域の人口集団を診る」という認識はありましたが,それらをレイヤー化するという方法論は初めて聞きました。

藤沼 あまり言われていないことかもしれません。でも,離島や山間地域の無床診療所で活動するような家庭医なら,レイヤー化は自然と意識していることだろうと思いますよ。彼らは担当するエリアが定まりやすく,人口も固定的で年齢,性別,疾病構造なども把握しやすい環境にありますから。そうした実践を都市部で再現することが理想なのですが,まだ十分ではないのが現状でしょう。

 このような意識を持てるようになると,発展的には「本来受けるべきケアを受けていない患者」を同定することが可能になる。さらに,これまであまり関心を向けられてこなかった「状態の安定した単一慢性疾患患者や健診のみで受診する患者」といった群まで把握できる。そうなれば,それらのレイヤーに対するケアや予防的介入など,地域の健康状態の向上を狙った戦略を具体的に発想することにもつなげていきやすいと思うのですね。

吉田 フリーアクセスの医療提供体制をとる日本では,そうした層まで把握するのは難しいと思っていました。しかし,この方法なら有効ですね。

藤沼 ええ。推計でもいいから,地域のかかりつけ患者の集団について把握しようと試みるのが大切です。人口集団を通し,どんな医療がどの程度,どのような質で求められているのかを分析する。さらに,そこからアンメット・ニーズを拾い上げて,適切なケアや医療を構築することまで行う必要があります。つまり,「患者が何かを訴えてきたときに対応するのが仕事」という考え方からは脱却が必要で,「自分の担当する人口集団の健康状態に“責任”を持つ」という意識が求められるということなのです。

社会構造の変化で,地域基盤の家庭医がより重要に

吉田 藤沼先生のご指摘を踏まえると,家庭医はより広範の対象者を相手にすることになるわけですから,おのずと単独では限界を迎えることになります。必然的に,多職種との連携を今以上に密にする必要がありそうです。

藤沼 まさにそのとおりです。現状,都市の診療所や病院一般外来でプライマリ・ケアを担っている医師は,高リスク群への対応に消耗しており,中等度-低リスク群にはあまり関心が持てないか,流してしまっているだろうと予想されます。

 「じゃあ総合診療医を増やせばいいじゃないか」という指摘を受けそうですが,そう簡単にはできないでしょう。海外の医療の歴史をさかのぼっても,プライマリ・ケアを専門とする医師が爆発的に増えた例がないんです。日本だけがうまくいくとはなかなか思えません。そう考えると,不足しているケアを充実させるためには,専門職連携を促進させる,さらに看護師・保健師に権限を委譲し,裁量権のあるヘルスプロフェッショナルとして活躍できる体制を築く必要があるでしょう。

吉田 現場での感覚からも,安定した慢性疾患などリスクの低い患者であれば,必ずしも医師の介入でなくてもいいというのは納得できますね。

 ここまでお話を伺い,藤沼先生が「プライマリ・ケアを核にヘルスシステムを考えるのがいい」とかねてより指摘されている理由がわかってきました4)。

藤沼 特に,今後起こる人口構造の変化を踏まえて持続的なシステムの在り方を考えると,それがスムーズな発想だと思うのです。

 人口全体に占める「子ども+高齢者」の割合の変化を見ると,1990年頃をボトムに,以降は一貫して上昇していきます(図2)。子どもと高齢者には重要な共通項があって,それは「地域とのかかわりが強い」ということ。学校・会社などの要因で地域を離れる可能性の高い他世代と比較し,子どもと高齢者はライフサイクルの中で最も地域への土着性が強くなる時期なのです。全人口に占めるそれらの世代の割合の増加が見込まれる点から,医療に限らず,社会福祉サービスも含めて,「地域」を基盤にした社会を構築する必要性があると指摘されています5)。

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図2 人口全体に占める「子ども+高齢者」の割合の推移(1940-2050年)

吉田 地域基盤がキーワードになる,と。

藤沼 そう。つまり,ローカル型のヘルスケアのオペレーションシステムにアップデートが求められている,というわけですね。

 ここで家庭医に引き寄せて考えると,家庭医の重要性が相当増していることがわかります。くしくも子どもも高齢者も,もちろんそれらの方々と共に暮らす家族も,家庭医が診る患者群です。何より,地域・共同体にアプローチする「地域志向性」(community orientation)は,家庭医の得意とするところでしょう。このように,今後の人口動態とそれに伴う社会構造の変化から見ても,家庭医は多職種との連携・協働の中心に位置して,地域住民の健康問題などに対応していく,それが持続発展可能なシステムだと考えられるのです。

キメラ状態にひるまない,よろづ相談医であれ

吉田 今後は多職種との連携・協働を充実させていく必要性があるとよくわかりました。しかし,こうして考えていったとき,家庭医に“しか”できないことって何になるのでしょうね。

藤沼 いい質問です。実は,「これは家庭医だけにしかできません」と主張すべきものはないのかもしれない。でも「これは家庭医としてやるべきことだ」というものはあります。

 その一つが,「multimorbidity」(マルチモビディティ)という多疾患併存状態にある患者への対応です6)。併存疾患が多い場合,全ての疾患に対し,診療ガイドラインに従った医療を注ぎ込むことが,必ずしもベストな選択ではありません。ここでは患者自身の目標も重要で,患者中心にアウトカム設定しながら医療を提供する必要があります。そこで力を発揮すべきがジェネラリストである総合診療医であり,その一翼は家庭医も担うべきでしょう。

 さらに「家庭医ならでは」を挙げるなら,「そもそも問題があるのかすらわからない“キメラ状態”の患者」へのファーストタッチです。医学的問題であるか否かも定かでないし,患者やその家族の心理社会的な問題に要因があるのかもしれない。あるいは本当に何も問題がないのかもしれない――。そういう混沌にアプローチし,その状態を言語化していき,対象者が必要なケア,サポートを受けられるように導いていく。実はこれこそ「Generalism」と呼ばれるものの基本なんだけれど,こうした対応は家庭医療を身につけた医師が得意であるべきことで,もっとも適任なはずなのです。

吉田 思い返すと,最近そうした患者さんを診る機会が多くなりました。併存疾患の多い患者さんであったり,「何が問題だかわからない」「治療は終わったのですが……」といったかたちで他科から患者紹介を受けたり。私としては,「そんなこともあるよね」と自然に受け入れてきましたけど。

藤沼 吉田先生はすでに家庭医のマインドセットを身につけているんですよ。でもその姿勢が重要で,要は家庭医は“よろづ相談医”であるべきってことです。「これは自分の仕事じゃない」なんて言ったら看板を下ろさなきゃいけません(笑)。



吉田 今日,家庭医ができることの幅広さと奥深さを再認識しました。

藤沼 僕は,英国のGP・Iona Heathの語った言葉が気に入っています。「GPの仕事は,通り一遍にやるならこれほど簡単そうに見える仕事はない。しかし,クオリティを高くしようとするとこれほど難しい仕事はない」。

吉田 いやあ,本当にその通りです。

藤沼 現在,社会から“ハイクオリティ・プライマリ・ケア”が求められているわけですから,まさにその「難しい」ことに,われわれはチャレンジしなければならないんですよ。

(了)

◆参考文献
1)Stewart M, et al. Patient-centered medicine : Transforming the clinical method. 3rd ed. Oxon : Radcliffe Medical Press ; 2013.
2)Saultz JW, et al. Interpersonal continuity of care and care outcomes : a critical review.ann Fam Med. 2005 ; 3(2) : 159-66. [PMID:15798043]
3)McWhinney IR, et al. Textbook of Family Medicine. 3rd ed. Oxford University Press ; 2009.
4)舟見恭子.家庭医という選択――19番目の専門医.エイチエス株式会社.2015.
5)広井良典.「コミュニティの中心」とコミュニティ政策.公共政策.2008;5(3):48-72.
6)Boyd CM. Clinical practice guidelines and quality of care for older patients with multiple comorbid diseases: implications for pay for performance. 2005 ; 294(6) : 716-24[PMID:16091574]

ふじぬま・やすき氏
1983年新潟大医学部卒。東京都老人医療センター血液科生協浮間診療所所長などを経て,2006年より医療福祉生協連家庭医療開発センターセンター長,15年より千葉大大学院専門職連携教育研究センター特任講師。専門は家庭医療学,医学教育。第21回武見奨励賞受賞。日本プライマリ・ケア連合学会理事,『総合診療』誌編集委員などを務める。家庭医としての診療を続けながら,家庭医療後期専門研修プログラムの運営や,診療所グループによる家庭医療学研究プロジェクトなどを進める。blog「藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Education」

よしだ・しん氏
2006年名市大医学部卒。飯塚病院で初期研修後,同院総合診療科を経て,13年より現職。家庭医療専門医。13年から2年間,日本プライマリ・ケア連合学会若手医師部会の代表として,若手家庭医ネットワークの発展に尽力。WONCA APR Rajakumar Movement(世界家庭医療機構アジア太平洋支部若手家庭医ネットワーク)代表,日本プライマリ・ケア連合学会専門医部会国際活動班,国際キャリア支援委員会委員,国際関係委員会協力委員なども務める。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53455/Default.aspx
中医協総会 “かかりつけ薬剤師”包括的な評価導入へ 大型門前、調剤料に切り込みも改定小幅か
2015/12/07 03:52 ミクスOnline

厚労省は12月4日の中医協総会で、“かかりつけ薬剤師”を包括的に評価する新たな点数の導入を提案した。一方で、大規模門前薬局の調剤基本料や一包化加算など調剤料を引き下げる。2016年度から3年間でこうした方向性を段階的に強め、薬局機能の転換をうながす。地域包括ケアの中で残薬や多剤投与を減らすなど医薬品の適正使用を推し進め、医療費の伸びの適正化につなげたい考えだ。焦点の改定財源については、調剤報酬の見直しだけでは100億円を切るとみられ、調剤報酬自体も大幅なマイナスとはならない見通し。予算編成も大詰めを迎えるが、財務・厚労両省の折衝は市場拡大再算定や巨額再算定など薬価制度改革への比重が高まっている。

調剤医療費7.2兆円のうち、技術料は1.8兆円。このうち、調剤基本料は5077億円と3割を占める。一方で、調剤料・製剤加算は9756億円で約6割を占める。財務省が財政審に示した提案通り調剤料を現行の半分の水準まで引き下げたと試算すると、損益差額は個人で約半分、法人では約1/4にまで低下する。店舗数でみれば、1店舗の薬局や2~5店舗の薬局では、損益差額三桁の大幅な赤字に転落する。6店舗以上では黒字を維持できるものの、損益差額は半分の水準にまで低下する。

一方、調剤基本料も、仮に特例引下げの範囲を財務省提案の提案(処方せん回数1200回以上で集中率70%以上、処方せん回数2500回で集中率50%以上)通りに拡大すると、店舗数によらず、400~500億円の減収となる。むしろ20店舗以上の薬局ではなく、1店舗の薬局では損益差額は300億円を超える大幅な赤字となると試算される。

こうした状況から、16年度改定だけで調剤報酬を深堀することに慎重論も示されている。今改定は小幅にとどめ、今後数回の改定を経て、かかりつけ薬剤師の職能の向上を目指しながら医療費全体の適正化を図るべきとの意見も見られるところだ。

◎かかりつけ薬剤師・薬局の職能発揮をうながす 調剤偏重、立地依存からの脱却を

厚労省が中医協総会に示した調剤報酬の見直し案は、これまでのモノと立地に依存し、調剤偏重と呼ばれた業務から脱却し、超高齢化社会の中で、かかりつけ薬剤師・薬局が職能を発揮するよう強く促す内容となっている。服薬情報の一元的・継続的把握や、在宅業務を“かかりつけ薬剤師”として手厚く評価する一方で、これまで収益を支えてきた調剤基本料や調剤料には切込みを入れる。

かかりつけ機能については、従来の基準調剤加算に加え、包括的な点数を新設する。医師と連携した服薬情報の一元的・継続的な管理、24時間対応・在宅対応を具体的な要件とする考えだ。

前回の14年改定では、かかりつけ機能の評価として、医科では地域包括診療料、地域包括加算が新設され、調剤では基準調剤体制加算の要件に24時間対応や在宅訪問などの要件が盛り込まれた。今回の改定では、この方向性をさらに強め、調剤版の地域包括診療料の新設や基準調剤加算の要件追加などを盛り込んだ。基準調剤加算の要件は、24時間対応や在宅訪問を実績ベースに見直すほか、休日・夜間対応など開局時間や相談時のプライバシーの配慮などを追加する。そのほか、“かかりつけ薬剤師”が勤務することの重要性を強調し、「一定時間以上勤務する薬剤師」がいることを要件に追加することも提案した。

◎残薬確認と調整を行う“ブラウンバッグ”を評価 調剤後の継続的管理を

服用薬の一元的・継続的管理については、残薬や重複投与の防止、薬剤服用歴管理指導料の見直しを提案した。

残薬を評価する仕組みとしては、患者に残薬を保険薬局に持ってきてもらい、残薬確認と調整を行う“ブラウンバッグ”を評価する点数の新設を打ち出した。福岡市や鹿児島県で実施され、薬剤費の削減効果が認められており、全国的な普及を目指す。これまでの調剤業務は、主に処方せんを受け取り調剤した薬剤を患者に渡すところまでだったが、調剤後の服薬管理・指導の評価を手厚くすることになる。これまでの病院完結型から在宅へとシフトする中で、薬剤師が調剤後まで視野に入れた継続的な服薬状況の把握・管理をすることで、残薬の解消につなげたい考えだ。

重複投与の防止では、「重複投薬・相互作用防止加算」の算定率が1%にも満たないことから要件を緩和し、浸透を進める考えだ。過去の副作用歴やアレルギーなどによる処方変更、同一医療機関などからの処方せんに基づく疑義照会について現行ルールでは算定できないが、要件を緩和する。

◎電子版のお薬手帳も紙媒体と同様の点数に

そのほか、薬剤服用歴管理指導料は、お薬手帳発行後、2回目以降の点数を低く設定する。日本薬剤師会などがすすめる電子版のお薬手帳も紙媒体と同様の点数とすることも盛り込んだ。

一方で、これまでインセンティブの高かった調剤基本料や調剤料は見直す。特に、大規模門前薬局の調剤基本料については、今後段階的に引下げの範囲を拡大する。現行ルールでは、集中率70%以上で処方せん回数月4000回以上、集中率90%以上で処方せん回数月2500回以上の薬局を特例として基本料を引き下げていた(41点→25点)が、この範囲が拡大される。特例除外とされていた24時間開局薬局も引き下げの対象とする。20店舗以上など店舗数の多い薬局や特定の医療機関から処方せんを多く受け付けている薬局、医療モールなど特定の医療機関との関係性が深いとみなされる薬局などについては引下げを検討する。そのほか、投与日数に応じて増加してきた調剤料や一包化加算の仕組みを見直すことも盛り込んだ。

診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は財政審の建議について、「内容は非現実的で、乱暴なものと言わざるを得ない。薬局の廃業、倒産に結びつく内容であることは明らか。地域包括ケアの薬局推進に取り組む前に小規模薬局から消滅してしまい、ひいては地域医療提供体制が崩壊する」と述べ、急激な政策転換ではなく、複数回にわたる段階的な施策の実施を求めた。

その上で、「地域の薬局薬剤師が地域包括ケアシステムの一員として顔の見える関係として、24時間対応、在宅対応、医療機関との連携を発揮する方向に着実に進んでいく」と述べ、日本薬剤師会としてかかりつけ薬剤師、薬局を浸透させる決意を示した。


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