Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月25日 

http://blogos.com/article/146423/
主張/財政審の建議/“削減ありき”で医療を壊すな
しんぶん赤旗2015年11月25日 09:22

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会が2016年度の政府予算編成に向けた建議(意見書)をまとめ、麻生太郎財務相に提出しました。歳出削減の対象に、もっぱら社会保障を挙げ、国民に必要な医療・介護の費用などを容赦なく削り込むことを要求しています。「社会保障を充実させる」といって、国民に消費税増税で負担を求めておきながら、予算編成のたびに社会保障費の抑制や削減ばかりが焦点になること自体、異常としかいいようがありません。国民の暮らしと安心を揺るがす社会保障費削減路線は、やめるべきです。

機械的カットが前面に

 16年度予算編成では、すでに今夏の概算要求の段階で、社会保障費の伸びを15年度概算要求より1600億円も抑え込み6700億円の増加しか認めていません。24日の財政審建議は、この伸びをさらに削り、5000億円弱の増に圧縮することを要求しました。

 安倍政権が今年6月に決定した「財政健全化計画」では、16年度から3年間で社会保障費の増加分を約1・5兆円に抑える方針を掲げています。それを「先送り」するな、と強く迫る内容です。

 なかでも建議が、「重要課題の一つ」と明記し、「削減」の標的にしているのは、公的医療保険財政から医療機関に支払われる診療報酬です。16年度は2年に1度行われる診療報酬改定の年にあたるためです。患者がかかる医療の範囲や質を左右する診療報酬を「削減ありき」で機械的に引き下げることは、きわめて乱暴です。医療技術の質を保つために必要な報酬が手当てされなければ、国民は安心して医療機関にかかれません。かかりたい医療が保険から外されてしまえば、患者の負担は深刻です。

 財政審の建議は、薬の値段とともに医師の技術料も含めて「マイナス改定が必要」と強調しました。技術料まで踏み込んだマイナス改定が仮に強行されれば、医師不足などで地域の医療機関が撤退するなどして「医療崩壊」を加速させた06年の改定以来です。またもや国民の健康と命を危機にさらそうというのか。まさに無反省です。

 財政審建議は、安倍晋三首相の政権復帰後の予算編成で、13〜15年度と連続して社会保障費の伸びを年5000億円程度に抑え込んだことを示し、予算圧縮は可能であるかのようにいいます。

 しかし、日本の社会保障費は、高齢者人口の増加や、医療技術の進歩・改善などにより年1兆円規模の「自然増」が必要とされています。それを無理やり半分に抑え込んだ結果、13年度は生活保護費の大削減、14年度は診療報酬の実質マイナス改定が押しつけられました。15年度も、介護報酬を過去最大規模で削減し、特別養護老人ホームなどの経営に打撃を与え、サービス利用者に深刻な影響を広げています。年金も実質カットです。こんな社会保障破壊が続けられては、国民の暮らしは、まったく成り立ちません。

政治の姿勢を変えてこそ

 診療報酬を1%引き下げて削減できる国費約1000億円は、トヨタ自動車1社の研究開発減税1200億円とほぼ同額です。大企業減税の大盤振る舞いをやめれば、社会保障費財源は確保できます。大企業中心の政治から、国民の暮らしを最優先にする政治への転換がいよいよ必要です。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47424.html
日医横倉会長「本体マイナス容認できない」- 「国民が医療受けられない」と強調
2015年11月25日 21時00分 キャリアブレイン

 日本医師会(日医)の横倉義武会長は25日に開いた記者会見で、前日に財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が、2016年度診療報酬改定で本体の改定率をマイナスにするなどして、社会保障関係費の伸びを抑えるよう求める建議をまとめたことについて、「到底容認できない。本体マイナスになれば医療機関の経営が苦しくなり、国民が医療を受けられない事態になる」と述べた。【君塚靖】

 横倉会長は、「診療報酬が下がって一番困るのは、やはり国民。医療従事者は収入が減っても、一生懸命にサービスをしようとするが、それができなくなる地域が出てくることをわれわれは心配している」と述べた上で、日医としては国民が過不足ない医療を受けられるよう、引き続き必要な財源を求めていくとした。

■国公立以外の民間病院は20床―49床で赤字転落

 この日の会見では、今年実施された医療経済実態調査(医療実調)についての日医の見解を発表した。日医の見解はすでに、20日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で明らかにされていたが、見解の詳細と、同日の総会で支払側委員から受けた質問への答えも示した。

 会見で見解の詳細を説明した中川俊男副会長は、中医協総会で支払側を代表して医療実調を分析した健康保険組合連合会(健保連)が、前回や前々回の医療実調を並べて経年として中期トレンドととらえていたことについて、「医療実調は、直近2事業年度の定点調査なので、客体が違うものを経年で比較するのは問題がある」と改めて強調した。

 また、同じく20日の中医協総会で健保連が一般病院について、赤字体質の公立病院を含めると、損益差額率は病床規模別ではすべての規模で赤字だが、公立病院を除くと50―299床規模で黒字を維持していると指摘したことに対し中川副会長は、一般病院は国公立も民間病院も損益差額率が低下したとコメントした上で、「国公立以外の民間病院は20―49床が赤字に転落し、50―99床も損益差額率が連続して低い」とのデータを示した。



http://www.sankeibiz.jp/business/news/151125/prl1511251622140-n1.htm
他院の処方を「明らかにおかしい」と思ったことがある医師は、4人に3人。しかしその場合でも「処方医への疑義照会・意見・相談」は「全くしない」が多数派~「医師から医師への疑義照会」実態調査~
2015.11.25 16:22 SankeiBiz


グラフ1
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グラフ2
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グラフ3
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月600万人が利用する日本最大級の病院検索・医薬品検索・医療情報サイト群ならびに医療者向けサービスを運営する株式会社 QLife(キューライフ/本社:東京都千代田区、代表取締役:山内善行)は、他医の処方に対する「医師からの疑義照会」がどの程度なされているのか、その実態を確かめるべく、開業医を中心とした医師250人を対象にインターネット調査を実施した。

その結果、7割以上の医師が他院の処方内容を見て、「明らかにおかしい」と思ったことがあった。ただし「明らかにおかしい」と思っても、7割以上の医師は処方医に対して疑義照会・意見・相談を全くしていないことがわかった。

昨今、ポリファーマシー(多剤処方)の問題が指摘されることが増えてきた。特に患者が高齢になると、複数の病態や疾患を抱えていることが多いため、それぞれの専門の医師による別々の治療によって、薬が追加されてしまいやすい。患者がかかりつけ薬局をもち、それが機能していれば、成分の重複や相互作用リスクに「気がつく」ところまでは役割を果たせるかもしれないが、主体的に交通整理するところまでは難しい。まして、ポリファーマシーの弊害を防ぐとの観点で積極的に薬を減らす検討は、かかりつけ医でなければ不可能だろう。

そのため診療所の医師には、個別最適を全体最適の目で補正する役割が期待されるが、実態としては、他院の処方に疑問を呈すだけでもかなり困難であることが明らかとなった。背景として、臨床現場の多忙さや専門性の高い治療法への知識不足もあるが、「言いづらい」「トラブルの原因になりそう」「言っても効果ない」といった理由も多い。ただし、自分が他院から疑義照会を受けた経験がある医師が2割以上はいるため、施設を越えた医師同士のコミュニケーション促進策が望まれよう。

詳細な調査結果は http://www.qlife.co.jp/news/151125qlife_research.pdf からダウンロードできるほか、医療者向け情報サイトQLifePro医療ニュース(http://www.qlifepro.com/news/)でも掲載されている。

【結果概要】
1) 他院の処方に「明らかにおかしい」と思ったことがある
74%の医師は他院の処方内容を見て、「明らかにおかしい」と思ったことがあると回答した。

2) 他院の医師に対して疑義照会・意見・相談をしたことがある
他院の処方内容を見て「明らかにおかしい」と思った場合でも、76%の医師は疑義照会・意見・相談は「全くしない」ことがわかった。疑義照会しない理由としては、「他院を尊重」「面倒・多忙」「トラブル回避」が多かった。

3) 他院から疑義照会・意見・相談を「受けた」ことがある
22%の医師は、他院の医師から、疑義照会・意見・相談を受けたことが「ある」と回答した。

【調査実施概要】
▼調査主体
株式会社QLife(キューライフ)
▼実施概要
(1) 調査対象: 診療所の理事長・院長・副院長・勤務医
(2) 有効回収数:250人
(3) 調査方法:インターネット調査
(4) 調査時期:2015/8/11 ~2015/8/18

………………………………………………………………………
▼株式会社QLifeの会社概要
会社名 :株式会社QLife(キューライフ)
所在地 :〒100-0014 東京都千代田区永田町2-13-1 ボッシュビル赤坂7F
代表者 :代表取締役 山内善行
設立日 :2006年(平成18年)11月17日
事業内容:健康・医療分野の広告メディア事業ならびにマーケティング事業
企業理念:医療と生活者の距離を縮める
URL  : http://www.qlife.co.jp/



http://www.minyu.ne.jp/digitalnews/151125_1.htm
紋別医師会啓発講座を初開催、安易な救急要請遠慮を
(11月25日付け)北海民友新聞

 紋別医師会(小林正司会長)が主催する市民健康講座が20日夜、市文化会館で開かれ、市民約160人が救急車の正しい利用法について理解を深めた。救急車の出動件数は全国的に年々増加傾向で救急車の到着時間と病院収容までの時間が延びている現状がある。その一因として、緊急性のない病気での通報や通院時のタクシー代わりに利用するケースがみられ、社会問題化している。小林会長は「紋別市は脳梗塞や急性心疾患の患者を管外搬送できるようになっており、救急車が出払うことも考えられる。軽度のけがや病気での119番通報はなるべく控えてほしい」と呼びかけた。

 救急医療普及啓発事業として企画したもので、医師会が市民向け講座を開催するのは初の取り組み。

 日本全国で救急車は年間540万件の出動要請があり、そのうちの半数は入院を必要としない軽症者だったという。小林会長の病院にもかつて、人差し指に釣り糸が刺さった市外の釣り客が搬送されてきたことがあった。小林会長は「日本はイギリスと並び救急車配備の先進国といわれ、アメリカと違い無料で医療機関へ搬送してもらえる。だが、安易に利用する人が増えたため、到着時間の遅れが社会問題になっている」と課題を指摘。その一方で「紋別では軽症者による救急要請が全国平均に比べて少ない。市民の皆さんはよく考えた上で通報していると思う」と述べた。

 紋別市では平成20年から3台体制で救急車を運用。搬送区域は市内にとどまらず、平成23年からは脳梗塞患者を北見の道東脳外科病院へ、平成25年からは急性心筋梗塞患者を遠軽厚生病院へ市内の医療機関を経由せず直接搬送することが可能になっているが「直接搬送は救急救命士の判断で行っている。患者に脳梗塞の疑いがあるかどうかを見極める能力は若手専門医並みに高い」(小林会長)という。その上で「管外に直接搬送すると片道で最大2時間かかり、救急車が手薄になる。その間に軽症者が利用すると重傷者の搬送に支障をきたす。安易な利用は避けてほしい」と訴えた。



http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0205700.html
医師奨学金を肩代わり せたな町、地元勤務で一部免除
11/25 07:00、11/25 08:23 更新 北海道新聞

 【せたな】檜山管内せたな町議会は24日、町立国保病院・診療所の医師確保策として、都市部などの若手医師が町内で一定期間勤務することを条件に、大学在学中に借りた奨学資金の未返済分全額を無利子で貸し付ける条例案を可決した。返済は10年以内で、契約した期間通りに勤務すれば貸付額の3分の1の返済が免除される。

 道によると、医療従事者を目指す学生を対象に奨学金を貸し付ける事業を行っている市町村は道内で約4割あるが、他の機関から受けた奨学金の返済分を貸し付ける形で医師の確保を目指す制度は初めてという。勤務する期間は返済期間などによって町との話し合いで決める。

 町は来年4月、空知管内で現在勤務する30代の男性研修医を町立国保病院の常勤医に採用する予定で、適用第1号として医師が未返済の奨学金約2500万円の貸与手続きを今後行う。



http://news.livedoor.com/article/detail/10873735/
ジェネリック医薬品に半数以上の医師が「不信感」 完全に同じ薬ではない
2015年11月25日 16時0分 NEWSポストセブン

 11月6日、厚生労働省は医師などを対象に行なったジェネリック医薬品についての意識調査の結果を、中央社会保険医療協議会に報告した。

 それによると、病院勤務の医師のうち54.9%、つまり半数以上が、現在のジェネリックに対して「不信感がある」と回答。その主な理由は、先発医薬品との「効果・副作用の違い」(67.9%)、「使用感の違い」(38.6%)などである。

 ジェネリックは、医薬品の「有効成分の特許」が切れた後に発売される低価格の後発薬で、年々かさむ医療費を抑えるための「救世主」と目されてきた。

 新薬の開発には臨床試験などの費用として数百億円かかるといわれるが、先発薬と同じ有効成分を使うジェネリックは臨床試験が大幅に割愛されるため、開発費が節約され、薬価が抑えられる。先発薬と比べて3~5割安くなる場合もある。

 厚労省によると、2012年度の国民医療費は約39兆2000億円。2025年度には55兆円を超えるとみられている。ジェネリックの利用が増えれば患者個人の医療費だけでなく、国民医療費を大幅に削減することにもなる。

 政府は今年5月、2020年度末までにジェネリックの普及率を80%以上に引き上げるとする目標を掲げ、医療財政を健全化するための施策とした。

 そんな中で発表された今回の調査結果は、医療業界で大きな話題となっている。医師たちがジェネリックに不信感を抱く主な理由である先発薬との「効果、副作用の違い」は、“特許が切れた後”という部分に起因している。

『なぜ、あなたの薬は効かないのか? 薬剤師しか知らない薬の真実』(光文社刊)の著者で薬剤師の深井良祐氏が解説する。

「医薬品の特許は、有効成分そのものの『物質特許』や薬の製造過程に関わる『製剤特許』など様々です。最初に切れるのが『物質特許』で、多くのジェネリックはこの特許だけを真似して出されています。

『製剤特許』が切れるまでは成分と用量は先発品と同じでも、製剤法は同じではないのです。さらに薬は有効成分だけでなく、添加物も含まれます。剤形(錠剤、カプセル、粒状などの形)の違いで効果に差が出る可能性もあります」

 つまり、ジェネリックと先発薬は「完全に同じ薬」ではない。

 双方を治療で使用した場合に全く同じ効果が出るかどうかを検証した調査は存在しない。患者がジェネリックに切り替えたところ、発作の悪化や副作用の出現が報告された事例もあるという。新潟大学名誉教授で医師の岡田正彦氏は次のように語る。

「添加物や剤形が変わると、薬の溶け出す速度が変化したり、有効成分が分解されやすくなったりします。人によっては効きすぎたり効果が出にくかったりする。同じ料理を同じ材料、分量で作ったとしても、違う調味料が加われば異なるレシピとなり、味も変わるのと同じことです」

 前出の深井氏は、実際に効果の差が表われやすい医薬品を挙げる。

「たとえば、喘息を治療するための貼り薬のジェネリックを敬遠する医療従事者は多い。貼り薬は肌にピタッと貼ることで徐々に薬が溶け出していく。溶け出しのタイミングは、製剤方法に左右されます。それが真似できない状況でジェネリックが次々と出てくるため、効果に違いが表われやすいのです。その他にも“外用薬”といわれる湿布や点眼薬、塗り薬などは、効果に差が出やすいと言われています」

※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号



https://medical-tribune.co.jp/news/2015/1125037868/
日本医療研究開発機構の展望
「がん」と「難病・未診断疾患」からゲノム医療を推進

学会レポート | 2015.11.25 Medical Tribune

 日本医療研究開発機構(AMED)が今年(2015年)4月にスタートして半年が過ぎた。理事長の末松誠氏は,第74回日本癌学会学術総会(10月8〜10日,会長=名古屋医療センター院長・直江知樹氏)でAMEDの現状と今後の取り組みについて説明し,「ゲノム医療実現のため,AMEDの主要9プロジェクトの中でも,まずはがんと難病・未診断疾患の領域から進める方針だ」と述べた。

 AMEDの事業は縦割り(戦略推進部の7つの事業課)と横割り(5事業部)が交差する構造で,研究開発のプラットフォームとして進めている(図では9つのうち7つのプロジェクトを提示)。健康・医療戦略推進会議の下に設置されたゲノム医療実現推進協議会では中間取りまとめが発表され,その中で9つのプロジェクトのうち,まず「がん」と「難病・未診断疾患」の領域でゲノム医療を推進していくとしている。

<図>戦略推進部と他5事業部との「縦横連携」
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(末松誠氏提供)

 末松氏はAMEDが,がん関連学会と共にリードしていかなければならないと認識している課題として以下の6点を挙げた。

 ①病理検体の標準化を中心とした地方拠点構築整備事業(その運営を支える専門医師,分子生物学やゲノムに精通した病理専門医の育成)
 ②実践をしながらのアノテーション人材*1の育成
 ③日本人がんゲノム情報+詳細な治療情報のデータベース構築
 ④次の創薬に向けた検体二次利用の管理体制の構築
 ⑤シーズの枯渇を招かないような基礎研究への力点
 ⑥スピードの遅れは致命傷になる(走りながらprecision medicine*2を構築していかねばならない)
ゲノム研究をゲノム医療に

 日本では40年以上の難病研究の歴史があるが,国際連携に関しては国としての取り組みが進んでいなかった。AMEDは,リーディングプロジェクトの1つとして未診断疾患イニシアチブ(IRUD)を立ち上げた。IRUDはその研究開発を通じて,希少・未診断疾患患者に対して体系的に診断する医療システム,患者情報を収集蓄積し開示するシステムを確立することを目的としている。
 IRUDは,かかりつけ医,拠点病院(総合病院),IRUD解析コンソーシアム,データネットワークなどの連携により診断困難な患者をフォローアップする診断体制を構築し,参加する拠点病院にIRUD診断委員会を設置し,全国配備を目指すという。小児は国立成育医療研究センター,成人は国立精神・神経医療研究センターが中心となり,全国に拠点を配置していく。
 末松氏は「ゲノム研究をゲノム医療につなげるためには,フェノタイプのマッチングが非常に重要と考えており,かかりつけ医,解析コンソーシアム,診断委員会の間で,個人情報を明らかにしなくてもゲノム情報のやり取りができるように体制を整えていきたい」と述べた。
 特に希少疾患・難病の場合は,国内に同じ症状の患者が存在するとは限らないため,国際的に情報を共有する枠組みが必要となる。AMEDはIRUDの立ち上げとともに,7月30日には国際希少疾患研究コンソーシアム(IRDiRC)に加盟した。しかし,IRDiRCもまだ方向性が固まっていない状況で,①データ共有の方法②ゲノム情報の使用に関する世界共通の仕組みがない③Machine-readable consent(どの国のどの情報がどのようなインフォームド・コンセントを得て使用可能になっているのかを世界のどこでも分かる)という概念−などが問題となっている。同氏は「もう1つ重要なことは,難病研究に限らないが,ヒトゲノムの解析が進展した際に,研究のリーダーだけでなく,他の研究者の貢献もできるだけ等しく認めるという考え方(Microattribution)である」と述べた。

医療研究開発の加速を図る

 末松氏は「ぜひ皆さんに知ってもらいたいこと」として研究費の機能的運用について説明。AMEDのウェブサイトには『研究費の機能的運用について(Vol.2)』が掲載されている。現在可能なことは①合算使用(設備・旅費)②目的使用をした場合の目的外使用③直接・間接費による研究補助員雇用④年度末までの予算執行(報告は5月末でよい。各省共通)−などである。
 来年以降は①間接経費の弾力的運用と透明化(各大学・研究機関が本当に研究インフラ・環境の充実に使っているか)②採択から契約完了までのスピードアップ③明許繰越制度の運用(各省バラバラのルールを統一し,できることを明文化)−などを考えているという。同氏は「現場の研究者の皆さんの意見で大学・研究機関の管理体制を改革し,医療研究開発の加速を図る必要性がある。AMEDはそれを応援する」と述べた。
 横割りの事業では,創薬等支援技術プラットフォーム事業,難病創薬支援事業なども進行しており,来年からはClinical databaseを利用した効果的な臨床研究推進体制の強化なども開始される。同氏は「AMEDは,がん研究課以外のがん研究プログラムが明確になる公募情報の提供を目指す。また,他分野で導入した高価な機器を全てのプロジェクトでも利用できる体制を求めていく」と述べ,「がんの研究費はがん研究課以外の部分も大きいということをご理解いただきたい」とまとめた。
(慶野 永)

*1 データの信頼性を評価,解析し,解析結果を解釈,活用できる人材
*2 精密医療:遺伝子プロファイルを利用した個別化治療



http://www.asahi.com/articles/SDI201511233259.html
シリーズ:スタッフを育てる
診療所に医師や看護師を集めるために

アピタル・武藤真祐
2015年11月25日09時20分 朝日新聞

医師や看護師などの医療専門職はとても流動性が高い職業です。武藤真祐さんは日本国内では、東京都文京区と練馬区、宮城県石巻市の3カ所で在宅療養支援診療所を経営していますが、どんどん医師や看護師を採用しているように見えます。医師や看護師の不足が叫ばれる中、なぜこのように貴重なスタッフが集まってきているのでしょうか。(アピタル編集部)

 現在、日本国内の診療所に関しては、常勤医師が11人、非常勤医師が14人います。看護師は15人です。他に理学療法士(PT)が1人、社会福祉士(SW)が1人います。この2人は、その資格を基礎資格として持っているだけでその仕事をしているわけではありません。私たちのクリニックでは、連携部として、看護師やPT、SWが地域医療連携の仕事もしています。

 私たちも、常勤の医師や看護師を集めるにとても苦労しました。開業した当初の常勤医師は私一人で、そのあと少しして整形外科の医師が加わってくれました。彼は、もともと友達だったので、「来てくれないか」と相談したらありがたいことに来てくれたのです。それ以外は、非常勤の医師で対応していました。患者さんが増えていく一方で、常勤医師の採用が難しいので非常勤で埋めていくということが3年ぐらい続いたのです。非常勤医師は、知り合いの紹介をたどったり、医局などから派遣してもらったりしていました。

 私たちの診療所に常勤医師が増え始めたきっかけは、三つあります。一つは、在宅医療の実績を積み上げていくことで興味を持ってくれる医師が増えたこと。二つめは、採用担当者をおいたこと。そして、三つめは組織がだんだんと成熟していくにあたり、非常勤医師として祐ホームクリニックで働くうちに常勤になる決断をしてくれる人も増えてきたのです。

 特に最後のパターンについて言えば、非常勤医師から常勤医師になる決断は非常にハードルが高いのです。どこかに勤めていて週1回アルバイトに行くのと、そこに常勤になるのは全く違うのです。ある意味ではアルバイトは割り切ってやることができますが、常勤となると人生の設計図の中に組み込むということになります。私たちの診療所で非常勤医師から常勤になった医師は、元の勤務していた病院の規模は大きく、またいわゆる有名な病院に勤務していた人も多いです。そして、在宅医療だけではなく外来や検査に従事し、人によっては研究に身をおいていた人も居ます。このような環境では、周囲に在宅医療をやる医師はほとんどいません。そんな彼らが非常勤として在宅医療の現場で働いている中で、祐ホームクリニックの魅力に気づき常勤医師の道を選んでくれたのです。これはとてもうれしいことです。

 我々のクリニックで常勤医になると、約80%は在宅医療に時間を使うことになります。例えば、誰もが知っている有名病院の勤務医から、言ってしまえば無名の診療所の勤務医になる。そのギャップはすごく大きく、人生のキャリアの大きな転換点になることは間違いありません。

 開業して6年弱たち、こうした常勤医たちが、クリニックの診療、研究、教育において、大きな役割を担ってくれるようになってきました。次回以降に医師及び看護師が常勤として勤務してくれるために当院の取り組みをお話ししたいと思います。

<アピタル:医療の実践型リーダーシップ・スタッフを育てる>

http://www.asahi.com/apital/column/innovator/

アピタル・武藤真祐(むとう・しんすけ)
医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック理事長・院長
2002年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。三井記念病院などにて循環器内科、救急医療に従事後、宮内庁で侍医を務める。その後マッキンゼーを経て、2010年医療法人社団鉄祐会を設立。2015年、シンガポールで「Tetsuyu Home Care」を設立し、同年8月よりサービス開始した。現在、東京医科歯科大学医学部臨床教授、厚生労働省情報政策参与も務める。INSEAD Executive MBA。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS25H53_V21C15A1EE8000/
診療報酬下げ容認 日医会長、技術料は増額求める
2015/11/26 0:23

 日本医師会の横倉義武会長は25日の記者会見で、2016年度の診療報酬改定について医師の技術料の引き下げは「到底認められない」として増額を求めた。一方、技術料と薬価を合わせた全体の改定率については「全体の上げ下げの議論が必要なのか」と必ずしも引き上げにこだわらない考えを示した。

 日医は国の厳しい財政状況を見越して全体のマイナス改定は容認する一方で、技術料のプラスを目指す方向とみられる。診療報酬は2年に1度見直す医療サービスの単価で、薬の公定価格の「薬価」と医師の技術料の「診療報酬本体」からなる。薬価は市場価格の下落に伴って毎回下がる。

 医療機関の収入に直結する本体部分は日医が毎回、大幅な引き上げを要求。本体のプラス幅が薬価のマイナス幅を上回り、全体の改定率は前回まで3回連続のプラスだった。



https://www.m3.com/news/general/377949
稚内市、4600万賠償へ 悪性リンパ腫の判明遅れ
事故・訴訟 2015年11月25日 (水)配信共同通信社

 北海道稚内市は25日、市立稚内病院で悪性リンパ腫の可能性を疑い転院させるのが遅れたとして、昨年3月に転院先の病院で死亡した未成年(当時)の女性の両親に対し、賠償金として計約4600万円を支払うと明らかにした。裁判外の和解。

 稚内病院によると、女性は2013年11月から3回にわたって入院。当初は急性散在性脳脊髄炎と診断されていた。3回目に入院していた昨年1月の検査で悪性リンパ腫が疑われたため、治療設備が整った病院に移ったが、その後、死亡した。

 両親側は「病気の把握と転院が遅れたことが死亡の原因になっている」と主張。市が認めた。賠償に向け、12月定例議会に関連議案を提出する。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377690
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
財務相、社会保障費増「5000億円弱に抑制」と念押し
経済財政諮問会議「2016年度予算編成の基本方針(案)」議論

2015年11月24日 (火)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 経済財政諮問会議が11月24日開かれ、「2016年度予算編成の基本方針(案)」や経済・財政一体改革の具体化に向けて議論、麻生太郎財務相は、2016年度の社会保障関係費増について、「5000億円弱に抑えていかなければならない」と発言した。高齢化等に伴う伸びとして6700億円増を要求した今夏の予算概算要求から、1700億円強の削減を求めたことになる(資料は、内閣府のホームページ)。

 同日に開催された財政制度等審議会による「2016年度予算の編成等に関する建議」でも同様に、社会保障関係費の伸びを「5000億円弱」に抑えるよう提言している。2016年度は医療以外の分野では主だった改革が予定されていないことから、概算要求から削減されれば、医療費で対応せざるを得ない(『「社会保障費増、5000億円弱に抑制」財政審建議』を参照)。

 民間議員が提出した意見書には、「後発医薬品の薬価は、先発医薬品の価格の半額以下」「7対1入院基本料の一層の厳格化と報酬の引き下げ」など、マイナス改定につながる内容が並ぶ。7対1入院基本料の削減を目指した2014年度診療報酬改定について、「too late,too little」と不十分さを指摘したり、「患者負担増の増加、保険料の増加、手取り収入の減少を踏まえ、2016年度改定は、マイナス改定とすべき」と求める意見も出た。

 財政審の建議では、「薬価改定は、診療報酬本体の財源とはなり得ない」とも明記。2014年度改定では、従来改定とは異なり、薬価・材料改定財源が診療報酬本体の改定財源に充当されなかった(『中川日医副会長、改定で「3つの苦言」』などを参照)。この点を強く問題視する日本医師会をはじめとする医療側をけん制する建議であり、2016年度診療報酬改定が厳しい内容になるのは必至だ。

 もっとも、マイナス改定への圧力が強まる中、塩崎恭久厚労相は、それを正面からは否定せず、「物価や賃金、経営状況を踏まえ、議論する」と述べるにとどまった。

 「2016年度予算編成の基本方針(案)」は、2016年度が「経済・財政再生計画」の初年度に当たることから、「デフレ脱却・経済再生」の取り組みを加速させるとともに、改革工程表を十分に踏まえた上で、歳出改革を着実に推進するのが基本的考え方。11月25日以降、与党自民党の意見をヒアリングし、最終案を作成、経済財政諮問会議に最終的に諮る予定。その後、閣議決定される段取りになる。


2014年度改定、「too late,too little」

 24日の経済財政諮問会議では、民間議員から「経済・財政一体改革の具体化に向けて~社会保障分野~」と題する意見書が提出された。

 基本的考え方として、(1)診療報酬などの改定を通じた、関係者の行動の変化を促すインセンティブ改革、(2)医療・介護関連情報の徹底した開示を通じた国民負担や地域間格差の「見える化」、(3)健康増進・予防サービスにおける優良事例の全国展開の推進――に取り組むことを求めている。

 診療報酬本体については、7対1入院基本料のほか、療養病床入院基本料の引き下げを提言。会議では、民間議員が、「2014年度改定の成果について、厚労相から説明を受けたが、『too late、too little』ではないか。7対1入院基本料の病床も、療養病床もわずかしか変化していない。もっと早く大きな成果を目指して、今回の改定に臨むべき」と対応を求めた。

 薬価については、(1)後発医薬品の価格を先発医薬品の価格の半額以下、(2)特許の切れた先発医薬品の価格の大胆な引き下げ、(3)市販類似医薬品(湿布等)を保険収載から除外、(4)薬価改定の成果は、確実に国民に還元――などを提言。

 調剤報酬については、(1)門前薬局などの調剤報酬の適正化、(2)かかりつけ薬局については、医師との役割分担や健康増進サービスにおいて果たすべき役割の明確化――などを求めた。

 そのほか、地域医医療構想や医療費適正化計画の前倒し策定、徹底した医療の「見える化」のためにNDBの活用などのデータインフラ整備・分析などの必要性も指摘している。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377605
「医師の強制加入組織」、医療の質保証に必要か
医療の質・安全学会、英独の事例交え議論

2015年11月24日 (火)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 第10回医療の質・安全学会学術集会で11月23日、パネルディスカッション「医療職能集団の制度と機能―医療の質保証の体制を国際比較から考える―」で、医療の質保証の観点から、「医師の強制加入組織」の要否やその在り方をめぐり、イギリスやドイツの事例も交え、議論した。

 座長を務めた、小泉俊三氏(佐賀大学名誉教授)は、パネルディスカッションの冒頭、「医療の質、特に医師の質を保証するために、医療のプロフェッションとして、医師の集団はどうあるべきか」と問題提起、日本学術会議が2013年8月に、医師の強制加入組織を提言したことにも触れ(『「全医師加盟組織」は行政からの自立 - 広渡清吾・前日本学術会議会長に聞く』を参照)、海外の事例も踏まえて、医師組織の在り方を検討していく必要性を指摘した。

 イギリスではGMC(General Medical Council;医療総合評議会)、ドイツでは医師会が、それぞれ全員加入の組織として、医師の質の保証を担っている(詳細は、後述)。

 金沢大学付属病院総合診療部特任教授の野村英樹氏は、イギリスの場合、臨床医としての適性評価・診療資格管理などを行うGMC、政治的・経済的交渉を行うBritish Medical Association(BMA;英国医師会)、研究・学術団体であるRoyal Colleges(王立臨床医会)は、相互に利益相反の関係にあるため、「三権分立」しており、この在り方がプロフェッショナルソサイエティとして望ましいとした。「GMCが本当に医師の自律団体なのかを疑問視する声もあるが、医師個人の質保証を目的とした団体が、政府から独立して存在し続けているのは事実」と野村氏は述べ、学ぶべき点があるとした。

 ドイツで約30年、心臓外科医として臨床に従事した経験を持つ、北関東循環器病院院長の南和友氏は、ドイツ医師会が、医療の質・安全に大きな役割を果たしているだけでなく、勤務医の健康管理も行うなど、医師の人権を守る役割を果たしている現状を紹介。「医師の組織は、強制加入にすることが必要。日本においてそれを実現するために、手っ取り早いのは、専門医の認定を行うことではないか。かなり強制力が出てくる」と提案した。ドイツでは、大学医局と地域の病院とは人事的なつながりがないなど、「脱閉鎖体質」であり、風通しのよいことも、医療の質向上につながっているとした。

 これに対し、「医師個人の専門職としての質の保証」よりも、「病院組織としての質保証」に重きを置くべきとしたのが、慶應義塾大学名誉教授の池上直己氏。病院と医師の関係が欧米と日本では異なる上、大学医局を中核とする「医師の階層構造」、基幹病院は公的病院が中心であるなどの「病院の階層構造」が存在するからだ。「ドイツ、イギリスには、技能集団を支えるための基盤があり、専門職はお互いが対等であることが前提。ドイツ、イギリスにも階層構造はあるものの、日本の階層構造は細かく、医師のヒエラルキーや、その医師が勤務する病院のヒエラルキーがあるので、ピアレビューの導入は難しい」。池上氏はこう指摘し、「病院組織としての質保証」には、診療報酬が有力なツールになり得るとした。


 パネルディスカッションでは、「医師の強制加入組織」を考える上で、歴史的な考察が必要という観点から、東京大学医科学研究所公共政策研究分野特任准教授の神里彩子氏が、日本医師会の成り立ちを概説。

 神里氏は1906年制定の医師法以降の医師会の歴史的経緯を説明したが、中でも特徴的なのが、終戦直後の動き。医師会は、戦前は、「強制設立・強制加入制」だったが、戦後はGHQの民主化政策で改組が求められ、「任意設立・任意加入制」となった。その際、医師会執行部は「強制設立・強制加入制」とし、懲戒審議権や医籍の管理などを行うことを検討したとされるが、自治権を持つ重要性について議論し、GHQ側に説明・説得した目立った動きは見られなかったという。GHQのPHW(Public Health and Welfare)医療課長補佐によるPHW覚書には、「医師会の目的、そして医師会に与えられた業務の目的についての理解が多分に欠如しているようである」との記載がある。

 対照的なのが、弁護士会。「弁護士の使命」「弁護士職務の独立の重要性」をGHQに訴え、弁護士法が制定され、「強制設立・強制加入制」が認められた。GHQ民政局法律課長は、弁護士法案を見た際、「本当に占領軍が目的としていたこと、民主化という目的の結晶のように考えられたほど」と述べているという。「GHQの民主化政策、イコール任意設立・任意加入制という図式に必ずしも限らない」と神里氏は指摘、強制設立・強制加入制にはメリット、デメリットがあるとし、「強制設立・強制加入制の組織の要否についての多面的な議論と合意形成が必要」と考察した。

 小泉氏とともに座長を務めた、東京大学教養学部教養教育高度化機構の客員教授の米本昌平氏は、医師組織の在り方の検討に当たって、「医療の質保証や、医療事故の扱いなどに関して、医療プロフェッションが保持すべき機能・制度を整理し直し、取り組むべき政策論的課題を明確化し、共通化する必要がある」と指摘。その実現に向け、オープンフォーラムを継続的に実施していくことが求められるとし、「次のテーマは、(この10月からスタートした)医療事故調査制度の1年後の検証ではないか」と提案した。

 フロアから発言した、医療の質・安全学会理事長で、日本医学会会長の高久史麿氏は、医師組織の在り方は、日医幹部なども交えて議論すべき課題であるとした。「医師のプロフェッショナル・オートノミーを考えると、医師が行政から処分を受けるのはどうか」と疑問を投げかけるとともに、戦後の日医改革について、「トップの判断が、禍根を残す」と述べ、問題が残ることを示唆した。

 イギリスとドイツの現状は、以下の通り(発表内容を編集部で抜粋)。

GMC(英国総合医療評議会):金沢大学付属病院総合診療部特任教授の野村英樹氏

・ GMCは、NHSとは独立した機関で、1858年制定の医療法により設立。イングランド、ウエールズ、スコットランドの全医師が加盟する団体。
・ 9つの診療領域別の学術団体であるRoyal Colleges(王立臨床医会)、政治的・経済的交渉を行う医師の労働組合(trade union)とも言えるBritish Medical Association(BMA;英国医師会)とは、「三権分立」の体制。
・ GMCは、(1)認定された医師の最新状態の登録簿の維持(日本の医籍に相当)、(2)適正診療規範の作成、(3)高い水準の医学教育の促進、(4)診療適性に疑義のある医師に対する毅然とした公正な対処(一部は、MTPSという組織に移行)――の4つが主な役割。
・ 会員からの年間登録維持料(2015年4月現在で420ポンド、年収3万2000ポンド未満者は50%割引)で、運営。
・ 2014年の支出は、約1億ポンド(約190億円)で、うち「診療適性審査」(診療適性調査費45%、診療適性審判費14%)が59%を占める。
・ 「診療適性審査」は、公的組織や一般からの苦情などを基に実施。苦情のうち、審査まで至るのは約10%。審査結果は、「約定」「条件付医師登録」「一時停止」「除名」の4段階で判定。
・ 最近、医療・医師組織の改革が行われ、GMCは医療の質保証における「1階部分」、Royal Collegesは「2階部分」を担っていたが、GMCが専門医・GP資格認定も、行うようになったほか、「3階部分」として、「NICE」(英国国立医療技術評価機構)などが担うようになった。職員は以前は約470人だったが、業務拡大に伴い、増員。

ドイツ医師会:北関東循環器病院院長の南和友氏

・ ドイツ医師会は、1865年設立。16州に17の医師会。医師免許取得者全員が、入会を義務付けられ、加入医師数は約26万人。
・ 主な役割は、(1)専門医の試験・認定、(2)生涯教育の監視、(3)診療所や病院の開業許可、(4)医師年金の運営、(5)医師の勤務実態の把握と管理、(6)医療訴訟の相談、(7)医療の質・安全の監視――など。
・ ドイツ医師会の傘下に、「Marburger Bund」(勤務医の労働組合、勤務医の約70%に当たる11万4000人が参加)、保険者や厚生局と医療費などの交渉を行う、「Kassenaerztliche Verein」(保険医協会、全国に17カ所、開業医全員と勤務医の代表が参加)があるが、「三権分立していると言っていい」(南氏)。
・ 各病院の院内死亡率をはじめとするクリニカル・データを収集・調査する仕組みがあり、各病院には自院のデータと全国平均がフィードバックされるため、成績は一目瞭然。かかりつけ医(国民に持つことを義務付け)が患者を紹介する際の判断に使用されたりする。
・ ドイツの場合、保険者も、医療の質を保つことに貢献しており、「患者のエージェント」として、各医療機関の治療レベルに関する情報を患者に提供している。健康保険は「一般保険」と「プライベート保険」の二本立てで、年収に応じて「プライベート保険」を選択できる。「プライベート保険」は、「一般保険」とは異なり、かかりつけ医が指定する医師以外も、受診でき、「この制度を作ったことにより、いい医師のところに患者が集まるようになり、医療全体の好循環につながっている」(南氏)。
・ 医療提供体制の特徴として、大学主任教授と関連病院の人事的なつながりがなく、教授が定年退職すれば、後任教授は他大学から選ばれるため、「脱閉鎖体質」、風通しの良さが医療の質向上につながる。
・ 専門的な医療の集約化も、専門医教育の充実につながり、医療の質・安全に貢献。2014年の場合、心臓外科手術の1施設当たりの件数は、ドイツは約2400件、日本は約100件と大きな開きがある。



https://medical-tribune.co.jp/news/2015/1125037893/
認知症、早期診断を...厚労省が地域拠点設置を加速化〔読売新聞〕
yomiDr. | 2015.11.25 読売新聞

 厚生労働省は、地域の認知症治療の拠点「認知症疾患医療センター」としての診療所の指定を加速化する方針を固めた。
 住民が早期に診断を受け、治療を始めやすくする狙いがあり、来年の診療報酬改定で、センターに指定された診療所に報酬を手当てする構えだ。認知症の国家戦略(新オレンジプラン)で掲げる、全国500か所にセンター設置の目標達成につなげる。
 センターは、専門医や臨床心理士らが一定人数そろい、脳画像を調べる磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査機器を使える体制が整った医療機関を都道府県や政令市が指定する。住民からの相談対応、かかりつけ医と連携した診断や療養方針の決定、地域の開業医への研修などを行う。
 これまで診療報酬では、指定を受けた病院には診断料などが払われてきたが、昨年枠組みが新設されたばかりの診療所には手当がなかった。
 今年8月現在、全国に335か所ある同センターのうち、診療所は19か所にとどまっている。
 ある診療所では、半年間で、記憶障害が起きるアルツハイマー型や予備軍とされるMCI(軽度認知障害)など認知症関連で計205件の診断をし、患者をかかりつけ医らに計64件橋渡しした。全国の診療所でも同センターの機能を果たせると厚労省は判断した。
(2015年11月25日 読売新聞)



https://www.m3.com/news/general/377929
保険金詐欺の疑い、接骨院経営者ら逮捕 通院日数水増し
2015年11月25日 (水)配信 朝日新聞

 交通事故で負ったけがの治療の通院日数を水増しし、保険金をだまし取ったとして、愛知県警は25日、愛知県武豊町の「松崎接骨院」元経営、松崎孝信(37)=同町冨貴=と、患者の会社員川野真道(37)=名古屋市天白区元八事5丁目=の両容疑者を詐欺容疑で逮捕し、発表した。いずれも容疑を認めているという。

 岡崎署によると、川野容疑者は昨年11月に乗用車を運転中に追突事故に遭い、接骨院に通院した。その際、柔道整復師の資格を持つ松崎容疑者は川野容疑者と共謀し、通院日数を6日から23日に水増しした施術証明書などを作成。これを損害保険会社に提出し、治療費名目で2回にわたって保険金約18万円をだまし取った疑いがある。

 捜査関係者によると、川野容疑者は、別の保険会社に勤める知人女性から、松崎容疑者を紹介されたとされる。事故直後の医師の診断では1週間程度のけがと診断されたのに、名古屋市天白区の自宅から往復で100キロ近くの距離がある接骨院に、2~3日に一度通院したよう偽装。保険会社から払われる1日4200円の慰謝料を得ていたという。

 川野容疑者が事故の衝撃でデジタルカメラやパソコンが壊れたと不審な物損請求をしたため、損保会社が調査して発覚、県警に相談していた。

 接骨院は今年9月に閉院したが、県警は関係先を家宅捜索するなどして内偵捜査を進めていた。治療費の不正請求はほかに約30件あるとみており、県警はさらに調べる方針。

■日数水増し、双方にうまみ

 自動車事故などの負傷者数は減っている一方、自動車損害賠償責任(自賠責)保険への請求額は増加している。背景には、接骨院による不正や過剰な請求があるとも指摘されている。

 損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構によると、交通事故の負傷者は2009年は約91万人だったが、13年は約78万人。これに対し、接骨院が自賠責に請求した総施術費用は約478億円から1・5倍の約717億円に増加した。

 接骨院関係者によると、自賠責の診療は、診療費が定められた健康保険とは違い、自由に治療費を決められるため、診療日数の水増しや過剰請求につながっているという。損保会社や自動車修理業者などから負傷者を紹介してもらい、患者として抱き込む接骨院も目立つという。

 一方、患者も通院1日当たり4200円の慰謝料が支払われるため、接骨院と結託して不正請求に関与している疑いがあるという。

 不正は見抜けないのか。関係者によると、多くの運転者は損保会社の任意保険にも加入しているため、自賠責保険と併せて損保会社が一括調査し、両方の保険の合計額を患者側に支払う。自賠責保険は立て替えた後で請求する流れのため、損保会社は自賠責の「けがによる損害」の限度額120万円を超えなければ、余計な負担はない。その結果、自賠責分の審査は甘くなりがちという。

 捜査関係者は「一括調査ではなく、自賠責についても審査や調査をしっかりする仕組みが必要だ」と指摘している。

     ◇

 〈自賠責保険〉 自動車による人身事故の被害者を救済するため、加入が義務づけられている。損害保険会社が販売し、保険金の支払いもする。被害者1人当たりの保険金の支払い限度額は、死亡時3千万円、重度の後遺障害4千万円、けが120万円。自賠責だけでは賠償額が足りないことが多く、損害保険会社による任意の自動車保険もある。



https://www.m3.com/news/iryoishin/377007
シリーズ: 社会保障審議会
「多剤投与にメス」「在宅の暴力対策を」との声も
医療保険部会、2016年度診療報酬改定基本方針で意見

2015年11月24日 (火)配信 成相通子(m3.com編集部)


 社会保障制度審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が11月20日に開かれ、11月19日に社保審医療部会で提示された2016年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)について議論した(骨子案と医療保険部会での議論は『「治し、支える医療」に転換、削減のターゲットは薬』を参照)。「多剤投与の適正化」については、医療部会に続いて委員間で意見の対立があったほか、医療従事者の負担軽減について、在宅医療や訪問看護の現場での医療サービス提供者への暴力の問題や、夜勤勤務の対策を求める意見が出た。

 多剤投与をめぐっては、基本方針(骨子案)の具体的方向性のうち、医療費の効率化・適正化の項目で、「残薬や多剤・重複投薬の削減を進める」としている。19日の医療部会では、日本医師会副会長の中川俊男氏が「行きすぎた長期処方の是正」の追加を求めた上で、追加しない場合は多剤投与の是正の削除を要求した。

 この発言に対し、20日の医療保険部会では、健康保険組合連合副会長の白川修二氏が「多剤は絶対に取ってはいけない」と反論。理由としては、精神科の多剤投与を制限した前回改定が「上手く機能していない」としたほか、中央社会保険医療協議会の資料で多剤投与が残薬の要因になるとの研究が紹介されたことを挙げ、「多剤にメス入れるべき」と強く主張した(『「多剤投与の適正化」を評価、認知症患者』を参照)。

 医療従事者の負担軽減や地域包括ケアシステムの推進の観点から、「在宅医療や訪問看護を担う方々の安全確保が重要」と主張したのは、法政大学経済学部教授の菅原琢磨氏。「先行研究では、施設よりも在宅の医療現場でサービス提供者に対する暴言や暴力を受ける割合が高く、4~7割が受けているとの研究もある。(在宅医療従事者の)離職の大きな要因にもなっている」と指摘し、「今後は認知症対策や精神医療が重要となる。リスクが高い患者も訪問看護や在宅医療でみるケースや、十分な事前準備、情報が無いまま、1人夜間に訪問が必要なケースも考えられる。特に訪問看護の分野では女性の職員も多いので、今から十分な安全対策の議論が必要だ」と述べた。

 医療保険部会と医療部会の意見を踏まえて、基本方針案を作成し、12月上旬に決定する見通しだ。


11月20日の社会保障制度審議会医療保険部会では、骨太の方針の具体化についても議論された<『高齢者の負担増、受診抑制懸念か容認か?』

「数が問題ではない」

 多剤投与の是正については、白川氏以外にも重要性を指摘する声が相次いだ。「患者の立場からも重要なので推進を」(連合副事務局長の新谷伸幸氏)、「あまりに多くて結局飲みきれず、飲みやすいのを適当に飲んでいる人もいる。減らす努力をするのも大事」(日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏)といった意見があった。

 日本慢性期医療協会副会長の中川翼氏(定山渓病院長)は「医療機関だけで調整するのは難しいこともある。本当に効果があるのか検証しないと薬だけ増えてしまう。特に、経鼻胃管栄養や胃ろうでは、患者が(意識して)飲んでいるわけではないので、多いということが患者に認識されない。多剤投与、特に長期の入院患者について確認することは重要」と発言した。

 日本医師会副会長の松原謙二氏は、「多剤が即ち悪ではない」と反論。問題は「不適切な多剤や長期処方」だと指摘し、「例えば高血圧ではさまざまな薬が増えて、一種類の薬を大量に使うのではなく、何種類かの薬を組み合わせて治療する方が適切かつ全体の量を抑えることができることもある。治療のやり方が変わってきている」と多剤が適切なケースもあるとして理解を求めた。

 日本薬剤師会副会長の森昌平氏は「薬の数はシンプルがいいのは議論の余地がないと思う。不必要な重複や組み合わせが問題の中心。何剤以上なら良いとか悪いではなく、適切な薬剤使用の上の管理の観点で議論が必要だ」と述べた。

看護師の夜勤72時間ルール

 具体的方向性の「医療従事者の負担軽減・人材確保」の項目で、「看護職員の夜勤負担の軽減」の重要性を指摘したのは、日本看護協会副会長の菊池令子氏。19日の医療部会の議論でも同様の意見が出たが、同項目に「看護職員の夜勤負担の軽減」も含まれており、文言の修正は不要との意見が出ていた。

 看護師の夜勤負担については、2016年度の診療報酬改定で、入院基本料の「看護職員の月平均夜勤72時間以内」(72時間ルール)とする要件の撤廃・緩和を求める声が出ており、日本看護協会は、職員確保や医療安全の観点からも72時間ルールの堅持を強調している(『「看護師の生命線」、72時間ルール』を参照)。

 松原氏は夜勤負担の問題は重要だとしつつ、「病院の経営の問題もあるので、まず十分な供給体制の整備が必要」と主張したが、菊池氏は「看護師は3分の1が潜在職員。人材の確保には、勤務環境の改善が重要だ」として、供給体制よりも勤務環境改善が優先だと訴えた。白川氏は、「ここでどちらが良いというより、中医協で話すべき議題」と指摘した。


  1. 2015/11/26(木) 05:51:21|
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