Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月24日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201511/544701.html?bpnet
シリーズ 東北地方の医学部新設
「東北の地域医療の発展に寄与できると確信している」
東北薬科大学理事長の高柳元明氏に聞く

2015/11/24 聞き手:加納亜子=日経メディカル

 2016年4月、東北医科薬科大学(宮城県仙台市)の医学部が開学する。

 医学部新設を目前とした今、同大学はどのような医学教育により、どのような医師を育成していこうと考えているのか――。東北薬科大学(東北医科薬科大学)理事長・学長の高柳元明氏に開学後の展望を聞いた。

たかやなぎ もとあき氏 ○ 1974年東北大学医学部卒。医学博士。専門は呼吸器、アレルギー内科。東北大病院助手、カナダ・マクマスター大博士研究員などを経て、2000年東北薬科大学教授。2001年より現職。2006~2012年、日本私立薬科大学協会会長。現在、日本私立大学協会副会長、日本高等教育評価機構理事を務める。
(撮影:向田幸二)

 37年ぶりの医学部新設ということもあり、本学に対する社会の関心や期待の高さを強く感じている。社会からの期待に応えられるような医学部を創らなくてはならないと日々、身の引き締まる思いだ。

 本学はもともと、地域社会に貢献できる薬剤師の育成を最大の目標とし、薬学の教育・研究を通じ、広く人類の健康と福祉に貢献する目的から創設された。

 その志が凝縮された「われら真理の扉をひらかむ」という建学の精神のもと、何よりも東北地方に住む方々や社会から、「できてよかった」と言われるような医学部の創設に最善を尽くしたい。

患者を想い、地域に貢献しようとする意欲を育てたい

 本学の医学部は、高度な専門的知識と技能だけでなく、幅広い臨床能力を持ち、あらゆる臨床現場で役に立つ医師(総合診療医)を育てていく必要性から新設が認められた。

 より診療能力の高い医師を育成するため、本学が最も注力しているのが、医師としての心構えを身に付けてもらえるようなカリキュラムの作成である。

 文部科学省が公表している最も新しい医学教育モデル・コア・カリキュラムには、医学教育の前提として「医師として求められる基本的な資質」を身に付けさせることと記載されている。この資質には、地域医療やチーム医療を担うために欠かせないコミュニケーション能力、総合的診療能力、医学研究への志向、自己研鑽といった技術面での能力に加え、病める人やその家族の想いに共感し、人々の健康を献身的に支えようとする気持ちや、地域医療に貢献しようとする意欲と使命感が含まれていると私は認識している。

 診療をする上で、高度な知識や技能は確かに必要だ。だが今は、技能だけではなく、上記で述べた医師としての心構えが重視されている時代でもある。

 もし、昔ながらの医療のパターナリズムにとらわれていれば、患者を中心とする視点が欠けた医療を行いがちになる。患者や家族とうまくコミュニケーションが取れなければ、何か問題が起きたときにすぐに医療訴訟につながるだろう。さらに、医師が自分がチーム医療の中心だと偉ぶれば、チーム医療はうまく回らない。

 こうした様々な場面における、過去の医学教育の反省点を踏まえ、今のモデル・コア・カリキュラムがある。その結果、医師としての基本的な資質を備えた総合診療医の育成が求められるようになったのだろう。

 モデル・コア・カリキュラム改訂の背景を踏まえ、新たに医学部を新設する本学では総合診療という技術の部分と、医師本来の精神、心、患者さんに寄り添う気持ち・心構えを同時に育てていかなければならないと考える。

総合診療医への注目が追い風に

 本学に求められている「幅広い臨床能力を持つ総合診療医」の育成には今、強い追い風が吹いている。2017年度から19番目の基本領域専門医として総合診療科が新たに位置付けられることに加え、テレビ番組などでも総合診療科が取り上げられる機会が増えているからだ。

 世論の期待が総合診療科に集まれば集まるほど、若い学生も注目し、今後は総合診療医になりたいと考える医師・医学生が増えていくだろう。我々は、そうした学生の期待や要望に応えられるような教育システムを作らなければならないと考えている。

 「鉄は熱いうちに打て」ということわざがあるが、医学部に入学して6年が経ってから患者への思いやりを持つ人間性や医師として求められる資質を修得させようとしても、身に付くものにはならないだろう。

 だからこそ、本学ではありとあらゆる環境・場面で状況に応じた診療を担える総合診療医になり、地域医療を支えたいと思う初心を忘れないうち、つまりは入学後すぐから本学の医学教育の目的や趣旨、養成する医師像を学生や教員に示し、低学年のうちから患者への思いやりを持てる人間性を培う機会を積極的に提供していきたいと思っている。


 こうした教育を実現するために、本学は地域医療ネットワークを構築し、基幹病院と地域の医療機関とを回る循環型のプログラムを導入する。入学した全ての医学生は6年間の間に繰り返し地域医療教育サテライトセンター(宮城県内に2施設)や地域医療ネットワーク病院(宮城県内に9施設、他の東北5県に10施設)に滞在しながら医療に関する体験・実習を経験してもらうカリキュラムを作成中だ。地域住民とのコミュニケーションを繰り返し取ることで、医療環境や地域住民の特性、医療への要望を知り、医師としての使命感や将来像を考えるきっかけを作れるよう指導していきたいからだ。

 一般的に、日常診療に必要な技術の多くは400床程度の急性期病院であれば身に付けられる。たとえある医療機関に全ての分野のエキスパートがいなかったとしても、地域医療ネットワーク病院とサテライトセンター、そして大学附属病院の計20以上の施設を循環するプログラムであれば、それぞれの分野における日本有数のエキスパートがどこかの施設には必ずいる。この仕組みがあれば研修先の環境や医学生の希望を踏まえ、より多くのエキスパートと出会い、知識・経験を学べるはずだ。

 入学した医学生にはこの循環型のプログラムにより、卒前6年間で最低限必要な総合診療医としての診療能力を身に付けてもらいたい。そして卒後の初期研修2年間で、知識だけでなく臨床能力・技術を獲得していく。その後は医学生それぞれの進路希望に応えられるような制度設計をしていきたい。

カリキュラムでは医学・薬学の連携も重視

 加えて、75年以上の歴史のある薬学教育・研究の経験を基に、医学教育にも薬学知識を加え、医学と薬学の連携にも注力をしたいと考えている。

 我々の学生時代は薬理学は教わっても、薬物動態については学ぶ機会がほとんどなかった。今でもその傾向は強いが、薬剤を見てその化学構造式や薬物動態をすぐにイメージできる医師はさほど多くない。だが、それが分からなければ、代謝経路や他の薬剤との相互作用を踏まえた適切な処方薬の選択は難しい。

 今は薬剤については薬剤師、食事は栄養士とそれぞれの専門家が集まってチーム医療を担う時代だ。全ての薬剤に関する知識を医師が把握し、細かな指示をするわけではない。

 だが、チーム医療となれば薬剤師や看護師と話し合いながら治療のプランニングを行う必要がある。優秀なチーム医療のスタッフと互いに協力しながら診療をする上で、医師が薬理作用だけではなく、薬物動態もある程度把握していれば、スタッフ間の連携がより円滑になると私は考えている。こうした教育で得た知識は、震災が起きた場合などの対応にも生きてくるだろう。

地域との関わりを増やし、定着率の向上を目指す
 今はここまでに述べた教育を循環型のプログラムに乗せ、医学生に提供していくことを考え、開学時期に向け準備を進めているところだ。教育の結果、自然と東北地方の医療を担っていきたいと考える医師が増えることを願っている。そして、よりその意欲を高めてもらうために設けているのが本学特有の修学資金枠(奨学金枠)である。

 例えば修学資金を受けとった学生であれば、卒前の6年に加えて卒後約10年東北地方の医療機関で教育を受け、活躍することになる。人は長年所属するところに愛着を感じるもの。同じ地域に長年いれば、地域に住む住民との関係もできる上、東北地方に在住の方と家庭を築くといったことになれば、自然と東北地方に定着する人は増えていく。その積み重ねにより、本学は東北地方の医療に貢献できるだろう。

 このように卒後の地域定着を促す目的でも、東北大学をはじめ他の大学や自治体との連携を積極的に進めていきたい。さらに、東北地方の中で気に入った地域やゆかりのある土地のある学生には、そうした地域でトレーニングを受けてもらったり、学生の希望に合わせて都市部や地方の医療機関に振り分けて研修をしてもらったりというように柔軟な対応でそれぞれの医学生・卒業生をサポートできればと考えている。

 昔と比べ、今の学生は医師に限らず、社会のためになりたい、社会に貢献したいと考える人が非常に増えている。おそらく医学の分野でもそうだろう。地域医療に貢献したい、地域で医療を行いたい、そう思う若い人は存外いるのではないかと私は期待している。


懸念は複雑化した入試区分が理解されるか

 本学の授業料は3400万円と設定している。この額は全国の私立医科大学の平均値から定めたものだが、国公立の医学部の授業料と比較するとその差は決して小さくはない。

 そこで、本学では授業料相当額を修学資金でカバーし、経済的負担を軽くして医学部進学を目指してもらうため、定員の半数を超える学生が修学資金の適用を受けられるよう入試枠を設けている。これは卒後の活躍を期待し、東北地方の医療を担いたいという強い想い・意欲を持つ学生に少しでも多く集まってほしいという考えから作った枠である。

 通常であれば、「地域枠」は定められた地域の出身者が受けられる入試枠となる。だが、本学の場合は、出身県を問わず全国どこからでも受験できる仕組みを取った。修学資金を受け取れるが、代わりに卒後10年ほど東北地方で地域貢献をしてもらうことを求める仕組みである。これは非常に新しい「地域枠」だと自負している。

 受験生にはまず、一般枠、修学資金枠のA方式(東北地域医療支援修学資金)、B方式(東北地域医療支援修学資金)から、どの枠で受験をするかを意思表示してもらう形になる(表1)。

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表1 東北医科薬科大学の入試枠と募集人数

 この本学特有の修学資金枠を設けたため、入試区分が増え、受験する側からしても少し分かりにくくなってしまったという反省点はある。東北地方の医学部や自治体に説明する際にも時間を要した部分でもあり、正直なところ正しく理解してもらえるか心配している点でもある。

 だが、この枠を設けたことで、医学部を目指す学生に金銭面での負担が少ない新たな選択肢を示すことができたと考えている。

 将来、東北地方の医療に従事し、地域住民の健康を担う使命感に燃え、さらに病める人とその家族の想いに共感できる強い意志と柔らかな心を持った医師になりたいという志を持つ学生に、1人でも多く集まってもらいたいと心から願っている。

<編集部 注>
 なお、医学部への出願期間は2015年12月16日から2016年1月13日まで。学生募集要項など入学試験に関する情報は同大ウェブサイトで公表されている。
http://www.tohoku-pharm.ac.jp/new/index.cgi?eid=332



http://www.m3.com/news/iryoishin/377647?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151124&dcf_doctor=true&mc.l=132375148&eml=3f492a08f1681d66441569ec02c0b51e
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
「社会保障費増、5000億円弱に抑制」財政審建議
調剤基本料、調剤料などの見直し求める

2015年11月24日 (火)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 財務省の財政制度等審議会は11月24日、「2016年度予算編成等に関する建議」を麻生太郎財務大臣に提出した。実質的に医療費がターゲットとなる社会保障費では「確実に高齢化による増加分の範囲内(5000億円弱)にしていくことを求める」として、診療報酬のマイナス改定を強く求めた(資料は、財務省のホームページ)。

 会見した審議会長の吉川洋氏(東京大学大学院経済学研究科教授)は診療報酬改定について「薬価と診療報酬本体についてマイナス。医療関係者は診療報酬の改定率が上がるか下がるかに関心を持つが、診療報酬は平均。国・経済の状況を見れば、財政の論理が働くのは当然。平均価格を上げる時代は終わり、今は配分が問題。配分に歪みがあると、医療にマイナスの影響を与える。医療関係者は配分にもっと意を払ってほしい」と強調した。

 厚生労働省は高齢化等に伴う社会保障費の増加分として、2016年度予算では6700億円を概算要求しているが、財政審は「経済・財政再生計画」が目標とする3年間で1兆5000億円以内に抑えるよう要望。2016年度は初年度であることから、「確実に高齢化による増加分の範囲内(5000億円弱)にしていくことを求める」として、概算要求から1700億円以上の削減幅を求めた。2016年度診療報酬改定を控える医療以外では改定や制度改正がないことから、財政審が求める削減は実質的に医療のみが対象になる。吉川氏は「初年度であり確実に達成してほしい。5000億円弱を目指して頑張るべき」として「弱」に込めた思いを説明。会見に同席した財政制度分科会会長代理の田近栄治氏(成城大学経済学部特任教授)も「委員からは『もっとやれ』というものもあり、穏やかに抑えたところ」と話した。

 建議では、財政が直面する課題を「社会保障」と「社会保障以外」に分けて解説。社会保障では「国民皆保険・国民皆年金の持続可能性を確保するための制度の見直しが急務」、社会保障以外では「人口減少を踏まえた『自然減』を前提とすべき」と述べている。

 安倍内閣の過去3年間では、高齢化による社会保障費の増加分は1.5兆円程度になったことから、2016年度から始まる「経済・財政再生計画」でも今後3年間の増加分を1兆5000億円に抑えるよう要請。特に2016年度については「3年間の目安であるからといって、歳出の伸びの抑制を先送りすることがあってはならない。内外から、厳しい視線が注がれているという緊張感を持って、2016年度予算を編成すべきである」と注文している。

調剤報酬に厳しい注文

 個別の改革内容のうち、2016年度診療報酬改定では、薬価改定に加え、診療報酬本体のマイナス改定を行い、社会保障費全体の実質的な伸びを高齢化による増加分に押さえることを基本とするとされた。「薬価改定は、診療報酬本体の財源にはなり得ない」とし、薬価引き下げの結果を、医療費の伸びの減少に反映していくことが重要であるとした。

 さらに、調剤報酬に対して厳しい注文が並び、「処方せんの受付と必要な薬剤を取り揃える行為のみで相当程度の収益を稼ぐことが可能になっている」などとして、(1)調剤基本料、(2)調剤料、(3)薬学管理料――について見直しを求めた。

 調剤基本料では、「大型門前薬局」を念頭に低い点数が設定されている「特例」の対象拡充や点数引き下げを求めた。基準調剤加算についても、「真にかかりつけ薬局としても求められる機能を果たしている薬局に対する加算にすべき」として、要件の厳格化や、電話番号の交付といった形式ではなく、対応件数など実績を要件とすべきとした。後発医薬品調剤体制加算では、一層の使用促進のため、加算水準の引き下げや、取組が不十分な薬局に対する減算措置の導入が必要としている。

 調剤料では、投与日数や剤数によって業務コストが増大するという前提が合理的でないとして、院内処方と同様に定額にすべきとした。2016年度については激変緩和として、水準を半分程度にし、投与日数の伸びに応じて点数の伸びが逓減していくよう求めた。一包化加算も機械化が進んでいるとして、点数を大幅に下げつつ、投与日数に応じた点数配分を廃止するべきとしている。

 薬剤服用歴管理指導料では、「適切な管理を行っていない薬局も事実上算定可能となっており、実質的に形がい化している」と判断。成果を分析した上で、継続的かつ一元的な管理指導を行っている薬局にのみ高い点数が算定されるよう厳格化すべきとした。



http://www.m3.com/news/iryoishin/377011
シリーズ: 社会保障審議会
高齢者の負担増、受診抑制懸念か容認か?
「骨太の方針」の改革工程の具体化で議論

2015年11月24日 (火)配信 成相通子(m3.com編集部)

 社会保障制度審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)が11月20日に開かれ、2015年度の経済・財政再生計画(骨太の方針)の改革工程の具体化に関し、「医療・介護を通じた居住費負担の公平化」「高齢者の負担の在り方」などについて議論した。高齢者負担増については、「受診抑制になる」「低所得者への配慮が必要」と警戒する声や、「現状では現役世代の納得が得られない」「後期高齢者も窓口2割負担を覚悟すべき」と容認する意見が出た。

 「骨太の方針」では、(1)社会保障制度の持続可能性と世代間・世代内での負担の公平化、負担能力に応じた負担を求める観点から、医療保険における高額療養費制度や後期高齢者の窓口負担の在り方について検討、(2)かかりつけ医の普及の観点から外来時の定額負担について検討、(3)医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化について検討――などが掲げられ、医療保険部会で議論し意見をまとめる。

 議論では、(1)の高齢者の負担増について意見が割れたほか、(2)のかかりつけ医の普及について、「診療科ごとに専門医が開業医として診療を行っている状況で、何を持ってかかりつけ医とするのかなど、全体像が不透明。かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担だけでなく、かかりつけ医の定義、いつまでにどれだけの総合診療医が誕生して、国民のプライマリケアの体制が整うのか、工程表と目標のビジョンを明確に」(日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏)といった意見が出た。

「配慮必要」「現役世代の負担重い」

 高齢者の負担増に関しては、全国後期高齢者医療広域連合協議会会長、佐賀県多久市長の横尾俊彦氏が、2017年度の後期高齢者の保険料負担の軽減特例の廃止を踏まえ、「同じようなタイミングで、他の負担増もあり得るとなると、受診抑制も生じかねない。単なる負担の引き上げでは高齢者も納得をしがたい」と主張。連合副事務局長の新谷伸幸氏は、「一定の理解はするが、低所得者への配慮が必要だ」と述べた。

 全国老人クラブ連合会理事の川尻礼郎氏は、「高齢者は多数の疾患を抱える。通院や入院を繰り返す高齢者の特性に理解が必要。年金減額、消費税増税もあり、丁寧な議論が必要」と訴えた。日本医師会副会長の松原謙二氏は「受診抑制になれば重症化が懸念される」と指摘した。

 一方で、全国健康保険協会会長の小林剛氏は「現役世代が高齢世代よりも重いのは明らか。現状では現役世代の納得考えられない」として、高齢者や高額療養費制度での自己負担増を求めた。日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏も「高齢者を一律に経済的弱者と捉えるのではなく、応分負担の観点から相応の負担を求めてもいいのではないか」と容認する考えを示した。

 健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、議論の在り方について、「高齢者の負担は、現役世代の負担とリンクしているので、全体として高齢者本人の負担と現役世代の負担、公費をどう組み合わせるかの議論を進めてほしい」と厚労省に注文した上で、「患者窓口負担は後期高齢者も2割負担を覚悟すべき。保険料の軽減特例の廃止も確実に実施してほしい。現役並み所得の基準の再考も必要で、高額療養費の自己負担分もかなり低額に抑える措置が続いているので撤廃が必要だ」と多くの課題を指摘した。

「食事は医療の一環」

 「骨太の方針」の(3)「医療・介護を通じた居住に係る費用負担の公平化」に関連して、厚労省は、「現行で入院医療の必要性が高いとして負担を求めていない、療養病床の医療区分Ⅱ・Ⅲの居住費負担」「65歳未満の介護保険の対象にならない療養病床の入院患者の居住費負担」「65歳以上で医療保険の療養病床の入院患者の居住費負担320円から370円への引き上げ」を論点として提示。

 松原氏は、「食事は医療の一環」として、居住費負担の増額に反対する意見を主張。新谷氏も慎重な議論が必要だとした。白川氏は、「居住費負担は、医療区分Ⅱ・Ⅲに限定しているが、一般病床でも短期入院と長期入院、精神病床も含め幅広い議論が必要だ」と指摘し、論点以外にも居住費負担の見直しを進めるよう求めた。

国保の保険料上限を引き上げ

 厚労省は、同部会で高所得者世帯の国民健康保険の年間上限額を、現行から4万円増額し、医療と介護を合わせて89万円とする方針を示した。限度額に達するのは、約1000万円以上の収入がある世帯で、上限額は3年連続の引き上げ。



http://www.m3.com/news/general/377521
投与めぐり対応ばらばら 医療現場の模索続く
2015年11月24日 (火)配信 共同通信社

 団塊の世代が75歳以上となる2025年には認知症の人が700万人に達すると推計されるなど、認知症の適切な医療やケアは現代日本が直面する大きな課題だ。医療の中核である抗認知症薬の投与をめぐって審査機関の取り扱いが地域でばらばらな実態が明らかになり、あるべき医療に向けた模索が続く。

 薬の投与量は製薬企業の臨床試験データに基づき、厚生労働省が承認している。有効量を下回れば治療が無駄になりかねず、「適応外使用」として保険診療で認めないのは一定の合理性がある。

 しかし、高齢者の多い認知症は患者の個人差が大きい。「薬が効きすぎて興奮や暴行、歩行障害、飲み込み障害といった、介護の負担にもなる副作用が頻発しているのは専門家なら誰でも知っている」と複数の医師が指摘する。微妙なさじ加減を必要とする脳神経に作用する薬でもあり、医師の裁量で少量投与も認めてほしいとの要望が医師や介護関係者から上がっていた。

 各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)への取材では「認めている」(奈良)、「医師の裁量による」(熊本)と容認を明確にしている地域がある一方、「客観的に有効性が示されなかった」(愛知)、「薬効はないと判断している。あるなら添付文書を見直すべきだ」(長野)と回答した地域もあった。

 また、「最低用量以下なら中止した方がいいとの考えもある」(福島)、「用法用量通りが望ましいが、用量より低い場合は認める」(山口)とする地域もあった。

 関東の国保連の審査担当者は「基本的には査定しないが、1人の審査委員だけ査定している」と困惑げに話す。「査定されたという情報はあっという間に広がり、保険者から査定要請が激増する」と、関西の審査委員は指摘する。

 旧厚生省は1980年に「(昭和)55年通知」を出して適応外使用に道を開いたが、抗認知症薬の少量投与については統一見解を示していない。ある審査委員は「厚労省が十分調査して、賢い決定をすれば解決することだ」と話している。



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1124/jj_151124_9530576250.html
5000億円弱に抑制を=社会保障費の伸びで—財政審建議
時事通信11月24日(火)13時37分

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は24日、2016年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめ、吉川洋会長が麻生太郎財務相に提出した。焦点の社会保障関係費については、15年度予算比6700億円増の概算要求を5000億円弱の増加に抑えるよう要請。薬や医療サービスの公定価格である診療報酬はマイナス改定を求めた。
 政府が6月末に策定した財政健全化計画は、社会保障関係費の伸びを16年度からの3年間で1兆5000億円程度に抑制する目安を定めた。
 建議は16年度の社会保障関係費の伸びを「確実に高齢化による増加分の範囲内(5000億円弱)にしていくことを求めたい」と明記し、健全化計画の目安達成に向けた取り組みを要請した。
 16年度は2年に一度の診療報酬の改定年度に当たる。建議では「薬価」に加え、医師の技術料に相当する「本体部分」でも「一定程度のマイナス改定が必要」と指摘した。本体部分のマイナスが実現すれば10年ぶりとなる。 

[時事通信社]



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=126858
死後、自分の遺体を解剖実習に…献体希望する理由は?
(2015年11月24日 読売新聞)

「大学が火葬費負担」動機に

 死後、自分の遺体を医・歯学部生の解剖学実習などに提供する献体で、希望者の動機に変化が生じている。元来、大病を患った人が恩返しにと登録したり、社会貢献活動に熱心な人たちが名乗り出たりしていた。しかし、最近では大学が火葬してくれることが注目され、費用面から希望する高齢者が目立っており、関係者は困惑している。(菊池宏一郎)

関係者困惑も

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 「別居している子供たちに面倒をかけたくないし、大学が火葬までしてくれると聞き、登録したいと思った。子供たちには葬式はしないで海に散骨してほしいと伝えている」。名古屋市で一人暮らしの女性(80)は、こう語った。女性は10月中旬、献体希望者の窓口になっている同市の団体「不老会」の集会に参加していた。

 ただし、登録には家族の同意が必要で、解剖に抵抗を感じている息子が反対しているため、登録はできない。女性は「時間をかけて説得し、考えが変わるのを気長に待ちたい」という。

 夫婦で献体に登録している同市の60歳代女性は、「夫が死んで一人になれば、面倒をみてくれる人もいない。火葬費用のことを考えた」と話す。

 実習後、大学が遺体を火葬する。引き取り手がいなければ、大学の納骨堂に安置される。妻を亡くし、同市で一人暮らしの男性(68)は「子供に葬式や墓守で世話をかけたくないと思って登録した。自分は墓に入らず、置いてもらえるなら納骨堂でいい」と考えている。

 不老会では毎年300~400人が登録しており、累計で2万3068人に上る。これまでに9586人が、名古屋大などでの実習に生かされた。

 医・歯学部のある大学や献体団体でつくる「篤志解剖全国連合会」(東京都)によると、核家族化や独居高齢者の増加に伴い、家族に負担をかけたくないという理由で献体を選択するケースが、ここ数年で全国的に増えてきたという。

 同会会長の松村譲児・杏林大教授(62)は、「献体は福祉や葬儀の代行ではない。登録した人の大きな決心を尊重する制度だ」と強調する一方で、「時代の変化で生じる様々な事情は無視できず、動機を安易に非難することはできない」と話す。不老会の北村直哉理事長(82)も「気持ちはありがたいが……」と複雑な心境だ。

解剖で「人体の個性実感」

 三重大(津市)で10月に行われた「解剖体感謝式」で、祭壇に花を手向けた医学部3年の辻本佳世さん(20)は「献体してくださった方々の尊い心を忘れず、医師として社会に貢献していきたい」と誓った。

 緒方正人医学部長(60)は、「人体にメスを入れることで医師になる覚悟ができる。標本や模型では得られない経験だ」と解剖学実習の意義を語る。血管の位置などは人によって異なり、人体にも「個性」があることを実感できるという。

 篤志解剖全国連合会などによると、1950~60年代、医・歯学生の増加に伴って実習に必要な遺体が不足し、「医学教育の危機」と呼ばれた。当時は、身寄りのない遺体が解剖に使われることもあったという。

 この現状を憂えた篤志家たちが献体の意義を広め、登録を呼びかける運動を展開。同会では統計が残る1970年以降、献体登録者は累計で26万5886人(昨年3月現在)で、30年前と比べ4倍になった。運動は全国に広がり、83年に献体に関する法律が成立したことで、認知度が上昇した。

          ◇

献体 解剖学教育や研究に役立てるため、自らの遺体を無条件・無報酬で提供すること。生前、大学や献体団体に申し込み、死亡後に大学が遺体を引き取る。親族がいる場合は原則、同意が必要。葬儀は献体前に済ませることができる。遺体は防腐処理が施されて保管され、大学のスケジュールに合わせて解剖するため、遺骨が遺族の元に戻るのは1~2年かかる。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47189.html
座間の新病院、総合診療科を前面に- 地域の患者をワンストップで受け入れ
2015年11月24日 08時00分 キャリアブレイン

 「来年4月開院する座間総合病院は、総合診療科が重要な役割を担います。病院機能は細分化し、患者さんは一体、どの診療科を受診すればいいのか、分かりづらくなってきています。まずはワンストップで患者を受け入れ、適切な診療科あるいは施設へ誘導する必要があると考えています」―。

 社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス(JMA)の鄭義弘理事長は、こう話す。

 神奈川県の「県央」二次医療圏で、急性期医療を中心に地域医療を担っている海老名総合病院(海老名市、469床)を運営するJMAは現在、同市の北側に隣接する座間市に2016年4月、座間総合病院(渡潤院長、療養病床117床を含む352床)を開院する。

 JMAの発祥の地は、埼玉県。JMAは現在、同県で東埼玉総合病院(幸手市、173床)、静岡県で下田メディカルセンター(下田市、154床)をそれぞれ運営。グループで病院やクリニック、介護施設のほか、在宅療養支援事業や健診センター、保育施設を地域に密着した形で展開している。

 新たにスタートする座間総合病院は、特に内科領域では総合診療科が中心となり診療に当たる。高齢化の進展で、患者は複数の疾患を抱えることが少なくない。体調が悪くて、病院を受診しても果たしてどの診療科がいいのか分かりづらくなっている。

 さらに、医療が高度になるにつれ診療科が細分化し、患者が適切な診療科にたどり着けなくなるという皮肉な事態も起きている。鄭理事長は、「少しでも早く、患者さんが必要な医療を受けることができるように、総合診療科が窓口になってワンストップの体制で患者さんを受け入れます」と説明する。

 しかし、鄭理事長は、総合診療科は外来患者の単なる振り分け役では決してないと強調し、「総合診療科も独自の専門領域であり、そこで完結する医療も相当数あります。幅広い知識と技能が求められます」と付け加える。

■JMAに事務局を置く「海老名内科フォーラム」等の連携のための会が、地域での「顔の見える交流」実現

 11年10月末に日米合同委員会が開かれ、キャンプ座間チャペル・ヒルの住宅地区の一部の土地、約5.4ヘクタールを返還することで基本合意した。

 キャンプ座間のある座間市の現在の医療提供体制はというと、現存する医療機関の懸命の努力にもかかわらず、市内では内科、外科、小児科の二次救急輪番が組めず、隣接市の救急病院に協力を求めざるを得ない状況が続いている。14年1月から12月までの同市の救急搬送件数は5063件だったが、そのうちの約75.7%を海老名市や厚木市など市外に搬送しているのが実情だ。

 そこで、座間市は返還される跡地の一部(約1.5ヘクタール)に新病院を誘致することを決め、13年4月に病院の事業者の公募を開始、専門家委員会で審査を開始した。

 公募締め切りまでに複数の事業者から応募があったが、その中で専門家委員会は同年8月、新病院の事業者にJMAを選んだ。同委員会がJMAを選定した理由については、▽隣接市にある既存の海老名総合病院の救急医療での実績▽市が望む300床規模の総合的病院に向けた具体性のある提案―などが挙げられた。

 JMAは、座間市の新病院の事業者選定に名乗りを上げるに当たり、座間綾瀬医師会と海老名医師会と協議をした。地域医療には、医師会の協力が不可欠だと考えているからだ。両医師会の理事会では、JMAの考える地域医療の将来像について説明した。

 その結果、いずれの医師会からも理解と支援を取り付けることができた。鄭理事長は、JMAが新病院の事業者になることへの理解が得られたのは、30年余りにわたり地域の医療機関のよき理解の下で信頼関係が構築できていたことと、加えて病診連携のためのJMAに事務局を置く「海老名内科フォーラム」や多くの医師会との顔の見える会の実績が背景にあったとみている。

 その一つの「海老名内科フォーラム」とは、今年で12年目となる地域の医師50人前後が会する、内科領域の専門に偏ることのない、紹介症例の報告会のようなものだ。例年、2月と7月に開催。鄭理事長は、「内科フォーラムばかりでなく、そのほかのさまざまな研究会を通じて、病院の職員と地域の診療所の先生方との顔の見える交流が可能になっています」と説明する。

■JMAが目指す、県央二次医療圏の25年の医療提供体制の姿

 座間市の専門家委員会が、新病院の事業者にJMAを決めた理由に、具体性のある提案を挙げているように、JMAの県央二次医療圏で目指す25年の医療提供体制の姿は明確だ。

 政府は、団塊世代すべてが後期高齢者になる25年に向けて、病床機能の分化・連携の推進を打ち出し、今年4月から都道府県は、地域医療構想(ビジョン)策定に向け動きだしている。

 県がビジョンを策定する中で、JMAは独自ビジョンを掲げている。

 今後、日本は人口減社会になるといわれている。その中で、神奈川県の県央医療圏は、25年に向けて高齢化が進展するとともに、30年以降も人口増が続く見通しだ。大型のショッピングセンター「海老名ららぽーと」が15年10月に開業したり、海老名駅周辺に大型マンションの建設が進んだりするなど、再開発が急ピッチだ。

 このような県央医療圏の人口動態動向が予想される中で、同医療圏は圏内で医療提供を完結させることが思うようにいかず、同医療圏の北部に接する相模原医療圏と南部に接する湘南西部医療圏に、合わせて現在、1日当たり160人余りの入院患者が流出している。

 これに対し、JMAは強い危機感を感じている。それは、二次医療圏内で医療が完結できないと、地域住民が居住地から離れた場所にまで、通院しなくてはいけないといったデメリットも生じてくるためだ。

 これから県は、18年度からの保健医療計画の柱になる地域医療ビジョンの取りまとめを本格化させる。そのビジョンでは、原則二次医療圏に基づき設定される「構想区域」ごとに、25年の医療提供体制の在るべき姿を示すことになる。そこで肝になるのは、果たして将来に向けて二次医療圏内で、5疾病5事業などを完結できるかということだ。

 JMAは、県央医療圏の中で、海老名総合病院の高度急性期、急性期を中心とする機能を充実させる方針。すでに、同病院への救急車搬送件数は14年度に6706件に達している。17年4月からは、県の救命救急センターの指定を受けることができるよう準備を進めている。一方、座間総合病院には、一般急性期を中心に回復期、慢性期の機能を集中させ、JMAグループ内の療養病床を移行させる考えだ。

 JMAが座間市の新病院の事業者に選定され、来年4月、ついに座間総合病院は開院の運びとなるが、これまでの道筋は決して平たんではなかった。

 JMAが返還跡地の新病院の事業者に選定された13年、その当時、世界的な素材市況の高騰と、国内の人手不足で座間総合病院の予定建設費用は膨らむ一方だった。この間、病院の建設自体を断念することが、何度も鄭理事長の頭をよぎった。

 増大する建設費用を前に鄭理事長は、建設計画の見直しを指示。無駄を省き、コスト削減に努めた。しかし、患者第一の考えは譲らなかった。その一つが、病棟の配置だ。例えば、リハビリテーション施設と回復期病棟を同じフロアに設置したことなどはその一つ。それが患者さんや職員にとってより効率的に早期退院につなげられるという、鄭理事長の考えからだった。

■医療者には自己実現する機会を提供

 JMAでは職員に長く勤めてもらうために、キャリアパスについての独特な取り組みを進めようと考えている。

 特に、医療関係者のキャリアパスにおいては、JMAグループの高度急性期医療から慢性期医療までをカバーする病院のほか、訪問診療や介護の施設などのグループを活用し、若いうちからさまざまな医療にかかわる現場を経験するよう促している。鄭理事長は、こう話す。「医療者には、いろいろ経験してほしいのです。医療者としてこのようなキャリアパスを通じて、人間の深みのようなもの、多様な価値観を共有しようという姿勢が出てくると思います」と。

 さらに鄭理事長は座間総合病院で働くことを考えている医師に対し、このようなメッセージを送る。

 「幅広く急性期の患者さんを受け入れることと同時に、急性期後の患者さんのサポートの重要性を再認識していただきたいです。要するに、病気が治った後に、患者さんを待ち受けているのは家庭であり、地域社会であり、職場なのです。これからの医療には、帰ってゆくその先の満足度も考慮したサポートが必要だという視点を持ってほしいですね」



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47413.html
「7対1病床要件、一層厳格化を」- 経済財政諮問会議の民間議員が提言
2015年11月24日 21時53分 キャリアブレイン

 政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員は24日、社会保障分野に関する経済・財政一体改革の具体化に向けた提案を、同会議に提出した。急性期病床の削減をさらに進めるため、7対1入院基本料(7対1)の要件をさらに厳格化し報酬額を引き下げることなどが提案されている。【松村秀士】


 民間議員が提出した提案では、経済・財政再生計画の初年度にあたる2016年度には、歳出改革を大胆に推進すべきと指摘。その実現には、特に「診療報酬改定などを通じたインセンティブ改革や医療・介護関連情報の徹底した開示を通じた国民負担や地域間格差の見える化」が、鍵としている。

 その上で、7対1については、14年度診療報酬改定で要件が厳格化されたものの、その減少は緩やかだとし、病床転換を促すためには、その要件の一層の厳格化や報酬額の引き下げが必要としている。

 再編が議論されている療養病床については、「医療の必要度が高い患者に限定してくべき」と提案。それでも医療必要度が低い患者を受け入れる療養病床については、医療従事者の配置基準を緩和し、診療報酬を引き下げる必要があるとしている。また、一般病床におけるDPC制度の対象病院と治療範囲については、医療の効率化を推進するために拡大すべきとした。

■未妥結減算制度の徹底へ、遅延金措置導入も提言

 調剤報酬については、「門前薬局」などの報酬を適正化すべきと明示。「かかりつけ薬局」については、「マイナンバーの活用を念頭に、医師との役割分担や健康増進サービスにおいて果たすべき役割を明確化すべき」としている。さらに薬剤流通の適正化にむけて導入された未妥結減算制度の効果は、「不十分であり、更なる改善策が必要」とし、その改善のための対応策として、妥結せずに納品を求める調剤薬局や病院などには不払い期間の遅延金を課すなどの措置を講じるべきとしている。

■「7対1は深堀りが必要」―塩崎厚労相

 同会議で塩崎恭久厚生労働相は、「7対1病床については深堀りが必要と認識している」と述べた。療養病床についても同様の考えを示したほか、調剤薬局に関しては国民が納得する形で見える化に取り組むことを強調した。一方、16年度に予定される診療報酬改定については、「物価や賃金、経済状況を踏まえて議論したい」とした。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47400.html
包括ケア病棟届け出、1300病院を突破- 亜急性期廃止後、800病院超の増加
2015年11月24日 16時00分 キャリアブレイン

 昨年春の診療報酬改定で創設された地域包括ケア病棟の届け出医療機関の数が、先月時点で1300病院を突破したことが、地域包括ケア病棟協会の調査で分かった。都道府県別では、福岡県が106病院とトップで、2位の大阪府と兵庫県を36病院も上回っている。包括ケア病棟は、昨年9月末に廃止となった亜急性期病棟の機能を引き継いでおり、同病棟の廃止から1年余りで、届け出数は800病院以上増えたことになる。【敦賀陽平】


 包括ケア病棟は、病棟ごとの「入院料」と病室単位の「入院医療管理料」でそれぞれ2段階に分かれているが、同協会が今月14日時点の地方厚生局のデータを分析した結果(一部を除き、先月時点の届け出分)、報酬が高い「入院料1」と「入院医療管理料1」を届け出ているのは全国で計1232病院、「入院料2」と「入院医療管理料2」は計85病院だった。

 全体の届け出数を都道府県別で見ると、福岡が106病院で最も多く、以下は大阪と兵庫(70病院)、東京(69病院)、熊本と北海道(52病院)、愛知(51病院)などの順。また病床規模別では、「100-199床」(612病院)がトップで、次いで「20-99床」(383病院)、「200-299床」(153病院)などと続いた。



http://jp.reuters.com/article/2015/11/24/shimon-kaigi-idJPKBN0TD0W820151124
診療報酬改定で歳出改革、後発医薬品半額以下に=諮問会議民間議員
Business | 2015年 11月 24日 18:51 JST ロイター

[東京 24日 ロイター] - 経済財政諮問会議の民間議員らは24日の同会議で、社会保障分野の歳出改革を大胆に推進するため、後発医薬品の価格を先発品の半額以下にすることや、医療の必要度が低い療養病床の診療報酬を引き下げるべき、などと提言した。

伊藤元重・東京大学大学院教授ら民間議員4人は、経済・財政再生計画初年度にあたる2016年度において、医療分野の歳出改革を大胆に推進すべきだとして、診療報酬改定などを通じたインセンティブ改革を提言。

薬価については、特許の切れた先発薬の価格も大胆に引き下げることや、湿布等市販品類似医薬品の保険収載から除外することも提言。

診療報酬本体については、入院患者7人に対して看護師1人を配置する手厚い病床に対して診療報酬が高めとなっているため、そうした病床削減のために、診療報酬を引き下げることも盛り込んだ。

調剤報酬は、院外処方が院内処方に比べて1.2─1.5倍の高値となっていることから、いわゆる門前薬局など調剤報酬を適正化することを求めた。

また、医療費適正化計画の前倒しも提言、全ての都道府県が地域医療構想と整合的な医療費適正化計画を策定する期限を、従来の2017年度末から1年前倒しすることを提言。レセプトやカルテも含めて標準化された医療データを整備し連携活用できるよう、18年度までの集中改革期間内に前倒しでデータ整備を行うべきだとした。

検討が必要な制度改革については、16年度末までに結論を得て、医療・介護に関する法改正事項は17年度通常国会への提出を期限とすべきとした。

(中川泉 編集:内田慎一)



http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015112402000123.html
「必要な医療」削減 懸念も 診療報酬改定 議論本格化
2015年11月24日 朝刊 東京新聞

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 医療や医薬品の価格の二〇一六年度改定に向けた話し合いが厚生労働省の審議会で本格化している。健康や家計に直結するだけに慎重な議論が欠かせない。今後の行方を探った。 (我那覇圭)

 Q 医療の価格は誰が決めるのか。
 A 政府だ。診察や手術などの治療、入院、医薬品など細かく分けて決める公定価格で、いわば医療の価格表だ。この価格に合わせて医療機関や薬局に支払われる医療費「診療報酬」が決まる。診療報酬は健康保険の保険料と税、患者の窓口負担で賄われる。
 Q 価格はいつ決まるの。
 A ほぼ二年ごとに改定され、一六年度は改定の年にあたる。一六年度予算編成で厚労相と財務相が話し合って決め、価格表は改定率が決まった後の来年二月ごろにまとめる。
 Q どうやって決めるのか。
 A まず一年に使うであろう医療費の総額を本年度より増やすか減らすかを政府が決める。この増減の割合を改定率という。医療費の総額に収まるように細かい価格を決める。政府は充実させたい医療の価格を高くして、取り組む医療機関を増やすなどしてコントロールする。
 Q 一六年度の改定率はどうなりそうなの。
 A 改定率を1%上げると医療費が約四千億円増える。前回の一四年度は0・1%アップだった。しかし、医療費は消費税を課税できないため、5%から8%への増税分は医療機関が負担する。その分を差し引くと、実質的にはマイナス1・26%だった。高齢化で今回も政府は医療費を減らしたい意向だ。
 Q 減った場合の影響は。
 A マイナスなら患者の窓口負担は減るが、必要な医療が確保できない懸念がある。
 Q 価格表の改定のポイントは。
 A 厚労省は十一月十九、二十日の審議会で基本方針の骨子案を示し、大筋で了承された。超高齢社会を乗り切るため、在宅医療を支えるかかりつけ医や薬剤師を増やす。医療機関の役割分担を進め、不必要な医療サービスは減らす。だが、必要な医療サービスまで削られる懸念がある。議論を注視する必要がある。




http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47404.html
心療内科標榜の精神科病院が増加- 厚労省調査、神経内科は減少
2015年11月24日 17時00分 キャリアブレイン

 心療内科を標榜する精神科病院が増えていることが、厚生労働省が公表した2014年の医療施設調査の概況で分かった。消化器外科や眼科、歯科といった診療科を標榜する精神科病院は減っており、精神医療に関連した診療科に軸足を移す動きが浮き彫りになった。【新井哉】


 調査によると、全国の精神科病院は前年比1施設増の1067施設。診療科目別(重複計上)では、精神科が最も多く、全施設で標榜していた。以下は内科(655施設)、心療内科(432施設)、神経内科(199施設)などの順。

 精神科病院の診療科目別の状況については、心療内科が前年比4.6%(19施設)増えた一方、神経内科は4.8%(10施設)減った。前年まで1施設あった消化器外科を標榜する精神科病院はゼロになったほか、眼科も4施設から2施設に半減した。

 心療内科は、病気を身体だけでなく、心理・社会面も含めて総合的に診る「心身医学」などを主に内科領域で実践する診療科。ストレスなどの心理・社会的因子が密接に関連する病態に対応しようと、この診療科を新設する動きが広がりつつある。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47396.html
医療法人の2割が赤字- 14年度決算、福祉医療機構が調査
2015年11月24日 11時00分 キャリアブレイン

 2014年度の医療法人の決算で、全体の約2割が赤字だったことが、福祉医療機構の調査で明らかになった。赤字法人は、前年度からの収益の伸びを示す医業収益増加率が低く、費用の増加を収益で補えていない状況にあることが浮き彫りになった。【松村秀士】


 同機構は、資金を貸し付けている医療法人の財務諸表を基に、14年度の経営状況について分析した。それによると、前年度からの財務諸表データがある1210法人のうち、約2割に当たる241法人が赤字に陥ったことが判明した。

 赤字法人の1法人当たりの医業収益は27億6974万円、医業費用は28億2905万円で、費用が収益を上回った。医業損益は5930万円の赤字となった。前年度に比べ、費用が伸びたのは、給食材料費(増加率6.1%)や人件費(同3.9%)、水道光熱費や業務委託費などの経費(同3.3%)、医療材料費(同2.3%)などだった。

 同機構は、費用が伸びた理由について、昨年4月からの消費税率引き上げの影響を挙げている。一方、費用の中で医療材料費の伸び率が小さかったことについては、「単価が低い後発品のシェアが拡大したことや、消費税率引き上げ前に材料を購入するなど、事前対策の結果と推察される」としている。

■設備投資していない赤字法人、「機能見直す必要がある」

 同機構は、前年度黒字だったが、14年度に赤字となった法人の経営状況についても分析。その結果、設備投資によって減価償却費用が増えたことで赤字になった法人は医業収益増加率が3.5%で、黒字法人の3.6%とほぼ同水準であることから、一時的に赤字に陥っている可能性があるとした。

 一方、設備投資を行っていないにもかかわらず赤字に陥った法人については、「設備投資が行えず、さらに収益が減少するという厳しい経営サイクルに陥っている」と推察。こうした負のスパイラルから脱却するためには、今後、自院などが提供する医療機能を見直す必要があるとした。

【訂正】
本文3パラ目「医療材料費(同1.7%)」を「医療材料費(同2.3%)」に訂正しました。



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93822420Q5A111C1000000/
遠隔診療、事実上解禁 「ソーシャルホスピタル」へ前進
2015/11/24 6:30 日経デジタルヘルス

 離れた場所にいる医師と患者を情報通信機器でつないで行う「遠隔診療」。これまでは「原則禁止」と認識され、活用が進んでこなかったが、その状況が変わりそうだ。きっかけは厚生労働省が出した1本の通達。政府が遠隔診療を推進することは、社会全体が医療の担い手となる「ソーシャルホスピタル」の実現とも深く関わる

 東京都心で働くビジネスパースンなどを対象に内科診療を行っているお茶の水内科 院長の五十嵐健祐氏は2015年夏のある日、医療関係の知人や法律の専門家と熱のこもった議論を交わしていた。

 テーマは、同年8月10日に厚生労働省(厚労省)が各都道府県知事宛てに出した1本の通達である。「臨床医の立場から、この通達をどう解釈したらよいか」─―。議論は長時間、尽きなかった。

■事実上の「解禁」

 議論の対象となった通達は、互いに離れた場所にいる医師と患者を情報通信機器でつないで行う診療、いわゆる「遠隔診療」に関するもの。同省が過去の通知で示した遠隔診療の適用範囲を、必要以上に狭く解釈しなくてよいことを強調する内容だった。

 これまで遠隔診療は、離島や僻(へき)地の患者を診察する場合など、対面診療が物理的に難しいケースを除いて「原則禁止」と捉える医療従事者が多かった。患者との対面診療を原則とする医師法第20条への抵触などを恐れてきたためだ。

 遠隔画像診断のように、医師同士をつなぐ「Doctor to Doctor(DtoD)」の領域では遠隔医療の活用が比較的進んでいるのに対し、「Doctor to Patient(DtoP)」の領域での活用が遅れてきた理由がここにある。

 今回の通達では、厚労省が遠隔診療を事実上解禁─―。関係者の多くがそう受け取った(図1)。心電や呼吸状態などを計測できるウエアラブルセンサーを手掛ける米Vital Connectの大川雅之氏(Vice President and General Manager, Japan)は、今回の通達は「遠隔診療に関心を持つ者にとっては大きなインパクトがあった」と話す。

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図1 潮目が変わる
 社会や医療現場からの要請(ニーズ)、それに応える技術(シーズ)の両面からも、遠隔診療の活用が期待される場面は確実に増えている。変わり始めた遠隔診療の潮目。それを読み解く上で、まずは今回の通達の中身を見ていこう。

■事前の対面診療は前提にあらず

 厚労省が8月10日に出した通達は、同省が1997年(平成9年)に出し、2003年と2011年にその一部を改正した「平成9年遠隔診療通知」をベースとするものである。

 平成9年の通知で厚労省は、遠隔診療に対する「基本的考え方」を示した。診療は医師と患者が「直接対面して行われることが基本であり、遠隔診療はあくまで直接の対面診療を補完するものとして行うべき」というものだ。医師法第20条を踏まえた内容である。

 ただし、直接の対面診療と「同等ではないにしてもこれに代替し得る程度の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」と注釈をつけた。そしていくつかの「留意事項」を示し、遠隔診療の適用が認められる場面を具体的に挙げた。

 例えば、「在宅糖尿病患者」を対象に、「テレビ電話等情報通信機器を通して、血糖値等の観察を行い、糖尿病の療養上必要な継続的助言・指導を行うこと」といった内容である。

 この通知を多くの医療従事者は、遠隔診療はあくまでも「原則禁止」であり、厚労省が挙げた事例でのみ例外的に許されると解釈してきた。厚労省の事例をいわば“ホワイトリスト”と見なしてきた。

 これに対し今回の通達では、平成9年遠隔診療通知の「基本的考え方」や「留意事項」で挙げた事例を必要以上に狭く解釈しなくても良いことを強調した。明確化したのは次の3点だ(図2)。

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 第1に、平成9年遠隔診療通知の留意事項において、「直接の対面診療を行うことが困難である場合」として「離島、へき地の患者」を挙げたが、これは「例示」だとした。すなわち、遠隔診療の対象を離島やへき地の患者に限る必要がないことを明確にした。

 第2に、平成9年遠隔診療通知の留意事項において、遠隔診療の対象と内容を「別表」で示したが、これは「例示」だとした。すなわち、別表に示した対象(在宅糖尿病患者など9種類)以外の疾患も遠隔診療の対象になること、および別表に示した内容以外の診療も許されることを明確にした。

 第3に、平成9年遠隔診療通知では「診療は医師または歯科医師と患者が直接対面して行われることが基本」としていたが、今回は「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、直接の対面診療と適切に組み合わせて行われるときは、遠隔診療によっても差し支えないこととされており、直接の対面診療を行った上で、遠隔診療を行わなければならないものではない」とした。すなわち、直接の対面診療を事前に行うことが必ずしも遠隔診療の前提条件ではないことを明確にした。

■積極推進に転じた政府

 今回の通達の背景には、遠隔診療をめぐる方針を政府がここにきて大きく転換したことがある。参議院議員の秋野公造氏(長崎大学 客員教授)は2015年10月9~10日に仙台市で開催された「第19回 日本遠隔医療学会学術大会(JTTA 2015)」(主催:日本遠隔医療学会)で講演し、その経緯に触れた。同氏は医学博士でもあり、遠隔診療を含む医療政策に関して積極的な提言を行っている。

 秋野氏が触れたのは、2015年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」、いわゆる「骨太の方針2015」に、遠隔診療を含む「遠隔医療の推進」が盛り込まれたことだ。

 同方針には遠隔医療という言葉が2カ所に現れ、このうち「医療等分野のICT化の推進等」の項目ではその冒頭で「医療資源を効果的・効率的に活用するための遠隔医療の推進」がうたわれた。遠隔医療の推進が骨太の方針に明記されたのはこれが初めてだ。

 さらに、骨太の方針の具体的な実施策を示すものとして同じ日に閣議決定された「規制改革実施計画」でも、健康・医療分野に「遠隔モニタリングの推進」という項目が新たに設けられた。推進すべき事項として「有用な遠隔モニタリング技術の評価」「遠隔診療の取扱いの明確化」「遠隔診療推進のための仕組みの構築」を明記するなど、遠隔診療に関してこれまでになく「踏み込んだ表現がなされた」(秋野氏)。

 こうした政府方針にもかかわらず、過去の通知の“分かりにくさ”が遠隔診療の普及を妨げかねない─―。そう判断した厚労省が6月30日の閣議決定から間もなく出したのが、今回の通達というわけだ。遠隔診療を「止めて(禁じて)はいないのにうまくいかない」(日本遠隔医療学会 常務理事の長谷川高志氏)という、これまでの状況を打破する狙いがある。

 ただし、今回の通達だけで遠隔診療の活用が一挙に広がると見る向きは少ない。診療報酬(保険点数)制度が遠隔診療の利用を前提とした形では整備されておらず、医療機関にとっては遠隔診療を導入するメリットがまだ薄いからだ。今後、遠隔診療の推進という政府方針が診療報酬改定にどう反映されるか、多くの関係者が注目している。

■「ソーシャルホスピタル」実現にも関わる

 病気になってからの診断・治療から、未病段階での健康管理や重症化予防へ。病院でのケアから、地域や街、家庭といった日常生活の中でのケアへ―─。政府が打ち出した遠隔診療の推進はこうした、社会全体が医療の担い手となる「ソーシャルホスピタル」の実現に向けた医療のパラダイムシフトと深く関わっている。「医療資源を効果的・効率的に活用」し、医療費を削減するための仕組みづくりに、遠隔診療が重要な役割を果たすと期待されているのだ。

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日経デジタルヘルスが提唱するソーシャルホスピタルの概念図(イラスト:楠本礼子)
 例えば、高齢者が要介護状態となっても住み慣れた地域で生活を続けられるようにする地域包括ケアシステム。その推進は遠隔診療の推進にも「大きく影響する」(日本遠隔医療学会の長谷川氏)。離れた場所にいる医師と患者をつなぐ遠隔診療のニーズは、在宅中心のケアにおいてより高まるからだ。

 医療情報の専門家で遠隔医療への造詣も深い京都大学 教授/医学部附属病院 医療情報企画部長の黒田知宏氏はより広い視点から、遠隔診療の必要性を説く。対面診療が必ずしも必要ないと判断される患者に通院を強いることは「社会全体の労働力、すなわち生産性を低下させる」(黒田氏)。同氏は医療側のリソース確保の面からも、遠隔診療は有効とみる。

 臨床の現場に立つ医師からも遠隔診療の活用を望む声は強い。お茶の水内科の五十嵐氏もそうした医師の1人。同氏が遠隔診療の活用を訴えるのは、高血圧症やメタボリックシンドロームなど、重大な疾患につながる生活習慣病はできる限り「上流(早期)で食い止めることが大切」(五十嵐氏)だからだ。

■時間的制約からも解放される

 五十嵐氏のもとを訪れる患者には多忙なビジネスパースンも多く「通院する時間を持てないばかりに、治療を中断してしまう」(同氏)。結果として、薬の内服を続けさえすれば良好な状態を保てる症例でも、重症化してしまうケースがしばしばあるという。

 離島やへき地の患者のように物理的制約があるわけではないものの、こうして時間的な制約から孤立してしまう患者が都心部には多い。遠隔診療はそうした患者に手を差し伸べる手段ともなる。

■新たなエビデンス生む

 診断のエビデンスの観点からも、遠隔診療には追い風が吹き始めている。例えば、日本高血圧学会(JSH)が2014年4月に発行した「高血圧治療ガイドライン2014」(JSH2014)。医療機関で測る「診療室血圧」と家庭で測る「家庭血圧」の診断が異なる場合、家庭血圧を優先するとの内容が初めて盛り込まれた。

 病院で測る値に比べて「遠隔でモニタリングした値は“精度が落ちる”のが常識だったが、むしろ(診断材料としての)精度は高い可能性がある」(五十嵐氏)。それにお墨付きを与えた事例の1つが、同ガイドラインというわけだ。

 このほか、政府による規制改革実施計画の「有用な遠隔モニタリング技術の評価」の項目でも、睡眠時無呼吸症候群に対する治療法(CPAP療法)の遠隔モニタリングの評価を検討するとの内容が盛り込まれた。社会問題化している睡眠時無呼吸症候群についても、診断や治療方針に関する新たなエビデンスを遠隔モニタリングが生みだす可能性がある。

 現在、日常のバイタルデータに基づく予防医療的な行為には基本的に保険点数が付かない。遠隔モニタリングが生む新たなエビデンスが、その状況を変える起爆剤になると期待されている。

■遠隔診療をカジュアルに

 遠隔診療の実現手段(ツール)にも、ここ数年で劇的な変化が起こった。スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器が急速に普及し、ウエアラブル端末なども相次ぎ登場していることだ。

 これらのデバイスを使って、離れた場所にいる医師と患者が、患者の情報を手軽に共有できるようになった。クラウドコンピューティングや人工知能など、日常のデータを収集し解析するための情報基盤も飛躍的な進化を遂げている。

 大がかりで高価な専用のテレビ会議システムで遠隔地をつなぐ従来の遠隔診療から、身近な機器を使った“カジュアル”な遠隔診療へ。ツールの進化は、遠隔診療の姿を大きく変えようとしている。既に保険適用外の領域では、モバイル機器を使った遠隔でのモニタリングツールや健康相談サービスが相次ぎ登場している。

 スマートフォンを使って、健康に関する心配ごとを遠隔地にいる医師に気軽に相談できる─―。「ポケットドクター」と呼ぶそんなサービスを2015年12月にも始めるのが、MRTとオプティムである。

 ポケットドクターでは、利用者がスマートフォンで相談内容を登録。あらかじめサービスにエントリーした複数の医師がそれを見て、自らが答えようと思った相談に対して休憩時間などに専用アプリから回答する仕組みだ。相談に当たっては、スマートフォンのカメラを使って患部の状況や顔色を伝え、より正確なアドバイスを受けられるようにする。

 「コンビニに行くような感覚で手軽に健康相談ができる環境を作りたい」。MRT 代表取締役社長の馬場稔正氏はサービスの狙いをこう話す。ゆくゆくは、患者側が医師を指定して行うセカンドオピニオンや、自治体向けのへき地医療など、ポケットドクターのインフラを使ったさまざまなサービスを検討していくという。

 保険の一部適用を前提とした遠隔診療サービスもいよいよ立ち上がる。メディア事業などを手掛けるポートが、お茶の水内科の五十嵐氏らと共同開発した「ポートメディカル」がそれだ。スマートフォンなどを介し、遠隔で医師と患者をつなぎ、診断、処方、医薬品の配送までを実現する日本初のサービスとなる。

■メンタルヘルスと高い親和性

 ウエアラブル端末も今後、遠隔診療において大きな役割を果たしそうだ。注目される領域の1つが、まだ「有効なバイオマーカーが存在しない」(Vital Connectの大川氏)というメンタルヘルスの領域である。

 Vital Connectは同社のバイタルセンサーを使い、睡眠中の心拍やその変動、体動を測ることで「うつ病などの精神疾患に特有のパターンを抽出できるのではないか」(大川氏)とみる。今後、大学の研究者やアプリ開発者などと研究を進めていく。

 企業による従業員の「ストレスチェック」が2015年12月に義務化されるなどの動きもあり、メンタルヘルスに注目するプレーヤーは多い。例えば、ウェブ/テレビ会議向けクラウドサービス大手のブイキューブとエムスリーの合弁会社であるエムキューブも2016年度をめどに、メンタルヘルスの領域で医師と患者を直接つなぐコミュニケーションシステムを開発する狙いである。

(日経デジタルヘルス 大下淳一)

[『日経デジタルヘルス特別編集版2015秋』の記事を再構成]

[参考]日経BP社は2015年12月9日、「どうなる?遠隔診療」と題したセミナーを開催する。厚生労働省が遠隔診療の適用範囲について、より広い解釈を明確にする通達を出したことを受け、遠隔診療にかかわる医療関係者や産業界のプレーヤーを招き、遠隔診療の動向とそれが生み出す新たな市場機会を展望する。詳細は、http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/seminar/15/102100041/



http://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20151124-OYTNT50057.html
県立大槌病院 休日・夜間急患受け入れず
2015年11月25日 読売新聞

 東日本大震災で被災し、来年度の開院に向けて再建中の県立大槌病院(大槌町)が、震災前に行っていた休日・夜間の救急患者の受け入れを行わないことがわかった。医師不足が理由で、平日の日中のみ受け入れる。病院側が24日、住民代表らでつくる釜石地域県立病院運営協議会で明らかにした。


 新病院は内陸部の寺野地区に建設される。鉄筋コンクリート3階で、2階が外来、3階が病棟。現在は仮設で診療をしているが、震災後初めて入院患者の受け入れを再開する。ベッド数は震災前よりも10床少ない50床となる。

 震災前は救急患者を24時間受け入れていたが、常勤医師が5人と少ないため、受け入れを平日午前8時半~午後5時15分に限定する。休日・夜間の救急患者は、県立釜石病院が受け入れる。

 診療科は6科(内科、外科、整形外科、皮膚科、眼科、リハビリテーション科)で、実質休診中の産婦人科はなくなる。開院は来年の夏前を目指すという。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52384/Default.aspx
政府 16年4月の薬価・診療報酬改定「本体マイナス」で調整スタート
公開日時 2015/11/25 03:51 ミクスOnline

政府は2016年4月実施の薬価・診療報酬改定について、本体マイナスとする方向で調整に入った。次期改定の焦点となる改定率について財務省は、16年度予算概算要求時点の社会保障費の伸び6700億円を5000億円弱にまで抑制する方針を示している。これまで5000億円程度としていたが、一歩切り込んだ形で、差額分である1700億円超を薬価の引き下げや診療報酬改定以外に、調剤報酬の抜本的見直しや、後発医薬品の価格引き下げなどで賄う方針。ただ、マイナス改定には日本医師会など診療側の強い反発が予測され、改定率をめぐる議論は与党自民党などを巻き込んで12月中下旬に予定される16年度予算案の財務省原案内示までもつれ込む可能性が高い。

11月24日に開かれた経済財政諮問会議では、“マイナス改定”を求める声がついだ。同日、麻生太郎財務相に手渡された財務省の財政制度等審議会の「2016年度予算の編成等に関する建議」、諮問会議の民間議員はともに、患者負担や保険料が増加する中で、物価・賃金が減少傾向を示す中で、診療報酬本体の引き下げを主張した。

◎諮問会議 民間議員は後発医薬品半額以下への引き下げ求める

諮問会議の民間議員は、診療報酬本体について、▽高度急性期、急性期病床からの転換をうながすために、看護配置7対1の急性期病床の要件厳格化、診療報酬引き下げ、▽医療必要度の低い療養病床は、医療従事者の配置を緩和し、診療報酬引き下げ、▽DPC(包括払い)適用の病院、治療範囲拡大——を求めた。さらに、調剤報酬については、院外処方が院内処方の1.2〜1.5倍の高値であることから、患者本位の価値に見合った報酬とするために、いわゆる門前薬局などの調剤報酬の適正化を求めた。かかりつけ薬局については、医師との役割分担や健康増進サービスにおいて果たすべき役割を明確化することを求めた。

薬価については、後発医薬品の価格を先発医薬品の半額以下に引き下げることを求め、特許の切れた先発医薬品の価値も大胆に引き下げるべきとした。そのほか、▽湿布などの市販品類似薬の保険除外、▽薬剤流通の適正化に向け、未妥結減算の改善、▽市場実勢価格を踏まえた薬価改定の実施——を求めた。

◎財政審・建議 薬価調査2016年中に実施を 調剤報酬は抜本的、ゼロベースで見直し

財政審の建議では、「持続可能性を確保するための制度の見直しが急務」と指摘し、診療報酬のマイナス改定や診療報酬関連の制度改革を行うことを提案した。
薬価については、継続的なマイナス改定が行われているが、市場実勢価格を反映しているに過ぎないと指摘。「診療報酬本体の財源にはなりえない」とした。2017年4月に予定される消費税増税を見据え国民の負担が増加しないよう、2016年中に薬価調査を実施し、直近の市場実勢価格を反映することを必須とした。この薬価調査の実施は遅くとも16年央までに決定すべきとした。薬価調査に基づく2016、17、18年度の3年連続薬価改定を求めた格好だが、その後の頻度については18年度までの改定実績、17年中に行われる薬価調査の結果を踏まえ、遅くとも18年央を目途に結論を得るべきとした。新薬創出加算については仮に本格導入を検討するのであれば、費用対効果評価の本格実施を前提とした上で、真に有用な新薬などを評価する枠組みとして重点化すべきとした。

後発医薬品の使用促進については、一定の期間を経ても後発医薬品へ置き換えが図られていない場合の特例引き下げ措置(いわゆる、Z2)は、新目標を踏まえた置換率の閾値の見直しや引き下げ率の拡大を図るべきとした。

調剤報酬については、「診療報酬本体とは別に、ゼロベースかつ抜本的かつ構造的な見直しが必要」と指摘。全体的な水準の引き下げを図りつつ、新にかかりつけ薬局の機能を果たす保険薬局については手厚い配分を行うことも提案した。

調剤基本料は、大型門前薬局を念頭に、集中率や処方箋枚数を基準に低い点数が設定されているが、この対象拡充や点数の引下げを図るべきとした。基準調剤加算も、集中率要件の大幅な引下げ、備蓄数の引き上げなどの算定要件の厳格化、24時間対応を実績評価などの見直しが必要とした。また、後発医薬品の取り組みが不十分な保険薬局については、原産措置の導入を図ることが適当とした。

調剤料については、全体の水準を半分程度に引き下げつつ、投与日数に応じた点数の増加をなだらかにすることを求め、段階的に院内処方と同様に投与日数や剤型にかかわらず定額とすべきとした。一包化加算についても点数を大幅に引き下げるとともに、投与日数に連動した点数配分の廃止を求めた。
一方で、かかりつけ機能を評価する薬学管理料については、服薬指導の意義、患者にとっての利点、これまでの管理指導による具体的な成果を分析し、要件を厳格化した上で、真に効果的に継続的、かつ一元的な管理指導を行っている薬局に限り、高い点数配分を行うことを求めた。
そのほか、かかりつけ医普及の観点から地域包括診療用の必要な要件緩和を行うことなどが盛り込まれた。

  1. 2015/11/25(水) 05:50:34|
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