Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月15日 

http://medg.jp/mt/?p=6260
Vol.229『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (4): 和田勝「介護保険制度の設計思想」を語る
医療ガバナンス学会 (2015年11月14日 06:00)
小松秀樹
2015年11月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

この原稿は、ソシノフブログ http://www.socinnov.org/blog/p221 より転載です。

 ある会合で役人が嫌いですかと聞かれた。とんでもない誤解である。例えば、和田勝氏の業績と背景にある考え方を私は高く評価する。和田氏は1990年代半ば、高齢者介護対策本部事務局長として、厚生省(当時)のエースたちを率いて、介護保険制度の設計を指揮した。
 当時、家族の介護負担は深刻な社会不安になっていた。介護サービスは公費による老人福祉と医療保険という2つの異なる制度で提供されていたが、不公平で使いづらいものだった。94年細川護煕首相の国民福祉税構想があっけなく挫折した。この事件で厚生省は税に頼ることの難しさ、危うさを痛感し、社会保険による介護の提供を本気で考え始めた。

『地域包括ケアの課題と未来』から、和田氏の考え方を示す文言を抜き出す。

「重視したのは、単なる財源対策ではなく介護に関する新たな理念を打ち出すこと」「それが、『個人の尊厳』の尊重であり、それに由来する『自立支援』です。」

「保険制度の下では、サービス利用は被保険者の権利ですから、『選択・契約』の仕組みとなり、その結果、市場機能が効いて事業者のサービス提供拡大や質の改善の意欲を刺激します。介護ニーズの拡大は確実で、サービス利用があれば保険から事業者に金が支払われます。予算範囲内でしかサービスを提供できない措置制度に比べて、サービス提供量が増加します。」「拡大するニーズに対応するため、在宅サービス分野では営利法人・協同組合・NPOなどの民間事業者の参入を認めました。」

「(保険者は)地方自治の本旨からすれば、当然市町村が担うべき役割です。」

 「給付は、現物給付とし、家族への現金給付は制度化しないこととしました。足りないのは『カネ』ではなく『良いサービス』だからです。」

 和田氏は中央統制より市場機能を重視し、サービスの受け手と提供者の自由意志を尊重する。その背景に憲法があることが、「個人の尊厳」と「地方自治の本旨」という日本国憲法固有の文言がそのまま使われていることから読み取れる。

 高橋和之(『立憲主義と日本国憲法』有斐閣)によると、「憲法はその社会の基本価値を体現」しており、日本国憲法の基本価値は「個人の尊厳」である。「社会あるいは国家という人間集団を構成する原理として、個人に価値の根源を置き、集団(全体)を個人(部分)の福祉を実現するための手段とみる個人主義の思想に基づく。」「『個人の尊厳』を表明した日本国憲法は、全体主義を否定し個人主義の立場にたつことを宣言したのである。」全体主義のナチスドイツでは、社会的弱者が大量殺戮の対象になった。弱者への福祉サービスは個人主義に親和性を持つ。

 「地方自治の本旨」という文言には「団体自治」と「住民自治」という2つの意味がある。「団体自治」とは、自治体に、国家に対するチェック・アンド・バランス機能を持たせることであり、一定以上の規模が要請される。都道府県が想定されるが、日本の都道府県の実態は憲法の期待を裏切っている。和田氏が求めているのは「地方自治の本旨」のもう1つの意味「住民自治」である。個人に身近な基礎自治体が住民参加により個人の尊厳の確保をすべく努力することを意味する。

 筆者は、過去10年間、厚労省の医系技官とくに、医療事故や感染症に関わる医系技官と厳しい議論を繰り広げてきた。彼らは医療事故調査委員会の設計にあたり、医療を善悪の尺度で、中央主導で裁こうとした。医療における正しさを法システムで固定し、進歩を阻害しようとした。医学における正しさは善悪というより知に関するものであり、仮説的、暫定的である。知を増大させるために、未来に向かって議論が継続されなければならない。新型インフルエンザ騒動では、大量の事務連絡を連発して、医療現場を混乱させた。科学的に無意味な検疫と停留措置で人権を侵害した。「社会保障制度改革国民会議報告書」以来、医療行政の「強制力」を強めようとしてきた。医療の需要を測定し、医療サービスを計画的に供給することを目指してきた。医療機関から消費税損税を取り上げ、それを補助金としてばらまき、医療機関を支配し、経営努力の空間を狭く窮屈にした。あたかも、旧共産圏の統制医療を目指しているかのようである。

 和田氏の介護保険の設計思想は、今日の医療政策の進んでいる方向と真逆である。

 少し脱線する。筆者は2015年9月、行政官の違法行為を指摘したことを理由に、医系技官の指示に従った経営者によって懲戒解雇された。経営者は、医系技官に筆者の行政批判を止めさせないと、補助金を出さないと脅された。経営者は、筆者に補助金がもらえないと困るので、行政批判を差し控えられたいと、当たり前のごとく、何の屈託もなく述べた。脅した医系技官も経営者も、立憲主義の基本的な考え方を知っていたとは思えない。日本国憲法は、憲法の基本価値である「個人の尊厳」を守るため、国家権力を制限している。日本国憲法が、国民ではなく、公務員に憲法を尊重し擁護する義務を負わせているのはこのためである。憲法という制限がなくなると、国が暴走して人権侵害が生じ、国が危うくなるというのが憲法の前提である。医系技官という集団に憲法無視の傾向が見られるとすれば、医系技官制度の基本部分を考え直さなければならない。

 話を元に戻す。和田氏の文章には、措置制度に対する強い問題意識がみてとれる。措置制度は個人の尊厳と密接に関連する。和田氏の問題意識は周囲で共有されていた。

 大森彌東大教授(当時)は、地方分権を専門とした行政学者である。高齢者介護・自立支援システム研究会の座長として、介護保険法成立に大きな役割を果たした。大森教授の措置制度に対する考え方を大熊由紀子氏の『物語介護保険』(岩波書店)から紹介する。大森教授は、座長役になることを依頼されたとき、「厚生省は本気で措置制度を廃止する決心をしているのですか」と尋ねた。「大森さんは幼くして父を失い、町工場で働きながら夜学で高校を卒業した経験の持ち主です。」「生活保護を受けていることが小学校の担任教師の口から、級友に知られてしまい、惨めな思いもしました。人間の誇りを傷つける『措置』という制度の宿命を、身をもって体験していたのでした。」

 元キャリア官僚の武田雅弘氏は、自ら介護事業を立ち上げた経験を有する。厚生省に入省直後に、和田氏の部下として薫陶を受けた。武田氏は『新13歳のハローワーク』(幻冬舎)で、中学生向けに介護保険について解説した。メインテーマは「措置から契約へ」である。「介護をしてあげる側」と「介護をしてもらう側」という、片方がもう片方に一方的に恩恵を与えるという関係そのものを変えていかなければ、介護サービスの質は向上しない。人が人に何かを「してあげる」という関係は、一歩間違えると「善意でしてあげているのだから、してもらったことには文句を言うな」とばかりに、「してあげる側」は強者の立場に立つ。これは悪徳によるのではなく、関係が対等でなかったために、人の心の働きによって自然にそうなった。措置から契約になって「してもらう側」が「お客様」に変化すると、介護事業者はサービスの品質を高くしないと、サービスを買ってもらえなくなり、事業を続けていけない。「お客様」も、利用可能な範囲を超えるとすべて自腹になるので、何でもかんでもしてほしいという甘えは通用しなくなる。

 1990年代半ばの厚生省の法令事務官たちと、現在の医系技官の違いがなぜ生じたのか、国を危うくしないためには、人間の深い部分にまで立ち入った研究が必要である。



http://medg.jp/mt/?p=6254
Vol.226 震災避難民をおそう「寝たきり」の恐怖
医療ガバナンス学会 (2015年11月11日 06:00)
九州大学整形外科
石井武彰
2015年11月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

 「あぁもう限界。」「いやぁ、やったことないから難しいわぁ。」

相馬市の仮設住宅では一風変わった健康診断が行われました。ここでは一般の健康診断にあわせて、高齢者を対象とした体力測定を行っています。受診者の笑顔と賑やかな雰囲気が、ともすれば殺風景な健診会場を活気のあるものとしています。
 相馬市は福島第一原子力発電所からおよそ40km北に位置する自治体です。東日本大震災では沿岸部が津波による甚大な被害をうけました。また山間部においては、避難区域として指定はされませんでしたが、原発事故に伴う放射能汚染が生じています。市の中心部では津波の直接被害は無く、震災前とほぼ変わりない生活が営まれているのにくらべ、仮設住宅では生活環境が急変し健康を損ねている方も少なく有りません。医師でもある相馬市長は、被災者の健康対策に力を入れており仮設住宅健康診断を定期的に実施しています。そして健康促進の一環として、2012年より仮設住宅で実施される健康診断に体力測定を導入しました。

 私は東日本大震災後の2012年の1年間、当時所属していた大学院を休学し福島県相馬市の民間病院で整形外科医として勤務しました。大学院復学後も非常勤の医師として診療に相馬市に通うかたわら、整形外科医の視点から被災者の健康診断や復興支援に関わっています。◯月◯日、冒頭の体力測定の結果が英文医学誌Preventive Medicine Reportsで発表され[1]、仮設住宅住民では明らかに足腰の力が衰えていることがわかりました。一番の原因は仮設住宅生活にともなう生活習慣の変化から身体を動かす機会が減ったことに有ると考えられます。足腰の衰えは転倒そして要介護のリスク因子となり寿命を縮める可能性も指摘されています。仮設住宅生活にともなうリスクの一つとして啓発そして対応が求められます。

 今回の発表では65歳以上の高齢者で、仮設住宅住民を対象とした体力測定の結果と、一般住民を対象とした体力測定の結果を比較しています。仮設住宅での体力測定は、2012年7月におこなわれた仮設住宅健康診断に併せて実施されました。一般住民を対象とした体力測定は、同年9月から10月にかけておこなわれた特定健康診査、後期高齢者健康診査に併せて実施されました。それぞれ207人、1683人の方が受診しています。

 体力測定の項目として「握力」、「バランス」、「歩行能力」を測定しました。「握力」は握力計を用いて測定しました。「バランス」は、目を開けて両手を腰においた姿勢で何秒間片脚立ちができるかを測定しました。「歩行能力」は椅子に座った姿勢から、立ち上がって3m先の目印を回って椅子に戻り、座るまでの時間を測定しました。それぞれ2回測定して良い値を結果として採用しています。「バランス」は15秒未満、「歩行能力」は11秒以上が体力低下の指標とされています。

 仮設在住高齢者では、「バランス」および「歩行能力」で体力低下と判定された割合が、一般高齢者の約2倍という結果でした。「バランス」で体力低下であったのは、仮設在住高齢者の約60%に対して一般高齢者は約30%。「歩行能力」で体力低下であったのは仮設在住高齢者の約8%に対して一般高齢者は約3%でした。特に「バランス」においては年齢のばらつきを考慮した統計学的解析でも差がある(偶然ではない)と判定されました。仮設住宅で体力測定を実施している際に、あまりに成績が悪いことに戸惑いを感じたことを覚えています。

 仮設在住高齢者の成績の悪さは、仮設住宅生活にともなって身体を動かす機会が減ったことが一因となっていると考えました。仮設住宅の世帯あたりの面積は30m2弱であり、「半径3mの生活」と自嘲する人もいます。「家じゃ畑してたんだけどな」「掃除する部屋もへって家事が減ったんだ」と家でじっとしている時間が増えているようです。病院の患者さんからは、「介護ベッドを置くと他に何もおけなくなる」といった悩みも聞こえてきます。周辺環境の変化も影響が有るようです。「震災前は散歩してたんだけど、仮設の周りは散歩しても気がめいるからな」と運動を止めてしまったという人もいます。また多くの仮設住宅は市街地から慣れた場所に建設されて、買い物等の移動も基本的には車での移動となり生活の中で体を動かす機会が減少しています。

 今回の震災の特殊事情として原発事故による失職もあげられます。仮設住宅には沿岸部の漁業関係者も多数生活しています。2012年当時、放射能汚染への不安から本格的な漁は再開されておらず、仕事で身体を動かしていた人が家で時間を持て余している話も聞こえてきました。農業従事者に置いても、作付けを控えて家で過ごしていたという方もいます。実際に外来患者さんで、1年ぶりに耕運機を動かそうとした所、思うように動かせずに転倒して背骨を骨折してしまった方がいます。「(耕運機は)慣れた操作だったのに、身体がなまっていたのかもしれない」と気を落としていました。失職に伴う身体活動の低下という要因も見逃せません。

 一方で、「握力」は仮設在住高齢者が一般高齢者より強いという、「バランス」や「歩行能力」と一見矛盾する結果なりました。仮設高齢者の握力平均値は男性35.2kg, 女性23.7kgに対して、一般高齢者の握力平均値は男性32.2kg, 女性21.3kgでした。年齢のばらつきを考慮した統計学的解析でも差がある(偶然ではない)と判定されています。これは下肢の筋力が低下し、上肢の筋力は保たれていることを示唆します。

 この矛盾が生じた理由として、仮設高齢者は震災前より一般高齢者より「握力」が高かった可能性を考えています。仮設住宅に避難しているのは、津波で家を失った沿岸部の住民の方がほとんどです。震災前は漁業関連の体を動かす仕事をしていた方が多く、少なくとも震災前に「握力」を含め体力が一般高齢者より弱かったとは考えにくいです。また「バランス」や「歩行能力」の低下が疑われる中、「握力」だけあがったと考えることにも疑問を感じます。ベッドで寝たきりになった人でも上肢筋力は比較的保たれやすいとの過去報告もあり、今回の結果と矛盾しません。

 今回の結果を受けて、相馬市は高齢者の体力維持・増進に寄与する公園を整備する計画でいます。また相馬市社会福祉協議会のメンバーが市内4カ所ある仮設住宅を毎日訪問しており、定期的にお茶会を開催しています。お茶会では住民同士の「交流の場」となるように活動が展開されていますが、そのなかで運動不足解消のための運動も取り入れられています。地域の理学療法士も介護予防講演会などで積極的に地域住民に啓発活動を行っています。また仮設住宅では今回の結果の説明会をかねた運動教室も複数回開催されています。

 今回の体力測定は筆者が当地で整形外科診療をおこなうなかで気付いた問題意識から始まりました。仮設住宅の患者さんとの会話の中から、「家じゃ何にもしてねぇ」、「まえは散歩してたんだけどな」など身体を動かさなくなった話を多く聞いていました。足腰の力が弱ることによる転倒・骨折のリスクが高まっていると思いました。また相馬市には骨折した時に手術可能な施設が公立相馬総合病院のみでした。しかも、そこで常勤ではたらく整形外科医は一人という明らかな医師不足の状態でした。そこで転倒・骨折の予防が必要と考え、そのために体力測定を行って自分の体力に対して啓発をおこなうことが有効ではないかと思い至りました。

 仮設住宅での体力測定には福岡豊栄会病院の旧知の理学療法士の力が大きな助けになりました。もともと仮設住宅での一般的な健康診断が計画されていましたので、同時に体力測定をおこなうことを相馬市長に提案したところ了承を得ました。そこで福岡豊栄会病院の旧知の理学療法士に相談したところ、手弁当で駆けつけてくれることとなりました。実際の健診では、体力測定をした後に、結果を踏まえて経験豊富な理学療法士あるいは作業療法士から個別に時間を取って日常生活指導を行いました。

 実際の体力測定中に、測定結果が想定より悪いため首をかしげる事態となりました。体力測定の練習のため、整形外科手術後の入院中の患者さんで希望者を対象に、同様の項目を測定していたのですが、手術後の患者さんに比較しても、仮設住宅の測定結果が悪いように感じられたからです。集計の結果でも成績が悪いことがわかりました。相馬市長に報告したところ、一般住民と比較する必要を指摘され、特定健康診査、後期高齢者健康診査でも同様の体力測定を実施することが決まりました。その結果は前述のとおりです。

 体力測定を行うことは、一部の方ではありますが行動変容のきっかけになったようです。自身の体力と向き合うきっかけとなり、後日受診した方から「散歩を始めた」、「近くのジムに通い始めた」、「バランスの練習してんだ」などの話を聞くことが出来ました。年齢に伴いなんとなく体力の低下を感じているひとは多いのですが客観的な結果を知る機会は限られています。健診の機会を利用して体力測定することは、近所の顔見知りや年齢平均の値と結果を比べることで、自分の体力を振り返る機会となります。子供の体力測定をおこなっているので大人も体力測定を実施してもおかしくありません。

 また体力測定では病気という程では無いが、これから病気に向かうリスクのある「未病」状態の方を見つけることが出来る可能性があります。これらの方々は病気としては捉えられませんので、病院の診察室で出会うことはありません。しかし何らかの介入を行うことで元気に老いを過ごしてもらえる可能性が高まるかもしれません。超高齢社会に突入した日本では、病は未病の状態で食い止め健やかな老いを過ごしてもらう援助が有効と考えています。

 健診での体力測定はその一つの方法になりうると思いますが、今回の経験から反省すべき点も有りました。まずは測定項目に再考の余地がありそうです。秒単位で測定する「バランス」「歩行能力」は結果のばらつきが大きい印象が有ります。次に、仮設住宅での成績が悪い原因として、身体を動かさなくなったことが一番の原因だと考えていますが、他の原因が有るかもしれません。そのほか、仮設住宅での体力測定ではリハビリ専門家による丁寧な個別指導が実施できましたが、特定健康診査、後期高齢者健康診査ではそこまでの対応は出来ませんでした。実現可能な方法を探って行く必要が有ります。また体力測定の効果も、今後取り組みが進む中で検証の必要が有ると思っています。

 最後になりましたが、今回の論文でとりあげた体力測定は、相馬市職員、福岡豊栄会病院の他、瀬戸健診クリニック、星槎グループ、相馬郡医師会、公立相馬総合病院、相馬中央病院、相馬市社会福祉協議会、東京大学医科学研究所の皆様をはじめ、多くの健診支援者の御協力のもと実施されました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

[1] Ishii T, Ochi S, Tsubokura M, et al. Physical performance deterioration in temporary housing residents after the Great East Japan Earthquake. Prev Med Rep. 2015 XXX



http://www.m3.com/news/iryoishin/373299
シリーズ: m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
美座椅子、腸内洗浄、ミドリムシ……. NP読者は医師より健康オタク◆Vol.9
健康法を実践する医師は41.6%

2015年11月15日 (日)配信 佐藤留美(NewsPicks編集部)

 m3.comとNewsPicks(以下、NP)共同特集の締めくくりは、m3.comのアンケート回答者である医師と会社勤めが79.8%を占めるNPのアンケート回答者が実践する「健康法」と、その違いについてリポートする。まず、両者に「実践している健康法はありますか」と聞いたところ、NP読者のうち、58.4%が「ある」と回答した。一方、医師では「ある」と答えた人は41.6%に留まった。連載7回目で紹介した通り、今回のアンケートに回答してくれた医師のうち7時間以上の睡眠を確保している人は25.8%にすぎない。過剰労働による睡眠不足で、自身の健康にかまっている余裕はないのかもしれない。
111501.jpg

 では、「健康法がある」と答えた医師の具体的な内容とは。その中身は意外なほどシンプルで、自由回答欄を見ると、食事法と運動、もしくはその両方を行っている場合が大半を占めた。食事法については、「夕食の炭水化物制限。野菜中心の食事」「糖質を適切な量に管理」「炭水化物をなるべく採らない」「ケトン食」など糖質制限の支持が高い。

 また、実践しているスポーツについては、ランニングと答えた医師が多勢派で、その他は「散歩」「スクワット」「筋トレ」など。食事法と運動以外の回答としては、「サプリメント」「ココナッツオイル、オメガ3油を積極的に摂取している」「マインドフルネス瞑想」などの回答が見受けられた。

ベジタブルファースト、泣く、喋る
 一方、NP読者の「健康法」は多種多様、それもユニークなものが目立った。例えば、「ストレス社会に入らない」「家族とのコミュニケーションによる心身のリフレッシュ」「関わる相手全てに敬意を持って接することが健康法です。情緒を安定させることができ、ひいては身体の健康にもつながると確信しています」など、人との接し方を変えることでメンタルを整える健康法を実践している人が見られた。

 また目立ったのが、複数の健康法を同時進行で実践する人の多さだ。「美座椅子、青汁」「1日2食、水を2リットル以上、スポーツ週3時間以上」「野菜ジュース、腸内洗浄」「Lアルギニンを飲む、糖質制限、ランニング」「ヨガ、キックボクシング」「運動、筋トレ、人参リンゴジュース、サプリメント」「月100キロのランニング&ミドリムシ」「溜め込まず吐き出す。体にある不要物を出すことが健康維持と考えています。泣く、喋る、排せつも含む」「昼休みを利用したランニング、抗酸化作用の高いキウイフルーツを毎朝摂取、免疫力を高めるヨーグルトを毎晩摂取」などの回答に、驚くほどの健康意識の高さがうかがえる。

 食事にしても、そのこだわりは「ベジタブルファースト」「牛乳を一切やめた、赤肉、乳製品を控える、自炊」「添加物や化学調味料を避ける」「塩分控えめ」「ココナツオイルをとる」など相当にマニアック。極め付きとして、「不食(1日のうち何も食べない。水分のみ。)。または1日1食。始めてから2カ月で体重7キロ減。血管年齢が実年齢よりマイナス9歳」というやや極端な回答も見受けられた。

 病気や健康のプロである医師が、適度な食事に有酸素運動中心のごくオーソドックスな健康法を実践するのに対し、健康に関する知識は元来門外漢であるはずのNP読者は、果敢に最新の健康法に挑む――。この対照的な結果が印象的だ。

ビジュアル作成:櫻田潤(NewsPicks編集部) ※健康法に関するm3.com会員、NewsPicks読者のコメントははこちら⇒



http://www.m3.com/news/iryoishin/373428
シリーズ: m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
医師の健康法「糖質制限」「ココナッツオイル」
m3.com×NewsPicks共同企画◆Vol.9 自由回答

2015年11月15日 (日)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 『m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」』の第9回「医師の健康法「糖質制限」「ココナッツオイル」で紹介した、仕事への悩みについての医師、NewsPicks読者の自由回答を紹介する。

Q 実践している健康法を教えてください。

■■NewsPicks読者
・瞑想。
・家族とのコミュニケーションによる心身のリフレッシュ。
・関わる相手全てに敬意を持って接することが健康法です。情緒を安定させることができ、ひいては身体の健康にもつながると確信しています。
・水を2リットル以上飲む。
・美座椅子、青汁。
・夕食炭水化物制限。
・黒酢を飲む。
・野菜ジュース、腸内洗浄。
・マッサージ。
・スクワット。
・ココナツオイルを採る。
・Lアルギニンを飲む、糖質制限、ランニング。
・添加物や化学調味料を避ける。
・運動、筋トレ、人参リンゴジュース。
・腹筋に力をいれた状態で過ごす。
・砂糖や牛乳は食べない、飲まない。
・牛乳を一切やめた。
・溜め込まず吐き出す。体にある不要物を出すことが健康維持と考えています。泣く、喋る、排せつも含む。
・昼休みを利用したランニング。
・抗酸化作用の高いキウイフルーツを毎朝摂取。
・免疫力を高めるヨーグルトを毎晩摂取。
・ビール酵母を愛用している。天然食材で栄養価が高いのが理由。
・武道の稽古。
・喉が痛い、あるいは痛くなりそうだな、と感じたら、それが感じられなくなるまで、朝・昼・晩と常にイソジンでうがい!これでもう何年も風邪をひいてない。イソジンと水道代だけで治る。病院に通うための時間や治療費、ドラッグストアで買う風邪薬代の節約になるし、ゴホゴホして周りに迷惑をかけることもない。何より、自分が快適ですよ。
・ベジタブルファースト。

■■医師(m3.com会員)
・ジムトレーニング。
・自転車に乗る。
・多少早めに歩くとか・・勤務中はエレベーター類を一切使用しないで怪談を使って移動しています。
・糖質制限食。
・水泳。
・バランスの良い食事と適度な気晴らし。
・体にいいものを食べる。魚を食べる。有機野菜を食べる。コーヒーを飲む。豆乳を飲む。無理しない。
・筋力トレーニング。
・なるべく階段を利用する。
・朝5時におきて、ジョギングして、仕事中は片足6ポンドの重りを付けています。
・ランニング、寝る前に布団の上での軽く体を動かすこと。
・週一回の加圧トレーニング。
・9時以降は飲食しないダイエット。
・玄米食。
・ケトン食。
・運動を定期的にして、運動量を測定管理している。
・プチ糖質制限。
・糖尿病の食事療法。
・コレステロールを下げる豆乳を飲んでいる。気休めですが。
・マインドフルネス瞑想。
・サプリメント。断食3日間。朝は水分のみ。
・ココナッツオイル、ω3油を積極的に摂取している。



https://www.m3.com/research/polls/result/23?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151115&dcf_doctor=true&mc.l=131254225
意識調査意識調査一覧
結果【医師会員からの質問】今の収入の満足度

カテゴリ: キャリア・働き方 回答期間: 2015年11月6日 (金)~12日 (木) 回答済み人数: 2000人

今回のテーマは、「収入と満足度」。m3.comの複数の医師会員から質問のテーマとして提案がありました。 11月4日に開催された中央社会保険医療協議会で医療経済実態調査の概要が公表され、2014年度改定前後を比較した病院や診療所の経営状況や常勤職員の年収などが明らかになりました。

一般病院では、病院長の平均年収は1900万~2900万円、医師の平均年収は約1400万~1500万円ほど。一方、診療所では、医療法人の院長は約2900万円、医師は約1200万円程度でした(『病院は1.4ポイント赤字増、診療所は黒字維持』)。

開業や起業などの選択肢もある医療従事者の方々は、ご自身の医療資格と業務の内容を鑑みて、収入や今後の勤務体系をどのように考えているのでしょうか。

収入増策、開業よりもアルバイト増

 今回のm3.com意識調査では、医療従事者の収入についてお伺いしました。収入満足度が比較的高かったのは、医師。開業医は「満足している」(46%)が「満足していない」(27%)を大きく上回りました。勤務医でも「満足している」(39%)が「満足していない」(37%)を上回っています。一方で、他の全ての職種で「満足していない」が「満足している」よりも割合が高い傾向にありました。特に看護師は、「満足していない」(59%)が「満足している」(12%)を凌駕しました。

 ご自身の周りで、「仕事の内容に比べて収入が多いと感じる職種」について尋ねましたが、実際に平均給与が高い「医師」を選ぶ人が多い傾向にありました。

 では、収入を増やすための方策として、どのようなことを検討しているのでしょうか。「アルバイト先を増やす」が人気だったのは、勤務医と歯科医師(いずれも40%)。「勤務先を変える」に票が集まったのは、看護師(47%)と薬剤師(40%)。収入満足度が高い上、勤務先の変更は困難で、アルバイトするのも容易ではない開業医は、必然的に「いずれも検討していない」(51%)の回答が圧倒的に多くなりました。「開業・起業」を考えているのは、歯科医師(30%)が多かったほか、勤務医(13%)、薬剤師(18%)、看護師(16%)という結果でした。

Q1 今の収入に満足していますか?(単一選択)
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開業医 : 375人 / 勤務医 : 1258人 / 歯科医師 : 10人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 299人 / その他の医療従事者 : 41人
※2015年11月12日 (木)時点の結果

Q2 ご自身の周りで、仕事の内容に比べて収入が多いと感じる医療従事者の職種はどれですか。
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開業医 : 375人 / 勤務医 : 1258人 / 歯科医師 : 10人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 299人 / その他の医療従事者 : 41人
※2015年11月12日 (木)時点の結果

選択肢の設定に不備がありました。2015年11月6日午後9時に「該当なし」の選択肢を追加しました。これまでに180人の方にご回答いただいております。ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

Q3 収入を増やすために、検討したいことがあれば教えてください。
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開業医 : 375人 / 勤務医 : 1258人 / 歯科医師 : 10人 / 看護師 : 17人 / 薬剤師 : 299人 / その他の医療従事者 : 41人
※2015年11月12日 (木)時点の結果

Q4 Q3までのご自身の回答について、理由やご意見があれば教えてください(任意)

皆様の自由なご意見などをお伺いしました。一部をご紹介します。

【開業医】
・医師間でも診療科による、労働対収入の乖離が酷い。調剤薬局は、責任の割には法外な利益。看護師も人手不足を背景に、高賃金にすぎる。
・年齢的に収入増は望まない。
・仕事の内容や拘束される時間、ストレスなどを考えた場合、収入はそれには見合わないほど少ないが、贅沢さえしなければ生活はできるし、金のために働いているわけではない。
・65才の開業医ですが、身の丈以内で充実した医師生活を誇りを持って送りたいと思っています。自分の趣味(読書、旅行、音楽、スキー、ゴルフ、お酒など)もほどほどに楽しんでいきます。一生医師でいられることを、ありがたく思っており、患者さんにとって自分が役に立てると思われる間は、勉強会や学会などにも積極的に参加して自己研鑽を積んでいきます。その限りにおいては、現在の収入で十分だと思います。
・医師には患者さんに対し「応召の義務」が法的に規定されて居り、アルバイトとしてではなく職場での業務専念から職場を離れることは許されることを周知徹底する必要がある。他の医療施設で医療に従事せざるを得ない事情がある。
・一般サラリーマンに比べ金額的には確かに多いですが、仕事をしている時間ははるかーーーーーに多いです。好きでなければやっていけない。ちなみに私は医療法人の院長ですが、上記の実態調査の半分以下です。
・措置法第26条の範囲で小さく開業すれば、かなりお得です。
・開業するのが一番の収入アップの近道だと思うが、精神的ストレスや長期休暇が取りづらいことなどを考えると、美味しいとこ取りはないのかな、と納得するしかない。
・78歳です。6月から診療時間を9時から13時にしました。従来の1/2です。従業員の給与は70%にしましたが引き続き来てくれています。いつまで継続できるか疑問です。11月からは私の給与も70%にする予定です。
・インカムはおおむね満足だが、アウトカムが多大で出納バランスが取れていないのが問題。
・福利厚生、退職金、年金などを考えれば、さほど恵まれているとも思えない
・医療事情を知らない医事評論家、マスコミ、政治家、官僚達は勤務医の収入と開業医の収入を単に数字だけで比較して開業医は儲かっているといい加減な発言をしているが、開業医は大きな債務を負って、さらに患者に対する責任の重さ、従業員に対する責任の重さ、運営・経営等々雑多な全責任を勤務医と比べると、はるかに質的・量的に困難な業務を行っている。そういうリスクや重圧や困難度を考慮すればむしろ差が少なすぎると言える。 そしてほかの業種と比べれば困難度・責任の重さ等を鑑みれば収入は明らかに少ない。
・家庭のこととパートをある程度両立できているので、収入としてはこんなものかと満足しています。ただキャリアアップやスキルの持続の面では不安な要素はあります。
・勤務医でも業績上げれば収入も増えるし、バイトも効率良く働けば結構な収入になる。自分を必要とされている職場をさがせば良い。贅沢言うから収入に結び付かない。どんな仕事でも同じと思うが。ちなみに給料バイト合わせて4K超え、他に事業者所得もあるけど・・・

【勤務医】
・歩合制の要素を含んだ報酬体系に加えて、患者や職員からの評価を取り入れた給与になれば、努力が収入に結び付く割合が高くなると思います。
・医療従事者の収入は、自分の仕事内容を周囲が観て、それに対し評価、つまり収入は いつの間にか後からついてくるものという考え方が良いと思うし、そう考えるのが正しいという 医療の世界であってほしい。
・一時は開業を考えましたが、国の政策がどう変わるかで先行き不透明であり、諦めました。
・若い頃は収入より経験重視で医師の仕事をしていたが、子供もでき、次第に大きくなると収入もある程度必要になり、仕事の割に給料が安い病院は就職の域からは除外するようになりました。ただし、仕事の内容も医師のプライドを捨ててまで高収入に拘ることはない。
・世間では開業医と勤務医の収入格差が取りざたされているが、開業医は医師としての業務以外に経営者としての業務、責任があり、比較すること自体がナンセンスだと思う。
・私自身は家族(小学生2名)のことも考慮して、勤務内容、勤務時間、院外での拘束と年収とのバランスを重視しました。9-17時、残業なし、オンコールなし、当直なし、週4.5日勤務で2000万円です。転職前はもう少し高給でした。
・65歳以上となり悠々自適ではないが、不自由なく生活し満足している。
・勤務医ですが、自分の病院で昇進しようが当直増やそうが大して給料増えないことが分かっているから。
・医局人事で派遣された医者とフリーで採用された医者とで給料に違いがあり、不公平感満載。
・定時出勤定時退勤、呼び出しもない科の医師と、定時などないに等しく土日も出勤、呼び出しも頻繁、リスクの高い手術をこなす我々外科(系)医師の収入に大差ないのは納得できない。
・所得税減税や扶養者控除(特に児童・生徒を持つ世帯)が絶対に必要だと思う(そう思いませんか?)
・公務員の副業禁止規則をなくしてほしい。アルバイトができる機会すらない。
・勤務医の場合、やればやるほど損をする。
・公務員で、バイト禁止であるが、専門外来を土曜日などに実施したい。
・開業医と比べ経費なども使えず、著しく勤務医の給料が安い。そのために勤務医は足りず開業医のみ過剰になっているのでは、と思います。
・忙しさに対する適切な報酬とは考えられないことが多いので、収入を増やすより勤務緩和をしてほしいと考えます。
・当直や救急などの時間外、予定外の労働が少なく、完全予約で仕事量をコントロールできる歯科医師は労働のコスパが高いと感じる。
・国公立から民間病院に来ると、QOLの高さは開業医に近くなります。
・一般に60歳を超えると勤務医の契約年報は低下する傾向ですね。一方、生活水準は給与の高い時のままのことが多いようです。相対的に暮らしにくくなったと考えがちです。現行の年金水準では老後悠々などとはほど遠く、それこそ死ぬまで働かねばならいようです。さてどうなることやら。
・医師の名ばかり管理職問題を解決してほしい。
・医師で内科認定医および学会指導医および難病指定医ですが、現在の大学ではそれを生かす場が限られています。公務員給与がむしろ下がる傾向の昨今に不安を感じています。元気なうちにと思っている次第です。
・違う職場で同じ業務をしても金額の評価が違うことに、医者という職業の矛盾を感じる。
・薬剤師は、業務内容(重要度)を私が正確に理解していないのかも知れないが、基本定時の仕事で6年間も大学に在学してくる割には単純作業だと思う。
・医者は医者である限り、給料は頭打ち。
・勤務医のため、必要経費など、税金対策がよく分からない。
・診療報酬が、適切に配分されていない現状を全国民に知らせることが必要。
・既に67歳、定年を迎えた友人もいます。私はまだ現役です。お金はあって困るものではないけど、子供達も巣立ってしまい、それほど大金を必要とする訳でもない。そうなると、あまりお金に関心が向かなくなってしまいますね。
・学会維持費の増額や税金の増額で収入減であり、学会出張が困難になりつつある。これ以上の業務を増やすと学会準備や情報集取の時間や体の維持管理の時間がなくなる。
・勤務医の常勤収入にはある程度限界があり、業務量や昇格による昇給は微々たるもの。アルバイトは直接的収入増加、能力があるなら転職による増収が現実的。
・日本の現状をみると今の収入でしょうがないとは思うが、退職金が年々少なくなるのは不安である。特に自分は婦人科医なので再就職は女性医師に比べて不利である。他の職種について言えば、常勤の事務職は恵まれていると思う(非常勤の人達は大変ですが)。
・大学病院勤務は研究目的ですので、楽しい面もございますが、遠方にバイトに行かないと生活が厳しいと伺っております。現在は研修中でバイトができないので。
・放射線技師の給料が看護師よりいいのは納得できないところ。
・診療報酬改定により手術点数は上昇傾向にあるが、それが給料には全く反映されていないのは不満です。
・医師は一見、収入が多いように見えるが、経営上のリスクなどがあり、そのための予備費としての取り分は必要である。このようなサイトでも、金額だけが目立つような記事を載せないでほしい。他の業種は薬剤師にしても看護師にしても、最終責任を医師に任せている点では、給料が安くても仕方がない。患者の診療結果に対して最終責任を取るつもりで医療に従事するか否かで、給料が決まると言うことであれば,医師の給料は、やはり高くないと、不公平である。知的労働としての評価が必要である。
(一部省略)勉強している方が収入にならない経験がある。慢性の咳の患者が他院で2週間入院して気管支鏡の検査をして結果的に結論が出なくて退院した。その患者、仕方なく当院を受診した。初診の時に服薬している薬を聞いたところ、血圧の薬による慢性の咳と分ったので、その薬をやめるように言った上で代替えの血圧の薬を処方した。次の診察時には咳は出ていなくて感謝された。2回の受診と1枚の処方せんで治った場合と2週間の入院と気管支鏡では、どちらが医療費をたくさん請求したか想像してほしい。税金も無駄になったと思う。自分はプライドで仕事をしているから良い仕事をすることで満足だが、同時に公平である事も重要視しているので、ぜひ公平になるような診療報酬のあり方を検討してほしい。
・公的病院の看護助手の正規職員の給与が、看護師の給与より高額なのはおかしい気がする。年功序列制度の見直しが必要に思う。
・この年になってもう現役で働く必要はないのですが、設備の悪い施設なので若い医者がやって来ないので仕方なく働いているといったところです。医療事故を恐れてリスクを回避したいのです。若い医師は。

【看護師】
・田舎と都会の賃金差が大きすぎる。愛媛県の南予の看護師は安すぎです。求人を見ても軒並み15万~16万円くらい。手取りだと10万円くらい。家賃は都会並みで平均6万円くらい。ライバル店が少ないので物価は高い。インフラ整備が遅れているので自家用車は必要。共稼ぎは当たり前。そのくせ医師の賃金は全国で12位とのこと。報酬の点数は全国一律のはず。まるで都会暮らしを推進しているような感覚です。
・時間外手当が全てきちんと支給されるなら、それなりの額になるので経営側の体制や残業を申請しにくい雰囲気が問題。

【薬剤師】
・今の職場は昇級しても手当がかなり少ないようなので、どうせなら早いうちに職場を変えるのも手だと思う
・組織内のイチ薬剤師は昇進しても給料があまり上がらない。また昇進すると臨床現場から離れ、管理職になることが多く、業務自体に魅力がなくなるため昇進自体に魅力がない。
・仕事内容はともかく、大学の授業料が高いのに薬剤師の給料はあまりにも安すぎると思います。若いときはそこそこ良い給料が貰えますが、年をとっても殆ど昇給しません。普通の会社員なら50代で、年収は800万〜1000万くらいになりますが、薬剤師で800万ある人はほとんどいないでしょう。このままだと、薬学部に進学する学生はいなくなると思います。実際、自分も子供達は薬学部へは進学させませんでした。
・医師で固められている当院の理事会はコメディカルスタッフの能力を正しく評価してくれず、辞職願を出して初めて所得アップを提示してきます。結局、能力のあるスタッフは転職し、能力のないスタッフのみ残ります。分かってはいますが、管理職となった今、現場を見捨てて去るわけにもいきませんし、これまで培った職場内外の人脈をリセットして転職するのも勇気が要ります。
・地方の薬剤師は基本的に給料が高いです。個人の経験が浅かったり技術量が低くても高いことがあります。
・診療報酬等の引き下げが顕著になる中、これまでの収入を維持するにはもっと多くの業務量をこなす必要が出てくる予感がしている。現状でも多くの業務目標がある中でこれ以上、働く必要が出てくるのであれば、思い切って異業種へ転職するのもいいかもしれないと感じている。
・仕事の割にはもらっていると思う。(調剤)
・どの職種であってもしっかり仕事をされている人であれば、それなりの対価があってよいと思います。次期診療報酬改定はモチベーションの維持ができるものであってほしい。
・サラリーに不満があるなら、手持ちの資産を運用すればずいぶん解消するのでは?
・責任のある職に就かないと充実した条件にはならないと思います。
・薬剤師としての資格だけでは給与的には頭打ちになってしまい、卒後10年もすれば薬剤師能としてはさほど変わらないと思う。それ以外のマネージメント力や他資格とかを有しないとワーキングプアになりかねない。
・調剤薬局の専務取締役で妻が社長をしています。近くの公立病院が院外処方にする時に、私は薬局が宣伝をすることには賛成できないので、広告もしませんでした。地区薬剤師会の一部会員が、共同で門前薬局を作りましたが、私は宣伝しなかったので、隣の眼科の患者でも、市民病院はそちらに行っている患者が多い状態です。病院からの距離はほとんど同じですが、初めに市民病院の処方も受け付けることをPRしておくべきだったと思いました。
・公務員の薬剤師は医2(栄養士、臨床検査技師等)で一括で給与表が決定される。これは民間の給与を反映しているとは言えないと思う。
・調剤薬局は医療関係ではあるが、病院のような医療法人とは異なり株式会社。利益を出さないといけないため、人件費にそこまでかけられない。
・Q2は便宜上付けましたが、同業でも任されていることは異なるのに給与体系は年功序列であるため、不公平感はあります。学会における学術奨励金のような「基本給+α」の制度があれば、熱心な方は頑張るのではないでしょうか。
・103万円の壁で仕事量を減らさざるを得ず、家庭との両立に悩むここ数年。フランスのように短時間勤務の常勤など福利厚生が保てる所があっても良いのにと、来年は壁が下がる可能性もあり超える予定にしています。
・薬剤師は、保険薬局と病院で収入差が大きすぎる。
・病院の収入は減少傾向にある。将来の収益増に繋がる業務を開拓し種を蒔いていきたい。 ・リウマチ科のある病院の薬局長なら転職を考える。

【その他の医療従事者】
・一般病院勤務ですが、収入はそれほど上がらないのでバイト先を増やすことで一定の収入を保っています。
・田舎の公的病院の労働環境が悪すぎる。組合がないためか、人が少ない職種の新採用だけ基本給を上げており、今までいた人との補正や他の職種と不均衡が、起こっている。また、公務員にもかかわらず、基本給を下げたりとブラック企業のようなことをしている。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03150_03
クロストーク 日英地域医療
■第12回(最終回) 地域の健康を支えるために

川越正平(あおぞら診療所院長・理事長/松戸市医師会在宅ケア担当理事)
澤 憲明(英国・スチュアートロード診療所General Practitioner)
企画協力:国際医療福祉大学大学院教授 堀田聰子
週刊医学界新聞   第3150号 2015年11月16日

日本在宅医と英国家庭医──異なる国,異なるかたちで地域の医療に身を投じる2人。現場視点で互いの国の医療を見つめ直し,“地域に根差す医療の在り方”を,対話[クロストーク]で浮き彫りにしていきます。

 本連載では,地域で活躍する医療者の視点から,日英の医療現場の違い,そして互いの国の強みと課題(表)を考えてきた。最終回となった今回,川越氏,澤氏,さらに企画協力の堀田氏にまとめとなる寄稿をいただいた。

表 英国GPの8つの役割
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澤氏は,英国GPの役割を上記の8つと提示。本連載でもこれらを軸にして対話を進めてきた。

日本と共通の課題に取り組む,英国の実践

澤 憲明


 連載を通して日本の地域医療の課題を伺いましたが,英国も似た状況と言えます。例えば,「社会の高齢化に伴う多疾病患者」への対応です。現在,英国でも日本同様,複数の慢性疾患や複雑な健康問題を抱える集団にも対応できるシステム作りとその強化が急務となっています。まさに日本と共通の課題にチャレンジしているわけです。

共通課題に英国はどう挑んでいるか

 そうした課題を前に,英国では「医師単独」体制から「チーム」体制への転換が図られています。各専門職の専門性が強化され,役割は拡大しており,GPに期待されるものも従来的な「臨床医」としての狭義の役割から,それぞれの地域に合った小規模チームの舵取り・後方支援や,運営に責任を持つ“コミュニティーコンサルタント”としての役割へと変わってきています。私の地域でも,家庭医の専門性が求められていない問題に対しては,他職種が対応するという流れが生まれています。例えば,在宅医療の場における軽度な医療的問題であれば,十分な訓練を受けた看護師によって対応がなされるということが始められています。また,シンプルな薬剤処方,用量調整を必要とする患者に対し,家庭医を通さずに臨床的な訓練を受けた薬剤師(Clinical pharmacist)を受診してもらうという試みも検討されています。

 こうした流れを支えているのが,ツールの充実によるGPと各専門職との連携強化と言えます。例えば,訪問看護師によるSkypeなどのビデオコール(テレビ電話)を使った連携もその一つでしょう。訪問看護師は,出先の患者宅で何かGPに確認すべきことがあれば,ビデオコールを用いて,診療所にいるGPに連絡を取る。GPはモニター越しに患者の様子を見て,必要に応じて検査のオーダーや治療方針を決定する,という取り組みも試験的に導入されています。また,地域の専門職らの間で電子カルテによる情報共有も進みました。私の地域ではGP,診療所看護師,助産師,保健師,訪問看護師,訪問理学療法士,訪問作業療法士,「社会的処方(Social prescribing)」の専門家(第7回/第3129号参照)などの職種だけでなく,最近ではホスピスともつながるようになっています。医療・ケアにかかわる関係者が同じ情報を共有しながら,地域住民の幅広い問題に対応できる仕組みが整ってきているのです。

 さらに,ヘルスケアとソーシャルケアの統合も現在,重要な課題として議論され始めています。これは地域住民の広義の意味での「健康」を支えていくためには欠かせないことでしょう。私の地域では,介護施設,GP,病院,地方自治体,救急車サービス,ソーシャルケア,住宅行政,Age UK(第7回/第3129号参照),地域の支援団体などが一つとなり,幅広い健康の決定要因に対応できるように「Connecting Care」と呼ばれるパイロット事業を始めたところです。児童虐待のようなSafeguarding(安全保護)に関する情報も電子カルテを介して共有されるようになりました。地域住民にどのようなメリットをもたらすことができるのか,今後が期待されています。

個の実践に優れた日本に学ぶこと

 なお,来日した際にはいくつかの医療機関を見学しました。数は限られていますが,在宅医療の施設(中心となる実践者)として,下記3施設が印象に残っています。いずれも,英国の在宅医療の現場で参考になる実践が行われていました。

①ものがたり診療所(佐藤伸彦氏)
②桜新町アーバンクリニック(遠矢純一郎氏)
③あおぞら診療所(川越氏)

 ①で注目したのは,患者固有の「人生の物語」に寄り添う姿勢です。一つの例としては,患者・家族・スタッフとのフォトブックのようなものをカルテ内に取り込むことで,患者の自伝的な記憶・記録を大切にされていました。まるで,ろうそくの火を両手で囲うようにして,患者の人としての尊厳を,医療の“高度細分化”“商業化”の力から守っているように感じられるものでした。②では,ITの積極的な活用を通し,業務の効率化が図られています。例えば,往診医は往診車内でボイスレコーダーに診療記録を吹き込み,音声データを在宅勤務する看護師(休職中の潜在看護師を活用)に送る。その看護師が音声データを文字に起こし,医師が確認した上で,事務方スタッフが電子カルテに転記する,という役割分担が行われています。さらに③では,ジェネラリストとスペシャリストが,ひとつ屋根の下でグループ診療を提供しています。特定の臨床領域において,二次医療レベル以上の専門性を持つ医師たちが親密に協働しておられました。日本の現場の一部を垣間見ただけですが,英国と同様の課題を持つ日本では,全国各地で“現場発”の先進的な取り組みが実践されているのだと実感できた貴重な経験でした。

 健康を完全に良好な状態とする世界保健機関(WHO)の定義は,医学では治らない疾患が増えている現代社会ではもはや適切ではない――。そう感じるのは私だけではないと思います。さまざまな問題を抱えた人々が,それらとともに自分らしく生きていくのを助けるため,健康概念そのものの再定義,そしてシステムの再構築が求められています。そうしたチャレンジングな新しい時代を,日本と英国は一緒に迎えているのではないでしょうか。


英国GPから読み解く,かかりつけ医がめざすべき道

川越 正平


 英国のGPは,患者をトータルにサポートする「主治医」として,継続的な意思決定の支援や「過度の医療化」から患者を守ることも自らの役割だと明瞭に認識しています。病院の医師が治療方針の決定に苦慮する場合には,「GPに意見を求めてくる」というエピソードがその存在意義を象徴しています。その一方でGPは,「子どもがジャンクフードばかり食べている」「一人暮らしが寂しくて仕方がない」というような住民の相談事にも関心を示し,必要に応じてソーシャル・キャピタルを紹介するというような「社会的処方」をも担っていると伺いました。

 翻って,わが国ではどうでしょうか。症状が現れて,患者自身が受診を思い立ち,クリニックを訪れて初めて,医師は患者と出会うこともしばしばです。ややもすると訴えられた症状だけに対応したり,継続的に管理している疾病に対して医学的に対処することに終始している場面もあることでしょう。しかし,英国GPが提供する全人的アプローチを,日本の開業医が提供できないわけでは決してありません。個人レベルで見れば,日本にも優れた実践者,かかりつけ医は多く存在します。

 人口構造の急速な変化が進行しつつあるわが国においては,「地域完結型医療」への転換が急がれています。かかりつけ医がその中心的な役割を担うためには,専門外の領域も含め対象者の健康問題を丸ごと引き受け,予防や健康増進にもかかわる。そして患者だけでなく,その家族や家庭背景,地域社会との関係性にも関心を払うなど,臨床に臨む姿勢を地域包括ケアの文脈で再整理していく必要があります。

 「ただでさえ忙しいのに,もっと役割を果たせとはめまいがしそうだ」という声もあるかもしれません。ここで本連載を通して学び得た,英国の診療所像や各職種との役割分担が大いに参考になりそうです。つまり,①診療スタイルや医療機関の形をニーズに応じて柔軟に見直すこと,②多職種間の役割分担や協働を先例にとらわれることなく進めていくこと,③地域における診診,診看,病診など連携体制の構築,が鍵になるのではないでしょうか。考え方の基本線として,医師の負担を減らしより専門性を要する役割に集中させる,多職種が総力を挙げて「チーム」としてさまざまな命題に対応するという方向で策を講じる,地区医師会などを基盤として医師職能団体が力を合わせて地域で役割を果たしていく,ということになるのだと思います。

 これまでの対話を通し,多くの示唆をいただいた澤先生に感謝いたします。

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 お二人の語りは,あらためて私たちの暮らしを持続可能な形で支える医療・医療者,患者の在り方,それを支える仕組みや基盤となる哲学について,さまざまなヒントを投げ掛けるものでした。関係者全てが「持てる力を最大限出し切る」ことが,必ずしも患者のベストインタレスト(最善の利益)につながるわけではありません。患者を中心とする「目標共同体」としての信頼に基づく多主体多職種チームと,専門職の「人間的な」働き方,たゆまぬ対話に基づいた協働を促すガイドラインや制度など,イノベーションをさらに加速させたいものです。
堀田聰子

(了)



http://wired.jp/2015/11/15/illegally-share-papers/
秘密のことばで論文を違法に「シェア」する若手研究者たち
ある研究者が、科学論文をこっそり交換することを同僚たちに奨励するハッシュタグをTwitterにつくった。合法的にダウンロードするにはお金がかかりすぎるのだ。
TEXT BY SANDRO LANNACCONE
TRANSLATION BY TAKESHI OTOSHI

WIRED NEWS (ITALIA)
2015.11.15 SUN  WIRED.jp

音楽や映画、ソフトウェアやゲームに続いて、オンラインでの著作権侵害は科学の分野にもやって来ている。

BBCが報じているように、世界中のより多くの科学者たちが、論文の違法ダウンロードの力を借りるようになっている。専門誌があまりにも高額になりすぎて、大学や研究機関では購読できないからだ。

記事では、アンドレア・クシェウスキがこの現象を解説してくれている。彼女は認知科学の分野の科学者でありながら、科学ジャーナリストでもあり、Twitterのハッシュタグ#IcanhazPDFを立ち上げた人物だ。IcanhazPDF[訳注:「PDFもらえますか?」という意味]は、ネットでよく知られている英語の言葉遊びを改変したものである。

「必要としている論文のリンクに、このハッシュタグと自分のメールアドレスを付けてツイートします。待っていると、誰かが返信するでしょう。それは、例えば、所属する大学が専門誌を購読しているので、論文にアクセスできる科学者たちからかもしれません」とクシェウスキは説明する。

一度コンタクトが取れると、会話は非公開になる。論文のファイルはメール経由で送られ、元のツイートは削除される。交換の痕跡は何も残らない。もちろん、このシステムは著作権を侵害している。一方で、科学者のなかでもとくに、経済的に貧しい発展途上国の大学の科学者たちが最新情報を入手して、自分の研究を続けるためには不可欠だという研究者もいる。

出版社たちは当然のことながら、このシステムに不満がある。

BBCは、例えば英国の医学誌『ランセット』を出版しているオランダの出版グループ、エルゼヴィアが、Sci-Hubというサーヴィスを提訴したと報じている。これは、カザフスタンの科学者アレクサンドラ・エルバキアンのつくった論文交換サイトだ。

クシャウスキーは自分が正しい側にいると確信していいて、論文の交換が窃盗だとは思わないと語る。

「窃盗は、あなたが物を盗んで誰かから所有権を奪うときに起こるものです。著作権の侵害の場合は、あなたは誰からも何も盗みません。多くの科学者は、こうした論文にアクセスしなければ、研究ができません。その理由は、購読に費用がかかりすぎるからなのです」


  1. 2015/11/16(月) 06:13:44|
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