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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

11月8日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/371578?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151108&dcf_doctor=true&mc.l=130223628
m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
「給料の低さ」 、医師、NP読者共通の最大の悩み◆Vol.7
3割超の医師が「本来業務以外の多さ」に不満

スペシャル企画 2015年11月8日 (日)配信 佐藤留美(NewsPicks編集部)

 前回は、会社勤めが(正社員、契約社員、派遣社員)79.8%を占めるNewsPicks(以下、NP)読者と医師との「仕事への満足度」を比較した。今回は反対に、両者の仕事に対する不満と、それに直結しやすい「労働時間」「睡眠時間」の実態についてリポートしていく。

 まずは、m3.com会員(医師)とNPそれぞれの読者の「仕事上の悩み」について。意外だったのが、世間には「高給取り」のイメージがある医師の最大の悩みは、「給料が少ない」(37.2%)だったこと。それに、「本来業務以外の多さ」(31.3%)、「長時間労働」(21.8%)、「職場の人間関係」(20.2%)が続いた(複数回答)。
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 一方、NP読者の最大の仕事の悩みも、同じく「給料の少なさ」(31.3%)。次に、「やりがいが少ない」(22.2%)、「本来業務以外の多さ」(21.0%)、「特にない」(21.0%)、「職場の人間関係」(19.3%)、「長時間労働」(18.5%)がランクインした。

 両者共通の悩みは、収入と人間関係、そして長時間労働。一方、「やりがい」については、「やりがいがない」と答えた医師は10.1%しかおらず、大きな差が見られた。また、「本来業務以外の多さ」を不満要因に上げる医師はNP読者より10ポイント以上多く、不満を抱えつつも仕事をする医師の実態がうかがえた(実際の「収入」については、次回配信予定の記事で取り上げる)。

当直がきつい
 では、実際の仕事の悩みの中身について、アンケートの自由回答欄から探って行こう。医師側の回答欄で目立ったのが、「当直がきつい」「当直が嫌い」「当番制による自由時間の拘束」「休みが取れない」「平日夜間、休日の緊急待機が多い」「休みと仕事が明確になってほしい」など労働時間に関するものだ。医師不足の地方などでは、月の当直が頻繁であったり、夜間の当直期間中、一睡もできずに業務をこなし、その翌日は通常通り外来勤務となることが多く、医師の過労が懸念されている。

 労働時間に関するアンケート結果を見ると、医師もNP読者も1日当たり10時間労働と回答した人がそれぞれ27.3%、21.4%と最も多く、12時間労働以上の人の割合も医師が25.5%、NP読者が28 %とさほどの違いはない。
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 だが、睡眠時間に関しては、7時間以上の睡眠時間を確保している医師は25.8%なのに対し、NP読者は36.2%と10ポイント近い違いが見られた。患者の診療以外にも、勉強したり、学会の準備など関連業務が多いことが一因と見られる。

 また、医師の労働時間を増やす要因として推察できるのが、「本来業務以外の多さ」だ。このことに対し不満を抱く医師は多く、自由回答欄にも「書くべき書類が多い。薬が増え治療が複雑化している」「雑用が多すぎる」「書類やカルテ書きくらいは秘書などにやってもらいたいです」「パソコン入力業務の多さ」といった不満が寄せられた。
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「患者」と「経営サイド」に悩む医師

 「職場の人間関係」は、あらゆる職業の悩みの“永遠のテーマ”だが、医師の場合はその対象が主に「患者」と「経営」の2点に集中していることが特徴的だ。患者については、「クレーム対応ではなく、真の意味での患者教育についての理解が得られない状況にある」「患者、特に訴訟など」などの意見が散見された。他方、病医院の経営者については、「院長や副院長等の上層部が口先介入だけ行って、自分自身は治療行為や患者受け持ちに対して極めて消極的な上に、自分自身の保身には全力を挙げているから」「管理者に問題意識ないのは問題」「診療以外の経営について考える必要があり、プロの経営者も目指さないといけないところがきついと思います」「出る杭は打たれる的な対応をされるので、残念で、何も言いたくなくなる」などの不満の声が見受けられた。

 他方、NP読者の不満の中身は、経営に対する不満が目立ち、「意見をしても改善しない」「会社の業績」「親会社がグループ会社を積極的にM&Aしているため、今の会社にいても、数年後にはどこかと統合されてしまうのではないかと戦々恐々です」などの回答が散見された。

 給料の低さ、長時間労働、人間関係に不満なのは両者共通だが、その不満の中身はそれぞれ異なるのが印象的だ。次回配信予定の記事では、両者共通の悩みである「年収」について取り上げたい。

ビジュアル作成:櫻田潤(NewsPicks編集部)
※仕事の悩みに関するm3.com会員、NewsPicks読者のコメントはこちら⇒(次記事)  ※労働時間に関するm3.com会員、NewsPicks読者のコメントはこちら⇒(次々記事)



https://www.m3.com/news/iryoishin/3372122
m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
仕事の悩み「若手に仕事を取られる」「大学のくだらない圧力」
m3.com×NewsPicks共同企画◆Vol.7 自由回答1

2015年11月8日 (日)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 『m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」』の第7回「「給料の低さ」 、医師、NP読者共通の最大の悩み」で紹介した、仕事への悩みについての医師、NewsPicks読者の自由回答を紹介する。

Q 仕事上でどのような悩みがありますか。選択肢にない場合は具体的にお書きください。

■■NewsPicks読者
・社長との価値観が合わない。
・官公庁の業務請負の契約社員なので、いずれ仕事が無くなりますから、常に次の仕事を探している状態がストレスに感じる。
・研修や会議で勤務地以外の場所に召集されても交通費や駐車料金がもらえないこと…。
・通勤時間。
・目標にしたい、学びたい人が周囲にいない。
・教育が適切に行われない。業務連絡が曖昧。部署間の連携のまずさ。
・親会社を含め経営陣への不満。
・一部の人への業務負荷が集中
・元々独立起業が志望なので、今の仕事はいつ辞めてもいいと思っているが、そのきっかけとどこまで仕事を進めるかなど。
・もっとできることは多いのに、制約が多くて実現できないことがある。
・顧客企業をだましている(将来的にシナジーが無いであろう企業を買収させる、顧客にとってその適切な時期ではなくても、自社のバジェット達成のためにエクイティファイナンスを薦めるetc)ことに当初は罪悪感を感じていたが、今では逆に「そのような中途半端な罪悪感を抱くことで自分の食いぶちが減り得る」ことが悩み。極悪非道であっても、悩まないで働ける方がいい。
・人材不足。
・労基は守らないといけないのですが、守っていると、スタッフの技術がナカナカ向上しない。真剣にやった仕事量=技術ですので。薄給なので、スタッフにいい給与を出してあげられない。上記の理由で、スタッフが定着しない。(どこともですが)。
・自分含め社内の生産性。
・収入が全く安定していない。(100万以下~1000万くらいの幅がある)。
・大学の教官が入学試験の試験監督をさせられるのは、いくらなんでもひどい。我々を数時間拘束することがどの程度の損失になるか理解されていない。
・キャリアプランが少ない。
・スキルアップにつながらない。
・年齢による、モチベーションの差。
・仕事に慣れてきたため、新鮮な感動や成長感が少なくなってきている。

■■医師(m3.com会員)
・患者が多い。
・本業に人が多すぎる。
・患者数の伸び悩み。
・医師が少ない。
・若手に仕事を取られる。
・休みが取れない。
・新しい知識にup dateしない医者。
・孤独感を感じる。
・大学のくだらない圧力。
・パソコン入力業務の多さ。
・使用している装置が古い。
・保険点数の理不尽な改定。
・施設設備が古い。
・当直が嫌い。
・民間小病院のため経営が不安定。
・通勤時間が長い。
・研究の難しさ。
・平日夜間、休日の緊急待機が多い。
・上層部の不親切さ。
・経営者の横暴。
・ 休みと仕事が明確になってほしい。

Q 仕事への悩みについてご意見があればお寄せください。

■■NewsPicks読者 
・海外では子どもとの触れ合いを大切にするために早く帰宅できます。経済的に発展しているドイツでもそうです。日本では凄まじく残業をしている人たちがいてモノづくりとして何とか張り合っています。もっと効率的な運営を行うべきです。
・意見をしても改善しない。
・他の業務を経験したい。
・育児中でキャリアアップに制限がかかっている。
・ベストの仕事ができず、妥協の仕事になっている。
・将来のアップサイドに夢がある反面、Up or Out(昇進か去るか)といったリスクも存在すること。
・給与が少ないことについて不満と言うか残念ではあるけれど、派遣という雇用形態に不満はない。正社員にはなりたいとは思わない。特に困窮している訳でもないし、もうちょっとデキる人間になってもうちょっと稼ぎたいな、という気持ちは持ち続けていますよ。
・親会社がグループ会社を積極的にM&Aをしているため、今の会社にいても数年後にはどこかと統合されてしまうのではないかと戦々恐々です。

■■医師(m3.com会員)
・書くべき書類が多い。薬が増え治療が複雑化している。
・レセプト、緊急時の柔軟的対応、クレーム対策ではなく真の意味での「患者教育」についての理解が得られない状況にある。就業時間が増して熱意を持って接しても、(患者・病院職員などから)憎まれることすらある。孤独な仕事です。
・休みがないのと上司の不理解。
・給与が10年前から据え置き。看護師が意地悪だし、態度が悪い。
・人間関係に、非常に苦労している。
・出る杭は打たれる的な対応をされるので、残念で、何も言いたくなくなる。
・書類やカルテ書きくらいは秘書などにやってもらいたいです。有給休暇を取れるようにして欲しいです。労働基準法に則ってほしいです。
・売上げ至上主義の病院なのでしんどいです。
・大学ならではの雑用の多さに辟易します。医局内での足の引っ張り合いも嫌気がさします。
・院長の体調不良で、業務の多くを自分が切り盛りしているため、休みが取れない。
・必ずしも自分と上司は方向性が同じとは言えない。
・診療以外の業務が多いです。
・もう少し休みを取れるような体制になってほしい。
・プライドの高い大学の医者たちから言われもない誹謗中傷を受けている。
・雑用が多すぎる。
・自分の時間(研究する時間)が確保できない。
・手術症例が増えてほしい。
・2年毎に財政誘導で理不尽な改定を押し付けられるのは納得がいかない。
・本来の業務以外はしないことにしている。
・管理職になり、臨床がかなり減った。
・育児や介護への周囲の理解が少ない。
・診療以外の経営について考える必要があり、プロの経営者も目指さないといけないところがきついと思います。
・グチは言えるが、相談相手がいない。
・患者の義務も果たさない患者が権利を主張しすぎる。
・バイトしてくれる人がいなくて学会に行くのが困難。



https://www.m3.com/news/iryoishin/372123
m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」
労働時間「ストレス発散できない」「教育に取られる時間つらい」
m3.com×NewsPicks共同企画◆Vol.7 自由回答2

2015年11月8日 (日)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 『m3.com×NewsPicks共同企画「医療の未来、医師のリアル」』の第7回「「給料の低さ」 、医師、NP読者共通の最大の悩み」で紹介した、労働時間についての医師、NewsPicks読者の自由回答を紹介する。

Q ご自身の労働時間についてご意見があればお寄せください。

■■NewsPicks読者
・ワーキングマザーなので、仕事に振り向ける時間は短めです。
・周りにはもっと働いている人はいるが、働き過ぎだと考えている。平均労働時間が10時間を超えているとワーク・ライフ・バランスは取りにくい。異性との交際するのには支障を来します。また、子育てにおいて起きている子どもとあまり会えないし、日常での配偶者にかかる子育ての負担が大きくなってしまう。
・労働法を守らない連中が多すぎる。経営者だけの問題じゃない。不当な搾取を画策する中間管理職も多い。
・働いている時間内での生産性が大事。集中していれば長いと思わない。また、皆が頑張っている風土が大切。
・私は規定の時間で収まっているからいいが、正社員の方々はサビ残がとても多いからかわいそう。
・週休3日強制にしたら効率化が進むと思う。これから人口減るし。
・働き過ぎな気がしている。
・新卒なのでまだ定時に帰ることができるが、だんだんとできなくなってくる。
・自分で働きたい時間だけ働く。
・以前はもっと働いていたが、一度も労働と思ったことはない。仕事の半分は趣味。
・投資銀行業務なので平均を取ると18時間くらい。
・パティシエですが好きでやっているので、苦痛はないです(月実働400時間超えています)。休みは予定があれば休みますが、勉強に食べ歩きか、厨房に行きます。
・経営者なので何時間でも働くし、働くのが好き。
・コンサルティングの仕事上、価値創出のための長時間労働はある程度納得している。また、十分納得できるだけの有形無形のリターンがある。
・自由業なので決まった時間と場所で行うという形態ではない。なので、深夜に仕事をしている時もある(米国市場は深夜に開くのでやむを得ない部分もある)。
・モーレツに働くことはやめた。
・残業が普通という文化は不要。
・サービス業は不規則。仕方ないけど。家族の休日サイクルと合わない。

■■医師(m3.com会員)
・拘束時間が長く、ストレス発散する時間がない。
・特になし。この職を得たからには死ぬまで続けるのみ。
・休みがない。
・なるべく無駄な時間を減らすようにしている。
・時間は長くないが、密度は濃い。
・大学勤務は最悪で、当直とかオンコールの後は連続勤務でなく、休めるようにしてほしいです。
・睡眠時間をもう少し取りたい。
・医師なのですから、自分の労働時間ぐらい管理できます。
・開業したてで患者が少なくゆったりしている。勤務医の頃は日付が変わるまで仕事をしていた。
・長い。カンファレンスに時間がかかる。
・長すぎる、もちろん昼休みもないです。労働基準法の範囲にしてほしいです。
・労働時間外も呼び出しがある可能性があるので、気が抜けない。その点では、本当に休める時間は短いと思う。
・以前より勤務は楽になっているので不満はない。
・異動して大分改善されましたが、日本の医師は疲弊して過労死するまで働いて当然だと世間は思いこんでいるようですから、何も変わらないと諦めています。
・管理職扱いなので、残業手当がでないのは納得がいきません。
・もう少し精神的なゆとりがほしいですね。
・診療外の労働時間が長くなってきているのが問題。
・別に金はそんなにいらないから腕を磨く時間が欲しい。雑用にかける時間を少なくして欲しい。
・病院勤務と違い、残業がなく楽になった。
・好きでやっているが、そろそろ限界か。
・雑用が多すぎる。
・有給休暇100%取得している。
・オフも完全にフリーではないので、もっと負担が減ればよい。
・精神科は暇でよろしい。
・転職して楽になった。
・大変、長く疲労困憊しています。
・通勤時間が4時間です。
・オンコールで呼ばれること(オンとオフとの境界が不明瞭)とバイトをしないと給料が安いので、労働時間が長くなることが医師の疲弊を招いていると思われる。
・現在の勤務地は僻地なのでヒマです。
・労働時間内に教育が占める割合が多くてつらい。
・現在、子どものために労働を縮小しています。
・労働時間が長すぎる。雑用が多すぎる。医師の負担を減らすべきであるのに逆に負担が増えていっている。
・大学病院時代より楽になりました。
・医師は管理職だからと、何の権限もないのに時間外給料は支払われないのは問題。
・通勤時間が長いので、今後は診療所の近くに平日は宿泊すると思います。
・家事、子供の教育に時間と気持ちの余裕がないので、勤務時間を減らしたい。 ・産業医に叱られる。
・大半の病院が同じと思われますが、日勤のあと、引き続き、当直業務をさせる病院は、労基に引っかかるのではないでしょうか?もっと、医師の労働条件をよくするべきと思います。
・他の職業に比し、圧倒的に休みが取りにくい(連続した休みがない)職業だと思う。
・働き過ぎ。心への影響は寝れば治る。なので、寝る時間が重要。
・数年前より幾分少なくなりましたが、加齢による体力減弱もあって楽には感じられません。



https://www.m3.com/news/general/373266
レセプト債4社が破綻、227億円償還不能か
2015年11月8日 (日)配信 読売新聞

 医療機関の診療報酬請求権を基に、資産運用のための債券(レセプト債)を発行しているファンド3社と運用会社1社が破綻し、顧客への配当が止まったことがわかった。

 3社の発行債券の残高は約227億円に上るが、数千人の顧客が償還を受けられない可能性がある。ファンドの決算内容に不審な点があることから、証券取引等監視委員会が調査を始めた。

 6日に東京地裁に破産手続きの開始を申し立てたのは、「メディカル・リレーションズ・リミテッド」(東京都新宿区)などファンド3社と、関係する運用会社「オプティファクター」(品川区)。メディカル社は同日付で破産手続き開始決定を受けた。4社の負債総額は約290億円。

 関係者によると、メディカル社などは、病院や薬局が健康保険組合側に請求できる診療報酬の権利を買い取り、元利金の支払いに充てる債券を発行。年利は3%で、国内の七つの中小証券会社が延べ数千人の投資家に販売していたという。



https://www.m3.com/news/general/373094
療養費不正請求、9割が国保加入者 容疑者「審査甘い」
2015年11月8日 (日)配信朝日新聞

 暴力団が絡んだ組織的な療養費不正請求事件で、摘発された接骨院が請求した療養費の9割近くが、国民健康保険加入者のものだったことが、捜査関係者への取材でわかった。容疑者の一人は取材に「審査の甘い国保を狙った」と証言。警視庁は、容疑者グループが国保加入者を選んで不正請求していたとみて調べる。

 捜査関係者によると、詐欺容疑で逮捕された指定暴力団住吉会系組長の三戸慶太郎容疑者(49)が実質的に経営していた「杉並すこやか接骨院」(廃業)は、2011年6月の開業から廃業までの約2年4カ月間で、施術を受けたとして療養費を申請した約350人のうち300人前後が国保加入者だった。支払われた療養費の総額は約2700万円で、警視庁は、一部は架空請求によるものだったとみている。

 グループは、報酬を払って「患者役」の協力者を集めていたほか、医療機関に一度かかった患者の情報を勝手に使っていたという。

 組長らとともに逮捕された接骨院関係者は、経理を担当していた別の接骨院で「患者が国保加入者かどうかを健康保険証を見て確認し、無断で水増し請求することもあった」と明かす。その理由を「サラリーマンが加入する健康保険組合は、施術回数が多いとチェックが入ると聞いたから」と話した。

 報酬をもらって知人の女性ら100人以上を紹介したという30代の男性も取材に「国保加入者以外は必要ない、と言われた」と話した。

 国民健康保険(国保)はサラリーマンが加入する健康保険組合などに入ることができない人向けの公的な医療保険だ。加入者は全国で約3500万人で、市区町村ごとに保険料を集めて運営している。

 かつては自営業や農業が多かったが、現在は年金暮らしの高齢者や非正社員が約7割を占める。国保の全国組織「国保中央会」の担当者は「健康保険組合だと、働いているはずの時間に治療や療養を受けていれば気付かれる可能性がある。国保の方が患者の囲い込みも不正もしやすかったのではないか」と話す。

 市区町村は、医療機関からの医療費の請求内容が正しいか点検することが法的に義務付けられており、都道府県ごとに設立された「国保連合会」に点検を委託している。ただ、請求内容が決められたルールの範囲内に収まっているかを点検するだけで「架空や水増しといった不正請求を見抜くことはまず無理」(国保中央会)なのが現状だ。

 不正が発覚するのは、市区町村から出される医療費通知を見た患者が不審に思って通報したケースがほとんどで、患者ぐるみで不正を行っている場合、不正に気付くのは極めて難しい。

 厚生労働省によると、医療費の不正請求が認定され返還された金額は2009年度は約56億1千万円だったが、13年度には約146億1千万円と急増した。厚労省の担当者は「地方の厚生局では、担当者が医療費と療養費の監査を兼ねている場合が多く、療養費まで手が回らない。発覚したのは氷山の一角だ」と話している。



https://www.m3.com/news/general/372850
秋田)医療費過大請求、全国5位 会計検査院報告
2015年11月8日 (日)配信 朝日新聞

 会計検査院が6日に発表した2014年度の決算検査報告書で、県内の6医療機関で10~14年度、計7058万円の医療費の過大請求があり、そのうち国が負担した2625万円の返還を医療機関に求めたことが明らかになった。過大請求額は、秋田は大阪、福岡、鹿児島、東京に続き、全国5番目に多かった。

 同報告書は毎年度、行政機関などの無駄を指摘し、不当に使われた国の負担金の返還を求めるもの。

 14年度の報告書によると、県内6医療機関のレセプト(診療報酬明細書)計6525件で過大請求が見つかった。低い点数区分の患者の入院基本料を高い点数区分で算定したり、障害者支援施設に医師が往診する際の診療費の請求方法を間違えて二重請求になっていたりしたという。検査院は「算定方法をよく理解していなかったことが原因」とみている。

 報告書はほかにも、県内4自治体で、国の補助金事業で費用の算定に誤りがあったと指摘した。

 秋田市では、11、12年度、障害などで独力では日常生活が困難な生活保護受給者が暮らす市内の救護施設の事務費について、加算に必要な看護師数を施設が確保できていなかったにもかかわらず、加算を認めていた。このため、事務費を一部負担する国の補助金が本来より計590万円過大に交付されたという。担当課は「加算基準の照合に不備があった」としている。

 大仙市では、09、13年度、保育所を地域の親子に開放する地域子育て支援拠点事業で、国の補助金を受けているのに、必要な日数を開放しなかったとして、計913万円が不当とされた。市は「交付要件を誤解していた。市議会に説明し、返還する」としている。

 大館市は、生活保護受給者から保護費の一部返還を求めながら5年間の時効を過ぎて徴収を断念した「不納欠損」の扱いを巡り、督促記録が残っていないことが問題とされた。11、13年度の3人分の不納欠損額のうち、国費分計125万円が不当とされた。

 能代市は09~13年度、保育所の保育料を決める際、両親の収入要件の設定を誤り、その結果、保育料が本来より低くなっていた。このため国の補助金が過大になり、計618万円が不当と認定された。また10~12年度、延長保育で必要な保育士の加配を怠った期間があったのに加配を前提に国の補助金を請求していたとして、計509万円が不当とされた。(曽田幹東)



http://www.yomiuri.co.jp/local/oita/news/20151107-OYTNT50059.html
医療勤務改善へ支援センター 県が開設
2015年11月08日 読売新聞 大分

 県は、大分市の県医師会内に「県医療勤務環境改善支援センター」を開設した。

 労務管理など専門の立場から医師や看護師の勤務時間や休暇を見直し、医師不足や看護師不足の改善につなげるのが目的。医療従事者の勤務環境の改善を盛り込んだ改正医療法が昨年10月に施行されたことを受け、各都道府県でセンターの開設が進んでいる。

 センターでは社会保険労務士と医業経営コンサルタントの2人が医療機関からの相談を受ける。必要に応じ、医療機関を訪問して勤務シフトを工夫するよう助言したり、休暇の取得を促進するための改善計画の策定を支援したりする。

 県医療政策課は「少しでも改善するよう医療機関の取り組みをサポートしたい」と話している。

 平日午前9時~午後5時。電話(097・532・7010)やファクス(097・537・4764)、電子メール(iryou-kinmukankyou@oita.med.or.jp)で受け付けている。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20151108-OYT1T50018.html
証券会社も「寝耳に水」の事態…レセプト債破綻
2015年11月08日 10時36分 読売新聞

 医療サービスに対して支払われる診療報酬を基にした金融商品(レセプト債)を全国に広めていた資産運用会社「オプティファクター」(東京都品川区)が、破綻していたことがわかった。

 債券を取り扱う証券会社も寝耳に水の事態だといい、ある証券マンは「顧客の資金が焦げ付く可能性がある」と話している。

 診療報酬は通常、患者を診療した医療機関が、健康保険組合側に請求して約2か月後に支払いを受ける。すぐに現金が必要な医療機関はこの請求権を、同社が運用するファンド3社に売却。ファンドは後から手に入る診療報酬を裏付けとして債券を発行し、全国七つの証券会社を通じて投資家に販売していた。

 診療報酬は不正請求でなければ、健康保険組合側からほぼ確実に支払いが行われるため、これを基にしたレセプト債は一般的に安全性が高いとされている。
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http://www.sankei.com/affairs/news/151108/afr1511080021-n1.html
227億円償還不能か 「レセプト債」4社破綻、監視委検査
2015.11.8 18:47 産経ニュース

 医療機関の診療報酬請求権を買い取り「レセプト債」と呼ばれる債券を発行、運用していた資産運用会社など4社が裁判所に破産を申し立てたことが8日、分かった。投資家から集めた約227億円を償還できない可能性があるという。

 申し立てたのは資産運用会社「オプティファクター」(東京都品川区)と、オプティ社と関係のあるファンド3社。4社の負債総額は約290億円に上るという。証券取引等監視委員会は、債券の運用などに不審な点があるとして、オプティ社や、債券を販売していた「アーツ証券」(東京都中央区)などの検査を進めている。

 レセプト債とは、医療機関が健康保険組合に診療報酬を請求できる権利を証券化したもの。会社側の説明によると、創業者の前社長が死亡した平成25年3月から財務状況を調査したところ、決算書に多額の実態の分からない資産や売り上げが計上されていた。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52328/Default.aspx
中医協総会 新薬処方14日ルール撤廃は各側反対 長期処方でのリフィルは医師会が反対
公開日時 2015/11/09 03:51 ミクスOnline

中医協総会は11月6日開かれ、長期処方やそれに伴う分割調剤の導入について議論がなされた。新医薬品の処方日数を14日とするルールの見直しについては、安全性の観点から各側が反対した。また長期処方をめぐっては、診療側が問題意識を示し、長期処方する理由の記載を求めるなど一定のルールを定めることも提案された。しかし、長期処方での安全性を確保する方策として、分割調剤を長期保存が困難な場合や、後発医薬品を初めて使う場合以外にも拡大することについては、診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)が、「分割調剤、リフィル処方箋の導入については、明確に反対する」など、反対意見があがった。

新医薬品については、安全性確保の観点から14日間の処方制限があるが、規制改革会議が、希少疾患患者などでの通院の負担を指摘。中医協で検討することを求めていた。

診療側からは、「新医薬品の14日制限は、峻別して絶対に守らないといけない」(中川委員)、「新薬を使うが、思っても見ない副作用が出る。原則14日は大事にしていただきたい」(松原謙二委員・日本医師会副会長)など反対意見があがった。既存の医薬品の光学異性体などで安全性がすでに担保されている医薬品は、医療機関ごとに例外を指定するなどの方策を提案した。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も、「(大病院などで通院に時間がかかるなどの)患者の理由と言う個別の理由を入れることには反対。判断基準は、安全性と言う一本のことで厳守すべきだ」と述べ、各側の意見が一致した。

長期処方については、大病院でかつ慢性疾患では処方日数が長い傾向があり、長期処方も増加していることが示されている。診療側診療側の松本純一委員(日本医師会常任理事)が「長期間患者を見ないと言うことには違和感がある」と述べ、長期処方の際にはその理由を記載することを提案した。支払側の幸野委員は、「制限する、緩和する意義はない。それよりも、医師の判断に委ねるべきだ。それよりも分割調剤やかかりつけ医を推進することの方が建設的ではないか」と指摘した。

これを踏まえた分割調剤の拡大については、支払側の幸野委員が、「医師の処方権は担保された上で、薬剤師の専門知識が発揮される。残薬などへの対策にもつながり、方向性としては間違っていない」と賛同。これに対し、診療側からは反対の声があがった。安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、「長期処方でも1週間で薬を辞めるケースもあり、薬代を返してほしいというトラブルあるも。症状が安定している方には長期の合理性があるが、さまざまな工夫が必要だ」との見解を示した。

◎後発医薬品促進 院内処方も評価 品質に議論集中

後発医薬品については、2017年央までに数量シェア70%との目標が示される中で、薬局での後発医薬品調剤体制加算の引上げに加え、院内処方でも評価することなどが論点に挙げられた。また、後発医薬品の銘柄指定する際には、処方箋に理由を記載することや、処方箋集中率の高い薬局では備蓄品目、金額が少ないことから後発医薬品体制加算の引下げを検討することなども盛り込まれた。

この日の議論では、後発医薬品をめぐる品質などへの信頼性の低さについて、各側から意見が集中した。支払側の幸野委員は、後発医薬品を積極的に調剤しない理由として「品質(効果や副作用を含む)に問題がある」が半数を占めたとのデータを問題視。後発医薬品数量シェア80%という高い目標が示される中で「その先頭に立たないといけない医療機関が品質に対する疑念をもっている中で、本当に進んでいくのか」と疑問を呈した。診療側からも、「後発医薬品に対する信頼性の低さは、患者、医師、薬剤師の三者にある。ジェネリックの品目数が多すぎる。信頼性の高い後発医薬品を出すためにも、ジェネリックメーカーの再編統合が喫緊の課題だ」(中川委員)、「構造が同じだと言われても、絶対に違うので、医者は抵抗する」(松原委員)などの声があがった。松原委員は、特許の切れた先発品を後発医薬品に準じた考えとすることにも言及した。これに対し、厚労省医政局経済課の大西友弘経済課長は、「溶出試験も対象品目を拡大するなど、品質確保対策も含めて取り組んでいきたい」と述べた。

そのほか、後発医薬品の変更不可、いわゆる銘柄指定をめぐっては、2014年度調査で44.8%まで増加したことから、支払側から異常事態との指摘もある事態となった。これに対し、この日報告された2015年度調査(速報値)では15.9%まで減少。この調査結果の変動は、変更不可の処方箋が90%を超える薬局が含まれていることが原因であることが浮き彫りとなった。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03149_01
【座談会】
大学総合診療部門の新たな挑戦
大学と地域を循環する総合診療医育成をめざして

週刊医学界新聞   第3149号 2015年11月09日

生坂 政臣氏(千葉大学医学部附属病院副病院長 総合診療部教授)
吉村 学氏(宮崎大学医学部 地域医療・総合診療医学講座教授)
伴 信太郎氏(名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻総合診療医学分野教授)=司会
瓜田 純久氏(東邦大学医療センター大森病院副院長 総合診療・救急医学講座教授)

 2017年から始まる新専門医制度では,総合診療専門医が基本領域専門医の一つに位置付けられる。将来の総合診療の発展には,教育・研究・診療・社会的貢献の4つの柱を基盤とした“総合する専門医”の育成を担う大学の役割が,大いに期待される。一方で,総合診療の対象は大学の一部門にとどまらず,地域に広がる多様な領域でもある。では,地域の視点を取り入れた総合診療医の育成に,大学の総合診療部門は今後どう応えていくべきか。本座談会では伴信太郎氏を司会に,地域医療の経験を経てから大学の総合診療部門の教授に着任している三氏と共に,大学と地域を循環する総合診療医育成の在り方について議論した。

伴 総合診療医のキャリアというと,大学で教育を受けた後は大学から関連病院や地域の病院へ,さらにその先開業するなどのパターンが多いように思います。ところが,ご出席の先生方のこれまでの歩みはその逆をたどり,地域での診療を経験した後に大学へと戻り,現在は総合診療部門で後進の育成に尽力されています。

 ジェネラリストの素養を地域で培った先生方が,大学でどのように教育に取り組まれているか,私は大きな関心を寄せています。初めにお聞きしたいのは,先生方が考える総合診療医像と,その教育の在り方についてです。

生坂 総合診療医は幅広く患者を診られてこそ真骨頂を発揮するものです。内科に限らず,整形外科,精神科,眼科,皮膚科,耳鼻咽喉科など,一通りの領域を適切に診断できる医師を私は育てたいと考えています。他の専門領域を後付けで学ぶことも強い意思があれば可能ですが,やはり若いころからジェネラルなトレーニングを受けるほうがバランス良く吸収できるでしょう。現在千葉大では,外来診療を中心に幅広く患者を診ることを意識した教育を行っています。

瓜田 私が学生や研修医によく言うのは,「医師は病名で患者を振り分けるのが仕事ではない」ということです。病名は,あくまでも医師という人間が決めた1つの集合にしかすぎません。本来医師は,症候からアプローチしていくことが基本になりますので,真っ白なキャンバスに絵を描くように,一から患者さんの診断をつけていくというコンセプトで教育しています。

伴 吉村先生はいかがですか?

吉村 先生方のおっしゃったように,総合診療医は目の前の患者をしっかり診る力を備えていることが大前提です。その上で,自分たちの責任が及ぶ地域住民の健康にも目配りできる医師であってほしいと思います。また,医師だけでは医療は成り立ちませんから,多職種の仲間を思いやりながら,組織や地域医療全体をファシリテートできる人材を育てていきたいと思っています。

魅力ある総合診療部門をつくる工夫とは

伴 2017年に総合診療専門医資格が創設されることで,大学はますます総合診療医の育成に重要な役割を果たすことが求められます。とはいえ,総合診療の対象は大学の中にとどまらず,地域にまで広がる多様な領域です。私はかねてより,総合診療部門が大学の中だけで完結していては,魅力ある診療部門としての存在意義を内外に示すのは難しいとの考えを持っています。

 時代をさかのぼると,1990年代初頭から各地の大学で総合診療部門が創設されました。しかし中には,若い人が集まらずに消滅してしまった所もありました。その原因の一つに,地域の第一線での活躍が期待されるジェネラリストのロールモデルとなるようなスタッフを,大学総合診療部門に配置できなかったことが挙げられます。

 では,魅力ある総合診療部門をどのようにつくればよいか。先ほどキーワードに,「外来診療」を挙げた生坂先生,いかがですか。

生坂 私が地域の開業医から大学へ赴任する際に考えたのは,大学病院の中で総合診療医がリスペクトされる診療部門をつくること,学生・研修医を引きつける研修の場を提供することの2点です。

伴 総合診療部門の場合,院内の他の専門医から役割を認知してもらうことが必要ですね。

生坂 はい。開業医になる前,私は聖マリアンナ医大の総合診療内科に所属し,当時は病棟と救急も担当していました。そこでは,総合診療医と近接する領域である内科医や救急医との差異を示すのが難しかった。かといって,「何でもできる」をアピールすると過労への道を一直線に進んでしまい,診療の質も低下します。そこで,周りの専門医の手があまり届いていない外来診療に着目することで,総合診療医が存在感を示す手応えを得ました。やはり,他科,特に内科や救急科からの紹介がほしいわけです。紹介があれば独自の専門性を認知されたことになりますからね。

 その後,埼玉県本庄市での開業医を経て,2003年に赴任した千葉大総合診療部では,私が地域で経験したプライマリ・ケアに必要な思考プロセスを組み込んだ研修体系を,大学病院の外来に作りました。今では紹介率が95%を超え,他科からの紹介も受けながら総合診療の長所を発揮できる場を確立しつつあります。

伴 学生や研修医の教育の場としては何を心掛けていますか?

生坂 大学で総合診療医を育てるには,まずは臓器別の枠にとらわれないプライマリ・ケア診療の魅力を,外来で体験させることです。大病院でも地域の診療所でも等しく必要なのは,バイオサイコソーシャルモデルに基づいた幅広い診療です。その重要性は,開業医時代,家庭医研修として研修医を受け入れた経験から実感しています。

伴 大学では実際どのような工夫を?

生坂 総合診療医をめざす学生や研修医は,「大学病院で扱うのは特殊な疾患ばかりで,地域に出たら大学での経験は実際役に立たないのでは」という不安を持っていると思うのです。そこで,大学の外来だからといってまれな疾患をいきなり鑑別するのではなく,まずcommonな病態から推論をスタートさせます。そこから,診療所などではcommonで終わってしまう推論を,uncommonまで発展させるように意識して指導します。

 結局大学の外来もuncommonよりは,非典型例ながらcommon diseaseのほうが多いものです。このような学習体系により,common diseaseが診られるのはもちろん,大学病院ならではのuncommonもプラスαで経験できます。さらに研究や教育にも容易に手を伸ばせる。要するに大学ならではの“いいとこ取り”ができる部門作りに挑戦してきました。

伴 地域で教育に当たった経験がまさに今生きているわけですね。

生坂 そうですね。次は,自前の診療所研修施設を持つことを目標にしています。

症候からアプローチする力を外来実習で養う

伴 瓜田先生は,大学に戻られて何年経ちますか。

瓜田 ちょうど10年です。私は卒後,消化器内科医として病院に勤めました。6年目が終わる直前,青森で開業していた父が急死したため診療所を引き継ぎ,大学に戻るまでの14年間にわたって,地域での診療に携わりました。

伴 消化器内科医としてキャリアをスタートさせた後,地域を経て大学の総合診療部門に着任された。地域を経験したことで,先生自身が総合診療医に“転身”なさったわけですね。

瓜田 はい。病院の消化器内科にどっぷりの6年間から地域の医療現場に移り,ジェネラルに患者を診たことで初めて「自分は医師になったんだな」と実感したものです。

 その中で,今の医療の現場には,患者を診る上で基本となる,症候からアプローチする方法を学ぶ機会がほとんどないことに気付きました。しかし,症候から診断までを比較的わかりやすく組み立てていけるのが総合診療医であり,それを教えられるのが総合診療部門のように思うのです。

伴 非常に重要なご意見ですね。では,学生がジェネラルな診療を経験する機会はどのように用意していますか。

瓜田 5年次に外来実習を行っています。学生のうちからできるだけ多くの患者を診てもらうため,5年ほど前からは1日完結型の実習を始めました。

伴 どのような内容でしょう。

瓜田 やはり,症候からアプローチすることを大切にしていますので,患者の医療面接を行って一緒に診察し,フィードバックするということを繰り返し行っています。実は,外来に特化するというのは生坂先生の取り組みを参考にさせてもらいました。外来実習を始めてから学生の評判も良くなったように思いますね。

生坂 それはよかったです。

伴 外来診療で,診断のついていない患者さんを診る。これを大学の中で担うのが総合診療部門であることは間違いなさそうです。

地域の面白さを知るからこそ,後進に学びの場を与えたい

伴 吉村先生は今年の5月に大学に赴任されました。これまでの地域医療の取り組みをお話しいただけますか。

吉村 私は学生のころから総合診療医・家庭医をめざしておりましたので,初期研修は自治医大に進みました。五十嵐正紘先生が主任教授(当時)を務める地域医療学講座で,へき地医療などを経験しました。卒後8年目の1998年からは岐阜県揖斐川町にある地域医療振興協会の無床診療所兼老健50床の揖斐郡北西部地域医療センターに勤務し,今年5月に母校の宮崎大に赴任するまでの約17年間,学生と研修医の地域医療実習なども受け入れながら地域医療に携わりました。

伴 これまで,地域から大学をどのようにご覧になっていましたか。

吉村 地域で診療に当たっていた初期のころは,「大学は地域の対極にあるもの」としてとらえていましたね。

生坂 大学に戻ることに躊躇はなかったのでしょうか。私は教授選考会からの推薦候補にすぎませんでしたし,大学病院でプライマリ・ケアを展開することの難しさを経験していたので,再度挑戦することには迷いがありました。

吉村 私自身は現場でプレイヤーとして診療に当たるほうが合っていると思いますし,何より患者さんが喜ぶ姿を間近で見られることにやりがいを感じていました。ところが現場で経験を重ね,徐々に教育にも携わるようになるにつれ,「地域医療の面白さを知ったからこそ,自分と似たようなタイプの後継者を育てなければいけない」という思いが強くなりましたね。

伴 吉村先生が勤務されていた揖斐川町の診療所には,名大の学生も10年以上にわたり地域医療実習で受け入れてもらい,皆喜んで帰ってきました。これまで通り地域医療の現場でお手本になるという選択肢もあったと思いますが,それを上回る思いがあったわけですね。

吉村 日本で医師になる学生は,大学医学部という一本の道を通ってきます。しかし,医学部卒業時の目標と地域医療の現場のニーズにはギャップが生じている部分もある。そこを解決するには,卒後に現場の研修で補うのではなく,誰かが大学で,学生がジェネラルな学びに触れ合う場を用意しないといけません。その役割を果たすために大学に戻ることを引き受けました。

伴 現在,大学ではどのような立場で教育に当たっていますか。

吉村 宮崎大が指定管理者となっている約40床のコミュニティホスピタル,宮崎市立田野病院に主に在籍しています。当院は総合診療医が中心となって,外来,入院,老健,訪問診療を担っており,ここに熱心な学生たちが自主的に来て,初診外来の患者さんのcommon diseaseを一緒に診察しています。

伴 地域に近い場で教育なさっているのですね。

吉村 はい。当院は救急車の受け入れや在宅も行っていますので,最近では救急搬送された患者のファーストタッチや,訪問診療も学生に経験させています。

伴 「自主的に」ということは,大学のカリキュラムには含まれていない。

吉村 現時点では県南地域(串間市民病院やクリニック等)での1週間の地域医療実習がありますが,田野病院での実習は正式には位置付けられていません。来年度から,5年生の必修科目として1週間の地域医療実習を開始する予定です。

 今後の課題ではありますが,地域で実際の患者を診る経験を,全ての学生に1回は味わってもらえるカリキュラムを学内で作っていきたいですね。

伴 卒前教育において,地域という観点が浸透していない大学が多いと思いますが,宮崎大でもそうなのですね。その要因はどこにありますか。

吉村 学生が,患者のケアの場を俯瞰して見られるような場が少ないことでしょう。例えば認知症患者の場合,初期の診断に始まり,入院,グループホーム,あるいは在宅などへと移っていくように,さまざまなケアの場を経験することになります。

 一方,学生や研修医はというと,教育を受ける場は大学病院などごく一部に限られ,どうしても患者の断片的な姿しか見られません。しかし,患者がケアの場を移る過程では,患者について離れないかかりつけ医の存在が重要で,臨機応変に対処できるジェネラリストこそが必要とされます。あらゆるケアの場を見せ,地域で働く医師の姿を学生自身が志向できるようにプロデュースするのが,地域を経験した私の役割だと思っています。

瓜田 患者のニーズという観点で申し上げますと,患者の中には,自分たちの地域で医療を完結したいと思っている方が意外に多い。そのことを,総合診療医をめざす学生・研修医には知っておいてほしいと思います。

伴 これは大事なご指摘だと思います。大学病院など大規模病院にいると,患者は皆病院志向と思いがちですが,そうではないのですよね。地域には具体的にどのようなニーズがあるのでしょう。

瓜田 開業した青森で医療過疎の地域を見ていると,患者によっては自宅から遠い病院で最先端の治療を受けるよりも,自宅の近くで“そこそこ”の医療を受けることを望んでいる方がいるということです。誤解を恐れずに言えば,次善の治療で満足したいというニーズがあるということ。このような患者の希望に応えられる選択肢を示すのも,総合診療医の大切な役目のように思うのです。

伴 患者も,職場や家族環境など人それぞれ異なる社会的な背景をお持ちですからね。

瓜田 ええ,そうした多様なニーズや社会背景をくみ取りながら医療を提供できるようにならなければいけないと,開業医時代にひしひしと感じました。

吉村 地域の実情として,提供できる医療が必ずしも最先端ではない場合もありますよね。以前勤務していた診療所がある地域では,近在の最も大きい総合病院でも200床ほど。医師の数や物理的な制約などから,夜は内科医も全科当直し,交通外傷も全て受けざるを得ませんでした。でも「そういう役割を担わなければいけない環境がある」と,学生のうちから知ることは,実はジェネラリストの力を高めるのに好都合な場合もあるのではないかと考えています。

伴 地域の実情を見られる教育カリキュラムを卒前にどのように導入するかが,これからの大学総合診療部門に課せられたテーマなのでしょう。それこそ,地域を経験した人,あるいは地域をよく知っている人が学内にいなければできないことです。先生方のようなキャリアをたどっている人が,大学のなかに教員として入っていくことは非常に大きなメリットになるのだとわかりました。

病院総合医と家庭医の相互理解を生む新専門医資格

伴 さて,いよいよ2017年の新専門医制度から基本領域専門医の一つに総合診療専門医が加わります。資格取得までの3年間は,米国や英国とは異なり,将来,病院で一般内科医・総合内科医として働く人も,地域で家庭医として働く人も一緒に研修を受けるということで構想されています。この点について,今後指導医としてかかわっていく先生方はどのようにお考えですか?

生坂 病棟から外来,さらに地域へと患者の過ごす場が変わり,求められるものがキュアからケアへと移ってきている中で,今まさに足りないと言われているのが,その間を取り持つ地域中小病院の病院総合医です。その点,総合診療専門医の研修が,地域だけでなく病棟をもカバーしたプログラムになっているのは意義があるのではないかと思います。

吉村 宮崎県も中小病院の病院総合医が圧倒的に足りません。そのような施設に病院総合医として勤務していると,在宅の状況をわかって指示を出さないと,うまく回らない場面に直面します。患者の生活背景や医療資源の状況を踏まえて各種指示を出す必要があるわけです。総合診療医が将来,地域も病院もどちらもカバーすることまで想定すると,家庭医の仕事も病院総合医の仕事もオーバーラップして学ぶ時間があることは意義がありますし,後々の相互理解の促進にもつながるはずです。

瓜田 臓器別にローテーションする内科専門医のカリキュラムと比較してしまいがちですが,総合診療専門医では,病棟や地域の医療現場を通じて症候学をしっかり学ぶことのできる研修が担保されれば,その独自性や価値が出てくるのではないでしょうか。

吉村 そのためには,両者を熟知した指導医が,マンツーマンや1対2ぐらいの小規模で教えられるのが理想的です。同じ釜の飯を食べた総合診療医が,ある人は地域の中核病院へ,ある人は地域の診療所へという形で増えていくことが望ましいと思います。

伴 ジェネラルな基盤を臨床能力として持った人がさらにその先専門性を持って育っていくかどうかは,今後検討される“二階”の構造設計によって決まってくるでしょう。まずは,総合診療専門医をめざす3年間が,将来は病院で働きたい,あるいは地域に出ていきたいといういずれの希望者も受けることのできる,一体化したプログラムになったというのは,総合診療医のすそ野を広げる意味でも非常に良い点だと思います。

■地域を見据えた総合診療医教育の広がりを

伴 先生方のお話をうかがい,地域を経験した総合診療医が大学の総合診療部門において学生や研修医のロールモデルとなること,また地域の視点を織り交ぜた教育プログラムを構築していくことの意義を確認することができました。今後のジェネラリスト教育や,学生・研修医を総合診療の道へと導くためのお考えなどがありましたらお聞かせください。

瓜田 私は,学生や研修医にはよくこんなことを言います。「心筋梗塞だけを診たいと思って医師になったのか。その人が熱を出したらどうするんだ」と。そもそも皆「病気を治したい,患者を助けたい」という気持ちで医師を志したはずです。それがいつしか,「これは自分が担当する領域ではない」と専門を狭めていってしまう。でも初心に立ち返ってみると,総合診療医ほど医師の志に叶った領域はないはずです。私自身,消化器内科医として一番得意な内視鏡を置き,素手で患者に向き合うことで医師のやりがいを実感しました。ですから,この気持ちをこれからも学生に伝え,総合診療の道へ導いていきたいです。

伴 とても心に響く言葉ですね。

生坂 私も同感です。全ての外来患者に対し,“丸腰”でも研鑽してきたスキルを存分に発揮できる。そして診療にかかわっている限り,時と場所を選ばずに医師人生最後の1日まで,解決の喜びと達成感を得られる。総合診療の醍醐味はそこにあるのだと思いますので,学生たちには,私たちが現場で生き生きと診療する姿を見せることによって興味を喚起したいですね。

伴 吉村先生は何か今後の展望はありますか。

吉村 自分が地域で経験したやりがいを,学生のうちから味わってほしいと思っています。もちろん自分一人では限界がありますから,県内で学生を受け入れてくださっている地域の診療所や病院の先生方,多職種の皆さんをもっと教育に巻き込むなどして,ジェネラリスト教育の機能を強化していかなければなりません。一つひとつの積み重ねから,卒後後期研修にまでつながるようなジェネラリスト育成の教育パイプライン(educational pipeline)も構築していきたいと思います。

伴 ありがとうございました。総合診療医をめざす学生や研修医にとって,ジェネラルなトレーニングを受ける初期研修の2年間,専門医研修の3年間はチャレンジの連続で,総合診療医としてのスキルアップをあまり実感できないかもしれません。それでも,卒後10年目以降にもなれば,専門科の人にとっての専門外の領域については,「自分たちのほうが圧倒的に高い臨床能力を持っている」と自信がつくでしょう。そこで初めて,「ジェネラリストの専門性」を実感できると思うのです。学生や研修医が学ぶ大学の総合診療部門が地域と共に循環していきながら,ジェネラリストの第一歩を踏み出す場となってくれるものと私は期待しています。

(了)

ばん・のぶたろう氏
1979年京府医大医学部卒。同大小児科研修を経て,80年米国クレイトン大家庭医学科レジデント。83年国立長崎中央病院にて卒後研修指導医。89年川崎医大総合臨床医学教室に移り,93年より同教室助教授,98年より現職。日本医学教育学会理事長,日本プライマリ・ケア連合学会理事,日米医学医療交流財団理事長など役職多数。教育,診療,研究,社会的貢献という4つの柱を基盤とした“総合する専門医(ジェネラリスト)”の育成に尽力している。

いくさか・まさとみ氏
1985年鳥取大医学部卒。89年東女医大大学院博士課程修了。90年米国アイオワ大家庭医療科レジデント(93年米国家庭医療学専門医),93年東女医大神経内科。97年聖マリアンナ医大総合診療内科講師を経て,2002年に生坂医院副院長,03年より現職。日本プライマリ・ケア連合学会理事。千葉大病院副病院長,総合医療教育研修センター長を兼務する。戦略的診断推論を実践中。

うりた・よしひさ氏
1985年東邦大医学部卒。関東労災病院消化器科,東邦大大森病院を経て,91年故郷の青森県に瓜田医院を開業。人口約1万4000人の町で地域医療を担う。その後,2005年東邦大助手,10年同大教授,15年7月からは同大医療センター大森病院副院長を務める。現在も週に1日,地元青森で地域住民の診療に当たっている。

よしむら・まなぶ氏
1991年宮崎医大医学部卒。自治医大地域医療学講座で学び,群馬・栃木の診療所勤務を経て,98年に岐阜県揖斐川町(旧久瀬村)に家庭医として着任。2003年揖斐郡北西部地域医療センター長,15年5月から現職。日本プライマリ・ケア連合学会理事(IPE担当)。揖斐川町では,医学生・研修医教育にも力を入れ,国内外から1000人超を受け入れた。また理学療法学生,看護学生と医学生・研修医を「ごちゃまぜ」にしたIPE(専門職連携教育)を実践している。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52327/Default.aspx
中医協総会 かかりつけ薬剤師の薬を“減らす”実績評価 残薬管理、多剤処方に職能発揮
2015/11/09 03:52 ミクスOnline

厚生労働省は11月6日に開かれた中医協総会に、患者の高齢化が進む中で、多剤処方や残薬管理について、かかりつけ薬剤師の職能を発揮させることで、処方薬剤を減らし、医薬品の適正使用を進める調剤報酬・診療報酬改定の論点を示した。高齢者の多剤併用では、かかりつけ薬剤師とかかりつけ医が連携し、患者の処方薬剤を減少させる取り組みを行うことで、処方薬剤が減少した“実績”を評価する仕組みを導入することを提示した。残薬解消に向けては、処方箋様式に残薬調整にかかわる医師の指示欄を設けることを打ち出した。年間約500億円とも言われる残薬解消に加え、高齢者の認知症患者などでの薬剤起因の有害事象の発生を減少させる上で、地域包括ケアの中で、かかりつけ薬剤師としての職能を発揮することの重要性が高まることになりそうだ。

高齢化が進む中で多剤併用(ポリファーマシー)や、それに伴い残薬の増加は、薬剤費の増大だけでなく、薬剤有害事象の発生率の増加などの課題もはらみ、社会問題化している。実際、6剤以上投薬すると薬物有害事象が増大することや、服薬回数や剤数の増加によって患者のアドヒアランスが低下するとのデータもある。

この日、厚労省は今年医療課委託研究として、保険薬局薬剤師に薬局の機能にかかわる実態調査を行った結果を提示。残薬や多剤・重複投与を減らす上で効果的だと考えられる医療機関と薬局との連携として、「患者の服用情報を踏まえ、医師と検討・相談して、粉砕や一包化等の工夫をすること」、「患者の服薬状況について、お薬手帳や電話連絡などを用いて医師に情報提供すること」をあげた。その結果として、患者の服薬コンプライアンス上昇や副作用の回避、医師の負担軽減などにつながったことも示した。今年改訂された日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」など、薬剤を減少させるためのツールもある。

こうした中で、多剤併用の患者に対し、「医療機関、医療機関と薬局の連携により、処方薬剤を減少する取り組みを行い、処方薬剤が減少した場合について評価すること」が論点となった。

ただ、薬剤師の疑義照会などを通じた処方提案などは、薬剤服用歴管理指導料に含まれているとの指摘もある。支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、方向性に同意を示した上で、「薬剤服用歴管理指導料の算定要件で、薬剤師の本来業務だ」と指摘。「本来業務をやっていないことに対してペナルティーを課す方がいいのではないか」と続けた。さらに、「能動的に働いた薬剤師を評価するというのはあるが、処方を変えた医療機関も同時に評価するのか」と医療機関への評価には疑義を呈した。

調剤報酬上では、すでに疑義照会を通じ重複投与などを回避した場合の評価として「重複投薬・相互作用防止加算」があり、薬局側にインセンティブが付けられている。これまでは、薬剤服用歴の管理に重きが置かれていたが、より薬を減らす“実績”を評価する方向に舵が切られる。今後は、加算の拡大も視野に、議論が進むことになりそうだ。

◎残薬調整 残薬調整の可否指示欄で処方箋様式変更 

残薬については、処方箋様式に残薬調整の可否にかかわる医師の指示欄を設けることを論点として示した。後発医薬品の使用促進のため、変更調剤が不可な場合の指示欄を設けるよう、処方箋様式を変更したことを踏まえたもの。

現状では、「患者が急いでいたり、医師への連絡を嫌がるなど、患者の同意が得られない」、「医師が多忙でなかなか連絡がつかない」ために、薬剤師が残薬解消に向けて職能を発揮するのが難しい。一方で、こうした課題克服に向けて、事前に残薬調整による取り組みを決めていた医療機関では、疑義照会が減るなど効果をあげており、薬剤師の判断で日数を減らすことが残薬解消に寄与していることも示した。


これに対し、診療側からは、「長期処方をやめるということで、ある程度対応できるのではないか」(松本純一委員・日本医師会常務理事)、「もともとの医療機関の処方箋を直すのが筋で、提案は間違っている。残薬が適正化した場合には、処方箋料で評価していただきたい」(松原謙二委員・日本医師会副会長)など反対の声があがった。松原委員は、抗生剤・ミノサイクリンを例に出し、使用期限を超えると有害事象が発現する薬剤があるとして、医薬品の箱にしか有効期限が記載されていない現状では、「ひとつの薬局で管理することは無理」と指摘した。

一方で、支払側の幸野委員は、「処方権を担保した上で、薬剤師の判断を加える。この方向性は間違っていない」と述べた。



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/massie/201511/544511.html
コラム: 池田正行の「氾濫する思考停止のワナ」
医療事故ビジネス~法例遵守が医療を滅ぼす~

2015/11/9 池田 正行   日経メディカル

 『(池田意見書は)娘の低身長と低体重もミトコンドリア脳筋症が原因などと言っているが、いいかげんにしてほしい。弁護団の我田引水の解釈と証拠の引用で、何が分かるというのか。娘を病気扱いすることなど到底許すことはできない。どこまで娘とわたしたち家族を苦しめれば気が済むのか』(2010年7月7日、河北新報)

医療事故ビジネスに飛びつくマスメディア

 これは、北陵クリニック事件再審請求の動きを受けて、ミトコンドリア病の一つであるMELAS(Mitochondrial encephalomyopathy, lactic acidosis, and stroke)で現在も長期療養中のA子さんのお母様が発表した談話です。英文の症例報告(Journal of Medical Cases 2011;2:87)にまでなっている私の診断を否定する医師はいませんから、これは、私を嘘つき呼ばわりしている医師以外の人間に騙された結果として出てきた談話ということになります。

 医療者を凶悪犯罪者に仕立て上げ、患者・家族の処罰感情を煽ってあだ討ちシナリオを創作する。そんなシナリオに従って、司法官僚たちが最先端の科学捜査を駆使し、その「凶悪犯」を追い詰め成敗する現代版水戸黄門劇場。視聴率の低下や販売部数の減少に苦しむマスメディアが、この“医療事故ビジネス”に飛びついたのは、実質的にゼロコストで確実に収益が期待でき、裁判によって再生産される医療事故に対応して何百回でも使い回しが利くからです。

 北陵クリニック事件再審弁護団は、毒殺魔守大助の「脱獄」を企む悪の一味。当時大学で講座主任を務めていた私を、その一味に加担する詐欺師と断罪する。そうして新たに創作した「嘘つき教授物語」で、事件当時守大助氏に対して煽ったA子さん家族の処罰感情を、今度は私に向かわせ、水戸黄門気取りの検察に私を“成敗”させる。北陵クリニック事件報道の「成功体験」が忘れられない河北新報による冒頭の記事は、国家最高権力を笠に着て医療者を恫喝してきた日本のマスメディアを象徴しています。

患者・家族も傷つける二重の悲劇

 「単なる冤罪事件じゃない。患者・家族も騙されている二重の悲劇じゃないか」。ある出版社に勤める私の高校の同級生が、北陵クリニック事件を評した時の言葉です。医療事故ビジネスによる収益に執着するマスメディアの攻撃の矛先は、医療者だけに留まりません。高濃度カリウム製剤誤投与事故、ウログラフィン誤使用事故裁判、そして北陵クリニック事件。いずれの事例でも検察とマスメディアは、患者・家族をも深く傷つけました。それもその場では痛みを自覚できないように、真相の隠蔽という「不可視の暴力」を用いて。

 北陵クリニック事件では、A子さんに限っただけでも、同クリニックにおける救急体制の不備、気道確保の遅れ、血液ガスデータが示した高乳酸血症の見逃し等、極めて多数の事故原因が検察によって隠蔽されています。しかし問題はそれだけには留まりません。「A子さんは毒殺魔守大助の哀れな犠牲者である」と家族を騙し続けることは、MELASにおける心筋障害と不整脈による突然死リスク(谷口彰.MELAS 不整脈による突然死.日本臨床 2002年増刊号.ミトコンドリアとミトコンドリア病.P606-609、Congest Heart Fail 2009;15:284)を隠蔽することにほかなりません。もちろん正しい診断のもとに適切な治療をしなければそのリスクは年々高くなるだけです。

 2012年2月の再審請求時に私が裁判所に提出した意見書にも、その危険性は明記してあります。それから早4年が経とうとしています。仙台地検の3人の検察官も、この事実をもちろん把握しています。しかしA子さんの家族には、上記の突然死リスクを含め、MELASに関する情報は何一つ開示されていません。なぜなら、彼らの使命は、再審につながるような証拠を全て隠蔽し、私を嘘つき呼ばわりすることであって、神経難病患者の命など、彼らの関知するところではないからです。

法令遵守が医療を滅ぼす

 松本サリン事件では、マスメディアはサリン中毒の被害を受けて生命の危険に晒された河野義行氏に“殺人鬼”とのラベルを貼り付けました。長野県警はサリン中毒から回復途上の河野氏が長時間の事情聴取に耐えられないと診断書を書いた担当医に対し、捜査の妨害になるような診断書は撤回するよう担当医に迫りました(河野義行「被害者から見た社会の理不尽さ」第5回矯正・保護ネットワーク講演会、2015年2月15日、龍谷大学校友会館)。

 血友病HIV/AIDS問題で東京地検特捜部は、罪証隠滅も逃亡の恐れもない安部 英(あべ たけし)氏(当時80歳)を逮捕し、大動脈弁と僧帽弁の両方に弁膜症を抱える安部氏を56日間にわたって拘留しました。心不全に苦しむ安部氏が死の恐怖を検察官に訴えると「死んだら困る」と「正直に」言ったそうです(武藤春光、弘中惇一郎・編著 安部英医師「薬害エイズ」事件の真実 誤った責任追及の構図 現代人文社)。

 郷原信郎氏はその著書『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮社)で、「『コンプライアンスとは単に法を守ること』と考える法令遵守原理主義そのものが、会社はおろか、この国の根幹をも深く着実に蝕んでいる」と解説しています。北陵クリニック事件に限らず、法令遵守の「家元」である検察は、冒頭の記事にあるように、長年にわたってマスメディアに医療者を恫喝させ医療を荒廃させてきました。医療事故ビジネスは、医療という重要な社会インフラストラクチャーに対する破壊活動に他なりません。

 患者から国の難病認定と適切な診療を受ける権利を奪う。あまつさえ不整脈による突然死の危険も知らせずに無治療のまま放置する。それが医師であれば、それこそ検察はその医師を故意に患者に危害を加える殺人鬼として断罪するでしょう。一方、それが脈の取り方一つ知らない検察官の行為であれば、何のお咎めも受けないのです。

 法令遵守の家元の言いなりになって市民を恫喝し、医療事故ビジネスで莫大な収益を上げるマスメディア。そのマスメディアの報道管制に守られ、矯正医官を嘘つき呼ばわりし、患者を踏み台にして出世階段を上っていく司法官僚たち。とんだ「正義の味方」もあったものです。こんな不条理なビジネスが大手を振ってまかり通るのは、彼らの活動がたとえどんなに人の道からはずれたものであっても、法令には何一つ違反していないからです。


  1. 2015/11/09(月) 06:02:44|
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