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10月31日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/371134
予防接種事故、「接種間隔の間違え」が最多
年5685件、「医師の知識不足」の指摘も、ワクチン分科会報告

2015年10月31日 (土)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(分科会長:岡部信彦・川崎市健康安全研究所長)が10月29日に開催され、2014年度の予防接種事故等について報告された(資料は厚労省のホームページ)。

 2014年度の1年間で定期接種延べ接種回数は4105万2024回で、届け出のあった事故件数は計5685件。最多は「接種間隔の間違え」で2777回、次いで「期限切れワクチンの使用」889回、「不必要な接種」660回だった。重大事案につながりかねない「既に他の対象者に使用した針を使う等、接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こしうるもの」は14件だった。いずれも健康被害や感染は確認されていない。

 日本医師会常任理事の小森貴氏は「接種回数が4000万回を超えても、ミスは許されることではなく、全ての医師を代表する日本医師会としてお詫びと反省を申し上げる」と述べ、全国の医師会を通じた講習等を行っていることを報告した。愛知県一宮保健所長の渋谷いづみ氏は「接種間隔の間違いは、定期接種が増え、保護者、医療者のスケジュール管理の負担が大きくなっているから。混合ワクチンを増やすなど、接種方法の開発、工夫でミスを減らすことができるのでは」と指摘した。

 このほか、各部会の活動報告や全国の予防接種率、公費負担の状況などが説明され、委員が意見を述べた。国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳氏は「感染研で予防接種の副反応のデータを集計する中で、届出を見ると、不活化ワクチンを接種したのに感染症になったなど、明らかに不適切なものを副反応に挙げているのが結構ある。我が国の副反応サーベイランスのクオリティがこれでいいのかという疑問があり、教育やガイダンスが必要な状況にある」と指摘。厚労省健康局長の福島靖正氏も「厚労省として、医師の教育を重要だと認識しており、最低限の医学的常識は医師自ら勉強してほしいと思う」と答えた。

 また、「有害事象」、「副反応」といった用語についても、定義と一般での使われ方に齟齬が出ているとして、整理が必要との指摘もあった。

 この日の分科会では傍聴人の発言も認められ、消費者団体コンシューマーネットジャパン代表理事の古賀真子氏が 「メーカーから多額の寄付金等を受け取る委員が感染症・予防接種審査分科会の分科会長をしていることについて大きな疑念を抱いており、運用規定、とりわけ参加規程や関連規定についての根本的な見直しが必要」と主張。運用ルールや人選の在り方を見直すようを求めた。岡部氏が「今後の参考にする」と答えた以外は、参加者からのコメントはなかった。



http://apital.asahi.com/article/news/2015103100007.html
調剤報酬、引き下げ案 財務省提示、来年度から
2015年10月31日 朝日新聞

 財務省は30日に開かれた財政制度等審議会で、診療報酬の一部である調剤薬局の報酬を来年度から引き下げる方針を打ち出した。割安な後発医薬品(ジェネリック)の使用が少ない薬局は減収になるしくみの導入をめざす。来年度の予算編成で診療や薬の公定価格である診療報酬を引き下げ、社会保障費の伸びを抑えるねらいがある。

 年間43兆円の医療費には、国と地方合わせて年16・6兆円の税金が使われ、政府は2年に1回のペースで見直している。診療報酬を1%下げると、医療費は4300億円減る。患者の自己負担は軽くなるが、病院や薬局の収入も減る。

 診療報酬のうち、7・2兆円の調剤報酬について、財務省は「ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直し」を求める。現在は薬局のジェネリックの使用割合に応じて報酬を上乗せしているが、これを見直し、使用割合が60%未満だと減収にするしくみを入れるよう求める。院外薬局が処方した薬の数や投与日数に応じて調剤報酬が増える体系も改め、報酬を半分ほどに引き下げる。

 調剤の報酬以外でも、医師から処方される湿布や漢方薬、目薬など、市販品と同じ成分の薬は医療保険の対象から外すよう求める。

 (奈良部健)

 ■財務省の提言

・医師が処方する湿布や漢方薬、目薬などを保険の対象から除外
・ジェネリックの使用割合が低い薬局の収入が減るしくみも導入
・かかりつけ薬局の要件を厳格化し、夜間や休日対応の実績などを加える
・患者が「お薬手帳」をもっていると薬局の収入を上乗せする要件を厳格に
(朝日新聞 2015年10月31日掲載)



https://medical-tribune.co.jp/rensai/2015/1031037695/
医療保険の今と昔
悠遊健康村病院(新潟県)顧問/前長岡赤十字病院院長 森下 英夫
時間の風景 | 2015.10.31 Medical Tribune

 昨今の国政選挙では,医師系議員候補の苦戦が続き,商業的なアメリカ医療を良しとする意見も出てきているようです。しかし我々医療人は,痛くて,苦しんで,悩んで来院・入院している人のことを第一に考え,守らなければいけないと思います。良くも悪くも武見会長(日本医師会第11代会長,1957〜82年在任)時代の,300万票とまで言われた医師会系の得票の頃とは隔世の感があります。会長自身の政治力・見識・カリスマ性もあったようですが,どうしてこんなに変化したのか,医療保険制度の変遷から私なりに考えてみました。

戦後の保険制度のない時代

 父は田舎で内科の開業医をしていましたが,病院の夜間救急制度などもなかったため,夜は2日に1回以上は起こされ,土日も休みはありませんでした。また,職住が同一のため,近所との付き合いも今と違って濃厚でした。隣の床屋さんは元気な一家でしたが,離れた床屋さん家族は病気がちでよく来院されるため,父から「私と長男は隣に行かざるを得ないので,次男のお前が少し離れたほうの床屋さんに行きなさい」などと言われ,職住一緒の寂しい思い出もありました。
 保険制度もなく,診療額も決まっておらず,「高くて悪いがペニシリン(初任給が約3,000円の時代に,1本6,000円の注射)を1回だけ使わせてくれ」という父の言葉を聞いたことがあります。ただこの頃は効果抜群で,1回で高熱が下がり治癒したことが多かったようです。また,父が母に「あの家は貧乏なので,お金はもらえない」と話すこともあり,診療費の代わりに秋になるとミカンや米を持ってきてくれたりもしました。待合室に選挙候補者のポスターを貼っておくと,「先生はこの人を推しているのかな。入れないと悪いかな」などの声も聞かれました。

 国家公務員,地方公務員や3公社(国鉄,専売,電信電話)5現業(郵政,造幣,印刷,国有林野,アルコール専売)などには各々の病院もあり,職員たちは優遇されていたようですが,一般庶民は経済的な余裕もなく,入院や手術などはなかなか受けられなかったようです。

1961年国民皆保険開始

 健康保険は本人がほぼ10割給付で家族が5割,国民健康保険は本人・家族とも5割負担となり,医療費も定まりました。開業医の父が「これで人によっていくら請求するかなど,考えなくても良い。本当に良い制度になったよ」と,兄や僕の前で話していました。このころから開業医も日曜日は休診になり,「土曜の夜は酒が飲める」と喜んでいました。

高齢者医療費の無料化

 65歳以上の高齢者に対する医療費の無料化は,1971年に東京都と秋田県で始まり,2年後の73年には全国へ波及しました。病院へ通う人が増え,亡くなる場所も自宅ではなく病院が多くなりました。私は1974年に卒業後,市中病院で外科系のネーベンをしていましたが,手術やその後の細かい説明などを患者さんに聞かれたりもしませんでした。医療費はかからず食費も無料で年金は全額もらえるため,長期入院も増加していきました。

医療費負担増額の始まり

 右肩上がりの経済状況でも医療費の急激な増大には追いつけず,1981年に健保家族の入院2割自己負担が始まりました。1983年には高齢者医療費無料制度が廃止され,70歳以上の老人も一部負担の導入が始まり,その後,少しずつ負担が上昇していきました。2003年からは,70歳未満の窓口負担が3割になっており,現在では医療と介護の一体改革が俎上に載っています。
 消費税などでは少しの負担増でも大騒ぎになり,内閣が倒れたりしますが,秘かに値上げが進んでいるものが他にもあります。国立(公立もほぼ同様)大学の入学料・年間授業料を見ると,1965年のそれぞれ1,200円と1万2,000円から(大卒初任給2万3,000円),1975年の5万円と3万6,000円(同8万4,000円),その後も約2年おきに少しずつ値上がりし,現在は28万円と53万円(同およそ20万円)と,入学時だけでも80万円を超える出費がかかります。
 私立大学の学費はもっと高いためか消費税のような国民的な反対とはならず,物価と比べても激しい値上げ(約60倍)となっています。昔は無料が多かった看護系でも,看護大学では年間授業料が150万円以上のところがかなり見られます。奨学金がなければ経済的に余裕のある人しか進学できず,社会はゆがんでくるような気がします。
 医療界も静かに自己負担を上げられ,患者さんから「医療費がどんどん上がり,医者はいい生活をしている」と誤解されることもあります。また国民の高学歴化もあって,少しでも納得できないと不信感を抱いたり,場合によっては訴訟になることもあります。一度無料化された制度が有料化されて負担増大によって感じる不満を,我々医師も頭の片隅に置いておかなければならないと思います。今後の国政選挙は医療費,消費税,TPP,安保法制の問題もあり重要です。発言権を担保する意味でも,医師会の一部の先生に任せず,医師全員で応援していく必要性があると感じております。



http://www.asahi.com/articles/DA3S12043967.html
(教えて!医療事故調査制度:4)遺族の不信感、取り除くには?
2015年10月31日05時00分 朝日新聞

写真・図版
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医療事故調査制度をめぐる動き/医療訴訟の提訴件数

 10年以上にわたる議論の末に創設された医療事故調査制度。まだ始まってから約1カ月だが、うまく機能させられるかは、病院側と遺族側との間にある不信感を、どれだけ取り除けるかにかかっている。

 制度発足のきっかけは、1990年代以降に大学病院などでの死亡事故が相次いだことだった。医療への不信を深めた患者ログイン前の続き側は裁判を起こしたが、時間がかかる上、真相解明に必ずしもつながらなかった。医療者側も警察など司法が介入したことに強い危機感があった。制度自体は、患者側、医療者側の双方が待ち望んだもののはずだった。

 しかし、制度の運用方針を決める厚生労働省の検討会では、対立が鮮明化した。院内調査報告書の遺族への提出や再発防止策の記載などは義務化されなかった。「裁判など責任追及に使われる」と一部の医療者側が反対したからだ。

 長女をお産の事故で亡くした勝村久司さんは「事故の原因を分析し、再発防止に生かしてもらうために、裁判に訴えるしかなかった。再発防止策がどう生かされているかを聞いて、遺族は心の整理を初めてできる」と話す。

 今回の制度にはそもそも罰則はない。医療者の良心を前提にしているからだ。だが、医療不信は今も根強く残る。

 昨年、東京女子医大病院、群馬大病院と相次いで事故が発覚した。東京女子医大病院では、集中治療室で人工呼吸器をつけた2歳男児に大量の鎮静剤が使われ、死亡した。両親は「せめて原因究明をやり切らねば、息子に申し訳ない」と話す。遺族への対応が不十分なら、混乱はますます広がる。

 遺族と病院側の間に立つ第三者機関の「医療事故調査・支援センター」の公正さや透明性も課題だ。

 2008年に厚労省のモデル事業で第三者機関に調査を依頼した遺族は、連絡がないまま、1年後に報告書が届き、6日後に説明を受けた。だが、その後に浮かんだ疑問には質問書を送っても、適切な回答はなかったという。「新制度では調査の進行状況を遺族に伝え、報告書は遺族の疑問を解消した上で、最終的にまとめるべきだ。信頼関係の構築が大切」と話す。

 名古屋大の長尾能雅教授(医療安全)は「まずは医療者側が客観性のある調査やわかりやすい説明をすること。遺族側も何に疑問を持っているのかや、どのような形で説明を求めるかを明確に伝えてほしい。事実を巡る疑問点を減らすことで、再発防止の議論や両者の話し合いにつながる」と話す。

 (富田洸平、福宮智代)



https://www.m3.com/research/polls/result/16?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151031&dcf_doctor=true&mc.l=129330763
m3 意識調査
結果医療従事者の結婚観、結婚相手は?

回答期間: 2015年10月21日 (水)~27日 (火) 回答済み人数: 1333人

 日本人の晩婚化、婚姻数の減少は顕著です。2014年の人口動態統計によると、平均初婚年齢は男性31.1歳、女性29.4歳と過去最高、婚姻率も戦後最小を記録しました。晩婚化の背景には、価値観の多様化や経済状況の変化、女性の社会進出の影響などが指摘されています。医療現場では、資格職として生涯活躍する女性も多い一方、激務やライフイベントの事情で一線を離れざるを得ないケースも多いのではないでしょうか。それぞれの立場の結婚観や配偶者に求めることについてお伺いします。

同業結婚のメリット、デメリット

 未婚の方に結婚したい相手の職業、既婚の方には配偶者の職業を尋ねました。

 結婚したい相手の職業の質問では、「職業にこだわらない」との回答が多かったものの、職種別では「医師」がトップでした。医師の回答では、「職業にこだわらない」が45%を占めましたが、具体的な職業では「医療従事者以外」を上回って、「医師」が一番人気。開業医では21%、勤務医では30%が「医師」を選んでおり、勤務医の方が医師と結婚したいと考えている人が多いようです。

 他の職種でも、ご自身と同じ職種がやはり人気でしたが、その中でも「医師」と結婚したいと思う人は多く、歯科医師を除いて8~11%の人が選びました。看護師は、回答者総数が少ないものの、唯一同じ職種同士での結婚を希望する回答者がゼロとなり、「結婚したいと思わない」との回答も17%と高い割合を占めました。

 実際の配偶者の職業は、全体で半分以上を「医療従事者」が占めていました。結婚したいのは「医療従事者以外」「職業にこだわらない」と考えていても、実際には出会いの多さから、同じ医療関係職種を結婚相手とする方が多いようです。

 配偶者の職種で最多は「医師」の242人、次に「看護師」で232人でした。中でも開業医の20%、勤務医の26%が医師と結婚していると答えました。その次に医師の結婚相手として多かったのは看護師で、開業医の17%、勤務医の23%が選択。これら二つの職種が他の職種よりも圧倒的に高い割合を占めました。

 看護師はほかの医療関係の職種の結婚相手としても人気で、歯科医師を除くいずれの職種でも10%以上の割合を占めました。一方で、看護師の回答では、医療従事者以外が半分以上を占め、人数の多さもあって多様な職業の方と結婚されているようです。

 結婚相手を選ぶ際の基準を単一選択で尋ねたところ、大多数を占めたのが、「価値観」と「性格」。割合はどの職種でもほぼ同じで、「価値観」が40%台後半からそれ以上、「性格」は305~40%でした。その次に多かったのは「頭の良さ」で、特に医師に人気な項目でした(開業医は6%、勤務医は4%)。そのほか、「外見」や「職業」を選んだ人も全体で10人以上いました。

(回答者数は、開業医 274人、勤務医878人、歯科医師3人、看護師21人、薬剤94人、その他の医療従事者63人でした)

Q1 未婚の方にお伺いします。結婚したいと思う職業は下記のうちどれでしょうか。(任意回答)
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開業医 : 96人 / 勤務医 : 359人 / 歯科医師 : 2人 / 看護師 : 12人 / 薬剤師 : 35人 / その他の医療従事者 : 37人
※2015年10月27日 (火)時点の結果

Q2 既婚の方にお伺いします。配偶者のご職業について教えてください。(任意回答)
10313_201511010600445f4.jpg
開業医 : 236人 / 勤務医 : 730人 / 歯科医師 : 1人 / 看護師 : 12人 / 薬剤師 : 69人 / その他の医療従事者 : 34人
※2015年10月27日 (火)時点の結果

Q3 結婚相手を選ぶ際に一番重要なのは何でしょうか。(単一:必須)
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開業医 : 274人 / 勤務医 : 878人 / 歯科医師 : 3人 / 看護師 : 21人 / 薬剤師 : 94人 / その他の医療従事者 : 63人
※2015年10月27日 (火)時点の結果

Q4  医療従事者のキャリアと結婚の問題や課題について、意見があれば教えてください。(任意回答)

●「女医と結婚して良かった」「職業は関係ない」

 最後に、医療従事者のキャリアと結婚の問題等について、自由に意見を述べてもらいました。医療従事者同士の結婚を肯定する意見から、否定する意見まで幅広い内容が寄せられました。

●医療従事者同士のメリット

「医療の資格を持っていると開業後に便利(私の妻は管理栄養士)」【開業医】、「同じ業種だとお互いに助け合えるのが一番の魅力ですね。あとは人柄かと・・・」【勤務医】、「医療従事者同士であれば、よりお互いの立場を理解しやすいメリットがあると思います」【薬剤師】、「女医さんと結婚してよかったと思います」【勤務医】

●医療従事者同士の弱点

「医療従事者もいいのですが、かえって仕事場の内情がお互いに分かりすぎてデミリットが大きいのでは」【勤務医】、「医者同士の共働きはやはり大変です」【勤務医】、「同業の方が金銭的には楽だが、いつでも離婚しそうな印象あり」【勤務医】、「仕事のことがお互いわからないので逆に楽です」【勤務医】、「配偶者が医療従事者であれば、仕事の話はしやすいが、会話内容が乏しくなる」【勤務医】

●出会いがないのが悩み

「出会いの場が狭い」(勤務医)、「クリニックだと、出会いがない」(歯科医師)、「学生時代からの付き合いでないと、出会いという点で難しい状態が多い気がする」(薬剤師)、「職場での出会いが限られる上、当院のように割と陰湿な環境下では、交際だけでもあることないこと噂されるので、いろいろとやりづらい所はあると思います」【薬剤師】

●こんな人と結婚したい!

「子育てが終わってから一緒に人生を楽しめる相手」(勤務医)、「一緒に暮らせるかどうか」(開業医)、「聡明な人が良いです」(開業医)、「お金の価値観が大事」(開業医)、「お互い自立していること」(勤務医)、「お互いが仕事の理解と協力が必要」(開業医)、「容姿や知性は平均以上ということを前提とし、相性と共通の価値観を持つこと」(勤務医)、「生育環境が最も重要で、同じような育ちの人」(勤務医)、「高卒以上ならよい」(勤務医)、「医療という特殊な職業環境に対し謙虚に配慮でき、過剰な経済的期待感を抱かないことや精神的な消耗への、癒しを与えられるような人物が望ましい」【勤務医】、「仕事を制限しない」【勤務医】、「長い目で見ていい人生を歩める相手」【開業医】、「自分もそうですが相手に対しても、配偶者の仕事や状況に理解をしてくださる方。子供ができても夫婦相互の時間を大切にされる方が理想」【勤務医】、「できるだけ家事を分担して、食事や日常の生活や子育ての協力が得られる相手」【勤務医】、「狭い環境では医療関係者になると思いますが、きっかけは容姿や性格かもしれませんが、結婚を維持していくためには価値観だと思います」【勤務医】

●家庭円満の秘訣

「夫婦間の会話の多さが重要」(薬剤師)、「結婚だけの問題ではないが、相手の立場に立って考え、周囲の人たちとの協調性を上手く取れることが大切」(勤務医)、「共通の価値観があれば家庭が休息の場所になる」(勤務医)

●結婚とキャリアのアドバイス

「問題はあるだろうがあまり深く考えないほうがよい」(勤務医)、「若いうちに結婚することを勧めます」(勤務医)、「子供は作った方がよい。できれば二人以上」(勤務医)、「家族をもって、医者としての経験がより深まった気がします」(勤務医)

●他業種との比較

「他業種に増して共働きが非常に困難である」(開業医)、「別に一般の人と何ら変わりはない」(開業医)、「好きならそれでよい」(開業医)、「まず人間的に相性がいいかどうかでしょう」(勤務医)、「一人でも生きていけるのでより話し合いが必要になる」(薬剤師)、「勤務時間の違いから日常の擦れ違いが多くなる」【勤務医】

●共働きはできるか?

「共働きが困難で、専業主婦をしてもらわなくてはならず、相手のキャリアが生かせない」【勤務医】、「現在子育て中だが、夫も医師のため、育児の時間のやりくりに苦労している」【勤務医】、「女性外科系医師が仕事と結婚生活を両立するのは難しい」【勤務医】、「相手の家族やパートナーの理解がなければキャリアアップは望めない。キャリアアップしたければ、子供を産まないまたは、子育てにかかる資金に制限を設けなくてもよい状況や信頼でき、任せられる人の存在が必須である」【看護師】、「女性医師については、仕事が子育てに多大に影響するため、キャリアアップの障害となっている。根本的な解決はなかなか難しそうである」【開業医】、「男性でも育児休暇を取れるような環境の整備が必要」【勤務医】

●その他、コメント

「浮気する人多いよね」(その他の医療従事者)、「同じ職場でない方が良いのではないでしょうか」(勤務医)、「もう、考えても仕方のない歳になった」(勤務医)、「離婚率が高いように思える」(勤務医)、「お互いに幸福であれば良いだけと思います」(開業医)、「医師同士は上手くいかない」(勤務医)
・「価値観も重要だが、年齢を重ねると共に変わってくる。それをその時に応じて柔軟に変化していける頭の良さを、特に医療従事者だからというのではなく、持っていたいと思う」【勤務医】
・「永年連れ添ってはじめて見えてくることがあり、お互いの相性と忍耐かと」【勤務医】
・「人生と職業のバランスは人それぞれだが、それを自覚するまで結構時間がかかった」【勤務医】



https://www.m3.com/news/iryoishin/371135?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151031&dcf_doctor=true&mc.l=129330766
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
「診療報酬の増額、とんでもない議論」財政審
診療報酬本体分のマイナス改定で一致

2015年10月31日 (土)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が10月30日に開かれ、2016年度診療報酬改定では、財政審として「診療報酬本体のマイナス改定」を求めていくことを確認した(資料は、財務省のホームページに掲載)。

 財務省資料には、「2016年度診療報酬改定に関する論点の整理」の中で、「診療報酬本体のマイナス改定や、『経済・財政再生計画』に示された診療報酬に関する改革検討項目(後発医薬品の使用促進、調剤報酬の見直し等)の実現により、医療費の伸びを抑制することを通じて、2016年度の社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分の範囲内に収めていくことを目指すがの基本」と記されている。

 分科会後に会見した分科会長の吉川洋氏(東京大学大学院経済学研究科教授)は、「分科会では慎重論は一人だけ。財政審としては、診療報酬を下げることのコンセンサスを得られた」と報告した。

 診療報酬改定の方向性について、吉川氏は「診療報酬は公定価格で、理屈っぽく言えばベクトル。ベクトルの向きが間違っていたら、医療制度に悪い影響を与える。一方で、診療報酬全体は平均、長さの話しになる。財政が厳しい中で、ベクトルの長さを長くしろというのはとんでもない議論で、正しい解決方法ではない。これまで診療報酬は全体の中ではかなり優遇されてきた。(今後も)ベクトルの長さを2倍にしたら解決するかもしれないが、財政の厳しい中でそれはできない。ベクトルの方向を変える必要があり、中医協の仕事かもしれないが財政審も応援している」と述べた。

 委員の意見として、「薬価削減分を、本体に充当する考え方があるが、それは論外。効率化を行い、保険点数の付け方を見直すことが重要」「効率化で削減された分は、医療費全体を削減すべきだ。湿布薬などOTC類似品は、保険適用外でいいのでは」「2015年度は経済・財政再計画の初年度であり、診療報酬改定により医療費 の伸びを抑制することをきちっと実現することが重要」などがあったと紹介。一方で「診療報酬引き下げは『モグラ叩き』のようなもので限界がある。本来の医療制度改革のためには、かかりつけ医制度や電子カルテの普及などを進められるべき」との慎重論もあったという。

 改定の各論では、(1)薬価・医薬品に係る改革、(2)調剤報酬に係る改革、(3)入院・外来等に係る改革――3項目に分けて検討事項を挙げており、特に調剤報酬関連では調剤基本料や各種加算について細かく引き下げるよう求めている。



https://www.m3.com/news/iryoishin/371134?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151031&dcf_doctor=true&mc.l=129330770
予防接種事故、「接種間隔の間違え」が最多
年5685件、「医師の知識不足」の指摘も、ワクチン分科会報告

2015年10月31日 (土)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の第7回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(分科会長:岡部信彦・川崎市健康安全研究所長)が10月29日に開催され、2014年度の予防接種事故等について報告された(資料は厚労省のホームページ)。

 2014年度の1年間で定期接種延べ接種回数は4105万2024回で、届け出のあった事故件数は計5685件。最多は「接種間隔の間違え」で2777回、次いで「期限切れワクチンの使用」889回、「不必要な接種」660回だった。重大事案につながりかねない「既に他の対象者に使用した針を使う等、接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こしうるもの」は14件だった。いずれも健康被害や感染は確認されていない。

 日本医師会常任理事の小森貴氏は「接種回数が4000万回を超えても、ミスは許されることではなく、全ての医師を代表する日本医師会としてお詫びと反省を申し上げる」と述べ、全国の医師会を通じた講習等を行っていることを報告した。愛知県一宮保健所長の渋谷いづみ氏は「接種間隔の間違いは、定期接種が増え、保護者、医療者のスケジュール管理の負担が大きくなっているから。混合ワクチンを増やすなど、接種方法の開発、工夫でミスを減らすことができるのでは」と指摘した。

 このほか、各部会の活動報告や全国の予防接種率、公費負担の状況などが説明され、委員が意見を述べた。国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳氏は「感染研で予防接種の副反応のデータを集計する中で、届出を見ると、不活化ワクチンを接種したのに感染症になったなど、明らかに不適切なものを副反応に挙げているのが結構ある。我が国の副反応サーベイランスのクオリティがこれでいいのかという疑問があり、教育やガイダンスが必要な状況にある」と指摘。厚労省健康局長の福島靖正氏も「厚労省として、医師の教育を重要だと認識しており、最低限の医学的常識は医師自ら勉強してほしいと思う」と答えた。

 また、「有害事象」、「副反応」といった用語についても、定義と一般での使われ方に齟齬が出ているとして、整理が必要との指摘もあった。

 この日の分科会では傍聴人の発言も認められ、消費者団体コンシューマーネットジャパン代表理事の古賀真子氏が 「メーカーから多額の寄付金等を受け取る委員が感染症・予防接種審査分科会の分科会長をしていることについて大きな疑念を抱いており、運用規定、とりわけ参加規程や関連規定についての根本的な見直しが必要」と主張。運用ルールや人選の在り方を見直すようを求めた。岡部氏が「今後の参考にする」と答えた以外は、参加者からのコメントはなかった。



https://www.m3.com/news/iryoishin/370911?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151031&dcf_doctor=true&mc.l=129330769
「小松医師の懲戒解雇、撤回を」、13人の医師・弁護士
東京大学医学部 OB・OG声明に賛同

2015年10月30日 (金)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 「現場の医療を守る会」有志の13人の医師・弁護士は10月30日、「現場の医療を崩壊し得る重大事項を内在する」との考えから、亀田総合病院(千葉県鴨川市)の副院長を務めていた小松秀樹氏が、同病院を経営する医療法人鉄蕉会から受けた懲戒解雇処分の撤回を求める、東京大学医学部の同期医師ら4人の声明への賛同を表明した(『小松秀樹医師に対する懲戒解雇の撤回を求める』を参照)。

 10月30日時点で、賛同を表明した医師、弁護士13人は以下の通り。

「現場の医療を守る会」有志
 代表世話人 坂根Mクリニック 坂根みち子
 井上法律事務所 弁護士 井上清成
 とよす内科クリニック院長 金澤信彦
 藤沢湘南台病院 外科部長 熊切寛
 医療法人尚愛会理事長 小田原良治
 いつき会ハートクリニック院長 佐藤一樹
 鶴巻温泉病院 内科医 澤田石順
 群馬県立小児医療センター 神経内科 椎原隆
 久里浜医療センター 精神科医 杉原正子
 一宮温泉病院 神経内科部長 新田清明
 医療制度研究会副理事長 本田宏
 満岡内科・循環器科院長 満岡渉
 井上法律事務所 弁護士 山崎祥光



http://biz-journal.jp/2015/11/post_12185.html
連載  上昌広「絶望の医療 希望の医療」
首都圏の医療が崩壊の危機 医師不足深刻で中東並み 解消と逆行する厚労省の詭弁

文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授
2015.11.01 Business Journal

 本連載前回記事で東京の医療が崩壊の瀬戸際にあるという実態を紹介したところ、多くの知人から連絡をもらった。「日本医科大学のような名門私大が経営危機なんて本当か。どこも報じていないし、にわかには信じられない。厚労省や東京都はどう考えているのだ」という主旨が多かった。残念ながら本当だ。日本医大が公表している財務諸表を見れば、一目瞭然だ。2014年度、売上高利益率はマイナス19.4%の赤字だし、流動比率は69.5%である。
 流動比率は、負債の返済能力を見る指標のひとつだ。税理士の上田和朗氏は「企業の経営状態を判断する際のもっとも重要な指標」という。流動比率は、流動資産が流動負債より多いか否かを示し、通常は120%以上あるのが望ましいとされている。日本医大の経営状況はかなり悪い。

 ただ、首都圏の医科大学で経営が悪いのは、日本医大だけではない。聖マリアンナ医科大学や北里大学も直近の財務諸表を見る限り赤字だし、今後補助金が削減され患者数も減少すると予想されている東京女子医科大学が置かれた状況も深刻だ。
 もっとも、このような問題はまだ解決策がある。日本の財政状況を鑑みれば、診療報酬の削減は避けられないとしても、混合診療禁止などの規制を緩和すればいいからだ。一時的に混乱するだろうが、やがて新たな高付加価値の医療サービスが開発されるだろう。重粒子線治療や遺伝子診断などの先進医療以外にも、深夜診療や会員サービスなどのプロセス・イノベーションが進む可能性が高い。東京には富裕層が多く、このようなサービスを喜んで「購入」し、医科大学に「利益」をもたらすだろう。

医師不足

 ただ、問題はこれだけではない。実は、首都圏の医療崩壊はまったく別の理由から起こってくる可能性が高い。それは医師不足だ。
 意外かもしれないが、首都圏に医師は多くない(図1)。人口10万人あたりの地方別医師数は首都圏(以下、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を指す)230人に対し、四国278人、九州北部287人だ。実に2割以上の差がある。
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 多くの読者は「東京に病院が多いので、埼玉、千葉、神奈川には多少病院が少なくても問題ない」とお考えだろうが、この考えは正しくない。首都圏を平均すれば、この地域の医師数は決して多くはない。東京の受け入れ能力には限界がある。
 逆に考えれば、東京都以外の首都圏の医師不足が極めて深刻であるということも可能だ。人口10万人当たりの医師数は東京都314人に対し、埼玉県155人、千葉県179人、神奈川県202人。南米や中東並みの数字である。さらに、首都圏の問題は、東京の医療機関が極度に遍在していることである。図2を見ると、東京の医療機関の多くが中心部に集中していることがわかる。
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 江戸川区や足立区などの東部、多摩地区など西部の医師数は中東並みだ。つまり、東京に隣接する他府県の人たちが、東京の医療機関を受診する際には、東京中心まで通わなければならないことになる。外傷や検査などの一時的な入院ならまだしも、慢性疾患や要介護状態の患者が継続的に通うのは困難だ。
 さらに問題なのは、東京近郊に大量の団塊世代、団塊ジュニアが住んでいることだ。これから2050年にかけて、彼らが次々と高齢化していく。
 一方、医師も高齢化する。あまり議論されないが、医師不足を議論する際のポイントのひとつが医師の高齢化だ。国民は高齢化するほど病気に罹りやすくなるが、医師は高齢化するほど働けなくなる。現在、医師数は着実に増えているが、多くは高齢医師だ。なぜなら、現在日本の医師増に寄与しているのは、高度成長期に新設された40校の医学部や医学校の卒業生だからだ。1期生はすでに50代半ばを超え、「当直をこなせるばりばりの勤務医」から引退しようとしつつある。今後、増加するのはもっぱら高齢の医師だ。
 つまり、これからの我が国では、高齢医師が高齢者を診察する「老々医療」の世界になる。この状況は図3より一目瞭然だろう。
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厚労省の詭弁

 では、どうすればいいのだろう。
 誰が考えても、若手の医師を増やすしかないが、これまでまったく無策だったわけではない。「改革」を志した政治家もいた。その一人が現東京都知事の舛添要一氏だ。
 08年、舛添氏が厚労大臣の時代に、彼が主導して、従来の医学部定員削減の閣議決定を撤回し、医学部定員を増やす方向に舵を切った。その後、現在までに全国で約1500人の医学部定員が増員された。日本医師会や厚労省は、この「改革」を強調し、これ以上増やさなくても、やがて医師は充足すると主張する。
 例えば、7月1日付読売新聞は、厚労省の言い分を紹介している。少し長くなるが、そのまま引用しよう。
「日本の人口10万人あたりの医師数が10年後、先進国が主に加盟する経済協力開発機構(OECD)の平均を上回るとの推計を厚生労働省がまとめた。医学部の定員増などで、先進国の中で低水準という長年続いた状況から抜け出す見通しとなった。地域や診療科によっては医師不足が続く可能性もあり、厚労省は夏以降に有識者会議を設け医師養成のあり方を検討する。厚労省は、医学部の卒業生数や今後の人口推計などを基に、将来の10万人あたりの医師数を推計した。それによると2012年の227人から20年に264人まで増え、25年には292人となり、OECDの平均(11年、加重平均)の280人を上回る見込み。その後も30年に319人、40年に379人と増加が続く。政府による医学部の入学定員の増員策や人口減少の影響が出る格好だ。」

 この記事は、国民の年齢構成、医師の年齢構成、性別をまったく考慮せず、単に数だけ比較している。さらに25年に11年のOECD平均に到達することを、医師充足の指標としている。日本は世界でもっとも高齢化が進んだ国だ。現在のOECDの平均に10年後に到達することに、どのような意味があるのだろう。厚労省の詭弁としか言いようがない。
 確かに、記事の中には「地域や診療科によっては医師不足が続く可能性もあり」と書いており、将来的にも医師が不足する地域がある可能性については言及している。ただ、これでは欺瞞だ。この文言を普通に解釈すれば、「医師を増やしても、地方都市や僻地の中には医師不足が深刻な地域が残る」という印象を受けるだろう。ところが、もっとも医師が不足する地域は首都圏だ。

骨抜きにされた改革

 では、なぜ厚労省は「医師不足は緩和する」と主張するのだろうか。
 それは、厚労省は医師が増えると、医療費が増えると信じこんでいるからだ(医師誘発需要仮説)。厚労省は「医療費を抑制することが最大の使命」と考えている。しかし、この医師誘発需要仮説の妥当性は状況次第だ。医師が足りない状況では、医師を増やせば医療費は増える。一方、医師数が一定レベルを超えれば、医師を増やしても、医療費は頭打ちになる。問題は、日本がどのような状況にあるかということだ。
 実は、その状況は地域によって大きく異なる。図4に示すように、西日本では医師数と医療費は相関せず、医師数が少ない東日本で両者は相関している。
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 以上の事実は、東日本で医師を増員する必要があることを示している。当然だが、東日本の医師を増やせば医療費は増える。厚労省にとって頭の痛い問題だ。強面の財務省と対峙しなければならなくなる。
 医師数の増加は、日本医師会や大学医学部長たちにとっても嬉しくない。商売敵が増えるからだ。日本医師会の幹部たちは「(数が増えて儲からなくなった)歯科医のようになりたくない」と公言して憚らないし、東日本の医学部長たちは「医師を増やせば質が下がる」という主張を繰り返してきた。根拠のない主張で、エゴ以外の何物でもない。
 国民にとって不幸だったのは、厚労省と、日本医師会や医学部長たちの利害が一致したことだ。ただ、彼らも医師不足対策にまったく努力しないわけにはいかない。その際の言い訳に使うのが、舛添氏が大臣時代にやった医学部定員の増員だ。しかしながら、これも必死に骨抜きにしようとしてきた。

 舛添氏は厚労大臣当時、今後10年間で医学部定員を5割増やすことを打ち出していた。つまり、医学部定員数が1万2000人になるまで、毎年400名ずつ定員を増やすことを目指そうとした。09年に与党となった民主党も、このことをマニフェストに明記し、舛添氏の方針を踏襲しようとした。
 しかしながら、この方針はやがてうやむやとなっていく。医学部定員が当初の予定通り増員されたのは10年度までで、11年度には77人の増員に減らされる。東日本大震災で東北地方の医師不足が顕在化したにもかかわらず、医学部定員の増員にはブレーキがかかった。それは、民主党内で医学部定員増を進めてきた仙谷由人氏や鈴木寛氏の影響力が低下したからだ。その後、現在にいたるまで大きな変化はない。15年度入試での定員は9134人で、前年から65人増やすだけだ。
 さら9月13日付日本経済新聞は一面トップで「医学部の定員削減、政府検討 医療費膨張防ぐ」と報じたが、厚労省は20年から医学部定員を削減しようとしているという。結局、医学部定員増は従来の医学部の定員を約15%増員したところで頭打ちになりそうだ。これでは、首都圏の医師不足は改善しない。
 なぜ、15%の医学部定員の増員ではダメなのだろう。それは、もともと首都圏に医学部が少ないからだ。例えば、人口約393万人の四国には4つの医学部があるが、人口約620万人の千葉県には千葉大が1つしかない。首都圏に広げても、人口約3930万人に医学部は19しかない(地域医療への影響が限定的な防衛医大を除く)。人口207万人に1つで、四国の半分だ。
 首都圏の医師不足を緩和させるには、全国一律に医学部定員を増員することではなく、首都圏での養成数を増やすことだ。現在、成田市に医学部を新設することが議論されているが、これを含めても人口197万人に1つ。これだけでは効果は限定的だ。

想定される事態

 では、首都圏の医師不足は、どうなっていくのだろう。我々の研究結果をご紹介したい。
 図5は東京圏の75歳人口千人あたりの医師数の推移だ。60歳未満と75歳未満の医師についてシミュレーションした。これは情報工学を専門とする井元清哉教授(東京大学医科学研究所)との共同研究である。
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 一目見てわかるが、首都圏のすべての県で医師不足は悪化する。団塊世代が亡くなる35年頃に一時的に状況は改善するが、その後団塊ジュニア世代が高齢化するため、再び医療ニーズは高まる。多くの県で50年の75歳人口千人あたりの60歳未満の医師数は、現在の3分の2程度になる。その頃の東京の医師不足の状況は、10年当時の千葉県や埼玉県とほぼ同じである。両県では医師不足によって病院が閉院し、救急車のたらい回しが社会問題化している。

 50年、首都圏の医師不足は深刻で、東京都ですら満足な治療を受けることができなくなる可能性が高い。
 どうすればいいのだろう。
 厚労省にやれることはあるのだろうか。残念ながら、筆者は厚労省には期待できないと思う。医療は医師がいなければサービスを提供できない。厚労省が「やがて医師は充足する」という態度を変えない限り、医師数は増えない。このまま医師が不足した状態が続けば、厚労省が公定価格を設定し、補助金や規制を強化して、「効率的」な医療提供体制を整備しようとしても限界がある。
 食糧難に喘いだ戦後を想像すればいい。政府は食糧管理制度を通じて、食料を「適切に」配分しようとした。ところが、国民は配給される食糧だけでは足りず、縁故を頼って農家を訪ね、また闇市で食料を調達した。1947年10月には闇米を拒否し、配給食料だけを食べ続けた裁判官の山口良忠氏が栄養失調に伴う肺浸潤(結核)で亡くなったことが話題となった。享年33歳だった。日本の食糧難が改善するのは、米国が緊急援助し、我が国が復興するまで待たねばならなかった。つまり、食料の供給量が増えるまで事態は改善しなかった。
 おそらく医療でも同じ事が起こるだろう。厚労省は、「かかりつけ医制度」や「在宅医療」を推進している。これは、「配給制度」により、サービス供給の効率を上げようとしていることにほかならない。しかしながら、この方法では問題は解決しないのは歴史の教訓だ。

信頼できる医師との関係構築

 では、患者はどうすればいいだろう。身も蓋もない言い方だが、自分で身を守るしかないと思う。具体的には、医者とコネとつくることだ。
 これは筆者の個人的な経験とも一致する。兵庫県尼崎市在住の70代になる筆者の母は、90代の祖母を自宅で介護していた。祖母は寝たきりだった。誤嚥性肺炎などの合併症を繰り返していた。14年の冬、祖母は突然、呼吸困難を訴えた。深夜、母から電話で相談を受け、「かかりつけの先生に相談し、指示を仰ぐように」助言した。母は、かかりつけの高齢の医師に相談したが、入院できる病院は紹介してもらえなかった。思い悩んだ母は、かつて外科医である弟が勤務していた大阪市内の病院まで、タクシーで祖母を運んだ。その距離20キロくらいだ。

 その病院に到着し、救急外来担当医が診察したところ、「特に問題なし。こんなところまで来ずに、近くで診てもらうように」と言って帰された。それでも、納得しなかった母は翌日、筆者に電話してきた。筆者は尼崎で在宅医療を営む旧知の長尾和宏医師に電話で相談した。長尾医師はすぐに往診にかけつけ、心不全・肺炎と診断した。そして、最寄りの救急病院である関西ろうさい病院に入院させてくれた。祖母は、一時的に軽快したものの、この病院で亡くなった。母は毎日見舞いに出かけ、最期を看取った。納得できる最期だったようだ。長尾医師や関西ろうさい病院の医師に感謝している。
 この件で示唆に富むのは、自宅と関西ろうさい病院の距離はわずか数キロだったことだ。タクシーで1000円程度の距離だ。ところが、かかりつけの医師から、この病院を紹介されることはなかった。母も飛び込みで受診できなかった。心理的障壁が高かったのだろう。もし、筆者が長尾医師と面識がなければ、おそらく母は自宅で困り果て、どこでもいいので遠くの急性期病院に入院させていたはずだ。お見舞いに行くにも時間がかかり、負担は大きい。今回のような満足のいく看取りはできなかっただろう。
 では、これは誰にでもできる看取りではない。関西ろうさい病院は、信頼がおける長尾医師の紹介だからこそ、柔軟に対応してくれたのだろう。筆者が医師であることも多少影響したのかもしれない。見舞いに行ったが、病床はほぼ満床だった。祖母を入院させるため、さまざまな調整をしてくれたのだと思った。
 
 キーパーソンを知らなければ、いいサービスの提供を受けることができない。これこそ、「コネ社会」だ。日本では、すでにいい医療を受けようと思えば「コネ」が必要になっている。尼崎の医師数は、人口10万人あたり246人。千葉・埼玉・神奈川よりはるかに恵まれている。それでも、この状況だ。首都圏の惨状とは比べものにならない。
 首都圏の医師不足の状況はますます悪化する中で、私たちはどうすればいいか。
 個人が逞しく生きるしかない。信頼できる医師と関係を構築し、何かがあった際には、適切な専門医や病院を紹介してもらうようにすることをお奨めする。
(文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授)


  1. 2015/11/01(日) 06:07:29|
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