Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月12日 

https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20151012_8
東北勤務条件に返済免除の奨学金 東北薬科大
(2015/10/12) 岩手日報

 東日本大震災の復興支援策として医学部新設が認められた東北薬科大(仙台市)は11日、盛岡市内で入試説明会を開き、東北勤務を条件に返済を免除する奨学金制度の定員を55人設けると説明した。このうち本県勤務を条件とする枠は5人程度が見込まれる。ただ奨学金対象の半数以上が宮城県に偏る上、現場の医師が教員として仙台市に集まれば医師の地域偏在がさらに進むとの懸念もあり、動向が注目される。

 県内を中心に受験生や保護者ら約100人が出席。同大入試部の原田邦副部長は「東北地方の復興と医療環境の発展に貢献する」と大学の理念を強調した。

 具体策として2種類の奨学金制度を説明。6年間の学費は入学資金を含めて3400万円で、医学部定員100人のうち35人に3千万円、20人に1500万円を貸し付け、東北に一定期間勤務すれば返済を免除する。

 3千万円の対象は資金を拠出する宮城が30人、残る5県が各1人。1500万円は宮城を除いた5県が対象で「平均4人を目安」(原田副部長)に各県へ配分される。各県が設ける既存の奨学金制度と併用できる。



https://www.minpo.jp/news/detail/2015101225956
郡山で説明会 来春新設の東北薬科大医学部
( 2015/10/12 10:58) 福島民報

 仙台市の東北薬科大は11日、平成28年4月に新設する医学部についての説明会を郡山市のビッグアイで開いた。
 約90人が出席した。入試部の浪越通夫教授が、東北地方の医療過疎解消や東日本大震災からの復旧・復興を担う医療人育成を目的に開設される医学部の特色や入試日程などを説明。修学資金制度を紹介した。質疑応答も行われた。
 同大は医学部新設に伴い、東北医科薬科大に名称変更する。


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https://www.m3.com/news/iryoishin/365065
シリーズ: 医師と看護師、業務の在り方調査
「医師の雑用減らして」「もっとベッドサイドに」◆Vol.7
医師は「診療の補助」求める声多く

2015年10月12日 (月)配信 成相通子(m3.com編集部)

Q.8 看護師に任せたい業務や、より積極的に関与してほしいと思う業務はどのような内容ですか。(いくつでも)
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 Q.8では、現状と比較して、医師が看護師に積極的に取り組んでほしいと考える業務、看護師にはご自身が積極的に取り組みたいと考える業務について尋ねた。

 医師は、半分以上の165人が「特にない」と回答。「診療の補助」と「療養上の世話」で比較すると、「診療の補助」の方が積極的に取り組んでほしいと考える人が多いことが分かった。

 一方で看護師では、「療養上の世話」を選んだのが約半数。「診療の補助」を選んだのは78人だった。

 看護師に期待される具体的な業務の内容は以下の通り。医師からは「医師の雑用を減らして」「外来についてきてほしい」という意見がある一方で、看護師からは「もっとベッドサイドで話を聞きたい」「濃密な精神的援助をしたい」といった声が目立った。医師、看護師ともに業務が多忙で、お互いのニーズが必ずしも一致していないことがうかがえた。

<療養上の世話>
【医師】

入浴介助
退院調整、退院支援等、生活への介入
体位交換
他職種との連絡、調整
身体の清潔保持
食事形態の変更、食事の世話
精神的ケア、患者へのアドバイス、患者・家族のニーズのより積極的な拾い上げ、コーディネート、介護・認知症などで困っている家族が延々と話す苦労話の聞き手
ベッドサイドでの患者の行動制限の判断
フットケア等のケア

【看護師】
離床、療養指導などの実際
保清等基本的ニーズの充足
認知症患者・高齢者等の介護予防の指導・助言
日常生活の中でのリハビリ、退院指導
退院支援、退院後の生活指導など
精神的苦痛に対しての援助、精神的サポート、家族看護
清潔面
身体面・精神面・経済的・家族の支えなど個人にあった援助
身体ケア、傾聴、心のケア
寝たきりになりがちの患者の保清やADLをアップさせる関わり
終末期のケア
自己管理にむけて患者家族への面接指導
在宅への支援、メンタル面への支援
再入院にならないような家族支援
さらなるセルフケア促進支援
口腔ケア
気分展開の散歩 重症患者への入浴援助
寄り添い話を傾聴する、患者指導(日常生活)
患者の話をゆっくり聞いてあげたい。
患者との信頼関係の形成
患者・家族との濃密な精神的な援助
外出・外泊の判断
家族を含めた患者様の生活支援
栄養や注入内容の変更
一律のケアではなく、患者個々に応じたケア
リハビリテーション
もっとベッドサイドに座って話を聞きたい。
ADL拡大のために介入

<診療の補助>
【医師】

輸血の説明等可能な説明
薬剤の負荷試験、夜間の投薬
麻酔時の維持モニター
普段ルーチンで行っている処置など(ICUなら中心静脈路やAライン確保など)
不在時のオーダー入力、入力業務
ある程度の侵襲的行為
CVラインの抜去
手術の助手
事前指示で予測可能な突発的病態への対応
指示や簡単な処置
血液ガス採取 胃管チューブ挿入 常備薬のオーダー
同意書の取得
動脈血採血 尿道カテーテル挿入
点滴確保、中心静脈路などの抜去 簡単な創部の縫合、経鼻胃管の挿入
注射・点滴の類い、バイタルサインのチェックと危険度の判定
創傷の処置、抜糸
人工呼吸器管理
積極的問診
紹介状の作成、診療録の記入、書類作成
種類により静注制限のある薬剤があるが、医師の指示があれば、積極的にできるようにして欲しい
患者への説明、特に検査結果や治療方針など
外来補助、病棟での手技の補助
医師の雑用を減らしてほしい
とりあえず外来についてほしい(現在数に余裕がなく、外来にはついてくれない)

【看護師】
褥瘡に関する治療
薬剤の選択・使用 ―インスリンデバイスの選択・変更
縫合、検査のオーダー
病状説明の補足やそれに関する医師の時間調整
内服薬の調整、人工呼吸器の調整
内視鏡のデバイス操作
動脈採血
適切な時期でのラインやチューブの抜去、補液の調整
水分・栄養の薬剤管理
侵襲性の少ないエコーなどは使っていきたい
処方されている薬剤(患者の手元)のコントロール
自己決定への支援
治療方針の検討
採血、レントゲンのオーダー
今起こっている身体異変を医師に適切に報告すること
抗菌薬の適正使用の助言
血糖コントロール
観察・計測状況から想定される危険性に関する判断を医師へ促す
感染症の判断、検査、抗菌薬の選択と治療期間の設定
栄養管理、評価
ある程度の医行為ができたらなあと思う。

<その他>
【医師】

病棟の清掃
技術的にできるものも医師任せになっているものがある
カウンセリング的業務
インフォームドコンセント

<看護師>
倫理コンサルテーション
「入院から退院まで」に加え、必要な人へは在宅支援までの一貫した援助。
地域包括システムに関したかかわり
地域で安心して生活できる環境づくり。情勢の変化に敏感に反応すること。
退院後の通院や治療の方向決定に関すること。地域との連携。
住民への健康指導・健康相談応需
疾病予防教育

Q.9 10月から始まる看護師の特定行為の研修制度で、当初、厚労省の検討会では案に挙がっていたものの、特定行為に含まれなかった下記二つの行為について、勤務先の病院では現状で、看護師が業務を行っていますか
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 Q.9では、厚労省で当初検討されていたものの特定行為に含まれなかった2つの行為について、勤務先の病院で看護師が業務を行っているか尋ねた。「経口・経鼻気管挿管チューブの抜管」は5~12%、経口・経鼻気管挿管は3~5%の回答者が既に勤務先の病院で看護師が実施していると答えた。



https://www.m3.com/news/iryoishin/364747
シリーズ: The Voice(医療)
医療倫理を蹂躙、患者申出「実験医療」に反対
倫理指針を逸脱する「実施計画」と施設基準度外視は危険

桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)
2015年10月12日 (月)配信  m3

 患者申出療養の制度骨格が中医協でこのほど概ね了承された(9月30日)。混合診療の全面解禁や有害事象への対応が取り沙汰され、釘を刺す文言が確認されたが、制度の本質的問題は衝かれることなく過ぎている。重大な問題は、臨床研究の「実施計画」の適格基準外への実施や、実施計画が作成不能な臨床研究の実施を国が認める点にある。これは倫理指針を完全に逸脱しており、倫理指針遵守を求める制度趣旨と矛盾している。われわれは医療倫理を蹂躙する、患者申出療養に改めて反対する。

 ◆臨床研究計画を含まない「実施計画」という詐術を弄し制度化

 混合診療(保険外併用療養)は「臨床研究」の範疇で、未承認の医薬品や医療機器の使用、これらを伴う医療技術の実施を認めている。つまり、安全性・有効性を国が担保する薬事承認に必須の治験(臨床試験)を経ずに、便法を駆使し「臨床研究の倫理指針」に基づき「実施計画(プロトコル)」の作成で、過渡的に保険診療との併用を認めている。これは、通常の医療、診療ではなく臨床研究である。外形的には臨床研究と保険診療の併用だが、実質は研究への保険診療からの財源補填となる。

 混合診療(保険外併用療養)は、薬事承認を経た保険収載に至る前の医薬品、医療機器の使用や医療技術と保険診療との混合(併用)との大方の理解と違う制度に2008年を境に実は変質している。

 患者申出療養は、「実施計画(プロトコル)」の適格基準から外れる被験者(患者)への実施を想定し、法案が策定された。参院審議の終盤、川田龍平議員の指摘に対し厚労相は、適格基準外へは個別に実施計画を作成するもののプロトコルを含まないと答弁(2015.5.26)。中医協ではこれを踏襲し「臨床研究計画を含まない実施計画」の作成で実施との詐術を弄し、異論が挟まれずに終結した。つまり、プロトコルを作成しない、被験者保護を欠く、症例データの科学的統計的検証に意味がない、倫理指針を逸脱する医療の枠組みができることになる。制度骨格では倫理指針の遵守を求めており、完全に自家撞着している。患者申出「臨床研究」どころか、医療倫理蹂躙の患者申出「実験医療」である。

 ◆「先進医療」の「患者申出療養」へのスイッチは、保険収載を遠ざける

 また、施設基準を満たした医療機関で実施されている「先進医療」も、患者申出療養として患者の身近で実施できるとされた。能力・人員・施設設備の「要件」を満たさない医療機関での実施は、当然ながら危険を伴うものとなる。先進医療は、薬事承認された医薬品・機器を使用する類型と上記の臨床研究の範疇の類型と2タイプを含んでおり、施設基準を欠く実施は問題が多く、保険収載に繋いでいく先進医療の「融解」が懸念される。薬事承認の治験や、医療技術の安全性・有効性の確立はエビデンスの集積が肝要であり、それがあって初めて保険収載となる。これでは逆コースである。

 ◆日本の臨床研究の信頼回復にも逆行 実効にも疑問

 さすがに、患者の申し出の際に臨床研究中核病院が、「安全性・有効性等のエビデンスが不足している場合は、患者にその旨を説明する」と中医協ではしているが、「例外」としてプロトコル不在の臨床研究逸脱にお墨付きを与えたことは非常に重い。患者申出療養と臨床研究中核病院は不可分の関係である。不祥事の反省を踏まえ、ハードルの高い能力要件・施設要件・人員要件を定め法定化した臨床研究中核病院は、承認は未だ4つと日本の臨床研究の信頼回復、再出発へ慎重に歩みだしたが、これへ冷や水を浴びせるものとなる。われわれは患者申出療養の制度化に改めて強く反対する。

 われわれは、法定化された紹介状なし受診の定額負担の「実施」の中止を改めて要求する。

※本記事は、2015年10月8日付けの「政策部長談話」として、神奈川県保険医協会が同協会のホームページ上で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



http://www.zaikei.co.jp/article/20151012/273455.html
医師の8割「患者から暴力あり」「救急外来なら当たり前」の声も
2015年10月12日 11:14 財経新聞

 医師の約8割が、患者やその家族から暴力行為を受けたことがあるという。医師専用コミュニティサイト「メドピア」が会員医師らを対象にアンケートを取ったところ(回答3880件)、こんな痛ましい結果が明らかになった。

 「暴言を受けたことがある」医師は、全体の60%。相手は、「認知症患者」「精神病患者」「酔っ払い」などのほか、「混雑し、待ち時間が長かったとき」との例も挙がった。「暴言・暴行を受けたことがある」は18.1%で、「精神科をやっていれば必ず遭遇する」「救急外来でアル中に殴られた」「胸ぐらをつかまれた」といったコメントがあった。一方で、「まったくない」は5人に1人の21.9%

 「暴言を受けたことがある」医師たちのコメントからは、様々なケースがあることが分かる。「夜間救急当直中に飲酒、酩酊患者から暴言を受けたことがある(一般内科)」、「救急外来だとお互い初見なので、そういうトラブルはたまにある。向こうが治療法を指定してきて、それを断るとトラブルになることも(循環器内科)」などの声が聞かれた。また、「命の危険を感じることもありました。何度か医師を辞めようと思いました(整形外科・スポーツ医学)」という人もいれば、「30年以上医師をやっていますが、平均年3~4回でしょうか(一般内科)」と、具体的なコメントもある。

 さらに「暴言・暴行を受けたことがある」医師たちからは、「3回ほど殴られました。アル中、精神疾患の方から(小児科)」とか、「何度もあります。治らない患者を治療している仕事の関係で仕方がないことと考えています(放射線腫瘍科)」などの声が聞かれた。

 「救急医療の経験がある人で、『暴言』を受けたことがない人なんていないでしょう(麻酔科)」「20年以上医師をやっていれば経験します(神経内科)」など、「ある程度は仕方がない」と捉えている医師も多い。が、「飲酒後の方に殴られ、眼鏡が壊れた(脳神経外科)」など、深刻なケースも見逃せない。

 暴力には「ひるまず、毅然とした態度で対応する」という医師もいる。一方で、第三者を入れて冷静に話し合ったり、緊急を要する場合は病院内の安全部門への通報や、警察を呼んだりすることもあるようだ。医療の現場はますます苛酷さを増している。(編集担当:北条かや)



http://www.m3.com/news/iryoishin/365616
シリーズ: 安倍政権の医療制度改革
外来医療費の地域差是正、2018年度から
財務省、財政制度審議会に「改革工程表」提示

2015年10月12日 (月)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 財務省は、10月9日に開催された財政制度等審議会財政制度分科会において、今後の社会保障制度について「改革工程表」を提出した(資料は、財務省のホームページ)。

 外来医療費については地域差を今年度中に分析を実施し、その解消策を2018年度からの次期医療費適正化計画に盛り込む。入院医療についても、機能分化をより進めるため病床機能報告制度の定量的基準を定め、2016年度から導入するスケジュール案が示されている。生活習慣病の治療薬の処方ルールについては、「速やかにガイドライン等を策定した上で実施」とされた。

 外来の機能分化を進めるための定額負担導入、市販品類似薬の保険給付の見直しなど、法改正が必要な改革については、2017年の通常国会への法案提出を求めている。来年末に向けて各種審議会で制度改正の具体化に向けた議論が続くことになる。

 実施検討時期を4区分で提示

 今年6月に閣議決定した「骨太方針2015」の「経済・財政再生計画」は、社会保障分野における検討事項について、今年末までに2020年度までのスケジュール策定を求めている。財務省の「改革工程表」は対象となる44項目について、実施検討時期などを具体化したもの。ただし、薬価と調剤報酬に関する改革は、2016年改定に向けて中医協等で議論されているため、時期などは記載されていない。

 44項目の大半は、医療改革関連の改革。「医療・介護提供体制の適正化」11項目、「インセンティブ改革」8項目、「公的サービスの産業化」4項目、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」4項目、「薬価、調剤等の診療報酬及び医薬品等に係る改革」11項目、「年金」1項目、「生活保護等」5項目――という内訳だ。

 「改革工程表」では、これら44項目について、「A:実施段階にある項目」、「B:2015年度中に行う事項が含まれる項目」、「C:2016年度予算案関連の項目(見込みを含む)、「D:検討時期・実施時期を今後、検討し、明らかにしていく項目」の4つに分類して、実施時期などを提示。

 外来医療費分析、2017年度中メド

 入院医療については、昨年10月から病床機能報告制度が始まり、今年4月から各都道府県で地域医療構想の策定がスタート、病床の機能分化・連携に向けた改革が現在進められている。

 「改革工程表」では、「医療・介護提供体制の適正化」の基本的考え方について、(1)外来医療費等についてもスコープを拡げて地域差是正を図る、(2)改革の早期実現・実効性の確保のため、B事項に係るKPIの設定、D事項の改革の方向性・実施時期等の具体化――と提示。実施検討時期は2015年度後半から2018年度にわたっており、2018年度からの次期医療費適正化計画に盛り込む方針。

 外来医療費については、2017年度中に、疾病別・年齢別の受療率、1件当たり日数、1日当たり点数、後発医薬品の使用状況、重複投薬・多剤投与の状況などの視点から分析する方針。社会保障制度改革推進本部「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」のワーキンググループで検討を進める。

 D事項の一つが、「かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担」。病診連携のさらなる推進に向け、大病院の外来受診を抑制するため、現在の定率負担に加え、定額負担の徴収を検討。2016年末までのできる限り早い時期に関係審議会等で結論を得て、遅くとも2017年通常国会に所要の法案を提出するよう求めている。

 生活習慣病の処方薬ガイドライン策定へ

 「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化」のD事項に含まれるのが、「生活習慣病治療薬等について、費用面も含めた処方の在り方等の検討」。「速やかに指標やガイドライン等を決定・策定した上で実施していくべき事項」とし、2017年度の半ば頃までには一定の対応が求められる見通しだ。

 そのほか、D事項には、「市販品類似薬に係る保険給付の見直し」など、保険給付の在り方を見直す改革案が含まれ、外来時の定額負担と同様に、遅くとも2017年通常国会に所要法案提出とされている。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52198/Default.aspx
地域包括ケア病棟届出 1000病院3万床超に 10対1併設が最多 日本アルトマーク調べ
2015/10/13 03:51 ミクスOnline

日本アルトマークが行っている病院の施設基準届出状況調査によると、14年度診療報酬改定で新設された地域包括ケア病棟入院料・入院管理料(地域包括ケア病棟)の届け出状況は2015年5月1日時点で、全国で1000病院を超え、病床数も3万床を超えた。9割が、在宅復帰率7割以上などが算定要件になっている「地域包括ケア病棟1」だった。

同社の10月7日の発表によると、地域包括ケア病棟の届け出は、全国で1181病院で、病床数にして3万2368床であった。半年前の2014年11月時点の調査と比べると、病院数は286増、病床数は8578床増だった。

一般病棟の全てを地域包括病棟として運用しているは40病院(1569床)で、届出施設数の3.4%と少なく、多くは併設している形。その中では10対1との併設が最も多く、2152病院のうちの30%にあたる651病院が併設。次いで多いのが7対1で、1527病院のうち22%にあたる340病院が併設していた。

都道府県別で、一般病棟に占める地域包括ケア病棟の割合が最も高いのは島根の61%で、次いで熊本43%、高知41%、福岡県と鳥取県がともに40%と、西日本で届出割合が高い傾向にあったという。

地域包括ケア病棟入院料・入院管理料は、急性期後、回復期の医療、急性増悪した在宅患者の受け入れを担うことを狙いに、新設された点数。算定用件を厳格化し、削減方針にある7対1からの受け皿という位置づけでもある。

7対1は1527病院36万床 1年前より1万床減

その7対1入院基本料の届け出は2015年5月1日時点で、1527病院、36万2069床で、1年前と比べると92病院減、病床数は1万1999床減だった。

特定機能病院などを除く一般病棟入院基本料の算定病院で、2014年11 月1日から半年間に入院基本料を引き下げた病院は76病院。7対1から 10対1へ変更したところが37病院だった。

一方、15対1も減少傾向にある。2014年11月時点と比べると、20病院(1550床)減り、846病院(4万4079床)となった。10対1や13対1に算定を上げた病院は27病院で、地域包括ケア病棟へ転換したところも9病院あった。

都道府県別の届出状況等はこちら
http://www.ultmarc.co.jp/contents/pdf/20151007_News.pdf



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52203/Default.aspx
財政審 スイッチOTC化の医薬品保険給付引き下げ 17年法案提出 財務省が工程表提示
2015/10/13 03:50 ミクスOnline


財務省は10月9日、財政制度等審議会財政制度分科会に、社会保障分野の改革工程表を提示した。年末の予算編成に向け、社会保障に関する本格的な議論がスタートした。工程表では、ス イッチOTC化された医療用医薬品にかかわる保険償還率の引下げや、かかりつけ医以外を受診した場合に現行の定率負担に加えて患者個人に少額の定額負担を求めることなどが盛り込まれた。いずれも、2016年末までのできる限り早い時期に結論を得て、その結果を踏まえて17 年の通常国会へ法案提出することが提案された。国が20年度までの基礎的財政収支(プラ イマリーバランス)黒字化を目指す中で、社会保障費は改革を行わなければ他のOECD諸国と比較しても膨大になることを示し、「歳出抑制を通じた収支改善 が不可欠」と指摘。診療報酬・薬価改定を控える中で、厳しさをにじませるものとなった。

改革工程表は、6月末に提示された経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針)に盛り込まれた社会保障関連44項目について、20年度までの改革の方向性と検討・実施時期を示したもの。20年度までに社会保障費の伸びを高齢化による増加分と消費税増税とあわせ行う社会保障の充実に相当する水準におさめることを目指す。特に18年度までを集中改革期間に位置付け、主要な改革プランを実施。経済・物価動向を踏まえ、実質的な増加を高齢化に相当する伸び(1.5兆円程度)を目安に伸びを抑制したい考え。改革工程表を速やかに具体化する中で、予断をもたずに検討するとした。

医薬品関連では、スイッチOTC化された医療用医薬品の保険給付の引き下げをめぐり、市販品と同一の有効成分であっても処方薬の方が患者負担は少ないと指摘。公平性の確保や、セルフメディケーションが十分進んでいない状況を考慮して提案された。貼付薬や目薬、ビタミン剤、うがい薬、漢方薬などのOTC類似医薬品については、「処方の目的や方法にかかわらず、保険給付外とすべき」とした。16年度の診療報酬改定にかかわる議論の一環として、保険収載から除外する具体的な品目について年末までに結論を得ることも提案した。

◎ARBなど生活習慣病治療薬 処方ルールを速やかにガイドラインで明確化

生活習慣病治療薬の処方については、医薬品売上高を引き合いに、ARBが上位を占め、生活習慣病市場が巨大化している日本の市場の特殊性を示唆した。その上で、ARBを例にとり、「高価な降圧薬が処方されている」と指摘した。現在は、性や年齢、進行度、副作用のリスクなどに応じて医師の裁量権で処方が決定されているが、「費用対効果の導入と並行して専門家の知見を集約し、速やかに処方ルールにかかわるガイドラインの明確化を図る」とした。

費用対効果については、16年度診療報酬改定での試行的導入に向けて中医協でも議論が進んでいるところだが、再算定での導入だけでなく、「保険償還の対象とすることの可否の判断、保険償還額の決定等に活用可能な費用対効果の仕組みを導入すべき」とした。また、18年度改定での速やかな本格導入に向けて、試行の状況も踏まえたさらなる検討を行うことも盛り込まれた。

◎かかりつけ医 地域包括診療料の要件緩和検討

診療報酬関連では、かかりつけ医普及の観点から14年度改定で新設された地域包括診療料の要件緩和や、かかりつけ医以外を受診した際、少額の定額負担を導入することが盛り込まれた。地域包括ケアを推進する中でかかりつけ医が担う役割が重視される中で、診療報酬上の手厚いインセンティブを付けるとともに、担う役割を明確化することで、外来の機能分化をうながしたい考え。診療報酬上の対応については、16年度改定から見直しをすすめる。

療養病床については、地域間格差を是正し、病床数を減少させていく必要性を明確化した上で、医療必要度の高い患者が対象となる医療区分2,3の受療率で地域格差が大きいことを指摘。要件の厳格化、客観化を進めるべきとした。一方で、医療必要度の低い医療区分1については、人員配置を緩和するとともに、報酬の引下げも提案した。16年度改定で実現を図るとした。また、17年度までに介護療養病床を廃止することを改めて明確化し、効率的な受け皿への転換を含め、慢性期の効率的な医療提供体制を構築することを求めた。

後発医薬品の数量シェア80%達成に向けた診療報酬上の措置や、後発医薬品の価格算定ルールの見直し、真に有効な新薬の適正な評価、市場実勢価格を踏まえた薬価の適正化、調剤報酬にかかわる改革は、後日議論とされた。

そのほか、地域医療構想については16年度末までにすべての都道府県で策定することを求めた。25年段階の医療機能別病床数の達成、20年時点での中間目標の設定をKPIとする。また、16年10月の次期病床機能報告制度に用いることができるよう、新たな定量的基準の設定も求めた。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44958
日本の病院を補助金漬けにして経営破綻に導く厚労省
組織防衛が最優先、改革者は邪魔だ村から出て行け!

川嶋 諭
2015.10.13(火) JB Press

 「あなた、その黒い顔じゃぁ、医者にかかったことはほとんどないでしょう。さては健康診断も受けていないんじゃないか」


 千葉県にある亀田総合病院の副院長だった小松秀樹医師と初めて会ったのは9月中旬だった。初対面でいきなりこう切り出されて、図星なだけにどう答えたものやら窮していると、間髪入れずに「それでいいんです」とおっしゃる。

 「健康診断を受けようが受けまいが、寿命はほとんど変わりません。医師はそれほど大きな役割を果たしているわけではないんです」

 小松さんが自らも執筆し監修役も務めた「地域包括ケアの課題と未来――看取り方と看取られ方」(ロハスメディア)が出版され、その取材の冒頭でのことだった。

 この本は、日本の医療や社会保障制度が崩壊へ向かいつつあるなか、大きな問題になっているお年寄りの介護と医療の問題、またどのような死を迎えるのかについて、様々な角度から検証し考察を加えたもの。

亀田総合病院を懲戒解雇

「地域包括ケアの課題と未来~看取り方と看取られ方」(ロハスメディア、小松秀樹ほか著、2160円)
 1冊の本の中に日本が抱える問題点がほぼ網羅され、さらに解決のための考え方が記されている。非常に読みやすいので、ぜひご一読をお勧めしたい1冊である。

 例えば興味深い内容の1つに、貧乏な人ほど病気になりやすく、要介護になりやすいという統計がある。

 実際、お金持ちほど医療費を使わず、貧乏になればなるほど医療費をたくさん使う。それが示すものは、「日本の増え続ける医療費は社会の貧困化ともリンクしている」という事実。

 医療費抑制と言うとすぐに医療点数の切り下げに向かうが、実はそのような対処療法よりも社会の貧困対策のような根本問題を一つひとつ改善させていくことが大切だ。医療点数の削減はむしろ医療崩壊の速度を速める危険性すらある。

 このように、私のような素人だけではなく、医療従事者が読んでも目から鱗が落ちそうな内容がこの本には詰まってい

 さて、小松さんは日本が抱える医療問題の解決に自らも積極的に取り組んできた。東日本大震災の時にも機敏に動いて福島県の浜通りで水不足と設備の問題で十分な治療ができなくなっていた人工透析患者などを救い、亀田総合病院の名を高めた。

 また、メディアを通して医療現場からの貴重な情報発信を続け、行政や医師会などに歯に衣着せぬ指摘をされてきた。日本の医療を良くするために欠かせない人材と言える。機会があればぜひお会いしたいと思っていた。

 実際、この本にも書かれているが、介護の分野でファイナンスの専門知識を持ったソーシャルワーカーの必要性などユニークな発想と実行力を取材して、本物の改革者だと確信した。ただ、少し気になった点もあった。

 この先生も敵が多いに違いないと感じたのだ。メディアへの寄稿からもそれがうかがえたが、残念なことにその心配がしばらくして形となって現れてしまった。

行政への批判が原因

 9月25日、勤務先の亀田総合病院の副院長を突然、懲戒解雇されてしまったのだ。懲戒解雇というのは多くの場合、横領などの犯罪行為をした社員に適用されるものだろうが、小松さんの場合には、行政に対して"真っ当な"批判をし過ぎたために懲戒解雇されたというのである。

 真っ当な理由とは、先週、関家一樹さんに「消費増税で厚労省が省益拡大、私立病院に人事介入」の記事で解説してもらったのでお読みいただきたいが、私としても直接ご本人からお話を聞かなければと思い、予定を変更して急遽、千葉県鴨川市に出かけた。

川嶋 突然のことにびっくりしました。それにしても小松さんのこれまでの貢献を考えれば、懲戒解雇とは不自然さが否めません。個人的な恨みが表れているような気がしてなりません。前から兆候のようなものはあったのでしょうか。

小松 亀田総合病院の亀田隆明理事長とは、病院の運営方針を巡って対立したことはあります。気配はあったのですが、本当に懲戒解雇を言い渡されたのにはびっくりしました。

 9月2日にさかのぼります。この日、私は会議で外に出かけていました。夕方、病院に戻ると、職員が忠告してくれた。

 「幹部がただならぬ気配で集まった。9月中に小松先生を解雇すると理事長が息巻いている」

 私が厚生労働大臣宛に厚労官僚の不当な圧力・行為に対して申入書を提出していたのですが、それのコピーがどういうわけか、この日、千葉県の職員を通じて亀田隆明理事長にメールで送られました。実は後日、これが回り回って私の手もとにも届いたのです。

 この申入書というのは、お読みいただいた「地域包括ケアの課題と未来――看取り方と看取られ方」の本に直接関わる問題です。この本は、亀田総合病院地域医療学講座という学術研究の成果物です。

小松 2013年度から3年間、地域医療再生臨時特例交付金という補助金をいただいて始まった講座で、地域の医療人材確保が目的です。

 高齢化時代が本格化する中で、期待が高まっている地域包括ケアについて、例えば高齢者の財産管理などこれまでほとんど研究されてこなかった分野なども含め実践的に研究を進めることにしました。


 地域で先進的な取り組みをしていることを全国に発信することで、医療人材を確保しようと考えました。被災地である福島県の南相馬市立総合病院で医師集めに成功した方法です。

 実はこの補助金を巡って、既に決まったことなのに千葉県の担当者から今年5月、2014年度は1800万円を1500万円に減額、2015年は打ち切るとの通告を受けました。

 予算がなくなったという説明でしたが、どう考えても法律に違反している。厳重に抗議し、千葉県に改めて説明を求めました。するとその担当者の上司から、減額・打ち切りは誤りであったとの謝罪を受けました。

 これは予算の恣意的流用と見られても仕方がないと思います。そこで、この経緯を記し、担当者の処分を求めた文書「千葉県行政における虚偽の役割」を発表しました。

 すると、亀田の経営者兄弟から内密の話があると呼び出されました。何と、厚労省関係者から記事を書くのをやめさせろ、今後、行政の批判を書かせるようなことがあれば亀田の責任とみなす、そうなれば補助金が配分されなくなる、とほのめかされたと言うのです。

 後から考えれば、厚生行政を批判し続けてきた私への当てつけだったと思われます。この厚労省関係者の名前を理事長の周辺の人物が人を介して私に教えてくれました。

 そこで、厚労大臣への申入書の原案を作成し、厚労省の高官である知人に、どの部署に提出したらいいのか相談しました。その知人は、内容が内容だけに放置できず、しかるべき担当部署に文書を渡して対応を頼んだのだと想像します。これが千葉県に送られ、9月2日、亀田隆明理事長に届けられたのです。

役所への批判をやめさせろ!

川嶋 つまり、補助金は国や自治体が出しているものなのに、裁量権をちらつかせて「私たちの言うことを聞かなければ補助金はどうなっても知らないぞ」という一種の脅しだったのですね。

小松 ええ。私が厚生労働大臣宛に送った申入書のPDFがメールで亀田隆明理事長に送られてきて、そのメールには「別添情報提供させていただきます。補足の説明でお電話いたします」とありました。このPDFには、「千葉県行政における虚偽の役割」も入っていたので、よほど批判が効いたものと思います。

 電話の内容については知る由もありませんが、その後、私が懲戒解雇を申し渡されるまでの経緯から、これ以上小松秀樹に役所の批判を続けさせるのなら、補助金の類は今後一切出せないというような内容だったと推察されます。

川嶋 言論を弾圧しようとした官僚を実名で厚生労働大臣宛に告発したことで、役所としてはもう堪忍袋の緒が切れたということでしょうか。

 関家一樹さんが今回の問題は消費増税を利用して権益拡大を図った厚労省のやり過ぎを指摘していますが、民間の病院の人事まで介入していたとすれば、これはもう常軌を逸していますね。もっとも、処分したのは亀田総合病院を運営する医療法人鉄蕉会であって、自分たちは何の関係もないと言うのでしょうが・・・。

 しかし、不思議なのは亀田さんです。独立した民間の病院として経営に自信があればお役所の"指導"に対して毅然とした態度を取っていればいいわけでしょう。

 千葉県に亀田総合病院ありと言われるわけですから。房総半島のリゾートマンションは建設時に比べてみな大きく値を下げているそうですが、例外は鴨川だと聞いたことがあります。亀田総合病院があるのがその理由だと。

 でも、その病院も実態は補助金漬けになっていたということですか。

小松 補助金漬けというほどもらえるとは思いませんが、裁量幅があるので苦し紛れにもそれを期待していたのでしょうね。もともと水面上にやっと顔を出している程度の収益力でしたが、2014年に消費税が引き上げられてからいよいよ苦しくなり、職員のボーナスも引き下げられました。

川嶋 診療費には消費税のアップ分を加えられないのに仕入れには3%分の消費税が上乗せされてしまうので、仕入れ価格が上がった分、病院経営が悪化してしまうという問題ですね。

 そして、病院経営を圧迫した分の消費税相当額を厚労省がプールして補助金として還付する。言うことを聞く病院とそうでない病院に差をつけることが可能になるわけだ。

小松 はい。でもそれだけではないんです。亀田総合病院側にも問題がある。環境が厳しいなら厳しいなりに経営力を発揮すべきでしょう。実際、私は2010年に亀田に来てからかなり経費削減の努力をしてきました。

 例えば、診療材料や薬の種類ですね。医者というのは自分の気に入った診療材料や薬があって、黙っているとそれを使いたがるものです。亀田のような大きな病院になると、医者がちょっとした我がままを言っただけで経費がかさんでしまう。

 薬も同じで、似たような薬効なのに医者がそれぞれ自分の使い慣れている薬を使っていたら、在庫がいくらあっても足りなくなってしまいます。私はそれらをかなりバッサリやりました。

川嶋 医師仲間から反発が強かったでしょう。それでもやり切るのはすごい。経営にこういう努力は絶対に必要です。日本の製造業はその力が強いから国際競争力があるとも言えます。

 日本の病院がこういう原価低減にこれまで本気でなかったとすれば、これは効果が上がりますよ。私もこれまでの取材を通して、例えばキヤノンなど、数え切れないほど成果を上げたケースを見てきました。

小松 でもねぇ、こういう細かい努力を続けても、節約するそばから使ってしまっては何もならない。例えば、亀田総合病院は中国での事業を始めようと、調査や準備を続けてきました。

 日本は人口が少なくなるから海外に活路を見出そうというのは分からなくもない。しかし、あまりに時期が悪すぎました。

 しかも、中国人相手の診療で収益を上げようというのか、中国人の患者を房総半島まで連れて来ようというのか、あるいは中国で日本人を診療しようというのか目的がはっきりしませんでした。事業の場所も変遷しました。

 最終的に現地調査の結果が悪く、支援してきた経済産業省も政府系金融機関も手を引いてしまいました。それでも中国の事業を継続すると言う。

 そうかと思えば、陽子線治療という先端的な手法を導入すると言う。確かに先端ではあるのですが、最近言われているところでは効果がそれほど高くない。

 前立腺がんなど患者数の多い疾患で、従来の放射線治療を上回る治療効果が証明できなかったのです。建設費用は機器を製造している会社が出すと言うのですが、相当数の患者を集めないと違約金を取られる。小さくコストを削っても、こういうところで湯水のようにお金を使われては赤字になるのは目に見えています。

川嶋 それはまさに経営の問題ですね。病院に限らず、一般企業でも似たようなことは起きるんだと思います。

 利益率はわずかでも会社の規模が大きいと、経営者の手もとにはそれなりに大きな額のお金がありますから、新しい技術やら海外投資の誘惑にかられてしまう。でもそれは悪魔のささやきなんです。

 これは東南アジアのタイで取材したことなんですけれども、日本が少子化で経済が縮小していくのは目に見えているから、成長力のある東南アジア、中でも親日国で最も日本との経済的結びつきが強いタイに進出しようと、ここ数年で日本の地銀や信用金庫がこぞって進出したそうです。

 ところが、海外はそんなに甘くない。全くと言っていいほどビジネスになっていないようです。

 それはともかく、経営がしっかりしていたはずの亀田総合病院がそういう罠にはまるとは・・・。どうしてなんでしょう。

小松 経営トップの問題が大きいと思います。中国や陽子線治療などはみなトップの判断です。コスト意識より世間体が気になってしまう。海外や先端治療は格好いいですからね。世間から亀田はすごいぞという目が向けられる。

 コストのことは二の次なんです。経営トップに長く座っていて今までうまくやって来られたからこれからもそれが続くと思っている節があります。長い間、権力の座にあると環境の変化が見えなくなる典型例のようなものでしょう。

 海外、特に欧米では権力を持ち続けて周りが何でも言うことを聞いてくれる環境が続くと、傲慢になっていき、これが企業経営の大きなリスク要因になるという研究が盛んだそうです。一種の人格障害で、周囲の声に耳を貸さなくなり冷静な判断ができなくなってしまう。

 2008年のリーマンショックでは巨額の損失を被った大企業が世界で続出しましたが、その多くの企業で傲慢経営が見られたようです。

 今回の私に対する処分はあまりに稚拙で乱暴です。冷静で緻密な判断があるようには思えない。権力者を誰も止められなくなっている。

川嶋 欧米でガバナンスの問題が強く叫ばれるようになったのはリーマンショックより前のエンロン事件が契機だったと思います。経営をチェックする様々な取り組みがされてきましたが、権力者の暴走はなかなか止められないということなのでしょう。

 日本の病院経営の場合には、また別の問題もありますね。

 混合診療などやれば効果が期待できる改革も進めずに、消費増税で病院の経営を圧迫しつつ一方でその消費税分を補助金という形にして官僚支配を強める。これでは経営者のやる気を完全に削いでしまいます。

 共産国家の国営企業と同じ。競争力が高まるはずがありません。私立の亀田総合病院の場合もそういう面はあったのでしょうか。

小松 これは病院外のある人から聞かされた話なんですが、亀田隆明理事長の補助金ねだりが目立って問題になっているということでした。亀田さんにそのことをただすと、政治的反対勢力が意図的に流している風説に過ぎないと一蹴されました。

 しかし、病院の経営が苦しくなると補助金がもらえないか検討するようなことを何度も言っていたこともあり、根も葉もない噂とは言えないようです。

川嶋 経営努力より補助金ですか。そうなると、コストを削減しようとする小松先生のような人は逆に邪魔になるかもしれませんね。

 それで最初の話に戻りますが、「官僚批判をするなら補助金を減らすぞ」という文句が経営トップにとって殺し文句になるわけですね。小松先生の懲戒解雇はそういうストーリーでしたか。

小松 補助金が入っていると、官僚の立場はぐんと強くなります。

 亀田総合病院地域医療学講座という補助金の入った講座で、私が補助金の削減はおかしいと食ってかかった時、彼らがターゲットに設定したのは、NPO法人のソシノフでした。

 「得体の知れないソシノフに補助金が無断で転用されている恐れがある」と言うのです。噂まで流されました。もちろん、一切そんなことはしていません。こういうこともあろうかと、予算制にして、部署の異なる3人の承諾がなければ支出できない仕組みにしておいたのです。

 このソシノフのことを説明しておきますと、まちづくりのために今年2月に設立した団体で、社会課題解決が目的です。具体的には、地域包括ケアに関する業務の約束事(規格)を作成し、認証制度などを考案します。これを継続的に議論し、発展させていきます。純粋な学術研究である亀田総合病院地域医療学講座の活動内容は、ソシノフとの連携が前提でした。

 高齢化が進む日本で、医療の問題、介護の問題に真正面から取り組み、その問題解決と地域活性化を両立させる方法を考えていこうという非営利団体です。

 亀田総合病院のある千葉県の南房総地域(安房地域)には温暖な気候と豊かな自然があります。また人件費も比較的安い。一方で目立った産業がない。

小松 これに対して東京は何でも揃っているようで実は看護師が足りない、介護施設が足りない・・・と高齢化対策が実は大変遅れている。しかも、今後、高齢者が急増します。

 そこで、安房地域に日本一高齢者が生活しやすい環境を整えて、東京からお年寄りに移住してもらおう。そして全く新しい高齢者支援サービスなどを提案して、安全で豊かな老後を送り、安心して死を迎えられるようにしようと考えました。

 新しいサービスは福祉や介護に関わる現場の人たちがアイデアを出し合って少しずつ進歩させていく。お役所の指導ではなくて、民間の創意と工夫を集めることで新しいビジネスが育つ可能性がある。

 そういう活動を支援していこうというのがソシノフの役割です。

 ところが、亀田総合病院地域医療学講座につけられた補助金がソシノフに流用されているのではないか、そうだとすればけしからん、という"指導"があったようです。

 実際、ソシノフの代表理事が亀田さんに呼ばれ、行政に嫌われているだけでも問題だ、もう亀田総合病院はソシノフと関われないときっぱり宣言されてしまいました。私益のためには公益は吹っ飛ぶということです。

川嶋 お話をうかがうと、このソシノフの取り組みは、日本の高齢化対策の先端的取り組みの1つじゃないですか。

 医療に限らず、国が主導してトップダウンで全国一律の対策を講じる時代ではなくなったと思います。地域が地域らしさを生かしながら、みんなでアイデアを出し一歩進み半歩後退しながらも、全体としては着実に進んで行く。

 そんな取り組みこそ必要だと思います。そういうものを標的にするとは、しかも権益拡大が理由とすれば、大きな問題ですね。

 ところで、小松先生はこのあと、どうされるおつもりですか。

小松 私の処分は明らかにおかしいので、戦っていくつもりです。一方で、時間ができた分、高齢者の訪問医療を研究したいと思います。

 これまで手術ばかりやってきたので、私がすぐにやるのは難しい。誰かにかばん持ちをやらせてもらえればと思っています。どんな問題があり、どのように解決すべきなのか考えてみるつもりです。

川嶋 それは素晴らしいですね。どうもありがとうございました。


  1. 2015/10/13(火) 05:59:01|
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