Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月10日 

http://apital.asahi.com/article/news/2015101000004.html
社会保障改革案、高齢者の負担増を提言 財務省
2015年10月10日 朝日新聞

 財務省は9日、社会保障制度の改革案を財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に示した。後期高齢者の窓口負担の引き上げなど、高齢者に負担増を求めることなど44項目にわたる。高齢化で膨らむ社会保障費を抑えるねらいがある。

 6月に閣議決定した経済財政運営の指針(骨太の方針)に盛り込まれた改革案について、実施時期などを独自に具体化した。経済財政諮問会議の専門調査会が年末までにまとめる歳出改革の工程表に明記するよう働きかけ、2016年度予算案にも反映させる。

 医療費の自己負担が上限額を超えた分を払い戻す「高額療養費制度」では、低く抑えられている70歳以上の高齢者の限度額について、70歳未満の現役世代並みの水準に引き上げる見直しの中身を、来年末までに決めるとした。75歳以上の後期高齢者の窓口負担は、できるだけ早く現在の1割から2割に引き上げるべきだとした。所得が多い高齢者を対象に、税金で半分が賄われている基礎年金の給付を停止する見直しは、17年の通常国会までに関連法案を提出するよう求めた。

 また、「かかりつけ医」以外の病院を外来で受診した場合、現在の70歳未満で3割の自己負担に加え、定額の負担を上乗せするよう求めた。大病院に行く軽症の患者を減らし、医師が高度な治療に専念しやすくするねらいで、17年の通常国会に関連法案を提出すべきだとした。

 (奈良部健)

 ■財務省が提言した社会保障の改革工程

<速やかにガイドラインなどを決めて実施>
 ・生活習慣病の治療薬の処方ルールの明確化
<今年度末までに実施>
 ・要介護認定率や1人当たり介護給付費の地域差の分析
<来年末までに結論>
 ・入院時の居住費(光熱費)の負担
 ・高齢者の高額療養費の負担上限引き上げ
 ・介護用ベッドなど福祉用具の貸与価格やスペックの見直し
<17年通常国会までに法案提出>
 ・かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担
 ・高所得者の年金の一部支給停止
 ・医療や介護の地域差是正に向けた都道府県の体制の整備
 ・湿布や目薬、ビタミン剤などの市販品は保険給付外に
<できる限り早期に取りまとめ>
 ・後期高齢者の窓口負担の引き上げ

(朝日新聞 2015年10月10日掲載)



http://mainichi.jp/shimen/news/20151010ddm008010142000c.html
社会保障改革案:外来時定額負担を提示 医療費抑制 財務省
毎日新聞 2015年10月10日 東京朝刊

 財務省は9日、2020年度までの財政健全化計画の期間中に実施すべき社会保障制度改革案を固めた。症状が軽い患者の過剰受診を減らすため、かかりつけ医以外の診察を受ける場合、定額の上乗せ負担を求める「外来時定額負担」の導入などを提示した。【宮島寛】

 経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が年末までにまとめる改革工程表に反映させ、必要な法改正を進めたい考え。だが、外来時定額負担は過去にも検討されたが、日本医師会などが「本来必要な受診まで妨げてしまう」と反対し、断念した経緯がある。今回も難航が予想される。

 財務省は9日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会に改革案を提示し、大筋で了承を得た。

 外来時定額負担は、財政難の中、限られた財源を症状が重い患者に振り向けるため、市販薬で対応できるような初期の風邪で受診したり、日常的に複数の医師を受診したりする行為を抑制するもの。医療保険に基づく定率の負担に加え、少額の定額負担を求める。

 負担額は「日常生活で負担できる少額」とし、16年末までに詳細を決定。17年通常国会までに関連法改正案を提出すべきだとした。

 また、毎月の医療費負担に上限を設ける高額療養費制度について、同じ所得でも70歳以上の高齢者は上限が低くなっていることを問題視。16年末までに改革案の詳細を固めるべきだとした。

 介護保険を巡っては原則1割となっている利用者負担の2割への引き上げや、軽度者に対する掃除などの生活援助の原則自己負担化も求める。現役世代並みの所得がある高齢者には、基礎年金のうち国庫負担分(税金で賄われている部分)の給付を停止することも求めた。

 社会保障制度改革案を策定する背景には、高齢化に伴う社会保障費の急増がある。社会保障関係費は1990年度に11・6兆円で歳出全体の17・5%だったが、15年度は31・5兆円に達し、歳出の32・7%を占める。

 このため政府は6月に閣議決定した財政健全化計画に「年金・医療等」の伸びを今後3年で1・5兆円に抑える「目安」を盛り込んだ。改革案はその達成に向けた具体策作りのたたき台となる見通しだ。

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 ◇財務省の社会保障制度改革案

 ・外来時定額負担の実現に向けた検討開始
 ・高額療養費制度での高齢者の外来特例措置を廃止
 ・介護保険の利用者負担を原則1割から2割に引き上げ
 ・介護保険軽度者の生活援助や福祉用具貸与を原則自己負担化
 ・市販品類似薬の保険給付見直し
 ・年金支給開始年齢の更なる引き上げ
 ・理由なく就労などを拒む生活保護受給者に対し保護停止などを可能に
 ・マイナンバー活用による金融資産保有状況も踏まえた医療保険、介護保険の負担のあり方を検討



https://www.m3.com/news/iryoishin/360729?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151010&dcf_doctor=true&mc.l=126257081
モデル研修プログラムは4パターン - 横山彰仁・日本内科学会認定医制度審議会会長に聞く◆Vol.3
大学も単独で完結せず、「オール高知」予定

2015年10月10日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――内科には今、13のサブスペシャルティがあります。従来は認定内科医のカリキュラム1年後に、サブスペシャルティの研修が始まりました。内科専門医のカリキュラムは3年なので、今後研修開始が2年遅れることになりますが、その辺りに不満の声はあるのでしょうか。

 内科学会は、サブスペシャルティの学会と、「内科研修は、階段状に技術を積み上げていくスタイルではなく、13に上る幅広な領域研修を行き来しつつ、ジェネラリティとサブスペシャルティが一体・調和するような研修内容を持ち合わせている」という概念を共有しています。内科系と外科系では、基本領域とサブスペシャルティの関係が若干異なると考えています。

 多くのサブスペシャルティは、研修期間を3年とするようで今と同じですが、プログラム制になるため、研修の進め方は異なってきます。ただ具体的な検討はこれからで、内科専門医の3年間の研修には、サブスペシャルティの研修も当然ながら含まれるので、その分をサブスペシャルティ研修の一部とすることも想定されます。

――その分、サブスペシャルティの研修期間が短縮する。

 今後の検討課題ですが、それもあり得るかもしれません。サブスペシャルティの研修開始がいつになるのかは、日本専門医機構内で協議が行われていると聞いていますが、大きな関心事です。内科にも、心臓カテーテル治療など、外科のような領域もあります。手技を伴う領域などでは、早くから研修した方が世の中に専門医を早く出せます。一定期間、専門医の誕生がストップすることによる社会への影響にも配慮が必要と考えています。

――当面のスケジュールをお教えください。「専門研修プログラム整備基準」を基に、「モデル専門研修プログラム」を作成中とのことですが、それはいつ頃までの予定でしょうか。


専門医制度を機に、医師の研修の在り方が大きく変わると、横山彰仁氏はみる。
 日本専門医機構から要請されているのが、都市型の大学と病院、地方型の大学と病院の4パターンのモデル研修プログラム。順次作成中で、同機構の審査を受けた後に公表します。それを基に、各基幹施設は、来年1月末くらいまでに、日本専門医機構に研修プログラムを提出することになります。したがって、相当急いでモデル研修プログラムを作成しなければいけません。これが当面の課題です。

 各研修プログラムは、基幹施設と連携施設という複数施設で運営するため、各施設の研修期間などは、「Q&A」の形で示したいと考えています。基幹施設に比重を置くケースもあれば、基幹施設の研修は最低限にし、連携施設での研修を中心にするケースも出てくると想定されるからです。

――そのほか、今後、決めなければいけない事項は何でしょうか。指導医の体制は。

 日本内科学会には、約15年前に作成した指導医マニュアルがあり、それを今、作り変えています。新内科専門医制度では、指導医は、「専攻医登録評価システム」を使わなければならず、「病歴要約」の評価なども求められます。「研修カリキュラム」項目表も、具体的内容を書き込んだ冊子としてまとめる予定です。現行の「研修カリキュラム2011」を底本にしていますので、恐らく500ページくらいになるのではないでしょうか。これらを見れば、「内科専門医研修の指導医になるためには、どんなマインドを持って、どのような指導内容を持たなければならないのか」などが分かるようになるでしょう。

 内科には、独自の指導医研修体制がありません。ただ、指導医としての役割、指導の仕方などは、初期の臨床研修の指導とはそれほど変わらないところもあると思うので、臨床研修の指導医講習会の受講を指導医の条件の一つにすればいいとも考えています。

――新内科専門医制度のスタートさせるための費用は、学会で全て賄うのでしょうか。

 「専攻医登録評価システム」の開発費用は、学会の費用で賄います。ただ、ランニング費用は受益者負担、つまり内科専門医を取得するためのエントリー料は、いただかざるを得ないと思います。

 また新たな制度は、言うまでもなく学会専門医ではありません。ただし、学会は専門医に関する企画なども予定しますので、学会に入った方が、経済的にも、情報的にもメリットがあると思います。

――最後にお聞きします。高知大学で、先生のご専門である呼吸器領域においては、どのようなプログラムの作成を考えていますか。

 高知大学でも現在、新内科専門医のプログラムを検討している最中です。サブスペシャルティの問題が片付かないと難しい面がありますが、デフォルトとしては、各診療科をローテーションするプログラムにする予定です。

 「オール高知」のプログラムを考えており、高知県内でも基幹施設に手を上げているところは、大学以外にも幾つかあるので、そうした施設と協調しながら進めます。高知県の「地域枠」で入学した学生が、過疎地域など、将来勤務しなければいけない病院が幾つかあるため、そうした病院を特別連携施設とし、訪問診療などまで一貫して研修ができる体制を目指します。

 今考えているのは、3年間のうち、大学で最低1年間、外の関連病院でも最低1年間ローテーションするプログラムです。大学が2年間になっても、あるいは関連病院が2年間になってもいい。1年単位を基本としたのは、頻繁に病院をローテーションするのは、やはりやりにくいと思うからです。研修施設の協議会で、最終的には議論します。

――例えば、呼吸器内科の場合、他の病院の呼吸器内科に行くケースがあっても、大学の中で、後期研修医が内科系をローテーションするケースはあったのでしょうか。

 そうしたプログラムは現在はなく、今後、大きく変わる点です。また、初期臨床研修と同様に、入局しなくても、高知大学内に置いている高知県の組織、YMDP(Young Medical Doctors Platform)を活用して、大学内をローテーションできるプログラムも作ります。入局すると、とんでもないことになると思っている学生もいるようで(笑)。YMDPは、初期・後期研修全体のプラットフォームになります。

――教室を運営する教授の立場としても、新専門医制度の開始に伴い、運営の在り方が変わる。

 その通りです。

――内科の医療提供の在り方、研修の光景がかなり変わるのではないでしょうか。

 そうですね。ただし、懸念もあります。大学院への進学と研究医養成の問題です。リサーチマインドの涵養が「専門研修プログラム整備基準」でもうたわれており、臨床研修制度と同様に、専門医専攻医についても、昼間は働いて夜間大学院に行くなどの形で認められています。最近の若い人は研究よりも、専門医志向が強く、日本の学術研究は、韓国や中国に比べて伸び悩んでいます。この点も踏まえ、医師のキャリアの多様性への配慮も必要でしょう。



https://www.m3.com/news/iryoishin/364366?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151010&dcf_doctor=true&mc.l=126257085
シリーズ: The Voice(医療)
紹介状なし定額負担、機能分化とは無関係
大学病院の紹介率は既に8割、「受診時定額負担」導入の“露払い”

2015年10月9日 (金)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

 紹介状なしの大病院受診の定額負担に関する中医協議論が始まった。この方策は軽症患者の機能分担の有効打との巷の理解とは違い、「骨太方針2015」、「保健医療2035」で今後の焦点とされる「かかりつけ医」の普及と結んだ「受診時定額負担」導入の先鞭であり、「療養の給付」の瓦解に道を開くものとなる。われわれは改めてそのことを警鐘するとともに、定額負担の義務化の実施に強く反対する。

◆実質、義務化で大学病院は既に5,000円負担が大勢

 紹介状なし受診の大病院の代表格、大学病院は既に紹介率が8割に上る。紹介状のない患者は2割(救急患者を除く)となるが、大病院の初診患者の数は全体の9.8%であり、紹介状のない患者は大学病院では2%に過ぎない。しかも、東京都下で9割、大都市圏で7割の大学病院は既に紹介状なし受診の定額負担は5,000円相当以上の金額を徴収しており、議論の想定水準での実質、義務化となっている。

 つまり、現在、議論している紹介状なしの定額負担の義務化は、軽症患者の診療分担、機能分化や勤務医の過重負担の解消には作用するものではない。勤務医の過重負担は患者数の多さが要因であり軽症患者の集中にはない。過重負担解消には大病院の9割を超す再診患者の減少を図る逆紹介が必須だが、医学的理由や専門的な連携医療機関の不在などが隘路となっていると中医協調査で示されている。また、紹介率向上に定額負担は有効打になっておらず、地域での広報と関係医療機関との事前連携、HPでの情報提供が、軽症患者の診療分担に資するとの結果も同様に示されているのである。

◆健保法附則の3割負担限度を突破する荒技を駆使しスキームを創設

 現在、200床以上の病院は、紹介状なし受診の際、「任意」で「料金設定を自由」に定額負担を追加で選定療養とし徴収している。今回の義務化の料金設定は「最低水準」を決めるもので、想定される5,000円をこれまでの徴収に追加するものではない。現在8,000円を徴収する病院は、これまでと何も変わらない。変化が予想されるのは大病院の初診料の引き下げであり、紹介率の低い500床以上大病院は一般より低い初診料が既に設定され、選定療養の定額負担で「補填」するよう誘導されている。

 それ以上に問題は、本来、任意の選定療養に義務化のスキームを創設した点である。健康保険法に医療機関の「責務」規定を盛り込み、「紹介」「機能分担」、「業務連携」を義務づけ、その措置内容を「療養担当規則」に定め、それを欠く場合(紹介状のない受診)に、“定率負担の額を超える金額(選定療養に定めるもの)の支払いを受けるもの”とする。健保法附則が患者負担は3割限度と拡大を禁じており、これを突破する巧妙な荒技として創設した。この責務規定と絡めた義務化は、「定額負担(選定療養)」プラス「給付縮小(点数引き下げ)」の形をとった事実上の「受診時定額負担」である。当会が指摘し予見したとおり「かかりつけ医」の普及とセットで検討の俎上に上っている。「地域包括診療料」や「地域包括診療加算」算定の「かかりつけ医」以外の受診の際に、「受診時定額負担」を上乗せすることになる。受診抑制の手段とし乱用されてきた患者負担は、政策誘導の梃の役割も帯びることとなる。現実を踏まえれば、これが本丸である。

◆「療養の給付」の蹂躙、瓦解の危険性 患者を守るため患者負担解消が王道

 先述のとおり、大病院の初診料は定額負担(選定療養)との補完・補填関係が先行実施されており、療養の給付の簒奪・侵害となっている。今回のスキームの実施・流通は早晩、診療所への波及、一般化へと連動する。選定療養への医療技術の追加導入が近々、中医協で検討予定である。保険外し・給付範囲縮小の動向を重ねれば意味深長でもある。

 健保本人10割給付が崩され30年を経、受診抑制、受療行動変容の調整弁として患者負担へ医療界は一部で寛容になっている向きはないだろうか。

 医療関連法案の参院厚労委員会での国会審議で、難病患者団体の代表は確定診断にたどり着くまで大学病院などの大病院を「自力」でいくつも訪ね歩く実情を切々と訴えている。厚労省調査で3カ所以上回った難病患者は全体の4割にも及び、中には10カ所回って診断がつく患者もいる。これら、毎回の紹介状を前提での上乗せの定額負担は非常に不合理、非人道的である。確定診断がついて初めて難病となるが、その過程で不安を抱える身に、高額な負担を課すことは、健保法の趣旨からも外れている。

 米国を除く先進国の多くは、患者負担ゼロか低額・定額負担であり、受診時の経済的ハードルは低い。負担の公平は、受診以前の税・保険料で応能主義の徹底で図るべきある。これは社会保障の原理原則である。受療行動の変容は医療機関の患者教育を軸に、医療機関のかかり方を学校教育に組み込むことや厚労省の広報、ドラマ・小説などと協力した社会的啓発を通じて行うべきと考える。経済的ハードルで受診を左右する政策は愚策である(2014.5.16日弁連シンポ)。患者負担の拡大は、遂に療養の給付を突き破り、保険外の選定療養と相補関係を前提とした組み換えにまでいま突き進んでいる。

 医療界は患者の代弁者としての役割も期待されており、その信頼があってこそ、医療政策の改善、診療報酬引き上げ・改善の要求が支持される。患者負担は医療界と患者を分断する「枷」であり、この患者負担の解消なくしては、診療報酬増と連動する患者負担増の二律背反関係は解消されない。

 われわれは、法定化された紹介状なし受診の定額負担の「実施」の中止を改めて要求する。

※本記事は、2015年10月7日付けの「政策部長談話」として、神奈川県保険医協会が同協会のホームページ上で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



https://www.m3.com/research/polls/result/9?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD151010&dcf_doctor=true&mc.l=126257083
意識調査
結果新たな医療事故調査制度、仕組みを理解できている?

回答期間: 2015年9月29日 (火)~10月7日 (水)   回答済み人数: 915人

 いよいよ10月1日から新たな医療事故調査制度が始まります。9月28日には「医療事故調査・支援センター」に指定されている一般社団法人日本医療安全調査機構で、今後の方針などが示されました(『 全国7ブロックに地域担当を配置、“事故調” 』を参照)。同制度は、責任追及ではなく医療安全の向上が目的です。医療者の新制度についての認識、準備状況などをお聞きします。

新事故調制度、41%が「おおむね理解」

 医療従事者にとって関心が高い新しい医療事故調査制度。10月1日のスタート直前の本調査では医療従事者全体では41%が「おおむね理解できている」と回答しました。一方で、勤務先の対応状況については、「準備完了」は1割強にとどまりました。自由記述では事故調査が責任追及や業務の負担増につながるのではという不安の声もが多く上がりました。
 回答者総は計915人、内訳は開業医167人、勤務医513人、歯科医師14人、看護師64人、薬剤師78人、その他の医療従事者79人。


Q1 10月1日から始まる新たな医療事故調査制度、仕組みを理解できている?
101001.jpg
回答数   開業医    8   52   74   33
      勤務医   37   177   227   72
      歯科医師   0    4    6    4
      看護師   10   26   18   10
      薬剤師    7   24   30   17
      その他の   6   32   23   18
      医療従事者
            ※2015年10月7日 (水)時点の結果

 医療従事者全体では、10月開始の医療事故調査制度について「理解できている」は7%、「概ね理解できている」を合わせると41%だった。


Q2 勤務先での医療事故調査制度の準備は?
101002.jpg
回答数   開業医    8   22   77   60
      勤務医   78   182   99   154
      歯科医師   1    2    6    5
      看護師    6   31    8   19
      薬剤師    8   25   17   28
      その他の  14   20   11   34
      医療従事者
            ※2015年10月7日 (水)時点の結果

開業医が準備に遅れ

 新たな制度では、病院のみならず、診療所や助産所も、医療事故調査・支援センターへの報告と院内事故調査の実施が求められる。準備状況については、勤務医の15%に対し、開業医は5%にとどまった。「準備はこれから」とする割合も開業医では46%あり、対策が進んでいない状況が明らかになった。


Q3新たな医療事故調査制度、ご自身の職務への影響は?
101003.jpg
回答数   開業医    9   22   41   95
      勤務医   46   100   81   286
      歯科医師   0    2    2   10
      看護師   13    6   10   35
      薬剤師   10    7   12   49
      その他の   8   11   14   46
      医療従事者
            ※2015年10月7日 (水)時点の結果

 業務に対する影響を尋ねたところ、好影響が9%、悪影響が16%となった一方、過半数が「分からない」と回答した。Q1で見る通り、制度を理解している人が過半数にとどまるため見られる。


Q4新たな医療事故調査制度に期待できることは?
101004.jpg

回答%    開業医 勤務医 歯科医師 看護師 薬剤師 その他の医療従事者
       167人 513人  14人   64人 78人   79人
質の高い再発  34%  36%   5%   60%  48%   58%
防止策の検討
事故調査の   18%  24%  35%   45%  41%   31%
ノウハウの蓄積
民事紛争化   21%  24%  14%   14%  28%   20%
の防止
刑事事件化   23%  23%  14%   10%  24%   15%
の減少
特にない    43%  32%  14%   15%  23%   17%
その他(問5に  1%   4%   7%    4%   0%    0%
具体例をお書き
ください)
 ※2015年10月7日 (水)時点の結果

期待すること、医師は「特にない」が最多

 新制度に期待することは1位が「質の高い再発防止策」、2位が「事故調査のノウハウの蓄積」となった。ただ、医師で最も多かったのは「特にない」だった。


Q5新たな医療事故調査制度へのご意見をお書きください。【任意】

【期待】

・第三者的な、公平な判断を下してくれる機関として期待したい。【医師】

・医療の質向上につなげるもつなげないも医療者の受けと止め方で決まると感じている。【その他医療従事者】

・医療行為が100%を望めない不確実なものであることが前提である。それでも事故に遭われた方を救済しなければならない。また、今後事故を防いでいくことが重要である。そういうことが満たされる制度となってほしい。【医師】

・速やかに事例が共有され、多くの被害者(家族)が望んでいる再発防止につながることを期待する。【薬剤師】

・医療事故で亡くなられた方には心からお悔やみを申し上げますが、それとともに質の高い防止をすることが重要で原因究明、再発防止に徹底的に力を入れ、全力を尽くすことを胆に銘じて調査をすることが肝要と思います。【医師】

【不安】

・たくさんの患者さんをお看取りしてますが、とても怖いです。院長などが予期せぬ死亡と判断すれば、事故調へ出されるのでしょうか?出されたという事実をもって患者側から、要らぬ嫌疑をかけられたり、レポート見せることを迫られたりしそうです。重症患者の受け入れが悪くなり、救急のたらい回しも増えそうです。CPAで運ばれてきて、到着時死亡とした場合、その都度報告書を作るのでしょうか?担当医が作るのでしょうか?やってられません。【医師】

・交通事故、飛行機事故等も含め、刑事免責の上で、強力な捜査・審査ができる仕組みに、日本文化が移行していくのだろうと思いますが…。産科医療補償制度のように医学的に間違った(脳性麻痺に分娩時の仮死が関与しているのは10%程度しかないという事実を無視している)ことを医学界が容認しているようでは、先は遠いと思います。【医師】

・新たに保険に入ることになりました。【医師】

・ビッグデータ収集を基に、新たな医療安全策が出てくれば良いが、手間だけ増えて、作業は持ち出しか??【医師】

・紛争解決の手段ではないことをきちんと理解すること。外部委員の強制をしないこと。まして外部委員を委員長にしたら院内事故調査委員会ではなくなってしまう。非識別化を守ること。【医師】

・報告書が容易に訴訟に用いられる不安の方が大きく、ますます医療が委縮し、国民にとってかえってよい医療を受けられなくなると思われる。【医師】

・「予期しない死亡」の解釈が医療者と遺族の間で異なる可能性が懸念されます。この溝を埋めるためには、これまで以上の丁寧なICを行うなど、医療者と患者・家族間の信頼の醸成が必要になると考えます。【医師】

・弁護士が余ってきているので訴訟が増加する可能性があるのでは。【医師】

・刑事事件・民事事件の増加。現場医療者(特に若い医療者)をスケープゴートにする医療機関の増加。【医師】

・今までも医師からは事故報告が無かったが、カルテから読み取ることはできていた、しかし、事故調査を避けるために問題が発生した部分のカルテ記載内容がされなくなったり曖昧な表現になる可能性も考えられる。【その他医療従事者】

・遺族が依頼するのに2万円では安すぎる。現場の事務負担が増えることを懸念する。【医師】

・ゴールを決めての協議を進めており、保管場所や費用面など多くの課題が山積している。対応できる人材の確保不透明で有り、その予算をどのように行うのかも問題がある。【歯科医師】

・いい制度だとは思うが、医療機関側が隠そうとしたら、うまく機能しない気がします。【薬剤師】

【情報不足】

・制度が開始された今も、支援団体へ協力を依頼するフローが明確になっていない(医師会が窓口になるという説明ではありましたが)。医療事故調査・支援センターが日本医療安全調査機構に決まった時期も遅い。院内で準備する立場としては、ギリギリすぎて困るな、というのが正直な気持ち。院内への周知もこれから、といったところである。「予期しなかった」という定義について、現場の医師がどの程度理解されているか、微妙だと思っている。少なくとも当院の医療水準では…【看護師】

・開始間近に迫った現在も(9/29記)、地域の支援団体の窓口についての通知がなく不安に感じている。【その他医療従事者】



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=124753
医療の安全、「トヨタ方式」で…人材育成に応用
(2015年10月9日 読売新聞)

 産業界の品質管理手法を医療に生かそうと、トヨタ自動車と名古屋大病院が共同で、医療の安全と質向上を担う人材育成に乗り出した。「ものづくり」の発想を医療に応用するもので、養成講座が今月スタートした。

 最近、群馬大病院や東京女子医大病院などで深刻な医療事故が相次いでいる。名大病院は文部科学省の補助金で、トヨタが培った手法を医療現場で実践する事業を始めることにした。

 トヨタでは、不良品がどの工程で発生したかを速やかに確認し、問題を最小限に抑えている。こうした品質管理のノウハウは、医療事故がどの段階で起きたかを解明して診療や組織運営の進め方を見直し、安全性の向上を図る形で医療に応用できるという。

 受講者は、各地の病院に勤務する医師16人。トヨタが取っている具体的な手法を学び、実際に病院で起こる問題の解決を試みるなど、半年かけて実践的に学ぶ。


  1. 2015/10/11(日) 06:47:18|
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