Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

10月4日 

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201510/544061.html
川島なお美と北斗晶、こんなに違った医師の説明
2015/10/5 内山 郁子=日経メディカル

 1年ほど前から、「闘病ブログ」というジャンルのブログを読み始めた。大半が、治らない病を抱えた患者本人によるもので、かかっている病の多くは癌だ。その闘病ブログにここ数日、必ずと言っていいほど登場する2人がいた。女優の川島なお美さんと、元女子プロレスラーの北斗晶さんだ。川島さんは癌のため亡くなり、北斗さんは癌の手術を受けた。

 2015年9月24日に54歳の若さで亡くなった川島さんは、ご本人のブログ「『なおはん』のほっこり日和」によると、2013年8月に受けた人間ドックで肝内胆管に腫瘍が発見された。何軒もの病院を巡り、5カ月後の2014年1月、腹腔鏡下手術で肝内胆管癌を切除。その後もテレビや舞台への出演を、死の8日前まで続けた。

 48歳の北斗さんが罹患した癌は乳癌。2015年9月23日、ご本人のブログ「そこのけそこのけ鬼嫁が通る」で、2015年7月7日に乳癌と診断されたことと、9月24日に右乳房の全摘手術を受けることを告白した。

 川島さんと北斗さんはどちらも、自身のブログに、医師から癌を告げられた時の状況をつづっている。もちろん、患者視点からの記述であり、実際に医師が告げた言葉とは違うかもしれない。かかった癌の「猶予のなさ」も違う。言葉を受け取る側である、2人の性格的な違いもあるだろう。

 だが──。もし私なら、北斗さんの主治医のような医師から告知を受けたい、と思えてならないのだ。

「今は5年先、10年先、生きることを」
 毎年秋に、マンモグラフィーによる乳癌検診を受けていた北斗さん。右胸に痛みや外観上の変化を感じたため、秋まで待たずに検査を受けたところ、癌を告知された。セカンドオピニオンのため訪れた病院でも、乳癌との診断。主治医から、癌のステージなど詳細な説明とともに右乳房全摘出が必要だと告げられても、すぐには受け入れられなかった。すると、主治医はこう言ったという。以下、北斗さんの2015年9月23日付のブログより引用する。

  「胸の事よりも今は5年先、10年先、生きることを考えましょう。」

  生きること。

  こう言われた時に初めて、今の自分は命さえも危険な状態なんだと分かりました。
  そういう病気なんだと。

  それが癌なんだと…

 生きること、という言葉で、病気の重大性、治療の必要性が、見事に伝わったのだ。

 一方の川島さんの場合、毎年受けていた人間ドックで偶然、腫瘍の存在が分かったものの、血液検査(恐らく、腫瘍マーカーの検査値)には全く異常がなく、良性か悪性かは分からない状態だった。最終的には「覚悟を決めてお任せできるドクター」に出会え、腹腔鏡手術を受けたのだが、そこに至るまでの間に出会った医師との間にはこんなやり取りがあったという。以下、川島さんの2014年3月27日付のブログより引用する。

  「とりあえず
  切りましょう」

  私「いいえ
  良性かもしれないのに
  外科手術はイヤです」

  「ならば
  抗がん剤で
  小さくしましょう」

  私「悪性と決まってないのに?
  仕事が年末まであるので
  それもできません」

  「ならば
  仕事休みやすいように
  悪性の診断書を
  書いてあげましょう」

  は~~???
  (病理検査もしてないのに!)

  もう
  ここには
  任せられない!!

 繰り返しになるが、ブログに書かれた医師の言葉は、川島さんが受け取った言葉であり、実際に発せられた言葉やそこに込められたニュアンスはこの通りではなかったかもしれない。だが、なんとも歯がゆい、この「すれ違い」ぶりはどうだろう。

 もし悪性だったら、手術以外に確実な治療手段のない、時間的な猶予のない、肝内胆管癌。体の深い所にあるので、病理検査はおなかを切らないと行えない。「半年、1年、生きることを考えましょう」と、事の重大さを伝えることはできなかったのか──。

 私が読んでいる、普通の患者がつづった闘病ブログにも、実に様々な医師が登場する。北斗さんの主治医のような医師もいれば、川島さんが出会ったような医師もいる。悩みながら最善と思われる治療を提案する医師もいれば、「この治療をしないならこの病院では診られない」と突き放す医師、情報と資料を渡し「次までにどの治療にするか考えてきて」と告げる医師もいる。叱る医師、迎合する医師、寄り添う医師、希望の芽を摘む医師。医療者といえども、ピンピンころりと逝かない限り、人はいつか患者になる。そのとき、皆様はどんな医師に出会いたいだろうか。



http://news.livedoor.com/article/detail/10667412/
乳がんで手術を受けた北斗晶が4日、「5年生存率50%」の真意を明かした
2015年10月4日 15時43分 デイリースポーツ

 乳がんのため右乳房の全摘出手術を受け、3日に会見した元女子プロレスラーでタレントの北斗晶(48)が4日、「5年生存率50%」と通告されたことが“1人歩き”していることに「言葉足らず」だったとし、「それは、計算の上での事。病院や先生によっても違う」と説明した。また、会見に同席した夫で元プロレスラーの佐々木健介(49)も「会見での言葉足らずが、大きな心配をかけてすみません」とブログでつづり、夫婦ともども前向きに治療にあたる決意を記した。

 北斗は9月24日に手術を受け、右脇のリンパに転移していた悪性腫瘍も摘出した。3日に退院し、埼玉県内の自宅で会見。医師からは「胸だけなら5年生存率70%だが、(リンパに転移していると)50%」と告げられたことを明かした。新聞やテレビ、ネットのニュースなどで「5年生存率50%」の部分が大きく取り上げられ、ファンらから心配の声が多数届いたという。

 健介は4日、ブログで「生存率の件で、報道を観たとあちこちからご心配のご連絡を頂きましたが、手術前に色々説明された中での告知でしたから。病院や先生によって見解も違いますからね。術後は癌を取って生存率もグンと上がったと先生も言ってくれてるし」と全摘出手術を受けたことで、生存率は「50%」から上がった、と言われていたことを説明。「会見での言葉足らずが、大きな心配をかけてしまってすみません。」とつづった。

 また北斗も4日、2度にわたりブログでこのことに触れ、「5年生存率約50%ここばかりが注目されてしまうと思いますが…それは、計算の上での事だと思います。残れる半分に入る為にこれから頑張るので見ててください。だから、変に心配しないでね!!」「パパもブログで書いてくれてましたが。私の言葉足らずで、本当にみんなが会見みたよ~とLINEやメール電話と心配してくれてますが。生存率やステージなどは、その先生や病院によってかなり見解も違うらしいし、手術をした事でデーターの上でだけど私の生存率もアップしてるんだから心配しないでね」と前向きに病と闘う気持ちをつづった。



http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=345179&nwIW=1&nwVt=knd
家庭医道場の地に恩返し “卒業”の医師が高知県馬路村で初診療
2015年10月04日08時23分 高知新聞

 高知大学医学部が高知県安芸郡馬路村で行っている学生の勉強合宿「家庭医道場」を経験した医師が10月2日、馬路村を代診で訪れ、馬路、魚梁瀬の両診療所で診察した。家庭医道場を“卒業”した医師が馬路村内で診療するのは初めて。関係者は「地域を支える医師を育てる取り組みが、実を結びつつある」と喜んでいる。

 家庭医道場は医学部の家庭医療学講座が、2007年から馬路村や高岡郡梼原町で実施。農業体験や林業現場見学を通じて、住民と触れ合いながら地域に必要な医療について学んでいる。

 今回代診で訪れたのは、嶺北中央病院(長岡郡本山町)の内科医、松浦未央さん(26)。南国市出身の松浦さんは医学部6回生だった2012年に馬路村で家庭医道場を体験したほか、医学部学生が馬路村の小中生に勉強を教える「半熟たまご塾in馬路」にも参加した。

 2015年4月に、「へき地医療拠点病院」でもある嶺北中央病院に赴任。馬路診療所から、医師の高知県外出張に伴う代診の依頼があり「馬路村の役に立てる」と喜んで引き受けた。

 この日は知り合いの村民も診療所を訪れ、気さくに会話を交わしながら計19人を診察。松浦さんは「お世話になった馬路村に医療で恩返しできてすごくうれしい」「家庭医道場で習った、地域の生活背景を知りながら診察する『地域を診る』という意味がぼんやりと分かってきた」と手応えを感じていた。

 家庭医道場を指導している高知大学の阿波谷敏英教授は「今まで種をまいてきたことが、少しずつ実を結びつつある。今回は代診というかたちだが、こうした事例が積み重なってこそ、地域医療が前に進んでいく」と喜んでいた。



http://www.socinnov.org/blog/p160
『地域包括ケアの課題と未来』編集雑感 (1): 出版にあたって
小松秀樹
| 2015.09.30 | Blog | Socinnov

2015年8月末、『地域包括ケアの課題と未来―看取り方と看取られ方』(ロハスメディア社)がやっと出版までこぎつけた。映像シリーズ制作が主目的で、本書はシナリオを書籍化したものである。この話が持ち込まれて以後、次々と障害が立ちふさがり苦労の連続だった。

妨害のため、映像シリーズのDVD化と地域包括ケアの規格化プロジェクトは、断念せざるを得なくなった。本だけは何としても世に出したいと考え、法律家、出版社を交えて協議し、出版妨害を避けるための方法を考えた。

映像シリーズ、書籍の内容ともに、特定非営利活動法人ソシノフのウェブサイト上に公開していくので是非ご覧いただきたい。また、編集にあたって、筆者が考えたことを書き綴っていく予定である。地域包括ケアについての理解が、より多元的に、かつ立体的になれば幸いである。

地域包括ケアは高齢者対策として議論されている。しかし、日本では格差が広がり、高齢者以外にも、社会からの支援を必要としている人が増えている。健康問題も高齢者に限ったことではない。バブル崩壊後、経済停滞が続き、国には莫大な債務が積み上がっている。本書では日本の社会状況を俯瞰することから議論を始めた。地域包括ケアの対象、提供すべきサービスについては、想定をできるだけ広げた。章立ては、地域包括ケア全体を考える基本的な枠組みを意識して作った。当然だが、貧困と健康についてもプログラムに組み込んだ。

日本の国力が衰える中で、ケアの恩恵の総量を最大にするだけでなく、ケアを日本の将来の発展につなげなければならない。限られた資源を有効に活用するためには、地域包括ケアを社会全体の中で位置づけ、ケアの優先順位を考え、その選択を政治プロセスに乗せる必要がある。

社会保障費が抑制される中で、生活保護一歩手前の生計困難者は社会の支援の外に押しやられがちである。2014年9月、千葉県銚子市の県営住宅に住む母子家庭で、母親が無理心中を図って、13歳の中学生の娘の首を絞めて殺すという悲惨な事件があった。

以下、2015年6月12日の朝日新聞digitalから引用する。

「給食センターでパートとして働き、児童扶養手当などを合わせても、月の収入はおおむね11万~14万円。時期によって極端に少ない月もあった。2012年途中から家賃を滞納。可純さんの中学入学の準備のため、13年2月ごろヤミ金に手を出した。可純さんにはバレーボール部のジャージーやシューズ、アイドルのグッズなどを買ってあげた。強制執行日の昨年9月24日朝。同じ布団で寝ていた可純さんの首を、はちまきで絞めた。数日前にあった体育祭で可純さんがしていたものだった。地裁支部の執行官らが室内に入ったとき、被告は可純さんの頭をなでながら、体育祭で活躍する可純さんの映像を見ていた。」

この事件は、犯罪として処理されたが、精神的ならびに肉体的健康の問題でもある。県住宅課は母子の生活の困窮を知る立場にあった。利用可能な支援制度について積極的に情報提供をしなかったばかりか、司法を利用して追い出そうとした。母親は、銚子市役所の社会福祉課には一度相談に訪れたが、その後相談はなかったという。日本の役所の福祉の窓口は、申請主義を盾に、しばしば弱者に冷淡である。

現在の日本では、こうした母子家庭より、高齢者への支援が手厚い。地域包括ケアの対象に母子家庭は含まれていない。2010年の後期高齢者医療制度の総医療費は患者負担を含めて12兆7000億円だった。一方で2013年度の文教予算は5兆4000億円に過ぎない。75歳以上の高齢者の医療費に、研究費を含む全文教予算の2.5倍の金がつぎ込まれている。日本は、教育への公的支出の対GDP比が先進国の中で最低である。しかも、こどもの貧困率が上昇し、2012年には16.3%に達した。経済格差は教育格差を生み、教育格差は将来の経済格差を生む。貧困が世代間で継承されることになる。

医療費には節約できる部分がある。高齢者への多剤投与は、無駄であるばかりか危険でもある。最近発売されている抗がん剤は、効果が小さい割に、極めて高価なものが多い。

2014年度、薬剤売上ランキングのトップは、抗血栓症薬プラビックスの1288億円だった。1人1日分282.7円で、同じ目的で使われるバイアスピリン5.6円の50倍である。値段差は大きいが、心血管イベントの予防効果の差はごくわずかでしかない。薬価と効果の差を説明することを前提に、バイアスピリンとの差額を患者負担にしてはどうか。

進行前立腺がん患者に使われるジェブタナという薬剤は、1バイアル60万円で3週間に1回投与される。ほとんどの患者に有害事象が発生する。ジェブタナ投与群の生存期間の中央値が15.1か月、対照群は12.7か月とその差はわずかである。厚労省は、このような薬剤まで保険診療で使用することを認めている。

高価な新薬の多くが外国で開発されているので、医療費として使われた金が外国に流れる。その分、高齢者の生活を支えるための人件費が削られる。ジェブタナを保険診療から外して、混合診療で使えるようにしても問題は生じない。

日本では、出生率の低い状況が続いている。働き手は継続的に減少し続けるが、戦後のベビーブームの影響で高齢者は当面増加し続ける。現状のまま推移すれば、2053年、日本の後期高齢者数は最大になり、2010年の1.70倍になる。一方で、20歳から64歳の働き手は2010年の59%に減少する。将来の働き手の人口を増やし、収入を高めなければ、日本社会は到底維持できない。子育て支援と教育への投資は、将来の高齢者対策でもある。


  1. 2015/10/05(月) 06:20:57|
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