Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

9月9日 

http://www.daily.co.jp/society/main/2015/09/10/0008382338.shtml
震災後、診療所13%休廃止
2015年9月10日 デイリースポーツ

 東日本大震災の津波で被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸と原発事故の避難区域となった計43市区町村で、震災前にあった計2007診療所の13%に当たる267施設が休止もしくは廃止したことが10日、3県や保健所への取材で分かった。

 中には岩手県大槌町のように約4割減った地域もある。3県によると震災による建物被害や医師の死亡、避難による患者減などが理由。被災地では災害公営住宅の建設などで生活再建が進むが、地域医療は大きく損なわれており、今後復興の足かせとなる恐れもある。





http://apital.asahi.com/article/news/2015090900021.html
医師不足で開所遅れ 舞鶴の休日診療所、府医大派遣見込めず
2015年9月 9日 朝日新聞

 舞鶴市が7月に予定していた休日急病診療所の開所が大幅に遅れている。市が求めていた京都府立医大からの医師派遣が見込めなくなったためだ。市は舞鶴医師会の協力を得て10月の開所を目指しているが、当面は月1回程度の診療にとどまりそうだ。

 市は現在、3病院が輪番制で行っている休日の救急医療の負担軽減のため、日曜、祝日、年末年始の日中に限り、内科、小児科の軽症患者を診療する休日急病診療所の開設を計画。2014年度から同市行永の国立病院機構舞鶴医療センターの敷地内に建物を建設し、今年7月のオープンを予定していた。

 医師の派遣について、多々見良三市長は昨年9月、市議会で「府と一緒に、府立医大にお願いしている」と述べていた。しかし、府立医大は「休日診療所の運営は、市が責任をもってやるのが基本」と難色を示し、府とともに市に再考を求めていた。

 これを受け、市は要望を取り下げ、今年6月、地元の舞鶴医師会に医師の派遣を要請。市によると、医師会は協力に前向きだが、医師の高齢化や内科医の不足などもあり、診療科は内科のみ、診療日も年度内は月1日程度となりそうという。

 府立医大の山崎清吾事務局長は取材に対し、「舞鶴市から要望はあったが、府内の休日診療所に医師を派遣している例はなく、特別の事情でもあるのか整理をお願いした。その後、市からは地元でしっかり運営していきたいとの返答があった」としている。

 舞鶴医師会の梅原秀樹会長は「市から要請を受け、前向きに協力を検討しているのは事実だが、正式に決まっていない」という。

 舞鶴市の福田豊明・健康・子ども部長は「医師会には急なお願いだったが、協力していただき、感謝したい。月1回という変則的な形ではあっても、なんとか10月には診療を始めたい」と話している。

 (福家司)
(朝日新聞 2015年9月9日掲載)



http://mainichi.jp/area/oita/news/20150909ddlk44040266000c.html
2次救急:竹田で再開へ 整備費を県が提案 来年4月、9年ぶり /大分
毎日新聞 2015年09月09日 地方版

 県は8日、竹田市で、重症の救急患者に対応する2次救急医療が来年4月に再開されるとの見通しを明らかにした。竹田市では竹田医師会病院が医師不足を理由に2次救急医療を辞退した2007年6月以降、県内で唯一、2次救急医療機関のない地域となったが、9年ぶりに解消されることとなった。

 2次救急医療機関は、入院治療や手術が必要な救急患者に24時間365日対応できる病院を指す。竹田市では07年6月以降、重症患者は必要に応じて隣接する豊後大野市や大分市などの病院に搬送していたが、長距離の移動は患者の負担になっていた。

 しかし昨年、竹田市の大久保病院と竹田医師会病院から2次救急医療受け入れの申し入れが県にあり、関係機関と協議を重ねた結果、両病院が連携して輪番制による2次救急医療体制を確保することにした。当番日は設定せず、病院の立地場所に合わせ、大久保病院は久住・直入地域、竹田医師会病院は竹田・荻地域の患者を受け入れる予定。

 県は両病院の医療機器や設備などの整備費約1億600万円を9月県議会に提案する一般会計補正予算案に盛り込んだ。広瀬勝貞知事は8日の記者会見で「竹田市の住民は不安だったと思うが、両病院が協力して再開できることになり非常によかった」と述べた。

 17日開会予定の9月県議会に県が提案する総額32億5700万円の一般会計補正予算案の主な内訳は▽スプリンクラーの設置が義務化された有床診療所への助成費など4億1300万円▽九州UIJターン就職応援フェア開催費など664万円−−など。【西嶋正法】



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=123624
急患「たらい回し」解消苦慮…延び続ける搬送時間
(2015年9月9日 読売新聞)

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 総務省消防庁が2009年、救急患者のたらい回しを防ぐための「実施基準」の策定を都道府県に求めたが、18府県が実施基準の中で「たらい回し状態」と判断する条件を決めていないことが読売新聞の調査でわかった。

 平均搬送時間は延び続けており、たらい回し状態の条件を満たした場合は、病院の受け入れを義務化するなどのルールを確立し、搬送時間を短縮する努力が求められている。9日は「救急の日」。

 奈良県や東京都の病院で受け入れを断られた妊婦が死亡した問題などを機に、消防法が09年に改正され、「実施基準」策定が都道府県に義務付けられた。同庁が同年10月、都道府県に通知し、翌11年にかけ順次運用が始まった。他の29都道府県は「病院への照会が4回以上」「現場滞在が30分以上」などの条件を決め、最終的な受け入れ先としてあらかじめ決めた病院などに搬送している。条件が決められていることで「病院に受け入れを頼みやすくなる」(愛知県)、「救急隊が活動しやすくなる」(兵庫県)といった利点があるという。

 たらい回しされる患者には手術や入院が必要だったり、聞き取りや処置が難しい独居の高齢者や精神疾患者も多かったりする。本来、2次救急医療機関が受け入れるべきだが、専門外や医師不足を理由に断られることが多いのが実態だ。

 18府県のうち、受け入れ拒否が度々起きるという宮城県の担当者は「(条件を設定してたらい回しと判断しても)必ず病院に運べる保証がない」と考える。高知県の担当者は「(2次救急医療機関から断られることもあり)24時間受け入れてもらえるのは3次救急医療機関だけ」と話す。

 各自治体は条件の設定とともに、最終的にどの病院が患者を受け入れるかまでを含めた総合的なルール作りを求められている。

 岐阜県は昨年11月、必ず受け入れる2病院を確保し、「3回照会しても決まらなければどちらかに運ぶ」ことにした。埼玉県は今年1月、奈良県は7月から、必ず受け入れる病院を決め、今後、条件を設定する。

 青森県のように「搬送先はすぐに決まる」として条件を設定していない自治体もあるが、同庁は「万が一を想定しルールを作るべきだ」と求めている。

 同庁の調査によると、13年の平均搬送時間は39・3分で、03年の29・4分から10年間で約10分延びた。

2次救急医療機関 手術や入院が必要な患者を受け入れる医療機関。生命に危険があり緊急性が高い患者は、3次救急医療機関が受け入れるのが原則。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/52078/Default.aspx
中医協 調剤医療費の伸びを各側問題視 原因は処方箋枚数、処方日数か
公開日時 2015/09/10 03:52 ミクスOnline

中医協総会は9月9日開かれ、2014年度の医療費動向で調剤医療費の伸びが大きいことについて各側から問題意識が示された。診療側の中川俊男氏(日本医師会副会長)は、「医療費が異常に偏在している。次期診療報酬改定の重要な論点になるのではないか」と指摘した。中川氏は、医薬分業により院外処方が増えたことの影響を示唆したが、これに対して各側から処方箋枚数や処方日数に原因があるとの声があがった。支払側の白川修二氏(健康保険組合連合会副会長・専務理事)は、処方箋枚数の増加による影響が大きいとの見方を示し、「医師の方々も関係して調剤医療費が伸びていると認識している」と指摘した。


2014年度医療費は、前年度比約0.7兆円増の40.0兆円。調剤医療費は、構成比18.0%を占める7.2兆円で、前年度比2.3%の伸びを示した。これに対し、入院1.7%(16.0兆円)、入院外1.3%(13.8兆円)、歯科2.9%(2.8 兆円)の伸びを示している。


診療側の中川氏は、調剤医療費の伸びが実感として医療費全体の伸びを上回る印象を拭えないとの見方を示した。その上で、「直近10年間の調剤関連技術料をみると、累計で薬局調剤が6685億円増なのに対し、医科の院内調剤技術料は936億円減だ」と述べ、院外処方が推進されたことが影響していると指摘した。


◎診療側・安部氏「後発医薬品促進で1日あたり薬剤料を抑制」

これに対し、診療側の白川氏は、「隔年で大きな伸びを示していることについては我々も問題意識を持っている」と述べた上で、「技術料が増えていることも確かだが、逆に処方箋の枚数が増えていることが大きい」との認識を示した。さらには、投与薬剤数の増加も影響しているとの見方も示し、医師の処方による影響を指摘。調剤技術料の伸びについても、「処方箋そのものが増えていることが調剤技術料に反映している面もある」と述べた。


診療側の安部好弘氏(日本薬剤師会常務理事)も、2014年度医療費動向から実際に処方箋枚数が1.8%の伸びを示していると説明。これに対し、処方箋1枚あたりの調剤医療費の伸び率は0.5%にとどまっており、調剤技術料は前年からの伸びはみられないとのデータを示した(対前年比0.0%)。

さらに、内服薬の処方箋1枚あたりの薬剤料も前年からの増加はみられないと説明した上で、伸びを分析したデータから「投与日数のみが伸びている要因となっている」と指摘した。

安部氏は、1日あたりの薬剤料が伸びていないことの意義を強調。「医療の水準上昇に伴いこれだけ高額な薬剤が出てきている中で、後発医薬品の使用促進をして1日あたりの薬剤料を抑えているということを冷静に分析して議論いただきたい」と述べた。


そのほか、この日の総会では患者申出療養制度をめぐり、難病やがんの患者団体からの意見陳述の場が設けられた。来年4月の施行に向け、9月中にも制度施行に向けた取りまとめを行う。



http://www.m3.com/news/iryoishin/356140
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
「調剤医療費の伸び、異常に高い」
医科診療側と支払側ともに問題視

レポート 2015年9月9日 (水)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 9月9日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、2014年度の「医療費の動向」が説明され、医科の診療側と支払側はともに、調剤医療費の伸びを問題視、2016年度改定に向けて、同医療費の抑制が重要課題となる可能性が出てきた(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。その原因として、調剤技術料、処方せん枚数、処方日数、薬剤料などの増加が考えられ、主原因の分析とその対策が今後の焦点になる。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「調剤医療費の伸び率が、他の伸びに比べて非常に高い。(2014年度の調剤報酬の)改定率以上に上がっているのではないか、という印象が拭えない」と問題視。健康保険組合連合会副会長の白川修二氏も、「調剤医療費が各年で大きな伸びを示しているので、大きな問題意識を持っている」と指摘した。

 2014年度の「医療費の動向」によると、総額は前年度に比べ、約0.7兆円(1.8%)増加し、40.0兆円に上った。診療種類別に見ると、対前年度の伸び率は、入院1.7%(16.0兆円)、入院外1.3%(13.8兆円)、歯科2.9%(2.8兆円)、調剤2.3%(7.2兆円)であり、医療費に占める構成割合が18.0%と2割に迫る調剤医療費の伸び率が目立つ。

 中川氏が、調剤医療費の伸びの中でも、問題視したのが、調剤技術料の増加。日医は、調剤関連技術料を、医科院内と、保険薬局に分けて独自に分析。その結果、2005年から2014年までの10年間で、保険薬局の技術料(調剤基本料、調剤料、薬学管理料など)は累計6685億円増加したのに対し、医科院内技術料(調剤料、処方料、調剤技術基本料、薬剤情報提供料など)は、963億円減少したことが分かった。「この点は、次回改定に受けて重要な論点になるのではないか」(中川氏)。

 これに対し、白川氏は、調剤医療費を問題視する点では一致したものの、その理由についてやや異なる見方を示した。「調剤技術料はもちろん、調剤枚数や処方する薬剤数の増加が影響しているのではないか。この点については、医師(の処方動向)も関係しているのではないか、という印象を持っている」と白川氏はコメント。

 日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏も、調剤医療費の伸びは、処方せん枚数の伸び(対前年度比1.8%増)、処方せん1枚当たりの調剤医療費(同0.5%増)によると反論。さらに、投薬日数が延びている一方、1日当たりの薬剤料は伸びておらず、「後発医薬品の使用で薬剤費を抑えている」と述べ、理解を求めた。

 そのほか、「医療費の動向」については、「自然増」も議論になった。過去数年間の動向を見ると、診療報酬改定が行われなかった2011年度と2013年度の伸び率は、それぞれ3.1%と2.2%(休日数等補正前)。「この分は自然増と見ていいのか」と中川氏は質問。これに対し、厚労省は、2011年度の3.1%の内訳は「人口減の影響マイナス0.2%、人口高齢化の影響1.2%、その他の影響2.1%」、2013年度の2.2%の内訳については「人口減の影響マイナス0.2%、人口高齢化の影響1.3%、その他の影響1.1%」と説明。これに対し、中川氏は、「これまで厚労省は、自然増は3%と言っていたが、必ずしもそうではない」と指摘。さらに2014年度の1.8%増についても、消費税対応に伴う診療報酬引き上げ分も含まれているため、その分を差し引くなど、厳密な分析を要求した。



http://biz-journal.jp/2015/09/post_11486.html
連載 上昌広「絶望の医療 希望の医療」
医療過誤死亡事故の国立医療センター院長、製薬企業から巨額報酬 事故の責任も取らず

文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授
2015.09.10 Business Journal

 8月が終わった。8月といえば1945年に太平洋戦争が終結した月であり、毎年戦争責任が議論される。「靖国で会おう」と神風特別攻撃隊に若者を送り出した帝国海軍幹部や、「生きて虜囚の辱めを受けず」と強調した帝国陸軍幹部の戦後の振る舞いを知るに、当時の陸海軍幹部の無責任ぶりに呆れ果てる。原爆投下、空襲、沖縄占領により、日本は存亡の危機に立った。この敗戦を招いた責任は、彼らにある。古くより「魚は頭から腐る」というが、まさにその通りだ。無責任な指導者に率いられた戦中の国民は不幸だった。
 ただ、このような状況は帝国陸海軍に限った話ではない。現在の日本でも同じようなことが繰り返されている。
 医療界においても最近、同じようなことがあった。それは国立国際医療研究センター(以下、医療センター)で起こった医療事故だ。
 昨年4月、整形外科の後期研修医であった30歳の女性医師が、脊髄造影検査で脊髄腔への投与が禁止されている「ウログラフイン」という尿路造影剤を投与し、患者が死亡した。今年7月14日、東京地裁の大野勝則裁判長は、禁固1年、執行猶予3年の判決を言い渡した。上告しなかったため、刑は確定した。明らかな医療過誤であり、女性医師は責任を免れない。
 この判決の是非はすでにさまざまなメディアで議論されているので、ここでは問わない。
 私が関心を抱いたのは、リーダーの振る舞いだ。医療事故がシステムエラーであることは世界の常識だ。リーダーはシステムに強い影響力をもつ。果たして、この事件でリーダーはどう振る舞っただろうか。


 医療センターの院長は中村利孝氏だ。ところが、私の調べた範囲で、彼が責任を取った形跡はない。このことは、すでに医療界から厳しく批判されている。たとえば、南相馬市立総合病院の研修医である山本佳奈氏は8月23日付「現代ビジネス」記事として『薬品誤投与で患者死亡 なぜ研修医だけが責任を取らねばならなかったのか』という論考を発表している。また、医療センターに勤務する知人の医師は、「末端の研修医に責任を押しつけ、幹部は頬被りしています」と言う。評判はよくない。
 太平洋戦争では、ポツダム宣言に戦犯の処分が盛り込まれた。自らの保身のため、軍幹部は「一億玉砕」と徹底抗戦を主張した。さらに、聖断により無条件降伏が決まった後には、証拠隠滅のために資料を焼却することを指示した。姑息きわまりないが、彼らの生命がかかっていたことを考えれば、理解できないわけではない。
 しかしながら、医療センターの幹部は、自らの責任を認めても処刑されるわけではないし、おそらく引責辞任にもならない。責任逃れをすれば、自らの人望をなくすだけでなんの得もない。なのになぜ、このような対応を取ってしまうのだろうか。

 私は、このことに興味をもち、医療センターの院長を務める中村氏のことを調べてみた。


骨粗鬆症学会の大物

 中村氏は、1973年に東京大学医学部を卒業。産業医大教授などを経て、13年4月から医療センターに総長特任補佐として異動している。そして、同年10月から院長に就任した。
 興味深いのは彼の専門だ。整形外科である。つまり、今回の医療事故はお膝元の診療科で起こったことになるし、彼は問題を起こした診療行為、およびその危険性について十分に理解していたはずだ。
 では、中村氏は整形外科の中でもどんなことを専門にしてきたのだろうか。
 医学文献のデータベース「PubMed」で実績を調べると、骨粗鬆症の臨床研究が多いことに気づく。骨粗鬆症は近年、新薬が開発され、急成長している分野だ。中村氏は日本骨粗鬆症学会の理事長も務めた「大物」だ。大規模な臨床研究を主導したこともある。
 例えば、新薬のテリパラチドの臨床研究を主任研究者として推進した。578人の患者を登録した大型研究で、週に1回テリパラチドを皮下注射すると、プラセボ投与群と比較して脊椎圧迫骨折の危険性が80%も低下することを示した。多くの高齢者は寝たきりにはなりたくないと願っている。寝たきりのきっかけは骨折が多い。この研究成果は、このような高齢者にとって吉報である。中村氏は、その研究結果を12年に筆頭著者として米内分泌雑誌「JCEM」で発表した。
 さらに、11年12月に改訂された「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では、作成委員会の副委員長を務め、医療業界誌で「ガイドラインでは新薬テリパラチドのエビデンスや、ビスホスホネート製剤の副作用などにも言及した。これを基準として、プライマリケア医の先生方も治療に取り組んでほしい」とコメントしている。
 まさに、全力でテリパラチドの研究、そして啓蒙に尽力していた医師である。


旭化成ファーマから586万円の報酬

 近年、スイスのノバルティス ファーマや武田薬品工業の研究不正や不適切な広告が発覚し、医師と製薬企業の関係が問われているが、中村氏と製薬企業の利益相反はどうなっているだろうか。
 もちろん、論文の中では製薬企業から資金を得ていたことを言及していた。
 私は、製薬企業からの金の流れを調べてみた。日本製薬工業協会に加盟している製薬企業は、「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」に基づき、13年度分より医師個人への支払いを公開している。この制度を利用した。

 テリパラチドを販売するのは旭化成ファーマだ。公開されている13年度だけで、中村氏は586万円を講師謝金などのかたちで受け取っていた。教授・院長クラスの講演料や監修料の相場は1回で10~15万円なので、毎週なんらかのかたちで旭化成ファーマの仕事をしていたことになる。
 11年11月、旭化成ファーマはテリパラチド(商品名テリボン)を発売している。14年度の売上高は323億円。同社の屋台骨を支える薬に成長している。このようなことを知ると、前出の論文の見え方も随分と変わってくる。
 さらに調べると、中村氏は新薬承認の可否を審議する薬事・食品衛生審議会の部会の委員に就任する際に、製薬企業から金を受け取っていたことを報告しなかったようだ。6月、その事実が判明し、委員を辞任している。
 ただ、この時、厚労省が問題視したのは、MSDおよび帝人ファーマとの利益相反で、旭化成ファーマとの関係は不問に付された。厚労省がなぜ旭化成ファーマを挙げなかったのか、私にはわからない。1社から年間586万円の金を受け取っている医師が、医薬品の承認の議論に相応しくないことはいうまでもない。ちなみに中村氏は、問題となったMSDからは231万円、帝人ファーマからは107万円を受け取っていた。
 他社についても調べてみた。日本を代表する製薬企業である武田薬品からは60万円、第一三共からは211万円を受け取っていた。正直、この数字には驚いた。ナショナルセンターの院長としては予想外の金額だ。
 製薬企業はあまたある。おそらく、これでも氷山の一角だろう。中村氏は、「製薬企業と親密な医師」といっても差し支えない。


問われる厚労省の責任

 中村氏の名誉のために言うが、製薬企業から講演料や顧問料を受領するのは、きちんとしたルールに則っていれば違反ではない。ただ、ここまで製薬企業の副業に勤しんでいる医師が院長に相応しいだろうか。
 医療センターは厚労省直轄の旧国立病院だ。その幹部人事には、厚労省の意向が反映される。中村氏の院長人事から、厚労省は製薬企業との利益相反を問題だと考えていなかったことがわかる。ちなみに、14年4月の段階では、すでに臨床研究不正はマスコミで話題になっていた。厚労省の鈍感ぶりに驚く。
 医療センターでは約460人の医師が働き、68億円の運営費交付金(13年度)を受け取っている。これは埼玉大学や茨城大学が全学で受け取る運営費交付金よりも多い。
 そして、この病院の売りは「臨床研修」と「医療事故研究」。現在、92名の初期研修医、52名の後期研修医が「修業中」だし、医療センター幹部は、医療事故の主任研究者として巨額の公的研究費を受け取ってきた。

 また、今秋発足予定の医療事故調査制度の事務局を担う「一般社団法人日本医療安全調査機構」の理事長は、医療センター元総長の髙久史麿氏、常務理事は前院長の木村壯介氏が務めている。今回の事故対応には注目が集まっている。


院長は名誉職

 繰り返すが、医療事故はシステムエラーだ。システムが機能するか否かはリーダー次第だ。日本国民は低俗なリーダーが引き起こした戦争で塗炭の苦しみを味わった。病院の医療レベルは、結局のところリーダー、つまり院長のレベル次第だ。優秀な人が全力でやってほしいと思うし、当然ながら片手間でできる仕事ではない。
 院長業務の傍ら、かなりの時間を「アルバイト」に費やしていた中村氏は、院長としてどのようにスタッフをリードしてきたのだろうか。なぜ、こんなことが許されるのだろうか。私は、いまこそ中村院長に説明してほしいと思う。
 こんな院長で通用するのは、医療センターが国の組織だからではないか。実務は、厚労省から来た事務方やノンキャリスタッフがやってくれる。病院が赤字を出しても、自らが弁済するわけでなく、補助金で埋め合わせてくれる。これでは本業そっちのけでアルバイトに精を出す院長が生まれても不思議ではない。知人の厚労官僚は「ナショナルセンターでは、院長は名誉職」と言い切る。トップが、こんなことで組織が締まるはずがない。医療事故が起こるのも不思議ではない。
 今回の医療事故について院長である中村氏の責任は大きい。同時に、システムの被害者でもあると思う。彼は、「普通のナショナルセンターの院長」で、運悪く医療事故に遭っただけと思っているだろう。これは国民には不幸だ。トップが無責任だと、組織が緩むのは避けられない。医療事故は繰り返すだろう。
 今こそ、膿を吐き出して、構造的な問題を公で議論すべきだ。
(文=上昌広/東京大学医科学研究所特任教授)



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/46703.html
自力受診など勧める「コールトリアージ」を- 救急の日シンポで有賀氏
2015年09月09日 20時46分 キャリアブレイン

 「救急の日」の9日、救急医療体制のあり方を考えるシンポジウムが東京都庁で開かれた。基調講演で、昭和大病院の有賀徹病院長(都メディカルコントロール協議会救急処置基準委員会委員長)は、119番通報を受けた際、救急相談センター(♯7119)への転送や、緊急性が低い場合は自力で受診することを勧める「コールトリアージ」で、患者を振り分ける必要性を訴えた。【新井哉】


 有賀病院長は、救急出動件数の増加に伴い、出動中の救急隊が次の要請を受けて消防署に戻れないことや、休憩時間をなかなか取れず、搬送先の病院やコンビニ、ファーストフード店で食事を取らざるを得ない状況を問題視。改善策の一つとして、119番通報で緊急性が高い人は救急車やドクターカー、防災ヘリなどを要請する一方、緊急性の低い人は、自家用車や公共交通機関、徒歩など自力で受診するといったコールトリアージのイメージ図を提示した。

 また、今後も高齢者の救急搬送の増加が見込まれることから、高齢者の生活圏内で搬送システムを構築する重要性を指摘。「地域社会の中から出てしまうのを防ぐには、地域の病院の中で完結するのがいいのではないか」と述べ、地域の病院、地元医師会などを含め、地域社会の中で支える体制を構築する必要があるとした。

 基調講演の後のパネルディスカッションでは、東京消防庁救急部の緒方毅副参事が、高齢者施設に救急隊が出動した際、施設の協力病院から「受け入れる義務はない」と断られ、病院の選定に約2時間かかったケースがあったことを指摘。同庁救急相談センターの三浦邦久副医長(江東病院副院長)は同センターの役割を解説し、♯7119で看護師らが相談に応じた結果、「緊急度の判断ができなかったから」との理由で救急要請した人の割合を減らせたとした。

 また、東京都医師会の伊藤雅史理事は、院長を務める等潤病院で受け入れた救急搬送件数が8年前の2倍近くの水準になったことなどを説明。退院先の確保といった「出口問題」についても、術後のリハビリテーションの早期実施や、在宅・訪問診療の充実といった取り組みに力を入れているとした。港区民生委員・児童委員協議会の古橋義弘会長は、健康保険証や診察券のコピーなどを入れて冷蔵庫で保管する「救急医療情報キット」を取り上げ、訪問先の高齢者から「これがあるから安心」と高い評価を得るなどして、普及が進みつつある状況を述べた。



http://agingstyle.com/2015/09/09000582.html
Aging Style コラム 健康長寿で行こう!
「医療事故」と「医療過誤」の違い

2015.9. 9 印刷(Aging Style)

アメリカでインターンを始めて間もなくの頃、突然病院長に呼び出されました。

「君な、昨日救急で男の子を見たな」
「はぁ、家で頭をぶつけた子ですね」
「何故レントゲンを撮らなかった?」
「軽くぶつけただけで、腫れも内出血もなく、痛みもほとんどなかったので」
「それがいかん。もし、そのあとでまた頭をぶつけて骨折した場合、昨日の事故で骨折を見落としたと言われたら、証拠がないと訴訟で負けてしまう。君な、アメリカは訴訟社会だ。日本とは違う。患者を治療する前にまずカルテを治療すること。これがアメリカ医療の鉄則だ」

「医療事故」と「医療過誤」の違い、ご存知でしょうか?

そのアメリカ医療が日本でも横行し始めました。日常茶飯事のように「医療過誤」が報道されます。医師側の落ち度も多々あるのは残念ですが、「医療事故」との違いを理解しておらず、言いがかりに近い内容もあり、医療側の意欲を喪失させています。まず、「医療事故」と「医療過誤」を区別することから始めましょう。

医療行為は手術などで人体を傷つけることがあるため、時には予期しない有害結果が生じることがあります。これがいわゆる「医療事故」ですが、中には医療行為の性質上、回避が不可能なものがあります。これは「医療過誤」には入りません。その有害結果が予防、回避可能であるにもかかわらず、医療従事者がその予防・回避措置を怠った場合、「医療過誤」となります。回避不可能な「事故」まで、しばしば「過誤」として扱われることが問題といえます。

ところで、医療行為を合法的におこなうためには、以下の3つの条件が必要です。

1. 免許を有する資格者が治療目的でおこなうこと
2. 患者がその医療行為を承諾していること
3. 医療行為が現在の医療水準に達していること

この三要件のひとつでも欠けると、業務上過失傷害(致死)罪などで罰せられる可能性があります。残念ながら最近の事件は、ほとんどが3番目を満たしてないのが実情ですが。

以上は学士会会報での押田茂實日本大学名誉教授の寄稿を参考にさせていただきました。

塩谷 信幸(しおや のぶゆき)
北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長



http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20150909ddlk40040407000c.html
医療過誤:4500万円、地裁が支払い命令 新古賀病院医師らに /福岡
毎日新聞 2015年09月09日 地方版

 入院中の妻(当時63歳)が死亡したのは、医師が診療ミスをしたためだったなどとして、夫らが妻の入院先だった新古賀病院(久留米市天神町)を経営する医療法人天神会と主治医ら勤務医3人を相手取り、総額約8000万円の支払いなどを求めた損害賠償請求訴訟で、地裁久留米支部(太田雅也裁判長)は4日、原告側に対して計約4500万円を支払うよう天神会と主治医ら医師2人に命じた。残る1人の医師に対する請求は棄却した。

 判決によると、2009年4月6日、主治医は、入院中だった妻について、検査結果や症状から、腸が閉塞(へいそく)する絞扼(こうやく)性イレウスであることを疑うべきだったのに見逃し、その2日後には、妻の血圧低下が起きたとして診察した当直医も主治医への相談など必要な措置を取らず、漫然と経過観察を続けた−−などとして2人の過失を認めた。一方、同日午後に妻の手術をした医師に過失はなかったとした。

 病院側は「現時点でコメントできることはない」としている。【林壮一郎】

〔筑後版〕



http://diamond.jp/articles/-/78222
知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴【第101回】
混合診療問題を蒸し返す「患者申出療養」は誰のための制度か

早川幸子 [フリーライター]
2015年9月10日 ダイヤモンドオンライン

 来年4月、「患者申出療養(かんじゃもうしでりょうよう)」という新しい医療制度がスタートする。

 患者申出療養は、難病やがんなどの患者からの希望によって、日本では承認されていない医薬品などを健康保険が適用された治療と併用できるようにする制度で、現在、厚生労働省で具体的なしくみ作りが行われている。

 制度導入のきっかけとなったのは、昨年の春に規制改革会議で提案された「選択療養制度(仮称)」だ。

「選択療養制度(仮称)」については、患者団体、健康保険組合、日本医師会などが次々と導入反対の声を上げ、本コラムでもその危険性について指摘した。

 だが、「患者申出療養」と看板をすげ替え、昨年6月24日に閣議決定された「規制改革実施計画」に盛り込まれ、今年5月27日に成立した医療制度改革関連法で正式に導入が決定。

 患者申出療養は、当初、規制改革会議が提案した荒唐無稽な「選択療養制度(仮称)」に比べれば、一応の安全性や有効性が担保され、将来的な健康保険適用の可能性も示されることにはなった。

 この患者申出療養について、政府は「困難な病気と闘う患者」を救うためのものと説明しながらも、実際には当の患者たちの声をほとんど聞かずに作られたもので、規制改革会議での提案があった当初から、患者団体は強い懸念の声をあげ続けている。

 なぜ、患者も望まない制度を、国は躍起になって導入したのか。今回は、日本の「混合診療」をめぐる問題の変遷を整理してみたい。

混合診療の原則禁止は
医療の安全を守るための規制


 日本の医療制度では、いわゆる「混合診療」が原則的に禁止されている。

 日々、進歩する医療技術。数え切れないほどの医薬品や医療機器の研究・開発が行われている。だが、開発されても、実際には私たちの目に触れずに消えていくもののほうが多い。それは、医療が人の命に直結するものだからだ。

 新しく開発された医薬品や医療機器は、病気やケガの治療を目的として作られたとはいえ、化学化合物を投与したり、放射線をあてたりと、日常生活ではまず行われないことばかりだ。そのため、安全性と有効性が確認され、副作用も少なく、広く一般に普及できるものだと専門家が判断したうえで、ようやく医療の現場で使われるようになる。そして、実績が積み重ねられ、効果が認められると健康保険が適用され、誰でも使える治療として全国に広がっていく。

 一見、面倒に思えるプロセスだが、評価が定まらない治療によって国民が広範に健康被害を受けないようするためのしくみで、保険適用するかしないかの線引きは医療の安全を守る役割も担っているのだ。

 このように、私たちが健康保険を使って受けている「保険診療」は、安全性と有効性が確認されているもので、国がお墨付きを与えたものともいる。

 対して、健康保険の適用を受けていない治療のことを「自由診療」という。こちらは、期待できる効果は玉石混交だ。客観的なデータがなく、効果がよくわからない民間療法もあれば、研究の最終段階まできていて将来的には健康保険が適用される可能性の高いものまで、ピンからキリまでだ。

 医療費は、保険診療は全国一律の公定価格で、健康保険が適用されるので、かかった医療費の一部を負担するだけでよい。一方、自由診療は医療機関が独自に決めた価格となり、当然ながら健康保険は適用されないので、全額自己負担となる。

 個人の責任で自由診療を受けることは構わないが、健康保険を使って治療をしている保険医療機関では、国が許可していない医薬費や医療機器を使うことは原則的に禁止されている。これを破って一連の治療のなかで自由診療を行うと、保険診療が認められている検査や手術なども健康保険が適用されなくなり、患者は自由診療部分だけではなく、保険診療部分の医療費も全額自己負担しなければいけなくなる。

 だが、保険診療の治療を受けたけれど、治癒しなかった患者のなかには、専門家による評価が定まっていなくても、新しい薬や治療法を試したいと思う人もいる。そうしたニーズをくみ上げているのが、混合診療の部分解禁だ。

小泉政権下で起こった
混合診療の全面解禁論争


 混合診療の部分解禁が、制度として始まったのは1984年の「高度先進医療」だ。これは、特定の医療機関で高度な自由診療を提供することを目的としたもので、実施できる医療機関や自由診療の内容を個別に審査し、国が承認するというスタイルで慎重に行われていた。

 その高度先進医療を大きく変容させることになったのが、小泉政権下で起こった「混合診療の全面解禁」論争だ。

「規制改革・民間開放会議」「経済財政諮問会議」など、経済界のトップが委員に名を連ねる会議で、「規制改革」の名のもとに医療分野の制度改革にも彼らが注文をつけるようになったのだ。

 その岩盤規制の象徴とされたのが、「混合診療の原則禁止」だ。

 混合診療を全面的に解禁して、公的な健康保険の保障範囲を狭めてしまえば、民間保険会社や医薬品メーカーのビジネスチャンスが広がる可能性がある。一方で、患者側から見ると、新しく効果的な治療が開発されても、保険が適用されなければ、お金のある人しか利用できなくなるといったデメリットも生じる。

 日本の医療制度では、お金のあるなしにかかわらず、誰もが平等に医療を受けられるようにするためにも、混合診療が禁止されてきたという背景もある。だが、医療の安全を守り、人の命を守るための規制ですら、経済界の人々の目には「金儲けの邪魔」と映っていたようだ。

 当時の規制改革会議の議事録をたどると、議長の宮内義彦氏(オリックス 現シニア・チェアマン)は「(混合診療の全面解禁は)金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも医療を受けるという選択をする人もいるでしょう」といった言葉を残している。これは貧富の差によって医療を受けられない悲劇をなくしてきた国民皆保険の歴史も、理念も無視した、あまりにも非人道的な発言といえるだろう。

 しかも、混合診療を全面解禁してしまうと、安全性や有効性の定まっていない危険な治療がのべつ幕なしに広がり、国民の命が危険に晒される恐れもある。そのため、こうした規制改革会議のやり方に対して、医療界や患者、国民は猛反発し、日本医師会を中心とした国民医療推進協議会が「混合診療の導入に反対する請願」を提出。この請願は、2004年12月の衆参両院で、全会一致で採決され、混合診療の全面解禁は封じ込められることになったのだ。

 代わりに、大臣合意によって、これまでの「高度先進医療」を見直して、健康保険と併用できる自由診療の幅を広げることが決着。そして、2006年から運用されているのが、現在の「先進医療(保険外併用療養費の評価療養)」だ。

 先進医療では、それまでの高度先進医療のように医療機関や自由診療の内容を個別に審査するのではなく、自由診療の技術を行える施設基準を満たしているかどうかを、医療機関自らが届け出る方法に変更された。また、対象になる医療技術も、必ずしも高度ではないものも含まれることになり、対象範囲は大きく広がった。

 2015年8月1日現在、全国でのべ1563施設の医療機関で、107種類の先進医療が行われており、混合診療を望んでいた患者の利便性は高まっている。

 また、先進医療は、将来的に健康保険を適用するかどうかを評価する段階の治療や医薬品と位置づけており、安全性や有効性、普及性などが認められれば、健康保険が適用されることになっている。

 2011年10月に出された最高裁判決でも、「混合診療の原則禁止は適法である」という判断が下され、長い間の論争に決着がついている。

 先進医療は、医療の安全を守りながら、新しい医療技術を保険に収載していくための合理的な手段で、これを粛々と運用していくのが国民にとっては好ましいことといえるのだ。

 ところが、その決着済みの問題を蒸し返したのが、現政権に設置された新しい規制改革会議だ。

蒸し返される混合診療問題に
患者の姿は見当たらない


 当初、会議が提案した「選択療養制度」は、患者の自己責任のもとで、保険適用外の治療や医薬品をなんでも保険診療と併用させるというもので、実質的な混合診療の全面解禁を狙ったものだった。

 しかし、提案されるやいなや、すぐさま保険者3団体(健康保険組合連合会、国民健康保険中央会、全国健康保険協会)が連名で反対を表明。また、制度創設の大義名分とした「困難な病気と闘う患者」の代表ともいえる日本難病・疾病団体協議会(JPA)が、「必要な医療は保険でとの原則を堅持した国民皆保険制度のさらなる充実を強く願う」という要望書を出したのだ。

 あまりの評判の悪さに、規制改革会議では、安全性や有効性を担保するために、「論文などによって合理的根拠の疑わしい医療を排除」「医師の診療計画を作る」「中立の専門家による評価を受ける」などを追加した修正案を提出。しかし、昨年4月23日の会議後の記者会見では、議長の岡素之氏(住友商事相談役)に、記者たちから厳しい質問が浴びせられ、選択療養制度の導入は風前の灯にも思われた。

 だが、安倍信三首相の「保険外併用療養費制度のしくみを大きく変える制度改革を関係閣僚で話し合ってまとめてもらいたい」という指示により、昨年6月に「患者申出療養」と名称を変えて導入が決定。

 来年4月から、患者からの申し出のあった保険適用外の治療で、一定の条件を満たしたものについては、保険外併用療養費の第3のカテゴリーとして、健康保険との併用を認めることになる。

 患者申出療養は、荒唐無稽な選択療養制度とは異なり、(1)国において、専門家の合議で安全性・有効性を確認、(2)前例のない診療については、臨床研究中核病院または特定機能病院に限定、(3)保険収載に向けた実施計画書の作成、重篤な有害事象の報告義務なども定められ、一応の安全性は確保されることになっている。

 しかし、患者団体からは、「新しい治療ができても、保険適用が遅れて、高額な負担が続くようになるのではないか」といった不安の声が上げられている。実際、この8月21日にも「日本難病・疾病団体協議会(JPA)」「全国がん患者団体連合会(全がん連)」という2つの患者団体が、患者申出療養に対する懸念を示した意見書を提出し、記者会見を行ったばかりだ。

 規制改革会議は、制度導入の理由を「患者の選択肢を増やす」と、まるで患者にニーズがあるように言う。しかし、実際にはこの制度を求める患者の姿は一向に見えてこない。いったい、これは誰のための制度なのか。

 これまで何度も混合診療問題は蒸し返されてきた。だが、それは明確な患者のニーズではなく、経済界側の意地なのではないかと思うのだ。

 混合診療は、業界団体などの反対で簡単には撤廃できない「岩盤規制」の象徴とされてきた。それは、10年前、圧倒的な人気を誇った小泉純一郎首相のもとでも突き崩すことはできないほど強固なものだった。

 今回、その弔い合戦として行われたのが患者申出療養の導入だったとみることもできる。一応の安全性の確保などは謳われているが、これまで以上に保険外の治療が広がることは事実だ。実際に運用されると、私たちが受ける医療にはどのような影響を及ぼすのか。

 次回は、患者団体が示している懸念の声とともに、制度の詳しい内容について紹介する。

世論調査



https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yakushiji/201509/543745.html
連載: 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
「にて魔人」と「愚者様」

薬師寺泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)
2015/9/10 日経メディカル

 9月になり、夏休みは終わってしまったわけですが、大阪は 暑い日が続いております。皆様お元気でお過ごしでしょうか?もちろん日本で働く医療従事者が8月いっぱい休むなんていうことは叶うわけもなく、夏休みというのは小・中学生の話です。9月を迎えるにあたり、全国の児童・学生は夏休みの宿題の提出に追われているのかなぁなどと考えていました。

 夏休みの宿題をどうするかは、おおむね3タイプに分かれます。とにかく休みの前半に終えてしまって後は遊ぶタイプ、毎日コツコツやるタイプ、溜め込んで8月終わりにヒィヒィ言うタイプ。人それぞれのペースがありますが、この三者に共通する点は「最終的には提出する」ということです。


 僕が「提出しない」という選択肢を知ったのは高校の時でしたが、小・中学生のころからこの選択をする覚悟があればもう少し夏休みを満喫できたのになぁと少し残念な思いがあります。あまりそんなことを言うとイメージが悪くなるので僕の話はこのくらいで…(汗)

昆虫図鑑の読書感想文を書いた昏迷時代

 夏休みの宿題といえば作文やら読書感想文やらなるものがあります。これが昔から大嫌いでした。特に読書感想文。何を書いていいか分からないし、何のために書くのかもよく分かっていませんでした。僕の記憶が正しければ、適切な書き方を教わったことはありませんし…。もし学校できちんと読書感想文の書き方を教えてもらった人がいたら挙手願いたく存じます。

 今画面の向こうで手を挙げてくださった人はありがとうございます。正直そういう人が羨ましいです。手はもう下ろしてください。

 僕が実際にどんな読書感想文を書いていたかというと、ストーリーを追いながらその場で感じたことを述べていくという、よく分からない文章でした。とにかく字数を埋めるのに必死だったのです。桃太郎を例に出すなら、「おじいさんは山へしばかりに行っていて、毎日大変だなと思いました」とか、「桃を切ったら中から桃太郎が出てきたと言いますが、よく桃太郎は切られなかったなと思いました」などという、正直どうでもいい感想をつらつら書いていたのです。こんな文章を書いて提出しても、誰も訂正してくれません。素晴らしい文章の何が素晴らしいのかを教育されないまま成長した結果、最終的には「昆虫図鑑を読んで」などという意味不明な感想文を書くほど、本当にわけの分からない方向に向かっていました。

医師の文章作成能力

 こんな僕なのですが、今や初期臨床研修のマッチング試験で学生に書いてもらった小論文の採点をしています。まさか読書感想文を嫌々書いていた頃、他人の文章を評価することになるとは夢にも思いませんでした(もちろんあの頃のままではなくて、少しは文章を書く意義を理解して文章構成について考える機会を得ておりますから、わけも分からず適当に採点するなどということはしていませんよ…)。


 医者は文系か理系かということがたまに話題になりますが、両方の要素が大事だなと働いていて実感します。自身の意見を論理的に文章化しなくてはいけない機会は多く訪れます。日々のカルテはもちろん、紹介状や返書の作成、学会の抄録や論文の作成など、日々文章の作成に追われています。このコラムもそうですが…。きちんとした論理の通った文章が書けなければ、やっぱり頭の中で理論構成がうまくできていないということですから、患者説明にも不安を残すことになります。試験に小論文を課すというのは合理的だなと思わずにはいられません。小論文を試験に課すことで、文章構成、論理的思考を養ったり、適切な日本語を記載したりする練習を積んでもらうのです。

 まぁしかしなかなか現実は難しいものです。業務上、研修医のカルテや紹介状をチェックする機会が多々あるのですが、苦笑いをするしかないような文章を提示してくることがしばしばあります。

 でも僕も少なからず最初はそうだったのだと思います。思い返せば、研修医のころ内科をローテートしてはじめて書いた退院サマリを上級医に見せたところ、真っ赤っかに添削されて戻ってきたものです。小論文の書き方を学んだくらいで良い文章が書けるようになれば苦労しません。文章作成能力は、医師が医療スキルとともに一生磨き続けなければならないものなのかもしれません。

駆逐したい「にて魔人」と「愚者様

 さて、読書感想文の書き方が分からず、退院サマリも真っ赤っかに添削されてきた僕が言うのも本当におこがましいのですが、最近研修医の紹介状などを添削していると、違和感を覚える表現が2つほどあるので、相談させてください。これみなさんの近くでも見掛けますか?

(その1)にて魔人
 僕が勝手に「にて魔人」と呼ぶ紹介状です。とにかく「…にて」を連発します。

例)当院にて行った胸部Xpにて浸潤影を認め、上記診断にて抗生剤投与を行っております。
 格助詞の「に」と接続詞の「て」がくっついて格助詞として機能する言葉ですね。一つ目が場所を表す「にて」、二つ目が手段を表す「にて」、三つ目が理由を表す「にて」なのでしょうか。文法的には多分正しいと思うのですが、いかんせんリズムが…。その都度「にて魔人」を退治するのですが、なぜか駆逐しきることができません。にてにて言っているとなんか気持ち悪い感じがするんですが。本人はにてにて言っている方が心地良いのでしょうか?

(その2)愚者様
 もう一つ、僕が勝手に「愚者様」と呼ぶ紹介状があります。とにかく自分は愚かであるとへりくだります。

例)当院で診察した限りでは○○と愚考しており、○○も必要かと愚考しております。
 もう少し自分の考えに自信を持って良いのではないかと思うのですが…。へりくだり過ぎて、本当に愚かに見えてきます。せめてここぞという1回にしてはどうでしょうか。

 もしかしてこれらは僕が間違っていて、何度もにてにてしたり愚考したりするのが普通なのでしょうか?それとも当院だけで流行っているおかしな風習なのでしょうか?よく見られる現象なのでしょうか?

 にて魔人や愚者様を見かけた人はぜひ教えてください。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=123616
採用内定看護師に250万円貸与、5年勤務で返還免除
(2015年9月9日 読売新聞)

 広島県神石高原町は、町立病院に採用が内定した看護師に対し、今年度から5年間、就職支度金として250万円を上限に貸与することを決めた。

 人材確保が目的で、5年間勤務すれば返還は免除される。開会中の町議会に6人分、計1500万円を盛り込んだ2015年度一般会計補正予算案と、関連条例案を提案する。

 同病院の正看護師と准看護師の数は、7月1日現在で42人。「やや不足気味」(町保健課)で平均年齢も51歳と高く、今後6年間に19人の退職が見込まれている。看護師は都市部での勤務の希望者が多く、将来の人手不足の深刻化が予想されるため、就職に関する貸与制度を導入することにした。

 対象は40歳未満。申請に対し、書類審査を経て250万円を限度に、一括で無利子貸与する。使い道は限定しない。補正予算案には、来年度の採用内定者3人に加え、例外的に今年度採用した3人分も計上した。

 町では13年度から、町内の医療機関で勤務を希望する医学生や看護学生らへの奨学金制度も実施。町保健課は「病院で働いてもらうために、注目度の高い金額を打ち出すことにした。公立病院の看護師にこれだけお金を出すのは、他に例がないのではないか。就職準備や自己研さんなどに充ててもらいたい」としている。


  1. 2015/09/10(木) 06:30:01|
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