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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月23日 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150823-00050098-yom-soci
国立大26校、文系学部の改廃を計画
読売新聞 8月24日(月)3時0分配信

 文系学部のある全国の国立大60校のうち、半数近い26校が2016年度以降、文系学部の改廃を計画していることが、各国立大学長を対象にした読売新聞のアンケート調査でわかった。

 教員養成系学部を中心に計1300人以上の募集が停止され、定員の一部を新設学部に振り分けるなどの改革が行われる。国立大の文系に再編の波が押し寄せている実態が浮かび上がった。

 文部科学省は今年6月、大学改革を狙いに、法学部や経済学部などの人文社会科学系と教員養成系の学部・大学院の廃止や他分野への転換を求める通知を出した。アンケートはこれを受け、全国立大86校の学長に7月末現在の学部の改廃計画や通知への受け止めなどを尋ね、81校から回答を得た。



http://www.m3.com/news/general/350636?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150822&dcf_doctor=true&mc.l=118318475
ジェネリック、海外での品質検査強化へ…安全確認し普及促進
2015年8月22日(土)配信 読売新聞

 新薬より安価な後発医薬品(ジェネリック)の普及を促進するため、政府は来年度、日本に原薬や製剤などを輸出する海外製造所に派遣している査察員を、増員する方針を固めた。

 ジェネリックの信頼性への懸念が普及への障壁になっているためで、研究者などから品質への疑問が出たジェネリックについて、厚生労働省が実施した品質確認検査の結果を、新たにまとめる。

 薬の安全性の査察を行う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(PMDA)の担当部門を、現在の約50人から1・5倍程度に増員する。査察員は海外の医薬品製造所に出向き、〈1〉製造過程や品質管理〈2〉社員の教育訓練――について、国内と同様の査察を実施する。

 疑問が指摘されたジェネリックの品質確認検査の結果については、厚労省が「ブルーブック(仮称)」として冊子にまとめ、医療関係者らに配布する。

 ジェネリックは特許の切れた新薬と同じ有効成分で作られ、価格は3~5割程度のものが多い。効果や安全性は、厚生労働相が新薬と同等と認定しているが、医師や利用者の間では不安が根強く、2014年の厚労省調査によると「積極的には処方しない」とした医師の約6割が「(効果や副作用を含む)品質に疑問がある」と答えた。

 今年2月現在の普及率は、欧米各国よりも低い58・2%。中でも、「輸入品の安全性への問い合わせが多い」(厚労省)ことから、海外査察員の増員により不安解消を目指すことにした。同省は来年度予算の概算要求に、ジェネリック普及の関連費用として計9億1000万円を盛り込む。

 政府は6月末、年40兆円を超す医療費削減の目玉として、ジェネリックの普及率を20年度末までに80%以上に高める目標を設定。達成されれば、年に1・3兆円削減できる計算だ。

 厚労省ではこのほか、ジェネリック普及に向けた総合戦略を月内に策定する方針で、承認当初は新薬の6割(一部5割)に設定されている価格を、さらに引き下げられないか検討する。ジェネリックに市場を奪われる形になる新薬メーカーについても、薬価改定の度に安くなる新薬の価格を、特許期間の20~25年の間は下がりにくくする育成策を検討する。



http://www.m3.com/news/iryoishin/349486
シリーズ: 改革進む医学教育
4年生全員が4カ月間の研究実習◆広島大学Vol.2
「基礎研究に全員を曝露させる」、海外での実習も

2015年8月23日(日)配信 成相通子(m3.com編集部)

 広島大学は、2012年度から医学部4年生全員を対象にした4カ月間の研究実習を始めた。これまで、4年生の年度末に行っていたCBTやOSCEを半年前の9月に前倒しし、10月から翌年1月末まで「みっちりと研究生活」を送るという。

 開始直後から担当している広島大学大学院医歯薬保健学研究院分子細胞情報学教授の今泉和則氏によると、目的は2つ。1つは臨床医になる学生にも研究マインドを養ってもらうこと。2つ目は医学研究を将来志す学生の育成だ。

 それ以前は2年次に1、2カ月間の研究実習をしていたが、低学年で知識が乏しいことや短期間であることから研究を掘り下げて行えず、不十分だとの反省があった。また、全国的に基礎研究の志望者が減少するのと同じく、広島大学でも減少。臨床医の研究マインドを養い、基礎研究者を増やすためには、全員が長期間、研究に没頭できるような仕組みが必要だった。

 開始の5年以上前から教授会で医学教育のカリキュラム再編の検討を重ね、座学を圧縮するなどして、2012年度に始まった。

1人1人が研究成果を発表

 具体的な実習は、多くの研究室が協力して支えている。学生は1 学年約120人。医学科以外にも原爆放射線医科学研究所などの計53~54の研究室に、教室の大きさに合わせて1~6人を配置。必ず1人1テーマが教員から与えられ、教員に示された研究の道筋に沿って実験を進める。テーマは基礎・社会医学研究に絞り、臨床研究は対象から外している。

 学生には、『医学研究実習手帳』という手のひら大の手帳が配布され、その日の研究内容や発見、感想などを毎日書き込む。教員がチェックし、出席や研究の進捗状況の把握に利用する。研究成果は、1カ月ごとにまとめて、レポートを提出。4カ月目の最後のレポートは、最終的な報告書として冊子にまとめている。

 最終週には、300人以上が収容できる広仁会館のホールで研究成果のプレゼンテーション大会を開催。4カ月間の成果についてポスターを展示し、6分のプレゼンと4分の質疑応答を行う。3人1組の教員が6組に分かれ発表の審査を行い、点数の上位学生から優秀賞を選ぶ。翌日、優秀賞受賞者は講義棟においてオーラルプレゼンテーションを行い、さらに最優秀賞の受賞者が1人選ばれる。

 中には、学会や、研究会で発表する学生も出てきており、今泉氏は「いいサイクルに入ってきた」と評価する。2012年度の4年生は現在卒後研修1年目で、実際に基礎研究に進む人が増えるかはまだ分からないが、研究実習が終わった後も臨床実習をしながら研究室に顔を出す学生も出てきた。また、「もともと医学研究を志しておらず、『自分は臨床一本だ』という学生が、研究の楽しみを見いだしガラッと変わった」(今泉氏)ケースも。臨床にしか興味がないと思っている学生も含め全ての学生を研究に「エクスポーズすることが大事」と今泉氏は強調する。

 今泉氏によると、医学部の学生は「医師になりたい人がほとんど」。しかし、研究者としての考え方やアプローチの仕方を学ぶことは臨床医にとっても重要だという。

 大学としてカリキュラムを組めるのは4カ月間だけだが、興味を持つ学生が増えて、自主的に研究を続け、成果が出ることを期待している。

学外の研究室でも実習

 学内の研究室だけでなく、協力する国内外の研究室で研究もできる。国内では理化学研究所や東京大学、京都大学の研究室、海外ではカナダのトロント大学や米国のハーバード大学、イリノイ大学、UCLAなどに派遣している。これまでに海外の研究室で実習したのは約33人で、2015年度は8人が行く予定だ。

 国際交流を担当する広島大学大学院医歯薬保健学研究院基礎生命科学部門ウイルス学教授の坂口剛正氏は「私を含めて、以前はポスドクで留学するのが主流だった。留学すると大きな刺激を受けて、『変わる』体験ができる。ぜひ若いうちにそういう体験をしてほしい」と語る。

 海外の大学への派遣は、国内よりも慎重にマッチングを行い、研究実績が出せるように配慮している。派遣先は、広島大学医学部の教員の直接の知り合いやコネクションがあった教授の教室で、派遣先から求められるスキルや研究内容を聞き、それに応えられる学生を審査して選ぶ。1年生から実施しているTOEICの成績も考慮される。

 2014年度にハーバード大学の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で集中治療の基礎研究をした5年生の高田康平氏は「アメリカ人は作業が適当なところもあってびっくりした」と笑う。「海外に出て、日本の良さも痛感した。一つのことを粘り強く研究する楽しみも分かり、将来の選択肢も広がった」と振り返る。トロント小児病院に行った5年生の吉田龍平氏は「プレゼンで熱い討論が続くのはすごかった。一方で、日本の医療制度の優れた点も分かった。学生の時にしかできないことが経験できた」と話した。



http://www.m3.com/news/general/350856
依存性のある睡眠・抗不安薬「ベンゾ系薬剤」、過剰処方が2割
2015年8月23日(日) 読売新聞

 精神科などを受診する外来患者の約2割が、睡眠薬や抗不安薬に広く使われている「ベンゾジアゼピン(ベンゾ)系」の薬剤の処方量が過剰であるとする調査結果を、医療経済研究機構がまとめた。

 依存性があるベンゾ系薬剤は、使い続けるとやめにくくなる危険があり、厚生労働省は診療報酬で睡眠薬や抗不安薬の多剤処方を制限している。

 大手調剤薬局のデータベースを使い、2011年4月~昨年11月に精神科と心療内科から発行された、延べ110万人分の処方箋を分析した。その結果、標準的なベンゾ系薬剤(ジアゼパム)換算で1日当たりの最大用量を超えていた割合は19・1%だった。内訳は2倍以内が13・3%、2倍超から3倍は3・7%、3倍超は2・1%だった。

 日本は先進国の中でベンゾ系睡眠薬の使用量が極めて多いことが知られている。厚労省は昨年度の診療報酬改定で、睡眠薬や抗不安薬を一度に3種類以上処方した場合、原則的に診療報酬の一部を請求できない仕組みを導入した。だが、今回の調査ではベンゾ系薬剤の処方量は導入前と比べてあまり変わっていなかった。

 調査結果をまとめた同機構の奥村泰之主任研究員は「規制を導入しても全体の処方量を減らすことにはつながっていない。薬をやめにくくなる場合があることを念頭に置き、過剰な処方が行われないようにする対策が必要だ」としている。



http://mainichi.jp/edu/news/20150823ddlk43040200000c.html
ブラック・ジャックセミナー:外科医を目指して 高校生が手術模擬体験 済生会熊本病院 /熊本
毎日新聞 2015年08月23日 地方版

 高校生が外科医の指導を受けながら手術の模擬体験をする「ブラック・ジャックセミナー」が22日、熊本市南区の済生会熊本病院であり、市内の高校1年生38人が参加した。

 外科医不足を解消するため、将来的に医療界を志してもらうことを目的に、医療機器メーカーが2005年から全国各地で実施。過去のセミナー受講者が実際に外科医になったケースもあるという。

 参加者は、手術室で本物の超音波メスや電気メスを使って人体の代わりに豚肉を切断したり、実際の医師たちも練習のために使う手術シミュレーターや内視鏡手術トレーニングを体験したりした。

 真和高1年、野満友喜さん(15)は「ここで人の命が救われていると思うと緊張した。手術シミュレーターの画面はリアルで面白かった」と話した。

 済生会熊本病院の田中秀幸外科医長(48)は「セミナー参加者の進路の選択肢に医療界も加えてもらえたらうれしい」と話していた。【野呂賢治】



http://apital.asahi.com/article/news/2015082400004.html
山梨)育て、未来の外科医 模擬手術体験の催し
2015年8月24日 朝日新聞

 小学生に外科医の仕事を身近に感じてもらおうと、手術を模擬体験するイベント「ブラック・ジャックセミナー」が23日、甲府市富士見1丁目の県立中央病院で開かれた。

 外科医不足の中、子どもたちに興味を持ってもらおうと、医療機器メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン(本社・東京)が全国で進めている取り組み。県内では初開催だという。

 県内の小学5、6年生42人が参加。グループに分かれて気胸手術、内視鏡、救急救命などのブースを回り、本物の縫合器や超音波メスを使った模擬手術をおこなった。救急救命のブースでは人形を使い、人工呼吸や電気ショックなどの蘇生術を体験した。




http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03138_06
クロストーク 日英地域医療
■第9回 ピア・レビューや外部監査の機能を持つ英国の医療

川越正平(あおぞら診療所院長/理事長)
澤 憲明(英国・スチュアートロード診療所General Practitioner)
企画協力:労働政策研究・研修機構 堀田聰子
(前回からつづく)
週刊医学界新聞 第3138号 2015年08月24日

日本在宅医と英国家庭医──異なる国,異なるかたちで地域の医療に身を投じる2人。現場視点で互いの国の医療を見つめ直し,“地域に根差す医療の在り方”を,対話[クロストーク]で浮き彫りにしていきます。

川越 これまでの議論からも明らかなように,英国は「登録医制度」であることを活かし,日常診療はもちろん,そこからさらに一歩踏み込んだ形で医療へ取り組めているようです。今回はその実践について伺っていきます。

登録制と電子カルテの両輪で,予防的アプローチを実践

川越 GPにとって「予防や健康増進を通し,地域全体の健康を支えること」も重要な役割であると,澤先生はよく指摘されています。前提として,英国の各診療所のGPたちは,登録住民の健康の度合いをどのようにして把握するのかを教えていただけますか。

澤 冒頭にご指摘いただいたように,患者の医療情報を一元化できる「登録制」が土台として機能しています。その上で,英国では,ほぼ全ての診療所に共通の機能を持つ電子カルテがありますから(第4回,第3113号),蓄積してきた登録住民の医療情報・記録をいつでも可視化できるわけです。

川越 日本での状況を照らして考えると,「他の医療機関で検診を行っているかどうか」という点も,患者さんに確認することがなければわかりません。英国では,登録医制度や前提となる診療情報の電子化・統合を進めてきたことにより,かかりつけ患者の健康管理までスムーズに行うことができているわけですね。

澤 それが予防的なアプローチを実践する上でも役立っていて,例えば,電子カルテでハイリスク集団に予防を呼び掛けるということも可能です。登録住民の「65歳以上の住民,または65歳未満であっても糖尿病・喘息を抱える患者,妊婦などから,インフルエンザワクチンの未接種者」を割り出し,当該者一人ひとりに手紙を出すことで予防接種を促すなど,実際に日常的に登録住民へ予防的な働き掛けを行っています。

川越 まさに登録医制度であることが活かされているんですね。

澤 おっしゃる通りです。予防から日常的な健康問題,さらには看取りまで,地域住民をトータルに支えるGPの仕事をこうしたシステムが助けてくれているんです。

動機付けには成果払いの仕組みも

川越 そうした健康増進に医療機関が取り組もうという動機付けの部分にもポイントがあるように思いました。何かインセンティブになるものが存在しているのですか。

澤 はい。基本的に診療所に登録している住民が健康になればなるほど,診療所が得をする仕組みになっています。

川越 診療所にとっては「報酬を増やす」目的を果たすことにもなる,と。

澤 そうです。そこで機能するのが,「成果払い(Quality and Outcomes Framework;QOF)」の仕組みだと思います。診療所が提供するサービスによって登録住民の電子カルテ上の健康データが改善すると,診療所の実績として評価され,QOFによる収入として報酬が入るようになっているんです。とはいえ,診療所の収入の大部分は,登録住民数や地域の健康ニーズの程度を加味して決められる「人頭払い」が占めてはいるのですが(註1)。

川越 どのような項目が成果払いの評価対象になるのでしょうか。

澤 例えば,「高血圧患者のうち,血圧が150/90 mmHg以下にコントロールされている人の割合」「糖尿病患者でHbA1cが7.5%以下にコントロールされている人の割合」といった項目が基準になります。また,数値上の改善が見られなくても,適切な検査や助言,治療を提供しているか否かも評価されており,報酬に反映されます。こちらは「認知症の診断前後に適切な血液検査を受けた患者数の割合」「禁煙指導を受けた喫煙患者数の割合」といった項目が挙げられます。

川越 どの国であっても,“取り分”が増えれば,取り組む者も増えるだろうという発想が根底にある点は共通しているのだなと感じました。しかも,おそらくそれが過重な労働負担にならない範囲で,医療の付加価値を高めることにつながるという実感も伴っているのでしょう。

澤 ただ,こうした成果払いの仕組みは,利益を追求するあまりに過度の医療化につながる恐れもあります。ですから,QOFには上限が定められており,ある一定の達成水準を超えると,それ以上の報酬が入らないようになっています。

 かつては診療所の診療報酬の3割ほどをQOFが占めた時代もあったようです。しかし,収入におけるQOFの割合が多いことが,「患者を“人”としてではなく,“数値”としてとらえるようになってしまうのでは」と懸念を抱くGPも多かった。それで最近になってQOFは1割程度に減少され,減った分は自動的に診療所に入る「コアファンディング」へと切り替わったという経緯もあります。

川越 なるほど。現在は,患者を過度に医療化しない工夫を意図的に盛り込んでいるということですよね。

外部監査は医療の質の担保も図っている

川越 診療所で行われている高血圧診療を,“外部から電子カルテ上で評価する”といったことが行われるというお話でした。ここには,各診療所が提供する医療の内容と質を「外部からチェックする」という点でも意義があるように思いました。

澤 外部からのチェックという点で言えば,前回紹介した「Clinical Commissioning Group」の中に,地域の診療所の薬剤処方のデータを集積し,処方内容を監査する「Medicines Management」というグループもあります。この組織は地域の診療所に対し,費用対効果の低い薬剤処方について注意喚起し,可能な限り安全かつ費用対効果の高い薬剤処方を促しているんです。

川越 具体的にはどのような介入をするのでしょう。

澤 以前,実際に経験した例を紹介します。私の診療所では,高血圧患者に出すカルシウム拮抗薬を,大体「lercanidipine」「amlodipine」「felodipine」の3つから選ぶようにしているのですね。28日分のコストを各10 mgの用量で計算すると,それぞれ£1.57,£1.00,£5.66。以上からもわかるようにfelodipineは比較的高コストです。しかし,得られる効果自体は他と大きく変わらないことから,Medicines Managementは可能な限りlercanidipineまたはamlodipineを処方するよう地域の診療所に呼び掛けていました。私の診療所は,こうした呼び掛けを受け,電子カルテでfelodipineを定期的に内服している高血圧患者を同定し,処方薬をlercanidipineに変更するに至っています。なお,この切り替え作業そのものも,診療所側がイエスと言えば,Medicines Managementが代わりにやってくれるんです(註2)。

川越 日本の場合,コストの意識はお世辞にも高いとは言えませんから,学ぶところが多くありますね。漫然とした薬剤処方を見直す契機にもなって,医療の質を上げるという点でも効果を発揮するのではないかと思いました。

澤 日本には医師の処方内容を外部から確認するシステムはないのですか。

川越 「疑義照会」といった形で薬剤師が医師の処方内容を確認する仕組みは存在しますが,澤先生の説明された取り組みとは異なります。もし仮に「1年間,処方内容に変更がない場合は,薬局の薬剤師が医師に対してアラートを発する」といった仕組みに発展すれば,有効なのだろうと期待できるのですが。

 ただ,日本の診療所医師にとって,「外部監査」は想像し難いことでしょう。英国の診療所のように複数医師の体制であればピア・レビューを内在化することにもなりますが,日本はそもそもがソロプラクティスの診療所が多数を占め,ともすれば「オレ流」の医療すらも存在し得る状況と言えますから。

澤 英国でも特に年配のGPでは学習意欲が低下し,昔からの診療スタイルを崩したがらない方がいるのも事実です。それでも,成果払いや外部監査機能,あるいはNICEのガイドライン(第5回,第3115号)など,「標準」を注意喚起し,そちらへ促す仕組みによって,危険な医療を排除し,質のばらつきを抑える方向には向かえているのではないかと思います。

川越 このように考えると,現状の日本は外部からの目が入る仕組みや枠組みが不十分と言えます。自らの実践を振り返り,どのように自己改革に取り組むべきかを考える姿勢を持っているのか,自分を含めて問い直す必要性を感じますね。

(つづく)

註1:英国の診療所に対する診療報酬の仕組みは複雑で,かつ毎年変更があるため詳細は記載しないが,「人頭払い」「成果払い」「出来高払い」等で構成される。澤氏の診療所では収入の約7割が人頭払いに相当。また,本文に登場しない出来高払いは,必要不可欠な医療サービスとは異なり,「Enhanced Service」と呼ばれる付加的なサービスの一部を提供することで得られる収入。具体的には,より複雑なマイナー外科,薬物依存症外来等。
註2:患者には,診療所から一連の事情を書いた手紙を郵送し,変更を承諾しない場合は診療所への連絡を呼び掛けている。澤氏が挙げたケースでも一部の患者から変更前の薬剤を希望する声があり,それらの患者にはfelodipineを継続したという。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03138_05
The Genecialist Manifesto ジェネシャリスト宣言
「ジェネラリストか,スペシャリストか」。二元論を乗り越え,“ジェネシャリスト”という新概念を提唱する。
【第26回】
無知と配慮の診断学

岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科)
(前回からつづく)
週刊医学界新聞 第3138号 2015年08月24日

 ニュースの賞味期限は短い。本稿を書いている2015年7月7日は,サッカー女子ワールドカップでなでしこジャパンがアメリカに大敗した翌日である。世間はこの話題で持ちきりであるが,もう翌日にしてメディアもネタが尽き,どうでもよい話題をほじくり返している。あと2週間も経つと,誰もこの話題を口にしなくなるだろう。

 そのなでしこの前に大騒ぎになっていたのが,感染症のMERSである。もっともMERSそのものは2012年に見つかった感染症でさほど新規性はないのだが,隣の韓国で小流行が起きたために大騒ぎとなった(そしてほどなく誰も騒がなくなった。なんとなく)。



 「Middle East Respiratory Syndrome」というくらいだから,MERSは中東の疾患である。サウジアラビアなど中東諸国から帰国し,当地で発症する。イギリス,ドイツ,フランス,オランダ,アメリカなど,多くの先進国で患者が発見されている。フィリピンやタイなどアジア諸国でも輸入例が見つかっている。しかし,渡航先で流行したのは韓国だけの特殊な事例だ。

 韓国であっても医療機関での感染がほとんどで,コミュニティーで流行しているわけではない。韓国からMERSが日本に輸入される可能性はもちろん皆無ではない。しかし,中東からの渡航者でMERSが発見される可能性のほうがずっと高いとぼくは考える。韓国での小流行はじきに収束を迎えるが,中東での発症は今後長く続く可能性が高いからだ。それが数日後のことか,数年後のことになるのかはぼくにはわからないけれど。



 2014年には西アフリカを中心にエボラ出血熱が流行し,こちらも大騒ぎになったがやはり「なんとなく」,皆騒がなくなった。メディアもそうだが,医療機関でもガードをガチガチに上げてビビった揚げ句,誰もビビらなくなるといういつものパターンである。

 もっとも,ビクビクしないのは正しい態度である。どのみち,医療をやっている限り感染症患者からの曝露リスクは常に,恒常的にあるのだから,短期的にビクビクするのは意味がない。

 世界には感染症の擦れっからしのプロ以外は聞いたこともないであろう感染症がうじゃうじゃしている。ただ,それがたまたま偶然,日本に入ってきていないというだけの話だ。リスクは常にある。そのリスクを感得できていないのは,単に無知のせい(おかげ?)である。無知は常にリスクを過大評価するか,過小評価するかのいずれかの態度に導くのだ。だから,エボラ騒ぎのときも必要のない大騒ぎをした揚げ句,「本当に大丈夫かな」と言いたくなるくらいのノーガード状態にさらりと戻る。

 ある感染症が話題になって診療現場が大パニックになり,過剰反応をしまくった揚げ句に急に無関心になる。ぼくらはこのワンパターンな繰り返しを何度も見てきた。エイズ然り,SARS然り,新型インフルエンザ然り。どうしてこのワンパターンから学習しないのだろう,と思う。

 つまり,日常診療の段階で感染症を疑ったときに丁寧に旅行歴を尋ねる習慣を持っていれば,どのような新規の感染症が現れても,きちんと対応はできるのである。これが過小評価も過大評価もしないためのシンプルにして最大の防御だ。個々の病原体に特化したスペシャルな議論ではなく,「発熱患者に渡航歴を聞く」というジェネラルな命題にすればよいのだ。しかし,ぼくが知る限り,発熱患者,咳の患者,下痢の患者に全例旅行歴をとっている医者はごく少数派に属する。



 隣の韓国のお粗末なMERS対応を嗤っている場合ではない。なぜ日本でSARSが,エボラが,そしてMERSが入り込まず(so far),かつ国内流行をしなかったのか。よく問われる質問だ。ぼくの答えはいつも同じ。「日本は運が良かったからだ」である。旅行歴を問わずに感染症に対峙していれば,いつかどこかで輸入感染症の見逃しが起きる。それは「韓国からやってくる」と特定できる患者とは限らない。

 実際,中東で何年も問題になっていたMERSに本腰を入れだしたのは,韓国で患者が発生した「後」のことである。もし日本に先にMERSが入っていたら,まったく同じシナリオになっていた可能性は低くない(厚労省の名誉のために付言しておくと,彼らの動きはずっと早かった。厚労省は,今回の騒ぎが起きるずっと前,2015年1月にはMERSを2類感染症に指定している。呼吸器感染症の中では「危ない」部類に属することは知っていたのだ)。



 旅行歴を聞く。渡航歴があるとわかる。どうしたらよいか。全ての国の個別の感染症を全部,百科事典的に覚えておく必要はない。幸い,医学情報は多くなったが,情報へのアクセスは恐ろしいほどに容易になった。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)やWHOのホームページを参照してもよい。われわれが訳出した『キーストンのトラベル・メディシン』(メディカル・サイエンス・インターナショナル)を参照してもよい。これも感染症屋のマニアックな専門書ではない。海外に行く患者を診る医者全てのために書かれた本だ。21世紀の現在,「私の患者は1人も海外に行かない」という医者も稀有な存在だろう。

 では,それでも当該国の感染症がよくわからないとき。そのときこそ,擦れっからしの感染症屋に相談するときである。われわれは嬉々として,「ああ,ネパールからの帰国患者の発熱ですか。ぜひ拝見させてください」と申し上げるのである。

 致死率の高いMERSやエボラは,他者への感染性はそれほどでもない。医療機関内の感染は,ほとんどが初動の疑い方にエラーがある。普段から旅行歴を聞く習慣を持ち,コンタクトを最小限に抑えていれば感染のリスクは高くない。



 全ての医者が全ての国の全ての病気に精通している必要などない。しかし,外国にはいろいろな病気があるのだ,という無知の自覚,「無知の知」は必要だ。「この患者が外国から帰ってきた発熱患者じゃないと誰が決めたのだ」と常にガードを(ある程度)上げておくことが大切だ。メディアが大騒ぎしているときだけではなく。無知(の自覚)と配慮が診断に寄与するのだ。それはなにも,感染症に限定された話ではない。大切なのは「私の知らない何か」に対する自覚 awarenessなのだから。

(つづく)


  1. 2015/08/24(月) 05:56:56|
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