Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月17日 

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201508/0008312975.shtml
医学部「地域枠」で学ぶ医師の卵ら 豊岡の医療事情を研修
2015/8/17 20:04 神戸新聞

 神戸大(神戸市)や自治医科大(栃木県)などで医学部の「地域枠」として学ぶ学生ら11人が16、17日、豊岡市内を訪れ、医師や介護事業者らから聞き取り調査をした。地域枠は都道府県が奨学金を出し、一定期間の地元勤務を義務付ける。将来働く地域を知るために医学生らが自ら企画。高齢化が進む但馬の現状を学んだ。

 企画したのは、八鹿高校(養父市)出身の自治医科大4年生守本陽一さん(22)が発起人となった「但馬ゆかりの医療系学生の集い」。

 地域枠は神戸大などでは2010年度にスタートした制度。今回は、兵庫県内出身者を中心に神戸大、岡山大の地域枠で学ぶ医学生のほか、看護師や理学療法士を目指す学生も参加した。

 17日は、豊岡市健康増進課の久保川伸幸課長から、歩くことを条例で推奨している同市の健康施策について聞いた。その後、3グループに分かれ、介護事業者や自治会役員、老人保健施設を回った。

 豊岡市戸牧の公立豊岡病院では、自治医大出身で総合診療科に勤務する南建輔医師から聞き取り。「一番の問題は介護施設が足りないこと。リハビリをする転院先がない。数カ月から1年待つこともある」などと説明された。一方で「症例は都会と劣るところはない」とし、内科医が不足する課題を解消するためPRの必要性を伝えた。

 医学生らはグループごとに聞き取った内容を互いに発表。神戸大医学科2年生の三原綺(あや)乃(の)さん(19)は「市や施設の職員から実情や熱い言葉を聞けたことがよかった」と話していた。(若林幹夫)



http://www.med.or.jp/nichinews/n270820c.html
平成27年度都道府県医師会税制担当理事連絡協議会
消費税10%引き上げ時への対応等について意見交換

日医ニュース 第1295号(平成27年8月20日)

 今村定臣常任理事の司会で開会.冒頭,あいさつに立った横倉義武会長は,昨年末に与党が決定した「平成27年度税制改正大綱」について,従来に比べて大変踏み込んだ内容となったことを評価.大綱に書かれた「見える化」に取り組むため,財務省主税局及び厚生労働省保険局・医政局の審議官や課長が委員として参加する「医療機関等の消費税問題に関する検討会」を日医会内に設置し,検討を重ねているとした.
 協議「消費税率10%引き上げ時への対応」では,まず,宇波弘貴財務省主計局主計官から,国家予算を編成する立場から,今後,仮に税制上の解決を図っていく場合に,予算面で何が起きるのかについて説明が行われた.
 宇波主計官は,「国及び社会保障制度の財政の状況」について説明した上で,「設備投資などの課税経費率が大きい病院から,仕入れにかかる消費税分への補てん不足の指摘があるが,総額においては適正な規模の補てん財源を確保したと考えている.追加的な財源を充てる考えはないが,それぞれの医療機関の実際の課税仕入れに対応した配分が行われることが望ましい」と述べた.
 その上で,仮に社会保険診療が課税化された場合,課税仕入れに係る消費税の実額が税額控除され,補てん不足の問題がなくなる一方,消費税を適正に転嫁する観点から,診療報酬あるいは薬価に含まれている課税仕入れに係る消費税対応分についてはこれを是正する必要があるとした.
 更に,「消費税10%引き上げ時」に課税化を行う場合には,税抜き価格に戻す観点から,税率8%に対応した仕入れ税額相当分の診療報酬を減額する必要があり,「消費税10%引き上げ後」に課税化を行う場合には,税率10%に対応した仕入れ税額相当分の診療報酬を減額するのが基本的な考え方だと述べた.最後に,今後どのようなやり方をするにせよ,医療保険の支出のうち消費税に対応した公費負担分は,消費税財源の中から賄われるルールであると解説した.
 続いて,今村常任理事が,「控除対象外消費税問題に関する日本医師会の取組み及び関連する税制上の諸課題」について説明を行った.
 同常任理事は,医療機関の費用構造と医療機関の支払う消費税の対応関係について改めて解説した上で,平成元年の消費税導入時及び平成9年の消費税率5%引き上げ時の本体報酬への上乗せ不足を指摘.平成26年4月の消費税率8%への引き上げにおいては,新たな補てん不足が生じないよう「消費者物価への影響」ではなく「消費税率」引き上げ分を用いるよう日医は主張し,それが受け入れられたことを説明した.
 更に,医療機関等の消費税問題を抜本的に解決する際に,医療機関に起こり得るデメリットとして,(1)過去の上乗せ分の「引き下げ」,(2)所得税の概算経費率(四段階制)の見直し,(3)免税事業者,簡易課税事業者への影響,(4)事業税非課税の見直し─の4点を挙げた.
 また,本年3月以降,月に1回のペースで開催されている「医療機関等の消費税問題に関する検討会」では,「見える化」への取り組みとして,各診療報酬点数項目の原価に含まれる課税費用相当分の実態を把握するため,病院,一般診療所,歯科,調剤薬局ごとにパイロット調査を行っていることを報告した.
 質疑応答では,各都道府県医師会より,経済財政諮問会議に対する意見や,消費税率が10%になった際の医療機関の負担に関する質問等が出された.
 最後に,今村聡副会長が,「解決へ向けて,どのような影響が出るかを会員の先生方に理解して頂く必要がある.社会保障を充実するための消費税に係る問題で,医療提供体制に影響が出るようなことだけは絶対に避けなければならない.年末の税制改正大綱決定に向けて,全力を挙げて取り組んでいく」と総括し,閉会した.



http://www.med.or.jp/nichinews/n270820n.html
勤務医活動の活性化と医師会の課題
医療生協さいたま行田協立診療所所長/日医勤務医委員会委員 植山直人

日医ニュース 第1295号(平成27年8月20日)  勤務医のページ

組織率向上と勤務医活動の活性化

 現在,開業医の約85%は日医に入会しているが,勤務医は40%程度にとどまっている.横倉義武会長は,第2期目の就任会見で「組織を強くする」ことを方針の1つとして掲げ,より一層の医師会の組織強化のために,会内に「医師会組織強化検討委員会」を立ち上げる等,より実践的な議論と取り組みを推進している.
 前期の日医勤務医委員会に求められた諮問は「勤務医の組織率向上に向けた具体的方策」であり,今期は「地域医師会を中心とした勤務医の参画と活躍の場の整備─その推進のために日本医師会が担う役割─」である.これは,地域医師会活動に勤務医が積極的に加わることによって,勤務医が医師会に入会する機会が増えると考えられることから,その受け皿を整備することが必要であることを示している.
 医師会は単なる医師に対するサービス機関ではなく,現場の医療を担い,地域医療を支えながら発展してきた歴史を持っている.医師会や社会などに無関心な孤立した勤務医の増加を放置すれば,国民皆保険を始めとする日本の医療を守ることはできない.
 勤務医の入会促進においては入会のメリットが強調されているが,勤務医の活躍に焦点を当てた場合は,メリットよりもモチベーションが重要になる.

「三層構造」と勤務医活動のフレームワーク

 医師会には,郡市区等医師会と都道府県医師会,そして日医が別の法人組織として存在する.
 この組織形態は,各医師会が独立した自主的な組織であることを担保するものとなっており,自律的な医師の団体という考えを最大限に尊重したものである.一方,会員の身分や代議員の選出に関しては「三層構造」となっており,意見の集約に工夫が必要となっている.
 郡市区等医師会の勤務医役員は18・6%にとどまっており,勤務医会員の役員登用と共に,日医のこのことに対するイニシアチブや地域8ブロックの体制強化,更に各都道府県医師会の取り組みの強化が求められている.
 勤務医が意義ややりがいを感じる取り組みを行い,これに積極的に参加する会員を勤務医会員の核として,勤務医の声を地域医師会や日医の活動に反映させるフレームワークが必要である.

地域医師会での勤務医活動と勤務医の抱える問題への対応

 勤務医の活動を活性化するためには,医師会でのモチベーションを高める課題を提示することが重要である.
 勤務医の入会促進に関しては,「関心がある」(59・3%)「やや関心がある」(22・4%)と多くの郡市区等医師会が関心を示しており,その理由として「地域医療連携を促進するため」(81・7%)「医師会の会員数を確保するため」(64・3%)「勤務医の意見等を会務に反映させるため」(62・7%)「学校保健や地域保健について勤務医の理解・協力が必要なため」(51・3%)となっている(出典:「郡市区等医師会における勤務医に係る調査 報告書」日医勤務医委員会,平成26年2月).この点をみれば,地域医師会で勤務医が活躍できる環境は十分にある.
 一方で,勤務医が抱えている問題の解決に取り組むことも重要である.主要な問題としては,(1)キャリアの問題 (2)医療トラブルに関する問題 (3)労働問題 (4)健康問題─などを挙げることができる.
 現在,新専門医制度が発足し,今秋には医療事故調査制度がスタートする.これらの問題において,医師会がイニシアチブを発揮し,勤務医の理解を得ることが求められている.
 労働や健康に関して,日医では「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」を発表しており,また日医の発案により実施されることになった厚生労働省の「医療勤務環境改善マネジメントシステム」が創設された他,各都道府県に医療勤務環境改善支援センターが設立されている.各都道府県医師会は,同支援センターの運営に積極的に関わり,成果を上げる必要がある.

各医師会の課題

 勤務医活動の活性化や組織率の向上を図るには,郡市区等医師会の勤務医の声が都道府県医師会に届き,ブロック会議を経て日医で議論され,政策に反映されることが重要であり,日医の方針も双方向で各医師会に反映される必要がある.
 しかし,郡市区等医師会や都道府県医師会の勤務医役員は少数であるために,勤務医の意見が反映されにくい.これを改善するには,情報の共有化や意見集約の機能を果たすフレームワークとしての勤務医委員会や勤務医部会の役割が不可欠である.
 (1)今後,地域医師会で必要となる主な取り組み:今後求められる取り組みとしては,主に以下のものが挙げられる.
 (1)医療事故調査制度への協力に関する課題 (2)医師のキャリア・アップや研修支援システムの活用に関する課題 (3)各都道府県に設置される医療勤務環境改善支援センターの積極的な活用 (4)「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」の活用 (5)男女共同参画に関する課題 (6)日本医師会電子認証センターで発行している「医師資格証」の活用(7)地域包括ケア推進の課題.
 (2)勤務医に関する体制強化の課題:日医勤務医委員会では,委員会活動に加え,今期よりワーキング・グループを設置し,体制強化のための検討を開始した.主な課題として,以下のものが挙げられる.
 (1)『日医ニュース』の勤務医のページの戦略的活用 (2)各都道府県・郡市区等医師会における勤務医活動の取り組み状況及び先進例の把握,また各都道府県・郡市区等医師会勤務医担当者への情報の提供 (3)ブロックにおける勤務医対策の強化 (4)都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会等のあり方の検討 (5)勤務医との関係が強い日医の他の委員会との連携強化 (6)医師会の取り組みや体制に関するいくつかのモデルの構築.
 日医勤務医委員会は,横倉会長からの諮問に答えるだけではなく,組織率向上に大きく貢献するために,これまで以上に活動していかなければならない.医師会組織強化の実現は,全ての医師会が総力を挙げて初めて達成できる難題でもある.日医勤務医委員会は,この目標達成の牽引車として全力を尽くすものである.



http://www.qlifepro.com/news/20150817/in-gene-therapy-clinical-research-guidelines-labor-effective-from-october-notification-by-the-ministry-of.html
厚生労働省、遺伝子治療臨床研究で指針-厚労省が告示、10月施行
2015年08月17日 AM11:30  QLifePro  薬事日報

厚生労働省は12日、遺伝子治療の臨床研究に当たって、医療上の有用性や倫理性を確保するための「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」を告示した。遺伝子治療の対象に、疾病の治療だけでなく予防を目的とした行為を加えた上、癌や重篤な遺伝性疾患だけでなく、慢性疾患など幅広い疾病が対象となるよう研究対象の要件を変更した。新指針は10月1日から施行される。
新指針は、大学等で臨床研究が適正に実施されてきたことを踏まえ、厚労省が文部科学省との共同指針を廃止し、遺伝子治療に関する考え方や審査方法自体を見直す指針を新たにまとめたもの。

それによると、遺伝子治療を「疾病の治療や予防を目的として遺伝子または遺伝子を導入した細胞をヒトの体内に投与する行為」と位置づけ、医療上の有用性などを確保しつつ、審査手続きの効率化が図れるよう研究体制の整備を求めている。

遺伝子治療の研究対象となる疾患についても、パーキンソン病などの重篤な遺伝性疾患や癌、後天性免疫不全症候群(エイズ)など、生命を脅かす疾患や身体の機能を著しく損なう疾患のみとした要件を削除した上で、新たに「治療・予防効果が現在可能な他の方法に比べて同等以上と予測されるもの」「治療によって得られる利益が不利益よりも大きいもの」を要件とし、慢性疾患など幅広い疾患が対象となるように変更を行った。

審査体制では、臨床試験に関する業務を総括する研究責任者を設置し、研究計画書を策定すると共に、必要に応じて研究者に研修等を行うよう求めた。

また、多施設共同研究を実施する場合、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」など他の研究指針と整合性を図り、一つの倫理審査委員会に一貫した審査を求めることができるよう規定を変更した。

一方、新指針では、癌治療に使用される「腫瘍溶解性ウイルス」の臨床試験を対象としないこととしたが、倫理審査委員会等の要望に応じて、国が臨床研究の安全性等の評価を行えるよう整備していく方針を盛り込んだ。

厚労省は、臨床研究の増加や最近改正された研究指針との整合性、諸外国での研究動向などを踏まえ、2011年から専門家会議を立ち上げ、旧指針の見直しを検討していた。



http://www.med.or.jp/nichinews/n270820b.html
都道府県医師会と共に「医療事故調査等支援団体」に
日医ニュース 第1295号(平成27年8月20日)

 医療事故調査制度の10月からの施行に向けて,厚生労働省は8月6日,「医療事故調査等支援団体」として,「日本医師会及び都道府県医師会」などを告示した.
 支援団体に関しては,「医療事故の判断に関する相談」や「調査手法に関する助言」など,必要な支援を提供する役割を担う団体として厚労大臣が定めるとされている.
 今回告示された支援団体は,職能団体,病院団体等,病院事業者,学術団体などからなり,職能団体としては「日医及び都道府県医師会」の他,「日本歯科医師会及び都道府県歯科医師会」「日本薬剤師会及び都道府県薬剤師会」「日本看護協会及び都道府県看護協会」が,病院団体等としては「日本病院会及びその会員が代表者である病院」「全日本病院協会及びその会員が代表者である病院」「日本医療法人協会」「日本精神科病院協会」「全国医学部長病院長会議及びその会員が代表者である大学の医学部または病院」などが名を連ねている.
 日医は,6月12日に47都道府県医師会と共に,支援団体となるための申し出を行った上で,6月17日の定例記者会見で,今村定臣常任理事がその内容を報告.医師会組織として一体感のある支援を提供していく考えを示すとともに,各地域,都道府県単位でさまざまな支援団体を取りまとめる「連絡会議」のようなものを設置することを提案していた.



http://mainichi.jp/select/news/20150818k0000m040074000c.html
医療事故調査:中核の第三者機関に日本医療安全調査機構
毎日新聞 2015年08月17日 20時18分

 厚生労働省は17日、10月から始まる医療事故調査制度の中核を担う第三者機関「医療事故調査・支援センター」に一般社団法人「日本医療安全調査機構」(東京都港区)を指定したと発表した。

 制度は医療死亡事故の原因究明と再発防止が目的。第三者機関は医療死亡事故が起きた医療機関の院内調査の結果について報告を受け、分析して再発防止につなげる。また遺族が院内調査の結果に納得しない場合、遺族の届け出を受けて独自調査する。

 同機構は2010年4月に発足。05年から日本内科学会が主体となって実施していた医療死亡事故の原因調査事業を受け継いでいる。現在は東京や大阪、福岡など全国の12都道府県で事業をしている。

 厚労省は5月に第三者機関の候補を募集し、同機構だけが申請をしていた。【古関俊樹】



https://www.m3.com/news/iryoishin/349300
シリーズ: 始動する“医療事故調”
“事故調”、第三者機関は日本医療安全調査機構
厚労省が指定、官報告示、機構も理事新体制

2015年8月17日(月)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は10月から始まる医療事故調査制度の「医療事故調査・支援センター」に、一般社団法人日本医療安全調査機構を指定、8月17日に官報告示した。

 日本医療安全調査機構は、2010年4月に発足、日本医学会会長の高久史麿氏が代表理事を務める。この8月3日の理事会で、専務理事には元厚生労働省健康局長の田中慶司氏が、常務理事には同機構の前中央事務局長の木村壮介氏がそれぞれ新たに選任された。中央事務局長にはこの7月1日から、吉田長司氏が就任している。

 2005年度から日本内科学会などが実施していた「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を引き継ぎ、同事業を実施しており、2015年度の第1回運営委員会でも、医療事故調査・支援センターに手を挙げる意思を表明していた(『日本医療安全調査機構、“事故調”の準備着々』を参照)。

 医療事故調査・支援センターは、医療事故調査制度において、医療法上、位置付けられた組織。指定基準は、医療法施行規則に規定されている。医療事故調査制度の第三者機関の役割を果たし、医療機関から医療事故の報告を受けるほか、それらの医療事故に関する情報の整理・分析、再発防止策の普及啓発、医療機関からの管理者等から依頼があった場合の調査の実施、医療事故調査の従事者の研修など、さまざまな業務を担う。

 医療事故調査・支援センターの指定に係る申請は、今年5月8日から開始、同22日に締め切っていた。

 なお、医療事故調査制度については、8月6日付で、支援団体を指定済み(『医療事故等調査支援団体を告示、厚労省』を参照)。



https://www.m3.com/news/iryoishin/348694
先進国標準の“死に方”が必要 - 高橋泰・国際医療福祉大学教授に聞く◆Vol.2
介護余力、10年でトップからワーストの自治体も

2015年8月17日(月)配信 聞き手・まとめ:橋本佳子、池田宏之(m3.com編集部)

――「東京圏高齢化危機回避戦略」のキーメッセージは何でしょうか。

 今回は介護のための移住を求めるように伝わっていますが、おおざっぱには「東京圏が大変。東京の外には余裕がある」ということです。東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)において2025年には高齢者数が今の1.5倍になり、医療や介護の供給が追い付かない中で、そこまでして首都圏に残るのかという問いかけです。もちろん残る選択をするのは良いと思いますが、医療や介護の提供が不足することを知っていてもらいたいです。首都圏から出れば、違う世界があります。

――一都三県の連携や、東京圏高齢者の移住を提言しています。移住をしてもらうことが、最終的なゴールなのでしょうか。

 私見ですが、「食べられなくなったら、終わり」という考え方があります。北欧もフランスも含めて、「食べられなくなった高齢者」はほとんどいなくなっています。その意味で、“先進国標準の死に方”をしないと、日本の医療が持つはずがないと考えています。とはいえ、まだ国民が死に方の議論を受け入れられるようにはなっていませんので、死に方の話はまだ早いと思います。安楽死については、地方創生会議の次のテーマになると思います。

――地方創成との観点では、今回の提言はどのような意味を持つのでしょうか。

 住みよい街を作るしかないと思います。石川県に川北町という自治体があります。金沢市から車で30分程度のところですが、子育て支援の施策を続けていて、(2040年までの)女性の増加率が全国の自治体トップとの予測が出ています。今後は、建設業者の資金提供をあてにするようなサプライ・サイドの発想では、世の中についていけなくなるだろうと思います。

 今回は、医療と介護の観点から予測を出しましたが、釣り、ゴルフといった趣味の観点でも、同様の地図が作成可能です。個人が何を望むのか、それを選べるように選択肢を示して、人が動いてもらうのが重要です。「地方への移住を」というメッセージは、全て真意が伝わったとまでは言えませんが、「北極星に向かって石を投げて、北斗七星に当たった」くらいの効果はあったと思います。

 「東京圏」のうち、現時点で介護の余力があるのは、埼玉県、神奈川県、東京都多摩地区で、極端に余力がないのは東京23区です。最も余裕がある埼玉県のさいたま市や川口市の施設で、東京23区の要介護者を受け入れている状況です。ただ、団塊の世代が75歳を超える2025年になると、状況が一転して、さいたま市は、全国でワースト5に入るまでに余力がなくなります。東京周辺の自治体の危機感がないようですが、東日本大震災前に、「津波は大丈夫」と言っているように見えます。本当に需要は急激に変化します。私自身の周りの人たちで、移住を始める人も出ています。

――移住システムができたときに、考えるべきことはありますか。

 東京圏の自治体に住んでいて、移住を選択した場合、移住先の自治体で医療費や介護費がかかります。実際に仕事をして税金を納めてきたのが、東京圏の自治体だとすると、実際の負担を、移住先の自治体にしてもらうか、それまで住んでいた自治体にしてもらうかを選択してもらう仕組みが必要と思います。

 また、移住者にとって、移住先に知り合いがいないという問題もありますが、これは受け入れる側の自治体の問題だと考えます。生活者の視点で、住居のようなハードでなく、コミュニティを作る仕組みなどを提供していくのが重要だと思います。評判はインターネットなどで広がるので、首長のセンスの見せどころになってくるでしょう。狙いは、ニッチなところで良いと思います。私なら、釣りに特化した自治体を作ろうかと思います。釣り好きが1000人集まれば、自治体は変わるでしょう。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS13H3M_X10C15A8PP8000/
医療費節約で補助金 厚労省、自治体の取り組み後押し
2015/8/18 1:30日本経済新聞 電子版

 厚生労働省は2018年度から、医療費の節約に取り組む都道府県への新たな補助金を設ける。特許が切れて価格が安い後発医薬品の利用状況などに基づき、年700億~800億円の補助金を出す。国民健康保険を運営する地方自治体に住民の健康づくりへの意識を高めてもらい、年40兆円規模の医療費を抑える狙いだ。

 5月に国会で成立した医療保険制度改革関連法に、「保険者努力支援制度」として補助金の創設を盛り込んだ。厚労省と都道府県が年内にも制度設計の議論を始める。特定健診や保健指導の実施状況や、後発薬の使用割合、保険料の収納率の高さ、糖尿病の重症化を防ぐ取り組み、といった項目に応じて金額を決めるようにする方針だ。

 新たな補助金をつくることで、自治体の病気予防などの取り組みを後押しして医療費の膨張を抑える。補助金として支出したよりも大きな医療費の抑制効果が得られるかどうかが焦点だ。

 地方自治体にこうした取り組みを促すのは国民健康保険の財政が厳しいためだ。もともと自営業者が多く加入していたが、今は非正規社員や高齢者が増えている。1人あたりの医療費は年間32万円と会社員が加入する医療保険の約2倍。一方で、加入者の平均所得は83万円で大企業社員の半分以下だ。

 給付が膨らむ一方で十分な保険料を集めにくく、国と地方自治体の負担で赤字を穴埋めしている。


  1. 2015/08/18(火) 06:04:42|
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