Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月14日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/348193
「私大病院の医師、卒業生で充足」との見方
島根、福井、岐阜で医師倍率高く

2015年8月14日(金)配信池田宏之(m3.com編集部)

 7月に公表された日本医師会による「病院における必要医師数調査結果」では、最近の勤務医の動向が多様な側面から示された(『医師求人倍率が微減、5年前比、日医が全国調査』を参照)。必要医師数の倍率が最も高かったのは、島根、福井、岐阜の3県。また、私立学校法人立の病院においては必要医師数の倍率が低く、「卒業生で充足できているのではないか」(報告書)としている(資料は、日医総研のホームページ)。

必要医師不足の病院は半数

 常勤換算で、必要医師数が不足している病院は、回答した3384病院のうち50.0%、医師の求人をしている病院は、37.0%となった。同様の調査をした2010年の厚生労働省の調査と比べると、必要医師数と求人医師数の倍率のいずれも低下していた。

 診療科別に見ると、必要医師数の倍率が最も高かったのは、以下の診療科。
1位 リハビリテーション科 1.23倍
2位 アレルギー科 1.22倍
3位 救急科    1.20倍
4位 産科     1.19倍
5位 感染症内科  1.18倍
   婦人科     〃
7位 心療内科   1.17倍

 診療科別の必要医師数の倍率が低かった診療科は、以下の通り。
1位 外科     1.07倍
   消化器外科    〃  
   形成外科     〃
   小児科      〃
5位 皮膚科    1.08倍
6位 リウマチ科  1.09倍
   循環器内科    〃
   臨床検査科    〃
   消化器内科    〃
   心臓血管外科   〃
   精神科      〃

 必要医師数倍率が最も高かったのは、以下の都道府県。
1位 島根県   1.34倍
2位 福井県   1.24倍
3位 岐阜県   1.21倍
4位 徳島県   1.20倍
5位 秋田県   1.19倍
   香川県    〃
7位 新潟県   1.18倍
   岡山県    〃

 必要医師数倍率が最も低かったのは、以下の都道府県。
1位 石川県   1.05倍
2位 宮城県   1.06倍
   大阪府    〃
4位 神奈川県  1.07倍
   富山県    〃
   京都府    〃
   沖縄県    〃

 病床規模で見ると、必要医師が充足していない病院は、「20-99床」で41.7%、「500床以上」で62.4%となり、病床数が大きい方が倍率が高かった。ただ、必要医師数のある病院のみを見みると、500床以上の病院が最も低く1.05倍、「100-199床」と「200-299床」が最も高く1.17倍となり、報告書は「中小病院では、医師不足とそうでない病院が二分していると推察される」としている。

 開設者別では、必要医師の倍率が最も高かったのは、「社会法人」で1.15倍、次いで「都道府県・市町村・地方独立行政法人」で1.12倍。最も低かったのは、「私立学校法人」の1.07倍で、「卒業生で充足できているのではないか」(報告書)としている。

日本医師会 病院における必要医師数調査結果 http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_581.html



http://www.m3.com/news/iryoishin/348690
病床は“減反政策”しかない - 高橋泰・国際医療福祉大学教授に聞く◆Vol.1
東京23区、医療需要でミスマッチ発生

2015年8月14日(金)配信 聞き手・まとめ:橋本佳子、池田宏之(m3.com編集部)

 6月に日本創成会議首都圏問題検討分科会がまとめた、「東京圏高齢化危機回避戦略」。(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では、医療や介護の需要が今後不足すると予測、地方への移住などがクローズアップされた。メンバーを務めた国際医療福祉大学教授の高橋泰氏に、この戦略の狙いや今後の見通しについてお聞きした(6月12日にインタビュー。計2回の連載)。

――移住の提案の狙いを教えてください。また現在、どの程度の水準の急性期医療を利用できる水準にあるかを指標化した「一人当たり急性期医療密度」の物差しを、「全身麻酔の件数」とした狙いは何ですか。

 「急性期医療密度指数」とは、全国を1キロメートル四方の区画に分け、各区画の住民がどこまで急性期医療を利用できるか(60分以内にたどりつける医療機関)を示す指標です。病院へのアクセスも、(直線距離でなく)道路距離を見ています。さらに、河川についても、橋梁上のスピードも考慮するなど、緻密な計算をしています。

 移住の話は、数年前から言い続けてきた話です。病床が多くても医師がいない地域もある中で、患者の視点に立って、急性期医療提供の機能で、一番正直で相関関係が強いのは、手術件数と考え、DPCのデータから取得できる全身麻酔を基準としました。DPCを導入していない病院の医療提供については、全国平均と同程度の機能を提供していると仮定して計算しています。

 例えば、千葉県の国保旭中央病院自体は、高度な医療を提供していますが、地域には基幹病院は旭中央病院しかないような状況で、「医療提供が十分でない」(急性期医療密度指数 0.66、全国平均は1.0)となるような指標となりました。

――分析結果を見て感じたことはありますか。

 全国344の二次医療圏のうち、私はこれまで340の医療圏を回ってきましたが、「肌感覚に合うな」と思いました。1カ所だけ感覚と違ったのは、島根県の松江市と出雲市の二次医療圏。個人的には、県立病院や大学病院のある出雲地域の方が、医療提供体制が充実していると考えていましたが、松江地域の方が急性期医療密度指数は高かったです。ただ、地元医師会の役員に聞いたら、「松江の方がよい」と言われましたので、「しっかりしたデータになった」と思いました。また、群馬県の前橋市は、10万人当たりの医師数が全国の県庁所在地で一番多いのですが、突出した値にはなっておらず(急性期医療密度指数1.03)、肌感覚に近い指標になったと思います。

――愛知県が、名古屋市以外は、0.86から0.56になっていて、値が低いように見えます。

 個人的には、全国平均とした1.0が高すぎで、0.8くらいで、地域を支えられるのではないかと思っています。愛知県、静岡県、岐阜県は、名古屋大学が医師を公立病院などにしっかり差配している地域で、数値ほど急性期医療の機能は弱くないのではないかと思っています。

――肺炎などの全身麻酔による治療を必要としない一般的な急性期医療はどう考えていますか。

 今後、ひずみが出るのは、東京23区だと思います。将来的に、23区内の高機能の病床は、周辺からの流入が減る分、だぶつくと見ています。高齢の人口が増えても、高機能医療への需要が増えるわけではありません。平均在院日数がさらに減少すると、ダウンサイジングする必要が出てきます。一方で、肺炎や脳卒中などの患者を診る機能は、東京23区は不足すると見ています。

 都内の病床は平たく言うと、患者1人1日当たりの入院単価は5万円ないと成り立ちません。地位包括ケア支援病棟は、3万5000円を超えることはないと考えられます。したがって、23区内では、医療密度が高くても、ミスマッチが起きてくると思います。

――東京では、医療需要が変化すると、提供する機能が変わるのでしょうか。

 政治的なマターだと思います。医療においては供給が需要を生むことがあるので、(何もしないと)、動脈硬化で歩きにくい人にステントを入れるとか、腰が曲がった人をまっすぐにするなどの“アビューズ”が生まれる可能性が高いです。「本人にとっては良いだろう」と、全てが徹底治療するような状況になりかねません。

 「医療提供(S)=人口(P)×医療の質(Q)」と言えますから、Sが固定で、Pが減ると、Qへの“アビューズ”が起きるのではないかと思います。どのような医療を提供しないのかといった問題や、公費でのカバー範囲、医療の地域差が議論になってくるでしょう。

 現場の医師はQをなかなか考慮できないので、そろそろPとQのバランスを見る人が出ないと、医療制度は持たないところまで来ているのではないかと思っています。

――介護については、2040年の予測を出していますが、医療については出していません。理由があるのですか。

 医療については、現在と2040年の需要は、2025年のピークを超えた後、ほぼイコールになると見ています。地域ごとに見れば、需要が増加する地域と、減少する地域がありますが、全体では均衡すると思います。介護需要は劇的に増えるのですが。

――人口当たりの病床数が多い四国や九州における病床はどうなるのでしょうか。

 病床がある限り医療費がかかるので、医療費がゼロになるように“減反政策”しかないと思います。医療機関の経営者と話していると、年間の医業収益は1床当たり500万円くらいで、職員の退職金などが賄えると聞きますし、2、3年くらいでペイすると感じています。

 東京や神奈川で病院が倒産するのを見たことがありますが、率直に言って、借金が残る経営者や、再就職の難しい事務職など一部の人を除いて、誰も困りませんでした。医師や看護師は転職し、患者もどこかに移ります。四国でも病床が一気に2、3割減ると困ると思いますが、少しずつ減らしていくなら、うまくいく可能性があると考えます。

――医療系の人材が、地方から東京圏に流入するのではないですか。

 地方創成においては東京の一極集中にならないようにする意味合いもあるので、望ましくはありません。同じ年金収入でも、物価の差がありますので、地方に住めば、「おかずが増えて、温泉付きの住居に住める」ことになり、日々の生活の質が上がります。

――「東京圏高齢化危機回避戦略」に対して、医療者からの反論はありましたか。

 データに対する反論はなかったです。地域包括ケアを進める人からの反論はありました。ただ、データを見る限り、(介護需要が大幅な不足が見通される)現状のまま「東京圏に住める」と言うのは無責任に感じます。

 在宅医療については、しっかりとしたデータがなく、考慮していません。ただ、在宅の話をするほど、国民が成熟しているとは考えておらず、今後の課題です。



http://www.m3.com/news/iryoishin/348695
シリーズ: 改革進む医学教育
地域実習でロールモデルが見つかる◆筑波大学Vol.2
地域実習は病院、診療所、医師不足地域に泊まり込み

2015年8月14日(金)配信 高橋直純(m3.com編集部)

 筑波大学医学群医学類6年生の足立真穂氏は、5年生終盤に地域クリニカルクーラクシップ(CC)を行なった。地域CCは6週間の病院実習、1週間の診療所・小病院実習、1週間の地域滞在型実習で構成される(『教員を地域に派遣、教育と医師確保に貢献◆筑波大学Vol.1』を参照)。どこの病院・診療所に行くかは本人の希望が優先される。足立氏は診療所・小病院実習として笠間市立病院、地域滞在型実習として神栖済生会病院を選んだ。病院実習の6週間は、水戸協同病院の総合診療科に4週間、日立総合病院の救急科に2週間と分割した。いずれの病院も筑波大の教員が派遣されている地域医療教育センター・ステーションに指定されている。

泊まり込みで地域を理解

 診療所・小病院実習は同時期に派遣される学生は1人だけだ。入院患者を受け持ったほか、医師や看護師の往診へ同行した。「病院外での患者さんの生活を意識できるようになった」と話す。他職種の仕事を理解するための調剤・調理実習、待合室で患者に自分の決めたテーマでアンケート調査を行うなど、きめ細かなメニューが用意されている。

 地域滞在型実習は、泊まり込みで医師不足地域の実態を理解するというものである。病院実習だけでなく、薬局実習や小学校で禁煙教育、乳児健診の手伝いなどをした。農家で農作業の手伝いをすることもある。3-4人の学生で行動するため、「一緒にいるうちに『医師としてどのような役割を担いたいか』など、普段しないような深い話ができたのも良かった」と振り返る。

病院全体が教育的な雰囲気

 足立氏は総合診療医を希望している。水戸協同病院では、初期研修医、後期研修医のチームに加わり、診察、診療方針の決定に携わり、カルテ記載や回診でのプレゼンを担当した。受け持った疾患は誤嚥性肺炎から心筋梗塞、末期癌と多様だ。「大学病院では学生では対応できない症例が多いが、地域だと学生でもできることがあった」と話す。

 初期臨床研修は水戸協同病院を希望している。5年生の夏から首都圏を中心に10近い病院を見学して回ったが、他の病院よりも教育的な雰囲気が強いと感じた。こまめにフィードバックをもらえるなど屋根瓦式(教えられた人が、次に教える側に回る)の教育体制がつくられていたという。「自分のロールモデルになる先生がたくさんいた。初期研修の2年間ではcommon diseaseにもきちんと対応できる医師になりたい」と意気込む。

 水戸協同病院には現在、大学から教授が8人、准教授が5人、講師が12人の計25人が派遣されている。学生教育を担当する医学教育企画評価室の鈴木英雄准教授は「筑波大の教員がいることで、病院全体が教育的な雰囲気が生まれると思う」と話している。

  1. 2015/08/15(土) 08:58:22|
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