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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

6月14日 

http://www.m3.com/news/general/330565?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150614&dcf_doctor=true&mc.l=107421392
京大病院元准教授に収賄の疑い 京都府警が逮捕へ
2015年6月14日(日)配信 朝日新聞

 京都大学医学部付属病院・臨床研究総合センター(京都市左京区)の医療機器を受注させる見返りに、業者から高級バッグを賄賂として受け取った疑いが強まったとして、京都府警は14日、40代の元准教授に任意同行を求め、収賄容疑で事情聴取を始めた。容疑が固まれば逮捕する方針。捜査関係者への取材でわかった。

 また府警は、京都市中京区の医療機器販売会社に勤める30代の男性担当社員からも贈賄容疑で事情を聞き、逮捕する方針。

 捜査関係者によると、元准教授は2012~13年、血管再生医療の研究プロジェクトに使う医療機器を随意契約で購入する際、同社が受注できるよう便宜を図り、その謝礼として高級キャリーバッグ3個(計約30万円相当)を受け取った疑いが持たれている。府警は、元准教授が業者選定に強い影響力を持っていたとみて実態解明を進める。



http://mainichi.jp/select/news/20150615k0000m040020000c.html
京大病院:元准教授を収賄容疑で逮捕 医療機器納入巡り
毎日新聞 2015年06月14日 20時20分(最終更新 06月14日 21時00分)

 医療機器の随意契約で便宜を図った見返りに高級キャリーバッグなどを受け取っていたとして、京都府警捜査2課は14日、京都大医学部付属病院臨床研究総合センター(京都市左京区)に勤めていた元准教授で医師の丸井晃容疑者(47)=奈良県天理市田部町=を収賄容疑で、医療機器販売会社「西村器械」(同市中京区)の社員、西村幸造容疑者(39)を贈賄容疑で逮捕した。

 容疑は丸井容疑者は、血管再生医療の研究で用いる医療機器を随意契約で納入する際、機器の種類や価格に関する情報を提供するなど便宜を図った見返りに2012年10月と13年9月の2回にわたり、高級キャリーバッグなど3点(約30万円分)を西村容疑者から受け取った、などとしている。捜査関係者によると両容疑者とも認めているという。【村田拓也、宮川佐知子】



http://www.m3.com/news/iryoishin/330066
「開腹手術希望が増」「派遣元の大学は?」◆Vol.9
医療事故報道、7割は「影響なし」

医師調査 2015年6月14日(日)配信成相通子(m3.com編集部)
コミュニティの投稿を見る9件
 Q11:群馬大学医学部附属病院や東京女子医科大病院の医療事故 問題が最近大きく報道されています。このような報道の影響で、患者の医療不信が高まったと感じますか。

 アンケート回答者全員に対して、一般的な患者トラブルの原因について3つまで選択してもらった。

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(%は、それぞれのカテゴリ内でその選択肢を選んだ人の割合)
 医療事故が疑われる事案の多数発生、さらに事後対応のまずさや大学ガバナンスの不備が指摘され、特定機能病院の取り消しなどの処分を受けた群馬大学医学部附属病院と東京女子医科大学病院。ここ数カ月で高度な医療を提供する大学病院での「医療事故問題」が相次いで話題になった。謝罪する病院幹部の映像がテレビで繰り返し放映されるなど、マスコミも大きく報道したが、医療現場には影響があったのだろうか。

 これらの報道の影響で「患者の医療不信が高まったか」について、501人のアンケート回答者全員に尋ねたところ、71.7 %は「いいえ」と回答。「はい」と答えたのは28.9%と少数派だった。勤務医・開業医別に見ると、勤務医の方が6.9ポイント「はい」と答えた割合が高く、大規模な病院に勤める医師がより影響を感じていることが分かった。

 高まったと感じている医師に、なぜそのように感じるのかについて具体的なエピソードを聞いた。

 エピソードの中で、特に多かったのは『腹腔鏡手術』に関するもの。ニュースで耳にする機会も圧倒的に増え、患者が敏感になるケースが多いようだ。

明らかに腹腔鏡下手術適応の早期胃がん患者さんを大学病院に紹介したが、「開腹手術しました」という返事が戻ってきた。
腹腔鏡手術のたびに説明が要る。
腹腔鏡手術の説明の時に上記(群馬大の事故など)のエピソードを引き合いに出す患者、および患者家族が増えた。
腹腔鏡下胆嚢摘出術の説明でも、腹腔鏡でして大丈夫なんですかと聞かれた。
胆嚢摘出術を提案したところ、腹腔鏡手術を拒否。
腹腔鏡手術というだけで、大丈夫ですか言われる。
腹腔鏡手術の適応となる症例に手術を勧めても、患者家族が躊躇していることがある。
胃癌治療の方針で、腹腔鏡希望が減少し開腹手術希望が増加した。
腹腔鏡手術を提案したが開腹手術を希望された。

さらに、手術全体についても不安視する患者も多いようだ。

手術説明の際に、術者の経験や術式の妥当性を詳しく聞いてくるようになった。
手術に不信感を持っている。
手術症例数などを必要以上に聞いてくる。
その手術は大丈夫なのですか?としつこく聞かれる。
手術に問題がなくても、疑問を持たれるようになった。
執刀件数を細かく聞かれるようになった。
手術の成功確率を気にする患者やセカンドオピニオン求める患者が増えた。
偶発的に生じた事態でも、理由を説明しても、信じてもらえない。
大学病院や病院全体への不信感をあらわにする患者もいる。
信頼できる病院はどこですか?紹介状を作成するときに、しつこく聞かれて、後日やはり違うところがいいといって、書き直しさせられることがある。
地元基幹病院の外科を紹介しようとしたところ、派遣元の大学名を尋ねられた。紹介先の地元基幹病院(産婦人科)の診療方針に疑念を抱き意見を求められた(その際に群馬大学第二外科のことを具体的に挙げて不安、不信があると言われた)。

大学では医療の実験台になるのではという、根拠のない懸念を持たれる。

どこで手術したら安全か聞かれることが少しだけ多くなった。返答に困っている。
先生は『専門の先生に診てもらいましょう・・っていうけど、最近は大学病院でも信用できないからねぇ』と言われました。
この病院は大学病院よりもレベルが低いから、誤診や誤治療はたくさんあるでしょうね、と言われた。
うちの病院も、まずいことをしているんじゃないのと言いがかりをつけられたりしています。
全ての医療機関が不振を招く不祥事を起こしているのではという誤解。
診療行為全般や医師に対する不信感を煽る結果にもなっているようだ。
各種検査の副作用を心配される。
必要以上に説明を求められ、100%の安全を保障しろなどといわれるようになった。
診療行為にいちいち説明を求める。
医師の説明は信用できない。
セカンドオピニオンを希望する患者さんが増えている。
他院での診断や処置に対し不信を抱いたという理由での受診が増えた。
検査結果に納得しない患者が増えた。
具合が悪いとすぐ投薬のせいにする患者さんが増えました。良くなって当たり前、経過が悪いとすぐ投薬、処置など医療側の責任にする傾向にあるようです。

患者や周りから報道された事案に関して話をされることも多いようだ。

患者さんから話題にされる。
患者から直接ではないが、地域の方々の話題にのぼることがある。
親戚からいろいろ聞かれる。
詳細が分からないのに、金儲け主義だと批判する。
知識のない患者が面白おかしく言っている。

患者の知識不足を指摘する声が多い中で、患者のリテラシーを尊重すべきとの意見もあった。

患者さんは意外と冷静に病院の限界を見極めていて、「この治療法はこの病院では無理」と判断している場合も多い。患者さんにとって一番迷惑なのは、「あまり自信はないが、大学病院のメンツもあるからやってみよう」という理由で手術などに踏み切られる場合であり、自分が所謂“モルモットにされた”という感情を抱きやすいのではないか。その方法で実績を挙げている他施設があるのなら、ためらわずにそちらを紹介する方が良いと思う。

個別のエピソードというよりも、全体的な印象として「医療不信」を感じている現場の声も多かった。さらに、自分が患者だったらやはり医療不信になる、と理解を示すコメントもあった。
具体的なエピソードはありませんが、信じたいという気持ちを減弱させているのは確かだと思う。
特にエピソードはないが、医師に対しての信頼感が薄くなったと感じる。
白い巨塔のイメージが再燃されることを感じます。
患者さんの言動から医療不信が認められる。
通常の医療行為に対しても異常な不信感など猜疑心を強く持つような態度の患者が増えたこと。
もともと信頼性の薄いこの分野、当然ながら患者サイドがうがった見方をしているのは肌で感じます。
患者からの具体的なエピソードはないが、自分自身が患者であればやはり大きな医療不信を感じる。
実体験としてはないが、あれだけ叩かれれば当然一般人は悪い面だけを鵜呑みにするだろうと思う。
 エピソードの他にも、報道された事案に関して「組織や医師の問題だ」とする声や、マスコミの責任を訴える声も複数あった。
メディアが一方的に悪いと決め報道している。
TVの影響力、恐るべし。
マスコミが十分理解もせず、勝手な報道するのはどうかと思う。実際に神戸国際医療センターにおける肝移植の死亡についても報道があまりにも不十分で、医療不信につながっていると思う。
病院側が一方的に悪いと決めつけて、単に出版数を伸ばしたいだけの悪意のある報道がほとんど。



http://www.m3.com/news/iryoishin/330561
「総合診療専門医」代表は日本プライマリ・ケア連合学会
第6回学術大会、横倉日医会長が「特別対談」で発言

2015年6月14日(日)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 6月13日に茨城県つくば市で開催された、第6回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会の「特別対談」で、日本医師会会長の横倉義武氏は、日本専門医機構の「総合診療領域」を代表する社員には、「日本プライマリ・ケア連合学会がなるのが望ましい」と語った。総合診療専門医は、2017年度からスタートする新専門医制度において、19番目の基本領域として位置付けられる。他の18の基本領域については、関係学会が社員として参加しているものの、総合診療領域の社員代表はいまだ入っていない中で、注目される発言だ。

 日本専門医機構は、一般社団法人で、その社員は現在23団体。日本医師会、日本医学会連合、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会、日本がん治療認定医機構の5団体のほか、18の基本領域の学会から成る。2014年5月の同機構の発足当初は、18の学会も社員ではなく、後から加わった経緯がある(『専門医機構、18学会を社員として認定へ』を参照)。

 横倉会長は、「各学会の意向と、(日本専門医機構の)理事会の方向性は一緒だったが、運営のやり方についてやや見解の違いがあり、議論をしていた」と触れた上で、「19番目の(総合診療領域の)社員をどうするかが、一つのテーマ。日本プライマリ・ケア連合学会が立派な学会になっているので、当然、19番目の診療領域の代表として、プライマリ・ケア連合学会が社員になることが望ましいと思っている」との考えを述べた。「そのためには、学会としての活動を非常に高めてもらいたい。学問的にも、アウトプットをたくさん出してもらいたいという思いが強い。救急や小児科など、総合的に幅広く診る診療領域と連携を取りながら、総合診療専門医とは何かを明確してもらいたい」(横倉会長)。


 「特別対談」の相手は、日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉氏。丸山氏は、同学会の家庭医療専門医は現在は、「Ver.2」のプログラムに基づいて実施しているが、日本専門医機構の総合診療専門医の議論は、「Ver.3」、つまり家庭医療専門医の延長線上で議論されていると評価。一方で、専門医の在り方が、医療制度との関連で議論されることもあることから、「専門医は、専門医だけの問題で議論すべき」と述べ、医療提供体制との関連で議論されることをけん制するとともに、医療制度などの政策判断については、日医がかじ取りをしていくべきと求めた。

 これに対し、横倉会長は、自身が日医会長に就任した2012年以降、日本医学会と全国医学部長病院長会議、病院団体が、非常に連携が取れるようになったとし、学問的な面は日本医学会を中心として各学会が取り組んでいき、医学の社会的適用、つまり医療の面については、日医と病院団体が十分な協力の下で進めていくと説明した。

 さらに丸山氏は、「我々は、プライマリ・ケア強化のために専門医制度を運営している。改革は必要だが、血が出るような改革ではなく、着実な改革が必要」と述べ、早急に専門医制度改革を行うことには懸念を呈した。横倉会長も、「制度改革は、陰の部分が大きいと、国民に大きな迷惑がかかってしまう」と述べ、その上で「日医は、全ての国民が、かかりつけ医を持つことを主張している。病気だけでなく、健康な時からアドバイスをしたり、病気になればプライマリ・ケアとして対応し、必要な時には(臓器別)専門医と連携するのが、かかりつけ医。日本プライマリ・ケア連合学会の先生方とも協力しながらやっていきたい」と日医のスタンスを説明。

 丸山氏は、「我々も、かかりつけ医」と続き、座長を務めた日本プライマリ・ケア連合学会副会長の草場鉄周氏は、「学会の役割は何かを改めて考えさせられた。学会の会員だけで、日本の医療が完結するわけではなく、さまざまな領域で活躍している先生方と一緒に手を組み合うことが必要。その際、一つのモデルとして、総合診療専門医の在り方を示し、数ではなく、質を維持しながら育てていく。実際の診療面では、各地域でネットワークを組んで連携しながら、かかりつけ医としてもがんばっていく。そうした方向性が求められている」と述べ、「特別対談」を締めくくった。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20150614/CK2015061402000142.html
【茨城】
「総合診療医」シンポ スポーツ医療、役割は

2015年6月14日 東京新聞

 スポーツ医療の現場に求められる、病気を心身全体から見る「総合診療医」をテーマにしたシンポジウムが十三日、つくば市のつくば国際会議場であった。世界陸上選手権男子四百メートル障害銅メダリストの為末大さんや県内のスポーツ医ら五人がスポーツ医療の役割について意見を述べ、約二百人が耳を傾けた。
 シンポジウムは、総合診療医・家庭医らの全国組織「日本プライマリ・ケア連合学会」の学術大会の一環。国内では、これまで整形外科医が中心になってスポーツ医療を担ってきたが、近年、専門医の他に総合診療医を育てる重要性が指摘されている。
 筑波大付属病院水戸地域医療教育センターの金井貴夫医師は二〇一二年のロンドン五輪で、チームドクターとして自転車競技日本代表に帯同した。調子を崩した選手に成功体験を思い出させたり、催眠療法を施して復調させた例を挙げ、心身両面から選手を支える大切さを強調した。
 為末さんは、アスリートの視点で「けがの治療だけでなく、選手を好調な状態にしたり、けがを予防する役割もある」とスポーツ医の総合性を指摘。「体が壊れても走りたいと訴える選手の思いを分かってくれるのがスポーツドクター」と語った。 (増井のぞみ)



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/51692/Default.aspx
厚労省 武田薬品に誇大広告で業務改善命令 CASE-Jの“ゴールデン・クロス”で
公開日時 2015/06/15 03:50 ミクスオンライン

厚生労働省は6月12日、武田薬品のARB・ブロプレス(一般名:カンデサルタン)の臨床試験「CASE-J」をめぐり、“ゴールデン・クロス”と銘打つなど誇大広告があったとして、医薬品医療機器法(薬機法)に基づく業務改善命令を出した。誇大広告で、薬機法第66条違反として、行政処分が行われるのは初めて。武田薬品に対しては、広告審査・管理体制の整備などの改善計画を1か月以内に提出することを求めた。


誇大広告の対象となったのは、▽木自体広告「CASE-Jに学ぶ(2006年10月、Medical Tribune)」、▽広告「切り札は多い方がいい(2010年3月、日経メディカル)」--の2種類の医療関係者向け広告資材。


同試験をめぐっては、CASE-J試験の結果を示す心血管イベント発現頻度の図表が、学会発表時や論文掲載の図表と完全に一致せずにズレがあったこと、資材を通じて強調された長期投与の有効性が示された42か月以降のデータが論文化されていないことなどが指摘されていた。


「CASE-Jに学ぶ」では、脳卒中などの発現率を示すグラフを問題視した。問題点は2つ。まず、グラフが論文化されたグラフなど、正しいグラフに比べて、発現率が低く見えるようにしたこと。もうひとつが、グラフでは、対照薬であるCa拮抗薬・アムロジピンと統計学的な有意差がないにもかかわらず、長期間服用した場合に発現率が下回ることを強調されていたことだ。長期服用(42か月以降)で、ブロプレスがCa拮抗薬・アムロジピンに比べて、良好な心血管イベント抑制効果を示しているように見えるよう、交差部分については、「矢印を用いて「ゴールデン・クロス」という最大級の表現で強調した」と指摘した。

「切り札は多い方がいい」は、「CKD」、「糖尿病」、「夜間高血圧」、「高齢者」、「OVER140/90」のカードを持つ相手に対して、黒く光り輝くカードを持つことを示した広告。黒く光り輝くカード(=ブロプレス)が効果を示すことを、ビジュアルに訴えかけている。ブロプレスは、糖尿病の適応をもっておらず、“切り札”という強い表現で、副次的効果を端的に提示したことが問題視された。


◎広告審査体制の整備を 過去の資材も継続的な審査求める


処分内容は、第一種医薬品製造販売業の改善命令(薬機法第72条の4第1項)に基づき、広告などの審査体制整備を求めた。具体的には、▽広告の審査体制を、内部職員による社内審査にとどまらず、外部有識者等を含めたものに整備、▽過去に作成した項目についても、外部有識者の意見等も踏まえ、最新の知見に基づく見直しが速やか、かつ継続的に行われる審査体制・社内体制の整備、▽再発防止のため、広告等の作成・審査に携わる社員および管理職に対し、薬機法をはじめとした法令、通知、プロモーションコードなどの業界自主基準の周知徹底、適切な教育訓練の充実––を求めた。

なお、武田薬品は、問題発覚後、再発防止策として、コンプライアンス推進を行う部署の新設など、審査体制の強化を図っていることを2014年10月に公表している。

同社は、「ブロプレスの血圧低下作用や安全性について疑義が生じているものではない」とした上で、業務改善命令を受けたことについて「真摯に反省するとともに、心よりお詫び申し上げる」とコメントしている。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03129_05
The Genecialist Manifesto
ジェネシャリスト宣言 【第24回】
ジェネシャリスト診断学 その1 ジェネラルに考える

岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科)
週刊医学界新聞 第3129号 2015年06月15日
第3129号 2015年6月15日

(前回からつづく)

 診断とは,患者に起きている現象に対して相応する名前(コトバ)をつけてあげる作業をいう。その現象を時間で切れば「病歴」となり,空間で切れば「身体診察所見」となり,あるいは血液検査や画像検査所見となる。切り口はいろいろだが,それぞれのアプローチは病気という全体的で総合的な現象を部分的に説明したものだ。部分から全体を透かして見ることができれば,それが「診断」である。



 ジェネ“ラ”リスト的に診断を考えるとき,「蹄(ひづめ)の音を聞いたら,シマウマではなく馬を探せ」と言われる。これは標語である。そこにはいくつかのメッセージが込められている。

 例えば,頻度の高い病気に遭遇する確率は,頻度の低い病気に遭遇する確率より高い,とか。それってトートロジーじゃないか,というツッコミもあるかもしれない。もちろん,トートロジーである。標語とはしばしばそういうものなのだ。

 「シマウマを考えるな」ということは,「診断仮説を百花繚乱的に精査する方向に行くな」という戒めも内包している。発熱患者全員に家族性地中海熱の遺伝子検査をしたり,頭痛患者全員にMRIを撮ったりするのは面倒くさいし,コストがかかりすぎる。

 もしかしたら,頭痛患者全員にMRIを撮るというアプローチは,学問的には興味深いアプローチなのかもしれない。例えば,ひどい頭痛と白質の強信号の関連性は,このようなポピュレーション・ベイスドなアプローチから見いだすことができる1)。こういう知見は,逆算的にMRI所見からの頭痛診断に寄与するかもしれない。



 しかし,それは――つまり「寄与するかもしれない」ということは――,未来の患者にとっての恩恵の可能性を示している,という意味でしかない。言い換えるならば,それはリサーチ・マターなのである。そのような情報は目の前の患者には直接的には恩恵を与えない(可能性が高い)。

 目の前の患者に対する恩恵というのは,そのMRIを撮った場合と撮らない場合において,診療方針が大きく変わる場合において“のみ”に現れる恩恵だ。しかし,頭痛の治療は,MRI所見とは関係なく行われる。病気という現象の把握に「MRI所見」という新たな側面が加わっただけで,現象そのものの把握が変じたわけではない。

 患者に関する情報を何でもかんでも手に入れようとするアカデミックなアプローチは“将来の”医学の発展に寄与する可能性がある(寄与しない可能性もある)。しかし,そのアプローチが目の前の患者の恩恵に直接的に寄与しないのであれば,MRIという検査の原資を患者のポケットや医療保険から捻出させるのは倫理的に間違っている。

 医者の知的好奇心が悪いというのではない。ただ,そのような知的好奇心,学問的満足を患者から得るのであれば,「私はあなたの病気を使って私の知的好奇心を満たしたい。ひょっとしたらそれは将来の患者の役にも立つかもしれない(立たないかもしれない)」旨を当該患者に表明し,MRIという検査の費用は自らのポケットマネーか,その他の妥当な研究費から捻出するのが筋であろう。患者に了解も取らず,あまつさえカネまで払わせて自分(医者)の知的好奇心を満たすのは,はっきり言って詐欺行為である。

 もちろん,そのような百花繚乱的な精査から恩恵を受ける患者だっているだろう。「まぐれ」というやつだ。たまたま偶然,(発症初期の)家族性地中海熱が診断される可能性だってある。たまたま偶然,脳腫瘍が見つかる可能性だってある。ただし,そのような幸運に恵まれる可能性は極めて低く,ほとんどの検査結果は空振りになる。



 問題は,相次ぐ空振りがもたらす医者への心理的な悪影響である。ルーチンの検査が増えていくと,それらの結果を全て真剣にチェックし続けることはメンタル的に困難になる。空振りが増えればなおさらだ。ボクシングでも相手に当たるパンチよりも空振りのほうが疲れるのだ(だそうです)。神戸市立医療センター中央市民病院では,数年間で3万件以上の胸部X線写真がオーダーされていたが,そのうち500件近くは読影されていなかった。その中に「X線を見るのを忘れていたために」見逃されていた肺がん患者もいた2)。

 プライマリ・ケアにおける診断アプローチの要諦は,「初日で全勝する必要はない」である。発熱初日に家族性地中海熱を診断する必要はない。頭痛初日に脳腫瘍を診断する必要もない。そんなことに拘泥しているとより大きな失敗が待っているのだ。

 最近のサッカーでは,前線からの守備が大事というが,前線で全てのボールを奪い取ろうとすれば,ヘトヘトになったフォワードはシュートを打つこともままならなくなってしまうだろう。「前線からの守備が有効なときだけ,前線からの守備をする」のが正しい態度だ(だから,メッシを「走らない選手」と非難するのは間違っている。メッシは動くべきとき“だけ”動けばよいのだから)。



 後医は名医である。言い換えれば,前医は名医ではない。それは必然的に,戦略的にそうあるべきなのだ。前医に必要なのは戦略的にシマウマを捨象し,戦略的に見逃す態度である。フォワードが“わざと”ボールを追っかけない場面があるように。「後医は名医」は現象を観察した表層的な文句ではなく,戦略的な覚悟の表明なのだ。

 そして,「前医は名医ではない」=フォワードが全てのボールを追っかけない戦略には,ちゃんとバックアップという担保が付いている。それが「後医」である。その話は,次回する。

  1. 2015/06/15(月) 06:24:02|
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