Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月22日 

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=118846
生体肝移植死、神戸の病院長退任へ…手術は再開可能性
(2015年5月22日 読売新聞)

 生体肝移植を受けた患者4人が相次いで死亡した、神戸国際フロンティアメディカルセンター(神戸市)は22日、京都大名誉教授の田中紘一院長の退任を月内に開く理事会にはかることを明らかにした。

 別の医師を院長とするが、田中院長が手術に関わる医師団の体制は現状のままで、待機中の患者の手術についても、病状を踏まえて再開する可能性があるという。

 この問題を巡っては、専門医団体の日本肝移植研究会が調査し、「移植にかかわる医師が不足している。移植手術を行う(医療)体制が不十分」と指摘。手術実施の可否を決める院内の適応評価委員会が「十分機能していない」とし、メンバーの入れ替えなどを提言した。

 センターの広報担当者は読売新聞の取材に、評価委のメンバーについては刷新するものの、当面は新たに移植医を招くなどの措置はとらないと説明した。

 同センターでは現在、肝臓がん患者の男性(63)が9例目の移植手術を受ける予定で待機している。



http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1505/22/news040.html
情報共有で医療が変わる、“1患者1カルテ”を目指す静岡県の挑戦
2015年05月22日 08時00分 更新 ITmedia

医師不足が叫ばれるなか、情報共有を軸とした業務効率化でサービスの質を向上させようとする取り組みが盛んだ。地域の医療機関が連携できるようにシステムを整備した静岡県。しかし、現場にITシステムが浸透するまでの道のりは平たんなものではなかった。
[池田憲弘,ITmedia]

 日本の医療において「2025年問題」が大きなキーワードになっている。これは、2025年までに団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり、日本各地で病気にかかったり、要介護の状態になったりする国民が急激に増加するという予測だ。

 高齢化が進むとともに医療の需要は増えていくが、彼らを診療する医師が足りないのが現状だ。特に地方でその傾向は激しく、医療サービスの質の低下が問題となっている。

 静岡県も慢性的な医師不足に悩む自治体の1つだ。医療施設に従事する医師数は、人口10万人あたり193.9人であり、全国47都道府県のうち43位だった(全国平均は237.8人、2012年時点)。この医師不足に対処するため、情報共有と分業を進めて、業務効率化を図れないか――。こんな想いから2011年に生まれたのが、地域医療連携システム「ふじのくにバーチャル・メガ・ホスピタル(ふじのくにねっと)」だ。

医療機関で患者の情報を共有

 ふじのくにねっとは、複数の病院や診療所などで電子カルテシステムの情報を共有できるネットワークだ。県内の大病院で集められた各患者の情報(検査結果や処方せん、アレルギー情報など)を管理センターに集約。患者の同意を経て、診療所や介護施設、薬局などに共有できるようになる。

 患者についての情報共有ができることで、病院が得られるメリットは多い。例えば、転院のワークフローが大きく改善される。病状や入退院記録、検査結果や服薬指導といったデータが共有されることで、転院の検討や受け入れがスムーズに行われるようになるという。医療機関間の紹介状や返書の作成、送付などもオンラインで実施でき、その作成業務や管理業務の効率化も行う。

 ふじのくにねっとのシステム責任者を務める、静岡県立総合病院 副院長の森典子氏は、「特に救急なども受け付ける総合病院は、空きベッドを確保したいこともあり、軽い病状であれば転院を勧めています」と話す。

 ほかにも、院外からVPN経由で患者のデータを参照し、施策のコンサルテーションや手術前の予習、CTやMRIのレポート作成といった作業が行えるようになる。出張先や家など、場所を問わずに仕事ができるために、逆に医師の負担が増す懸念はあるものの、応援で医師が別の病院に駆けつけるといった場面では極めて有効な施策になるという。

 「医師が足りない地域になればなるほど有効です。これまでは救急患者の状態が写真で、スマートフォンに送られてくるといったこともありましたが、これからはセキュリティが担保された状態で参照できます」(森氏)

 2011年のサービス開始当初は16カ所だった参加施設の数も、2015年3月現在で222カ所になり、情報開示を行った患者の数も1万2242人にまで増えた(2015年3月31日現在)。最近では救急救命にふじのくにねっとが役立つといった事例も出てきたそうだ。しかし、ここまで利用者が増えるまでの道のりは平たんなものではなかった。

医療現場にITシステムが浸透するためには?

 「国が推進していることもあり、包括的な地域医療ネットワークを始めるケースが増えています。しかし、その多くはシステムを使いこなせていないのが現状です」と森氏は語る。実際、ふじのくにねっとも導入当初は利用者が増えずに苦戦したという。

 「危機意識が低い人たちに必要性を理解してもらうことも大変でしたが、医師が導入したいと思っても、運用を行う事務方が及び腰になってしまうことや、費用を負担する事務方や県に導入効果をどう説明するかといったことも障壁になっていました」(森氏)

 そこで導入から約1年が経った2012年9月、ふじのくにねっとのシステムを構築した富士通と協力し、理想像や課題の可視化、業務効率化といった改善活動を始めた。手始めにアンケートを行うと、サービス自体の認知度や、基本機能(メールやメモなど)の認知度が低いことが分かった。「参加者の満足度は高いことから、効果の整理や普及が必要だと気付きました。多くの施設が漫然とした期待を抱いているものの、効果を実感できていなかったわけです」と森氏は振り返る。

 その後、システム全体の運用を見直すことで、普及活動への作業時間を確保。システム利用のメリットを体系化し、診療所に向けて、参照可能な情報や利用可能な機能、事例などをまとめた「地域医療連携ニュース」を作成した。こうした利用推進活動を繰り返すことで、2012年9月時点では4000人程度だった患者の参加者は、2014年9月には1万5000人弱まで増えた。

情報共有が進むと医療はどう変わる?

 利用者が増えるとともに、大病院と地域の診療所、薬局との連携も進んでいった。患者の情報を両社で共有することで、診療所でも治療計画や病状について再度、患者に詳細な説明ができるようになった。特に大病院を退院後に各地の診療所で通院するといったケースに有効だったという。

 「病院で一度説明されただけでは、聞き逃してしまったり、状況を把握しきれなかったりと十分な理解が得られなかったという患者さんも多いため、診療所で再び確認するというステップは意外と大事なのです。患者さんの家族を含めて安心感や信頼感が向上し、満足度が向上しました。診療所の先生としても、病院の最新の医療に触れることでスキルアップにつながっているようです」(森氏)

 現在、森氏と富士通が手掛けているのは、病院同士の情報共有によるワークフローの改善だ。救急患者を例にとると、迅速に一時的な処置を行う病院、その後に専門的な治療を行う大病院、入院治療が終了した後にリハビリを行う施設と3つの施設を動くことになる。そこで、患者の情報を1カ所に集めて随時アップデートしていくことで、スムーズな転院や早期治療を実現するというものだ。

 「病床の利用率や回転率を上げることができ、病院間で連携したトータルなリハビリ計画を立てることもできます。今は脳卒中の患者を想定したプロセス改善に取り組んでいるところです」(森氏)

目指すは“1患者1カルテ”体制

 こうした現場主体の改善活動を、富士通は「フィールドイノベーション活動」と呼んでいる。森氏は一連のフィールドイノベーション活動について、利用推進のきっかけを作ってくれたと評価する。

 「会議だけでは分からないことがあると、現場に出向いて実態を可視化してくれた点は大きかったです。施策の方向性や目的が明確になったことで、病院という立場でも、診療所などの現場に入りやすくなった点もよかったですね。結果、各地域や病院が主体となってPDCAのサイクルを運用する仕組みが立ち上がりました」(森氏)

 医療現場にITシステムが浸透するには何が必要か――。森氏はお金、事務作業、使い勝手の3点を挙げた。「お金と事務作業は言わずもがなですが、診療のじゃまにならないようなツールの使い勝手も重要になってきます。例えば、セキュリティの問題で面倒な作業が発生するようなときは、この場面でセキュリティがなぜ必要か、というところから説明して納得してもらわなければいけません」

 今後は、総務省からの補助金に頼らない運営体制や、救急医療にも耐えうる24時間止まらない堅強なシステム作りといった点に注力していく。地域全体が1つの大きな病院に――。地域医療連携が目指す情報共有の姿は“1患者1カルテ”での運用だ。

 「患者の情報を統一して運用することで、確実に医療の質は向上します。患者の情報がリアルタイムで更新されるようになれば、さらに正確な診断が行われるようになります。また、さまざまなケースが知見として貯まっていくことで、地域医療の担い手となる若い医師を育てる手段にもなり得ます」(森氏)

 利用者数が増えているとはいえ、まだまだ道半ばだと森氏は語る。連携医療の必須ツールとして、すべての医療機関と患者をカバーできるのか。静岡県の挑戦は続いていく。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015052290235632.html
検査後の連携ミスで死亡 大垣市民病院、和解金支払いへ
2015年5月22日 23時58分(中日新聞)

 岐阜県大垣市は22日、大垣市民病院に入院し、昨年8月に死亡した市内の女性=当時(76)=への膵臓(すいぞう)のエコー検査で、腫瘍が見つかったのに医師の連携ミスで治療が遅れたとして、遺族に550万円を支払うことで和解したと発表した。6月1日開会の市議会に議案を提出する。

 病院によると、女性は2012年10月にめまいを訴えて入院。糖尿病の持病があったため糖尿病・腎臓内科を受診した。同科の医師は、食欲低下の原因を探るため消化器内科を紹介するとともに、腹部をエコー検査した。画像に腫瘍があったが、この医師は検査結果を見ておらず、消化器内科の医師にも結果が伝わっていなかった。

 女性は一度退院したが、昨年4月に腹部全体の痛みを訴え、同病院で超音波検査。膵臓の腫瘍が大きくなっており、末期の膵臓がんと診断され、12年の見落としが判明した。

 藤本佳則副院長は記者会見し、「医師による検査結果確認の徹底と共有に努める」と話した。



http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/05/22/kiji/K20150522010399780.html
新潟県立中央病院 食道がん治療せず2年放置
[ 2015年5月23日 00:26 ] スポーツニッポン

 新潟県立中央病院(上越市)は22日、下咽頭がんで2012年に入院した80代の男性患者の検査で食道がんが見つかったにもかかわらず、診療科の間での連絡ミスなどで治療せず、約2年5カ月間放置する医療事故があったと明らかにした。

 病院によると、男性は12年10月に入院し、耳鼻咽喉科の主治医は、他のがんの併発を調べる検査を内科に依頼。内科医は内視鏡検査で食道がんを見つけ主治医に報告書を出したが、主治医が結果を確認しなかった。

 内科では通常、内視鏡検査で異常が見つかれば検討会で治療方針を決めるが、検査した医師が電子カルテ上の担当科を「耳鼻咽喉科」と誤記載したため、放置された。男性は下咽頭がんの治療だけを受け、同年12月に退院し在宅療養していた。

 ことし3月、男性のCT検査で肺の影などが見つかり、カルテを見返して発覚した。男性は食道がん治療のため再入院しており、転移の可能性もあるという。

 病院側は「治療をしなかったことで病状が進行したことは確実」として男性に謝罪した。「他科の内視鏡検査でも内科の検討会で確認をするなど、再発防止に尽くす」としている。



http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2015052200688
2年以上がん治療放置=リンパ節に転移-新潟県立中央病院
(2015/05/22-16:20)時事通信

 新潟県立中央病院は22日、食道がんと診断した80代男性患者の治療が約2年5カ月間放置されていたと発表した。この間、男性の食道がんはステージ1から2に進行し、リンパ節にも転移したという。男性は4月に再入院し治療を受けている。
 男性は2012年10月、下咽頭がん治療のため同病院耳鼻咽喉科に入院。同月、内科で内視鏡検査し食道でもがんが発見された。下咽頭がんの治療を受け同年12月に退院したが、食道がんについては耳鼻咽喉科、内科いずれの医師も他科で治療が行われると思い込み放置していたという。
 今年3月下旬に下咽頭がんの経過観察でコンピューター断層撮影(CT)検査を行った際、食道がんが未治療であると発覚。同病院は原因について「内科医による主治医(耳鼻咽喉科)への内視鏡検査結果の報告が不十分だった」としている。 



http://www.sankei.com/west/news/150522/wst1505220020-n1.html
悪性なのに良性と誤診…がん性腹膜炎で死亡 患者側と国立病院機構が4千万円で和解
2015.5.22 08:30 産経ニュース

 国立病院機構大阪南医療センター(大阪府河内長野市)に入通院し、平成22年にがん性腹膜炎で死亡した当時50代の府内の女性の遺族らが「担当医の誤診で死亡した」として、機構と担当医に計4千万円の損害賠償を求めた訴訟があり、機構と担当医が請求額と同額の解決金4千万円を支払う内容で大阪地裁(野田恵司裁判長)で和解が成立したことが21日、分かった。4月20日付。

 訴状などによると、女性は17年7~8月、センターで検査を受け、膵臓(すいぞう)にできた嚢胞(のうほう)(液体がたまる袋)について、担当医から良性の「膵仮性(すいかせい)嚢胞」と診断された。女性は経過観察のため、その後も数カ月ごとに血液検査などを繰り返したが、22年3月の検査でがんであることが判明した。

 しかし、女性が摘出手術を決意した直後に嚢胞が破裂し、腹部にがんが拡散。同年4月に府内の別の病院で手術を受けたものの、余命半年と宣告され、10月に死亡した。

 訴訟で遺族側は、17年当時の検査結果から、嚢胞を良性と判断したのは担当医の誤診だったと主張。漫然と経過観察するのでなく、悪性の可能性を考慮して嚢胞を切除するなどの適切な医療行為をしていれば、死亡は回避できたと訴えていた。

 一方、機構側は「当時の医学的知見からすれば担当医の診断は妥当だった」と反論。誤診を否定し、争う姿勢を示していた。

 大阪南医療センターは取材に「コメントすることはない」としている。



http://apital.asahi.com/article/news/2015052200005.html
武田薬品に業務改善命令へ 高血圧薬を誇大広告
2015年5月22日 朝日新聞 アピタル

 武田薬品工業が高血圧治療薬「ブロプレス」の臨床研究データを不適切に広告に使った問題などを受け、厚生労働省は、医薬品医療機器法(旧薬事法)で禁じる「誇大広告」に当たるとして、同社に業務改善命令を出す方針を固めた。会社側の弁明を聞いたうえで、最終的に決める。

 研究は「CASE―J」と呼ばれ、2001~05年に京都大などの医師が主導して実施し、武田薬品が37億5千万円の資金を提供した。高血圧患者約4700人が参加する国内初の大規模臨床研究で、脳卒中などの病気の発生率を他社の薬と比較し、効果を調べた。

 結果は統計的に明確な差はなかったにもかかわらず、武田薬品が医師向けにつくった広告には、長期間使うことでブロプレスの方が効果があるような形のグラフが掲載された。ブロプレスの方が有効だと印象づける文言も使われていた。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H2Q_S5A520C1CR0000/
武田に業務改善命令へ 高血圧治療薬で誇大広告
2015/5/22 11:48 日本経済新聞

 武田薬品工業が降圧剤「ブロプレス」の広告に臨床研究データを不適切に使っていた問題で、厚生労働省が同社に対し、医薬品医療機器法(旧薬事法)で禁じる誇大広告に当たるとして、業務改善命令を出す方針を固めたことが22日、分かった。会社側の弁明を聞いたうえで、最終的に判断する。武田薬品は「当社としてコメントできることはない」としている。

 臨床研究は京都大などのチームが2001~05年に実施し、武田薬品が37億5千万円の資金を提供した。高血圧の患者約4700人を対象に、ブロプレスと別の薬で脳や心臓の病気の発症を抑える効果を比較した。

 統計的に明確な差がなかったにもかかわらず、武田薬品はブロプレスの方が効果があるようなグラフなどを広告に掲載。別の広告には、適応が認められていない糖尿病にも効くかのように印象づける表現があった。

 問題は昨年2月、臨床研究の論文のグラフと同社の広告のグラフが異なると専門家が指摘して発覚。武田薬品が設置した第三者機関と京都大の第三者委員会はいずれも、データの捏造(ねつぞう)や改ざんはなかったとしている。



http://www.marketnewsline.com/news/201505221707000000.html
厚生労働省、高血圧治療薬の誇大広告で武田薬品に対して業務改善命令へ
Publish 5/22 17:07 Market news line

厚生労働省が武田薬品 <4502> が製造販売している高血圧治療薬「ブロプレス」(一般名:カンデサルタン シレキセチル)を巡る不適切広告で、医薬品医療機器法に基づき、同広告は誇大広告だとして同社に対して業務改善命令を下す方針を固めたことが22日までに明らかとなった。

この問題は昨年2月、京都大学病院の医師が専門誌を通じて武田薬品の「ブロプレス」の効果について疑義を唱える論文を発表したことから表面化していたものとなる。

その後、武田薬品は第三者機関の調査の結果「試験データの捏造・改ざんやこれに当社従業員が関与したとの事実はいずれも認められなかった一方で、医師主導臨床研究の独立性・中立性に疑義を生じさせかねないという意味で不適切な当社による複数の関与や働きかけが確認された」とする発表を行っていた。

誇大広告で製薬会社が厚生労働省から業務改善命令を受けるのは初ともなり、国内製薬最大手の武田薬品にとっては信用を大きく失墜させることともなる。



http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1505/1505060.html
日本糖尿病学会,全共同発表者のCOIを開示へ
第58回日本糖尿病学会年次学術集会・理事長声明

[2015年5月22日] MT Pro / Medical ribune

 日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は,同学会が定める「会員の研究活動に係る倫理行動規範」における利益相反(COI)の開示方式について,現行の筆頭発表者のみの開示から,同学会の会員・非会員を問わず共同発表者全員に求めることを決めたと第58回学術集会の理事長声明の中で発表した。今年(2015年)4月に施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省,厚生労働省)に則った措置で,開始は5月25日。その他の追加点を含め,6月1日に同学会の公式サイトで公表する予定である。一方,100万例の糖尿病患者の登録を目指すデータベースによるエビデンス構築など5つを柱とした「第三次糖尿病5カ年計画」の内容も明らかにした。

共同発表者なら他大学であっても開示

 同学会の会員が研究活動を行う際に遵守すべき基準を定めた「会員の研究活動に係る倫理行動規範」(2014年5月)では,例えば企業主催による講演会の講師や座談会の出席を依頼された場合の対応について,Q&A方式を用いて具体例を示している。

 内容に関しては適宜改訂を行うとしているが,門脇氏によると今回同学会の会員の有無を問わず,全ての共同発表者にCOIの開示を求めることが,5月20日に開かれた同学会理事会で決定したという。

 そこで学会に演題を応募した大学院生による「共同発表を依頼した他大学の研究者についても,私がCOIを開示しなければならないのか」というクエスチョンを設定。演題応募に当たり,共同発表者となることは他大学の研究者から了承を得ていることを踏まえ,同学会のCOI指針に則り,開示を求めるアンサーを示す。

 今年4月に開始した「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の施行に伴い,COIの開示を含む倫理指針の適切な運用がこれまで以上に求められるようになった。

 そのため,倫理指針に関連する項目について同学会の倫理行動規範を一部改訂し,Q&Aを追加する。詳細は6月1日に同学会の公式サイトで公表する予定だが,施行開始は今学術集会終了後の5月25日となる。

効率的に100万例の登録を目指す事業を開始

 門脇氏は,包括的データベースによるエビデンスの構築や超高齢社会に向けた基盤整備事業など5項目からなる「第三次対糖尿病5カ年計画」についても発表した。

 今年で終了する第二次対糖尿病戦略5カ年計画(2010年)に基づいて掲げられた6つの活動目標アクションプラン2010(通称DREAMS)では,血糖値とHbA1cの同時測定を推奨した糖尿病の臨床診断フローチャート(2010年7月施行)によって,1回の検査で診断できるケースが大幅に増えたことから,同氏は目標の1つである早期診断・治療につなげることができたとの認識を示した。

 またHbA1cのJDS値からNGSP値表記への完全移行がスムーズであったと評価した上で,合併症予防のための目標値をNGSP値で示した「熊本宣言」についても糖尿病の早期診断・早期治療体制の構築に寄与したとした。

 第三次対糖尿病5カ年計画では,わが国において増加の一途をたどる肥満や糖尿病患者とそれに伴う医療費などへの課題に対応すべく,①糖尿病先端研究の結実②超高齢社会に向けた基盤整備③包括的データベースによるエビデンスの構築④将来の糖尿病対策を担う人材育成⑤国民への啓発と情報発信―に重点が置かれた。

 このうち③について,国立国際医療研究センターや教育認定施設などの医療機関と連携し,患者登録を効率的に行う「糖尿病症例登録クラウド構築事業」を開始することが5月20日に開かれた同学会理事会で決まった。標準化されたカルテを用いることで糖尿病診療の質の改善やアンメットニーズなどを目指すが,日本医療研究開発機構(AMED)による支援が期待されており,今後100万例の登録を目指すという。

 同氏は,これまで取り組んできたDREAMSの成果を踏まえ,今後も糖尿病の予防・根治(cure)という夢(DREAMS)を実現(come true)してほしいと訴えた。

 第三次対糖尿病5カ年計画についても,同学会公式サイトで公表される予定。

(田上 玲子)



http://www.m3.com/news/iryoishin/323004
消費税補填「消失してない」、厚労省、過去分認識
日医検討会、「見える化」イメージのずれも

2015年5月22日(金)配信 池田宏之(m3.com編集部)

 日本医師会は5月20日、財務省と厚生労働省の官僚も交えた、医療機関の控除対象外消費税の負担の「見える」化を議論する「医療機関等の消費税問題 に関する検討会」の第3回会議を開いた。日医が厚生労働省に対して、1989年、1997年の消費税率引き上げ時に補填され、その後項目が消えたり、点数が引き下げられた分についての認識を聞くと、全体の財源として手当てされている以上、「消失した」との認識は示さなかったという。検討会は非公開で、終了後、日医の今村聡副会長が取材に応じた。

最終決定は「内閣」

 検討会で、日医は、厚労省に対して、診療報酬本体の3つの見解を問い質した。1つめは、消費税率が引き上げられた1989年、1997年に点数が上乗せされたものの、廃止された項目について、「消失した」「他の項目全体に均等に移動した」「他の特定の項目に移動した」「その他」の選択肢を示したところ、厚労省は、他の点数部分の財源になったとの考え方を踏まえて、「その他」との認識を示したという。中医協おける支払側がと同じ認識となった。

 また、上乗せしたあと、点数が引き下げられた項目については、「消失」でなく、「全体に広く溶け込んだ」との認識を示した。厚労省は、改定ごとに、医療経済実態調査になどを見ながら、「全体として必要な分は担保している」という立場。今村氏は、「医療界が容認しているというわけではないが、行政のスタンスは明確」と指摘し、「消失していない」との認識を前提として、今後の議論が展開されていくとの考え方を示した。

 1989年、1997年、2014年の消費税率に変更があった時以外の補填については「ない」との認識を示したという。抜本的解決に向けて、課税転換した場合の引きはがし率については、通常の改定と同様、医療経済実態調査の結果をふまえて、「内閣が決める」との見解となったという。

財務省、国民に「見える化」求める

 検討会の「見える化」のイメージを巡って、隔たりもあった。医療機関としては、制度によって実質的に医療機関の持ち出しとなっている部分を訴えてきたが、財務省としては「仮に課税転換するならば、行為ごとにどれだけの影響があるのか見せないと国民の理解を得られない」との考えかたで、国民にとって「見える化」をするように求めている。診療報酬においては、全ての行為や医療材料について1対1対応で点数がついているわけではないため、厚労省や日医は「国民にとっての見える化は難しい」という立場。ただ、財務省は、1対1対応で見せられる点と、それ以外を分けてでも、何らかの形で示すことを求めたという。

 今後、医師会、歯科医師会、薬剤師会で、たたき台を作って議論を進める方針。加えて、「見える化」の議論に加えて、税制改正大綱や予算編成などのタイミングを含めた実際の流れについても、合意に向けて議論を重ねる。



http://www.m3.com/news/iryoishin/323295
重要性高まる「健康経営」、辻・東北大教授
「データヘルス計画」の意義を講演

2015年5月23日(土)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生分野教授の辻一郎氏は、5月21日に都内で開催されたセミナーで、「データヘルス計画の意義と展望」というテーマで講演、労働力人口の高齢化に伴い、従来以上に「健康経営」の重要性が増すと指摘、各健康保険組合で「データヘルス計画」が本格始動に向かう現状を紹介した。セミナーの主催は、アイ・エム・エス・ジャパン株式会社。


 辻氏は、「生活習慣病を持つ人が増えると、医療費は増加する一方、生産性は低下する。職場の健康管理はこれまで以上に重要な経営課題になる」と指摘。「健康経営」は、従業員の健康管理を行うことで、医療費抑制だけでなく、企業の活力向上につなげる取り組み。政府は2013年の日本再興戦略でその推進を打ち出し、2014年4月から全ての健保組合に「データヘルス計画」作成が義務付けられた。これにより、特定健診・特定保健指導とレセプトのデータを分析し、現状を可視化して、エビデンスに基づく疾病の発症予防や重症化予防などへの取り組みが始まっている。

 講演の中で辻氏は、「健康経営」の重要性を示す、興味深いデータを幾つか提示。一つは、「喫煙、肥満、運動不足」の3つの要因がそろうと、1人当たりの医療費が4割強増えるという、宮城県大崎市のコホート研究のデータ。また経済産業省は今年3月、「健康経営銘柄」22社を初めて選定した。「健康経営に優れる企業(経産省調査の評価上位20%)の2005年以降の平均株価を見ると、TOPIXを上回る形で推移しており、特に22社の平均株価はさらにそれを上回る結果となっている」(辻氏)。

 人口の高齢化で、健康管理の重要性増す

 辻氏は、厚生労働省と健康保険組合連合会が共同で設置した「データヘルス計画」推進会議の座長を務めた。講演でまず強調したのが、人口構成の変化に伴う医療費の変化。人口が減少する日本にあって、高齢者の中でも、前期高齢者が減少する一方、1人当たりの医療費が高い後期高齢者は増えるため、「医療費の使い方が質的に変化することが大きなポイント」と指摘。同時に、1990年を境に、対GDPの医療費は急速に増加していることから、「これ以上、日本の医療費を増やすのはかなり厳しい状況にあると言わざるを得ない」との認識を示した。

 今後の医療費の在り方を考える上で示したデータの一つが、死因別死亡割合と、一般診療医療費の構成割合。がんは死因の約3割を占めるが、がんにかかる医療費は全体の10%強にとどまる。医療費の観点から見れば、高血圧や糖尿病などの生活習慣病対策が今後の課題となるとした。

 さらに今後、人口の高齢化に伴い、労働力人口の高齢化も進む。辻氏は、60歳以上の割合は、2010年は17.9%だったが、2020年には19.4%、2030年には22.2%になるとの推計を提示、今後、職場の健康管理の重要性が高まるとした。

 「喫煙、肥満、運動不足」で医療費増

 生活習慣病対策に当たっては、費用対効果を念頭に置く必要がある。辻氏が例として挙げたのが、宮城県大崎市の国保のコホート研究のデータだ。1995年1月から2003年12月までの間について、「喫煙、肥満、運動不足」の3要素と、1人1カ月当たりの医療費との関係を調べたところ、例えば、「喫煙」一つのみを持つ人では医療費の増加率は9.6%だが、「喫煙、肥満、運動不足」の3要素ともある人の増加率は43.7%と高いことが分かった。

 また全国データでは、2009年度の特定健診でメタボリックシンドロームの該当者または予備群となった人の2010年度の1人当たりの年間医療費は、非該当者よりも約9万円高いことも明らかになっている。

 費用対効果に関しては、フロアから、メタボ対策などで寿命が延びた場合の生涯医療費、年金や介護などの費用まで考えた場合の効果についての質問が出た。辻氏は、「精度が高いデータは世界的にもまだ出ていない」としたものの、労働者については、医療費の視点だけではなく、病気による休職や仕事の能率低下なども含めて、費用対効果を考えることが必要であるとした。また、生涯医療費については、(1)たばこを吸う人は、吸わない人よりは短命で、生涯医療費は吸わない人の方が高い、(2)肥満の人は、適正体重の人よりも短命だが、生涯医療費は肥満の人の方が高い、(3)1日1時間以上歩かない人は、歩く人よりも短命だが、生涯医療費は歩かない人の方が高い――などのデータがあるとし、メタボのリスク軽減で寿命が延びても、生涯医療費増につながるとは限らないとした。

 最近の生活習慣病対策の代表例が、2000年度からスタートした「健康日本21」や、2008年度からの特定健診・特定保健指導で、これらは一定の成果を挙げている。辻氏は「20-60歳代の男性の肥満者は、1995年から2000年までは、年1.5%の伸び率だったが、その後は伸び率が抑制されている」と説明、この点は世界的にも注目されているという。肥満対策などの効果により、2012年度国民健康・栄養調査では、糖尿病有病者と予備群の数は、1997年以降、初めて減少した。

 「健康経営」は政策課題

 以上のような生活習慣病対策に関連したさまざまなデータを紹介した上で、辻氏は最近の政府の健康づくり対策の関連施策を紹介。2013年6月の日本再興戦略、健康・医療戦略などで打ち出されたのが、保険者による予防・管理。その一つの取り組みとして、2014年度から始まったのが、「データヘルス計画」だ。「特定健診の結果は、100%電子データ化されている。レセプト情報もほぼ電子データ化されている。電子データを個人のIDでリンクさせ、データ分析できるのは保険者。その結果に基づいて、保健事業を展開していくのが、データヘルス計画の発想だ。また保健事業の実施後も、費用対効果を医療費の関連から見ることができるのは保険者」(辻氏)。

 データヘルス計画は、データを見て実施すべき保健事業を検討、実施、効果測定、改善というPDCAサイクルを回していく取り組み。辻氏が紹介した一例が、協会けんぽに加入する、ある会社の例。特定健診とレセプトデータの突合の結果、3疾患(高血圧、糖尿病、高脂血症)などについて、本来なら治療を受けていない人や、糖尿病でも治療中断者などを把握することができ、個別に指導することが可能になる。レセプトのチェックで、重複受診などの指導もできる。データヘルス計画の成功のカギとして、(1)ビックデータを取り扱う技術、(2)PDCAサイクルを回すスキル、(3)専門事業者との連携・コラボレーション、(4)ハイリスク戦略とポピュレーション戦略の融合――などを挙げた。

 (4)は、有効なプログラムがあっても、参加率が低ければ効果が薄れるため、参加を促す取り組みも重要になるという意味だ。例えば、喫煙対策。喫煙率はこの10年で大きく改善し、2000年は男性47.4%、女性11.5%だったが、2010年には男性32.2%、女性8.4%に減少した。個々人の努力や教育は必要だが、個人の健康づくりを支える社会環境を作ることが必要」(辻氏)。喫煙対策については、健康増進法の受動喫煙防止による公共の場での分煙・禁煙の推進、「路上禁煙地区」指定の条例化の普及、厚労省による職場の喫煙対策のためのガイドライン作成、禁煙治療の保健適用、たばこ税の引き上げなど、さまざまな施策が講じられてきた。

 「健康経営」企業、低利子で融資

 「健康経営」を取り巻くさまざまなデータを説明した上で、辻氏が紹介したのは、「健康経営」の重要性と、自身も委員を務める2013年12月設置された経産省の「次世代ヘルスケア産業協議会」の検討状況。

 「健康経営」とは、従業員に対して健康投資を行い、健康増進を進める結果、(1)組織の活性化、生産性の向上、ひいては業績向上、株価向上、(2)社会課題の解決(QOLの向上、国民医療費の適正化)――などにつなげる取り組み。経営者と従業員の双方にメリットがあるという。

 「健康経営」で、既に実績を上げている会社があることから、その普及を狙い、「次世代ヘルスケア産業協議会」が設置された。その下部組織である健康投資ワーキンググループの検討事項は、(1)健康増進・予防事業の先進事例を収集・分析し、投資対効果を明らかにするとともに、従業員の健康状態の傾向を業種別に指標化することで、健康サービスへの投資判断を促す、(2)健康経営の取り組み事例(ベストプラクティス)を収集・分析し、経営層への効果的な働きかけの手法――など。

 辻氏が「健康経営」の例として紹介したのが、日本政策投資銀行。「DBJ健康格付」という仕組みで、「健康経営」への取り組みによって、融資の際の利率を変えている。同様の動きは広がっており、青森銀行では、会社に対する融資の利率だけなく、当該会社で働く従業員への個人融資の利率も、「健康経営」を指標に変えている。「従業員から、会社に対し、健康経営への取り組みを促す声が上がっているという」(辻氏)。

 健康経営に優れる企業は、単にメタボ対策ではなく、がん検診を受ける機会の提供、社内禁煙、禁煙治療の自己負担無料化、ストレスチェック、長時間労働者に対する健診など、心身ともに働きやすい職場環境を整備を進めているという。辻氏は、「健康投資は、社会的義務・責任だけでなく、過労死防止などのリスクマネジメント、生産性の維持・向上などの意味がある。従業員の健康を経営課題上の問題と捉える結果、企業の活力向上につながる」と述べ、講演を終えた。


  1. 2015/05/23(土) 06:16:09|
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