Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

5月5日 

http://medley.life/news/item/553f428ce5425fdb00173543
死亡率を下げるスクリーニング検査は「39種類のうち4種類」
超音波検査、マンモグラフィー、便潜血検査、そして大腸カメラ……

Journal: International journal of epidemiology
2015年5月5日 MEDLEY

マンモグラフィーや前立腺がんの腫瘍マーカーなど、自覚症状の乏しい病気を見つけるための検査(スクリーニング)は早期発見を目指して広く行われてきましたが、「必ずしも生存率の改善に結びつかないのではないか」という意見もあります。この論争に対して、アメリカの研究班が複数の論文をまとめて検証し、「スクリーニングによって生存率が改善する場合は限られている」という結果を出しました。

◆19種類の病気の死亡率を検討

この研究は、死因になりやすい病気を対象として、スクリーニングを行うことで死亡率が下がるかどうかの検証を目的としました。

研究班は米国予防医学専門委員会などの論文データベースから、死因になりやすい19種類の病気についての研究で、ランダム化研究という信頼度の高い種類の研究と、メタアナリシスという複数の論文を統合する研究を集め、その内容を詳しく調べました。

スクリーニングの効果は、検査対象とする病気による死亡率(疾患特異的死亡率)と、全ての死因をあわせた死亡率の変化で評価しました。

◆4種類のスクリーニングで死亡率が低下

集まった研究では、19の病気について39種類のスクリーニングが検討されていました。そのうち6種類の病気に対する12種類のスクリーニングは、米国予防医学専門委員会によって推奨されているものでした。

19の病気について、9件のメタアナリシスと48件のランダム化研究を検討したところ、メタアナリシスのうちで疾患特異的死亡率を下げるとされた検査は4種類あり、男性の腹部大動脈瘤を探す超音波検査、乳がんを探すマンモグラフィー、大腸がんを探す便潜血検査と大腸カメラでした。

全死因の死亡率を下げるとされた検査はありませんでした。個別のランダム化研究では、疾患特異的死亡率を下げる効果が見られた検査は研究対象とされた検査のうち30%、全死因の死亡率を下げると見られた検査は研究対象のうち11%でした。

研究班は、いま行われているスクリーニングが疾患特異的死亡率を下げることは「多くない」、また、全死因の死亡率を下げることは「非常にまれ、または存在しない」と述べています。


この結果からただちに「スクリーニングには意義のないものが多い」と言うことはできませんが、限定された見方にせよ、このような結果が提示されたことには驚かされます。スクリーニングの意義を話し合ってみるきっかけにはなるかもしれません。実際にここで挙がったような病気を治療している医師の方は、どう思われますか?


◆参照文献
Does screening for disease save lives in asymptomatic adults? Systematic review of meta-analyses andrandomized trials.
Int J Epidemiol. 2015 Feb
[PMID: 25596211 ]



http://medley.life/news/item/5535f56dc05ced0a01ca90a2
医師の経験に基づいた治療はガイドライン推奨治療と同等の効果
市中肺炎に対して3つの治療方法の効果を比較

Journal: The New England journal of medicine
2015年5月5日 MEDLEY

市中肺炎は日常の社会生活で発症する肺炎のことです。市中肺炎に対する根拠のある治療法は少なく、治療が難しいことも多々あります。今回の研究では、オランダの研究チームが市中肺炎を発症した患者を対象に3つの治療戦略を実施し、医師の経験に基づいた戦略でも、その他の戦略とほぼ同等の効果が得られることが明らかとなりました。

◆市中肺炎に対する医師の経験的な治療戦略を比較

市中肺炎は、研究成果も少なく臨床現場では治療法の決定に難渋することがあるようです。今回の研究では、オランダの研究チームが、市中肺炎を発症し集中治療室(ICU)以外の病棟に入院した患者を対象に、90日総死亡率を指標にして、治療戦略を比較しました。


治療戦略は、医師の経験に基づいたβラクタム系抗菌薬の単独使用、これまで推奨されているβラクタム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用やフルオロキノロン系抗菌薬の単独使用で、その効果を非劣勢試験を用いて検証しました。


◆3つの治療戦略の有効性に著しい差はなし

調査の結果、βラクタム系抗菌薬の単独使用はその他の治療戦略と比べても劣るとは言えないことが判明しました。それぞれの治療戦略による死亡率は、βラクタム系抗菌薬の単独使用、βラクタム系抗菌薬とマクロライド系抗菌薬の併用、フルオロキノロン系抗菌薬の順に、9.0%、11.1%、8.8%でした。

筆者らは、医師の経験的な戦略の適用でも、その他の戦略と比べてほぼ同等の効果が得られることが示唆された、と述べています。


EBM(evidencebasedmedicine)という、医師の経験ではなくデータに裏付けられた治療を行うというのが現在の医学の潮流です。この論文はEBMのあり方に一石を投じるのかもしれません。


◆参照文献
Antibiotic treatment strategies for community-acquired pneumonia in adults.
N Engl J Med. 2015 Apr 2
[PMID: 25830421 ]



http://okmusic.jp/#!/news/76329
医師への謝礼は「賄賂」か否か
提供元:NewsCafe/2015.05.05 03:004

先日、国内の製薬会社72社が"2013年度に医師へ支払った講演料や原稿料"を公表、一部メディアで「医師に謝礼、1000万円超184人」などの見出しが躍っていたのは記憶に新しい。約10万人の医師に計35万件の講演などで総額約300億円が支払われており、1000万円を超えたのは184人、最高額は240件の講演料などで4700万円…といった内容だった。

これはあくまで講演や原稿の対価であり、決して賄賂というわけではないのだが、それでも"医師に謝礼"のくだりだけで「ムムッ」と眉をひそめた人も多いのではないだろうか。それほどに日本の医療と"袖の下"の関係は、まことしやかに囁かれている。

NewsCafeのアリナシコーナーでは「医師への謝礼、アリかナシか」という調査が実施されたようだ。結果とともにさまざまな意見をご紹介しよう。

【アリ…20.2%】

■手術担当医には術前と術後に当然だと聞いた。変な世界だよな。
■禁止だけど拒否されないよね(笑)。
■病院の主たる所に金品お断りの貼り紙があります。これは催促です。
■今はしないけど、子供が生まれた産婦人科では看護師と先生にした。
■金でなく蜜柑をナースステーションへ。
■入院でも外来でも気持ちという意味で商品券を…。
■途中だといやらしいので、最終日にお菓子を持っていきました。
■難しい手術が成功し、退院する時に密かに渡したよ。
■物やお金ではなく手紙でも心から感謝したい時は伝えたい。
■診察が終わり退室時にありがとうと一言言うのも謝礼のひとつ。

【ナシ…79.8%】

■治療費払っているのだから必要ないと思います。
■お金持ちはどうぞ。医療費払うだけで精一杯。でも感謝しております。
■それはしてはいけない事だと思っていた。口頭でお礼は言うけど。
■謝礼で、どうこうなるのなら、貧乏な私は助からない?
■これは付け届けの意味でしょ。そろそろ賄賂文化から卒業しよう。
■昔は当たり前のようだったみたいですが。
■菓子おりくらいまでだね。
■『謝礼完全禁止!』の病院はホッとする。うちの医院は受け取る。
■金品お断りとはってある。でもやってる患者は明らかに待遇が違う。
■御礼の言葉は言うが、金品は渡さない。病院側も受け取らない。

結果は【アリ派】2割となっている。地域による、病院による、医者による、病状次第…と言ってしまえばそれまでだが、5人にひとりが「アリ」というのは、なんだかリアルに感じられる数字だ。
また「治療前か後かで意味が変わる」というコメントも多数。治療前なら袖の下、退院時ならお礼…という意味だろうが、退院時だとしても、病気が再発したときや身内の入院などを見越して金品を渡すこともあるかもしれない。
医療に従事するユーザーからは「どちらでも扱いに変わりはないです!! 貰った事すら覚えてないさ!!」「感謝の言葉と笑顔で退院。これに優る贈り物はない! 某病院勤務者」など心強いコメントが届いてはいたが…。
筆者も手術を受けた際、悩んだ末、退院時に菓子折を置いてきたクチである。純粋にお礼のつもりだったが、「そろそろ賄賂文化から卒業しよう」との意見は耳に痛く感じられた。明文化されていない"常識"ほど難しいものはないのである。

[文・能井丸鴻]



http://www.m3.com/news/iryoishin/318137
シリーズ: The Voice
「紹介状なし初診」、大病院の外来の3%に過ぎず
5,000円徴収でも患者数に変化なし 選定療養の義務化に反対する

2015年5月5日(火)配信 桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

 紹介状なしの大病院受診に関し、実際に5,000円以上を徴収している大学病院で外来患者数の大きな変動に繋がっていない実例が過日、全国医学部長大学病院長会議の調査として報告された。この大病院受診の5,000~1万円の徴収「義務化」が国会審議中だが、目的とする外来機能の分化、勤務医の負担軽減のための外来患者数の削減は、この方策では成しえないことが実証された格好だ。われわれは、過度な患者負担により受療行動の変容を強要し、患者の受療権を奪う、選定療養(差額徴収)の義務化に反対する。

◆5,000円以上の差額徴収でも、外来患者数は顕著な減少は見せず
 全国医学部長病院長会議が実施した、紹介状なしでの大病院受診の選定療養の実態調査によると、選定療養での徴収額を一定期間内で5,000円以上に引き上げた実際例で外来患者数が「横ばい」と大きな変動がないことが報告された。具体的には東邦大医療センター大森病院は、紹介状なし患者の選定療養を14年4月に3,150円から3,240円に、14年7月には5,400円に段階的に引き上げた。3,240円とした3カ月間の平均外来患者数(1日)は2,330人、5,400円に変更後は15年1月迄の7カ月間の平均外来患者数(1日)は2,317人で「横ばい傾向」となっている。選定療養の徴収件数は42.6件から32.9件の減少を見せているが、当該病院の病床数の倍近い外来患者数は不変である。(メディファクス2015.4.13)。厚労省が適正とする病床数の1.5倍への収斂策としての実効は甚だ疑問である。

 また、調査では5,000円以上徴収している大学病院本院が全施設の33.7%(80施設のうち27施設:今年3月時点)を占めており、これら先行例に関し顕著な外来患者数の減少については何も聞こえてこない。

 外来患者数は大学病院、大病院で経年的にみると減少傾向にあるが、それは各病院の紹介率、逆紹介率の向上に向けた広報や具体的取組み、診療報酬での減算措置の影響が大きく、これに重ねて患者3割負担以降の受診抑制が家計所得の減少と相まって作用しているのが現場実態である。

◆事実上の「受診時定額負担」導入、一体改革の規定路線
 2011年7月の「社会保障・税一体改革成案」(閣議報告)では、消費税10%を前提にした社会保障改革の具体策が示されている。「充実」と「重点化・効率化」の両面で各項目をメニュー化し、所要額を組み込んだ工程表となっている。この枠組みは「一体」であり、綻びは一体改革の頓挫、財政的欠損となる。2015年の「重点化・効率化」には「受診時定額負担」の導入とされ、▲1,300億円が見込まれている。

 今回の紹介状なしの大病院受診の5,000円~1万円の「定額」負担の「義務化」は、その先鞭である。しかも、患者負担は3割を限度とした健保法附則への抵触から、差額料金の選定療養を活用しており、いずれ初診料・再診料を引き下げ、保険給付の縮小へと連動することは現行の診療報酬から容易に想像がつく。つまり、保険給付からの外出しの差額での補填、「保険外し」プラス「差額徴収(選定療養)」の形をとった事実上の「受診時定額負担」である。

◆医療機関の「責務規定」の応用はパンドラの箱
 選定療養の「義務化」の難題も、健保法で保険医療機関の「責務規定」(健保法第70条)をいじる荒業でクリアした。大病院による患者の他への「紹介」と、「機能分担」、「業務連携」の「措置」を義務づけ、その措置内容を「療養担当規則」に盛り込み、それを圧して紹介状をもたずに受診する患者から“定率負担の額を超える(選定療養に定める)金額の支払いを受けるものとする”旨も療養担当規則で規定。保険外併用療養の「掲示事項告示」で選定療養のメニューを追加することとしている。

 一体改革成案では、2015年は外来受診の適正化等で▲1,200億円が予定されている。2025年には外来患者数が現行ベースより▲5%(=36.3万人/日:年間7800万人~1.3億人)と、膨大な数が予定されている。人口減少約800万人を勘案しても膨大な数であり、予防・保健活動の健康維持・回復には限界があり、自ずと経済制裁による健康保険からの「排除」が透けている。

 このツールとして、今回の手法はあらゆるタイプの受診時定額負担を際限なく展開するパンドラの箱となる。主治医がいない患者の受診、医療事故補償の保険に未加入者の受診など、あらゆる可能性が考えうる。

 今改定の本丸は、この新たな患者負担増、給付削減の仕組みの導入にあると思える。

◆紹介状のない初診患者は外来患者の3% すり替えられている紹介の議論 ポイントは再診患者
 実は病院の外来患者の90.2%は再診患者である(2011.10.5中医協資料)。初診患者は9.8%に過ぎず、その紹介率の多寡に重きをおき論じられているが、外来機能の分化、役割分担を図るのなら、本来は再診患者の縮小がポイントとならないとおかしい。特定機能病院、500床以上の病院の紹介率は各々40.6%、31.8%(2013.9.30中医協資料)であり、紹介状のない初診患者は外来患者の3%程度にすぎないのである。

 再診患者を縮小するためには、大病院から診療所への「逆紹介率」を上げていく必要があるが、中医協の調査(2013年度)で、逆紹介率が上がらない理由のトップは「医学的に逆紹介できる患者が少ない」(19.3%)である。次いで「地域に連携できる医療機関が少ない」(17.7%)、「患者数を確保するなど、経営上の理由があること」(15.4%)の順であり、軽症者云々という話ではない。

 ちなみに初診患者の紹介率を上げるための課題として「選定療養をとっていても、紹介状を持たない患者が多数受診すること」(30.6%)がダントツで挙げられており、経済的な枷での受療行動の変容は限界があることが示されている。

 この調査では紹介率、逆紹介率を高めるための新たな取り組みとして、「地域で広報活動をした」(38.0%)がトップ、「ほかの医療機関と事前に連携を行うようになった(33.3%)」が第2位で、この二つが多数を占める。第3位は「紹介状が必要な旨をホームページ等で情報提供した」(18.1%)であり、「選定療養を増額した」(4.5%)は第7位で少数となっている。

 つまり、選定療養の金額をいまの任意徴収で平均2,130円(最高8,400円:2013.7.1現在)のものを、5,000円に増額し固定化し、義務化することは、機能分担や外来患者の縮小、紹介率向上とは殆ど関係のない施策なのである。

 体調の異変の度合いやその後を考え、患者は医療機関を選択している。待ち時間や職場を休務すること、重症化した場合など判断には様々な要素がある。病診の診療単価の比較を挙げ低いものは診療所へという議論もあるが、これは「結果」論であり、大病院での治療の経過の中での「断面」の数値である。患者の多くは待ち時間が長く、診療単価が高い大病院を理由があって選択している。

 われわれは、患者・医療機関を欺き、受診の際の定額の差額料金を義務化する、紹介状なしでの大病院受診への選定療養の義務化に、医療者として強く反対する。

※本記事は、2015年4月24日付けの談話として、神奈川県保険医協会が同協会のホームページ上で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



http://news.biglobe.ne.jp/economy/0505/pre_150505_8539777691.html
医者自身が病気になったら“治療拒否”したいケース30
プレジデント社5月5日(火)12時45分

医者は自分では絶対に避けるような多大な困難をともなう治療を患者に施術することがある。私たちは病気になって焦る前に考えておかなければならないことがあった。

■医者自身が病気になったら避けたい事例30

※複数医師への取材をもとにプレジデント編集部構成。「」内は、断りがない限り萬田緑平医師の発言。

【1】余命数カ月で尿管ステント

尿管に入れるチューブ。挿入後、チューブが詰まってしまうことがあり、数カ月ごとに入れ替える必要がある。「数カ月単位の延命ならば検討する」。

【2】話の要点がわからない医師

手術失敗など訴訟の俎上にのぼりやすい外科医と違い内科医は、治療・投薬と結果の因果関係が外科ほどはっきりしないので、治療の説明をより明確にすべき。

【3】疲労を蓄積・人工透析

腎臓が機能しなくなったときには必要な治療だが、週に3回、4時間かけて行うので精神的・肉体的疲労が大きい。「1年以上延命できるならば検討する」。

【4】拷問に近い・吸引

口の奥にチューブを入れて唾液や痰を吸引する。患者さんに苦痛を与えて咽せさせたところで痰を吸引する場合もある。「拷問に近い。絶対にやりたくない」。

【5】90歳を超えたら病気を治さない

90歳で検査をすれば何かの病名がつくだろうが、治療のリスク、検査の負担も考慮し、よほどのこと以外は自宅でゆっくりしたほうが元気で長生きできるのではないか。

【6】急性疾患でない胃ろう

お腹に穴を開けてチューブで胃に栄養を入れるが、チューブをぶら下げずに済む。「急性疾患などで意識がはっきりしている状態ならお願いするかも」。

【7】軽い病気で大病院

少々の熱が出たぐらいで、大混雑する大病院にいくのは避けたほうがいい。近くのクリニックで十分だし、そこで何かが見つかればすぐに適切な病院を紹介してくれる。

【8】検査大好き病院

患者負担を考えず、不必要な検査を繰り返す。少なくとも、「第一の検査では、この部分がわからなかったので、次の検査をします」(内科医)といった明確な説明が必要だ。

【9】外科医の手が不器用、すぐキレる

全身麻酔をすると、手術室で何が起きているかはわからない。医者は自分が手術を受けるときは、信頼に足るか(手は不器用ではないか、すぐキレたりしないか)を下調べ。

【0】薬の量が杓子定規

たいして詳しく診察したわけでもないのに、やたらと出す薬が多い内科医がいる。患者の年齢や体質、病歴は千差万別。患者を正視しない思考放棄医師の危険性あり。

【11】治療中でないのに禁酒

治療中の禁酒は常識だが「“身体にいいこと”よりも“心にいいこと”」で、酒好きならば楽しくなる効能のほうが尊い。高齢患者で、酒は高カロリーなので栄養状態は良好だったという例も。

【12】絶対拒否する腎ろう

「延命できてもやりたくない」。背中から腎臓に直接チューブを入れて尿を排出する。風呂にも入りにくく、仰向けにも寝にくい。日常生活に不便を強いられる。

【13】不勉強、硬直思考の医者

在宅医療や緩和ケアなどの発想についていけない医師が少なからず存在する。従来の治療のみが本道で、それ以外の道は、自分の地位が下がると思っている場合も。

【14】延命見込みなしでの人工肛門

意思とは無関係に排出されるので、便を受ける袋を装着する必要がある。がんによる腸閉塞の場合によく使われるが、役に立たない危険性も。「年単位で延命できるなら検討」。

【15】栄養補給を点滴に頼る

点滴は栄養補給ではなく、主に水分補給。病院では点滴に頼りすぎるから、胸水が溜まってしまって胸腔カテーテルなどの治療を行わなくてはいけなくなる。

【16】絶対勘弁のイレウス管

鼻から腸まで入れる太く堅く長いチューブ。「鼻から箸よりも太く長いものを死ぬまで入れられると思うと……。いくら苦しんでいても、これだけは勘弁してほしい」。

【17】タバコは絶対悪か?

“百害あって一利なし”代表格も、「禁酒」と同じ理由で、一服がなによりも楽しみの愛煙家なら。衰弱しても、タバコを爪楊枝に刺してご家族に吸わせてもらった強者もいた。

【18】不要な「安静」の強要

病気治療に安静、も常識だが、寝たきりが続いては気持ちが細ってしまう。孫がいるのなら、できるだけ一緒に過ごす。生命力溢れる幼児たちからパワーをもらうのだ。

【19】幸福感のない食事

制限されるような身体に悪い物を大量に食べられるはずもなく、本人の嗜好に任せて構わない。好きなものを食べたときの幸福感は年齢性別を問わず厳然たるものがある。

【20】規則正しい生活の強制

規則正しさを強要された病院から自宅へ戻ったのなら、もう好きにすればいい。それだけで精神が華やいだ例は多い。食べたいときに食べ、眠いときに眠る。

【21】比較的負担小・胆道ステント

胆管が閉塞したとき、消化管内視鏡を使って胆管に挿入するチューブ。身体への負担は比較的少ないので、「数カ月単位で延命できるならば検討する」。

【22】なかなか退院を認めない

病院医師は「敗北」を認めたがらない。しかし抗がん剤治療は撤退のタイミングこそが最良の延命治療になりうる。頑迷な医師よ、患者本位に意識を軟化させるべきだ。

【23】緊急以外の中心静脈カテーテル

首、肩、足の付け根などから挿入する。挿入時に出血などのトラブルもありうるし、入れっぱなしになるため、感染で使えなくなる危険性も。「使用は緊急時に限りたい」。

【24】治療のテコ入れをしない

処方どおりの投薬をしても症状が改善しないにもかかわらず、治療方針を是正せず、同じ種類、量の薬を出し続ける。つまりは怠惰。カルテのみを見ている証拠。

【25】胸の出血リスク・胸腔カテーテル

水を針で抜く場合、数日に1回の割合で穿刺しなければならず、胸の出血や肺に穴が開くリスクがある。「無駄な点滴をしなければ胸水はそこまで溜まらないのではないか」。

【26】避けたい・尿道カテーテル

病院が比較的容易に挿入する。患者さんがおむつを拒否する場合に使われることも。「挿入の煩わしさよりも排尿の苦しさのほうが大きい場合は、使うかもしれない」。

【27】医者が紹介する医者

医者が入院したとき、普段褒めている医者とは別の医者に担当を依頼した、というのはよく聞く話。医者はしがらみが多く、医者の紹介する医者が信用できない場合もある。

【28】医師の「頑張りましょう」

とりあえず治療を継続したい医師が頻発する言葉。頑張って完治するならば結構だが、疲弊した患者に「頑張れ」と言うのは思考放棄。患者の状態を正視していない証拠。

【29】PTCD・胆汁チューブ

皮膚から直接胆管にチューブを入れる。胆汁は1日数百ミリリットル流れ出るので、チューブの先にボトルをぶら下げる。「よほどの長期延命効果があっても辞退します」。

【30】よほど苦しいのなら胃管

鼻から胃まで入れるチューブ。完全拒否の患者さんも多い。「できるならやりたくないが、余命1カ月でよっぽど苦しんでいたらお願いするかもしれない」。

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緩和ケア診療所「いっぽ」医師 萬田緑平

1964年生まれ。群馬大学医学部卒業。群馬大学附属病院第一外科に所属。2008年、緩和ケア診療所・いっぽの医師となる。
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(緩和ケア診療所「いっぽ」医師 萬田緑平 構成=須藤靖貴)


  1. 2015/05/06(水) 06:16:47|
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