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4月27日 

http://www.m3.com/news/iryoishin/316017?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150427&dcf_doctor=true&mc.l=99182650
シリーズ: 中央社会保険医療協議会
医師の8割、「医療クラークで負担軽減」 2014年度診療報酬改定による負担軽減措置の影響速報

2015年4月27日(月)配信 成相通子(m3.com編集部)

 4月22日に開催された中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・国立社会保障・人口問題研究所所長)で、「医療従事者の負担軽減措置の実施状況調査結果(速報)」が公表され、医師を対象にした調査で、「医師事務作業補助者の配置・増員」で負担軽減の効果があったと答えた割合が8割以上あったことが明らかになった(資料は厚労省のホームページに記載)。医療従事者の負担軽減は、2014年度改定の重要課題だった。

 その一方、病院が医師の負担軽減策の一環として導入している電子カルテや診察や検査等のオーダリングシステムが、逆に負担だと感じている医師が全体の4割以上に上り、必ずしも負担軽減につながっていないことが報告された。

 医師の勤務状況は改定後の2013年10月と改定後の2014年10月で変化はほとんどなかった。1カ月の勤務時間は、1.3時間増の212.6時間(平均値)、当直回数は0.2回減の2.1回。1年前と比較して全体の75.4%が「勤務時間は変わらない」と回答。「長くなった」と答えた人は15.6%だった。外来の勤務状況、当直時の平均睡眠時間、オンコールの回数、当直翌日の勤務状況など、いずれも8割前後が「変わらない」と答えている。


 日本病院会常任理事の万代恭嗣氏は、「医師事務作業補助者の導入が負担軽減に有効だと出ているが、依然として診断書や診療録、処方せんの記載が負担だと答えている医師は多い。さらなる工夫が必要だ」と指摘した。

 2014年度改定では、医療従事者の負担軽減を目的に、手術・措置の休日・時間外・深夜加算の見直しを実施。手術前の当直免除や、交代勤務制、緊急呼び出し当番を指定するチーム制や時間外手当の医師への支給など、負担軽減策を行っているかを施設基準にして、加算を引き上げた。さらに、夜間の看護補助者の配置や医師事務作業補助体制についても加算点数を引き上げ、チーム医療を推進した。

 これらの改定の影響を評価するため、厚労省は、勤務医の負担軽減改善等を要件とする診療報酬項目、もしくはチーム医療に関する項目を算定している病院を対象に無作為に選んだ1000施設にアンケートを実施。417施設から回答を得た。医師調査では、対象施設に勤務する1939人が回答した。アンケート結果を基に、2014年度改定を検証し、次回の改定の議論に役立てる。

小規模病院では給与面で改善
 給与面の処遇に関しては、全体の64.0%が給与は「変わらない」と回答している一方、21.0%は「増えた」としていることが分かった。病床数別に見ると、99床以下の小規模病院で増えたと回答する割合が27.2%と高く、大規模になるにつれて割合が下がり、400床以上では18.6%だった。2014年度改定で引き上げられた時間外勤務の手当については、7~8割が「変わらない」と答え、「増えた」「減った」とする回答は数%内で顕著な変化はなかった。

「医療クラーク」の配置が有効
 
 病院が実施している勤務医の負担軽減策では、「薬剤師による投薬に関する入院患者への説明」(64.6%)が最多で、「医師事務作業補助者の配置・増員」(57.8%)、「薬剤師による処方提案」(39.3%)と続き、加算引き上げの効果がうかがえた(複数回答)。これら3つの軽減策の効果については、8割以上が「効果があった」「どちらかと言えば効果があった」を選択。特に「医師事務作業補助者の配置・増員」については、「効果があった」とする回答が46.9%と、高評価だった。反対に、「外来診療時間の短縮」が軽減策としての効果の評価が厳しく、何らかの効果があったとする回答が5割を切った。

 各業務の負担感に関しては、「主治医意見書の記載」「診察や検査等の予約オーダリングシステム入力や電子カルテ入力」「診断書、診療記録および処方せんの記載」を負担だとする声が約4割と多かった。病床規模別では、「診察や検査等の予約オーダリングシステム入力や電子カルテ入力」は、400床以上の病院で5割以上が負担だと答えるなど、規模が大きくなるにつれて負担と感じる人の割合も増えていた。

 この負担感が大きい3つの業務の実施者は、「主に他職種が実施」が1~5%と少なく、「医師のみが実施」が40~55%で、他職種との分担が難しい業務であることも分かった。一方で、採血や静脈注射は7割近くが主に他職種が実施していた。

 他職種との業務分担に関し、この3つの業務の今後の実施者として、3~4割は「現行(医師のみ実施)のままで良い」と答えているものの、4~5割以上は他職種の実施もしくは補助をしてほしいと回答。その反面、「他職種と分担して逆に負担が増えた」と指摘する声もこれらの業務について多かった。多職種連携の工夫が今後の医師の負担感軽減のカギになりそうだ。



https://www.m3.com/news/iryoishin/316016?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150427&dcf_doctor=true&mc.l=99182666
シリーズ: 日本医学会総会 2015 関西
基礎医学研究者の養成、4大学が現状紹介
経済支援、将来不安の解消が課題

 2015年4月27日(月)配信 成相通子(m3.com編集部)

 第29回日本医学会総会学術講演で、「基礎医学者、Physician Scientist、MD.PhDコースについて」と題する企画が4月12日開催され、京都大学、東京大学、慶應義塾大学、大阪大学の4大学が実施している基礎研究を志す医学生のためのプログラムを紹介し、実際の体験談も交えながら、今後の基礎医学研究教育の在り方について議論した。各大学では、基礎医学研究を志す学生数が減少傾向にあり、経済的な負担の多さやキャリアパスの不透明性など、将来の基礎医学研究者を増やすために解決すべき課題が改めて指摘された。

 基礎医学研究者はこれまで、臨床医から大学院に戻るケースなどがあったが、初期臨床研修の義務化や医師不足による多忙などで、そういったケースが減り、成り手が大幅に減少しているという(『高久会長、「産官学+民」で社会ニーズに対応』など参照)。各大学では、文部科学省の医学教育改革事業などを利用して様々な育成プログラムを創設、基礎医学を志す学生を増やそうと試行錯誤を重ねている。

◆京都大学 2種類のコースで学生のニーズに対応

 京都大学大学院医学研究科生体情報科学講座の渡邉大氏は、医学研究者を増やすための2種類のプログラムを説明。MD-PhDコースは、医学部4年生の後、臨床実習に入らずに大学院博士課程(3-4年)が組み込まれたコースで、医学部卒業時にMDとPhDの両方の学位を取得する。1年生から、ラボローテーション(研究室訪問)を行い、様々なさまざまな分野を見聞した上で、研究者としての適性を判断できるとしている。
 MD研究者養成コースは、同大と東京大学、大阪大学、名古屋大学の4大学が連携して開発するプログラムで、京都大では、『基礎医学研究者育成プログラム』として設置。1年生で医学概論や基礎医学生物学のプライマリーコース、4年生まで少人数セミナーや大学間の交流会、ラボローテーションを行うアドバンスドコースを選択できる。このコースでは、他の医学部の学生と同様に5、6年生で臨床実習を行い、6年生終了後に、大学院で研究を始めることになる。また、渡邉氏はカリキュラム編成のための特任教授に任命されたことを明かし、今後のカリキュラム改革に乗り出すとした。

◆東京大学 お昼にレクチャーで学生を集める

 東京大学大学院医学系研究科内科学専攻の山本一彦氏は、京都大と同じMD研究者育成コースとPhD-MDコースの2種類のコースのほか、基礎だけでなく臨床研究も推進すべきとして2010年に創設された、臨床研究者育成プログラムを紹介した。臨床研究者育成プログラムは、学部学生と臨床研修医を対象に、週1回昼休みの時間帯に行うレクチャーと、分野別の少人数の登録制コースを設置。レクチャーでは、弁当を支給し、臨床系の研究のトピックスのほか、公共健康医学専攻の医師による臨床疫学も紹介し、多くの学生を集めている。
 少人数コースでは、臨床系のさまざまな様々な分野のコースを用意し、優秀者には学会参加費の補助などの支援をしている。いずれも、多くの学生に臨床医でも研究が必要であることを再認識してもらうことが目的で、より多くの学生が研究に接する機会が増えるようにとの配慮をしている。

◆慶應義塾大学 メンター制で学生に寄り添う

 慶應義塾大学医学部先端医科学研究所遺伝子制御研究部門の佐谷秀行氏は、『慶応MD-PhDコース』を説明。3年生からコースにエントリーすると、医学部の講義の後に大学院の講義を受講し、単位を先取りできる。4年生まで3つの研究室をローテーションする。4年生の最後にコースを続けるかどうかを確認する「最終チェックポイント」を経て、5年生から臨床実習とともに配属が決まった研究室で研究を行う。6年生で卒業すると、そのまま大学院に進学、博士課程を3年で修了する。
 特徴として、学部5、6年生で年100万円、大学院1~3年では年60万円の給付型奨学金があることや、メンターと呼ばれる指導教官を設定し、3、4カ月1回定期面談していることが挙げられた。

◆大阪大学 放課後の活動として研究室で研究

 大阪大学大学院医学系研究科免疫制御学の竹田潔氏は、同大のMD研究者育成プログラムの内容とその背景を紹介した。同大では、博士課程に入学した学生のうち、臨床医学系に進む学生は増えているものの、基礎医学系が激減。その理由として、学生に行ったアンケートから、その原因は「研究志向の低下」ではなく、「将来のキャリアパスが不透明」「収入面での不安」などの理由が大きかったという。
 同大のプログラムは、必修科目ではなく、放課後の活動として実施し、博士課程の進学も義務付けていない。1年生で入学後、各研究室の紹介を受け、希望者は半年間で研究室を3つまで見学することができる。2年生で研究室1つを選択し、3年生以降で自らの専門的な研究を始めるというシステムで、より多くの学生に門戸を広げているのが特徴。また、大学院の教育プログラムでは、月20万円の奨励金や産業界との連携によるキャリア支援を実施している。

プログラムの修了者が体験談

 4大学で実施している研究者育成のためのプログラム紹介のほかに、そのプログラムの修了者による体験談も披露された。

 京都大学医学部医学科6回生の石井慧氏は、「経験から考察するMD-/PhDコース成長因子」と題して、自身の経験から、同コースを改善するための課題や対策を提案。コース出身者として感じたメリットは、論文執筆能力を獲得した後に臨床の現場に行けることだと指摘。今後、経済的支援やコースについての認知度の向上が鍵になるとした。

 スイスの研究所で脊椎動物の進化発生について研究している、東京大学医学系研究科の北沢太郎氏は、「MD-/PhDコース体験記」と題して発表。MD-PhDコースの修了者の多くが、修了後も基礎の分野で頑張っている一方で、MD研究者育成コースは全体の参加者が多いものの、卒業後に基礎に行く人は少ないと指摘。学部生では気付きにくい研究の魅力を学生自らが発見し、成功体験につなげることが大切だと述べた。



http://www.m3.com/news/general/316028?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150427&dcf_doctor=true&mc.l=99182516
パワハラで停職1カ月 岡山大の教授
大学

2015年4月27日(月)配信 共同通信社

 岡山大は24日、同僚の助教らにパワーハラスメント行為をしたとして、大学院医歯薬学総合研究科の教授を停職1カ月の懲戒処分とした。

 岡山大によると、教授は2011年4月~13年3月、助教3人と講師1人に対し、授業担当や担当業務から外し精神的苦痛を与えたり、退職勧奨と感じさせる言動を継続的に行ったりしたという。

 13年2~3月に助教らが大学に相談して発覚。教授は「あくまで教室をよくするためにしたこと」と話しているという。パワハラを受けた助教ら4人は昨年6月までに大学を退職した。

 森田潔(もりた・きよし)学長は「極めて遺憾。今回の事態を重く受け止め、環境の整備を図る」とコメントした。



http://www.m3.com/news/general/316078?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150427&mc.l=99182528
医療倫理が欠如…国立大病院長会議が提言公表へ
2015年4月27日(月) 読売新聞

 群馬大学病院で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題などを受け、国立大学付属病院長会議は24日、6月をめどに医療倫理に関する提言を公表することを明らかにした。

 山本修一・同会議常置委員長(千葉大病院長)は同日の記者会見で、「根底には医の倫理の欠如がある。全国の大学病院の問題と捉え、責任を持って対応しなければならない」と説明。会議内でプロジェクトチームを作り、高い倫理観に基づく病院・診療科の運営のあり方、保険適用外の先進的な治療をする際のルールづくりなどを議論し、提言をまとめる。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=117803
肝移植ドナーに重篤な合併症…神戸の病院、調査時伝えず
(2015年4月27日 読売新聞)

 神戸国際フロンティアメディカルセンター(院長=田中紘一・京大名誉教授)で生体肝移植を受けた患者7人中4人が死亡した問題で、3月に行われた7例目の移植の臓器提供者(ドナー)が、重篤な合併症で2回再手術を受けていたことがわかった。田中院長が26日、記者会見で明らかにした。日本肝移植研究会の調査時には説明がなく、関係者は「調査に対しては正確な事実を伝えるべきだ」と疑問視している。

 同センターでは昨年12月~今年3月、生体肝移植を受けた4人が術後1か月以内に死亡。同研究会が調査報告書をまとめたのを受け、田中院長らが神戸市内で記者会見した。

 合併症を起こしたのは50代の男性患者に肝臓の一部を提供した50代の姉で、手術後肝臓の血管が詰まる門脈血栓を起こした。専門家によると、門脈血栓は命にかかわる合併症で、ドナーに起こるのはまれ。ドナーは元々健康な人だけに「極めて深刻な事態」という。

 しかし、報告書では、7例目は「問題なし」とされた。関係者によると、調査時、この合併症に関する説明はなく、同研究会は、この事実を把握していなかった。田中院長によると、ドナーは2度の再手術で門脈の血流を取り戻したが、現在も入院中という。

 このほか、記者会見では、調査報告書で指摘された問題に田中院長が反論した。

 医師の不足など「体制が不十分」とされた点には、全120床のうち現状では約40床の稼働で、入院患者は10人程度と少ないことや、近隣の病院と連携していることを挙げ、「対応は十分」と話した。死亡4人中3人について「救命できた可能性がある」とされた点には、「それぞれの症例に全力を尽くした」などと述べた。

 同センターは今後、生体肝移植を再開するかどうかなど対応を検討する。



http://www.qlifepro.com/news/20150427/hospital-prescription-in-the-disease-area.html
京都大病院、院外処方箋に病名記載欄
2015年04月27日 AM09:45 QLifePro

■薬局薬剤師の服薬説明に反映

京都大学病院は今月16日から院外処方箋の様式を改訂し、薬局薬剤師の処方鑑査や服薬説明に必要な場合には、病名などのコメントを医師が任意で記載できる欄を設けた。厳格な投与量の設定が求められる場合に体重と体表面積を記載できる欄も新たに設置した。2013年10月から院外処方箋への検査値表示を開始し、全国の基幹病院や薬局薬剤師から注目を浴びた京都大学病院が、その取り組みをさらに進化させた。

院外処方箋の下段に「処方医から薬局薬剤師へのコメント・依頼」欄を設けた
院外処方箋の下段に「処方医から薬局薬剤師へのコメント・依頼」欄を新設した。薬局薬剤師に伝えたい内容を、医師が手書きで記載する。「コンプライアンスに注意してほしい」「副作用のモニタリングをしっかり行ってほしい」など、薬局薬剤師への要望を具体的に記述するほか、必要に応じて病名を記入する。



http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1504/1504077.html
事故調開始で注目される院内事故調査の実務的な問題点とは
浜松医大・大磯義一郎氏に聞く

[2015年4月27日] MT Pro / メディカルトリビューン

 今年(2015年)10月から本格的に運用が始まる医療事故調査制度(事故調)。制定前には医療関係者だけでなく法律関係者や医療事故被害者などから様々な議論が噴出した。こうした動きへの医療界からの注目度は高いが,現場の医療従事者にとっては事故調が実務上どのような問題をはらんでいるのかも大きな関心事ではないだろうか。医師であり弁護士でもある浜松医科大学医学部医療法学教授の大磯義一郎氏は,「事故調が適切に運用されるために最も重要なのは院内事故調査とその報告の手法」と指摘。現状では事故調が目指す「医療安全の向上」が達成できないばかりか,事故の一方当事者である医療従事者に対する人権侵害や,医療現場の萎縮による社会的影響といった「副作用」が大きくなることが懸念されると話す。

責任追及型の調査による「安易な対策三点セット」の問題

 2014年11月から翌年3月にかけて開かれた,厚生労働省の医療事故調査制度の施行に係る検討会の委員を務めた大磯氏。医師だけでなく弁護士のキャリアを積む契機でもあった医事紛争,そして医療安全への思い入れは人一倍強い。しかし「医療安全を向上させるための制度に関する議論が“事故調が医事紛争を解決できるか”といった視点で,医療安全の専門家不在の中で進められたことには大いに違和感があった」と振り返る。

 また,国内の医療機関で行われている院内事故調査と報告書の作成・公表の手法にも多くの課題が残されているとも考えている。今年2月の検討会で同氏は,事故調のモデル事業(正式名称「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」)における実際の検討例を取り上げた参考資料を提出。「モデル事業では実際に個人の責任追及を明確にした調査報告書が作成されている。こうした報告書には,医事紛争を促す,もしくは紛争化された場合の鑑定医意見書の意義しかない」と,医療安全の観点で事故調査のあり方を見直すべきと主張してきた。

 さらに,こうした責任追及型の調査報告書には別の問題もあると同氏。「個人の不注意,ミスに落とし込んだ上で,肝心の再発防止策が①“十分に注意して作業するように”という通達を出す②“安全第一”というスローガンを壁に張り出す③安全の専門家による講演会を開催する―といった“安易な対策三点セット”の提示に終わっている。これでは医療安全の向上につながらない」と指摘する。

「個人のミスです」と謝罪の構造を生み出す“利益相反”

 最近相次いで報道されている医療事故に関しても,「個人の責任追及に始まり,“過失があった”と断定し,病院側が記者会見で“教育研修を徹底”“再発防止に努める”と謝罪するパターンが繰り返されている」と大磯氏。医療事故の原因分析においてなぜシステム側ではなく個人に焦点が当てられてしまうのか。

 同氏は「医療安全に対する意識の低さだけでなく,病院管理者(管理者)と医療従事者の間の利益相反の存在が関連している」と分析する。

 利益相反は一般には「責任ある地位に就いている者の個人的な利益と当該責任の間に生じる衝突」(Merriam-Webster Online Dictionaryの当該項目を日本語訳)と定義されている。医療界でも産官学連携推進の中で評価の枠組みが取り入れられ,独自のガイドラインや評価委員会の設置などが公表されているが,医療安全の分野への応用はあまり進んでいないと見られる。

 大磯氏による医療事故発生時の管理者と医療従事者の利益相反は表のとおり。医療に限らず,事故を起こした当事者は1つの行為につき民事,刑事,行政上の3つの法的責任が問われる可能性がある。しかし,医療従事者の起こした医療事故において民事以外に法的責任を問われることのない管理者にとって「この3つはあまり興味がないこと」(同氏)。専ら労働契約,社会的責任,行政庁からの指導が関心事となる。

 対して,一方当事者である医療従事者は院内事故調査で「システムエラーの問題であり,個人の帰責性が低い」とされれば民事責任を問われる可能性は低くなるものの,場合によっては刑事・行政責任の対象にもなりうる。さらに管理者の判断次第では労働契約上の責任,社会的責任を問われることにもなる。

 このように管理者と医療従事者との間に利益相反が生じていることにより,「管理者が自らの労働契約上の立場を守るため“現場の医療従事者がミスを犯した”との調査結果を導き,社会的責任のためにマスコミにも公表し謝罪したという姿勢を見せて,“この病院は真摯に反省して頑張っている”との幕引きを図ってしまう」と“トカゲのしっぽ切り”が起こりやすい構造が生じていると,同氏は説明する。また,「管理者の人格や資質の問題ではなく,利益相反があれば誰でも同じようなことをやってしまう」と話す。利益相反は一般に,その存在自体に問題があるというよりも,そのような状態に組織が無関心であることにより社会的信頼が損なわれる恐れがある点が問題と考えられている(文部科学省「利益相反ワーキング・グループ報告書」2002年11月1日)。

責任追及型の調査で医療安全ではなく,医療萎縮のエビデンス

 こうした管理者と医療従事者の利益相反が認識されないまま,個人の責任を明確化する方向での院内事故調査が行われて公表されていることは,大きな問題であると大磯氏。事故調に類似した制度を有する英国では,責任追及型のシステム運営で医師の精神・身体面の悪影響や医療萎縮が起きているとのデータも報告されている(BMJ Open 2015 Jan 15; 5(1): e006687,関連記事)。「責任追及型の医療事故調査では,いくら教育研修を徹底しても,職員が一丸となって診療に当たっても,研修会を何百回やっても医療安全は向上しない。英国における報告も,医師に対する人権侵害や健康被害,医療萎縮など,医療安全とはかけ離れた状況が起こることを示すものだ」と懸念する。

間違えたら患者が亡くなる「システム」の改善こそが重要

 最近大きく報道された造影剤使用による患者の死亡事故も,脊髄造影への使用が禁忌とされている造影剤を担当医が「誤って使用したため」に起きたと結論付けられている。「同種の事故はこれで7件目。このままでは8件目も間違いなく起こる」とみる大磯氏。「造影剤にある禁忌の極めて小さなラベルを見落とした個人が悪いのだろうか。そもそも警告の表示方法に問題はないのか。個別の事例を基に誰もがよく見なくても気付けるような表示などの対策が提言・実行されなければ医療安全にはつながらない」と考えている。「人は必ず間違える。間違いが起きたら患者が亡くなってしまう体制を問題視し,少しでも安全になるような制度をつくっていかなければならない」と述べ,医療安全の向上のためにはシステマチックな分析に基づくフールプルーフやフェイルセーフの仕組みの構築が重要と強調する。

 事故調は妥協点を残したままの玉虫色の決着で動き出すと同氏。どのように運用されるか,院内事故調査に当たる管理者の役割はかなり大きいと考えている。「管理者がこうした利益相反を認識した上で,医療安全に資する院内事故調査を行えるのか,医療従事者は自分の所属施設が現場の医療従事者を守る体制を整えられるのか,動向を注視していかなくてはならない」と話した。

 また,事故調に携わる関係者には「①最新の医療安全の方法論について学習すること②利益相反があることを十分理解し,現場医療従事者の人権,生命,健康の保護のために努めること③そのために現場医療従事者に対する手続保障を院内ルールとして定めること―が重要となってくる」と述べた。

(坂口 恵)



http://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/201504/0007961574.shtml
県立柏原病院 CT検査の異常見落とす がん治療遅れる
2015/4/27 21:16 神戸新聞

 県立柏原病院(兵庫県丹波市柏原町柏原)は27日、80代の男性患者の画像診断で呼吸器のがんの兆候とみられる異常を見落とし、治療の開始が遅れる医療過誤があったことを明らかにした。

 同病院によると、2012年8月、男性の症状を基に呼吸器以外の病気を調べるためコンピューター断層撮影(CT)を実施。診察した医師は呼吸器とは別の部位の画像を集中的に診ており、呼吸器に写った1センチ弱の異常な陰影を見落とした。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20150427-OYT1T50132.html
生体肝移植死亡問題、神戸市が立ち入り検査へ
2015年04月27日 23時04分 読売新聞

 神戸国際フロンティアメディカルセンター(院長=田中紘一・京大名誉教授)で生体肝移植を受けた患者7人中4人が死亡した問題で、神戸市は医療法に基づく立ち入り検査を、近く実施する方針を固めた。


 相次ぐ患者死亡を受けて専門医団体「日本肝移植研究会」が、移植患者と臓器提供者の診療実態について調査を実施。24日にセンターに提出した報告書で、医師不足や、術前術後の患者の検査や治療などで問題が指摘された。その後、同市も詳しい検査が必要と判断した。医療スタッフの出勤簿やカルテの提出を求め、安全管理体制などを調べる。

 同市は14日に開いた記者会見で、同センターへの聞き取り調査の結果として「現段階で問題はない」などと説明していた。



http://www.m3.com/news/general/315868
医療過誤 女性に791万円支払いで和解 愛知・岡崎市
2015年4月27日(月)配信 毎日新聞社

医療過誤:女性に791万円支払いで和解 岡崎市 /愛知

 岡崎市は25日、市民病院(同市高隆寺町)で脳梗塞(こうそく)の診断を受けた県内の50代の女性にしびれが残る医療過誤があり、791万5922円を女性に支払い和解すると発表した。

 病院によると、女性は2010年12月、左くちびるにしびれがあるため検査したところ、脳の一部に淡い白い影を認めたが、経過観察とした。翌年1月に再検査すると、影は大きくなっており脳梗塞と診断、入院した。その後、点滴などの治療で収まり退院したが、しびれなどの後遺症が残ったという。

 病院は「最初に影を発見した時、脳梗塞の疑いを持って診断すべきだった」と14年1月に過失を認め、和解交渉などを進めていた。和解契約議案は6月定例会に提出される。【渡辺隆文】



http://www.m3.com/news/general/316123
浜松医科大、学長候補を初公募 教員の事前投票は廃止
2015年4月27日(月)配信 静岡新聞

 浜松医科大(浜松市東区)は二十七日、来年四月に就任する次期学長の候補者の公募を始める。同大で学外から候補者を募るのは初めて。教員による事前の「意向投票」は今回から廃止する。

 六月十二日まで公募し、学内から推薦された候補者を含めて「優れたマネジメント能力と強いリーダーシップ」などを基準に選考。同大の経営協議会と教育研究評議会で選出された学内外の有識者十人でつくる学長選考会議で、九月に次期学長を決める。

 国立大学法人法は、学長は学長選考会議で決めると定めているが、多くの国公立大では事前に教員らの投票を実施し、その結果が選考会議で一定程度尊重されてきた。

 浜松医科大でも、前回の学長選考まで教授らの投票を実施していた。廃止について、同大広報室は「教授、准教授が参加する候補者への公開ヒアリングが意向投票の代わりになる」としている。

■教授会弱体化 懸念も

 意向投票の廃止は、教授会の力を弱め学長の権限を強化する文科省の大学改革の一環で、静岡県内の国公立大で投票を実施するのは静岡大のみとなった。

 四月に施行された改正国立大学法人法は、従来「重要な事項を審議する」と位置付けられていた教授会の役割を限定。「教育研究に関する事項を審議し、学長らの求めで意見を述べることができる」と諮問的な機関に“格下げ”した。

 「改革の阻害要因」との指摘もある教授会の力を弱め、学長のリーダーシップで社会の変化に素早く対応する狙いだが、「大学の自治の伝統を損なう」との懸念もある。

 法改正に併せ、文科省は「いわゆる意向投票が禁止されるものではないが、学内の意見に偏る学長の選考方法は適切でない」と各大学に通知。

 県内では、県立大で教員らが従来非公式に実施してきた投票を四月に就任した現学長の選考では取りやめた。静岡文化芸術大は二〇〇〇年の開学以来、実施していない。浜松医科大のある教員は「批判票を含め、意見を表明する貴重な機会だった。現場の意見が吸い上げられなくなるのではないか」と不安を漏らした。


  1. 2015/04/28(火) 06:04:47|
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