Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月24日 

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t221/201504/541817.html
シリーズ◎どうなる新専門医制度
総合診療専門医の研修カリキュラム案が明らかに
介護サービスへの理解や保健活動への協力などの経験も求める

2015/4/23 二羽 はるな=日経ヘルスケア

 日本専門医機構は4月21日、2017年から研修が始まる総合診療専門医の専門研修カリキュラム案を公表した。カリキュラムは、習得すべき知識や態度、技能をまとめた「到達目標」と、経験すべき症候・疾患や診療手技、業務などを定めた「経験目標」で構成される。さらに、総合診療専門医を養成する指導医やプログラム統括責任者の要件も明らかになった。資料は日本専門医機構のウェブサイトに公開されている。

 到達目標は、(1)患者や家族を医療の中心に据える「人間中心の医療・ケア」、(2)初期診療から慢性疾患の管理、予防医療まで提供する「包括的統合アプローチ」、(3)地域の多職種をまとめる「連携重視のマネジメント」、(4)地域特有のニーズに対応する「地域志向アプローチ」、(5)教育や学術活動に携わる「公益に資する職業規範」、(6)救急や在宅など様々な場所で診療に当たる「診療の場の多様性」――の6つのカテゴリーからなる。機構はこれのカテゴリーを「コアコンピテンシー」と位置付け、それぞれに具体的な必須目標と努力目標を定めた。

 例えば包括的統合アプローチでは、「患者の年齢、性別にかかわらず、早期で未分化な問題を含む大部分の健康問題の相談に乗る」ことや、「地域での有病率や発生率を考慮した適切な鑑別診断を挙げる」といったことが目標として設定された。地域志向アプローチでは、地域全体の健康増進に寄与する観点から「地域の保健・医療・介護・福祉に関する事業や社会資源・サービスの実態と特徴を理解し、評価できる」ことなども盛り込まれた。

 経験目標としては、経験すべき症候・疾患や診療手技、業務などを具体的に挙げた。症候ではショックや急性中毒、意識障害、心肺停止など59の症候が示され、これらに対して臨床推論に基づく鑑別診断、他の専門医へのコンサルテーションを含めた初期対応を適切に行うことを求めている。疾患としては、神経系、皮膚系、循環器系、感染症、小児疾患や悪性腫瘍など19領域で病態を明示し、他の専門医や医療職と連携しながらマネジメントを経験することを求めている。

 このほか、介護サービスへの理解や保健活動への協力など、果たすべき業務も盛り込まれた。

 総合診療専門医は2017年に始まる新しい専門医制度で、内科や外科、小児科などと並ぶ基本領域の専門医資格の一つとして新設される。領域別専門医の特徴が「深さ」であるのに対し、総合診療専門医は「扱う問題の広さと多様性」が特徴だ。総合診療専門医には、地域の医療や介護、保健などの分野でリーダーシップを発揮しつつ、在宅医療や緩和ケア、高齢者ケアなどを包括的に提供し、地域全体の健康増進に貢献することが期待されている。

 総合診療専門医の研修期間は他の専門医と同じく3年以上とされ、2020年には初の総合診療専門医が誕生する。

プライマリ・ケア認定医や家庭医療専門医が指導医に

 日本専門医機構は総合診療専門医の指導医やプログラム統括責任者の要件も明らかにした。

 新しい専門医制度では、指導医は「専門医資格を1度以上更新した専門医」としている。だが、総合診療専門医は新しい専門医資格のため、既存の専門医資格を持つ医師が1泊2日程度の指導医講習会と試験を受けた上で指導医になる見込みだ。

 指導医の候補としては、(1)日本プライマリ・ケア連合学会が認定したプライマリ・ケア認定医や家庭医療専門医、(2)全国自治体病院協議会・全国国民健康保険診療施設協議会が認定した地域包括医療・ケア認定医、(3)日本病院総合診療医学会認定医、(4)大学病院または初期臨床研修病院の総合診療部門で総合診療を行う臨床経験7年以上の医師――などが挙げられた。

 プログラム統括責任者の要件としては、総合診療専門医の指導医で、かつ(1)日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医、(2)全自病協・国診協認定の地域包括医療・ケア認定施設の教育責任者、(3)日本病院総合診療医学会の認定医養成施設の教育責任者、(4)大学病院または臨床研修指定病院の総合診療部門の責任者――のいずれかであることなどが挙げられた。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t232/201504/541787.html?myselect=20150424
シリーズ◎どうする医療事故調査制度
遺族に報告書が渡れば民事訴訟は避けられない
弁護士の長谷部圭司氏に聞く

2015/4/24 聞き手:満武里奈=日経メディカル

 予期しない死亡事故が発生した際に第三者機関に報告し、院内での医療事故調査を義務づける法律が今年10月から施行される(参考記事)。今年3月には医療事故調査制度の運用指針を議論してきた「医療事故調査制度の施行に係る検討会」が具体的な運用指針案を公表。先日まで、パブリックコメントを募集していた。
 制度施行を前に、医療事故に関する訴訟を数多く手掛けてきた北浜法律事務所の長谷部圭司氏に医療事故調査制度のあり方について聞いた。


はせべけいじ氏○1999年大阪大学医学部卒。2005年大阪大学高等司法研究科に入学し、2009年に司法試験に合格。弁護士としては大阪弁護士会に所属しており、病院法務・医療安全を専門にしている。

――長谷部先生と医療事故調査制度との関わりについて、お教えいただけますでしょうか。

 私自身は、現在の医療事故調査制度設計自体に、直接関わりを持っていませんが、この制度に期待と不安を抱いています。特に不安に関しては、以下に述べるように数々の問題が予想されていますので、講演会やシンポジウム、さらには各病院での講習などを通じて啓発を行っています。


――今年3月には医療事故調査制度の省令・通知案が示されています。遺族側が求めた場合にはこの報告書を渡すことを事実上、努力義務にしているほか、第三者機関が調査した場合は遺族に報告書を交付することになっています。

 報告書が遺族の手元に渡ることで民事訴訟は増えると考えられます。それだけではなく、刑事訴訟を誘発するのではないかと感じています。

 最も問題なのは、報告書が刑事訴訟に使用される恐れがあるという点です。もちろん民事に使用されるのも困るわけですが、最悪、民事訴訟は保険で補填されます。一方、刑事事件で有罪となった場合、損害保険では補填することはできず、有罪となった医師は医道審議会にかけられ、医師免許が取消しになる可能性が出てくることになります。このようなことになれば、通常の医師は過失がないようにと、過度に防衛医療に走ることになり、医療費の増大と萎縮医療を引き起こしかねません。

 報告書が刑事事件の資料として扱われないという保証は全くありません。刑事事件の資料として使わないとする、努力目標があるにすぎないのです。法律上の制限もないのに、警察官や検察官が捜査の手を緩めることは考えられません。

 そうなると、医療事故調査制度のために当事者が正直に話した結果、それが刑事事件の証拠として使用される可能性があるわけです。しかし、これは黙秘権の侵害となります。

 つまり、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない(憲法38条1項)」「取り調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない、旨を告げなければならない(刑事訴訟法198条2項)」と規定されているのに、そのような告知なく自分の不利益になるかもしれない供述をさせられてしまうのです。ですから、当事者から聞き取りをする場合には、黙秘権の告知もないと、事実上の黙秘権侵害が発生すると言えます。

 一方、上記の憲法上の人権の侵害を防ぐために、医療事故を起こした当事者に対し、事前に黙秘権について告知するとなれば、おそらく事故の経緯を話さない医師も出てくることでしょう。そうなると、医療事故の本質に近づけず、今回の制度の目的である「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」を達成できなくなってしまいます。これでは、医療事故調査制度の意味が全くありません。

 この医療事故調査制度で予想されている人権侵害に関して、今のところ弁護士会は一切動いていません。殺人事件の被疑者ですら、黙秘権が侵害されたとき、弁護士は大きな声でそれを指摘するのに、です。医師には人権は無いのでしょうか?

――医療事故調査制度のために、当事者に話を聞く行為が将来的に刑事訴追の材料となる可能性が少しでもあるならば、医療者は医療事故調査に協力することをためらってしまってもおかしくはありません。どうすれば医療事故調査の目的を果たせるのでしょうか。

 私は、医療事故調査と医療者の黙秘権保護を両立するためには、「医療者の刑事免責」しかないと感じています。医療事故調査に協力する代わりに、刑事訴追をしないことを補償するということです。これは何も医療者が何をしても許されるべきだということを言っているのではありません。もし、誤投与など明らかに医療者に非があった場合は賠償・補償を行うなどの道はもちろんそのまま存在していますし、故意による場合については当然免責の対象となるものでもありません。

 もし免責を保証できないというのであれば、医療事故調査制度を行うにあたって、(1)黙秘権を告げた上で行う、(2)医療事故調査を、当事者を加えずに行う――のどちらかを選択しないとならないと考えます。

 (2)については、先ほどお話したとおり、今回の制度の目的を考えれば、現実的ではありません。医療事故の再発防止のため、さらに原因究明までするためには、当事者に正直に話してもらうことが不可欠です。

 刑事免責の議論をすると、「医療だけ特別扱いするのはおかしい」「一生懸命で済むならば警察はいらない」「特権階級を振りかざした恫喝だ」と言われることがよくありますが、果たしてそうなのでしょうか。

 そもそも医師は、生命身体を取り扱っているため、ミスをすれば身体に何らかの影響がある確率が高いのです。ヒューマンエラーは必ず起こるものだということを踏まえると、普通に仕事しているだけで逮捕される職業と言えます。「業務の本質に起因するミス」で逮捕されるのであれば、「間違った品物を配達した配送員」「値段を間違えて販売した店員」「誤認逮捕した警察官」「法令解釈を誤った裁判官」も刑事手続きで裁かなければならなくなります。

 そもそも医師による医療行為は正当業務行為として、故意の傷害罪が違法性阻却されています。つまり、生命身体を故意に侵害してもよいと法律で規定されているのです。しかし、医療行為で過失があり、傷害が生じると業務上過失傷害に問われてしまうのです。

 さらに、医師には応招義務があり、「医療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない(医師法19条)」と規定されていますから、医師が危険から逃げることができないのです。これでは医療現場が萎縮してもおかしくはありません。

 この萎縮をなくすことこそ、医師にとっても患者にとってもメリットになると思うのです。再発防止を目的を達成し、国民全体がより安全な医療を受けることができるようになるためにも、医療事故については刑事免責することが大事だというのが私の主張です。

 医療事故調査制度の目的を達成するためには、当事者の刑事免責しかないと私は考えています。

――現状示されてる制度に対し、指摘されているような問題への対策はないのでしょうか?

 ないわけではありません。ヒューマンエラーではなく、病院のシステムエラーに着眼した報告書を書ければ、「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」という法律の目的を達成でき、かつ個人責任の追及を避けられる可能性はあります。

 過去の医療事故に関する訴訟では、システムエラーではなく、ヒューマンエラーに着目した書き方になっていた例が多いです。しかし、ヒューマンエラーは必ずあるもので、ヒューマンエラーがあることを前提に、システムを構築することが大事なのです。ヒューマンエラーに注目しても医療安全にはつながらないのです。

 システムエラーに着目するというのは、例えば、使用する薬剤の取り間違いが起きた際、その原因分析として「似たような薬剤を同じ棚に置いている」「ダブルチェック体制がない」など、病院のシステム的な問題を指摘するというものです。そうすれば、結果として個人の責任追及を避けられます。


――システムエラーに着目した院内調査を経験したことのない施設にとっては、とても難しいことのように感じますが……。

 システムエラーに着目した院内事故調査が難しければ、システムエラーを検討する必要性を十分に理解している支援団体に依頼するのがよいでしょう。そうは言っても全国で発生する医療事故調査を支援するには人手不足なのかもしれません。

 私自身は、システムエラーに着目した報告書の作成法を各医療施設に指導するため、支援団体に入ることを視野に入れています。今後は7月以降、医療事故調査制度に関するセミナーを開始し、院内調査や報告書作成時の注意点について指導したいと考えています。


――医療事故調査制度に基づいて手続きを進めている中で、やはり遺族側に補償した方がよいと判断した場合はどうすればよいのでしょうか。

 そもそも今回の制度と、賠償は別問題です。賠償はこれまでも行われてきたことですし、ヒューマンエラーであってもシステムエラーであっても、和解を目指し、必要に応じて賠償することに変わりはありません。


――第三者機関に提出するものは、聴き取りなどの内部資料は含まず、匿名化するよう通知案では示されていますので、責任追及には使われないのではないかという指摘も聞きます。このあたりについて、先生はどのようにお考えでしょうか。

 その内部資料も、警察の強制捜査では押収の対象となってしまいます。法律上、その文書は対象とならないとは書かれていませんから。

 そうすると、匿名化しようと問題は解決しませんよね。


――最近は医療事故への刑事介入が減ってきたという声もありますが、この点についてはいかがでしょうか。

 大野病院事件以降、確かに社会の流れが変わり、警察・検察が謙抑的になってきたことは事実だと思います。しかし、減ってきたという事実上の話と、追及可能かどうかの法的な問題とは別個の問題です。法律家はいつも、「人権侵害となるおそれがある」だけで大騒ぎします。つまり、人権侵害は、法的に可能性があればダメなのです。ですから、刑事責任を追及可能である限り、問題は解決しません。



http://apital.asahi.com/article/news/2015042400013.htmlニュース
【制度・課題】医療者と患者 制度・立法
常勤医なし 民間との給与差一因 秋田刑務所

2015年4月24日 朝日新聞

 秋田刑務所(秋田市川尻新川町)の男性医師(67)が3月末で退職し、4月から受刑者約530人を診察する常勤医(矯正医官)が不在になった。刑務所内で急病人が出た場合、外部の医療機関で診察せざるを得ない状態になっている。

 同刑務所によると、受刑者の診察は1日約40件にのぼる。男性医師は7年前から勤務し、火、水、木曜の午前8時半~午後5時に診察していた。専門医の診察が必要な場合や、診察時間以外の急患が出た場合には、受刑者1人に複数の刑務所職員が付き添い、手錠をつけた状態で外部の病院に護送し、診察を受けていた。こうした護送は昨年は287回あった。

 常勤医が不在になったため、護送回数が増える見込みで、刑務所職員の負担も増えそうだ。

 高齢を理由に退職を申し出た男性医は、4月からは週1回程度の非常勤医になった。同刑務所は昨年6月から後任をハローワークなどで募集しているが、1人も応募がないといい、「一日も早く常勤医を確保したい」と説明する。

 刑務所の医師不足は全国的に共通する問題になっている。法務省矯正局によると、1月1日現在で全国の刑務所など158施設で必要とされる327人の矯正医官のうち、欠員は75人。常勤医がまったくいない施設が31カ所ある。

 原因の一つに、民間との給与格差がある。同省によると、国家公務員の矯正医官(平均年齢50歳)の月額平均給与は78万円。一方、民間医師の場合は41歳で平均101万円にのぼるという。

 同省は今国会に特例法案を提出した。原則として兼業が禁止される国家公務員の矯正医官も民間病院で働けるようにして、先端医療を学びつつ、民間病院から給与も受け取れるようにする内容で、今国会での可決成立をめざす。

(曽田幹東)
(朝日新聞 2015年4月24日掲載)



http://www.m3.com/news/iryoishin/315363
聖マリ、指定取消20人全員を「徹底調査」
中間報告を厚労省に提出、診療を制限

2015年4月24日(金)配信成相通子(m3.com編集部)

 聖マリアンナ医科大学病院で、精神保健指定医を不正に取得したとして、医師11人とその指導医9人の指定医が取り消された問題で、同病院の尾崎承一病院長が4月23日、厚生労働省を訪れ、社会・援護局障害保健福祉部長の藤井康弘氏に、指定を取り消された医師の診療制限などを盛り込んだ中間報告書を提出、取り消し処分後の調査の進捗状況について説明した。これまで聖マリアンナ医科大は、同大に現在も所属する医師8人について指定医としての業務を検証するとしていたが、厚労省は退職した12人も含め、不正に関わった20人全員について「細大漏らさず徹底調査」するよう求めた。

 同大は1カ月後をめどに、さらに中間報告を厚労省に提出する予定。最終結果については、「退職者も含めて調べるのは相応の時間がかかる」(尾崎氏)とした。今回指定医を取り消された20人以外にも不正がなかったか、これまでに指定医を申請した医師についても可能な限り調査をするとしている。


20人の指定医取消し処分について謝罪する尾崎承一病院長と病院職員ら。
 中間報告書では、(1)診療体制、(2)今後の対策、(3)再発予防策の3点をまとめた。(1)の診療体制は大幅に縮小し、不正に関わった医師は、外来患者からの要望があるなど特殊な場合を除いて、他医療機関も含め患者の診療を禁止。病院としては、紹介状がある患者や緊急性がある患者、自治体から依頼されたケースだけ対応することとした。

 (2)の今後の対策としては、今回取り消し処分を受けた中で、不正申請が指摘された2011年以前の申請事例について調査するほか、処分を受けた医師が、指定医として判断に関わった措置入院と医療保護入院について検証すると明記。この点について、厚労省の指示で調査を広げることになった。(3)の再発予防策としては、倫理・法令順守の教育を徹底するほか、申告症例の一元管理や、申請書類提出に際し指導医と上級医の二重チェックを励行するとしている。

 尾崎氏は厚労省に提出後の記者会見で、病院側は大学病院に現在在籍している医師8人の調査を予定していたが、厚労省から退職者も含めた20人全員の徹底調査を指導されたことを明かした。「現在どこで、何をしていて、どういう職歴をたどったのか、また関わりを持った患者についても徹底調査するように言われた」と言い、措置入院や医療保護入院のほか、拘束や隔離の判断の妥当性についても調べて報告する。

徹底調査も、検証できる書類は限定的
 措置入院について、大学は当初、調査委員会の調査で、不正取得した指定医で措置入院の判断に関わったケースはなかったとしていた。しかし、大学の調べた対象は同病院に入院したケースだけで、他の医療機関に入院したケースは対象外だったことが判明。不正取得した指定医が、別の医療機関に入院した患者の措置入院の判断に関わったとして、川崎市などが調査している。今後、大学は同病院には措置入院の判定記録がないことから、関係自治体の協力を得て検証する。

 調査委員会では、ほかにも不正がなかったか、さかのぼって調査するため、過去の申請者に対してアンケートを実施。これまで60人に送り38人から回答を得たとしていたが、調査対象を拡大し、1989年以降の申請者に調査票を送り、現在までに68人から回答を得た。不正の有無を調べるため、申請書類を過去の申請者から提出してもらい、同大病院で保存している過去10年分のカルテと照合するとしているが、申請者の多くが「申請書類は既に破棄した」と回答。申請書類を保存している申請者についてのみ、書類を病院に送付してもらい、カルテと突き合わせて検証するという。

 調査委員会は、調査体制の強化のため人員を増やして開催頻度を増やして調査に対応するとしている。

「症例足りなかったのに」、不思議に思う指導医も
 会見した尾崎氏によると、取り消し処分を受けて、調査委員会のヒアリングを受けた指導医の中には、「以前は申請する症例のジャンルが足りないから担当させてほしいと頼んでくる医師がいたが、最近は減っていた。それなのに、申請が出ているから不思議に思っていた」と答えた医師がいた。申請書類のケースレポートでは、8例以上の決まった領域の症例が義務付けられているが、中でも小児・思春期の精神疾患は同大病院での取り扱いは少なく、以前から申請の際のネックになりやすかったという。

 「不思議に思っていた」という指導医は、「なぜか知らないけど」申請が続いていたと話し、上級医らはそのような実態を共有しておらず、尾崎氏も調査委員会に同席中にその話を聞いて「驚いた」としている。尾崎氏は「気付かなかったのは我々の責任。神経精神科の中で、上級医が早く気付いて対応していればこうならなかったのではないか、と残念に思う」と述べた。

 不正申請が誰かの指示や了解を得ていたのではないか、という疑念については、不正申請した医師はヒアリング調査で「自分自身の判断でやった。他の人は知らない」と話しており、病院として組織的な関与は確認できなかったとした。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H5C_U5A420C1CR0000/
「特定機能」取り消す方針 東京女子医大・群馬大病院
2015/4/24 12:29 (2015/4/24 13:27更新) 日本経済新聞

 患者の死亡事故があった東京女子医大病院(東京・新宿)と群馬大病院(前橋市)について、厚生労働省は24日までに、高度医療を提供する特定機能病院の承認を取り消す方針を固めた。塩崎恭久厚生労働相は同日の閣議後の記者会見で両病院について「医療安全管理に重大な問題があり、ガバナンス(管理運営)の仕組みが機能していないことが分かってきた」と述べた。

 厚労省の社会保障審議会医療分科会は、両病院の特定機能病院の承認について「取り消し相当」との意見を近くまとめる見通し。厚労省は病院側から意見を聴いたうえで処分を決める。

 東京女子医大病院では昨年2月、首の手術を受け集中治療室(ICU)で鎮静剤「プロポフォール」を投与された男児が死亡。プロポフォールは添付文書の禁忌事項として、ICUで人工呼吸中の子供への投与が禁止されていた。

 群馬大病院では2010~14年に同じ医師による肝臓の腹腔(ふくくう)鏡手術で術後4カ月以内に8人の患者が死亡したが、原因などを検証する検討会が開かれていなかった。

 社保審医療分科会のこれまでの審議で、委員から「再発防止策が不十分」「病院の管理運営が機能していない」などの厳しい意見が出ていた。両病院の承認が取り消されれば3、4例目。東京女子医大病院は02年に続いて2度目となる。

 ほかにも精神保健指定医資格の不正取得が発覚した聖マリアンナ医科大病院(川崎市)、生体肝移植手術を受けた4人が死亡した神戸国際フロンティアメディカルセンター(神戸市)など医療機関で相次ぎ問題が発覚している。塩崎厚労相は「(医療機関の)医療の安全への取り組みを厚労省として見ていく」と述べた。



http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20150424/CK2015042402000164.html
【群馬】
群大腹腔鏡手術 執刀医らの論文 問題発覚後撤回

2015年4月24日 東京新聞

 群馬大病院(前橋市)で腹腔(ふくくう)鏡による肝臓切除手術を受けた患者八人が死亡した問題で、執刀した第二外科の男性医師(退職)と上司の教授らが、二〇一二年に発表した腹腔鏡手術に関する論文を問題発覚後の昨年十一月に撤回していたことが二十三日、分かった。
 撤回の理由は、手術時に必要な院内の倫理審査を受けるのを怠ったためとしている。
 教授らは論文を群馬大の研究者らでつくる「北関東医学会」の学会誌に発表。導入後一年間に実施した肝細胞がんの患者らの腹腔鏡手術二十例を検証し、うち一例は合併症を起こして術後二カ月で死亡していたが「おおむね許容される結果」と結論付けた。合併症を起こした症例数も「開腹手術に比べて多いとは考えていない」としていた。
 今年二月発行の学会誌に撤回を伝える文章を載せ「深く反省しておわびする」と謝罪していた。
 病院が三月に発表した事故調査委員会の最終報告書によると、一〇年に第二外科が腹腔鏡手術を導入後一年未満で、患者四人が術後四カ月以内に死亡した。論文に記載された死亡例が最終報告書の症例に含まれているかどうかは、病院は「コメントできない」としている。


  1. 2015/04/25(土) 05:44:08|
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