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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月22日

http://www.huffingtonpost.jp/masahiro-kami/doctor-education_b_7114018.html
医師教育の在り方が変わりつつある
上昌広
東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任教授
投稿日: 2015年04月22日 15時18分 JST 更新: 2015年04月22日 15時18分 JST ハフィントンポスト

高等教育の在り方が変わりつつある。世界と伍して競争するには、英語は勿論、広範な知識と高度なスキル、さらに現場経験が欠かせないからだ。従来型の座学中心の教育では対応できない。

この状況は医学教育の分野も変わらない。世界に通用する医師を育てるにはどうすればいいか、試行錯誤が続けられている。

森田知宏君という医師がいる。今回は、彼のことを紹介したい。彼の挑戦は、新しい医師教育の在り方を考える上で示唆に富む。

森田医師は2012年に東大医学部を卒業した。その後、千葉県鴨川市の亀田総合病院で初期研修を終え、昨年、自ら希望して、福島に移り住んだ。そして、相馬中央病院で内科医として診療に従事している。

同時に私の研究室の大学院生でもある。彼の研究テーマは高齢者の社会的孤立だ。

彼は、最初から、このテーマを選んだ訳ではない。まして、研究のために福島に飛び込んだのではない。その動機は「福島の役に立ちたい」、「福島で働きたい」だ。彼は現地で活動し、様々な人と出会い、大きな刺激を受けた。そして、生涯にわたって取り組むべきテーマとであった。森田医師は「今後、内科医として、研究者として一生をかけて、このテーマに取り組むつもりだ」と言う。

ここで、少し高齢化についてご説明しよう。高齢化は我が国が抱える課題であることは言うまでもない。

特に福島の高齢化は深刻だ。震災後、若年者が避難したためだ。南相馬市の高齢化率は震災前の26%から33%となった。

急速な高齢化は社会に歪みをもたらす。ただ、高齢化が、社会にどのような具体的な影響を与えるかは、現場を見なければわからない。

東日本大震災から四年が経過し、福島では軽症の要介護者で施設が溢れている。原発事故により若者が避難し、高齢者だけが取り残されたためだ。同居する家族がいなくなって、介護施設に入らざるを得なくなった。

介護者は簡単には養成できない。受け入れる事が出来る高齢者の数には限界がある。この結果、大量の介護難民が発生した。森田医師によれば、相馬市だけでも約400名が介護施設への入所を待っている。孤独死、アルコール依存、さらに介護難民が常態化しつつある。

どうやったら、この問題を解決出来るのだろう。誰も正解はわからない。試行錯誤を続け、地域にあった解決法を作り上げるしかない。

森田医師が住む福島県相馬市の場合、この問題への取り組みをリードするのは立谷秀清・相馬市長(63)である。

最近、相馬市は復興公営住宅として、「井戸端長屋」と呼ばれる集合住宅を造成した。立谷市長のアイデアだ。立谷市長は「如何にコミュニティーを維持するかが重要だ。そのために、行政がどこまでやるか、地域がどこまでやるか、ノウハウを蓄積しなければならない」と言う。

相馬市では、既に5棟58戸が建設され、57人が入居している。うち52人が高齢者、38人が独居だ。介護保険で要介護と認定された人は12人に上る。

「井戸端長屋」の工夫は興味深い。例えば、建物の中央には共同の食堂があり、昼食の弁当が配られる。洗濯機は、個室ではなく、共同スペースに設置されている。何れも、日常生活で入居者が顔を合わすことが目的だ。

森田医師は、相馬市から「井戸端長屋」を巡回する医師に任命されている。彼によれば「日常の触れあいから支えあいに発展する例もある」と言う。例えば、車いすに座った85歳女性が介護施設へ通うバスに乗り込むのを、隣に住む元気な80歳女性が支えたり、63歳の女性が昼食時に「お漬物どうぞ」と自分でつくったおかずを持って来ることもあったという。

相馬市が目指すのは「共助」のシステムの構築だ。そして、森田医師の仕事は、井戸端長屋で入居者と接しながら、それを記録することである。これは、我が国にとって貴重な資料になる。なぜなら、2040年には東京の高齢化率は現在の福島と同レベルになるからだ。福島の経験は他人事ではない。既に、国内外の研究者から多くの問い合わせがある。

では、なぜ、森田医師は福島県の市町村の中から相馬市を選んだのだろうか。それは、相馬市は、彼が成長するための素晴らしい環境を提供すると考えたからだ。

まず、卓越した指導者がいる。医師でもある立谷市長の実力は今さら言う必要もない。相馬市の復興が速いのは、彼に負うところが大きい。現に、「井戸端長屋」は建設を終え、入居が始まっている。

余談だが、森田医師が勤務する相馬中央病院は立谷市長が理事長を務める民間病院だ。こちらも動きは柔軟である。

ついで、相馬市は経営状況がいいことが挙げられる。何をやるにも金がかかる。それを調達するのはリーダーの仕事だ。相馬市も例外ではない。

相馬市の復興が速かったのは、2002年に立谷氏が市長に就任して以降、行政改革に努めてきたからだ。震災時には一定の内部留保があったため、政府の指示を待つことなく、矢継ぎ早に対策を打ち出すことが出来た。相馬中央病院の経営も同様だ。だから、森田医師に教育の機会を提供すべく「投資」することが出来る。ここが慢性的な赤字に悩む国公立病院との違いである。

医師は「職人」だ。成長するためには、各地をまわり修業しなければならない。これは古今東西変わらない。

若い医師は、どこで、誰のもとで研修するか悩む。その際、森田医師の経験は示唆に富む。問題は現場で起こっている。まず現場にでなければならない。

ただ、現場なら、どこでもいいという訳ではない。優秀なリーダーがいて、経営状況のいい病院があることが重要だ。ところが、このことはあまり指摘されないし、この手の情報はインターネットでは伝わりにくい。研修する病院を探す医師の卵たちには、是非、この点を考えて欲しいと思う。

よきリーダーがいる現場があれば、私たちのような指導者も色んなことが出来る。IT技術の発達した昨今、私は東京にいながら、森田医師を指導している。毎日のように携帯電話、メール、フェイスブックでやりとりしている。また、相馬中央病院の御厚意で、森田医師は毎週、東大医科研の研究室にも顔を出している。現在、森田医師は、原発事故が相馬地方の救急医療に与えた影響を調査しているが、論文の書き直しは既に200回を越えた。少しずつ、実力をつけてきている。

若き医師のトレーニングは、今も昔も変わらない。まず、現場で「困難」に直面する。本や論文を読んで自分で考える。そして書いて発表する。基本的には、この繰り返しだ。

ただ、通信技術が発達した昨今、やる気さえあれば、世界中の専門家の知恵を借りることも可能になった。色んな背景をもつ人と交わり、思考は深められていく。

若者は、まず「困難」を求めて行動すればいい。道は自然と開かれる。森田医師がその典型だ。医師教育の在り方が変わりつつある。



http://www.m3.com/news/iryoishin/314699
地域医療構想、民間委託の流れに危機感、日医
2025年の医療提供体制、病床削減もテーマに

2015年4月22日(水)配信池田宏之(m3.com編集部)

 日本医学会総会において、4月12日に「2025年の医療提供体制へ向けた長期計画」と題したシンポジウムが開かれた。焦点は、地域医療構想やそのガイドラインの扱いで、地域医療構想ガイドラインを策定した専門家が、「療養病床の削減」を将来の課題に上げたのに対して、日医からは「病床削減にはならない」と指摘する場面があった。また、地域医療構想区域の設定に当たっては、民間事業者が入る動きがあり、日医は「とんでもない」と述べ、注視していく考えを示した。

区域「原則2次医療圏」

 講演者は、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」で座長を務めた遠藤久夫氏(学習大学経済学部長)、日本医師会副会長の中川俊男氏、厚生労働省医政局の二川一男氏の3人。

 遠藤氏は「医療提供体制改革の方向と課題」と題して講演。現在の在宅医療重視の流れについて、高齢化の進展において、病院完結型の医療がある中で、「病床は増やさないで対応する流れ」と指摘した。都道府県主体の病院再編や地域医療構想については、「新しい試み」と述べた。具体的には、「診療報酬には、個々の地域に適切に対応できない問題があった。地域医療計画は、ある程度実情を反映できるが、機能の区別ができなかった」と指摘した上で、今回の地域医療構想で、機能分化と地域の特殊性の両者に対応できる点に言及。その上で、各地で提供体制だけでなく、医療需要の違いを見据えて、「需要と供給のミスマッチを防ぐ新たな試みでは」とした。

 地域医療構想の区域については、遠藤氏は「原則2次医療圏」と説明した。療養病床については、削減に向けた議論を踏まえて、「在宅医療と療養病床を包括的に見る」と述べ、従来の療養病床の代替として、在宅医療推進の流れがあることに理解を求めた。7対1入院基本料の病床についても、その多さを指摘して、「急性期病床の数が適正化どうかの議論はある」とした。

 今後の課題として、遠藤氏がまず指摘したのは、都道府県の対応能力。都道府県は、地域医療構想区域の設定や国民健康保険の主体となる流れがあり、医療費適正化計画の見直しも控えており、遠藤氏は、都道府県が国や市町村との連携が重要になっていくとの認識を示した。さらに「療養病床の削減」についても課題として言及し、在宅医療の進展に向けて、訪問看護師の不足などが考えられるとして、訪問看護師や総合診療専門医の育成に期待を示した。

「誤った理解が広がっている」

 中川氏は、講演の冒頭で「地域医療構想について誤った理解が広がっている」と指摘。医療機関にとって「自分の医療機関のデータを客観的に把握して、将来像を描くことができる制度」と強調した。地域医療構想に向けて、厚労省が示したガイドラインが、「参考」との位置付けになったことを、「行政として勇気がある」と述べ、地域の自主性を重んじた動きになる点を強調した。

遠藤氏と認識が異なった点もあった。病床機能区分や医療需要の推計について、遠藤氏は病床の削減につながる可能性に言及したのに対して「地域で不足している機能の病床を、充足することができる」と述べた。さらに、地域医療構想区域については、「2次医療圏で決まったわけでない」として、地域の実情に合った区域を設定するように求めた。
 医療需要の推計については、診療報酬の点数が目安となっているものの、「医療資源投入量の目安。病床を規定するのでは、患者を推計するためのもの」と強調して、診療報酬とのリンクを懸念する声に反論した。また拡大する都道府県知事の権限については、丸1年稼働していないなどの病床への対応などに限定されている点を紹介し、”知事による強制的な病床削減”のイメージへ反論した。

 中川氏は、現状の課題について、都道府県の地域医療構想策定に向けた温度差を挙げた。2015年度予算において、20の自治体が、構想区域の策定を民間事業者に委託する動きを紹介し、「とんでもない」と指摘。地域の実情を考慮しないまま、ガイドラインの基準をそのままの区域策定に危機感を示した。この点は、ディスカッションで山口県医師会の担当者も危機感を示し、中川氏は重ねて注視していく考えを示した。

外来も今後議論の対象に

 二川氏は、医療資源が西高東低となっていることなどを紹介しながら、地域医療構想の狙いとして「足りない部分をどうするかを地域で、話し合ってもらう」と説明し、あくまで地域の自主性を重んじることを強調した。ただ、実際に回復期病床への転換を望む医療機関が少ない点を紹介した上で、「おおまかな話だが、回復期は足らない」とした。地域医療構想策定の中で周囲が提供する医療機能が把握できることにあることから、「転換すべきは転換してもらうことになる」と述べた。

 フロアからは、地域の実情に合わせて、それぞれの内容を確認する質問が相次いだ。その中で、京都大学の医学部生からは、「回復期の供給量は将来的に足りるのか」と質問。二川氏は、「(回復期の病床の)定義も悪いかと思う」と述べた。診療報酬や機能分化についての医療者の困惑に一定の理解を示した上で、「回復期=リハビリテーションとなりがちなので、(中医協で示されたデータにおけるアンケートで)急性期で届け出た可能性がある」と指摘。実際に急性期希望の中にも、厚労省の描く回復期に該当するケースがあるとの認識を示した。中川氏は、いずれの病棟も、機能が混ざるとの考え方を示し、報告病床数が即、供給量ならない点を指摘した上で、「(不足機能を調整する働きがあり)手当ては心配ない」との認識を示した。

 外来について「2次医療圏が変わるのでは」と、扱いを聞いたのは、岡山県医師会の担当者。地域医療構想の中で、外来は明確に位置付けられていない。中川氏は、地域医療構想調整会議の地域包括ケアシステムとの整合性も検討するため、調整会議の場面などで俎上に上るとの考えを示した上で、「外来は少し(構想より)範囲が狭いので、地域包括ケアシステムの範囲の議論に集約されるのでは」とした。二川氏も法的な位置付けがない点を認めた上で、流出入する患者などを踏まえて、調整が必要になっていくとの認識を示した。

   

http://www.m3.com/news/iryoishin/290838
地域医療構想、実現方策は3段階
「医療者の自主的な取り組み」が基本

2015年1月31日(土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省は、1月29日の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部長)の第7回会議で、各都道府県が策定する地域医療構想の実現に向け、「医療機関の自主的な取り組み」「医療機関相互の協議」「地域医療介護総合確保基金の活用」の三段階で進める考え方を提示した(資料は、厚労省のホームページに掲載)。PDCAサイクルを回し、現状を将来の必要病床数に近づけることを目指す。

 地域医療構想では、2025年の医療提供体制における必要病床数を、構想区域(2次医療圏が原則)ごとに推計する。2014年10月からスタートした病床機能報告制度において、各医療機関は、現状および将来目指す病床を、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の病床区分ごとに報告する。年間スケジュールで見れば、病床機能報告制度は毎年1回、10月に行う。翌年3月までに報告の集計結果を公表、それを基に各医療機関は、需給バランスのギャップなどを鑑み、自院の体制を検討する。並行して、地域の医療関係者から成る「地域医療構想調整会議」で話し合いを進める。各都道府県はこうした医療者の自主的な取り組みによる病床調整の状況を踏まえながら、「地域医療介護総合確保基金」の計画を策定、予算を計上し、執行するという流れになる。

 このPDCAサイクルについては、基金が有効に執行されるよう、評価指標を策定するほか、基金を待たずに自主的な取り組みで病床機能を転換する医療機関のやる気をそがないよう工夫すべきとの提案が出た。さらに、「地域医療構想調整会議」の参加者が、「医師会、歯科医師会、病院団体、医療保険者を基本とする」となっているのに対し、市町村や看護の立場からは参加を求める意見が上がった。また地域医療構想の策定に当たっても、特に現場の病院関係者の意見を聞く必要性が強調された。

 29日の会議では、2025年の医療需要と必要病床数の推計方法についても議論。特に、前回から問題になっているのが、「慢性期」の推計方法で、療養病床と在宅医療のニーズをどのように組み合わせて推計し、療養病床の必要数を算出するかが課題。現在、療養病床の入院受療率には地域差が大きいため、その縮小に向けて、A案とB案の2案を厚労省は提示している(『「高度急性期」「急性期」、今も6年後も6割強』を参照)。ただし、地域医療構想は、構想区域単位で医療需要を算出するが、厚労省は都道府県別の療養病床の入院受療率データしか提示していなかったため、構想区域単位のデータなどを基に次回会議で改めて議論することになった。


「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の次回の第8回会議は2月12日に開催予定。
 「ビジョン策定段階から現場の参加を」

 第7回会議では、地域医療構想策定までのプロセスと、策定後、その実現に向けたプロセスについて議論した。地域医療構想の策定は、(1)策定を行う体制等の整備、(2)必要なデータの収集、分析、共有、(3)構想区域の設定、(4)構想区域ごとの医療需要の推計、(5)医療需要に対する医療提供体制の検討、(6)医療需要に対する医療供給を踏まえた必要病床数の推計、(7)構想区域の確認、(8)将来あるべき医療提供体制を実現するための施策の検討――というステップに分かれる。

 (1)については、本来は策定後に医療機関間の調整を行う場である「地域医療構想調整会議」を前倒して設置し、地域の医療関係者の意見を聞きながら、策定するのが望ましいとされた。(2)、(3)、(4)では、まず2次医療圏ごとに、必要なデータを収集・分析・共有する。それを踏まえ、構想区域を設定し、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」別の医療需要を推計することになる。

 (5)の構想区域の設定に当たっては、現在は、2次医療圏、さらには都道府県を越えて受診する患者がいるため、患者住所地に基づいて推計した医療需要を踏まえ、構想区域間、都道府県間で議論、調整することが必要となる。それを踏まえて、(6)で将来の必要病床数を推計し、(7)で構想区域を確認、(8)で地域医療構想の実現に向けた施策を検討する。

 これらのプロセスについて、数多く挙がったのが、(1)の「策定の体制等の整備」に関する意見だ。日本医師会副会長の中川俊男氏は、「都道府県医師会から、県庁がデータを抱えていて見せてもらえない、との指摘が出ている」と述べ、地域医療構想のスムーズな策定のため、関係者によるデータ共有が必要だとした。日本病院会副会長の相澤孝夫氏は、「地域医療構想を策定する体制を一番懸念している」とし、医療計画策定において、病院の意見が反映されない場合もあることから、「そのやり方を踏襲されると困るとの危機感が、医療の現場にある」と述べ、策定段階から行政だけでなく、関係者が加わる重要性を強調した。

 また(5)について、奈良県医療政策部長の渡辺顕一郎氏は、県の立場から、都道府県間の調整についての懸念があるとし、「必要病床数の推計に当たって、患者の流出入を加味する重要性は分かるが、高度医療を受けるために遠方の都道府県に行く場合もある。都道府県間の協議は、これまであまり経験がないため、その協議のプロセスをもう少し明確化してもらいたい」と求めた。

 策定後、地域医療構想の実現に向けた取り組みがスタートする。「医療機関の自主的な取り組み」を促すに当たって、注目されるのは今後、病床機能報告制度により、同じ構想区域内の他の医療機関が病床機能の選択状況や、地域医療構想に基づく2025年の必要病床数が分かるようになる点だ。データ等の比較で、自院の位置づけを客観的に把握できる。

 議論になった一つが、都道府県が設置する「地域医療構想調整会議」のメンバーだ。「医師会、歯科医師会、病院団体、医療保険者」が基本で、議事に応じて、「代表性を考慮した病院・診療所、特定の診療科等の学識経験者、薬剤師会、看護協会、市町村」を加えるとなっている。市町村や看護の立場も加えるべきとの意見に対し、中川氏は、「調整会議は、随時開催と定例開催がある。定例開催は多いメンバーでもいいが、随時開催で個別の医療機関の病床転換などについて議論する場合には、まずこのメンバーでやり、必要な時に拡大する方がスムーズな議論ができるだろう」との見解を述べた。

 「慢性期」、療養病床と在宅を一体的に推計

 「慢性期」の医療需要の推計方法について、日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、「療養病床の入院受療率が低い地域は、一般病床に患者が行っているのかもしれない。あるいは両方とも低い地域では、在宅医療に行っているかもしれない」と指摘し、入院受療率の差が生じる要因分析を求めるとともに、一般病床や在宅医療の利用状況も踏まえて、トータルに需要を把握した上で、療養病床の必要数の推計を行うべきと主張した。

 さらに推計方法全体についても、幾つかの意見が出た。医療需要の推計は、医療資源投入量、つまり診療報酬の点数を基に行うため、高額な薬を使う場合、投入量も多く評価される。相澤氏などが、この点の留意を求めるとともに、全国自治体病院協議会会長の邊見公雄氏は、「今、医療界はチーム医療を推進する方向にあるが、(人件費は基本的には)入院基本料に包括されている。日本の医療が進む方向と少し違う感じがするので、どこかで評価できないか」と、医療資源投入量における「ヒト」の評価が必要だとした。

 邊見氏は、地域医療構想の策定が、療養病床の入院受療率の地域差が縮小につながることから、慢性期医療を担う経営者からは、「病院をやめなければならないのか」などと不安の声が出ているとも指摘。中川氏は、「慢性期」については、療養病床と在宅医療を一体的に考えて、必要量を算出することを強調、この点の明示が重要だとした。「療養病床の比重が高い構想区域もあれば、在宅医療の比重が高い区域もある。これこそが地域に合わせた弾力的な運用」(中川氏)。

 もっとも、療養病床のニーズ減少を懸念する現場の不安に対し、武久氏が次のように述べる場面もあった。「むしろ心配なのは、急性期病床がどう絞られるかではないか。療養病床は、看護必要度が高い患者の割合が高く、重症な患者を診ている。急性期病床が絞られると、療養病床に重症の患者がますます入ってくるようになる。慢性期の需要がなくなることは全くないと考えている」。



http://www.m3.com/news/iryoishin/261198
地域医療構想の「区域」、2次医療圏が原則
レセプトやDPCのデータ活用し、2025年を推計

2014年10月17日(金)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(座長:遠藤久夫・学習院大学経済学部長)の第2回会議が10月17日に開催され、地域医療構想を策定する単位である「構想区域」は、医療計画で用いている2次医療圏を原則としつつ、2025年における人口規模などの要素を勘案して、地域の実態を踏まえて定める方針でおおむね一致した(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

 2025年の医療需要と病床の必要量の推計については、社会保障・税一体改革で2011年6月に行った推計の基本的考え方を基に、レセプトデータやDPCデータなどを活用して、推計を精緻化する方針でもほぼ合意。厚労省は次回の10月31日の会議で、医療需要等の推計のたたき台を提示する予定だ。

 遠藤座長は、「構想区域」については、「現状の2次医療圏は、さまざまな課題を持っているとはいえ、他に代わる有効なものがあるわけではないので、これをベースにし、4つの要素を勘案するという、厚労省の提案がおおむね認められたと思う」と総括。2025年の推計については、「将来の医療ニーズの推計は難しいが、このような(社会保障・税一体改革のような)推計方法を取る。ただし、大胆の仮定の下に推計していたので、きちんとブラッシュアップしてやっていくことに合意を得たのだろう」とまとめた。

 「4つの要素」とは、2025年における、(1)人口規模、(2)患者の受療行動(流出率・流入率)、(3)疾病構造の変化、(4)基幹病院までのアクセス時間等の変化――だ。


 地域医療構想では、2025年の病床種別の必要量などを定める。2次医療圏と構想区域が一致しない場合、病床の調整に支障が生じることも想定し得る。医療計画の次期策定は、2018年の第7次医療計画だ。厚労省医政局地域医療計画課長の北波孝氏は、「構想区域を定めるのは都道府県だが、構想区域に合わせて2次医療圏を変えていくことはあっていいと思う」と述べ、地域医療構想の策定主体である都道府県の自主性を尊重しつつも、2つの計画の整合性を図るよう求めた。

 日本医師会副会長の中川俊男氏は、「第7次医療計画の見直しの際に、現行の2次医療圏を、今回の構想区域に準じて見直すつもりで、構想区域を設定してもらいたい、というメッセージを発信してほしい」と述べ、二つの計画の整合性が図れるよう、厚労省に一歩踏み込んだ対応を要望した。

 さらに、地域医療構想の策定に当たって、焦点となる一つが、2025年の医療需要等の推計に当たって、どの程度、「あるべき姿」「標準化」「適正化」を進めるかという点。現状では、病床数が多い地域では、在院日数が長くなる傾向が見られるのも事実だ。社会保障・税一体改革の推計では、「改革シナリオ」として平均在院日数の短縮等を想定して推計している。北波課長は会議後、地域医療構想では地域の実態を踏まえる必要性は指摘したものの、「合理的に説明が付けばいいが、そうでなければ同じ疾患では在院日数は収斂すべき」との考えを示した。

 2次医療圏、人口で10倍以上の開き

 「構想区域」の設定の考え方は、総論では合意を得たものの、各論ではさまざまな検討課題がある。

 「構想区域」は「2次医療圏を原則」とするが、「2次医療圏」設定自体が妥当かという問題がある。2次医療圏の人口規模や面積を標準化させるのには限界があり、圏内のインフラが大きく異なる中で、地域の事情をどう反映させるかが課題だ。

 2次医療圏は344あるが、例えば、人口で見れば、最も多い大阪市は266万人、最少の隠岐(島根県)は22万人と10倍以上の開きがある。面積でも、最も広い十勝(北海道)は1万828km2、最も狭い尾張中部(愛知県)は42 km2で、約260倍の開き。

 2013年度からの第6次医療計画では、「人口20万人未満」「流入率が20%未満」「流出率が20%以上」に該当する2次医療圏では、圏域の検証を行うことになった。しかし、2008年の患者調査に基づく試算では、32都道府県、87医療圏が該当したものの、実際に見直したのは、3県(宮城県、栃木県、徳島県)のみ。基幹となる病院へのアクセス時間、最新データによる検証などの結果とされるが、必要病床数を規定する2次医療圏の見直しが容易ではない事情もうかがえる。

 兵庫県では、2次医療圏は10カ所あるが、疾患・事業ごとに、地域の実情に応じて圏域を設定している。例えば、心筋梗塞・脳卒中の医療圏域は9圏域、救急医療の医療圏域は12圏域だ。「2次医療圏を原則」とは、こうした柔軟性も想定していると見られる。

 4つの圏域、将来的には収斂

 医療や介護に関連した圏域としては、構想区域、2次医療圏のほか、介護に関する老人福祉圏域、医療介護総合確保区域がある(『医療介護の総合確保方針、了承・告示へ』を参照)。健康保険組合連合会理事の本多伸行氏は、「4つがあり、都道府県も混乱している。また一般住民は理解していな。医療と介護を連携していく上で、圏域を将来的に統合していく考えがあるのか」と質問。

 厚労省医療介護連携政策課長の渡辺由美子氏は、「2次医療圏と老人福祉圏域が一致しているのは、41都道府県。それ以外の地域でも、2次医療圏の中に、2つの老人福祉圏域があるなど、包含関係にある場合もある。今でもできるだけ一致させるようにしているが、基本的には収斂させていく方針」と回答した。

 この点については、医療提供側からも、可能な限り一致させるよう意見が相次いだ。日医の中川氏は、「2次医療圏は現在の必要病床数、構想区域は2025年を想定しているというが、将来に向けて、『協議の場』で議論していくことになる。構想区域と2次医療圏が一致していれば、理解しやすいが、異なる場合はどうするのか。2次医療圏は病床過剰で、構想区域では病床が必要になった場合にどのように整理するのか」と質問。北波課長は、「現行の2次医療圏の必要病床数を満たしながらやっていくことが必要。2018年には第7次医療計画を策定するため、(必要があれば)その際に圏域の見直しも行われる」と回答。構想区域と2次医療圏の整合性をどう図っていくかは、各都道府県に委ねられることになる。

 日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏からは、「病院も介護施設も、これ以上、あまり増えない。この10月からスタートした病床機能報告制度で、地域にある病院とその機能を把握できるようになる。各病院のほか、介護施設の分布をにらみながら、漠然とした構想区域ではなく、総合的に医療と介護が確保できる圏域にしていくことは当然」との意見も出た。

 社会保障・税一体改革の推計をベースに

 2025年の医療需要と病床の必要量の推計は、社会保障・税一体改革の2013年6月の推計の考え方をベースに進めることになったが、この点についても幾つか意見が出た。

 中川氏は、この推計自体を疑問視、(1)入院と外来の受療率を全国一律と仮定、(2)DPCおよびDPC準備病院を、急性期病院の代表と仮定、(3)平均在院日数を、高度急性期病床では2割、一般急性期病床では3割短縮すると想定――などの問題があるとした。「平均在院日数を短縮することが改革なのか。DPCが急性期病院の代表とは、誰が決めたのか」「全国の医療提供体制の全てに問題があるわけではなく、絶妙なバランスで成り立っている地域もある。しかし、全国の地域が、この推計に基づき改革することを求めているように思う」などと中川氏は述べ、社会保障・税一体改革の推計を提示した真意を厚労省に質した。

 日本医療法人協会会長代行の加納繁照氏も、「急性期医療の在院日数の短縮は限界。65歳以上の高齢者の患者が増えるので、逆にこれから伸びる可能性がある。データを基にしっかり計算して推計してもらいたい」と求めた。

 北波課長は、地域医療構想は、社会保障・税一体改革の流れで出てきたものであり、「あくまで参考だが、議論の出発点として、(社会保障・税一体改革の推計を)提示した。いかに説得性のある推計方法にするかについて議論してもらいたい」と回答。さらに「受療率に地域差があるという指摘は、その通りだが、医療の需要と供給を考える際に、あるべき姿があり、そこをどう考えるかについても議論してもらいたい」とも述べ、地域差の是正などの改革を意識した推計を行う必要性を指摘した。

 社会保障・税一体改革の推計は、「高度急性期病床」22万床、「一般急性期病床」46万床、「亜急性期・回復期リハ等」35万床、「長期療養」28万床。地域医療構想の病床区分(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)とは違うものの、一体改革の推計が独り歩きすること、さらには一律の方法で各地域が必要数を推計することへの懸念は他の委員からも提示されたが、「将来推計は、一体改革の推計を基本にする。しかし、推計から3年経っているので、レセプトデータ、DPCデータなどを使ってアップデートするほか、地域差なども考えていく」(慶應義塾大学経済学部教授の土居丈朗氏)という方針で落ち着いた。推計に当たっては、病床数だけでなく、在宅、訪問看護のニーズも的確に把握し、組み込む必要性も指摘された。



http://www.m3.com/news/iryoishin/122570
医療費の自然増のペースが鈍化、日医が危機感を示す
「2010年度レセプト調査」の4-5月結果速報を発表

2010年7月7日(水)配信星良孝(m3.com編集部)

 日本医師会は7月7日の定例記者会見で「2010年度レセプト調査」の4-5月の結果速報を発表、医療費の伸びのペースが鈍化していることに危機感を示した。今回の発表は、2010年4月の診療報酬改定後、最初の4半期となる4-6月の四半期ベースのデータの中間報告(調査詳細は記事末尾を参照)。

 注目すべきは、レセプトの総点数の伸びが、全体で見ると前年同期比で2.19%にとどまったことだ。日本医師会の高杉敬久常任理事は、「厚生労働省は、診療報酬改定の影響がなければ、医療費の伸びは毎年3%台と説明してきたが、診療報酬改定があったにもかかわらず2%台にとどまったのは自然増のペースが鈍化しているからだ」と説明した。

 2010年4月、診療報酬改定が行われ、全体ではプラス0.19%となり、10年ぶりの引き上げとなった。日医によると、厚労省の言う「3%の自然増」を踏まえると、総点数の伸びは3%に0.19%を加えて、3.19%となるはずだという。実績値は+2.19%で、想定の水準に届かなかったことになる。

 高杉常任理事は「6月に情報が確定するので、詳細な分析はそれから」としながらも、患者の医療機関の受診手控えの動きが広がっていることに危機感を示した。なお、入院と入院外の内訳を見ると、入院の総点数は+4.44%、入院外は+0.50%となり、入院外の伸びが低水準となっていた。

 「医療費の伸びが鈍化していることを材料に、政府の診療報酬抑制の方針を転換させたい」。日医のレセプト結果速報の説明からは、そんな思いがうかがわれた。

【日本医師会「平成22年度レセプト調査」の概要】

● 調査の方法
日本医師会A1会員の医療機関から、都道府県ごとに診療所、病院それぞれ20分の1ずつを無作為抽出し、レセプト情報(点数、件数、日数)を調査。

● 有効回答数
診療所1401、病院133、全体で1534で、有効回答数は診療所は31.6%、病院は34.5%、全体では31.9%となった。全国の医療機関に占めるレセプト調査有効回答数は、診療所が1.4%、病院が1.5%だった。

入院・入院外別の総点数、総件数、総日数 出所:日本医師会「22年度レセプト調査」4-5月結果速報 
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http://www.m3.com/news/iryoishin/314710
「外科学会はNCD一本」、強まる専門医制度と連携
日本外科学会定期学術集会、NCDの意義と課題を報告

2015年4月22日(水)配信高橋直純(m3.com編集部)

 第115回日本外科学会定期学術集会で4月17日、特別企画「NCDの意義と課題」が開催され、2011年に運用が始まったNational Clinical Database (NCD)が外科の各領域でどのように使われているかが報告された。NCDデータを分析することで術前リスクの把握が簡単にできるようになるなどのメリットが生まれつつある一方で、入力作業などで現場負担は大きいとの報告があった。新しい専門医制度では、よりNCDが活用されていくという見通しも示された。

 司会を務めた東京大学小児外科の岩中督氏は冒頭、「2011年の開始当初は、『入力が面倒』『役に立っていない』という猛烈なクレームが出ていたが、2014年には累積564万件の手術データが集まり、(術式別の死亡率などについて)論文になるなどようやく成果ができてきた」と報告。一方で、課題もまだあるとして、今回の企画を設けた意図を説明した。


NCDでインセンティブ獲得へ

 NCDについては毎年、定期学術集会で取り上げられている(『RCTに限界あり、NCD活用の時代へ』を参照)。今年の特徴は、専門医制度との関連が取り上げられたことだ。

 この点について言及したのは、最初に登壇した外科学会専門医制度委員長の北川雄光氏(慶応義塾大学一般・消化器外科)で、「専門医制度におけるNCDの意義と課題」と題して、外科領域では専門医制度とNCDが密接不可分であると説明した。日本専門医機構が求める症例実績の証明手段として(1)症例の登録、(2)症例一覧の提示、(3)筆記試験など――の3つがあるとしつつ、「機構からはもう少し柔軟に認めたらどうかと言われたが、外科学会は今後も((1)にあたる)NCD一本で行くことを決めた」。専門医制度と結び付けることによって、NCDが世界でも他にない規模のデータベースになったと語った。

 NCDデータを分析することで、専門医関与の有無で食道癌手術の死亡率が違うことや、心臓血管手術でも年間40症例以下の施設ではそれ以上の施設に比べて死亡率が高まるといったことが分かったと説明。「NCDを担保することで、(診療報酬などでの)インセンティブを獲得できると考える」と述べた。同時に、「(専門医一人当たりの)症例数が不足することで、結果として医療の質を担保できない」などの実態が把握できるとして、専門医の適正数や適正配置の議論につながると指摘した。

医療の質向上に貢献

 浜松医科大学外科学第二講座の今野弘之氏は、日本消化器学会におけるNCDの活用法を説明。術式別の死亡率などを論文として発表しており、「欧米に比べて、本邦は非常に良好。それが認められた」と報告した。他にもNCDを基に作成したリスクモデルを使って、患者情報や術式などを入力するだけで、術後30日死亡率や手術関連死亡率の予測値が表示される「リスクカリキュレーター」や、施設ごとのパフォーマンスを全国比較できるベンチマークの提供など、NCDを使った成果還元も進んでいるとし、「最終的に医療の質の向上に役立つことが大切」と述べた。

 東邦大学医療センター佐倉病院心臓血管外科の本村昇氏は、「心臓血管外科領域におけるNCDの意義と課題」と題し、NCDの先駆けとなった心臓血管外科領域でのデータベース化の歴史を振り返った。2001年にボランティアの5施設で始まった取り組みは、2012年に日本の心臓血管外科を持つ施設のほぼ全てに当たる500施設を突破。手術リスク計算や施設レポートの提供だけでなく、日本胸部外科学会が古くから行っている学術調査票に、NCDから簡単に転記できるようにするなど、会員の使い勝手向上も図ってきたことを説明。「入れっぱなしではなく見ることが大事」と述べた。今後の課題には、事務局業務の増加やデータの取り扱いなどに加えて、「外れ値を呈する施設への対応」も挙げた。

オールジャパンの情報発信に期待

 日本小児外科学会データベース委員会の米倉竹夫氏は、「小児外科領域におけるNCDの意義と課題」として、小児外科特有の一部術式が含まれていないなどのNCDの課題を指摘した。2015年から「NCD-P」と呼ぶ小児特有の疾患を対象にした2階建て部分の運用を開始する。希少疾患が多く、ランダム化比較試験が困難な重症小児外科手術でも、継続的なデータ蓄積が可能になり、「ビッグデータとしてオールジャパンの発信が可能になる」と期待を述べた。

 大阪大学呼吸器外科の奥村明之進氏は、「呼吸器外科の全国データベースの現状とNCDへの期待」の中で、肺癌登録事業によって明らかになった日本の治療の動向を解説。一方で、肺癌治療の主要施設が中心で、全体の半分程度しか集計できていないという。NCDに期待することとして、データの互換性の確立や電子カルテからの自動入力などを求めた。

 東海大学乳腺内分泌外科の徳田裕氏は、「NCD乳癌登録を用いた長期アウトカムに基づく診療の評価」を発表。腋窩リンパ節転移陰性症例での術後抗癌剤治療では、ガイドラインを遵守した治療が、非遵守より生存率が高いことが明らかになっている。今後は予後のリアルタイム入力や、症例ごとに治療開始日より5、10、15年の予後入力依頼の通知を行うという。

重い負担、手術重視の風潮も
 最後に登壇した京都府立医科大学小児外科の青井重善氏は、「NCDの功罪―小児外科専門医制度に関連して―」として、自身の体験を基に問題点を指摘した。小児外科の特殊性として、診断名が同じでも治療戦略が異なることや、非手術的緊急措置が多いことが挙げられる。手術のみが評価対象となる風潮が形成され得るとして、周術期の管理や手術を回避できたことへの評価も必要と訴えた。

 また自院の電子カルテがインターネットに接続していないことから、カルテ入力時に横に並べたNCD専用台帳端末に入力するという運用をしていると説明。データマネジャーが台帳端末を参照しながら、NCDに基本項目を入力した後、主任外科医がデータを確認した後に承認するといった手間がかかっている。データマネジャーの人件費や端末設置費などの負担が発生しているが、病院の収入増にはつながらないことも問題と指摘した。

 NCDは必要なシステムとしつつ、入力の簡便化やシステムエラーの減少と対応の迅速化、入力項目の増加に対応するために非医師でも入力可能になることなどを求めた。



http://mainichi.jp/shimen/news/m20150423ddm041040125000c.html
聖マリアンナ医科大病院:指定医不正 医師法でも処分検討
毎日新聞 2015年04月23日 東京朝刊

 聖マリアンナ医科大病院(川崎市)の医師11人が「精神保健指定医」の資格を不正に取得した問題で、厚生労働省は資格取り消しに加え、医業停止など医師法に基づく行政処分も検討することを決めた。同医科大の明石勝也理事長も22日、謝罪のため同省を訪れ、不正に関わった医師の懲戒処分を検討する方針を明らかにした。

 医師法は罰金以上の刑や医事に関しての犯罪や不正行為があった医師に対し、免許取り消しや3年以内の医業停止の行政処分を規定している。厚労省によると、精神保健福祉法に基づき指定医の資格を取り消した医師に対し医師法でも処分する例はなかったという。

 同医科大のケースでは虚偽申請による不正な資格取得が常態化しており、重大な不正行為があったと判断。20人の医師について同省の医道審議会分科会で行政処分を検討することにした。【桐野耕一】



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/hazama/201504/541759.html?bpnet
狭間研至の「Road to 薬剤師3.0」
「医薬分業に意味はない」とは誰一人として言わなかった

2015/4/21 日経BP

 先週木曜日、4月16日に開催された健康・医療ワーキング・グループの会議に出席しました。

 この日の会議は、去る3月12日の内閣府規制改革会議による公開ディスカッションでの議論(詳細はこちら)を深めるために開催されました。ワーキング・グループの会議ではありますが、規制改革会議の岡素之議長、有村治子内閣府特命担当大臣も出席されたほか、規制改革推進室の大熊裕二参事官を初めとした内閣府の方々、厚生労働省の医療介護連携担当の吉田学審議官など厚労省の方々が出席されました。外部有識者として、東京医科歯科大学の川渕孝一教授、日本総合研究所の高橋進理事長、そして私の3人が呼ばれました。

 出席者の随行の方も含めると30人ほどが一堂に会して、熱気あふれる議論が行われました。議事録が近く内閣府のホームページに公開されると思いますので、詳しくは議事録をご覧いただくとして、ここではざっと議論のエッセンスをお伝えします。

 前半は、院外処方箋における調剤のコストがそのメリットに見合っていないのではないか、ということが改めて議論になりました。院内調剤との比較や、営利法人が保険調剤業務を運営することが持つ課題などについても、各委員が自身の経験なども踏まえながら、様々な意見が活発に出されました。

 「規制改革」という会議の目的から、どうしても厚労省に矛先(?)が向くような雰囲気にはなるのですが、吉田審議官を始め、医薬担当の成田昌稔審議官や、中井清人薬剤管理官が真摯に一つ一つ答えておられました。

 「(狭義の)調剤に関するコストが院内と院外とで大きく異なるということについて、『納得した』という雰囲気ではない中で、やはり、この問題とも関係がありますね」という翁議長の進行で、フェンス(=薬局の構造的独立性)の問題に議論が移りました。

 ここでも議論は白熱しましたが、患者や国民の利便性をフェンスが損なうという話と、経済的な独立性を担保することの重要性について、意見が出ました。フェンスのみならず門内薬局の議論とも重なり、「日常生活動作(ADL)が低下している患者さんが、わざわざ遠くにいかなくてはならないことがあってはならないという議論は、国民目線でいうと当然ではないか」という論調で進んだと思います。

 そして、「たとえ門内に薬局ができても、経済的独立性は別の方法で担保するような仕組みは作れるのではないか」「門内ありきで独立性を担保できるような規制や仕組みを考えるべき」という方向性に向いているように感じました。有村大臣は「国民の代表として、このテーマに取り組みたい」とコメントされましたが、私には「やはり、利便性の確保が重要だ」という意味合いが強いように聞こえました。

 いろいろと議論が交わされて、会議の終了予定時刻を若干過ぎていたのですが、私も最後に少しだけ発表する機会をいただきました。私が伝えたかったのは、「立地が良ければ、必ずその薬局に患者さんが行くという大前提は、いずれ変わる」「医師と薬剤師が連携すれば、多剤併用や薬剤の有害事象という、わが国が直面している医療の問題を解決できる」ということでした。

 薬剤師がモノと情報の専門家であり、薬局がお薬の受け取り窓口であるという大前提が、今、薬学教育6年制の影響もあり、変わりつつあります。また、多剤併用や薬剤の有害事象という問題は、今のところ未解決です。薬は飲んだ後が勝負であり、その後の経過を薬剤師がきちんと追うことは、薬剤師法第25条の2に明記された薬学的知見に基づく指導義務を果たすことに他なりません。薬剤師の業務における対人業務の比率を高めていく時代になりつつあるのではないでしょうか。

 少し緊張していたので、きちんと話せたかどうかは、議事録を見るまでドキドキですが、会議を終えて自分としては少しすっきりした気がしました。

 さて、3月12日と4月16日の2回、医薬分業に関して国民的議論がなされたわけですが、これらを通して「医薬分業には意味はない」という発言は、ただの1回もありませんでした。実際、16日の会議の最後に、翁座長が「『医薬分業における規制の見直し』というテーマを『医薬分業推進下での規制の見直し』と変えたい」と提案され、了承されました。

 ただし、医薬分業が否定されなかったからといって、現状が認められたわけではありません。会議の出席者からは、現在の医薬分業の形は最適ではないという意見が猛烈に(!)出されています。恐らく、6月に予定されている規制改革会議の答申の中で、何らかの形で医薬分業の規制改革というテーマが盛り込まれると思います。

 国民がコストに見合うメリットを感じられるよう、医薬分業をよりよい制度にしていくために、薬剤師自らが決断し、様々な取り組みを本格化させる時期が到来しているのだと感じています。


  1. 2015/04/23(木) 05:39:52|
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