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4月21日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/314396?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150421&dcf_doctor=true&mc.l=98387475
「スーパー診療所」で過疎医療と国際貢献両立
第4回「保健医療2035」策定懇談会

2015年4月21日(火)配信 成相通子(m3.com編集部)

 厚生労働省の第4回「保健医療2035」策定懇談会(座長:渋谷健司・東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授)が4月18日、開催された(資料は、厚労省のホームページに掲載)。「2035年を見据えて保健医療政策において優先して取り組むべき課題」について構成員6人がプレゼンテーションし、討論した。懇談会は非公開で、4月20日に懇談会事務局長の小野崎耕平氏(NPO法人日本医療政策機構理事)がブリーフィングし、内容を説明した。

 次回4月22日は、渋谷座長と小野崎事務局長がプレゼンテーションし、6月の構想取りまとめを目指したスケジュールとビジョンの方向性を確認する(前回は『「現場が主体の改革を」、NCD活用や海外事例を報告』を参照)。

 今回のプレゼンテーションで、アジアパシフィックアライアンスCEOの大西健丞氏は、「地域医療と災害緊急医療に対応するスーパー診療所構想」と題して発表。へき地に専門医を中心とする医療チームの拠点を置き、緊急時にチームを国内外に派遣することで、医療過疎の解消だけでなく、国際的な救急医療にも対応できるとした。実際に、気仙沼医療圏で導入されている救急医療搬送と災害に対応した「新型医療搬送ヘリ」の運用事例を紹介した。

 浜松医科大学地域家庭医療学講座特任教授の井上真智子氏は、「日本のプライマリ・ケアはどう変わるべきか」をテーマに発表し、高齢化で複数疾患を有する患者が増加する中で、現在の臓器疾患別のかかりつけ医のモデルから、患者中心の地域包括ケアモデルが重要だと強調した。

 討論では、今後給付が増える医療費の財源確保について、「医療の質と効率のバランスの視点が重要」との意見が出た。そのような視点に基づいた政策立案には、医療制度の国際比較やアウトカムリサーチ、医療経済などのエビデンスが必要だが、日本では人材もエビデンスも不足しているとして、「研究の支援をすべき」という指摘があった。

 また、グローバルヘルスセキュリティ「国際健康危機管理(仮)」の重要性についても活発に意見が交換された。保健医療や公衆衛生の問題は、日本の安全確保という観点でも重要であり、安全保障課題として取り組みを強化すべきだとする意見が出たほか、非感染症の問題や、介護分野の地域システムなど、グローバル化する保健医療課題の分野でも、もっと日本がリードして資金、人材、知恵で貢献できると意見が出た。

 そのほか、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長の武内和久氏、法政大学経済学部准教授の小黒一正氏、厚生労働省医薬食品局総務課医薬品副作用被害対策室長の岡本利久氏、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課がん対策推進官の江副聡氏の4人がプレゼンテーションで自身のアイディアを説明した。



https://www.m3.com/news/iryoishin/313858?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150421&dcf_doctor=true&mc.l=98387471
「カルテで過失の有無を判断」、保険会社が答弁
産婦人科協会設立総会、「産科医療補償制度の本音が判明」

2015年4月20日(月)配信 橋本佳子(m3.com編集長)

 一般社団法人日本産婦人科協会が発足、4月18日に設立総会が開かれ、「産科医療施設のリスク管理はどうあるべきか」をテーマに、シンポジウムが企画された。同協会は、分娩を取り扱う診療所や助産所などで構成、4月18日現在の会員数は379施設に上る。  


 その席上、同協会事務局長の池下レディースチャイルドクリニック(東京都江戸川区)院長の池下久弥氏は、「産科医療補償制度の本音が判明した」と注目すべき発言をし、同制度が単に重度脳性麻痺の子供に対する補償だけでなく、責任追及の仕組みであるとの危機感を示した。

 事の発端は、池下氏が、産科医療補償制度の補償金の支払いを求め、同制度を運営している保険会社の一つである、東京海上日動火災保険株式会社を訴えた裁判。現在、控訴審中の同裁判において、東京海上は今年3月12日付の「控訴審答弁書」で、「事故の原因分析、その結果による分娩機関の過失の有無の判断のためにも、診療録および検査データ等の写しは必要なのであって、機構が補償約款によりこれらの提出を求めることには合理的な理由がある」と記載していた。池下氏が「本音」とするのは、この「過失の有無の判断」という部分だ。「機構」とは、本制度を運営する日本医療機能評価機構のこと。産科医療補償制度は、補償と原因分析報告書の作成をセットで行う。同機構は、「原因分析報告書は、医療安全の向上を目指すものであり、責任追及が目的ではない」と説明してきたが、東京海上の主張はこれと矛盾する。

 従来から池下氏は、原因分析報告書について、当事者の分娩機関が異議申し立てをできないほか、過失認定につながるなどの理由から、問題視してきた。報告書は、事実の認定にとどまらず、「誤っている」「劣っている」など、行為の妥当性を判断しているからだ(『産科医療補償制度で訴訟は増加するか』などを参照)。

 両親、原因分析報告書作成を望まず

 産科医療補償制度の補償認定は、小児神経分野の医師などが作成した「診断書」を基に行われる。診療録は、主に原因分析報告書作成時に使用される(『補償や原因分析にカルテは必要 - 日本医療機能評価機構に聞く』を参照)。

 本裁判は、池下氏自身が担当した、重度脳性麻痺で生まれた子供の補償をめぐるもの。妊婦は経産婦で、健診では異常はなかったものの、2012年8月に第38週で陣痛を覚え、午前4時ころに急きょ入院、緊急の帝王切開手術を行った。池下氏は、院内で検討し、重度脳性麻痺の原因は、常位胎盤早期剥離と判断。妊娠や分娩の経過、自院で調査した結果などを基に、診療経過に過失はなかったことを確認した上で、2013年9月に両親に産科医療補償制度と同額の3000万円を支払った。同制度は、3000万円を20年にわたり分割して支払う。子供の両親が、仮に子供が死亡しても支払いが続くことなどを避けたいと思い、一括支払いを希望したため、池下氏が肩代わりした形だ。なお、両親との間に争いはなく、女性は2014年夏にも、池下氏のクリニックで出産している。

 その後、2014年3月に、日本医療機能評価機構に対して補償を申請。「診断書」などで補償対象基準を満たしていることが明らかであるため、機構には診療録を提出しなかった。両親は、原因分析報告書は匿名化されるものの、同機構のホームページで公表されるため、それを嫌がり、作成を望まなかったからだ。その結果、補償審査がたなざらしとなった。

 そこで池下氏は2014年8月、東京海上に3000万円を直接支払うよう求めるため、東京地裁に提訴した。しかし、同年12月の東京地裁判決は、本制度に適用される保険約款には、「日本医療機能評価機構が、補償対象として認定する場合に限り、保険金を支払う」と記載されていることを指摘し、機構の認定を経ずに東京海上が支払う理由はないとして、池下氏の請求を棄却した。

 池下氏は判決を不服として控訴。池下氏の代理人弁護士の井上清成氏は、本裁判の意味について、「補償と原因分析が一体化していることが、産科医療補償制度の問題。難しい裁判とは思っていたものの、診療録がなくても補償が下りれば、この点にくさびを打つことができると考えた」と説明。「補償認定に、診療録が必要か否か」を争っていた裁判の副産物として、診療録を「過失の有無の判断」に用いる、つまり産科医療補償制度が責任追及と連動した仕組みであるという、保険会社の「本音」が出てきたとも言える。控訴審判決は5月に予定されている。

 この10月からスタートする医療事故調査制度では、「死産」も対象になる。池下氏は、本制度について、「医療事故調査制度は、産科医療補償制度を反面教師としている。産科医療補償制度を今後、どのようにして改善するかが課題」とした。井上氏も、「産科医療補償制度は、医療事故調査制度に倣い、見直すべき」と指摘した。


 産科医療補償制度、大綱案の「古いスキーム」

 日本産婦人科協会の会長には、大川産婦人科医院(東京都日野市)院長の大川豊氏が就任。紛争に巻き込まれた施設への支援や、産科医療をめぐる制度改正への提言などを行っていく方針。前身は、任意団体として1997年に発足した産科中小施設研究会で、出産育児一時金直接支払制度の導入撤回などの活動を展開してきた(社保審で8月末までに結論、出産育児一時金等直接支払制度』などを参照)。

 シンポジウムでは、池下氏と井上氏が言及したように、産科医療補償制度の問題点のほか、医療事故調査制度に対し、分娩施設がどのように対応すべきかが問題になった。

 井上氏は、「医療事故調査制度は、古いスキームで作られた産科医療補償制度と比べれば、いい制度になっている」と見る。「古いスキーム」とは、前自民党政権時代の2008年6月にまとめられた医療事故調査制度に関する「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」のスキームだ。産科医療補償制度のスタートは2009年1月であり、「両制度は同じようなメンバーが議論し、作成した」(井上氏)。

 10月からの医療事故調査制度は、「大綱案」と異なり、(1)第三者機関の調査ではなく、院内調査が基本、(2)調査結果を行政等に通知する仕組みがない、(3)原因究明ではなく、再発防止のための調査という意味合いが強い――などの相違があると、井上氏は説明。「産科医療補償制度は、無過失補償を口実にして、何もかも調査しようとしている。原因分析報告書は、当事者の意見を聞かずに作成され、子供の家族側に交付される。表面的には訴訟が増えていないと言うが、報告書を基に、水面下で損害賠償請求が行われている」(井上氏)。医療事故調査制度に倣い、産科医療補償制度を見直すべきとするゆえんだ。

 自然死産は報告の対象外

 シンポジウムでは、医療事故調査制度への対応が議論された。特に問題になったのは、第三者機関である医療事故調査・支援センターに報告する医療事故の定義だ。

 報告すべき医療事故は、法律上、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産であって、当該管理者が当該死亡・死産を予期しなかったもの」と定義されている。

 まず問題になるのが「死産」。厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」では、自然死産も含まれるか否かが議論になった。同検討会に参考人として出席した池下氏は、「胎児因子から母体合併症まで、自然死産は約1%存在する。これらは全て医療行為中のものであっても、予期していたものと認めることができる」との解釈を示した。

 また井上氏は、「妊婦健診は医療ではなく、健診中の自然死産は報告しない」とした上で、「健診で異常が見つかり、何らかの医療行為が行われ、その行為により死産に至れば、報告対象にはなり得る」と説明。

 死産の説明、妊婦のストレスに

 厚労省は、「予期しなかった」に該当するのは、「死産を予期していることを説明していた」など、3条件に該当しない場合と定義する方針。自然死産などをどのように妊婦に説明するかについても、議論になった。池下氏は、自院では妊婦への同意書に、「自然死産は、100人中約1人、母体死亡は2万人に約1人あります」と記載している。しかし、厚労省は統計的データではなく、当該妊婦等の個別ケースについての説明を前提とする方針。

 日本産婦人科協会副会長で、池川クリニック(神奈川県横浜市)院長の池川明氏からは、「自然死産には、妊婦のストレスも影響していると考えている。妊婦に安心・安全を与えるための医療と、医師を守るための医療が相反する。妊婦に自然死産や母体死亡のリスクなど厳しいことを言えば、医師は身を守れるが、妊婦のストレスになる。自然死産について、どう説明するかは悩ましい問題」と、現場の苦悩を語った。

 井上氏は、「3条件」の中に、口頭で説明しなくても、診療録等への記載があれば、「予期していた」と認められるとされているとし、状況に応じて医師が判断し、対応するよう提案した。



http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20150421176327.html
医師確保へ、規制緩和が必要
新潟など3県知事 厚労省に要望書

2015/04/21 09:28 新潟日報

 泉田裕彦知事は20日、埼玉、群馬の両県知事と厚生労働省を訪れ、医師不足の解消に向け、医師養成に関する規制緩和などを求めて永岡桂子厚労副大臣に要望書を手渡した。

 要望したのは泉田知事のほか、埼玉県の上田清司知事と群馬県の大沢正明知事。昨年11月の3県知事会議で議論された共通の課題について、連名で要望した。

 要望書では、医学部の大幅な定員増に向けた規制緩和のほか、医師を養成する際の人員配置や財政支援の拡充を盛り込んだ。

 また、医師の地域偏在や、医師が特定の診療科に偏っている現状を解消するために、実効性のある対策を講じることを求めた。

 要望は冒頭以外、非公開。終了後、泉田知事は「地方は医師が不足しているので、知恵を出して対応してほしいと念押しした。医師数が過剰なエリアに、さらに集中することがないよう国全体で対応を考えてほしい」と話した。



http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/314474/?category=report
棄損された双葉病院の名誉、いまだ回復せず
裁判所が和解勧告、福島県に対応を求める

2015年4月21日 橋本佳子(m3.com編集長)

 双葉病院(福島県大熊町)などを経営する医療法人博文会が、福島県を訴え、謝罪広告の掲載などを求めた名誉棄損裁判で4月21日、口頭弁論が開かれ、福島地裁(金澤秀樹裁判長)は和解を勧告した。今後、和解に向けた協議が進められる。

 裁判所との話し合い後、取材に応じた博文会の代理人を務める喜田村洋一弁護士は、「裁判所は、双葉病院の名誉は回復されているとは思っておらず、何らかの手段を取ることはできないか、と福島県に検討を求めている」と説明。また和解勧告が出たことについて、喜田村氏は「妥当」と答えた。本裁判は、県が判決で求められ、謝罪するのではなく、県が自ら非を認め、謝罪するのが筋と考えるからだ。

 博文会が提訴したのは、東日本大震災から3年目に当たる2014年3月11日(『「謝罪広告」と説明求め、福島県を提訴』を参照)。双葉病院は、福島第一原発から約4.5kmの場所にある。原発事故直後、行政をはじめ各方面に患者救出への協力を依頼したものの、対応が後回しにされ、患者救出が遅れた結果、2011年3月18日、「双葉病院が、患者を置き去りにした。患者の搬送に付き添わなかった」などと、事実とは異なる“バッシング”報道が全国紙などに掲載された。博文会は、一連の報道は、前日3月17日夜の福島県の広報によるものと見ており、名誉回復のため、謝罪を求めるのが提訴の目的だ。

 具体的には、謝罪広告を、福島民友新聞、福島民報新聞、河北新聞、読売新聞(全国版)、朝日新聞(全国版)、毎日新聞(全国版)に各1回、福島県のサイトに、謝罪記事を1年間掲載することを求めている。金銭的な賠償は請求していない。

 21日の口頭弁論では、同会理事長の鈴木市郎氏への本人尋問も行われた。鈴木氏は原発事故直後の2011年3月12日から16日までの患者救出の様子を鮮明に説明。また3月17日の前日16日に、福島県の担当者から電話を受け、患者救出の状況を説明したとし、その情報が広報した担当者に伝わらなかったことを示唆した。3月18日に全国紙やテレビで報道された内容については、「(当時、一般市民は)放射能汚染が東京まで広がることを懸念して、(原発事故の状況を新聞やテレビなどで)固唾を飲んで観ていた時に、『患者を置いて、医師が逃げた』という報道は、強烈なインパクトを持って伝わったと思う。悪名高い病院として全国に知れ渡った。『医療施設として失格』と思われただろう」と、当時の心境を苦しい吐露した。

 その後、さまざまな形で福島県に対して働きかけ、「文書」、つまり形の残る方法での謝罪を求めたものの、県は応じず、いまだ名誉が回復されていないと訴えた。「記者を集めて、(3月17日の)発表を行ったのだから、記者を集めて、謝罪発表をしてもらいたい」(鈴木氏)。名誉棄損裁判では通常、慰謝料を求めるが、鈴木氏は求めていない。その理由について、鈴木氏は、「福島県民の皆が再建に向けて頑張っている中で、県民の税金を、(慰謝料に充てることで私的に)使うわけにはいかない」と説明した。


 本裁判で証人尋問は初

 4月21日は、第7回期日で、過去6回は書面などのやり取りが続き、証人尋問はこの日が最初だ。午前10時30分から始まった裁判は、喜田村弁護士による主尋問が30分強、福島県側の反対尋問が約15分、裁判官による尋問が約15分それぞれ行われ、最後に和解が勧告された。

 訴状によると、3月17日に県が広報したのは、「双葉病院内には、病院関係者が一人も残っておらず、自力で歩くことのできない重篤な患者だけが残されていた。直ちに自衛隊が双葉病院に救出に向かったが、双葉病院に病院関係者が一人も残っていなかったため、患者の状態等が一切分からないまま救出せざるを得ず、また寝たきり老人等の重篤な患者であったため、困難な状況での搬出となった。介護の人手が不足していたことなどもあり、3月17日現在、双葉病院の患者のうち14人が死亡している」という内容だ。

 この「双葉病院の院長や職員が、患者を置き去りにして、避難した」と受け取れる広報を受け、翌日の全国紙には「患者搬送に付き添わず」「福島・双葉病院患者だけ残される」などの見出しで報じられた。

 訴状では、主に二つの点で、福島県の広報内容が事実と異なると指摘していた。一つは、自衛隊が病院に到着した際、双葉病院には、鈴木氏をはじめ、職員ら計6人が残っていた点だ。もう一つは、「ただちに自衛隊が救出した」という点。双葉病院と同様に、福島第一原発から半径5km以内にある双葉厚生病院や福島県立大野病院では、3月13日の夕方頃までには患者救出が終了していた。これに対し、双葉病院の患者の自衛隊による救出活動が開始されたのは、14日の午前10時頃からで、終了したのは16日の未明だ(避難の経過などは、『“双葉病院事件”の真相、当事者医師、語る』を参照)。

 県の発表の前日、鈴木氏は県担当者と話す

 鈴木氏らの訴えに対し、福島県は過去6回の裁判で、(1)県の鈴木氏らの名誉穀損行為には悪質性がない、(2)鈴木氏らの名誉穀損の損害は回復されているため、名誉回復の必要性がない――の2点を主張していた。

 21日の本人尋問では、喜田村氏が鈴木氏への質問を通じて、患者救出の経過を明らかにしつつ、主に質問したのは、これら2点に関連する点だ。双葉病院の問題は、2012年7月に最終報告をまとめた、政府の「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」、いわゆる「政府事故調」でも取り上げられた。関連する部分を証拠として提出しており、喜田村氏はそれを引用しながら進めた。

 まず(1)の点について。福島県が3月17日の広報した際の担当者は、「福島県災害対策本部救援班」の班長。鈴木氏の発言で注目されたのは、その前日の3月16日に同班の副班長から電話があり、避難の経過を詳しく話したとした点だ。鈴木氏は、「2時間くらい話した」としたものの、「はっきりした時間は覚えていない」としたが、短時間ではなく、「避難の内容については理解してもらった」と述べた。喜田村氏が電話での印象について、「双葉病院のスタッフが、患者を避難させるために全力を尽くしたことを、県は理解してくれた、と思ったのですね」と尋ねると、鈴木氏は「はい」と答えた。

 しかし、結局、班長と副班長がその後、話し合う機会はなく、17日の広報に至り、報道へとつながった。その内容について鈴木氏は、「前日に、副班長と話していたので、びっくりした。このような内容が出てくるとは全く分からなかった。副班長に電話をかけ、『この内容は何だ。どうしてこのような内容になったのか。責任を取ってくれ』といった話をした」などと説明。これに対する副班長の答えは、「しどろもどろな感じで、私の質問に対する答えはなかった」(鈴木氏)。

 “政府事故調”、県の対応を問題視

 福島県は、鈴木氏の名誉が既に回復している根拠として、「政府事故調」などで、この問題が取られていることを挙げる。

 喜田村氏は、福島県の主張について、「県の広報による双葉病院の損害は、もうなくなっているのか」と尋ねると、鈴木氏は、幾つかのエピソードを交え、いまだ名誉が回復されていないとした。例えば、福島県医師会に対しては、鈴木氏の除名を求める声が寄せられたという。明確な時期は示されなかったが、震災から1年経った頃とした。また2014年5月21日号の『朝鮮日報』に掲載された、「入院患者を放置して、全員逃亡」という記事も、証拠として提出されている。

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「政府事故調」の最終報告書の抜粋
「広報内容は、そのような事実に反し、あたかも14日以降病院関係者が一切救出に立ち会わず、病院を放棄して立ち去っていたような印象を与える不正確又は不適切な内容と言わざるを得ないものであった。これは、前記事実が県災対本部内で共有されていなかったことなど、救援班が十分な状況の把握をしていなかったことによるものと考えられる。

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 さらに、鈴木氏は、「福島県からは、これまで明確な謝罪はない」と述べ、県に対し、何度も質問書などを送付し、文書での謝罪を求めた経緯を説明。一時は県議会議員に依頼し、議会で質問してもらうことを検討したが、「どんな圧力がかかったかは不明だが、結局、質問ができなかった」(鈴木氏)。その後も県に謝罪を働きかけたところ、「文書ではなく、口頭でするから、県に来てほしい」と言われたという。結局、埒が明かず、調停という手段を取ったものの、それでも不成立で、裁判に踏み切ったとした。

 鈴木氏への主尋問の後、反対尋問で福島県の代理人は、双葉病院の患者救出の経過と、鈴木氏が「名誉が回復されていない」とするエピソードの内容について確認。裁判官は、県の副班長とのやり取りなどについて事実確認をし、本人尋問は終了した。



http://www.m3.com/news/iryoishin/314459
「社会医学系の専門医設立を」関係学会が検討
5学会と保健所長会・衛生部長会、6月に提言へ

2015年4月21日(火)配信成相通子(m3.com編集部)

 2017年度から新専門医制度が始まるを踏まえ、社会医学系の5つの学会と日本保健所長会、全国衛生部長会が合同で「社会医学系専門医(仮)」創設に向けて話し合う検討会が4月20日、開催され、関連学会と団体で連携して専門医制度を作る方針で一致した。今後、6月に提言を公表し、日本専門医機構と協議して制度上の取り扱いを決めるとしている。

 日本衛生学会、日本産業衛生学会、日本疫学会、日本公衆衛学会、日本医療・病院管理学会の5学会のほか、日本保健所長会、全国衛生部長会が集まった。19の臨床系の基本領域を柱とする新専門医制度が始まり、臨床系に若手が流れることで、社会医学系の医師の成り手が減ってしまうとの危機感がきっかけになり、検討会が実現した。

 日本公衆衛生学会担当理事で日本医療・病院管理学会担当理事の今中雄一氏(京都大学医療経済学分野教授)は「新専門医制度と同時にスタートしたい」と話し、今後、急ピッチで具体的な研修内容や制度設計を検討する。


 今中氏は「地域包括ケアシステムや地域医療構想を進める中でも、社会医学系の医師が頑張らなければならない」と指摘。「社会学系の医師の能力は見えにくい。コンピーテンシーの体系を分かりやすくして、人材育成の仕組みも見えるようにしなければならない」と述べ、成り手の確保のほかに、社会医学系の医師の技術の指標を作り、質を確保するためにも、専門医制度による資格を作ることが望ましいとした。

 全国衛生部長会副会長の坂元昇氏(川崎市健康福祉局医務監)は「個々人を診る臨床系の医師も重要だが、集団を診て医学の知識で政策立案や制度設計を行う医師の重要性も、ますます高まっている」と述べ、厚生労働省とも協議しながら、行政分野の医師確保も考慮して進めたいとした。

 2017年度に始まる新専門医制度には、社会医学系をカバーする専門医はない。「社会医学系専門医(仮)」がこれまでに創設が決まった19の基本領域の専門医に新たに加わる形になるのか、別の制度になるのかは、今後、日本専門医機構と話し合って決めたいとしている。

 「社会医学系専門医(仮)」は、社会医学系の共通基盤とサブスペシャリティの二階建てを想定しており、社会医学系の専門医としての共通スキルのほかに、産業医などのサブスペシャリティの資格の創設を目指す。共通基盤となるスキルとしては、疫学、統計学、環境保健、行動学、医療管理・政策など、米欧の公衆衛生大学院の必須科目になるスキルのほか、コミュニケーション能力、プロジェクト・マネジメント能力なども挙がった。

 参加する5学会の中では、日本産業衛生学会が唯一、労働衛生を専門とする産業医の専門医制度を実施している。また産業医として働くためには、日本医師会の認定を受けるなど、幾つかの道があるが、社会医学専門医(仮)の取得を要件とはしないとしている。

社会医学系の医師の活躍がわかりづらい

 現在、日本で公衆衛生の大学院は9つあり、公衆衛生を修士課程のコースに取り込んでいる大学院が11と、合計で20以上の大学院で公衆衛生を学ぶことができるという。今後も公衆衛生を取り扱う大学院のコースは増える見込みで、学生からのニーズは少なくないとしている。

 しかし、「行政でも、全国に490ある保健所の10%で所長が決まらず、医師資格がある行政職員は全く充足していない状況」(坂元氏)。原因として、社会医学系では、産業医以外の明確な資格はなく、「何をしているかが分からない」ために成り手が少ない傾向にあったという。

 一方で、公衆衛生の知識を使った政策立案や国民全体の健康状態の把握・指導ができる医師は今後ますます重要になるとみられ、「既に活躍していても知られていない人が多い。ロールモデルを作って、キャリアパスを明確にすべきだ」と今中氏は指摘し、専門医制度として資格を認定することで、若手の医師にアピールできるとした。

 また、坂元氏は、群馬大学医学部附属病院の腹腔鏡手術の事案や聖マリアンナ医科大学病院での精神保健指定医の不正資格問題に触れ、「ガバナンスの観点でも、臨床医だけでなく社会医学系の医師の視点が重要だ」と話し、医学界としても社会医学の重要性について認識を高めるべきだとした。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20150420-OYT1T50125.html
市民病院で源泉徴収漏れ、市が300万円負担
2015年04月21日 11時53分 読売新聞

 三重県の松阪市民病院(松阪市)は20日、医師や看護師らの宿日直手当の一部を誤って非課税とするなど、2010年4月~15年2月に計約2340万円の源泉徴収漏れがあったと発表した。


 松阪税務署の税務調査で判明。同病院は今後、徴収不足分を立て替えたうえで、対象者から同額の返還を求めるが、不納付加算税と延滞税計約300万円は市の負担になるという。

 発表によると、同病院は2次救急医療体制の当番日の宿日直手当のうち4000円分を非課税としてきたが、同税務署から「課税対象になる」として、医師や看護師ら136人分計約330万円の徴収漏れを指摘されたという。

 また、非常勤医師1人の給与についても、法人向けと誤認して源泉徴収していなかったとして、約2010万円の追加徴収を求められた。同病院は「担当者が源泉徴収制度の研修会に参加するなど、再発防止に努めたい」としている。



http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/314479/?category=report
財務省が四病協の調査を評価、消費税問題
日医の消費税負担の検討会開催

2015年4月21日 池田宏之(m3.com編集部)

 日本医師会は4月21日、財務省と厚生労働省の官僚も交えた、医療機関の控除対象外消費税の負担の“見える化”を議論する「医療機関等の消費税問題 に関する検討会」の第2回会議を開いた。日医などは、現状の補填分について、診療報酬における上乗せ分について精査すれば良いとの認識を示したものの、財務省側は、初診料など細目まで精査して示す必要性を指摘し、委員として出席した日医の今村聡副会長は「隔たりがあった」とした。一方で、財務省の担当者は、四病協などの示した病院補填分のデータについて、一定の評価を示す場面もあった。

 この日の会議は非公開だったが、今村副会長が終了後に取材に応じた。会議では、”見える化”に向けた論点の資料が提出された。日医は、1989年、2007年、2014年の消費税導入および税率引き上げ時に、診療報酬改定で上乗せされた分など、診療報酬本体における補填分によって、医療機関の負担を”見える化”したい考え。これに対して財務省は、「個々の診療行為に係る標準的課税仕入れ額の確定方法」の算出が必要との立場で、初診料や入院料といった細目の中で、補填分を見るべきとの考えを示しているという。

 四病院団体協議会と日本病院団体協議会などは、2014年に消費税率が5%から8%に引き上げられた時点での影響について資料を提示(『消費増税、全病院で344億円の負担増』を参照)。四病協と日病協の調査では、400床以上の病院で補填率の中央値が70.5%にとどまり、大病院ほど補填率が低くなる傾向にあることを説明した。さらに、調査対象の303病院から推計して、全国8540病院で、総額344億円の不足の可能性を示唆している。財務省の担当者は、「調査方法はフェア」との認識を示したといい、医療界として補填額を示すことに向けて、一定の前進があった。ただ、前回の改定においては、個別の病院団体などが出した消費税負担の資料が、オーソライズされたものと認識されなかった経緯があり、今村副会長は、医療界としてまとまった意見を出す重要性を強調した。

 さらに財務省の担当者は、課税転換した場合、「国民の理解を得るのが大事」と指摘したという。理解を得るために努力する主体について、今村副会長は、「医療界や厚労省ではないか」とした。今回の会議に、財務省主計局の担当者が出席している点については、「税制上の解決を求める動きがある中で、よく踏み込んできている」と評価し、厚労省保険局で決定できる診療報酬の問題を超えて、会議に出席していることを評価した。


  1. 2015/04/22(水) 05:33:50|
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