Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

4月18日 

http://www.yomiuri.co.jp/local/ibaraki/news/20150418-OYTNT50367.html
新研修医に支援制度説明…県が医師不足解消へ
2015年04月19日 茨城

 県は17日、4月に県内の病院へ赴任した新初期研修医約150人を対象に合同研修会を開き、県の医療体制や若手医師向けの支援制度について説明した。昨年に続く2回目の開催で、県内の医師不足解消につなげることが狙い。

 県の医師数は2012年12月現在で5172人と全国15位だったが、人口10万人あたりでは175・7人で同46位と低迷している。

 現在の臨床研修制度では、医学部を卒業した学生が希望した研修先で2年間の初期研修を受け、その後後期研修に入る。昨年度は県内で初期研修を修了した100人のうち、引き続き県内で後期研修を受ける人は68人にとどまる。県は研修支援制度を説明したり研修医同士の交流会を開いたりし、多くの医師に後期研修も県内で行ってもらいたい考えだ。

 この日は県の担当者が県内の医療圏や救急医療体制について説明したほか、若手向けの講義日程やキャリアを積んでから参加できる派遣事業を紹介。筑波大卒で水戸協同病院の奥脇駿さん(24)は「自分に合った研修を選んで参加したい。つくば市出身で中学からラグビーをしていたので、スポーツ医療に関わりながら将来も地元で働ければ」と話した。



http://apital.asahi.com/article/local/2015041900010.html
公立病院改革、課題は財政面 医療再編、事業転換も
新潟

2015年4月19日 朝日新聞

 住み慣れた地域で安心して暮らしていける態勢を整えるために、介護施設や医療機関の再編が本格化するとみられる2015年度。県内では、公立病院が重要な役割を担う。一方で、採算性の悪い地域で医療を担う公立病院も多く、財政面などで課題もある。

 人口は1960年の約9万1千人から2015年には約6万5千人に減少。常勤医の数は06年の35人から今は6人。市からの財政支援はここ数年、10億円超が続き、市の財政調整基金の残高は13年度で約162万円に——。

 東京から特急で2時間弱の所にある千葉県銚子市。3月に開かれた「地域医療シンポジウム〜これからの地域医療と公立病院のあり方を考える」(銚子市主催、政策シンクタンク「構想日本」協力)では、市立病院をめぐる厳しい数字が並んだ。

 同病院の前身の市立総合病院は医師不足や市の財政悪化から08年にいったん診療を休止し、全国的にも「医療崩壊」の先例として話題となった。10年に公設民営方式の市立病院として再開したが、医師不足も財政赤字も改善にはほど遠いのが現状だ。

 そんな中、市の高齢化率は今で32%、遠くない将来には、40%を突破すると予想される。越川信一市長は「市立病院には、医療、保健、福祉をつなぎながら市民の生活を支える地域包括ケアの役割が求められている」と話す。

 地元医師会長や市立病院長らが参加したシンポでは、地域包括ケアの実現の難しさが浮き彫りになった。市民からは「365日の夜間救急の対応」を求める声があがる。だが、市立病院は医師が確保できずに、昨年は1週間に4回できた夜間救急対応が、3月からは2回に減った。地元医師会は、所属の開業医の平均年齢は65歳で「70歳の医師を夜中働かせるのは難しい」という。

 少子高齢化と人口減少が同時に進む中、全国各地で同様の事態になることが心配される。それを避けるためにも、公立病院を所管する総務省は07年から公立病院改革ガイドラインを策定し、改革を進めてきた。今年3月末には新ガイドラインを作り、地方自治体にさらなる改革を求めている。

 新ガイドラインでは、15年度から各都道府県で策定が始まる地域医療構想を踏まえて、「公立病院の役割を従来にも増して精査する」ことを自治体に求める。20年度までに公立病院事業が経常黒字化する目標を定めるべきだとし、過去3年間連続して病院のベッドの稼働率が70%未満の病院に対しては抜本的な見直しを求める。地域によっては、介護や福祉サービスの需要が高まる中で、病院事業からの転換も含めて見直しを検討すべきだとする。

 新潟県内では、131カ所の病院のうち県立と市町村立が計27カ所(14年4月1日現在)ある。県立病院事業の13年度の決算は、純損益が8億100万円の赤字。赤字は4年ぶりだった。6月の魚沼基幹病院の開院に伴い、県立小出と六日町の両病院が地元の市へ移譲されることから、患者数が減少し、収益は減少。一方で、近年は抗がん剤などの高額な薬の使用が多くなり、病院の支出が増えていることなどの影響が大きいという。

 高いほど黒字に近い医業収支比率は、12年度で88・3%で、全国の89・9%よりもやや赤字傾向だ。

 また、ベッドの稼働率も県立病院全体で、09年度は83・8%だったが、減少傾向が続き、13年度には75・2%だ。同年度では、津川(56・9%)、精神医療センター(60・1%)、加茂(61・1%)、吉田(63・8%)、六日町(65・2%)、小出(67・0%)の各病院で70%を下回った。

 県病院局の担当者は「人口減少で患者数は減っている。それを踏まえて、地域医療構想で定められる県立病院の役割を果たせるように、経営改善を進めていきたい」と話す。

 (松浦祐子)
(朝日新聞 2015年4月18日掲載)



http://www.m3.com/open/iryoIshin/article/313630/?category=special
医療変革の必要性、「医療者は自覚しているのか」
2014年診療報酬、2015年介護報酬の両改定担当課長が登壇

2015年4月19日 橋本佳子(m3.com編集長)

 第29回日本医学会総会の学術講演の3日目、4月13日に開かれた「日本の医療・介護制度を考える—2014年診療報酬改定と2015年介護保険改定を受けて—」で、2014年改定を厚生労働省保険局医療課長の立場で担当した宇都宮啓氏(現国立国際医療研究センター国際医療協力局長)と、2015年改定を担当した厚労省保険局老人保健課長の迫井正深氏の両氏がそろって講演した。

 座長を務めた京都府医師会副会長の安達秀樹氏は、「2025年に向けて大きく変わっていく医療と、必要性が高まる介護についての今後の方向性を見定めるセッション」と趣旨を説明。この言葉を受けるように、宇都宮氏と迫井氏からは、現状に対する厳しい認識と、医療・介護従事者に、時代の変化に呼応して「変革」を迫る発言が異口同音に呈せられた。

 宇都宮氏は、「人口の高齢化に伴い、医療も変わる。この点を本当に医療提供側が自覚して、提供体制を構築しているのか、疑問を感じざるを得ない」と手厳しく指摘。高齢患者の特性を踏まえ、「治す」医療も大切だが、「支える」「看取る」医療も考え、それに伴い医療提供体制も変化することが求められるとした。2014年度改定では、7対1入院基本料のハードルを上げるほか、大病院外来の抑制策を講じるなど、入院と外来ともに機能分化を今まで以上に推進する方針が打ち出されたが、その背景にはこうした問題意識があった。

 さらに今後の方向性について、宇都宮氏は、「診療報酬と補助金(地域医療介護総合確保基金)を車の両輪として提供体制を整えていくことになる」とし、この4月から始まった地域医療構想の策定については、「各地域が自分の頭で考えて、どんな提供体制にするかを考えていかなければいけない」と述べ、「俺が、俺が、ではなく、私の役割はこれ、あなたの役割はこれ」という言葉で形容し、地域のニーズに見合った提供体制の構築に期待を込めた。地域医療構想は医療計画の一部であり、同計画と介護保険事業計画が同時改定となる2018年度が一つの節目になるとした。

 今春に介護報酬改定を終えたばかりの迫井氏は、今改定の柱について講演した。「どんな人を重点的に支えていくのか」という視点から、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の充実が第一の課題だったと説明。そのほか、介護人材の確保対策、制度の持続可能性という観点から、サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築にも取り組んだとした。特に第一の点について、「今改定は全体ではマイナスだったが、質の高いサービスを提供している事業者に影響が及ぶのは避けるため、最低基準よりも多くの人を配置しているところを限られた財源の中で評価した」と説明、理解を求めた。「最低の人員基準で、中重度の要介護者を見ずに、『楽をして利益を上げる』という事業者は、考え方を変えてくださいということ」(迫井氏)。

 迫井氏が高齢者の特性を踏まえて「変化」を求めた一つが、リハビリテーションだ。医療では心身機能の訓練に偏りがちだが、介護では生活の視点に置いたリハビリが求められるとし、両者の視点には相違があるとした。今改定では、日常生活ができるよう「活動」を促し、地域のさまざまな活動に「参加」するためのリハビリの実施とそのマネジメントを評価したという。


 2人の講演の後、医療提供者の立場から3人が登壇。地域医療機能推進機構の東京山手メディカルセンター院長の万代恭嗣氏、日本臨床内科医会常任理事の清水恵一郎氏、日本看護協会常任理事の福井トシ子氏だ。

 万代氏は、2014年度改定について、強く印象に残るのは、7対1入院基本料の算定要件の厳格化であるとし、「なんちゃって7対1は退場しろ」というメッセージと受け取ったという。ただし、2014年3月時点で約38万床だった7対1入院基本料の病床から他の病床に移行したのは、10月時点で2.8万床にとどまる。各種の経過措置があり、この数値の評価は難しいとしたものの、周囲には「一気に変えると、運営が立ち行かなくなる恐れがある」と見る向きが少なくないという。今後については、「全体のトレンドとしてかなり厳しい改定率になっていくだろう。どのように将来の医療体制を考えるか、バランスの難しい舵取りを迫られている」(万代氏)。

 清水氏は、診療所の立場から、2014年度改定のポイントは、「主治医機能の評価」「在宅医療」「医療連携」であると指摘。特に主治医機能を評価した「地域包括診療料」「地域包括加算」の新設は評価できるものの、同診療料は常勤3人が必要であるなど、算定要件は厳しいと問題視。「在宅医療」については、高齢の患者が増えることから、「外来に来ることができない患者が増加する」と指摘。医療モデルではなく生活モデルへの転換が求められ、地域包括ケアシステムの構築には、診療所医師がキーパーソンとなり、多職種共同で取り組むことが必要だとした。

 福井氏が重点を置いて話したのは、2014年度改定で新設された地域包括ケア病棟と、在宅復帰に向けた退院調整だ。看護の立場から見ると退院調整には、(1)退院調整に係る連携不足、(2)退院調整部門の設置不足や退院調整時期の遅れ、(3)退院調整の実効性に係る課題——などがあり、今後、平均在院日数の短縮や自宅退院の促進、在宅医療の推進のためにも、退院調整の機能を強化していく必要があるとした。

 5人の講演の後のディスカッションでは、静岡県の医師から、同県の高齢者の医療費は全国平均の約8割にとどまり、医療介護のスタッフが少ない中で奪い合いも生じていると、現場の苦労も吐露された。

 これに対し、宇都宮氏は「静岡において、医師が少なくても健康指標が優れているのは、医療者に頼らずできることがあるからではないか」とし、医療課長の前は、迫井氏のポジションである老人保健課長だった経験を踏まえ、「医療と介護の担当課長をやって感じたのは、日本においては保険制度が発達しており、逆に頼りすぎているのではないかということ。生活を分断しない医療が必要であり、本来は自助や互助があり、それによって対応しきれない部分を専門職がサポートしていく体制を、高齢社会の中では考えていく必要があるのではないか」との考えを述べた。

 安達氏は、「今後、地域包括ケアシステムの構築がキーワードになる。医療が介護を理解するパラダイムシフトが求められるとともに、介護側も医療のことを最低限理解することが必要。厚労省には医療介護連携政策課が立ち上がったが、どう機能していくかについても大変注目される」と述べ、企画を締めくくった。

 少子高齢化、3つの課題

 宇都宮氏は講演で、「我が国の少子高齢化の課題」として挙げたのが、「医療が変わる」「地域の重要性が増す」のほか、財政の問題という、3つのキーワードだ。
 特に強調したのが、高齢者の特性を踏まえ、「医療が変わる」必要性だ。「本当に認識して変わっていかないと、医療として、財政として、そして日本として適切な方向に行かないという危機感がある」と指摘。高齢化に伴い複数の慢性疾患を持つ高齢者が増加する上に、代謝能力が低下することから、「これまで医療がターゲットとしてきた層と同じだけの医療を高齢者に提供していたら、医療が過剰になる可能性がある」とし、「治す」だけなく、「支える」視点を持つことが必要だとした。さらに、「地域」については、特に都市部で団塊の世代を今後、支えていかなければならない中での医療・介護の在り方、「財政」の関連では、8割が病院で死亡する時代からの変革を求め、地域包括ケアシステムを構築していくことが求められるとした。

 2014年度改定については、(1)社会保障・税一体改革の推進、(2)実績に応じた評価(アウトカム評価)、(3)データ収集(エビデンスに基づく評価に向けて)——の3つが柱だったと説明。一体改革の推進に向け、強調したのが、「地域包括ケアシステム構築」の必要性だ。「患者が自宅に帰って生活できるよう戻すのが、本来の姿。しかし、今の医療はそれができているのか、疑問に感じる。生活が分断されているのではないか」と問いかける宇都宮氏は、「介護側から見ると、医療は敷居が高いが、医療側はそれを自覚していない。このままでは連携が進まないのではないかと思う。介護にも手を出す。その上で、介護との連携を考えてもらいたい」というメッセージを、改定に込めたという。

 今後の方向性として、診療報酬と補助金を(地域医療介護総合確保基金)の車の両輪として、医療提供体制を整えていくとし、各地域で考え、ニーズに見合った提供体制を整えていくことを求めた。



http://www.nikkei.com/article/DGXMZO85866700Y5A410C1SHB000/
存在感増す家庭医・総合医 心も含め全身の症状を診療
「資源を生かす」(4)

2015/4/19 2:00日本経済新聞 電子版

 年齢や性別、臓器に関係なく全身の健康問題に対応できる家庭医・総合医が存在感を増している。臓器別の専門分化が進み、複数の疾患を持つ高齢者の増加に対応できない事情が背景にある。

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 Q 家庭医・総合医とは。

 A 幅広い臨床能力を修め、多様な症状の患者を診る医師のことだ。患者の訴えや検査結果、治療歴などを踏まえ、体だけでなく精神面を含めた全人的なケアをする。

 日本の医師教育は臓器別の専門医養成が主体だったため、総合的な診療ができる医師は少ない。欧州の一部やカナダなどでは医師の約半数が家庭医・総合医で、日常の病気や健康問題の約8割に対応している。不必要な検査や治療が少なくなり、無駄なコストを省く効果が報告されている。

 Q 国内で養成する動きはあるのか。

 A 亀田総合病院(千葉県鴨川市)、恵寿総合病院(石川県七尾市)など独自の取り組みが各地にある。2013年には厚生労働省の検討会が「総合的な診療能力を有する医師」を専門医の19番目の基本領域とすることを決めた。専門医制度の見直しを進める第三者機関の日本専門医機構が現在、プログラムをつくっており、20年度には新制度に基づく研修を受けた総合診療医が誕生する。

 Q 課題は何か。

 A 認知度の向上だ。国民が家庭医を受診するメリットを理解し大病院志向を改めるよう啓発する必要がある。臓器別専門医との連携も課題。1990年代から各地の総合病院が総合診療部門をつくったが、専門診療科の理解が得られないケースもある。家庭医・総合医らでつくる日本プライマリ・ケア連合学会の丸山泉理事長は「臓器別専門医と互角に渡り合い、鍛え合うレベルの高い医師を育てたい」と話している。



http://www.m3.com/news/iryoishin/313657
「一番大変なのは学会と病院」、外科新専門医
日本外科学会定期学術集会、更新開始は2016年度から

2015年4月18日(土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 4月17日の第115回日本外科学会定期学術集会で、外科学会専門医制度委員長の北川雄光氏(慶応義塾大一般・消化器外科教授)は「新専門医制度で一番大変なのは学会と病院」と話し、制度見直しによって多くのメリットが生まれる一方で、新たな負担が生じるとの見通しを示した。「日本専門医機構と新・外科専門医制度の概要—プログラム整備基準と更新・移行手続きについて—」と題したセッションで、今月公表された「外科専門研修プログラム整備基準について」の説明と、会場からの質疑応答が行われた。

 新専門医制度については、4月12日の日本医学会総会でも概要や更新基準等の説明がされている(『専門医更新、2学会は2015年度から新基準』を参照)。北川氏は外科専門医の歴史と日本専門医機構の成り立ちに触れた上で、当面は両者が協力して研修プログラム整備基準や専門医更新要件の策定を行っていくと理解を求めた。新制度は2017年度から専門研修を開始する医師が対象だが、それに先行して2016年度から新たな基準による専門医の更新が始まる。

外科専門医→内科サブスぺの道も?

 今後の外科専門医のキャリアパスとして、(1)外科専門医+サブスぺシャリティ専門医を維持、(2)外科専門医取得後、内科系サブスぺシャリティへ移行、(3)外科専門医取得後、総合診療専門医へ移行——の3パターンを例示。(2)と(3)については未定と説明したが、(2)については現在もメスを置いた外科医が関連する内科分野のサブスぺシャリティに移行することは多く、関心が高いという。前日に開催されたシンポジウム「若手外科医から見た新しい専門医制度」では、司会を務めた北川氏が日本専門医機構理事長の池田康夫氏に対し、基盤領域をまたぐサブスぺシャリティの取得が可能かどうかを質問。池田氏は「柔軟に考える。一定の高い研修等を経るなど(して取得できる)の仕組みを考えることもできる」と答えている。

 また、北川氏は管理職になるなどして執刀数が基準を満たさなくなったとしても、外科診療にかかわっていれば、外科専門医を維持できる仕組みが必要との考えを示し、4回目の更新時(20年目)には、希望すればNCD登録症例の申請を免除できるようになるとした。2007年まであった外科認定登録医制度については、日本専門医機構が専門医以外の名称を使用しないとしていることから、どのような位置付けになるかは未定とした。

 診療実績の証明ではこれまで以上にNCDが活用され、外科専門研修施設はNCD登録参加施設となることが必須となる。専門医認定時には350例(術者として120例)、更新には5年間で100例を必要とする基準は変わらない。

研修プログラム、複数施設で運営

 新専門医制度で新たに導入される専門研修プログラム整備基準では、各地域で基幹施設が中心となり、複数の施設で「研修施設群」を構成することになる。単独施設プログラムは認められないと強調し、実際の運用について会場から質問が出ると北川氏は「客観的な評価と主観的な評価をすることになる」と説明。単独を避けるために1施設だけを連携施設に加えるよう運用は認められない可能性があると述べた。

 現在は指定施設が1277施設、関連施設が872施設となっているが、新制度での基幹施設は約300施設となることが想定される。基幹施設は、専門プログラム管理委員会の設置を義務付けられるなど、「多くの機能、責務を担う施設で、従来の指定施設とは全く異なる概念」と説明した。

 各施設群では専攻医(後期研修医)1人当たり、3年間500例以上を確保することが求められる。新たに設けられる専門研修指導医1人につき専攻医は3人までとされる。専門研修指導医は1回以上の専門医更新が条件となり、外科学会指導医とは別の概念になる。なお、日本専門医機構は指導医の認定は行わないため、今後どうするかは未定という。

 同様に新たに基幹施設に置くことが求められるプログラム統括責任者は外科学会指導医で、医学博士号または査読がある英文の筆頭原著論文3本を求められる。プログラム間の移動は原則として認められないため、大学院で研究を行う専攻医が想定される場合には、あらかじめプログラム内容に組み込んでおくことが望ましいとした。

 また、地域医療を激変させた2004年の臨床研修制度導入時のような混乱を起こしてはいけないとして、地域医療・地域連携確保のためプログラム認定要件を緩和することもあるとした。

更新には移行措置も

 サブスぺシャリティの専門医については決まっていない部分が多いとしながら、効率の観点から専門医研修と連続、あるいは一部重複して研修を進めることを推奨すべきとの考えを示した。サブスぺシャリティの専門医更新を行うことで、外科専門医の更新を代行できるようにする予定もあるという。

 外科専門医の更新については(1)勤務実態の証明(自己申告)、(2)NCDを使った診療実績の証明、(3)講習受講——の3つが求められると説明。講習受講では、更新に必要な50単位のうち10単位は診療実績の証明とされ、実質的には(2)が充てられることになる。他には専門医共通講習(最大5単位、最小10単位)、外科領域特別講習(最小20単位、最大30単位)、学術業績・診療以外の活動実績(最小3単位、最大10単位)が必要となる。

 新制度での更新が始まる2016年度が更新年に当たる人では、2011年から15年の5年間のうち現行の学会専門医更新に必要となる4年分(5分の4)に準じる条件と新基準での直近1年分(勤務実態・診療実績と講習を合わせた単位を5分の1程度)を満たせば審査を受けられることになる。完全に新基準に置き換わる2020年までは毎年5分の1ずつ新制度に寄せていく移行措置が取られる。

学会は淘汰の可能性

 ガイダンスの最後に、北川氏は新制度導入による変化を概括し、「一番大変なのは財政基盤が縮小する学会と、負担が増える病院」と指摘した。

 会場との質疑応答では、「2つ講座がある大学でも、プログラムは1つにする必要があるか」という質問に対し、北川氏は「1病院に複数のプログラムがあるのは望ましくないが、機構は1つにするよう縛ってはいない」と回答。

 基幹病院同士の連携については、「自分でプログラムを持ちつつ、他の基幹病院の連携施設として専攻医を受け入れることは可能」と答えた。一方で、地域連携が重視されるとして、「例えば東京大学、慶応義塾大学、虎の門病院の連携は、おそらく認められないだろう」との考えを示した。



新制度導入による変化 ------------------------------------------------------

* 国  民: 領域間で共通の基準で認定された標準的な診療を受けられる。
* 新制度専門医:質が担保されたプログラムで修練できる。プログラム(病院群)内容が明確に公開され、安心して選択できる。
* 現行制度専門医:専門医、認定医を多数取得、更新する必要がなくなる。外科系専門医の取得・維持だけで安心。現在は見通しのないインセンティブ獲得への第一歩として期待。
現行指導医:研修指導において、現在より多くのエフォートを要する(形成的評価の導入や各種委員会の運営)
* 学  会: 新制度構築の実務・費用負担を担う一方、専門医制度によって得ていた財政基盤(学会参加費、認定・更新料)は縮小する(日本専門医機構への納入)。真の学術的価値の少ない学会、領域が重複する学会は淘汰される可能性あり。
* 病  院: 経済的(プログラム認定・更新料、NCD参加施設登録料)・人的負担(各領域研修委員会の設置)は大幅に増加する。専門医が在籍する病院にインセンティブが必要。



http://www.m3.com/news/iryoishin/312677
信頼ある院内調査、外部委員が参画を
特別企画「医療や健康の安全文化にむけて」

2015年4月18日(土)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 第29回日本医学会総会の4月12日の特別企画「皆でつくる健康社会—医療や健康の安全文化にむけて」で、4人の演者のうち、2人が医療事故調査をテーマに講演した。共通していたのは、精度高く信頼性のある院内調査を行うために院外委員を加える必要性や、遺族の疑問に答えたり、調査結果についての説明を尽くす重要性だ。

 2人とは、名古屋大学医学部附属病院医療の質・安全管理部教授の長尾能雅氏と、国立病院機構福岡東医療センター院長の上野道雄氏。

 長尾氏は、院内調査への外部委員の参加は必須ではないとしたものの、「過去の経験から言えば、やはり外部委員が入り、何回か議論を重ねながらまとめる報告書が結局、一番信頼されると思う」とコメント。調査報告書については、遺族への交付で賛否が分かれるが(『“事故調”の説明、「遺族が希望する方法で」』を参照)、「事故事実の共有が甘い中で、説明を行っても、それは催眠術にすぎない」とする長尾氏は、名大病院で過去6年間に約40の報告書を作成、全て遺族側に交付しており、これまで報告書交付を基に民事訴訟に発展した例はないという。「信頼される院内調査の前提」として、長尾氏は、(1)精度高く医療事故を把握する体制、(2)検証すべき事例を選定する体制、(3)公正な調査を可能とする体制——という3要件を挙げ、「これらが不十分であれば、いくら調査をしても信頼性は高まらない」と述べ、医療機関への真摯な取り組みを求めた。

 上野氏は、「福岡県医師会方式」の中心メンバーだ。同方式は2012年から県医師会がスタート、医療機関の要請に応じて、事故調査の支援を行う仕組みで、今年10月から始まる医療事故調査制度の「支援団体」の先駆例とされる。「望ましい事故対処」として、上野氏は、(1)院外委員が委員長を担う院内事故調査委員会での忌憚のない審議の実施、(2)迅速な初期対応と院内事故調査委員会の開催、(3)院外委員と病院が協議を繰り返して報告書を作成し、病院が病態を理解して遺族に説明——の3点を挙げ、「真摯な院内事故調査委員会と報告書は、遺族と当事者の疑問に答え、心を癒す」と述べ、院外委員の役割を指摘したほか、遺族説明の大切さを訴えた。


◆大学病院における医療事故調査の取り組みと、新しい事故調査について
長尾能雅・名古屋大学医学部附属病院 医療の質・安全管理部教授

 長尾氏はまず、医療者と患者の間には、情報格差があり、患者をエンパワーメントするために、メディエーションなどの取り組みが行われてきたものの、「事故事実の共有が甘い中で、説明を行っても、それは催眠術にすぎない。まずは事実を共有する。それだけで患者がかなりエンパワーされるのではないか」と述べ、「(医療事故報道が相次いだ)2000年前後を振り返ると、起きた事実自体についての病院側の説明への疑義から始まっている」との認識を示した。

 次に紹介したのは、名大病院での院内調査の在り方だ(表)。事故調査会は、院外と院内の委員は約半々で構成し、調査の報告書は患者側に交付し、説明している。「報告書には定まった様式はないが、試行錯誤を重ね、過去6年間で、約40冊の報告書を作成した。常に複数の調査を抱えていた状態」(長尾氏)。講演後、m3.comの取材に対し、報告書の交付で民事訴訟に発展した事例はないと長尾氏と答えた。

名大病院における外部参加型院内事故調査会 -----------------------------
* 外部の医学専門家2〜3人、外部の有識者1人、内部の医学専門家1人と医療安全管理者1〜2人。
* 専門学会に調査委員の派遣を依頼。
* 委員長は外部委員が務める。
* 事実確認、原因究明、医療水準の評価、再発防止を目的。
* 3〜4回の会合、12カ月程度で報告書完成。
* 説明は病院から。

 長尾氏は、この10月からスタートする医療事故調査制度についても説明。制度設計に向けて、議論になった一つが、第三者機関に報告する医療事故の定義だ。「医療に起因し、または起因すると思われる死亡等であって、予期しなかったもの」との方針で固まり、「予期しなかったもの」については、除外される3条件を列挙(『事故調査、「個人の責任を追及せず」』を参照)。「現場のみでは判断できない。判断に客観性の担保が必要」とし、安全管理部に報告、臨時の医療安全委員会などでの判断が求められるとした。また賛否が分かれる院内調査の報告書の遺族側への交付については、名大病院では交付しているものの、「患者側に報告書を渡すのかどうかについては、いろいろ議論があるところ」と述べるにとどまった。

 多くの医療事故調査に携わった経験から立場から、長尾氏は「報告書作成は、時に極めてつらい作業になる。表現一つとっても悩む」と述べ、院内調査の課題として10項目を挙げた(表)。「委員が調査に不慣れな点」について、「どうしても専門家は、自分たちの技術と比較して判断しがち。なぜそうした状況が発生しているのか、という根本の原因や背景を探っていく視点が不慣れ」と指摘。また「事務的所掌が膨大であり、結局苦労しても患者の疑問が解消されないこともある」と、事故調査の難しさを吐露した。

 医療事故調査に対して、「よくある質問」の一つに、「全ての調査に外部委員が必要か」という問いがあるという。「外部委員はマスト(必須)ではない。しかし、過去の経験から言えば、やはり外部委員が入り、何回か議論を重ねながら、まとめる報告書が結局、一番信頼されると思う」と長尾氏。また異状死体の警察への届け出を定めた医師法21条との関係について、「(医療事故調査制度を定めた医療法と)二つの法律が同時に並立する。聞くところによれば、警察はまずは新法(医療法)による調査結果を待ちながら対応するという」との見方を示した。「報告書は公開され、裁判に利用されるのか」との質問もあると言い、「医療機関が持っている公開基準に則って行う。遺族が裁判に訴えることは権利なので止めることができない」(長尾氏)。

院内調査の課題(長尾能雅氏の経験) --------------------------------------------
* 調査委員が調査(特にシステムアプローチ)に不慣れ。
* 専門委員の見解の妥当性が不明。
* 運営、審議、分析方法等が標準化されていない。
* 事実認定が不十分となりがち(当該者の確認必要)。
* 原稿作成に外部委員が非協力的(メリットが少ない)。
* 報告書の編集、推敲に一定のスキルが必要。
* 提言が普遍的で、具体性に欠ける。
* 日程調整、資料準備など、事務的所掌が膨大。
* 患者の疑問が解消されないことがある(聞き取り要)。
* 紛争回避の期待から、バイアスがかかる。


◆第三者の忌憚の無い審議で患者の疑問に答え、病院を守る
 上野道雄・国立病院機構福岡東医療センター院長

 上野氏は、医療事故調査に関する「福岡県医師会方式」を紹介した。2004年頃から、東医療センターを中心に先行的に取り組んできた経験を基に、2014年から開始した取り組みだ。特徴は、福岡県医師会が、10月から開始する医療事故調査制度の「支援団体」に相当する役割を果たしている点だ。

 対象とする事例は、全ての診療関連死で、剖検や警察への届け出の有無などは問わない。事例の受付は24時間体制で行い、受付後は、担当理事と事務職員が医療機関に出向き、初期対応を協議するほか、院内調査の支援を行う。

 調査は院外委員を加えて行い、(1)院外委員は大学病院、公的病院を中心に4〜7人選出、委員長は総合臨床能力を有する院外委員、(2)診療所医師は、院外委員として1人参画、(3)当該医療機関の職員——が基本的構成だ。あくまで県医師会は中立の立場に立ち、院外委員の依頼などを行う。

 報告書は、院外委員がその案を作成し、医療機関との間で修正協議を重ねて作成する。協議回数は5〜10回程度だという。「この過程で、院外委員と医療機関が審議内容を共有し、論理が深まることを実感した。また報告書の取り扱いは、当該医療機関の判断に任せた」(上野氏)。

 「福岡県医師会方式」でこれまでに調査したのは、12例で、うち報告書作成まで至ったのは10例だ。報告書作成までの期間は、平均54日で、全例が3カ月以内。上野氏は、「病院の判断で、報告書が種々の用途に活用された」と説明。遺族に交付したのは2例で、うち1例は報告書の透明性を上げるため、県医師会からの交付を希望し、県医師会が説明の上で交付し、遺族は診療内容に納得したという。交付を検討中は2例。そのほか、1例は民事裁判に医療機関側が用いており、専門委員全員の承諾を得て転用した。当該警察署への提出も2例あったが、医師法21条に基づく届け出を行った事例ではないという。なお、10例のうち、刑事事件に発展した例はなく、民事訴訟が1例、金銭の支払いをしたのが1例あるという。

 また先行的事例を含め、院外委員が委員長を務め作成した報告書を、当該病院の判断で警察に提出したのが9例(うち2例は福岡方式による)あるものの、「報告書は、当事者の直接的関与を否定、あるいは診療の妥当性に言及しており、警察からは、事件性なしとの連絡を受け、医療機関と遺族の負担を緩和した」と述べ、「医療機関単独では腰の据わった議論は難しい」とし、院外委員が加わった調査の必要性を強調した。



http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201504/0007933560.shtml
9人目の生体肝移植手術を延期 神戸の民間病院
2015/4/18 19:16 神戸新聞

 神戸市中央区の民間病院「神戸国際フロンティアメディカルセンター」で生体肝移植手術を受けた4人が死亡した問題で、田中紘一院長は18日、22日に予定されていた9人目の移植手術を延期したことを明らかにした。

 この問題について肝臓移植医でつくる日本肝移植研究会が、スタッフが少ないなど体制が不十分だとして生体肝移植手術の中止を求める方針を固めている。研究会の調査報告が近いうちに届くといい、センターはその内容を見て再開の是非や時期を判断するという。研究会の調査は厚生労働省にも報告される。

 センターによると、手術を予定していたのは日本人の成人患者。16日夜に延期の方針を決め、その後に入院中だった患者と家族に説明し、了承された。移植をした8人のうち4人が術後1カ月以内に死亡したこともあらためて話したが、患者と家族は「ここしか移植を受ける場所がないし、治る可能性が少しでもあるなら受けたい」と答えたという。

 田中院長は「調査報告の内容はまだ承知していない」とした上で、「研究会から仮に移植の中止を求められても強制力はない。だが提言は尊重し、改善すべき点はそうしたい」と説明。スタッフの少なさが指摘されている点については「近隣の病院の医師らと連携して診療している。調査報告を受けて必要と判断すれば、さらに連携を強化したい」と述べた。(金井恒幸)



http://www.m3.com/news/iryoishin/313659
The Voice
ディオバン事件は他山の石
都合の悪い結果とも公表を、臨床研究申請の勘所

岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)
オピニオン 2015年4月19日(日)配信 

 ぼくは神戸大医学研究科の倫理委員長をしている。

 倫理委員会は研究者が気持ちよくよい臨床研究をしていただくためのお手伝い役だといつも思っている。決して厚労省の指針に形式的に付き合わせるのが目標ではない。ましてや「てにをは」から重箱の隅をつついて書類の不備を探し出し、足を引っ張る役回りであってはならない。論文投稿時に査読者から、あるいは論文発表時に読者から、「それは倫理的にアカンやろ」と言われないための、研究参加者がいらぬ不利益を被らないための、研究者と被験者のサポートが倫理委員会の仕事だ。

 しかし、申請者が委員会で苦言を呈され、申請の訂正ややり直しを求められたり、場合によっては却下されることもないではない。そういう事例はこちらとしてもなるたけ回避したいので、この一文を認める。少なくとも神戸大医学研究科で倫理委員会に申請したいと考えている人は、この文章をちょろっと読んでいただくとよいと思う。ただし、本文は岩田の私見であり、委員会の総意ではない(ましてや、他学、他研究科の見解はまったく顧慮していない)。厚労省のこれまでの「研究指針」はあとめられて「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」となった。研究不正問題があちこちでおきて、医学研究者に対する一般の目も厳しくなっている。倫理委員会は、少なくとも神戸大医学研究科の倫理委員会は、形式ではなく本質的な医療倫理、医学倫理をまじめに検討している。こちらの思いを理解してくれると、研究計画書もすんなりOKとなる(こちらも楽になる)。

1.臨床研究の「いろは」は学んでおこう。

 ある領域に突入するのなら、その領域の基本的な入門書、できれば教科書くらいは読んでおくのが定石だ。しかし、医療者なのに本を読む習慣を持たない人は、案外多い。感染症とか輸液とか画像や心電図の読影とか、無勉強かつ見よう見まねでやっている人は驚くほど多い。このブログは医者以外も読んでいるから「まさか」と思うかもしれないが、本当です。

 臨床研究にも「いろは」があり、ちゃんと入門書もある。研究計画書を書く段階で、研究は8割がた完成しているとぼくは思う。その研究計画書が臨床研究の「いろは」を無視して書かれていると、倫理もへったくれもないので、申請は却下される。

 なので、基本的な教科書を1冊でよいから読んでおいてほしいと思う。ぼくが学生の時に愛読したのは故廣谷速人先生の「論文のレトリック」(南江堂)である。昔の本で、ぼくの手元にあるのは95年の初版だが、今読み直しても全然古くない。倫理面に関しては歯に衣着せぬ当時の論調が(廣谷先生の論調が?)、現代の政治的に正しい口調よりも説得力を持っている。他にも以下の本が「いろは」を学ぶにはおすすめなので、せめて1冊は読んでほしい。スタディーデザインのカテゴリゼーションが間違っていたりすると、さすがに倫理委員会も萎える。

2.目的を明確にしよう。そして目的と手段を一致させよう

 研究計画書と科研費申請書を混同している人が多い。グラントの申請書はアドバルーンみたいなもので、審査者に対する営業活動である。針小棒大に大ぼらをでっち上げれば良い(私見)。しかし、研究計画書は地に足の着いた極めてリアルな文書である。研究対象(被験者)や未来の患者が絶対に幸せになります、みたいな大げさな計画はまずよくない。地に足の着いた目標を設定するのが大事である。目標は「疾患の姿」を明らかにしたいのか、診断手法を改善したいのか、治療効果を上げたいのか。

 目的が存在しない(!)計画書も多い。とりあえず、患者集めて、新しいアッセイで色々調べてみたい、というやつである。一番臨床研究を「ナメテかかっている」タイプで、却下される可能性が一番高いのもこれである。医者は質問をするのが苦手なので、そもそもリサーチクエスチョンが出てこない、という場合も多い。リサーチクエスチョンのないリサーチは「ありえない」。たしかにビッグデータで瓢箪から駒、的な研究は存在しうるが、実際の患者を対象に興味本位でデータをこねくり回すのは被験者に失礼である。介入試験なら即却下だし、たとえ観察研究であっても患者の個人情報をいたずら半分に扱うのは倫理的に許容されない。目的は論文のイントロダクションに書けるような明示的なものがよいし、そうしておけば論文書くのも楽ちんである(研究計画書の段階で論文のドラフトとして書いておけば、手間は省ける)。楽をするために苦労をするのである。たとえ萌芽的なパ

 パイロット研究であっても、目的だけは明確にしておかねばならない。

目的が明示的になったら、今度はその目的に達するための手段を明確にする。目的と手段が噛み合っていない計画書はとても多い。それではリサーチクエスチョンに答えられないではないか、と思う。リサーチクエスチョンに答えられないような研究のために患者を利用するのも倫理的には許容されない。
 手段を明確にするには、「だれ」を対象に「なに」をするのかを明示しなければならない。これも「いろは」だが、案外できていない。研究計画書を読んだ人が同じことをリプロデュースできるくらい、具体的に記載するのが大事である。

3.「がため」の研究をしない。

 企業と協力して研究するのは全く問題ない。しかし、販促そのものを目的とした研究はよくない。たとえその企業にとって都合の悪い結果となっても公表する覚悟が研究者には(企業にも)必要だ。知りたいから研究するので、結果ありき、「がため」の研究は倫理的に許容されない。研究者に製薬メーカーの職員が加わることも可能であるが、その必然性や役割も明確にしなければならない。

 ディオバン事件は他人ごとではなく、他山の石なのだ。

あとは手続き上、書面上の問題なので事務方にチェックしてもらいながら書類を整えていただくとよい。無駄な書類を減らすために、この数年間で書類仕事はだいぶ減らしたし、他施設研究の場合は他施設の書式でもOKにして、書類作成の手間はかなり省けるようになったと思う(書類は少ないほどよい)。余った時間で内容のリファインメントに尽くしていただけると嬉しい。よい研究計画書をバンバン出していただければ、こちらも嬉々としてそれらを承認していく。

※本記事は、2015年4月16日のブログ『楽園はこちら側』で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



https://www.m3.com/news/iryoishin/313123
「医局は必要悪」「安定感あるが、期待感ない」◆Vol.7-1
経験、職場、教授、医師派遣……医局への思い

レポート 2015年4月18日(土)配信高橋直純(m3.com編集部)

 医局医師337人への質問の最後に、医局人事という制度への意見を尋ねた。熱のこもった回答を選りすぐって、2回に分けて紹介する。

Q18 医局人事という制度についてのご意見を教えてください。また、医局に所属していて良かったと思えたエピソードもあれば、教えてください。

【医局とは?】
* 古めかしい。
* 職場でのピラミッドがきちんとしている。
* メリットでもありデメリットでもある。
* できない医師の保険のためにあるような制度。
* 一度は味わった方が良い。
* 必要悪です。
* 豊富な人材による交流がある。
* トップダウンではない。
* 医局の功罪はあるが、罪の面が強調されすぎている。地方の医療崩壊は、医局の弱体化によると思う。
* 10年目くらいまではいてもよいと思う。
* 何かあれば相談できるところは良いが、やりたくない仕事を誰かがやらねばならないところでもある。
* 良くも悪くも閉鎖的だと思う。
* ある程度の安定感はあるが、期待感がない。
* 教授にとって都合の良い人事異動をしている。
* 長い物に巻かれていたいため、非常に居心地がいい。
* 意向が反映されない不平等さがある。
* 自分の意向に合わなくても従わなければならない人事である。
* 企業と同じで,トップに戦略がない限りはただの派遣会社と同じ。
* 医局のコマとして使われる場面もあるが、良い経験もすることもできる。世の中良い所どりはできないと思う。
* 本来要らない。臨床ができる人間が教授になるべき。
* ある程度のキャリアプランが自動的に引かれるため、自分から能動的にプランニングできない人には有効なシステムだと感じている。もちろん、医局内でもより上位のキャリアを目指そうと思えば積極性は求められるし、泥臭さも感じることもある。その一方で、代務先などでは、医局人事を避けるが故に十分なキャリアアップ・スキルアップが積めなかったとおぼわしき方にも遭遇するが、若干残念な感じを覚えざるを得ない。
* 必要悪だと割り切るよう考えることにしている。
* 個人を守ることに関しては限界がある、地域医療を守るためには必要かもしれない。
* 出世欲の強い上司からの雑用が多すぎる。
* 医局にいれば間違った方向には行きにくい。
* みんなが言うほど嫌ではない。
* 医局に入らない人に対して排他的である。
* 他の医師から、ある程度信頼してもらえる。
* 有無を言わせない人事は、嫌だが、自分が学ぶべき状況である場合は致し方ない。ギブアンドテイク。
* 病院の人材を安定的に確保できる点ではいいと思うが、教授の動向に左右されるところが厳しい。
* 教授の気分次第な点がある。

【医局のメリット:経験・スキル向上】
* 医局の教育体制や派遣のおかげで、一人前の仕事ができるようになったこと。
* 医者のキャリアとしてプラスになる、フリーランスでは体験し得ないような経験ができた。
* 医局に属していない医師の診療能力の低さを見るにつけ、自分は属していて本当に良かったと思っている。
* 研究にも携われたので、それも人生においてはプラス。
* 多様なことが経験できる。国内留学ができた。
* 強制的ではあるが、地方での様々な症例を経験する。
* 自分が満足の行く留学先に行くことができたのは医局があってこそと思っています。
* 医局派遣で経験する医療機関で得る知識が多いので、全体としてはメリットがデメリットを上回ると思う。
* 色々な病院で、いろんな上司の手技を見ることができた。
* 医局内の異動により多くの地域、病院で勤務することで、医療・患者の多様性を知ることができた。
* ストレスも多く、思い通りにならないことも多いが、それを経験することも、自分を育てる糧になっていると思います。
* 時には無理に異動した方が後から自分のためになることもある。
* 医局に所属していれば、異動先の情報などもしっかり手に入れることができ、症例数の多い病院を選択することができる。
* 医局は大事と思うが、自分のキャリアプランを考えると悩ましい。留学など医局所属でなければできなかったことも多々ある。
* 若いときから一つの病院では偏った経験になってしまう可能性があり、医局人事で色々な病院を経験できることは良いことだと思う。
* 意に沿わない転勤・異動は確かにあるものの、診療だけにとどまらない経験を積むことができたと思う。* また母体がしっかりしていることで他大学との交流も生まれ多くの先生方と接することができる。将来的な不安ということがないわけではないが経験年数が少ない医師にとっては有用なシステムだと思う、
* マイナー科は医局に属しないと症例が偏りやすい。
* しっかりした医局であればあまり、診療レベルの低い医師はいないが、医局人事以外で働いてみてとんでもない低いレベルの医師がいることを知った。医局は医師のレベルを保つには一定の役割は果たしていたと思った。
* 仮に医局というものが全くなかったら各個人の能力は上がりにくく、診療レベルも施設間格差が大きくなると思います。
* 学位が取れたこと。
* 医局関連の海外研修参加。
* 専門医は取りやすい。
* 医師として必要な基本的な経験、診療技術を積めた。
* 知識のみに偏らず、診療体系や技術の継承。
* まれな疾患を経験できた。

【医局のメリット:人脈】
* 人脈が圧倒的に広がる。
* 尊敬できる先輩医師に出会えたこと。
* 幅広い人間関係やコネが作れるので、それはプラス。
* 人脈を築けることが最大のメリット。医局に属していない人は、意見を聞ける人、スーパーバイズしてくれる人がいない。
* 常に他施設の同僚と情報交換ができる。
* 同期とのネットワーク。
* 医局人事にはいい思い出はあまりないが、尊敬できる医師に出会えたことはよかった。
* 意向にそぐわない異動があっても、いろいろな経験ができ人脈が広がるので、若いうちは医局人事は有用だと思う。しかし、女医にとっては結婚や子育てなど異動により妨げられるキャリアパスもあり、そこから先は何を優先するかによって変わってくると思う。自分は同期が多い医局に入局し、違う病院に散らばっていても同期で定期的に集まって飲み会や旅行ができる仲間になったのがよかった。
* 医局に所属していると安心感や人とのつながりができると思います。
* 医局のつながりで出会えた人、得られた経験、チャンスはかけがえのないものです。超優秀な人にとっては、医局は必要ないと思いますが、自分を含めて多くはそうでもないので。長い目でみれば、医局制度は個人にとっても全体にとっても良い制度かと思います(地方医大に所属する一医師の意見)。
* 医局に所属している事により様々な先輩達の手法を学ぶことができましたし、また、他科の先生と再び異動先の病院で出会うことができた結果、仕事がやりやすくなるなど、良いことも沢山あります
* 医局の派遣で、配偶者と知り合えたこと。
* 他院との医局員を通してのつながり。


  1. 2015/04/19(日) 09:28:45|
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