Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月10日 

http://www.huffingtonpost.jp/masahiro-kami/establishment-of-medical-department_b_6836396.html
なぜ医学部の新設案は千葉・成田市で進められているのか
上昌広
東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任教授
投稿日: 2015年03月10日 13時43分 JST 更新: 2015年03月10日 13時43分 JST ハフィントンポスト

千葉県成田市での医学部新設の議論が盛り上がっている。国家戦略特区を用いたものだ。知人の官邸関係者は「既に新設は既定の方針」だと言う。

2月13日、日本医師会・日本医学会・全国医学部長会議は、塩崎恭久厚労大臣に反対を申し入れたが、「条件闘争」と見なされているようだ。今回は、この背景を解説したい。

日本医師会などの業界団体は、将来的に人口が減少すれば医師は余り、医学部新設だと養成数の調整が難しいと主張する。

この主張は荒唐無稽だ。なぜなら、患者・医師の年齢や、今回問題となっている千葉の地域性を考慮していないからだ。

社会が高齢化すると医療需要は増える。一方、医師は高齢化と共に働けなくなる。女医が増え、医療安全の側面から労働時間規制が進むと、医師数の増加ほど、医療提供能力は増えない。図1をご覧頂きたい。今後、我が国で増えるのは、もっぱら高齢医師と女性医師だ。医師数だけで議論してはいけない。

図1
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さらに、我が国には著しい地域格差がある。特に千県の医師不足は深刻だ。人口1000人あたりの医師数は1.8人で、埼玉・茨城県についでワーストスリーだ。

この状況は、今後益々悪化する。千葉には団塊世代が多く、今後、医療需要が増えるからだ。私たちの推計によれば、千葉における75才以上人口1000人あたりの60才未満の医師数は、2010年の段階で14.0だが、2030年には8.0へと悪化する。団塊世代が亡くなる2040年にかけて8.7に一時的に改善するが、2050年には8.11へと悪化する。団塊ジュニアが高齢化するためだ。75才未満の医師数でも状況は同じだ(図2)。

図2
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なぜ、日本医師会などが強調するように、07年から15年にかけて1500人もの医学部定員を増やしても、千葉の医師不足は改善しないのだろうか。それは07年から15年の医学部定員増が、既存の医学部をベースにしたためだ。

人口約620万人の千葉には医学部は一つしかない。人口約380万人の四国に4つの医学部があるのとは対照的だ。医学部の多い西日本と比べ、千葉の定員増の効果は限定的だ。

地域の医師数は基本的に地元での医師養成数、つまり医学部定員数に比例する。現状を考えれば、千葉の医師不足を改善するため、千葉大の医学部の定員を数割程度増やしても焼け石に水だ。

医療現場の動きはもっと合理的だ。千葉は地元での医師養成の不足を、周辺からの移入という形で補ってきた。我々が94年から12年までに医師の移動を調査したところ、千葉には平均して年間226人の医師が移入してきていた。流入先は東北地方や東京だ。東北地方の医師の26%、東京の医師の17%は県外に流出しており、千葉は主要な受け皿の一つだ。
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東京はまだしも、このことが東北地方の医師不足を悪化させる要因であった。医療界には「若い医師は田舎を嫌がり、都会に行きたがる」という人が多いが、必ずしもそればかりではない。むしろ、東京が医師の流出県であるように、医師は医師の多い地域から、少ない地域に流れている側面の方が強い。千葉に医学部を新設することは、千葉の医師不足だけでなく、東北地方にも益する可能性が高い。

では、なぜ、千葉の医師不足解決策が千葉県による医学部新設ではなく成田市なのだろう。

それは、成田市の財政力が全国屈指だからだ。成田市の人口は約13万人、歳入総額は約650億円で、財政力指数は1.27である。原発立地と無関係の人口10万人以上の都市に限定すれば、浦安・武蔵野・東海市に次ぐ全国4位だ。

成田市の財政の特徴は固定資産税が多いことだ。成田空港からの税収で約160億円、市税の6割を越える。固定資産税は、リーマンショックなどの不景気でも減らない安定した財源だ。これが成田市の強みである。

黒字自治体は投資できる。ここが千葉県との決定的な違いだ。例えば、13年に国際医療福祉大看護学部の誘致が議論された際、総費用85億円のうち、50億円を補助することを決めた。内訳はキャンパス用地を民間事業者から購入し、大学に無償で貸与するための20億円と、建設費の半額30億円だ。

この金額が如何に大きいかは、宮城県が県内に新設される医学部のために支払う補助金が最大30億円(修学資金は別)であることを考えれば、お分かり頂けるだろう。

巨額の財政赤字を抱える政府に、国立の医学部を設立する余裕はない。千葉県も同様だ。特区を推進する官邸が、成田市に期待を寄せるのも無理からぬことだ。

医学部新設には金がかかる。成田市は建設に要する費用を約400億円と見積もっている。成田市での医学部新設を進めている国際医療福祉大も、成田市からの財政支援を期待しているだろう。今後の議論の焦点は、この費用を国際医療福祉大と成田市が、どのように分担するかだ。

その際に重要なのは市民の理解である。補助金は税金である。市民の理解がなければ、成田市役所が如何に前向きでも、議会を通らない。議会は民意に敏感だからだ。

特に成田市は市民感情に敏感だ。66年から約30年にわたる三里塚闘争を戦いながら、国際空港を地元に受け入れてきたからだ。濡れに泡で豊かになった訳ではない。我々は、このことを忘れてはならない。

そもそも、成田市での医学部新設の議論が始まったのは、羽田空港の国際化の時期だ。羽田を国際化することで、成田が割を食うのは自明だった。当時の民主党政権は、成田市に相当配慮していたのだろう。

ところが、今回の医学部新設の議論では、地元への配慮を感じることが少ない。私は、成田市や国際医療福祉大が「国際性豊かな医学教育」や「国際協力」を強調するのは得策ではないと思っている。知人の成田市出身者は「成田市をダシに使っているだけで、憤りを覚える」という。

成田市に医学部を作るなら、地元に密着すべきだ。徹底的に地域に適合した医療は、世界にも通用する筈だ。なぜなら、我が国は高齢化課題先進国だからだ。

私は、成田市での医学部新設に賛成だ。ここまで、成田市と国際医療福祉大は、よくやってきたと思う。現在、新設に向けての議論は佳境を迎えている。いま、必要なのは、地元との対話だ。地に足の着いた議論を期待したい。


*本稿は、「医療タイムス」の連載を加筆修正したものです。
 


http://blogos.com/article/107475/
「塀の中」と「塀の外」の医療-医療費削減する検査活かした診療とは
土堤内 昭雄
ニッセイ基礎研究所
2015年03月10日 09:51 BLOGOS

近頃の医療における臨床検査の発展は素晴らしい。MRI(磁気共鳴画像装置)やCT(コンピュータ断層撮影装置)、内視鏡などの高額の医療機器を使った検査も多くは健康保険が適用され、患者に過大な経済的負担をかけずに受診が可能だ。血液検査をすれば、体の数十項目の異常がチェックできるし、様々な検査結果は、疾病予防や早期治療に大いに役立っている。

最近、刑務所の医師不足が深刻になっているそうだ。受刑者の高齢化が進み、罹患率は7割に近く、多くの人が刑務所内で何らかの治療を受けている。しかし、刑務所に勤務する医師(矯正医官)は定員の8割程度に過ぎない。自らも矯正医官を務めた精神科医の日向正光さんは、『塀の中も医師不足』*というブログの中で、刑務所内の医療について次のように述べている。

『多くの刑務所には診療所や病院に常備されている簡易検査キットや血液検査装置、医療機器の類はあまりない。(中略)刑務所で医師として働くためにはこれまでの診療に対する考え方を変えなくてはならない。(中略)刑務所での診療は自分の問診・診察と僅かな検査道具、あとはこれまでの経験に基づいた勘だけが頼りである。自分のプライマリ能力が存分に発揮できる場所であると同時に、これまでいかに検査に頼りすぎていたか自分の診療能力の低さを知らされる場所でもある』と。

日向医師が「塀の中」の医療で指摘していることは、「塀の外」の医療に対する警鐘でもあるようだ。「塀の外」では手軽に検査ができることから、過剰な検査が行われたり、検査結果を鵜呑みにした投薬の心配はないだろうか。診療における検査結果は、問診や触診と相互補完するものだと思うが、診療に検査結果を活かすも殺すも医師の診療能力次第なのだろう。

複数の疾患を抱えている高齢者の場合、血液検査の結果、対症療法的に多くの薬を服用するケースもある。それは患者をひとりの人間としてみた場合、最善の治療なのだろうか。多くの投薬における“合成の誤謬”はないのだろうか。患者にとって様々な検査が手軽に受けられるのは有難いことだが、検査結果を盲信してはならないだろう。それは、あくまでも医療の一端に過ぎないのだから。

日向医師は、多くの医師が矯正医官のように十分な臨床検査体制が整っていない医療現場において、診療能力を磨くことを勧めている。それは医師不足の「塀の中」にとっては勿論、「塀の外」の医療にも極めて重要だろう。検査に過剰に頼った診療ではなく、検査結果を適切に活かした診療が行われることは、増え続ける社会保障医療費の削減や健康保険組合の財政効率化にも資すると思われるからだ。

  * 日向正光<http://www.huffingtonpost.jp/masamitsu-hinata/medical-prison_b_6709898.html>(2015年2月19日)



http://apital.asahi.com/article/news/2015031000028.html
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【制度・課題】医療ミス 医療者と患者 手術 制度・立法
野島・群大病院長、調査継続を「検討」 腹腔鏡死亡、厚労省分科会後

2015年3月10日 朝日新聞

 群馬大学医学部付属病院(前橋市)で腹腔(ふくくう)鏡を使った肝臓切除手術後に患者8人が死亡した問題で、野島美久院長らが9日、病院の処分を検討する厚生労働省の社会保障審議会医療分科会で、最終報告書と再発防止策について説明したが、委員からは疑問の声が相次いだ。終了後、野島院長は腹腔鏡に関する調査の継続を検討する考えを示した。

 「厳しい指摘もいただいた。(調査継続を)今後検討したい」。野島院長は分科会後、報道陣の質問に答えた。遺族側の弁護団が調査継続を強く求め、分科会も報告書を「不十分」と疑問を示したことで、病院は追加調査や改善策の練り直しの検討を迫られそうだ。

 分科会は群馬大病院について、高度な医療を提供する「特定機能病院」の承認を取り消すかどうか審議している。9日は野島院長が「8人全員の診療で過失があった」などとする3日公表の最終報告書の内容を説明し、厚労省によると、質疑は「厳しい雰囲気」で進んだ。特に8人が死亡するまで問題を把握できなかったことに質問が集中し、「安全に対する意識が薄かったのではないか」との意見が出たという。

 最終報告書と同時に病院が公表した診療科の再編や新設などの再発防止策にも「本当に十分に機能するのか」「問題意識と一緒にやらないと実効性がない」などと厳しい声が出た。

 分科会では今後、同じ医師が執刀した開腹手術で10人が死亡した問題も審議対象に加えられる可能性があるという。厚労省は「できるだけ早く対応したい」とし、審議のペースを速める考えだ。

 (井上怜)
(朝日新聞 2015年3月10日掲載)



http://getnews.jp/archives/856765
病院を苦しめるモンスターペイシェント急増、対処法は
2015.03.10 17:00 JIJICO ガジェット通信

医療スタッフに対する執拗なクレームから土下座の要求まで
教育現場で教師や学校を苦しめる「モンスターペアレント」については、用語としてもかなり浸透してきているように思いますが、最近では、医療の現場で医師・看護師などの医療関係者に理不尽な要求をする「モンスターペイシェント(患者)」が増えていると報道されています。

モンスターペイシェントといっても一様ではなく、(1)医療側の小さな落ち度を取り上げて不当な要求をする(2)患者として自分が望むような医療行為を受けられないことに対する不満を一方的にぶつける、などが挙げられます。

具体的な行動としては、医療スタッフに対する執拗なクレームから、「訴える」「刺す」などといった脅迫や暴力から、土下座などの度を越した謝罪の要求までありますが、ここではその法的意味と対策を考えてみます。

日本の場合、賠償額は被害者が被った損害の範囲に限定される
例えば、上の(1)のパターン。医療側の落ち度が医療契約に基づく債務不履行や不法行為に当たるのであれば、損害賠償が必要になる場合もあります。しかし、日本の場合には、その賠償額は被害者が被った損害の範囲に限定されますので、小さな落ち度があったとしても賠償額として大きなものになることはほとんどありません。

それを、金銭的な要求はしないで、執拗なクレームをつけたり脅したりするというのは、根負けをした医療機関側が、本来の賠償義務の範囲を超えて、自発的に何らかの支払いをするようにさせたいと思っていることが多いと考えられます。これは、恐喝、強迫といった犯罪ととられても仕方がないものですが、具体的な金銭の要求がなければ恐喝罪を認定することは難しいので、患者側は金銭的な請求をせずに、長時間、医療機関側を非難するという行為を続けるわけです。

自覚的なモンスターペイシェントには毅然と対応
このような行為は、一見対応が難しいように思うかもしれませんが、患者側も目的があって行っていることがほとんどなので、いくら頑張っても達せられないとわかれば、その時点で諦めて次のターゲットを探すようになるでしょう。したがって、毅然と対応することです。例えば、小さな落ち度を取り上げて、「監督官庁に言うぞ!」などとすごまれたとしても、過ちは元には戻らないため、「言われてもしょうがない」と腹をくくることで不当な要求を回避できます。窓口などで大声を上げるようであれば、業務妨害として警察に協力を求めることもできます。

また、このような自覚的なモンスターペイシェントの場合には、自分が理不尽な要求をしていることの証拠が残ることを嫌がりますので、「今後この件に関する認識に齟齬(そご)があるといけないので、対応を記録させていただきます」などと告げて、現場の状況の撮影や録音をすることをお勧めします。自分が無理難題を言っていると自覚しているモンスターペイシェントは、たいていは捨て台詞を吐いて退散します。

自己の正当性を信じ込んでいる患者にはカウンセリングの手法を
難しいのは(2)の場合で、このような患者は、自分が適正な要求をしていると信じ込んでいることが多く、「撮影・録音をする」と告げたところでひるむことはありません。このような場合には、対応に当たる職員は「この患者のカウンセリングをしている」というような意識を持つ必要があります。

カウンセリングで用いられる、相手の話をよく聞く「受容」、相手の気持ちに寄り添う「共感」といった基本的な技法は、自らが受けている医療に対して不満を抱いている患者に対して、自らの要求が適切なものなのかということを冷静になって振り返ってもらうために有効な手段となります。

そのためにはそれなりの時間を要するため、医療機関側にとって負担になります。ただ、これらの問題を抱えた患者を排除するだけでは、根本的な解決につながらず再発の恐れも否定できませんので、きちんと時間をかけてでも本人に自らの行動を省みる機会を提供する方が結果として負担が少ないことになります。

医療機関はトラブル対策やリスク対応を事前に定めておくべき
医師法第19条第1項は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定め、正当な事由がない限りどんな患者でも診察・治療の求めを拒めないことになっています。

そのため、医療機関としてはモンスターペイシェントだったとしても門前払いはできませんので、その前提でトラブル対策やリスク対応を定めておく必要があります。何事も、事前の準備があれば不安にならずに対処できるものです。折を見て、このようなモンスターペイシェントに対する対応の訓練を行っておくことも必要な時代なのだと思います。

(舛田 雅彦/弁護士)



http://www.asahi.com/articles/ASH3B4K4JH3BULBJ005.html
群馬大病院への補助金、4億円不交付へ 厚労省
2015年3月10日18時22分 朝日新聞デジタル>記事

 塩崎恭久厚生労働相は10日の衆院予算委員会分科会で、肝臓切除手術を受けた患者が相次いで死亡した群馬大病院(前橋市)に対し、臨床研究の拠点を整備する事業の2014年度分の補助金4億円を交付しない方針を明らかにした。

 この事業は質の高い臨床研究拠点をつくる目的で、全国から15拠点を選定し、5年かけて補助金を出す。群馬大病院は13年度に選ばれ、同年度分は約5億円(研究費除く)を受けた。14年度分は、昨年11月に今回の問題が発覚し、厚労省が「安全管理体制が適切か確認できない」として交付手続きを保留していた。

 群馬大は腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた患者8人が死亡した問題の最終報告書を3日に公表したが、9日の社会保障審議会医療分科会では「十分ではない」と専門家が指摘。開腹手術後に死亡した10人の調査結果が4月以降になることもあり、厚労省は年度内に交付手続きを再開するのは困難と判断した。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=112894
群馬大病院、「開腹手術」でも死亡リスク説明せず
(2015年3月10日 読売新聞)

 群馬大学病院(前橋市)で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、開腹手術の患者でも、腹腔ふくくう鏡手術と同様、同意書に手術による死亡率が書かれていないなど記載が著しく不十分であることが、遺族への取材でわかった。

 遺族は「すぐに退院できると聞いていた」などと話しており、インフォームド・コンセント(説明と同意)に問題があったとみられる。

 病院側が今月3日に発表した腹腔鏡手術の調査報告書では、開腹手術の同意書やカルテの記載について「腹腔鏡と共通の問題があった」と指摘している。

 開腹手術を受け、死亡した男性患者の同意書を見ると、「肝左葉切除+胆管切除・リンパ節郭清」という手術名の下に「出血」「感染」「縫合不全」など、合併症が列挙されているだけ。問題が指摘された腹腔鏡手術と同じ形で、一般的に同意書で必要とされている合併症の発生率や死亡率の全国的なデータ、群馬大病院での手術成績などは記されていなかった。

 この患者の遺族は「2、3週間で退院できると聞いた。死亡のリスクに関する説明もなく、亡くなることは想像もしていなかった。手術以外の治療の選択肢も聞いていない」と振り返る。別の遺族も「死亡する恐れがあることは説明がなく、急に状態が悪くなった時は驚いた。亡くなる可能性もあると聞いていれば、他の治療も含めて考え直したと思う」と話した。



http://www.m3.com/news/iryoishin/301849
医療維新
シリーズ: 群馬大学腹腔鏡死亡事故
群大病院幹部から安全管理体制聴取
厚労省審議会 、特定機能病院の承認取消の是非を審議

レポート 2015年3月10日(火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の社会保障審議会医療分科会(会長:楠岡英雄・国立病院機構大阪医療センター院長)が3月9日に開催され、腹腔鏡下手術による患者の死亡が相次ぎ、医療安全管理上の問題があるとされる群馬大学医学部附属病院の幹部を呼んで、事故に至った経緯などの事情を聴取した。委員からは「なぜ死亡が8例も続いたのに病院は認識できなかったのか」「再発防止策は本当に機能するのか」といった質問が寄せられた。

 分科会では、同病院と東京女子医科大学病院の特定機能病院の承認を取り消すか否かについての審議を2月から行っており、今回が3回目(資料は、厚労省のホームページに掲載)。
 分科会は非公開で行われ、終了後に厚労省医政局総務課が審議内容を説明した。群大病院から出席したのは病院長の野島美久氏、副病院長、医療人能力開発センター長、臨床試験部長、 医療の質・安全管理部長、事務部医事課長の計6人。3月3日に公表した腹腔鏡手術に関する最終報告書を基に、事案の覚知からこれまでの経過、事案発生時の医療安全の体制、インシデント報告制度の仕組み、再発防止策などについて説明があった(『死亡全8症例「過失あり」、群大最終報告』を参照)。

 委員からは、死亡例が相次いだことや再発防止策の実効性に疑義が呈せられ、「厳しい雰囲気だった」(総務課)という。また、腹腔鏡手術の死亡例に関しては最終報告としているが、「十分でないという指摘があった。厚労省としても追加の資料をお願いする必要性を感じている」と説明した。病院の調査で判明した開腹手術で10人が死亡している問題については説明、質疑ともになく、今後に情報を求めていくことになるという。引き続き審議することで意見が一致した。

 次回3月27日は東京女子医大病院と群馬大学病院の両大学について、今後の調査の進め方などの方針を決める予定。その後は月2回程度のペースで、審議を進めていくという。

 群大病院第2外科では、腹腔鏡手術を開始した2010年12月から2014年6月までに93例の腹腔鏡下肝切除術を行い、そのうち8例が術後4カ月以内に死亡した。8例中4例は、腹腔鏡手術の導入後1年以内の症例だった。執刀医は全て経験20年超の40代男性助教で、この助教が執刀した開腹手術で10人が死亡していることも判明している。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201503/541156.html
医師の負担増大? リハビリ「適正化」の始まり
2015/3/11 村松謙一=日経ヘルスケア

 2015年度介護報酬改定で、厚生労働省はリハビリテーションの将来の再編に向けた大きな一歩を踏み出しました。その狙いは、高齢化の進展に伴う社会保障費の伸びを抑制する必要性から、リハビリの質と効率の両方を向上させることです。

 リハビリの「適正化」とも呼べるこの動きは、診療報酬の領域にも広がる可能性があり、医師に求められる役割が今まで以上に大きくなるかもしれません。

医師の主導的な役割を求める加算が新設
 今回の介護報酬改定で打ち出されたリハビリのあるべき姿とは、従来のように医療保険のリハビリの延長で身体機能の訓練だけを漫然と行うのではなく、「生活期リハビリ」の観点から利用者の状態を常に把握しながら、日常生活の継続に向けて心身機能の改善目標を達成し、早期の社会参加を図ることです。

 その理念が具体的に反映されたのが、通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションの報酬体系です。例えば通所リハビリでは、従来の個別リハビリテーション実施加算(1回80単位)が基本報酬への包括化により実質廃止され、3カ月を上限に算定できる「短期集中個別リハビリテーション実施加算」(1日110単位、市町村により1単位=10~11.26円、以下同)が新設されました(図1)。


図1 個別リハビリを評価する加算の再編
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 厚労省は長期的にダラダラ行う個別リハビリへの評価をやめ、「通所リハビリの利用は短期間」を基本とする方向を示すことにより、中長期の利用者には通所介護など他サービスへの移行を促す意向のようです。

 その一方、通所リハビリの「リハビリテーションマネジメント加算」が再編され、質の高いリハビリを常に利用者に提供しているかどうかプロセス管理している事業所を2段階で評価する形に見直されました(図2)。


図2 リハビリマネジメントを評価する加算の再編
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 加算額は改定前が月230単位でしたが、改定後は(I)が月230単位と同じで、(II)はリハビリ計画について利用者の同意を得た月から6カ月以内が月1020単位、6カ月超が月700単位にそれぞれアップ。そしてリハビリマネジメント加算(I)(II)は、訪問リハビリでも同様の要件で新設されました。

 注目すべきは、このリハビリマネジメント加算(II)の算定要件です。リハビリテーション会議の定期開催が義務付けられ、会議の構成員(医師、リハビリ職、ケアマネジャー、居宅サービス等の担当者など)が利用者の状況などの情報共有や記録を行い、さらに医師が利用者や家族にリハビリ計画を説明して同意を得なければならなくなります。

 つまり、医師がリハビリで主導的な役割を果たし、要介護者に適切なリハビリを行って短期間で「卒業」させるような努力をしなければ、報酬が高い加算(II)を算定できないのです。介護保険サービスの算定要件にリハビリ会議の開催が盛り込まれたのは今回が初めてで、リハビリ適正化に取り組む厚労省の姿勢が本気であることが分かります。

 このほか通所リハビリでは、料理や買い物といった生活行為や、地域活動などの社会参加が可能となる利用者の目標を設定し、達成を目指す取り組みを評価する「生活行為向上リハビリテーション実施加算」が新設されました。その加算額は、リハビリ開始月から3カ月までが月2000単位、3カ月超6カ月までが月1000単位とかなり高い設定。運動器疾患などの患者が医療機関で急性期リハビリを終え、通所リハビリに移行したケースなどが加算の対象になりそうです。

 この生活行為向上リハビリ実施加算を算定する際には、前述の通所リハビリのリハビリマネジメント加算(II)の取得が必須条件になります。すなわち、医療機関の通所・訪問リハビリ事業所の運営を安定化させるには、高い報酬を算定するための土台となるリハビリマネジメント加算(II)を取得し、医師がリハビリに積極的に関与することが不可欠なのです。

 加算の要件を満たすには、医師がリハビリ会議に参加したりリハビリ計画を利用者に説明したりするなど、負担が少なからず増大します。利用者が50人以上もいるような大規模な通所リハビリ事業所を持つ医療機関では、医師の業務が相当忙しくなるかもしれません。それでも、リハビリが法制度で「医師の指示の下で行う行為」として位置付けられている以上、医師との連携が求められるのは当然のことなのでしょう。
 
 リハビリが医師の指示の下で行う行為であることを、改めて考えさせられる動きが最近もう1つありました。高齢者が利用料を全額負担する“訪問リハビリサービス”が東京や関西圏を中心に広がりつつあることです。主に介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームの入居者・入所者を対象に理学療法士が訪問してサービスを提供しています。

 サービスが拡大している背景には、介護付き有老ホームや特別養護老人ホームの入居者・入所者が介護保険・医療保険でリハビリを十分受けられない実情があります。両施設には機能訓練指導員の配置が人員基準上求められますが、リハビリ専門職である理学療法士や作業療法士の配置義務はありません。さらに介護保険対象の訪問リハビリは両施設とも利用が原則不可能であり、医療保険では急性増悪した場合などに限られます(図3)。


図3 居住場所別に見た訪問リハビリの介護保険・医療保険の適用条件
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 利用者が急増するそんな理学療法士の訪問サービスに対して、今年1月30日、日本理学療法士協会が会長名で会員向けに1枚の通知を出しました(図4)。

 「保険適用外の理学療法士活動に関する本会の見解」と題したその文書で、「理学療法士が医師の指示を得ずに障害のある者に対し、理学療法を提供して業とすることは違法行為となる」と警告。さらに、理学療法士の名称を用いての開業は「現行法上、全く認められるものではない」との見解も示しました。リハビリ専門職の身分法上、医師と連携せずに理学・作業療法を行えば、法に抵触する恐れがあるとのことです。

図4 日本理学療法士協会が会員向けに出した文書
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 実際、理学療法士の訪問サービスを提供している事業者の中には、利用者や家族、施設が要望した場合だけ主治医から指示書を受けているケースが見受けられます。今後、このサービスが全国各地で増えて事故でも起きれば行政の規制対象となる可能性があるため、未然に防ぐには事業者自身や業界団体による適切な対応が欠かせないでしょう。

 とはいえ、自費のリハビリサービスを望む利用者が少なからずいるのも事実。理学療法士の開業資格の問題は残るものの、医師が指示書の発行などでもっと積極的に協力するよう求める声も今後増えてくるかもしれません。

 このように、リハビリに対する社会のニーズが拡大する一方で、介護給付の財源や法規制の問題から、リハビリ「適正化」の圧力は介護保険や保険外の領域で少しずつ強まりつつあります。その流れが今後、医療保険の領域に波及する可能性も否めません。

 既に審査支払機関によるレセプトの査定や、地方厚生局が病院・診療所に行う個別指導・適時調査で、リハビリへの監視の目は以前より厳しくなっています。また2014年度診療報酬改定において、急性期病棟の早期リハビリを評価する「ADL維持向上等体制加算」が新設された一方で、リハビリを出来高で算定できた「亜急性期入院医療管理料」が「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」に再編されるとともにリハビリが包括化される動きがありました。

 次回以降の診療報酬改定の議論では、回復期のリハビリ料の包括化やアウトカム評価といったテーマが俎上(そじょう)に載るかもしれません。

 そこで問われるのはリハビリの質と効率の両立であることは間違いなく、指示を出す医師にもより的確な判断や積極的な参加が求められるのではないでしょうか。
 

 「記者の眼」の記事は、Facebook上のNMOのページにも全文を掲載しています。記事をお読みになっての感想やご意見などは、ぜひFacebookにお寄せください。いただいたコメントには、できる範囲で、執筆した記者本人が回答させていただきます。



http://www.mededge.jp/a/canc/10019
良いニュースを伝えてくれる医者は信頼できる人と思う、楽観的な告知が救い
進行がんの伝え方で、受け手の感じ方を調べた

2015年3月10日 10:30 PM Medエッジ

 良いニュースを知らせてくれる医師が信頼できる人と思う傾向があるようだ。

 ヒューストンにあるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究グループが、米国医師会が発行する有力医学誌のがん領域版であるジャマ(JAMA)オンコロジー誌オンライン版で2015年2月26日に報告した。
楽観的の程度を変える
 研究グループは、100人を無作為に2つにグループに分けて、2通りの短いビデオを見てもらった。医師が進行がんの治療に関する情報を話す場面を描いたものだ。医師は共感するせりふを同じ回数だけ伝え、しぐさは同じであるものの、片方のグループは内容が楽観的になっており、もう片方は楽観的ではないという違いがあった。

 その後で、医師の思いやりについて点数を付けてもらった上で、どちらの医師が信頼できるかなどのアンケートに回答した。
伝える側の気持ちを反映か
 結果として、楽観的な内容を伝えたビデオを見た後の方が、思いやりスコアが高く付けられると分かった。楽観的な内容を伝えた医師の方が「信頼できる」と感じる人が多かった。

 悪い知らせを伝える時には、医師も乗り気ではない。それが伝わってくるのかも知れないと、研究グループは分析している。

 告知の問題にもからんでくるだろう。なかなか楽観的な状況ばかりではないにしても、同じ伝えるならば楽観的な部分もあってほしいところなのだろう。伝え方は大切であって、難しい。

文献情報
Tanco K et al.Patient Perception of Physician Compassion After a More Optimistic vs a Less Optimistic Message.JAMA Oncol. 2015 Feb 26 [Published online]
http://oncology.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2120917



http://www.j-cast.com/2015/03/10230020.html
生活保護受給者5000人超に薬を「過剰処方」 それをネット転売する悪質事例も次々発覚
2015/3/10 19:57  J-CASTニュース

病院をかけ持ちして、向精神薬を必要以上に処方されていた生活保護受給者が、厚労省の調査で2012年の1か月だけで5000人以上にも上っている。多くは、不安になってあちこちで薬をもらったケースだというが、こうした「過剰処方」が不正の温床になる恐れもあるようだ。
生活保護受給者は、医療費が公費で全額賄われ、薬は無料で手に入る。こうしたことから、過剰な診療や薬の服用が起きやすいと言われ、厚労省には、会計検査院からも対策を求められていた。
ブロカーや密売組織が暗躍するケースも
厚労省は、2012年11月の1か月だけで不適切な「重複処方」が全国で5177人もいたことをつかんでいたが、15年3月9日に開いた会議でその改善状況を明らかにした。
それによると、実際に重複処方された受給者は6825人おり、「不適切受診」のケースは、7割超にも上る計算になる。各自治体が改善指導をした結果、大半は必要な分だけの処方に改めたというが、14年3月末で976人が未だに「指導中」となっている。「重複処方」が多いのは、東京都609人、北海道408人、大阪府229人、福岡県199人などとなっている。
生活保護の不正受給は年々増え、厚労省の調べで、13年度は10年前の4倍にまで増えて過去最多の4万件超になった。向精神薬の重複処方を巡っても、受給者が不正に手に入れた薬が闇サイトなどで転売される事件が度々発覚している。
12年は、生活保護を悪用して睡眠薬を転売していた神戸市内の無職の女が薬事法違反の疑いで逮捕されている。この女は、5、6病院もかけ持ちし、確認できただけで、2年間で約400万円を荒稼ぎしていたという。
「貧困ビジネス」としては、生活保護者から薬を買い取るブロカーや密売組織が暗躍するケースもあった。



http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43167
明日の医療
文書による厳重注意で終わった東大教授
白血病治療薬臨床試験(SIGN研究)不正関与事件の処分が確定

2015.03.11(水) 関家 一樹 JB Press

2月3日付の新聞各紙において製薬企業ノバルティスファーマ(以下、ノバ社)が、医薬品医療機器法の副作用報告義務違反で業務停止命令を受ける見込み、との報道がなされた(その後、期間は15日間で3月5日~3月19日と判明)。

 そして10日後の2月13日には東京大学医学部附属病院が、白血病治療薬の臨床試験に対する不正関与事件で、研究代表者である黒川峰夫教授に対して文書での厳重注意を行った、との発表がなされた。

 この2つの医療ニュースはいずれも昨年(2014年)1月17日から報道されている、白血病治療薬タシグナ(R)(ニロチニブ)の臨床試験「SIGN研究」に端を発している。

 SIGN研究は東大病院の血液・腫瘍内科と、同科に事務局を置く研究会組織が主導して行った、医師主導の中立的臨床研究に、当該薬の製造元であるノバ社が不正に関与していたという事件である。

 SIGN研究で発生した問題は、次の3点が挙げられる。

●患者さんのがん情報を製薬会社に流出させた
●製薬会社との利益関係はないとして、参加医療施設の倫理委員会の研究承認を詐取した
●製薬会社との利益関係はないとして、患者さんの研究参加同意を詐取した上で、病態に関するアンケートや投薬を行った

 今回の処分はSIGN研究事件の一区切りと言えるので、その処分結果を検討してみたい。

ノバ社への処分

 ノバ社の今回の業務停止命令で直接の理由とされているのは3264症例の副作用不報告である。これは昨年7月31日に、SIGN研究において副作用報告が行われていないことが公表され、業務改善命令が出されたことを受け、改めてノバ社内において全医薬品について副作用報告の確認を行ったところ判明したものだ。

 製薬企業における副作用の不報告は、それはそれで重大な問題だが、患者さんに対するものではなく、役所に対する報告義務違反である。

 もっとも現在の法制度では、臨床研究に製薬企業が不正関与しているだけでは、同じくノバ社の降圧剤であるディオバン(R)(バルサルタン)で問題とされた薬事法の広告規制か、今回問題とされた研究に付随した副作用報告義務違反、程度しか監督省庁である厚生労働省からの処分事由とできるものがない(刑事法規違反を事由にすることは当然可能であるが、検察庁を差し置いて処分を行うことはできないだろう)。

 しかしSIGN研究が社会的な問題とされたのは「実際の患者さんという、人間に投薬する」臨床研究だからであり、厚労省もそのことを加味した上で今回の処分を行っていると受け止めてよいだろう。

 このように考えるならば、ノバ社の業務停止命令については江戸の敵を長崎で討っている感がある。

 もっとも新たな法規制を臨床研究に対して行うべきかについては、私は反対である。刑法などの既存の法律で、十分に処罰されるべきであるし、そもそも今回の不正関与事件が起きた要因の1つが、大学の自主規制や書類審査を潜り抜けようとしたことにあるからだ。

 規制の強化はかえって研究不正を潜伏拡大させる可能性がある。

今回新たに判明した事項「責任関係の認定」

 昨年(2014年)1月17日に最初の報道がなされてから、東大病院は学内調査・学外調査を経て6月24日に「最終報告」と題する記者会見を行っている。

 しかしこの東大病院の最終報告は「最終」とは名ばかりで、その中では事件関係者の責任関係の認定が抜け落ちていた。

 制度設計をどうするかはその組織の自由であるが、通常は調査委員会の「最終報告」で責任関係の認定をした上で、処分内容のみを懲戒委員会に任せる。したがって今回の2月13日の発表を持って世間一般で言うところの「最終報告」がようやく完成する。

 今回東大病院が発表した責任関係の認定は「黒川峰夫教授に文書による厳重注意が行われました。また、同科元講師にも在職者相当の同様の措置がありました」(同科元講師は既に東大病院を退職)というものである。

 つまり東大病院は「研究代表者とその部下には同様の処分が相当である」との判断に至った、ということが新たに判明した。


 そもそも「文書における厳重注意」という下限に近い処分であるから、揃わざるを得なかったと考えることもできるが、「研究責任者」と表記されることもある研究代表者の教授と、大学の研究室において支配関係にある講師が、同様の処分というのはいかがなものだろうか。

 「研究責任者」という肩書には「責任」を伴わせるべきである。

懲戒処分に要した期間について

 先述のとおり東大病院は昨年6月24日には「最終報告」と題する記者会見を行っており、黒川教授への厳重注意が行われたのは今年2月5日である。

 したがって調査結果が出てから処分までに要した期間は約「7か月」である。ちなみにノバ社は外部調査委員会の調査結果が出てから処分までに要した期間が「3日」である。

 ノバ社の処分に合わせて黒川教授の処分を下したのは、明らかにタイミングを見計らっていたということなのであろうが、そのことにどれほどの意義があるのだろうか?

 教授や講師は一般のサラリーマンに比べれば一応独立しているものの、大学から給与を受けているという点においては労働者としての地位がある、不安定な状況を長期間継続させてはいけない。

 もっとも東大関係者ですら「2~3年かかるのではないか」と平気で言っていた中で、一応の結論を出したことは評価したい。

東大病院の「文書での厳重注意」をどう考えるか

 では東大病院の出した、黒川教授に対する文書での厳重注意を、どう考えるべきなのだろうか。

 大学は刑事責任や民事責任を追及する機関ではない。冒頭のSIGN研究の問題点で上げたように、東大病院は「黒川教授の不正な研究に、東大病院という医療現場や患者さんを利用された」という被害者としての立場もある。したがって本来、民事訴訟の一方当事者として、黒川教授に対して訴訟を提起することも可能だった。

 このような立場にある東大病院が、いかにも中立公平な立場を装うことに疑問を感じないでもない。大学の自治という建前があるのも事実だが、それでは刑事事件になった場合、どのような対応をするつもりだったのか、興味のあるところだ。仮に刑事になったかどうかで処分が変わるのであれば、特段自主性はないことになる。

 ただ、大学が下す処分の軽重としては、私はこれでも良かったのではないかと考える。

 あくまで東大病院が「患者さんに虚偽の説明をした上で、がん情報を流出させ、製薬企業の利益となる研究のために投薬を行った、医師に対しては、文書での厳重注意が相当」という見解を持っている組織だということが判明しただけだからだ。

 東大病院が結論を出した以上、これを重い軽いと考えるのは、患者さんや研究者や医師そして私たちである。

 研究の世界は「信用」が第一の問題とされるべきである。問題のある研究を行った場合は、研究者としての信用を喪失する、これが正常な因果応報関係である。

 この点「東大」というネームブランドに寄って来た相手の寄附金の額を見て、相手のやりたいことを勝手にやらせ印鑑だけつく、それを「研究」と呼ぶのはやはり憚られるべきだろう。

 また医学系研究の世界には新たな問題も生じている。名のある学界の重鎮たちと製薬企業の深い関係だ。これは一連の不祥事を受けて、製薬企業が昨年度(2013年)からの寄附金情報を公開し始めたため、新たに判明してきたことだ。

 こうした人たちの中には実際に製薬企業の社員を自身の研究に関与させていた人たちがいる。これは今回のSIGN研究で問題にされた構図と何ら変わるところがない。

 法規制ではなく、情報公開の促進と、それを受けた上での医師・研究・学会の観察と評価を今後も継続していくこと、これが不正関与事件を抑止する最善の方策であろう。


  1. 2015/03/11(水) 05:46:17|
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