Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

3月9日 

https://www.m3.com/news/iryoishin/301526?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150309&dcf_doctor=true&mc.l=91049041
医療維新
シリーズ: 医師不足への処方せん
東北薬科大学の医学部新設に「待った」
5大学、6県医師会、「結論を容認できず」

レポート 2015年3月9日(月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 2016年度の医学部新設を目指す東北薬科大学の「教育運営協議会」の有志の委員12人は3月6日、同大学に対し、同協議会の進め方について異議を唱え、「結論ありきの運営であり、その結論は到底容認できない」という要望書を提出した。特に、「医師の地域定着策」と「地域医療に影響しない教員採用・看護師採用」について、再度、「教育運営協議会」を開催し、議論を尽くすことを求める内容だ。

 教育運営協議会は、文部科学省が東北地方における医学部新設に当たっての「7つの条件」を満たせるよう、地元関係者との協議の場として設置された。3月2日に第6回会議を開き、東北薬科大学は、一定の意見集約が図れたとし、第6回会議での意見も踏まえ、取りまとめを行い、文科省の「東北地方における医学部設置に係る構想審査会」に諮るよう準備を進めている(『東北薬科大、医学部新設の“第二関門突破”』を参照)。同審査会で医学部新設について合意が得られれば、医学部設置認可の申請を行うスケジュールが予定されている。

 同協議会は32人で構成。内訳は、東北6県の医師会、医学部・医科大学、県の代表者など東北薬科大学外の委員が24人、同大の委員が8人だ。要望書は、県医師会の代表6人、東北大学を除く5医科大学の代表5人と、日本医師会代表1人の計12人の連名だ。

2日の会議で最後まで議論になったのが、「医師の地域定着策」。委員から疑義が呈せられていた一つが、修学資金。卒業生を受け入れ、修学資金を返済(1人3000万円、10年間で返済)する枠組みにどの程度の病院が手を挙げるか、また希望する医学生がいるかなどを疑問視する意見があった。もっとも、この辺りは、実際に募集等をしてみない限り、分からない面もあり、議論を尽くしても反対委員の納得が得られるか、難しいところだ。なお、東北薬科大学の医学部設置準備室は、「対応を検討する」とのコメントにとどまっている。





http://www.m3.com/news/general/301542?dcf_doctor=true&portalId=mailmag&mmp=MD150309&dcf_doctor=true&mc.l=91048822
医師「データを不正操作」 ノバルティス事件聴取に 降圧剤の臨床研究
臨床 2015年3月9日(月)配信共同通信社

 ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンの臨床研究データ改ざん事件で、京都府立医大の研究チームで事務局担当だった男性医師が東京地検特捜部の任意聴取に「臨床データに不正に加筆した」と供述していたことが9日、関係者への取材で分かった。

 臨床研究では、ディオバンを投与した患者グループと別の降圧剤のグループとで、脳卒中や狭心症などの発症状況を比較した。関係者によると、この男性医師は任意聴取に「一部のデータに、狭心症や脳卒中に該当するよう上書きしたが、どの患者にディオバンが投与されていたかは知らなかった」と供述した。

 特捜部は昨年7月、京都府立医大の論文に改ざんデータを掲載させたとして薬事法違反(誇大広告)の罪で、元社員白橋伸雄(しらはし・のぶお)被告(64)と法人としての同社を起訴した。この医師についてはディオバンに有利になるよう故意に書き換えたとは認定できず、罪に問えないと判断したとみられる。

 関係者によると。医師は「論文の締め切りに間に合わなければ人事で不利になると考え、症例不足を補った」と説明。白橋被告から加筆を依頼されたとも供述しているが、白橋被告はこのやりとりを否定し、データ改ざん行為も否認しているという。

 ※臨床研究データ改ざん事件

 ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンを使った京都府立医大など5大学の臨床研究の一部で、データが改ざんされていたことが発覚。厚生労働省の告発を受け、東京地検特捜部が昨年7月、ディオバンに有利になるよう改ざんしたデータを二つの論文に使わせたとして、薬事法違反(誇大広告)の罪でデータ解析を担当した元社員白橋伸雄被告と法人としての同社を起訴した。東京地裁で公判前整理手続き中。ディオバンはノバルティスの看板商品として国内で年間1千億円超を売り上げてきた。



http://www.sankei.com/affairs/news/150309/afr1503090036-n1.html
群馬大病院長から聴取 患者死亡問題で厚労省
2015.3.9 17:16 産経ニュース

厚労省の医療分科会に呼ばれた群馬大病院の野島美久病院長=9日午後
 群馬大病院で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、特定機能病院の承認を取り消すかどうか議論する厚生労働省の社会保障審議会医療分科会は9日、野島美久病院長を呼び、安全管理体制などに関し、事情を聴いた。

 同病院では平成22~26年、第2外科で腹腔鏡を使った肝臓切除手術を受けた患者8人が死亡。40代の同一医師が執刀し、病院は「全例で過失があった」とする検証結果を公表した。手術前の検査や診療録の記載が不十分で、死亡例の検討もされていなかった。

 この医師による開腹手術でも過去5年間に10人が死亡、うち1人の診断書に虚偽の病名を記載していたことが判明した。



http://www.m3.com/news/iryoishin/301586
医療維新
シリーズ: 地域医療構想
報酬削減、「『地方創生』と矛盾」との指摘
厚労省の医療介護総合確保促進会議

レポート 2015年3月9日(月)配信池田宏之(m3.com編集部)

 厚生労働省の医療介護総合確保促進会議の第4回が3月6日に開かれた。2014年度から始まった地域医療介護総合確保基金の使途や基金の事業の評価方法などを巡って議論があった(資料は、厚労省のホームページに掲載)。保険者が、基金が人材確保事業に多く使われている\点に不満を示したほか、診療報酬、介護報酬が削減される流れの中で、「『地方創生』とは逆のことをやっている」と、安倍晋三政権の対応を批判する声も出た。

基金の使途「首傾げるものある」

 始めに厚労省が、2014年度の地域医療介護総合確保基金の配分状況や、2015年度から始まる介護分の基金を説明。医療の2014年度分では、(1)病床の機能分化・連携に関する事業に174億円、(2)居宅等における医療の提供に関する事業に206億円、(3)医療従事者の確保・養成に関する事業に524億円が配分された。全体で、公的機関に24.6%、民間機関に71.4%を配分。

 日本医師会副会長の今村聡氏は、2014年度の医療分の基金について、従来の国庫補助事業から移行したものがある点を指摘して、新規事業を明確にするために「金額や事業数を明らかにしてほしい」と要望。健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、医療従事者の確保に約6割が配分された点を指摘して、「中を見ると、重要な使途なのか、首を傾げざるを得ないものがある」と指摘した上で、2015年度以降は病床の機能分化、在宅医療への配分を手厚くするように求めた。全国健康保険協会理事長の小林剛氏も、病床機能分化への配分が全くない県があるなど地域ごとのに温度差がある点を指摘し、改善するように求めた。

 民間機関への配分割合が、従来の地域医療再生基金よりも増えている点に、疑義を指摘したのは、日本精神科病院協会常務理事の千葉潜氏。千葉氏は、「都道府県が立案し、民間に委託した場合は、どのような扱いになるのか」と指摘。厚労省医政局の担当者は、「民間としてカウントする。ただ都道府県には多様な意見を聞いて立案するように指導している」と回答し、実質的に公的な施策に予算が使われている可能性を示唆した。

「基金効果検証に、数値目標を」

 基金の事業の効果についての意見も出た。今村氏は、2015年度から市区町村が主体となって始まる介護保険地域支援事業の事業項目の中に、基金と重なる部分がある点を指摘し、「全国の現場から整理ができないという声を聞く」と指摘。事業の効果を評価する際に、基金単体でなく、介護保険地域支援事業も含めて、地域全体の取り組みを評価するように求めた。

 白川氏は、各事業の達成状況の評価に当たって、都道府県が数値目標の設定に消極的な姿勢を批判し、「数値目標がないと、評価しづらい。可能なものは全て数値目標を設定するようにしてほしい」と話した。達成の評価を見える形にするように求める声は、他の委員からも出た。目標設定については、今村氏が、実際の目標自体の正当性を検討するように求めた。

「お金の無駄」「有効か疑わしい」
 地方の実態を訴える声も出た。日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏は、「医療や介護がないと人は住めないが、(株式会社が参入できる)介護はニーズが少ない地域にはサプライしない」と指摘。基金で介護人材の確保などがうたわれているが、「似たものの羅列になっている。有効なのか疑わしい」と指摘した。さらに、2014年度の診療報酬改定と、2015年度の介護報酬改定がともに引き下げになっている点に触れ、「安倍晋三政権は『地方創生』を掲げているが、実際は逆のことをやっている。この矛盾を解決してほしい」と、対応を批判した。

 日本病院会副会長の相澤孝夫氏は、地域医療提供体制整備のメリットなどを住民が十分に感じていない点を指摘して、住民を巻き込みながら進める必要性を指摘した。さらに現状として、市区町村同士が自治体を超えて、協力する体制になっていない点を指摘し、「(市区町村がばらばらにやっていては)お金も無駄になる。医療介護確保以前に、地方が潰れるのではないか」と懸念を示した。



http://www.m3.com/news/iryoishin/301461
医療維新
横倉日医会長「必要な税取ってない」
日医、2014年度医療政策シンポジウム

レポート 2015年3月9日(月)配信池田宏之(m3.com編集部)

 日本医師会が3月5日に開いた2014年度の医療政策シンポジウム「少子高齢化時代を乗り切れるか~医療・介護の挑戦~」のパネルディスカッションでは、医療費の在り方などについて、日本医師会会長の横倉義武氏や経済財政諮問会議の委員らが議論した。横倉氏は、「必要な税金を取っていないのでは」などと指摘し、政治家への不満を暗に示しながら、医療への財源手当ての重要性を訴えた。医療への予算配分が潤沢にならないことについて、医療の重要性や良さが、医療界の外に伝わっていないことが一因となっていることを示唆する発言もあった。

横倉氏「なぜ増税を言わないのか」

 パネルディスカッションの参加者は、横倉氏に加え、参議院議員の武見敬三氏、経済財政諮問会議の民間議員で東京大学教授の伊藤元重氏、地方財政審議会会長の神野直彦氏の4人。

 財政状況については、進行役の日医副会長の中川俊男氏が、「日本は財政破綻の危機感がないのではないか。底力があると信じたいがどうか」と参加者に水を向けた。武見氏は、政府が2020年の目標達成に向け力を入れる基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の重要性を認めた上で、「社会のニーズを踏まえて、政治は(医療行政の方針を)見極めないといけない」とした。伊藤氏は、医療以外にも安全保障など多様な分野において、「(各政策における適正化に向けた)目標設定が重要となる」とした。 

 これに対して、社会保障の拡充を求める神野氏は、イタリアがプライマリーバランスの黒字状態を維持しながら財政危機に陥ったことを踏まえ、「プライマリーバラスの黒字化にはあまり意味がない」と指摘。国家財政のための何らかの統制の必要性を認めながらも、「医療サービスなどを充実させるために租税負担を上げることが正しいと思う」と述べた。神野氏の発言を受けて、横倉氏は、「財政悪化の原因は、必要な税金を取っていないことではないか」「もう少し必要な税金を取ることが必要」と指摘。消費税率10%引き上げも先送りされる中で、「日本は、所得税でも課税の最低額が高いのに加え、巨大な企業で法人税さえあまり払っていないこともある。なぜ税収を増やしたら良いということが(政治家はあまり)言えないのか」と、踏み込んだ。

 武見氏は、「税金は景気とにらみ合いながら微妙なバランスを考えないといけない」と説明した上で、税に頼る以外に、積立方式による社会保障財源の確保や、健康保険制度における保険料格差が最大約3倍あることを紹介し、一元化を検討する必要性を指摘した。


日医の横倉義武会長ら4人が、社会保障制度や財政について、それぞれの考え方を述べた。
「医療、全てで改革が必要」

 医療における改革では、伊藤氏が、あくまでプライマリーバランスの黒字化の重要性を強調した上で、医療提供体制や医療保険制度など「全てで改革が必要」と指摘。人口構造の変化やグローバル化などを見据えて、「システム全体を変える流れを考えないといけない」と述べた。

 神野氏は、地域包括ケアの構想の課題について、「いかに絵に息を吹き込むか」と指摘し、地方自治体などが、具体的なイメージを描けるように導く重要性を強調した。さらに規制改革については、「規制改革は緩和だけでなく強化も必要」と発言。市場の活性化のための規制緩和に向かう方向性については、排ガスに対する厳しい規制の結果、環境に配慮した製品が生まれた自動車業界を例に挙げ、規制強化が市場の活性化につながる可能性を示唆した。横倉氏は、住民の視点を持って改革を進める必要性を指摘した上で、従来のように、2025年に向けた改革を段階的に進め、急な変化で医療現場が混乱しないように求めた。

 規制強化のよる市場活性化や段階的な改革を求める声が出る中、伊藤氏は、社会システムにおける多様性の重要性を強調。エネルギー政策において、原子力発電から太陽光などの自然エネルギー重視にシフトした経過について「社会主義Aから社会主義にBに変わっただけ。目標が二酸化炭素削減ならば炭素税の導入も考えられる」と、視点を変える必要性を指摘。市場について「欲望だけでなく多様なチャレンジをして進むのが重要。都道府県の医療費格差も比較があって良い」とした。武見氏は、数値化目標を立てた上で改革にあたる重要性を述べた。

「医師会が情報発信を」

 次いでトレードオフがテーマに。中川氏は、「各種改革で乗り切れるのではないか。トレードオフで(医療の質を下げるのは)まだ先の話と信じたい」と切り出した。伊藤氏は、医療における「費用、質、アクセス」内でのトレードオフについて、「高額療養費かアクセスか。(どれを諦めるかは)価値観の違いだと思うが、議論が必要ではないか」と発言。医療が国家財政の上でも大きな問題であることを、意識するように求めた。武見氏は、優先度が低い施策について、達成を遅らせることで、順番に改革していくアイデアを示した。

 神野氏は、国民において、医療や教育、育児といった分野の充実に対しては、負担増を容認する流れがあることを指摘した上で、「農道は不要だが、病院なら欲しいという声がある中で、地域の構想に住民が発現できる機会を与えるのが重要」とした。さらに人口減少について、「マイナスだけでない」と指摘し、政治などが、未来のビジョンを明確に示すことで、「確信が強ければ、成功する確率が上がる。国民の生活の質を上げるチャンスではないか」とした。

 横倉氏は、小泉純一郎政権の時、社会保障費の伸びが毎年2200億円抑制する方針が打ち出され、医療に大きな影響が過去に触れて、同様の事態が起きないように釘を刺した。その上で、医療の結果でなく、プロセスを評価する仕組みを導入するアイデアを示した。伊藤氏は、医療について、医療界の外個から見て、プロセスなどがわかりづらいことを指摘し、「(医療界などから)情報発信を医師会などがしっかりやることが必要。理解が深まれば増税も可能になる」と指摘。医療の重要性や良さが伝わっていないことが、医療への財源配分への一つの障壁になっていることを伺わせた。



http://www.m3.com/news/general/301453
不便さ解消へ「病院に薬局」検討…厚労省反発か
行政・政治 2015年3月9日(月)配信 読売新聞

 政府の規制改革会議は、病院などの医療機関の敷地内に薬局を置くことを認めていない「医薬分業」の見直しを検討する。

 医療機関で受診後、薬局まで移動しなければならない不便さを解消しようというものだ。規制を緩和し、独立した経営の薬局を病院内に設置することを認める案などが浮上しているが、医薬分業を推し進めてきた厚生労働省は反発するとみられる。12日の会議で議論が始まる。

 厚労省は、薬の過剰投与などを防ぐため、医療機関の窓口で薬を受け取る「院内処方」より、医師の処方箋を受けて薬局の薬剤師が調剤する「院外処方」を推進してきた。1974年には院外処方に大幅に診療報酬がつくよう改定。省令で、薬局が「医療機関と一体的な構造や経営」となることも禁じている。経営的に従属してしまうと、薬剤師が医師の処方箋や過剰投与などに疑問を呈したりすることができなくなるためだ。構造的な規制として、病院と薬局間のフェンス設置なども定めている。



http://www.m3.com/news/iryoishin/299883
シリーズ: ここがおかしい!ここが問題!医療界
「大学、診療の役割増すべき」は半数以下◆Vol.11
「教育」「診療」「研究」、従来の評価は高く

レポート 2015年3月8日(日)配信池田宏之(m3.com編集部)

Q12 大学医学部や大学病院が、果たしている役割
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 大学医学部や大学病院は、「教育」「診療」「研究」の3つの役割を担っている。Q12では、病院医師限定で、それぞれについて、果たしている役割や、今後の在り方について聞いた(回答数:246人)。

 現状で果たしている役割の中で、「重要」「ある程度重要」を足した割合が最も大きかったのは「教育」で92.3%に上った。教育については、各県に最低1つは設置されている医学部や医科大学の果たしてきた役割への評価は高いことが伺える。

 「診療」も90.2%、「研究」も84.2%でとなり、いずれも8割以上の医師が肯定的な回答を寄せた。民間病院では担えない大規模臨床試験や最先端医療の実践の場としての評価が高いことが伺える。「重要でない」「あまり重要でない」はいずれも1割に満たなかった。

Q12 大学医学部や大学病院が、今後果たす役割
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 Q12では、3つの役割について、将来的な在り方を聞いた。「役割を増すべき」との回答が最も多かったのは「教育」で66.3%。医学生の質担保について聞いた質問でも、医学教育へ期待する声が大きく、特に、臨床現場に出るまでの教育は、大学が中心に担っているため、「教育への期待」は、将来に渡っても大きいとみられる(『医学生の質担保、医学部教育への期待が多数◆Vol.10』を参照)。

 次いで多かったのは「研究」で、「役割を増すべき」は50.4%となった。臨床研究中核病院は、基本的に大学病院レベルの規模の病院が担うことになる中で、役割の増加に期待する声が半数を超えた。ただ、「今のまままで良い」も42.3%となった。

 「今のままで良い」の割合が「役割を増すべき」の回答を上回ったのは、「診療」。「診療」においては、大学病院が各地域の診療の中心を担ってきた一方で、大都市圏を中心として、大学病院以外の地域の基幹病院や専門病院も多いことから、「診療」への期待度は相対的に低くなったとみられる。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20150309-OYT1T50047.html
治療薬データ改ざん、医師が架空の症状加筆供述
2015年03月09日 10時17分 読売新聞

 高血圧治療薬「ディオバン」を巡るデータ改ざん事件で、京都府立医大の臨床研究チームの事務局担当だった男性医師(53)が、患者データに架空の症状を加筆していたことが関係者への取材で分かった。

 このデータは、男性医師らが執筆したディオバンに関する論文に反映されており、男性医師は東京地検特捜部の事情聴取に、「加筆は完全な作文。不正な行為だった」と供述しているという。同事件で大学側の不正が明らかになるのは初めて。

 ディオバンの効能を検証する臨床研究は2004~09年、同大の付属病院を含む関連31病院が参加して約3000人の患者を対象に実施した。ディオバンを投与した患者グループと、その他の降圧剤を投与した患者グループに分け、3年程度の経過観察を経て狭心症や脳卒中などの発症頻度を比較した。カルテ情報を基にした各患者のデータはまず同大の事務局に集められ、事務局が資料化して外部の医師3人で構成する委員会に提出。委員会は05年3月~09年1月、数百人分の患者データについて狭心症などの症状が出たかどうかを判定した。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=112829
手術同意書「こんなスカスカな」…遺族側弁護団
(2015年3月9日 読売新聞)

 「技術が稚拙」「ここまで記載のないカルテは見たことがない」――。

 群馬大学病院(前橋市)で肝臓手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、6日記者会見した遺族側弁護団は、専門医の協力を得て行った独自調査に基づき、重大な問題点を次々と明らかにした。

 弁護団によると、執刀医が怠った術前検査について「医師100人のうち100人が、しないことはあり得ないと答える」と専門医は指摘。手術の録画映像については「血の海の中で手術しているような状態。肝臓を周りからはがしたり、出血を止めたりする操作全部が悪い」と評した。

 会見では患者の同意書のコピーが示された。うち1人のものは「腹腔鏡(ふくくうきょう)手術」という記載すらなく、手術による死亡リスクや、他の治療の選択肢の記述は一切なかった。

 弁護団の梶浦明裕事務局長は「こんなスカスカな同意書は通常ない」とし、患者への説明と同意が不十分なまま手術をしたことを「傷害行為にもなり得る」と強調した。上司で管理責任がある教授にも「過失がある」とした。弁護団長の安東宏三弁護士は「教授によるチェック体制が機能していなかったのが最大の問題だ」と述べた。



http://www.m3.com/news/iryoishin/301617
シリーズ: 混迷する”医療事故調”の行方
「刑事事件は激減する」、根拠なし
全医連の事故調シンポ、「非懲罰性」「秘匿性」厳守を

レポート 2015年3月9日(月)配信橋本佳子(m3.com編集長)

 全国の勤務医で組織する全国医師連盟(代表理事:中島恒夫氏)は、3月8日に第4回「医療事故調シンポジウム」を都内で開催し、「医療事故調査と刑事捜査に対する緊急声明」を公表した。今年10月から、医療事故調査制度が開始されてもなお、「事故調査と刑事司法の関係性は全く改善されていない」と指摘、医療者は、院内および第三者機関が、医事紛争を可能な限り避けられるような事故調査報告書を作成し得る能力と見識を有し、信頼に値するか否かを見極めた上で、調査への協力・非協力を判断する必要があるとしている。さらに、業務上過失致死罪の医療事故への適用についても、引き続き議論していくことを求めている。

 緊急声明は、2014年2月に起きた東京女子医大のプロポフォール投与事故で、医療事故調査報告書を捜査機関に提出したという、今年2月の報道を受けたもの。同声明では「事故調査制度が開始されれば、刑事事件は激減する、という声があったが、本事故はその根拠が全くないことを明らかにした」と指摘。WHOドラフトガイドラインでは、医療安全分野の報告システムを構築する場合、報告した医療者の「非懲罰性」、報告された情報の「秘匿性」を求めているが、報告書の捜査機関への提出はこの原則に反する。

 さらに緊急声明は、まさに佳境を迎える医療事故調査制度の制度設計の議論を踏まえたものとも言える。厚生労働省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」では、2月25日の第6回会議で議論を終える予定だったが、院内調査報告書の遺族への交付の是非をめぐり、意見が分かれ、結論は出なかった(『「激論、4時間強」、“事故調”結論出ず』を参照)。仮に報告書交付が事実上原則になれば、WHOドラフトガイドラインが定める「非懲罰性」や「秘匿性」は担保されない。

 この点をめぐる議論について、興味深いエピソードを紹介したのは、同検討会の構成員で、日本医療法人協会常任理事の小田原良治氏。第6回会議に先立ち、厚労省から事前配布された資料と、会議当日の資料が異なっていたことを明かした。院内調査結果の遺族への説明方法について、「管理者が判断」が削除され、「遺族に対して分かりやすく」が「遺族が納得する形」に代わるなどの変更が加えられた。報告書の交付義務化ではないものの、遺族側の意向に翻弄されかねない説明方法に構成員から疑義が呈せられていた。


 小田原氏は、1999年に起きた東京都立広尾病院事件を例に挙げ、民事裁判の判決を基に、「事実経過をどこまで説明すればいいのか」と、「遺族が納得する形」で説明する難しさを指摘。同判決により、1999年2月11日に消毒薬の誤投与後に患者が死亡した翌12日にはその可能性を説明、12日の夕刻には誤投薬の可能性が高くなったことや、各種検査などで死因究明を進めることを遺族に伝え、2月20日に書面で中間報告、3月6日に病理組織学的検査の結果などを報告したなどの経過が明らかになっている。

 長崎県の諫早医師会副会長を務める満岡渉氏も、「遺族が納得する形」をめぐり、第6回会議で議論になったことを問題視。「現場で医療者を守るために、『そんなことはできない』『それでは医療安全につながらない』という大きな声を上げるべきなのに、日本医師会が猛然と反発したという話は一切聞かない。ここで声を上げずに、いったいどこで声を上げるのか」(満岡氏)。

 「医療安全」と「説明責任」は峻別
 「医療事故調シンポジウム」では、10月からの医療事故調査制度のスタートを前提に、現場の勤務医、開業医、病院管理者はどう対応すべきかという視点から、計4人医師が講演。

 勤務医の立場から、全医連代表理事の中島氏は、医療事故調査の基本的姿勢として、(1)次の医療事故被害者を生まない、(2)次の世代に安全な医療を提供するための議論の場とする、(3)地域医療の持続可能性を提供する――という点を挙げ、「『今が良ければいい』『自分さえ良ければいい』という人は、日本の医療を語る場から退場してもらいたい」「医療安全には、費用も人手時間もかかることを知ってほしい」と述べ、真に医療安全に資する制度を構築する重要性を訴えた。

 その上で、中島氏は、医療事故が起きた場合、個人責任に終わらせる傾向があり、現場の勤務医には「敵」が生じ得ると指摘。(1)自分の身を守ることを第一とする、(2)基本的人権を自ら放棄する必要はない、(3)自分自身の弁護士と相談する、(4)自分の診療技術をいかんなく発揮できる環境を整えてくれる病院管理者の下で働く――ことが勤務医には求められるとした。


 開業医の立場から発言した満岡氏は、今回の医療事故調査制度は、「医療の内」、つまり日常診療の延長線上で取り組みであっても、「医療安全」が目的であり、「説明責任」が目的ではないことを強調。この点は、厚生労働省が「医療事故調査制度に関するQ&A」でも、再三説明していると指摘した。

 その上で満岡氏は、誤投薬など、単純事故が繰り返される現状への対策を打たないまま、新しい制度を作っても意味がない上に、事故報告書の取り扱い次第では、かえって紛争に発展したり、責任追及につながりかねないとの懸念を呈した。「事故調は危ない制度になるかもしれないという不信感を持っている」と語る満岡氏は、「この不信感が払しょくされない限り、制度に協力できない」と語気を強めた。さらに、今後、各県医師会で今後新設が想定される「事故調査支援部」は、既存の「紛争処理委員会」との混同が起こらないよう、医療安全のための事故調査に特化すべきと主張した。

 小田原氏は、病院管理者の立場から発言。第三者機関である医療事故調査・支援センターに対し、医療事故を報告するのは管理者であるなど、「今回の制度は、管理者という言葉が医療法上でたくさん入っており、管理者の役割は大きい」と指摘。管理者にはまず(1)医師法21条 、(2)WHOドラフトガイドライン、(3)基本的人権(黙秘権)――についての理解が求められるとし、「行政に依存せず、自分の組織は、自分で判断・決断」という姿勢で、院内の医療安全体制を組織、運営していくことが必要であり、その意味で「管理者の資質が問われる」と強調。その上で、「『これは必要』というものを報告し、一つひとつ事例を集積して、分析していくべき」と述べ、「小さく産んで、大きく育てる」制度を提言した。

 事故調査、黙秘権侵害の恐れも

 論旨明快に「黙秘権と医療事故調査」と「医療行為のミスを刑事手続で裁く問題」を説明したのは、医師で弁護士の長谷部圭司氏。まず「黙秘権と医療事故調査」について、憲法38条に「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と規定されているにもかかわらず、医療事故の当事者の証言が報告書に記載され、それが刑事事件の証拠として使われることになれば、「黙秘権の告知もなく、自身の自白が刑事事件の資料として、自分を裁く証拠となる。これは事実上の黙秘権侵害と言える」と指摘。医療事故の調査と医療者の黙秘権の保護を両立させるには、(1)黙秘権を告げた上で調査を行う、(2)当事者を交えた医療事故調査は行わない――のどちらかの選択をするしかないとした。しかし、これでは医療安全のための調査が難しくなるため、「結局、医療事故関係者の刑事免責しかない」と長谷部氏は主張。

 また「医療行為のミスを刑事手続で裁く問題」について、長谷部氏は、「医師は、普通に仕事をして、単にミスをすれば刑事事件で逮捕され得る職業」とし、こうした状況で「その職業を全うできるのか」と問いかけた。医師には応召義務が課せられるが、「そもそも医師は、当然病気を治そうとしても、その危険が顕在化することはあり得る」点からも、刑事責任を問うことを問題視。

 その上で、長谷部氏は国家公務員とのユニークな比較を提示。国家賠償法において、国が公務員の代わりに賠償する責任を負っている根拠は、(1)公務員の個人責任を追及すると、公務が萎縮する、(2)公権力の行使として行われる公務の執行には、違法な加害行為を伴う危険が内在している――などであるとし、「リスクの伴う医療行為を医師に強制し、失敗したら刑事責任を問うのが現状。これで医療に萎縮効果がないとでも言うか」と長谷部氏は問いかけた。

 「確認、根性、気合い」で医療事故は防げず
 中島氏と満岡氏の発言で、共通していた一つが、薬の取り違えなど、単純ミスと言われる事故が繰り返される現実だ。医療事故調査制度については、調査の在り方やその結果の取り扱いをめぐる論議が中心で、肝心の再発防止策の議論はほとんど行われていない。2人がともに指摘していたのは、個人の責任に帰していたのでは、再発防止策を講じることはできない点だ。

 満岡氏が例に挙げた一つが、2014年4月に国立国際医療研究センター(東京都新宿区)の造影剤の誤投与事故。この事故では、脊髄造影には禁忌の「ウログラフイン」を誤って投与して患者が死亡、医師は同年12月に書類送検されている。「病院の記者会見では、担当医まで特定された。重大な医療ミスとして警視庁として届け出たが、この背景にあるシステムエラーをなおざりにした」(満岡氏)。そのほか、高濃度カリウム製剤の希釈ミスや、点滴用(10%)と静注用(2%)のキシロカイン製剤の取り違えなどの事故は後を絶たないと指摘。10%キシロカイン製剤を廃止するなど、抜本的な対策を講じるのが、真の医療安全であるとした。

 中島氏は、「確認、根性、気合いで医療事故は防げない」と手厳しく批判。日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業や、PMDA(医薬品医療機器総合機構)による注意喚起も、十分ではないとした。



http://irorio.jp/nagasawamaki/20150309/211895/
「病院内に薬局がないのは不便」と、政府が”医薬分業”の見直しを検討へ!
長澤まき
2015年03月09日 13時02分 IRORIO

政府が「医薬分業」の見直しを検討するという。

見直しで、不便さの解消を狙う
読売新聞は8日、政府の規制改革会議が、病院の敷地内に薬局を置くことを認めていない「医薬分業」の見直しを検討すると報じた。

医薬分業を見直すことで、患者が病院で受診後に、わざわざ薬局まで移動しなければならない不便さを解消することが狙いだという。

医薬分業とは?
医薬分業とは、「医師が処方箋を交付し、病院の敷地外にある薬局で薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行う」というやり方。「薬の過剰投与」などを防ぐためとして、厚生労働省が医薬分業を推進してきた。

日本では、以前は院内に薬局を併設している病院が多かった。しかし、厚生労働省の推進により、医薬分業を行う医院は増加。平成元年に11.3%だった医薬分業率が、平成15年には50%を突破、平成24年には66.1%になった。

「勝手にジェネリックに変更された」と医師
しかし、医薬分業を疑問視する声も多い。

平成26年に医療専門サイトが行ったアンケートによると、医薬分業には「病院の在庫管理が楽になる」などのメリットはあるが、「薬局が勝手に薬をジェネリックに変更する」「院内処方よりも料金が高くなり、患者の負担が増える」などのデメリットもあるという。

また、ドラッグストア大手の子会社「くすりの福太郎」やイオン子会社の「CFSコーポレーション」の調剤薬局が、薬の服用歴などの情報を記録せずに患者に薬を渡していたことが発覚したことなどにより、利益追従する薬局の体制に疑問の声が集まっている。

元厚生労働相らが見直しを提言
元厚生労働相が代表を務める「市民の目線で医療と介護を考える会」は4日、医療・介護のあり方に関する報告書を塩崎厚生労働相に提出。 

医薬分業のあり方について、このような提言をした。

患者・利用者の視点で見て、どれだけ効用を発揮しているのか改めて検討すべき時期に来ている

高齢者などの目線に立ってみた場合、院外へ薬を取りに行かないといけない「医薬分業」は不便だと言えるだろう。

ネット上には賛同する声が多数
この動きを受け、ネット上には多くの反響が寄せられている。

病院の敷地外に薬局が隣接しているケースが多いことを指摘し、「形だけだ」「意味がないのでは」と指摘する声がみられた。

医薬分業の見直しについて、12日の会議で議論が始まる。しかし、医薬分業を推進してきた厚生労働省の反発は必至だろう。

・出典元:平成23年版厚生労働白書 - 厚生労働省



http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0310/tbs_150310_6959170133.html
誤った造影剤を注射し患者死亡、医師を在宅起訴
TBS 3月10日(火)0時26分

 東京の国立病院でレントゲン検査を受けた患者が死亡した問題で、東京地検は、注意書きなどを確認せずに誤った種類の造影剤を注射したことが原因だとして、医師の女を業務上過失致死の罪で在宅起訴しました。
 在宅起訴されたのは、東京・新宿区の国立国際医療研究センター病院に勤務していた医師の飯高世子被告(30)です。起訴状などによりますと、飯高被告は去年4月、女性患者(当時78)のレントゲン検査を行った際、脊髄への使用が禁止されている種類の造影剤を注射し、死亡させた業務上過失致死の罪に問われています。

 東京地検によりますと、造影剤には「脊髄には使用禁止」などと箱に注意書きがありましたが、飯高被告は見逃していて、副作用などの確認も行っていなかったということです。患者の死亡後、病院側は原因の調査を行い、「造影剤の使用にミスがあった」として遺族に謝罪していました。(09日20:46)



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09HET_Z00C15A3CC1000/
群馬大病院の報告書「内容不十分」 厚労省分科会
2015/3/10 1:18 日本経済新聞

 群馬大病院の特定機能病院の承認を取り消すかどうかを審議する厚生労働省の社会保障審議会医療分科会は9日、同病院の野島美久病院長らを呼び、一連の経緯などについて事情を聴いた。委員からは「最終報告書の内容が不十分」などの厳しい指摘が相次ぎ、必要があれば追加の資料提出を求めるという。

 会合は非公開。厚労省によると、同病院側は「全8例で過失があった」とする報告書に沿い、死亡事例の検証が不十分だったなどと説明。委員からは「病院の安全に対する意識が薄いのでは」「再発防止策が機能する体制なのか」などの意見も上がったという。

 同分科会は群馬大病院のほか、集中治療室(ICU)で鎮静剤を投与された男児が死亡した東京女子医大病院について、審議している。特定機能病院の承認が取り消された場合、診療報酬上の優遇が受けられなくなる。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09HAU_Z00C15A3CZ8000/
群馬大、過失招いた閉鎖性 腹腔鏡手術8人死亡
2015/3/10 1:21日本経済新聞 電子版

 群馬大病院で腹腔(ふくくう)鏡による肝臓切除手術を受けた患者8人が死亡した問題で、病院が「すべて過失だった」との報告書を公表、波紋が広がっている。報告書は、治療チームが閉鎖的体制を続けたことが背景にあったなどとしたが、専門家からは病院全体の検証・チェック体制のずさんさを指摘する声があがる。厚生労働省も事態を重くみて、実態把握を進めている。

■不安ぬぐえず

 「妻の手術でも過失があったのでは……」。2年前、同病院で妻(64)が胆管がんの開腹手術を受けたという栃木県足利市の男性(63)は不安を隠せない。妻の手術は、問題となっている40代の医師が担当した。今も「痛みが取れない」と訴えることがあり、男性は「過去に手術を受けた他の患者にも十分な説明をしてほしい」と訴える。

 群馬大病院が3日公表した報告書によると、問題の医師が所属する第2外科は2010年に腹腔鏡を用いた肝切除手術を導入。1年未満に4人が死亡したが手術は進められ、計8人が亡くなった。ミスによる出血などが原因とみられ、「他の医療事故と比べても深刻なケース」(厚労省幹部)だ。

 遺族側弁護団は「死亡1例目で報告や改善がされていれば、その後の患者の死亡は避けられた」と批判、刑事告訴も検討する。2月に心筋梗塞で手術を受け、通院する前橋市の男性(75)は「問題が放置されたことが恐ろしく、病院を信用できなくなる」と話す。

■症例数増やす?

 腹腔鏡手術は、腹部に開けた小さな穴にカメラや器具を差し込み、臓器の切除や縫合をする術式だ。開腹手術に比べ手術の傷が小さくて目立たず、身体への負担も少ないとされる。肝臓は内部に血管が多く通り、難易度が高いとされる。肝臓手術の専門医らは「腹腔鏡手術は訓練と経験が必要」と口をそろえる。若手医師向けに専用の訓練施設を設ける病院もある。

 肝胆膵(すい)手術が専門の具英成・神戸大教授は「これほど深刻な事態に至ったのは、診療科内で担当医の手術経験、能力の評価や手術成績の検証など、チェック体制がずさんだったためではないか」と指摘する。

 「死亡例があれば、普通なら原因が究明されるまで新たな手術はストップする。執刀医には『症例数を増やしたい』という強い思いがあったのではないか」。腹腔鏡手術に詳しい関東地方の外科医の一人は、報告書を見て首をかしげる。

■情報共有されず

 同病院の外科は第1、第2に分かれ、それぞれに肝胆膵や呼吸器などの診療チームが重複して存在する。第2外科の肝胆膵チームの医師は2人。第1外科にも肝臓専門医はいたが、数少ない人材が分散され、情報が共有されることもなかった。

 報告書は「他からの意見や批判を受けることもなく、閉鎖的な診療体制が続いていたことが事故の背景に存在する」とした。病院では05年に生体肝移植手術の提供者となった女性が下半身不随になる事故が起きたことを挙げ、「同様の構造的問題が背景にあった」と指摘した。

 肝臓手術に詳しいがん研有明病院(東京・江東)の門田守人病院長は「手術直後の死亡例などがあれば、当事者を含めた複数の医師で原因を検証することは各病院で行っていること。群馬大病院は早急な体制の見直しが必要だ」と話す。

  1. 2015/03/10(火) 05:33:30|
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