Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月24日 

http://credo.asia/2015/02/25/insufficiency-doctor/
日本は本当に医師不足なのか?未来の医師数を決める医学部入試今日から実施
橋本 直也 2015/02/25 credo

2月25, 26日は国公立大学の入試です。国公立大学の医学部入試も同日に行われます。(私立大学医学部は既に入試が始まっています)

医学部入試の定員数は、未来の医師数を規定します。医学部入試は、日本における未来の医療のあり方を決める、重要な医療政策の一つです。本記事では、医学部入試を通して、昨今叫ばれている日本の「医師不足」について取り上げます。

「医師不足」を考える際、「数」と「分布」にわけて考える必要があります。まず、「数」はどうでしょうか?



日本の医師は不足しているのか

下の図をみてください。OECD(経済協力開発機構)がまとめた国民1000人あたりの医師数を示しています。データは2012年の数値を用いています。(以下図は全て筆者作成)
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(OECD公表データ)

日本(赤で示しています)は、OECD諸国の平均(黄色で示しています)を下回り、下から6番目となっています。医師数の定義が若干違う国が混じっているのですが、その点を考慮しても、国際的に見て日本は人口あたりの医師数が少ないという事実は揺るぎません。まず、「数」は少ないのです。



医学部定員は増員されている

この「数」が少ないことに対して、医学部定員を増員するという対策がとられてきました。下のグラフを参照してください。医師不足の状況を受け、緊急に医師数の増加が必要という閣議決定が2008年になされ、翌2009年以降の定員数が一気に増えました。
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(文部科学省公表データ)

医学部志望者にとっては定員増は良いニュースかと思われますが、この医学部定員増とともに志願者も増加傾向にあり、入学の倍率自体は横ばいの状況です。



医師の分布はどうか

実は、「数」が少ないことに加え、「分布」の偏りがあります。下に示したグラフは、2010年に厚生労働省が調査したデータに基づいています。全国の病院を対象にした調査で、現状の医師数/必要な医師数で必要医師倍率を計算しています。
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(厚生労働省公表データ)

まず、倍率が全国で1倍を越えているため、全国的に医師が不足していることがわかります。それに加え、都道府県でその不足の程度に偏りがあることがわかります。

倍率が低いほうが医師の充足に近いことを示しますので、東京都や大阪府など大都市を抱えた都道府県でより医師充足傾向がみられています。医師の「分布」は、大都市に偏っているのです。この地理的な分布の偏りとともに、産婦人科の医師不足など、診療科による分布の偏りもみられています。



医師分布への対策

より深刻な「地方での医師不足」に対応するため、医学部入試では、地域枠の設定を行っています。地域枠とは、医学部のある都道府県内の出身者を対象とした推薦入試の実施や、卒後数年間の医学部のある都道府県内での勤務を条件とした奨学金の給付などを通して、地方に残る医師を確保する取り組みです。

2008年時点では33大学403人だった地域枠は、2013年時点で69大学1396人に拡大されています。このほか、大学病院と地域病院の連携を強め、地方においても専門的な研修が受けられるようにするシステムの構築や、地域医療を担う意欲を高めるような医学部における教育体制の充実などが行われています。


今後に向けて

「数」不足や「分布」の偏りに対する対策は始まっています。しかし、高齢化社会によって患者の増加も予想される中で、このスピードでの医師数増加が適切か否かは今後見極めていかなければいけません。

また、数を増やしたことで都市から地方に医師が移動するであろうという当初の予想(歯科医師ではこの現象がみられました)が、医師においてはあまり見られていないのが現状です。この「分布」の偏りの是正のため、先に書いたような対策がなされていますが、いずれも強い強制力がない点が弱みです。

各国の対応はどうでしょうか。たとえばフランスでは、医学部6年生のときに全国の医学生全員がECNという全国統一試験を受け、その成績順に国の出先機関である州保健庁がその医学生が研修医として働く診療科、勤務地を決定します。医学生は希望を事前に提出しますが、成績が悪ければ希望通りにはならないしくみです。このしくみによって、医師の診療科偏在、地域偏在がコントロールされています。イギリスにおいても、政府によって専門医定員数、地域医師数が規定されています。

現時点で、日本では医師の希望通りに診療科や勤務地を選択できます。世界一の長寿国となった日本の医療は胸を張っていいはずですが、医師数の不足と分布の偏在は確かに起きている問題です。これから来る未来への対策とその効果判定をしっかり行っていく必要があります。

医師不足対策の一つとしての医学部入試に、今後も注目が集まります。

[参考文献] Photo by www.audio-luci-store.it



http://www.iga-younet.co.jp/news1/2015/02/49-4.html
赤字補てんに4.9億円上野総合市民病院 伊賀市が補正予算で
編集部 (2015年2月24日 12:47) 伊賀タウン情報 YOU

 伊賀市は2月24日、病院事業会計の2014年度決算見込みを発表し、同市四十九町の上野総合市民病院(281床)が拡充した医師と看護師の給与費が収入の増加分を上回り、大幅な赤字になることを明らかにした。市は同年当初予算に盛り込んだ2億円に加え、更に4億9千万円の財政健全化補助金を繰り出すため、市議会3月定例会で補正予算案を提案する。
 財政課によると、不足していた同病院の常勤医と看護師の人数は14年1月1日現在で医師16人、看護師100人だったが、1年後には医師3人と看護師14人が新たに増えた。それに伴って、給与費は昨年度に比べ約3億円多い22億3598万円に膨らんだという。

 診療収益は昨年度、入院看護基準が勤務する看護師1人当たりの患者数を10人から7人に変更した結果、入院収益は1億852万円の増収を見込んでいる。一方、外来は患者数の減少で年間4289万円の減収予定で、入院と外来を合わせると6566万円の増収とみている。

 最大の課題は入院収益の増加で、13年度実績の1日平均入院患者数は98人。今後は入院を担当できる医師を採用し、1日平均入院患者数を増やす。福永泰治副院長によると、内科医が3月に1人、4月に2人の計3人採用できる見込み。改修工事が終わって今年4月に再開する5階のがん療養病棟(69床)の診療体制が整えば、大きな増収が見込めると話す。



http://www.minyu-net.com/news/topic/150224/topic6.html
産科医目指す学生を支援 県、修学資金を20万円増額
(2015年2月24日 福島民友トピックス)

 2月定例県議会は休会明けの23日、代表質問に入り、自民党の杉山純一議員(大沼郡)が登壇、内堀雅雄知事の政治姿勢や風評被害対策、農業、産業の復興に向けた県の取り組みなどをただした。24日も代表質問を続行し、民主・県民連合の渡部譲議員(会津若松市)が質問する。
 県内の病院などで一定期間勤めることを条件に医学生に貸し出す修学資金で、県は新年度、産科医や小児科医など周産期医療分野を目指す学生に対する月額の支給額を20万円増額する。併せて、福島医大に整備する「周産期医療人材養成支援センター(仮称)」で同大の既存講座と連動した医師養成を進め、原発事故後に医師不足が深刻化している周産期医療を担う人材確保策を強化する。杉山純一議員の質問に鈴木淳一保健福祉部長が答えた。
 県によると、医学生への修学資金は通常、月額15万円だが、周産期医療分野に進む意思のある学生に対しては月35万円に引き上げる。また、卒業後の臨床研修などの費用として月額20万円を貸し出す制度と、修学資金の貸与制度との併用を認める方針。併用は他の診療分野では認めていない。
 周産期医療人材養成支援センターについては、センター長1人と産科、小児科の医師各2人を配置。同大の産婦人科学、小児科学の各講座と連携した研修などを行い、医師を養成する。



http://mainichi.jp/area/gifu/news/m20150224ddlk21010025000c.html
中津川市:15年度予算案 産科充実に1億8408万円 総額748億4293万円 /岐阜
毎日新聞 2015年02月24日 地方版

 中津川市は23日、一般会計361億9900万円(前年度比0・4%減)、総額748億4293万円(同2・2%減)の2015年度当初予算案を発表した。市民病院の産科医療体制の充実などに1億8408万円を計上、“里帰り出産”の受け入れ再開を目指す。

 市民病院は産科医師不足により、“里帰り出産”など分娩(ぶんべん)を制限している。産科医師を増やして常時2人体制を整えるほか、ドクターカーを24時間運用する。

 このほか、放課後施設整備に9758万円を充てるなど「将来を担う人材が育つまち」などを主要事業に挙げた。また「地域活力」に向けて、11月完成予定の「苗木交流センター」整備費(2億4671万円)、19年完成を目指し「新衛生センター」の測量設計、用地取得費(7856万円)などを盛り込んだ。【小林哲夫】



http://www.yomiuri.co.jp/national/20150223-OYT1T50056.html
刑務所の医師、民間兼務OK…なり手不足解消へ
2015年02月24日 10時29分 読売新聞

 法務省は、刑務所などで働く医師の不足を解消するため、勤務時間内の民間病院との兼業を可能にするなど、勤務要件を柔軟にする方針を固めた。


 特例法案を今国会に提出し、早ければ今夏にも実現させる考えだ。

 刑務所や少年院などの矯正施設で収容者を常勤で診察する医師は「矯正医官」と呼ばれる。今年1月時点で、全国158施設の定員計327人に対し、欠員は約23%の75人に上る。常勤医師が1人もいない施設は31ある。

 法務省では「矯正医療の崩壊につながりかねない」と危機感を抱いている。受刑者の高齢化が進み、受刑者を外部の医療機関に搬送する例が増え、「逃走のリスクに備える職員の負担も重い」(法務省)状況だ。

 背景には、矯正医官は国家公務員であるため、原則的に兼業が禁止されていることがある。民間医療機関の勤務医の場合、他の病院で経験を積み技術を磨くこともできるが、矯正医官は施設内での症例に限られ、日進月歩の医療技術に対応できなくなることを懸念する声がある。給与水準も民間医療機関の医師より低い。このため、特に若手のなり手が不足して、平均年齢は50歳を超える。



http://www.m3.com/news/iryoishin/297750
医療維新
「2035年」見据え、長期ビジョン策定へ
厚労省の懇談会が初会合、今年6月に報告書

レポート 2015年2月24日(火)配信橋本佳子(m3.com編集長)、成相道子(m3.com編集部)

 厚生労働省の第1回「保健医療2035」策定懇談会が2月24日に開催された。座長には、東京大学大学院医学系研究科国際保健政策学教室教授の渋谷健司氏が就任。渋谷氏も含めた構成員は計14人で、うち4人の厚労官僚は、現職の立場ではなく、有識者の1人として参加する。平均年齢は42.7歳と、厚労省の会議としては若い。


 今後、月2回程度、会議を開催し、今年6月までに、2035年を見据えた保健医療の長期ビジョンと、それまでの間の短期・中期的な施策についても、現在進行している制度改革の動きも踏まえて報告書をまとめる予定。

 会議の冒頭のあいさつで塩崎恭久厚労相は、医療技術の進歩や急激な少子高齢化など、医療を取り巻く環境が大きく変化していると指摘、日本の強みを生かした国際貢献も重要であるとし、「これまでよりはるかに長い視野である20年後の2035年を見据えた保健医療政策のビジョンを明らかにするとともに、それを踏まえた短期、中長期の課題解決に向けた政策立案とその実行が必要だと考えている」と述べ、懇談会発足の経緯を説明した。さらに、高齢社会の先進国である日本が、どのように保健医療の問題を克服するかは、世界各国から注目されているとし、「懇談会の議論が世界の期待にも応えることになるように願っている」と期待を込めた。

 フリーディスカッションとして行われた第1回会議では、基本的考え方として、診療報酬の改定率などの目先の議論ではなく、長期ビジョンを見据えた施策をしっかり考えていくべきとの意見が挙がった。保健医療制度のサステナビリティー(持続可能性)についても議論があり、医療の質をエビデンスベースでいかに測定、評価するか、医療の質と財政をいかに両立させていくか、さらには、より広義に捉え、コミュニティー、生き方なども含めて、制度の在り方を考えていく必要性も指摘された。

 今後、2、3回は自由に議論を行い、アイデアを出し合う予定。「そこから共通項を導き、中間的に取りまとめ、さらに議論を深めていく」(本懇談会の事務局長を務める、NPO法人日本医療政策機構理事の小野崎耕平氏)。

 14人の構成員中、4人が厚労官僚

 3時間弱にわたった第1回会議は、非公開で行われた。会議後にブリーフィングした小野崎氏は、その理由を「自由に、是々非々で議論してもらうため」と説明。

 構成員に厚労官僚が入ったのは、「民間の有識者のみで議論すると、実効性を担保しにくい。一方で、厚労官僚も、長期ビジョンを考える機会がなかったり、担当が違っていて、保健医療政策に意見を言いにくい場合がある」(小野崎氏)などの理由からだ。利害調整の場でもないと言い、個々人が自由に議論する場であることを強調した。

 小野崎氏は、懇談会の特徴として、「他の検討会等と一番違うのは、20年後という時間軸で考えている点。目先の施策を視野に入れた議論は結構あるが、2035年までを視野に入れた議論はない。既存の施策に捉われることなく、より思い切った提言ができる」ことを挙げる。もっとも、今通常国会にも法案が提出されるなど、各種の制度改革が現在進行中だ。「大臣からは、制度改革は非常に時間がかかるので、20年後を見据えた上で、今やらなければいけないことを特定してもらいたいと言われている」(小野崎氏)。

 構成員は、医師、大学教授、研究者など。医師の若手の一人が、起業家でもある山本雄士氏。山本氏との共著を持つ厚労官僚の武内和久氏も構成員だ(『「僕らが元気で長く生きるのに…」上梓のわけ - 武内氏・山本氏に聞く』を参照)。そのほか、アドバイザーとして、日本医師会会長の横倉義武氏ら4人が参加。


 「効率的かつ効果的な医療につながる方策」

 塩崎厚労相は冒頭のあいさつで、「自由な議論を期待するが、例えば保健医療システムがより持続可能なものとなるように、健康づくりや予防について個人、医療機関、保険者、自治体など、全てのプレーヤーへのインセンティブの在り方や、医療の質の向上が結果として効率的かつ効果的な医療につながる方策、世界最高水準の我が国の医療モデルを海外に展開する戦略などについて、幅広い議論を聞かせてほしい」と語った。

 第1回会議は、今後の運営方針を確認後、フリーディスカッションが行われた。1人3つずつ、2035年の保健医療を考える上でのキーワードについて発言してもらったという。

 議論は抽象的な内容が多かったというが、挙がったキーワードとして、小野崎氏は、(1)個人の健康づくりを促すためのインセティブの導入、健康寿命を延伸するための取り組み、(2)日本の保健医療システムの国際的の貢献、(3)少子高齢化を見据えた持続可能性、(4)医療の質の向上とバリューを高めるための方策、(5)制度のサステナビリティー(持続可能性)――などを紹介した。



http://www.sankei.com/affairs/news/150224/afr1502240042-n1.html
診療報酬詐取の疑い 無資格医療、3人再逮捕
2015.2.24 19:30 産経ニュース

 千葉県警は24日、医師免許がないのに医療行為をし、診療報酬を詐取したとして、詐欺容疑で同県松戸市にある「東洋医心会東葛整形外科・内科」経営山本武男容疑者(67)ら男3人を再逮捕した。

 3人の再逮捕容疑は、無免許で昨年3月、注射などの医療行為を800回以上行い、同5月に県後期高齢者医療広域連合などから計約244万円の診療報酬をだまし取った疑い。

 県警によると、山本容疑者が医師を装い、ほかの2人は診察書類の作成を担当。ほかの2人のうち1人は容疑を否認している。

 県警は今月4日、手術や注射などの医療行為をしたとして、医師法違反容疑で3人を逮捕していた。



http://www.huffingtonpost.jp/foresight/medical_media_tv_b_6733540.html
悪意あるテレビ報道にどう対処すべきか
髙本眞一
投稿日: 2015年02月24日 13時27分 JST Huffinton Post BLOG

 メディア、特にテレビでは医療をとり上げることが多くなりました。高齢化が進み、国民の健康に対する関心が高まっているからでしょう。医療現場で奮闘する医師や医療従事者のドキュメンタリー、医師を主人公にしたドラマ、地域における医療施設の新たな取り組み、最新の医療技術の紹介などなど――。挙げればきりがありません。特徴としては、どちらかというと医療関係者を肯定するものが多くなっているように思います。フリーアクセスながら安い医療費の陰で、疲弊する医療現場の苦難を、メディアの人々も感じ取っているからかもしれません。
 しかし、つい最近まで真逆の時代がありました。医療過誤で医師が刑事告訴される事件が相次ぎ、激しい医療バッシングが起こった1990年代後半から2000年代前半の時期です。「医師は犯罪者、患者は被害者」の構図をメディアが好んで報道したせいで、患者側は治療に疑心暗鬼となり、正当な医療行為についても疑いの目を向けるようになりました。
 そんな時代、私もテレビ報道の恐ろしさに震撼した経験があります。ある日、ふとテレビを見ていると、私が執刀した手術の映像が流れているではありませんか。個人の名前こそ出ていませんでしたが、「東大の心臓血管外科で医療事故」とのタイトルで、聞こえてくる術者の声は、確かに私のものでした。名前が出ていなくても、すぐに私が執刀しているとわかります。一体何が起きたのか――。テレビの画面を前に呆然としました。弁明をする機会も与えられず、数分に編集された同様の映像が、数日間のうちに、すべてのキー局で流されました。

 「子供は殺された」と言って、位牌を前にして涙ぐむ男性は、この報道の半年近く前に私が手術をした患者さんの父親でした。患者さんは、幼児だった25年位前に私の先々代の教授が2回も手術し、先天性疾患としては一応治癒していました。しかし、先天性心疾患のせいで、大動脈基部が拡大し、大動脈瘤となり、手術が必要と判断されていました。先天性の心疾患で、辛い運命を背負った我が子を不憫に思ったのでしょう、ご両親は、そのお子さんをたいへん可愛がっていました。

 それまで2度の手術をしたので癒着(本来離れているべき臓器・組織面が接着してしまうこと)もあり、難しい大動脈基部の手術でしたので、教室の責任者として私が手術を執刀することになりました。決して良い状況の手術ではなく、医療バッシングの嵐も吹いていたので、手術前の説明は通常以上に丁寧にしました。

 手術は10時間以上にも及びました。癒着しているので、手術中いろいろな場所から出血しましたが、止血しながらの手術は、それでも成功したのです。けれども術後の経過は予断を許さず、手術をした動脈ではなく、肺からの出血が見られました。なんとか助けたいと肺に連なる気管支動脈にコイル塞栓術(血管内治療)をしたり、気管支動脈、肋間動脈を閉塞するために、下行大動脈にステントグラフトの留置をカテーテルにより施すなど(連載第10回参照)、懸命な処置が続きました。けれども、患者さんと我々医師たちの奮闘虚しく、約1カ月後、その方は亡くなりました。

 ICU(集中治療室)で患者さんの父親に死亡を告げると、彼は激情にかられ、「お前たちが殺した!」と叫びながら、暴れまわりました。肺からの出血は先天性心疾患の影響で肺動脈が異常に増生したためと考えられ、その旨を何度もお父さんに説明しましたが、その説明をきちんと受け止めてくれてはいなかったようです。手術が失敗しての死ではない事実、手を尽くす中で死は避け難かった事実を、いくら話してもお父さんの怒りは、収まりません。
 しかし、私は、我が子を亡くした父親の深い悲しみに触れ、彼を非難する気持ちにはなれませんでした。暴れることで気がすむならば、好きなだけ、暴れさせてあげたいと感じました。
 けれども残念ながら、父親の激情はICU内でとどまらず、弁護士を雇って我々を刑事告訴しようとしました。最初は、警察も動いて関係者の事情聴取が行われたのですが、手術部位とは違うところでの出血と、1カ月は延命していたので、医療事故でないのは明らかでした。相手の弁護士に証拠として、カルテと手術の一部始終を写した映像を提出して、しばらくたつと弁護士も事件性がないと判断したのでしょう、説得しても訴えると主張し続ける父親のもとを去っていきました。
 そして孤立してしまった父親が最後にとった手段が、メディアを味方につけてのバッシングだったわけです。

 テレビで流された映像は、10時間に及ぶものを数分に編集していました。
 映像とともに流される私の声は、「穴があいているから」というものでした。手術の最中は、全神経が手術に集中しているので、発する言葉は意味不明な場合も多いです。
 誤解される可能性のある「穴があいているから引け」という言葉について説明します。血液を吸引しているときに吸引管の先端がどこかの壁にくっついてしまうと吸引ができません。そこで、吸引ラインに針で穴をあけ、吸引管の先端が壁にくっついても、その穴から空気が入ることにより陰圧がなくなり、再び吸引管の先端が壁から離れて、吸引が正常に行われるようになります。ですから、「穴があいているから」というのは、吸引ラインに穴が開いているから、吸引は心配なくやっても大丈夫だという意味だったのです。
 しかし、テレビでは、その音声と別の場面の映像が組み合わされて編集され、まるで心臓に穴があいてしまったと言わんばかりの内容になっていました。視聴者の誰もが、医師が誤って心臓に穴をあけてしまい、大量の出血が起こり、患者を死亡させたという印象を持ったでしょう。しかし、手術のビデオでは大出血した状況は全く写っていませんでした。

 さらに悪意を感じたのは、私が冗談めいたことを言って、周囲のスタッフが笑う音声が編集されて流され、コメンテーターとして登場している医師が、「手術中に笑うなど、許せません」と解説をしていた点です。手術が10時間以上にもなると、張り詰めた緊張感を和らげるようにしないと、強いストレスでミスが起きやすくなります。そこで、リラックスした雰囲気をつくるために世間話をしたり、冗談を言ったりする外科医はたくさんいます。
 そうした状況は、同じ医師であれば、理解しているはずなのに、「笑うのはおかしい」とコメンテーターの医師は断言していた。私は、父親の行動がいくら常軌を逸したものであっても、悲しさがなせることと心のどこかで許したいと感じていましたが、医療の専門家が、テレビの医療バッシングの意図に同調して、信じられない発言をしているのには、怒りを覚えずにはいられませんでした。

 私は、周囲に名誉棄損で訴えないのかとアドバイスされたりもしましたが、ことを大きくすれば父親の立場が悪くなるに違いないので、沈黙を守りました。
 それに、結果的には、テレビの報道は2、3日で下火になり、テレビ局も、父親による勢い余っての行動であったことに気づいたのでしょう、何もなかったように、この事件の報道は途切れました。しかし、まったくひどいテレビ局の編集でした。
 心臓血管外科の友人には、「これからは、テレビには気をつけろよ」と耳打ちされました。
 以降、東大病院では、手術中、映像は撮っても、音声は録音しないようになりました。音声の編集で、ありもしない医療事故があったかのように放映されたからです。音声は教育的材料としても不要でしたし、悪意ある改ざんを許さないために録音は取りやめられました。これを機に、音声を録音していた医療施設が次々と映像の撮影だけに切り替えていきました。

 報道の自由と言われますが、メディアは、ありもしないことでも、あったかのように見せられます。関係する方々には、ぜひ話題性や風潮に流されず、真実を報道してほしいと願います。今は、医師にとって理不尽な見方は少なくなってきたように感じますが、いつ、なんどき、なにかをきっかけにして、またバッシングが始まるかわかりません。ただ、ひどい報道をされた私ですが、それでもメディア嫌いにはなっていません。確かに、どんなメディアも諸刃の剣であり、その報道が社会の役に立つこともあれば、悪影響を及ぼすこともあります。また、医療においては、最終的にはすべて人が行っていることで、絶対はないのです。そうした医療の本質に対して、医療者も患者さんも、きちんと理解を深めれば、メディアがどんな非合理的な報道をしようとも、振り回されたりはしないでしょう。
 メディアも何のために報道をするのでしょうか。真実を伝え、それによって社会をよくする事が報道の使命でしょうが、ビデオを悪意でもって編集し、「特ダネ」として自分の業績だけを上げる事を考えたのではないでしょうか。正義と真実を伝えるために頑張るメディアの原点を忘れないで欲しいものです。(構成・及川佐知枝)

髙本眞一
1947年兵庫県宝塚市生れ、愛媛県松山市育ち。73年東京大学医学部医学科卒業。78年ハーバード大学医学部、マサチューセッツ総合病院外科研究員、80年埼玉医科大学第1外科講師、87年昭和病院心臓血管外科主任医長、93年国立循環器病センター第2病棟部長、97年東京大学医学部胸部外科教授、98年東京大学大学院医学系研究科心臓外科・呼吸器外科教授、2000年東京大学医学部教務委員長兼任(~2005年)、2009年より三井記念病院院長、東京大学名誉教授に就任し現在に至る。この間、日本胸部外科学会、日本心臓病学会、アジア心臓血管胸部外科学会各会長。アメリカ胸部外科医会(STS)理事、日本心臓血管外科学会理事長、東京都公安委員を歴任。 手術中に超低温下で体部を灌流した酸素飽和度の高い静脈血を脳へ逆行性に自然循環させることで脳の虚血を防ぐ「髙本式逆行性脳灌流法」を開発、弓部大動脈瘤の手術の成功率を飛躍的に向上させたトップクラスの心臓血管外科医。
関連記事



http://www.sankei.com/economy/news/150224/prl1502240026-n1.html
【医師アンケート調査】医師が自身で行っている”花粉症対策”は?
2015.2.24 12:38  産経ニュース

メドピア株式会社
治療の開始時期は「2月」、最重要視する花粉除去対策は「マスク」、 治療法は「薬物療法(ケミカルメディエーター受容体拮抗薬)」が1位に

医師7万人以上が参加する医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)を運営するメドピア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:石見 陽)は、会員医師を対象に『医師自身の花粉症対策』についてのアンケートを実施し、以下のとおり結果を取りまとめました。

■サマリー

「いつ頃から花粉症の治療を始めるか」について、「2月」と回答した医師が最も多く、花粉症の医師の36%を占めた。次いで多かったのは「何もしない」という回答で花粉症の医師の25%だった。
「最も重要視している花粉の除去対策は何か」について、「マスク」と回答した医師が最も多く、全体の41%を占めた。「空気清浄機」という回答が、16%で次に多かった。
「自身で行っている、もしくは花粉症の家族に勧める花粉症の治療法」について、「薬物療法」と回答した医師が71%と大半を占め、中でも、抗ヒスタミン薬などを含む「ケミカルメディエーター受容体拮抗薬」を服用している医師が最も多く、57%を占めた。

■調査概要
・調査期間:2015年2月13日(金) ~ 2015年2月19日(木)
・調査対象:医師専用サイトMedPeerに会員登録をする医師
・有効回答:【1】3,916人/【2】3,928人/【3】3,900人
・調査方法:医師専用サイト 「MedPeer」内の「ポスティング調査」コーナーにおいて、MedPeer事務局(運営:メドピア株式会社)より、医師会員自身の花粉症治療関する以下3つの質問を投げかけました。
【1】「いつ頃から花粉症の治療を始めますか」
【2】「家庭や職場で最も重要視している花粉除去対策は何ですか」
【3】「ご自身の花粉症に対してどのような治療していますか?あるいは花粉症のご家族にどのような治療法を薦めますか?」

■調査結果
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[画像1: http://prtimes.jp/i/10134/27/resize/d10134-27-575922-1.jpg ]
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[画像3: http://prtimes.jp/i/10134/27/resize/d10134-27-595017-3.jpg ]
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[画像4: http://prtimes.jp/i/10134/27/resize/d10134-27-338455-4.jpg ]

■回答コメント抜粋(ランキング順)
【1】いつ頃から花粉症の治療を始めるか
< 2月>
・花粉飛散の2週間前で十分と思います。(40代、耳鼻咽喉科)
・2月よりゴールデンウィークまで飲んでいます。(50代、産婦人科)
・飛散予想が出始めた頃から始めます。(50代、一般内科)
・2月から抗ヒスタミン薬を飲み始めます。(30代、精神科)
<何もしない>
・重症ではないので対処療法しています。(30代、血液内科)
・マスクを着用するなどの、予防だけで経過をみています。(40代、感染症科)
・症状がひどいときのみ、点鼻薬等で対処。(50代、一般内科)
<3月>
・くしゃみや鼻水、目の痒みなど一般的な症状を感じたら、内服を開始し、コントロール困難なら点鼻点眼をします。(30代、泌尿器科)
・少し遅めですが、最近の薬は比較的速効性があるような気がします。(50代、一般内科)
・ほぼ対症療法のみですのでシーズンインしてからです。(20代、循環器内科)
<1月>
・初期治療として飛散開始(予報)の2-3週間前から服薬を始めています。(50代、一般内科)
・発症1月前ぐらいのレーザー治療がベスト。(50代、耳鼻咽喉科)
・1月から開始したほうが後々絶対に良い。(50代、一般内科)
<前年12月以前>
・一年中、抗ヒスタミン剤を飲んでます。(40代、一般内科)
・通年性なので1年中薬服用しています。(50代、一般内科)
・ブタクサへの反応もあるので早めに始めています。(50代、精神科)
<4月>
・症状が出てから対症療法。(40代、心療内科)
・くしゃみが出ます。基本的に、かなりきつくなるまでは薬は飲みません。(30代、循環器内科)
・北海道なのでシラカバの飛ぶ前に。(50代、一般内科)

【2】最も重要視している花粉除去対策は何か
<マスク>
・マスクでかなりの花粉を防ぐことができます。(60代、放射線科)
・各人の症状に応じてと思いますが、基本はこれでかなり違うと思います。(50代、小児科)
・物理的なシャットアウトなので、実効性があると考えています。(30代、整形外科・スポーツ医学)
<空気清浄機>
・極めて有効性が高く、また安全性が高い、副作用が少ない。経済効率がよく、高齢者にも安全性が高く、併用薬にも問題は少ない。(50代、循環器内科)
・空気清浄機を使うと目のかゆみが楽になります。(20代、一般内科)
・効果の程は不明ですが、5年くらい前より使用しています。(50代、産婦人科)
<洗濯物を外干ししない>
・花粉を屋内に入れない最低限の対策をしています。(50代、一般内科)
・いろいろ気を付けても、これをしてしまうと台無しですからね。(30代、精神科)
・外干ししないことがメインですが、マスクや空気清浄機も使う時期ですね。1つではなく、複合的に行わなければならないかと。(30代、膠原病科)
<帰宅後、髪や衣類を払う>
・とにかく花粉の接触を避ける。それと体調管理が基本だと思います。(60代、一般内科)
・花粉を持ち込まないのが一番です。これ以外にも、外出時のマスクとゴーグル、空気清浄器の使用などを実践しています。(50代、健診・予防医学)
・家族のために外出から帰った際は、クリーナーで衣類を吸引します。(60代、麻酔科)
<花粉対策メガネ・ゴーグル>
・眼鏡により、眼に入る花粉は半減させることができる。(40代、眼科)
・眼症状が最もつらいので、合理的と思います。(40代、麻酔科)
・内服薬で鼻汁は抑えられるのですが、目がかゆいので花粉用メガネを使用します。(50代、放射線科)
<布団クリーナーを使う>
・リビング、寝室に置いて対応していますね。(40代、消化器外科)
・今年新たにクリーナーを購入した。(60代、リハビリテーション科)
・最近はいろいろと術がふえどれが最適か悩むようになりました。(30代、代謝・内分泌科)
<その他>
・私も家族も花粉症ではないので対策自体、行ってません。(30代、一般内科)
・帰宅後の洗顔のみです。(50代、一般内科)
・特に何もしないで内服薬のみで対処する。(50代、精神科)

【3】自身で行っている、もしくは花粉症の家族に勧める花粉症の治療法
<薬物療法>
・基本的には抗ヒスタミン剤の内服。症状によってステロイドの点鼻の併用。重症の場合は手術療法も考慮。(40代、耳鼻咽喉科)
・抗ロイコトリエン薬が、有効性が高く、何より副作用が少なく使い易い。(50代、循環器内科)
・第二世代以降の抗ヒスタミン薬は眠気も少なく使いやすい。(60代、一般内科)
・花粉からの防御を第一にして、薬物治療は最低限にしています。(50代、一般内科)
・来年は舌下免疫療法をやってみたいです。(30代、精神科)
・点鼻のステロイドを使います。内服は眠くてだめです。(50代、一般内科)
・いろいろ試みたが、結局点鼻ステロイドが一番有効。(50代、脳神経外科)
・本格的な鼻閉になってしまった場合、一番効果があるのは血管収縮薬です。これがないと息もできません。もちろん、他の治療薬も併用しての話ですが。(30代、小児科)
・漢方薬でいけています。(50代、一般外科)
<治療は何もしない>
・対症療法のみで様子をみています。(40代、一般外科)
・軽症なので対策はしていません。(30代、麻酔科)
・できるだけマスクで対処しております。(40代、脳神経外科)
<サプリメント>
・長期的な副作用を考えると、まずはサプリメントを考えます。(30代、呼吸器内科)
・乳酸菌系のサプリを内服していますが、内服してから、シーズン中に使用する抗ヒスタミン剤の回数が激減しました。自分にはあっていると思います。(50代、産婦人科)
・去年から腸内細菌叢改善目的でフルクトオリゴ糖内服を始めたらピタッと鼻詰まりがなくなった。腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸による制御性T細胞活性化が原因か?と考えている(50代、腎臓内科・透析)
<手術療法>
・年1回レーザー受けています。(40代、整形外科・スポーツ医学)
・手術は数年間は有効ですが、粘膜が再生してくると再発します。(50代、一般内科))
<その他>
・私の場合は眼の症状を抑えれば鼻炎まで進行しないので、先に点眼薬をもちいています。(30代、呼吸器内科)
・洗眼剤で目を洗うのと、鼻うがいをするくらいです。(50代、一般内科)
※その他、花粉症ではない、という回答が多数

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http://www.m3.com/news/iryoishin/297642
医療維新 シリーズ: The Voice
厚労省が実態調査をあきらめた理由
院外調剤は時代にそぐわない

渡辺亨(浜松オンコロジーセンター院長)
オピニオン 2015年2月24日(火)配信

 チーム医療を重視する方向はオンコロジーだけに限ったことではないでしょう。オンコロジーではとりわけ医師、薬剤師、看護師など、異なったプロフェンションの協調は不可欠であり、チームとしての協力が前提として診療が成り立っています。がん薬物療法を専門とする腫瘍内科学が日本でも2000年前後から急速に発展しており、がん治療において内服薬剤の占める比率も急速に増大している昨今、チーム医療を分断するような「院外調剤」は全く時代にそぐわないものと実感されます。

 2月23日の朝日新聞にも、福太郎だけでなく、HACドラックも、そして、芋づる式にその他の調剤薬局でも、薬剤調剤歴の記載漏れと、不正請求が行われている、という記事が一面に掲載されていました。その実態はあまりにも広範囲に及んでいるため、厚生労働省も、本腰を入れた捜査はあきらめている、とも書かれていました。監督官庁である厚生労働省が、実態調査に匙をなげてしまった、ということは、薬剤調剤履歴の記載を怠っている調剤薬局が大多数ということなのでしょう。つまり、薬剤調剤履歴を記録すること自体、無意味なこと、と認識されているということなのだと思います。

 ではなぜ、調剤薬局薬剤師は、薬剤調剤履歴を無意味と考えているのか、そこに、院外調剤という制度自体の矛盾、無理があるのだと思います。履歴を記録出来るだけの、情報がない、履歴を記録する必要性がない、履歴を記録できるほど、患者は継続して調剤を依頼しない、薬剤師に、記録をするだけの能力がない・・・。そもそも、保険医(つまり、保険診療を行うことが許可されている医師)が守るべき、法律として「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(通称「りょうたん」)があります。

 第二条の五は、(特定の保険薬局への誘導の禁止)が以下のように規定されています。「当該保険医療機関において健康保険の診療に従事している保険医(以下「保険医」という。)の行う処方せんの交付に関し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行つてはならない。」つまり、患者には「どうぞお好きな薬局でお薬を買って下さいね。」と言わなくてはならないということです。

 患者に「◯◯2丁目の越後屋薬局は抗がん剤のことをよく勉強している薬剤師がいるからおすすめですよ」とか言ってはいけないのです。ということは、患者は自由に、今日はA薬局、次はB薬局、あそこはコーヒーがただだから来月はC薬局にしようと、かならずしも、決まった薬局に通い続けるわけではないのです。すると、調剤薬局側から見ると続けてこないのだから「履歴記録」というものが意味を成さないことになります。なぜ、特定の保険薬局への誘導が禁止されているのかというと、「患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、保険薬局から金品その他の財産上の利益を収受するから」というのが理由です。

 「宮悪クリニック様、なにとぞ、私共に処方箋をお申し付け下さい。つまらないものですが、これでひとつwin-winということで・・」、「おっ? そうか、越後屋、お前も悪よのー」の性悪説に基づいて、ユダヤの戒律のように整備された法規なので、形ばかりの「履歴をつけなさい指示」は、そもそも制度的に無理があるのです。この際、院外調剤への不自然な行政誘導は打ち切るべきだと思いますね。というか、もうすでに、院外調剤を廃止に追い込むための準備が始まっていると考えてもおかしくはないのではないでしょうか。


※本記事は、2015年2月10日にオンコロジストの独り言―腫瘍内科医が本音で語る過去、現在、近未来のがん医療―で掲載した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



http://www.m3.com/news/iryoishin/297657
医療維新
シリーズ: 東京女子医大事件
東京女子医大幹部から安全管理体制聴取
厚労省審議会、特定機能病院の承認取消の是非を審議

レポート 2015年2月24日(火)配信高橋直純(m3.com編集部)

 厚生労働省の社会保障審議会医療分科会(会長:楠岡英雄・国立病院機構大阪医療センター院長)が2月23日に開催され、医療事故が生じ、医療安全管理上の問題があるとされる東京女子医科大学病院の幹部を呼んで、事故に至った経緯などの事情を聴いた。分科会では特定機能病院の承認を取り消すか否かについての審議が行われており、今回が2回目(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

 分科会は非公開で行われ、終了後に厚労省医政局総務課が審議内容を説明した。東京女子医大から出席したのは岡田芳和病院長、副院長2人(医療安全対策部門、看護部門)、薬剤部長の計4人。これまでの経過、事案発生時の医療安全の体制、発生事案の原因分析状況、再発防止策などについて説明があり、委員からは「複数あるICU間で情報共有されていたのか」「職員の研修が十分に行われていたのか」といった質問が寄せられた。「事実関係の確認が主で、淡々と質疑応答があった」(総務課)という。現状で厚労省が把握している以上の新しい情報はなく、引き続き審議することで意見が一致した。

 次回3月9日は群馬大学病院の病院長を呼んでヒアリングを行う。3月27日に両病院に関する審議を行い、その後の進め方などの方針を決める予定。

 女子医大病院は、2014年2月、小児の鎮静用には禁忌のプロポフォール投与の大量投与で男児が死亡するなど、医療安全管理体制が問題視されており、2月19日には遺族が東京女子医大の麻酔科医ら5人を傷害致死罪で、刑事告訴している(『女子医大の医師ら5人、遺族が傷害致死罪で告訴』を参照)。


  1. 2015/02/25(水) 05:58:12|
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