Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

2月9日 

http://www.topics.or.jp/localNews/news/2015/02/2015_14234429338434.html
半田病院、教育関連病院に認定 日本内科学会が町立で全国初
2015/2/9 09:47 徳島新聞

 つるぎ町立半田病院は、日本内科学会から「教育関連病院」に認定された。認定病院は現在全国に660あるが、町立病院では初めて。病気の原因解明のために行う「病理解剖」の実績などが評価された。教育関連病院は、学会所属医師の約7割が持つ「認定内科医」の資格取得を目指す医師の研修施設となるため、研修のため同病院に勤務する医師が増えることが期待される。

 半田病院は病床数120で、常勤の内科医が5人いる。病理解剖については専用の解剖室を持ち、心不全で亡くなった患者の死因を究明するなど、毎年1例以上の実績がある。学会による教育関連病院の認定審査では、医師同士が解剖の結果について話し合う同病院の「臨床病理検討会」について、臨床医と病理医が丹念に死因究明を行っていると評価された。

 認定内科医は、学会が高度な医療知識や技術を持つと評価した医師に与える資格。これを取得するには、教育関連病院など学会認定の病院に一定年数勤務し、研修を受ける必要がある。

 地方の病院では医師不足が課題となっており、須藤泰史院長は「若い医師は積極的に地方の病院に来てほしい」と話している。

 県内では半田病院のほか、徳島市民病院など8病院が教育関連病院、県立中央病院など3病院がさらに高い医療レベルを備えた「教育病院」に認定されている。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03112_03
レジデントのための「医療の質」向上委員会
■第2回:安全性(2)医療過誤は,誰のせいで起こる?

反田 篤志(米国メイヨークリニック 予防医学フェロー)=担当
週刊医学界新聞 > 第3112号 2015年02月09日

本連載では,米国医学研究所(IOM)の提唱する6つの目標「安全性/有効性/患者中心志向/適時性/効率性/公正性」を軸に,「医療の質」向上に関する知識や最新トピックを若手医師によるリレー形式で紹介。質の向上を“自分事”としてとらえ,日々の診療に+αの視点を持てることをめざします。


(前回からつづく)
【事例提示】

 内科ローテート中,一睡もせず迎えた当直明けの朝。糖尿病のある高齢の女性患者が,肺炎と軽度の急性腎不全で入院してきた。

 普段はメトホルミンで血糖値がコントロールされているが,入院時の血糖値は280 mg/dL。メトホルミンを中止し,インスリンのスライディングスケールをオーダーし,抗菌薬と点滴を含めた他の入院オーダーも入力した。オーダリングシステムと紙カルテが併存しているため,薬の指示は紙カルテにも書き込まなくてはならない。それを終え,指示棒も出しておいた。

 他病棟で回診をしていると,担当の看護師からPHSに「今の血糖値が高いのでインスリンを打ちたいが,オーダーがない」と連絡があった。スライディングスケールは食前の指示なので,今のインスリン量の追加指示を出してほしいとのこと。足早に戻り,紙カルテ上に「インスリンR4Units SQ」と指示を走り書きし,回診に戻った。

 1時間後,慌てた様子の看護師からPHSに「患者さんが床に倒れていて,意識がない」と連絡が入った。急いで病室に戻ると,患者は顔と腕に擦り傷があり,完全に意識不明。血糖値は測定不能なほど低値だった。50%糖液静注を何度か繰り返し,やっと軽度混濁まで意識は回復した。

 担当看護師に聞くと,新人看護師に指示してインスリンを打たせたとのこと。新人看護師は「指示通り40 単位打った」と言う。上級医が指示書きを確認すると,「Unit」の「U」が「0」に見え,確かに「40」と読める。

 頭部CTは正常だったが,患者はまだ少し混乱した様子。左足を痛がるのでX線写真を取ると,左大腿骨頸部骨折が判明した……。

Q: 最も責任が重いのは誰か?
 A. オーダーを書いた研修医のあなた
 B. 指導責任のある上級医
 C. 患者の担当看護師
 D. インスリンを投与した新人看護師

 医療安全の第2回は,ケースから学んでみたいと思います。まずは上の事例と設問を読んでみてください。

ほとんどの医療過誤は,“出来の悪い”個人が原因ではない

 医療過誤が起こったとき,個人の責任を追及するのは簡単です。なぜなら,“誰が何をしたか”は比較的明らかにしやすい事実だからです。事例からも「読み間違えられる指示を書いた研修医が悪い」「実際にインスリンを投与した看護師のほうが悪い」と言うことは誰にでもできます。

 一方で“なぜ間違いが起きたのか”を明らかにすることは簡単ではありません。さらには“エラーが起きた根本原因を見つけ,それを取り除く”ことは至難の業です。新人看護師は,配属されてまだ一週間で,プロトコールに慣れていなかったのかもしれませんし,確認する時間がないほど忙しかったのかもしれません。はたまた上司の看護師が厳しく,投与量への疑問を言い出せなかったのかもしれません。研修医のあなたも,カルテの文字が乱れたのは寝不足のせいかもしれませんし,20人の患者を回診するために,座って清書する時間も惜しかったからかもしれません。

 なぜ看護師はインスリンを誤投与したのか。なぜあなたは読み間違えやすい指示を書いてしまったのか。“なぜ”を突き詰めて考えていくと,潜在的な要因が複数存在することがわかります。ほとんどのエラーには,そうした複数の潜在的な誘因があります。そして,ほとんどの医療過誤は “一生懸命働いている優秀な医療従事者”によって引き起こされます1,2)。“他の人より出来が悪いから”,“不注意だから”,エラーが起きるわけではないのです。

大事なのは,エラーが発生する 仕組みを理解すること

 では,重大な有害事象に通じるエラーはどのように発生するのでしょうか。その機序は下図の「スイスチーズモデル」で説明されます3)。

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図 スイスチーズモデル
 チーズのスライス一枚一枚は「担当看護師」や「投与プロトコール」などエラー発生を防ぐ機構を表します。それぞれの機構には“穴”があり,100%の防止機能を持つわけではありません。しかし例えばインスリン投与量のエラーも,担当看護師が投与量の確認の電話をかけたり,「紙カルテの指示は看護師二人で確認する」というプロトコールを遵守すれば,未然に防げます。こうした何重もの防止機構により,ほとんどのエラーは患者に害を及ぼすまでに至りません。何らかのきっかけで全ての穴が一列にそろったときのみ,エラーが防止機構をすり抜け,医療過誤の発生につながるのです。

 このモデルからいくつかのことがわかります。一つは「医療過誤の発生は,それぞれの防止機構の精度に依存する」ということ。つまりスライスの穴が小さいほど,医療過誤が起きる可能性は低くなります。ただ例えば,「担当看護師」という防止機構の精度は,看護師の疲労度や気分,業務量に影響され一定しません。したがってエラー防止には,穴を小さくすることに加え,スライスの枚数を増やし,穴がそろう可能性を低めることが重要になります。

 もう一つは「ほとんどのエラーは,目に見える形で表れていない」ということです。よく知られた推計では,深刻な有害事象1件につき,300件の未遂事件が起こっているとされます。インスリン投与量を間違えた新人看護師の陰には,300人の“インスリン投与量を間違えそうになったけど,間違えなかった”看護師がいるのです。

個人の責任を問うても,次のエラーの発生は防げない

 これらから,新人看護師や研修医のあなたは,エラーが起こり得る状況の中で,たまたまその場に居合わせた個人だと考えることができます。もう少し踏み込んで言うと,あなた以外の研修医も,他の看護師も,同じ状況下なら同様のエラーを起こした可能性が十分にあります。ですから個人の責任を追及しても,エラーの根本原因は取り除かれず,次のエラーの発生は防止できないのです。

 よく言われるように,「全てのシステムはそれがデザインされた通りの結果をもたらし」ます4)。したがって医療安全の大きな目標は“エラーの起こりにくいシステム”を作り上げ,医療過誤に見舞われる医療従事者や患者の数をできる限り減らすことです。“誰が最も責任が重いか”を考えることは,残念ながらあまり意味がありません。必要なのは,エラーが発生する仕組みを理解し,個人に責任を押し付けることなく,“なぜエラーが起きたのか”を考え,同じ事例を防ぐためのより安全な仕組みを構築することです。

とはいえ,個人が自らの行動に責任を持つことは大事

 以上,医療過誤が起きた際に個人に責任を帰しないことの大切さを述べましたが,これは必ずしも,個人が自らの行動に責任を持たなくていいことと同義ではありません。全ての医師に,高い倫理観や職業意識を持ち,勉強を重ね,日々患者さんのために診療することが期待されています。その上で本当に安全な医療を実現するためには,エラーが発生する機序を理解し,医療過誤につながり得るシステムに介入していくことが必要です。全ての医療従事者は“患者さんを助ける”ために,安全な“医療システム”を作り上げる責務を負っていると,私は考えます。

今月のまとめ
▲ 医療過誤は “一生懸命働いている優秀な医療従事者”が引き起こすことがほとんど
▲ 複数の潜在的な要因を取り除くことでしか,次のエラーを防止することはできない
▲ 個人への責任の押し付けではなく,エラーの起こりにくい仕組みの構築が,安全な医療の実現には重要
(つづく)

文献
1)Thomas EJ, et al. Incidence and types of adverse events and negligent care in Utah and Colorado. Med Care. 2000; 38(3): 261-71.[PMID : 10718351]
2)Reason J. Human Error. Cambridge University Press; 1990.
3)Reason J. Human error: models and management. BMJ. 2000; 320(7237): 768-70.[PMID : 10720363]
4)Nelson EC, et al. Quality By Design: A Clinical Microsystems Approach. John Wiley & Sons; 2007.



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03112_01
【対談】
医学生のための勉強会指南

草場 鉄周氏(北海道家庭医療学センター理事長)
森 祐樹氏(札幌東徳洲会病院・臨床研修医)
週刊医学界新聞 第3112号 2015年02月09日

 医学生の向学意欲の高まりやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及を背景に,医学生・研修医が主体となる勉強会が全国各地で盛んです。研修医顔負けの臨床医学知識を持つ「デキる医学生」が活躍する一方で,「勉強したことが臨床実践につながらない」「普通の医学生にとっては勉強会自体のハードルが高い」などの声も聞かれます。

 では,どうしたら有意義な勉強会になるのでしょうか。そもそも,医学生にとって勉強会の「真の意義」はどこにあるのでしょうか。「ケーススタディによる勉強会の元祖」とも呼べる草場鉄周氏と,在学中から全国の勉強会の運営にかかわってきた森祐樹氏が,同じ悩みを抱えて悶々とする後輩に指南します。

森 僕が最初に勉強会の企画に携わったのは医学部4年生のときです。クラスの有志で集まり『ベイツ診察法』(MEDSI)を輪読し,それをもとに学生同士で身体所見を取り合ったりしました。翌年には公式サークルとして大学に認めてもらい,ケーススタディ形式の勉強会を週に1回開いていたほか,市中病院から講師を招聘することもありました。

 当時九州の他の大学でも同じような勉強会が多数立ち上がっていました。そのうちに,おのおのの大学で活動していたメンバーが一堂に会し,そこで学んだことを自大学に持ち帰るという好循環が生まれました。その活動を応援してくださったのが徳田安春先生(地域医療機能推進機構本部研修センター長)です。徳田先生には何度となく九州に足を運んでいただき,感謝してもしきれません。

 そのほか,「Resident’14」という2014年卒研修医の全国ネットワークを発足させ,山中克郎先生(諏訪中央病院内科総合診療部)や福原俊一先生(京大大学院教授・医療疫学)を講師として招聘して勉強会を企画したり,「チーム関西」という関西地区の合同勉強会にも参加したりしていました。

草場 すごいですね。僕が学生のころは,学生同士の勉強会というとせいぜい国試対策ぐらいで,まして大学の枠を超えて臨床医学を学ぶような発想はありませんでした。

森 SNSの普及によって勉強会の開催案内やノウハウなどの情報の共有が容易になりましたし,Skypeを使って遠隔地からケーススタディに参加してくださる指導医の先生もいます。勉強会ブームがピークを迎えた世代なのかもしれません。

ケーススタディによる勉強会はこうして生まれた

森 草場先生がケーススタディによる勉強会の手法を紹介した,医学生時代のご寄稿を拝見しました(本紙第2331号,1999年3月22日付)。どのような経緯で始めたのですか?

草場 臨床医学の講義に衝撃を受けたのが最初のきっかけでした。

森 臨床医学の面白さに触れたから?

草場 いや,「このままだと本当にヤブ医者になる」と不安になって(笑)。もともと基礎医学の講義を受けているうちから「もっと臨床の勉強をしたい」という気持ちはあったのですね。でも低学年のうちは仕方ない,と割り切っていました。それでいよいよ4年生になって臨床医学を学べると思った。でも実際に受講してみると,臓器系統別の基礎医学を学んでいるような印象を受けたのです。

 疾患の病態生理を学ぶことはもちろん大事です。でも,「患者さんがどんな症状を訴えて受診するのか」「どのような治療やケアを行えばよいのか」が,講義を聴いているだけではわからない。数か月は真面目に受講しましたが「これはやっぱりまずい」となりました。そこで,実際の患者さんの症例を扱うケーススタディで臨床医学を学ぶ方法はないかと考えていたら,たまたま適した洋書(『Diagnostic Strategies for Internal Medicine』Mosby)に出合えた。そこから全てが始まった感じです。

森 勉強会のメンバーは何人ぐらいでしたか?

草場 最初は5人で,後でもう1人加わりました。それで,4年生の秋から本のケースを題材に勉強会を始めたのです。

森 勉強会は講義の後に?

草場 いえ,講義中です(笑)。実は教授会の了承を得ていました。

 当時の京大医学部にも,わずかな時間ながら診断学・症候学の講義があって,これはまさしく僕たちが学びたかった内容でした。それで,当時講義を受け持っていた総合診療部教授の福井次矢先生(現・聖路加国際病院長)に勉強会の内容についてご相談したところ激賞され,ハーバード大のケーススタディ・メソッドに関する教材も提供してくださいました。それだけでなく教授会にも諮ってくださり,「講義を実施している時間に勉強会を実行していい。ただし試験は免除しない」という条件で,認められたのです。

森 普通だと「けしからん」となりそうですね。

草場 1年間の期限付きで,実験的な試みだったようです。とてもありがたかったですね。教授会の公認を得た後は,医学部のセミナー室の鍵を教務課で堂々と借りて,毎朝9時半から夕方まで勉強しました。

 もちろん臨床実習が始まってからは,毎日の実習こそが最高のケーススタディなのでそちらに集中しました。勉強会は夕方以降とし,内容もUSMLE(米国医師国家試験)の問題集に切り替えました。


ケーススタディによる勉強会(1997 年当時,写真右が草場氏)
臨床推論ブームの落とし穴

森 草場先生が最初に「ケーススタディによる勉強会」を紹介されてから10年以上が経って,今は全国各地で勉強会が開かれるようになりました。ただ全体でみると,勉強会に熱心な医学生は少数派で,学内では少し浮いてしまうこともあります。

草場 いまだにそうですか? 意外ですね。

森 少数派だから,他大学の学生と肩を寄せ合ってやるしかない。大学の枠を超えた勉強会ブームの背景には,そうした事情もあるように感じます。

草場 確かにそうかもしれませんね。医学生主催の勉強会に講師として呼ばれることも多いのですが,コアメンバーが抜けた途端に参加率が激減するのを目にします。

森 継続は難しいですね。一部の人だけで引っ張っていくと,優秀な人はどんどん優秀になるけど,普通の医学生にとっては敷居が高くなってしまうというジレンマがあります。僕自身もどちらかというと劣等感の強いほうなので,「すごく優秀な人たちに囲まれてしまって,こんなところで恥ずかしくて発言できない」という思いを何度もしています。

草場 向上心のある学生の意欲はどんどん伸ばすべきで,そういう意味での「偏り」は勉強会なのであってもいいのでしょう。でも,一部の人が突っ走ってしまい,参加しづらい雰囲気が出るのなら工夫の必要があるのかもしれません。

森 勉強会の内容が「もの知り博士のクイズ大会」になると参加しづらくて,それは臨床推論ブームの落とし穴かもしれません。

 もちろん,臨床推論ブーム自体は「臨床に直結した勉強をしたい」という学生の意欲の表れで,それは素晴らしいことです。僕自身もたくさんかかわってきましたし,学びたい後輩がいれば全力で応援するつもりです。ただ臨床に出てみると知識だけではうまくいかないことが多いし,「臨床に直結する」の意味を履き違えてはいけない。これは,わが身を振り返っての反省です。

草場 よくわかります。医学生は厳しい大学受験を経験しているので,難易度が高い問題を解くのが好きな人が多いですね。その延長線上で,診断が困難な症例をクイズ形式で解く方向に偏重してしまうと危険かもしれません。

 僕自身の学生時代は,そういう方向に行けなかったし,行かなかった。NEJM誌のケースレコードに挑戦していた時期もありますが,難し過ぎてピンとこなかったですね。それよりも,common diseaseを題材に,疾患の基礎知識や診断・治療のプロセスを学ぶことに時間を割いていました。

患者さんとの経験を共有する場としての勉強会

森 勉強会だと,文字通り「患者不在」ですよね。医学生・研修医にとってベッドサイド以上の学びはないし,いくら勉強会で活躍しても,患者さんや同僚の医師,コメディカルに認めてもらえないようではいけない。自戒も込めて,そう思います。

草場 同感です。僕が学生のときに教科書を読んだり,ケーススタディによる勉強会で学んだりするなかで気になったのは,「実際に病気になった人はどんな生活を送っていて,どんな不安や悩みを抱えているんだろう」ということでした。医師家系ではないし,家族も健康だったので,全くわからなかったのです。

 それでケーススタディの勉強会と同時並行で,コムル(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML)の「患者塾」というセミナーに参加することにしました。月に1回,そこで実際に患者さんのお話を聞くと,診断はついたけれども,医師の心ない言葉にショックを受けている患者さんに出会うわけです。中には,「あの先生は頭が切れるかもしれないけど,人間としては最低だ! あんな医者になっちゃ駄目だぞ」と僕に説教する人もいる(笑)。そうやって勉強会と患者塾の両方から学ぶことで,うまくバランスが取れたように感じます。

森 僕も,医学部実習で似たような経験をしたことがあります。悪性腫瘍のため離島から大学病院に入院してきた患者さんが,診断の結果,大手術が必要となった。ところが,「手術なんかしたら,こっちにずっといなきゃいけなくなる。死んでもいいから島に帰りたい」と,涙ながらに手術を拒否したのです。「医学と医療は違うんだぞ」と冷水を浴びせられるような体験で,僕はそれこそ臨床推論にハマっていた時期なのですが,あれが転機となったような気がします。

草場 医学生のうちは,「診断さえつけば,なんとかなる」と思い込んでしまう。でもよく考えてみれば当たり前のことだけど,診断はあくまでスタート地点。そこから診断結果をどう伝えるか,患者さんの生活を踏まえてどのように治療をマネジメントしていくかが大事なのですね。

 そして,そういう経験を拾える感性があるから,森先生はよかったですね。患者さんの理解力に問題がある,と考える人もいるかもしれません。

森 確かに,「なんで治療しないんだろう」 と言う同期はいました。一方で,僕と似たような問題意識を持つ同期もいて,お互いの経験を話すこともあるんです。

草場 いいですね。勉強会だけでは限界があります。患者さんの間近でしか味わえない経験は大切にしてほしい。

森 あるいは,そういう経験を共有する場としての勉強会があってもいいのでしょうね。「手術を拒否して島に帰ろうとする」という話を聞いて,患者さんに共感する人もいれば,全く理解できない人もいる。後者の場合も,自分と違う意見を聞くうちに,患者さんの価値観に共感できるようになるかもしれません。医学知識ならひとりでも学べますが,感性にかかわることこそ,人と一緒に勉強したほうが広がりもあっていいように思います。

草場 勉強会として独立させるとそれも敷居が高くなるので,既存の勉強会に実習で感じたことを話すセッションを組み込むのがいいでしょうね。それだと,気負いなく皆が発言できます。

森 たとえ拙くても,経験したことやそのときの気持ちを語られると印象に残りますよね。それこそ懇親会の場が最適で,もしかしたら勉強会自体も “その後の懇親会が本番”くらいのスタンスにして,仲間とのつながりができれば十分なのかもしれません。

身近な仲間を見つけることから始めよう

森 最後に,勉強会への参加や企画を考えている医学生に,アドバイスをお願いします。

草場 大学での勉強だけにとらわれず,広い視野を持ってほしいですね。特に,本当はやりたいけどできていないことがあるなら,勉強したほうがいいと思います。

森 医学生時代は,ケーススタディや患者会以外にも勉強会は企画されていましたか?

草場 身体診察やコミュニケーション技法の勉強会もやりました。今と違って,当時は模擬患者相手の医療面接トレーニングなんて全くなかったですから,教えてくれる先生を探して自分たちで企画するわけです。大学では教わらないけど,臨床で必要なことは自分たちで勝手にカリキュラムを作って勉強していました(笑)。とても面白かったですよ。

森 勉強会がはやるのは,いまだに「大学で教わること」と「学生が学びたいこと」のギャップがあるのも理由だと思います。僕自身は,自分自身の学びたいことを応援してくれる人を学内で見つけるのが難しくて苦労しました。きっといま,同じような悩みを抱えて悶々としている医学生も全国にたくさんいるのではないでしょうか。

草場 僕はもともと内向的で,ひとりで過ごすのを好む人間です。それでも,学内で同じように悶々としていた金井伸行先生(現・淀さんせん会金井病院理事長)に出会ったおかげで,彼と意気投合して勉強会を始めました。ひとりだったら,間違いなくやらなかったはずです。

 ですから,「本当はやりたいけど,できていない」ことがあるなら,とりあえずは学内の身近な人に声を掛けてみたらどうでしょう。学内に同期が100人いれば,1人ぐらいは乗ってきます。全国で開催されている勉強会に参加するのも,友達と一緒ならハードルが少しは下がるはずです。

森 僕は学生時代からER医志望で,周囲に理解されず孤独でしたが,同じように悶々としている家庭医志望の友人がいたから,一緒に頑張れたのかもしれません。ひとりだったら不安で絶対に諦めていただろうし,今は彼にすごく感謝しています。全国に散らばった同じ志を持つ同期の仲間にも,ハードな研修でくじけそうなときにいつも助けられています。

草場 「学ぶ意欲を保ち続ける装置」として,身近な友人は大切ですね。将来を語り合える仲間が見つかれば,道はおのずと開けるのではないでしょうか。日本プライマリ・ケア連合学会としても,ジェネラリスト80大学行脚プロジェクト(http://www.primary-care.or.jp/resident/angya01.html)などの活動を通して,今後も学生さんの勉強会を支援していくつもりです。

森 よい仲間をみつけて,知識だけでなく感情や価値観も共有する。それこそひとりでは学べない“勉強会の真の意義”ではないでしょうか。今は孤独に闘っている全国の後輩のみんなにも,素晴らしい仲間との最高の出会いがあることをお祈りしています。

草場 僕も同じ気持ちです。インターネットやSNSの普及で勉強会を取り巻く環境は変化しましたが,大事なものはやはり変わらないのだと,対談を通して再認識しました。

(了)


草場鉄周氏
1999年京大医学部卒。日鋼記念病院にて初期臨床研修,北海道家庭医療学センターにて家庭医療学専門医コース修了。2008年に医療法人北海道家庭医療学センターを設立し現職。日本プライマリ・ケア連合学会副理事長も務める。医学生時代に「ケーススタディによる勉強会」を運営し,1998年の日本医学教育学会のシンポジウムにて「学生による自主的勉強会からの提言」を発表。後の勉強会ブームの嚆矢となる。

森祐樹氏
2014年鹿児島大医学部卒。学生時代よりER型救急医を志し,北海道から沖縄まで日本各地のERを行脚したほか,6年生のカナダ留学時にはトロント大附属トロント総合病院救急部での飛び込み臨床実習を敢行。現在は北海道最多の救急症例数を誇る札幌東徳洲会病院ERにて「どんな場面でも笑顔でいられる草食系ER医」をめざして修行中。2014年卒全国研修医勉強会「Resident'14」共同代表。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015020990105725.html
群大病院、眼科で虚偽診療記録…手術せず「実施」と報告
(2015年2月9日 読売新聞)

 腹腔鏡ふくくうきょうを使う高難度の肝臓手術を受けた患者8人が死亡した群馬大学病院(前橋市)で、眼科の女性患者の診療記録に、実際は行っていない手術を実施したとする虚偽の記載があり、病院側が昨年11月、患者側に謝罪していたことがわかった。

 腹腔鏡手術を巡っては、診療記録の不十分さが問題視されているが、病院の記録管理の不備が改めて明らかになった。

 関係者によると、女性は視力が低下する角膜の病気で、2013年6月、胎児を包む羊膜を傷ついた角膜上に移植する手術を受けるため同病院眼科を受診。しかし、手術の際、担当医が急きょ方針を変更し、羊膜移植は行われなかった。

 ところが、手術後、女性を同病院に紹介した別の病院の問い合わせに対しては、担当医が文書で「羊膜移植術を施行しました」と事実と異なる治療内容を報告。このことを知った関係者が群馬大病院に指摘したところ、昨年11月上旬、羊膜移植を行ったとする記載は事実でないと認め、謝罪した。

 誤った情報伝達により、後の治療で不適切な処置が行われる恐れがあった。同病院は「単純な誤りだった。訂正文書を出して患者に謝罪し、了解いただいた」としている。



http://www.47news.jp/CN/201502/CN2015020901001699.html
群馬大病院、眼科で診療記録ミス 患者に謝罪
2015/2/9 16:21 共同通信

 群馬大病院(前橋市)の眼科の医師が、女性患者の診療経緯を記録した文書に、実際には行っていない種類の手術をしたと誤記載していたことが9日、病院への取材で分かった。病院側は患者側に謝罪している。

 誤った経緯が他の病院に伝えられており、不適切な治療が行われる可能性があった。

 病院によると、女性は2013年6月に目の病気のため眼科で手術を受けた。担当の医師は、女性を群馬大病院に紹介した別の病院から問い合わせがあった際、実際には行っていない、胎児を包む羊膜の移植手術を施行したと文書で報告した。患者側の指摘でミスが判明、群馬大病院は昨年11月に謝罪した。



https://www.m3.com/clinical/news/article/293264/
「高価な」プラセボのほうが効果的
パーキンソン病患者の症状改善に違い

2015年2月9日 HealthDay News

 パーキンソン病患者を対象とした小規模研究で、薬剤価格によってプラセボ(偽薬)効果に違いがあることが示され、「Neurology」オンライン版に1月28日報告された。

 この研究では、12人の患者に対してプラセボ2薬を1剤ずつ、時間をおいて投与した。どちらの注射薬も実際には生理食塩水だったが、患者は一方の薬剤は1回分1,500ドル(約17万6,000円)の新薬であり、もう一方は1回分100ドル(約1万2,000円)だと告げられた。医師は患者に、どちらの薬剤も同様の効果があると断言していた。

 その結果、高価な薬剤を投与されていると告げられた場合、投与後4時間にわたって振戦、筋固縮などの症状の改善が大きくなり、MRIでも患者の脳活動に違いがみられた。

 これらのプラセボではパーキンソン病の標準薬剤であるレボドパほどの効果は得られなかったものの、高価なプラセボの効果は、レボドパと安価なプラセボの中間に位置したという。さらに、高価なプラセボを投与した時の患者の脳活性はレボドパと同様であったという。

 研究を主導した米シンシナティ大学医学部のAlberto Espay氏によると、パーキンソン病の場合、プラセボ効果は脳が化学物質ドパミンを放出することによって生じると考えられるという。パーキンソン病はドパミンを産生する脳細胞の機能不全によって生じるが、一方で脳は、「治療によって症状から解放されるかも」といった報酬を期待したとき、ドパミンを大量生産する。今回の知見は「期待」が重要な役割を果たすことを示すものだと、同氏は話す。

 この症状改善が長期的に続くものかは本研究では明らかになっていないが、患者が「薬」を信じているかぎり、効果は保たれるとEspay氏は考えている。

 同氏はまた、単に「これから処方する薬は高価だ」と医師が告げるだけでも、パーキンソン病や他の疾患患者の治療において、プラセボ効果がうまく作用する可能性があるとしている。

HealthDay News 1月28日
Copyright©2015 HealthDay. All rights reserved. ※掲載記事の無断転用を禁じます。

Espay, Alberto J., et al. "Placebo effect of medication cost in Parkinson disease A randomized double-blind study." Neurology (2015): 10-1212.
http://www.neurology.org/content/early/2015/01/28/WNL.0000000000001282.short



http://www.niigata-nippo.co.jp/life/medical/news/20150209161993.html
高柳診療所に常勤医就任へ
柏崎・4月から

2015/02/09 10:45 新潟日報

 柏崎市が運営する同市高柳町地区の「高柳診療所」で、4月から登坂尚志医師(71)が常勤で勤務することが決まった。

 同診療所では2014年6月に常勤医が退職してから常勤医が不在になった。このため、県立松代病院などから医師の派遣を受けるなどして週2回の診療体制としてきた。

 登坂医師は十日町市(旧川西町)出身で、県立松代病院病院長を務め、現在は十日町市国保松之山診療所長として勤務している。柏崎市は「地域医療に貢献したいという強い意志を持って就任される」と期待を寄せている。



http://www.m3.com/iryoIshin/article/293224/
医療維新
”残業代ゼロ”制、臨床医は対象外の方針
小規模病院は待遇改善か、次期労基法改正

2015年2月9日(月) 池田宏之(m3.com編集部)

 厚生労働省は2月6日に、労働政策審議会労働条件分科会を開催し、法改正で導入が検討されている、一定の収入がある場合に労働基準法の労働時間や休日深夜の割増賃金に関する規定が適用除外となり、残業代の概念が無くなる可能性のある「高度プロフェッショナル制度」について検討した。厚労省労働基準局労働条件政策課は「臨床医については、自分で業務をコントロールすることができる仕事ではない」として、対象外となるとの見込みを示した。ただし、一部研究職においては、適用される可能性がある。

 また、今回の法改正では、中小企業に対して、2019年度から、大企業と同様に「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上」にするように求める内容も含まれている。「中小企業」の定義について、同課は「中小企業法の定義に当てはまる医療機関も含まれる」とコメントしていて、小規模病院や診療所で働く医師の待遇改善につながる可能性があるが、実効性を疑問視する声も出た。

対象職種が拡大の余地残る

 6日に開かれた分科会では、「今後の労働時間法制の在り方について」とした案が示された。法改正で検討されている「高度プロプロフェッショナル制度」については、「高度の専門的知識党を要する」かつ「業務に従事した時間と成果との関連性が強くない」職種として定義されている。年収は「平均給与学の3倍を相当程度上回る」とされれ、年収1075万円以上が対象となるとされていて、本人の同意を得た上で、労働基準法で定められた労働時間や休日、深夜の割増賃金の規定が適用されない新制度に移行する仕組み。現在の案では、具体的職種としての例示の中に「コンサルタントの業務」や「金融消費の開発業務」に加え、「研究開発業務等」が挙げられている。

 厚労省労働条件政策課の担当者は、臨床現場の勤務医の扱いについて、「自分で業務をコントロールできない」として対象外となるとの認識を示した。ただ、対象職種は、次期通常国会を目指して提出される法律には盛り込まれず、「省令で適切に規定することが適当」とされており、今後、対象職種が拡大する余地は残されている。また、医師の中で一部の研究職については、対象となる可能性がある。


小規模病院などで待遇改善の可能性

 過重労働を防ぐための方策としては、中小企業における割増賃金率の適用猶予の見直しが盛り込まれている。現在大企業においては、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を5割以上とするようになっているが、中小企業は適用が猶予されている。

 今回の改正では、中小企業においても2019年度から適用するように求める内容が盛り込まれる見込み。中小企業は、中小企業基本法に「資本金の総額が3億円以下」「常時使用の従業員が300人以下」などと定義されていて、厚労省労働条件政策課は、「定義に当てはまる医療機関も含まれる」としていて、実際に履行されれば、医師の待遇改善につながる可能性がある。病床規模を考えると、100床に満たない医療機関は、ほぼ対象となるとみられる。また、今回の法改正では、企業に対して、従業員に年間5日の有給取得を義務付ける流れとなっている。

「労基法重く見ていない」との指摘

 ただ、この日の議論では、実効性を疑問視する声も出た。全国中小企業団体中央会労働政策部長の小林信氏は、割増賃金について、大企業で先行して導入したものの、残業時間が減らなかった点を指摘し、「働きすぎ防止」の効果が薄い可能性を示唆した。さらに、小林氏は、医師の38.1%が週60時間以上働いている点を指摘して、「人の命を救う人の労働が長いのは問題がある。このままでは(他の職種も含めて)過労死する人が増え続けるのは止められないのでは」として、実態を調査した上で、対策を講じるように求めた。

 日本労働組合総連合会総合労働局長の新谷信幸氏は、「事業主が法律を重く見ていない向きがあるのでは」と疑問を提起した上で、労働基準監督署について、「監督官の数が少なく、見つからなければセーフのような風潮があり、違反が減らない。懲役や罰金など、厳罰主義で臨んでほしい」と指摘した。

 

http://www.qlifepro.com/news/20150209/trial-operation-at-the-base-hospital-led-to-move-medical-information-database.html
厚生労働省、拠点病院主導で試行運用―動き出す医療情報データベース
2015年02月09日 AM10:00 Q Life Pro / 薬事日報

厚生労働省の基盤整備事業で医療情報データベースを構築した拠点病院が、自主的な産学共同研究としてシステムの試行運用に乗り出すことが可能になった。製薬企業が副作用の発生等を検討したい医薬品について、品質管理の検証を終えた拠点病院のデータベースを利用し、具体的な副作用の発生頻度などを調べる。発売直後に死亡例が出た新薬などの事例を念頭に、ハイリスク薬をターゲットに想定。副作用の兆候を素早くつかみ、医薬品の安全対策につなげるため、まず拠点病院が先行して製薬企業との自主共同研究に着手し、試行運用を主導する。

■製薬企業と共同研究目指す

厚労省の医療情報データベース基盤整備事業は、医薬品の安全対策を推進するため、2011年度から5カ年計画でスタートした。大学病院、グループ病院の10拠点病院にデータベースを、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に情報分析システムを構築し、研究者や製薬企業が医薬品の副作用発生頻度を調べたり、分析する目的で利用し、迅速で的確な安全対策に生かすのが狙い。14~15年度に試行事業を実施する計画となっている。

現在のところ、拠点病院で運用に向けたデータの品質管理を検証するバリデーション作業が進められ、これまで10拠点病院のうち、東京大学病院、浜松医科大学病院、九州大学病院が検証を終えた状況にあるが、当初予定に比べて進捗が遅れているのが現状である。

ただ、国の事業で構築した医療情報データベースは世界に類を見ないシステムとされ、現時点でデータの品質検証を終えた拠点病院が自発的に利用することは認められているため、製薬企業との契約により、データベースを用いた共同研究として、試行運用を先行的にスタートさせる。

14年度中には、さらに東北大学病院、香川大学病院、佐賀大学病院、徳州会病院グループがバリデーションを終える予定になっている。これら拠点病院が主導する形で製薬企業と共同研究を計画し、副作用の頻度などを調べるためにデータベースの処方・注射歴、検体検査結果を用い、試行運用を順次開始する。

今回の試行運用は、拠点病院が自主的に製薬企業との産学共同研究として進めるものであり、製薬企業側は自社の医薬品で調べたい副作用の発生頻度などについて、検証を終えた拠点病院と共同研究を実施する形でデータベースを利用できることになる。

例えば、製薬企業は発売直後の新薬の副作用をいち早く察知するため、大規模な母集団から迅速に副作用の発生について把握可能なデータベースを有効活用できる。薬剤の肝機能障害の頻度を調べたい場合はデータベースから100処方中10例、25処方中3例などと情報を得ることができる。医療機関による自主共同研究のため、他社製品との比較も可能で、拠点病院のデータベースを利用することにより、医薬品のリスクベネフィット評価が進みそうだ。

今回の自主共同研究によるデータベース試行運用は、大学病院が中心となることから、急性期に用いる抗癌剤をはじめとするハイリスク薬をターゲットに副作用の頻度などを検討していく予定である。



http://www.m3.com/iryoIshin/article/287445/
医療維新
大野病院事件スペシャル対談◆加藤医師 vs.安福弁護士
福島の産婦人科医数、「いまだボトム」◆Vol.16
刑事免責で法的リスク回避が必要

2015年2月9日(月) 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――大野病院事件以降、「検察は謙抑的になった」との指摘もあります。

安福 でも、どこかで蘇ってくる可能性があると思っている。だから、刑事免責にして、医療事故を徹底的に検証できる体制を作る必要がある。その方が医療者だけでなく、遺族にとっても、それ以上の情報が得られないものが得られるという意味で、大事なことなんですよね。

――今回の裁判を通じて、明らかになったことは何なのでしょうか。

安福 いつも私は言っていますが、「刑事裁判で真実が明らかになることはない」。というか、できない。制度として目的が違うから。刑事裁判は、刑事責任を追及する場であり、その理由の有無だけを検証するわけだから、加藤先生の行為だけを、それもある断面だけを取り上げて、議論する。

 加藤先生の行為の何が問題になったかと言えば、「胎盤剥離を途中で止める」。そこしか問われていない。


震災の影響もあって、福島県は産婦人科医不足に悩んでいるという。
――止めて、子宮摘出に移行すべきだったか否か、その1点のみだった。

安福 癒着胎盤とは何かとか、事前の経過観察の在り方や転送の必要性などの点は、裁判官から見れば、全く興味がない話。

――再発防止の観点から言えば、それらの点を総合的に議論する必要がある。

安福 医療は、これからますますそうなってきます。チーム医療の時代なので、一つの医療行為だけに光を当てて議論しても、はっきり言ってナンセンスとしか言えない。さまざまな環境の下で、医療行為が行われる。環境が変われば、その行為自体が変わってしまう。

――そうであれば、医療事故について刑事責任を問うのは、払う犠牲が大きすぎる。

安福 そうなのです。法律家たちのただのゲームとしての興味でしかない。医療者はゲームがやりたいのではなく、医療をやっている。そのところが、法律家には分かっていない。分かりたくないのかもしれない。そうである限り、医療と法律はいつまでも分かり合えない。

 だから私は、医療事故調査制度に対し、絶望感を持ってしまう。どうしても法律的な側面からの事故調査になってしまうから。そこを完全に切り離さない限り、事故調査をやっても意味がない。

――いくら医療者が、医療安全、再発防止のための仕組みを作ろうとしても、刑事免責などをしないと、司法とは切り離せない。

安福 司法が誰かを取り調べしたり、逮捕したりすれば、医療者たちは口をつむぐしかない。それには、二つの意味があります。司法に対する不当介入と言われたくないだろうし、変にかかわりたくないから。

 日本の医療制度は、世界に誇れる財産。それを検察と裁判所がタッグを組んで、全力をこめてたたき壊そうとしているとしか、私には思えない。「日本の医療を絶対に発展させない」という根性の下にやっていたら、将来は暗い。

――エネルギーの使いどころが違う。

安福 その癖、裁判官は「医療を妨害する気はありません」と言う。検察官に至っては、「犯罪行為が行われている以上、見過ごすことはできません」と言う。医療行為を、犯罪という概念で話ができるのか。交通事故だったら、「万人が防ぐことができる」と思うから、危険運転致死罪で最高刑を懲役30年としても、誰も問題だと思わない。しかし、医療の場合は、たとえ1年だろうが、執行猶予付きだろうが、「刑を科される」と思ったら、「もう医療をやりたくない」と考える。なぜなら、自分は、そのような事故は起こすことはないと、信ずることはできない難しさがあるから。言い換えれば、不可能を強いられていると思うからです。その証拠として、産婦人科や外科の医師がものすごく減っている。

――福島県内の産婦人科医の現状はどうでしょうか。

加藤 震災もあって、かなりボトムな状況が、まだ続いています。

――震災前よりも悪化した。

加藤 悪化していますね。教授(現福島県立医大産婦人科教授の藤森敬也氏)は、「今年、がんばれば」と毎年おっしゃっています。年々、医局員が成長していくが、いい年代の医師が県外に流出しており、総合的にはあまり変わらない感じもします……。

安福 ボトムから改善するための知恵はあるのでしょうか。

加藤 何をしたらですか……。医局員がまず増えること。新しい医局員がどんどん入ってきてくれれば、活性化してきますね。

安福 最近、増えているのですか。

加藤 毎年、数名ずつは入ってきています。ただ、医局の忘年会の辺りに、「来年は5人くらい入りそうだ」などと聞いていても、蓋を開けてみると、2人だったり。「入りたい人がいる」と聞いていても、結局、(臨床研修で)他の科を回ったりすると、何かを言われるのか、他科に行ってしまう。

 けれども、逆に言えば、僕の件があった時にも、(福島)第一原発の事故が起きた後も、入局する後輩たちがいてくれた。その意味では、「後輩たちはすごいな」と思う。すごくうれしいですよね。大野病院事件の風評被害で、「よくあそこで、医者が働いているな」と書かれていることを、ネットで見たりもしますから。

――そもそも加藤先生が産婦人科を目指されたのは、どんな理由なのですか。

加藤 僕の父も産婦人科医だったので、「父のようになりたい」という思いがありました。

――開業されていたのですよね。後を継ぐ考えがあったのでしょうか。

加藤 一時期、継ぎたいという気持ちはありました。父は忙しくしていたので……。大人になってから、「同じ話題で話ができたらな」という思いがありましたね。実際、産婦人科医になって、いろいろ相談したりとか、何かを聞くと喜んでニコニコしながら、答えたりしてくれて。勉強になりましたし。

安福 しかし、産婦人科を目指す人を増やす方法はないですかね。例えば、「リスクが高い」と思うからなのか、あるいは勤務が厳しすぎるために躊躇しているのか。いろいろな原因が影響していると思います。産婦人科に限らず、先生のように厳しい労働環境にいらっしゃる先生方はたくさんいる。

加藤 はい、いっぱいいますね。

安福 そうした方々を、「助ける」という声が医療界から上がってこない。「医師でなくても、できる仕事が含まれていませんか」と思う。そこに人を入れるなど、いろいろ手の打ちようがあるのに、それらを全部すっとばして、「がんばっていくのが、美風」のようなところが、医療界にいまだに残っている。

 実は産婦人科だけでなく、小児科も減ってきているし、救急など、厳しい医療をやる医師はどんどん減っているじゃないですか。だから医療者の生活環境に手を入れていかなければいけない。

加藤 そうですね。やはり医療訴訟の問題も大きいと思います。



http://logmi.jp/37600
高校生特別授業:京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥教授「人間万事塞翁が馬」 [4]
手術が苦手で逃げ出した、鬱病にもなった – ノーベル賞・山中伸弥氏が高校生に贈った言葉は「人間万事塞翁が馬」

2015.02.09 logme ログミー

ノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学 iPS細胞研究所の山中伸弥教授が、「人間万事塞翁が馬」と題して高校生に向けて行った講演。山中教授は自身の人生を振り返り、整形外科医としての挫折がなければ研究者の道へ進むことはなかったという。研究者として、人生の先輩として、これからの日本を担う高校生にメッセージを送ります。(この動画は2010年12月に公開されたものです)

【part1】ノーベル賞・山中伸弥氏「手術がヘタで、“ジャマナカ”と呼ばれてた」 挫折したことがiPS細胞研究につながる
【part2】「日本人は一生懸命働く。ただ、そこにビジョンがない」 ノーベル賞・山中伸弥教授が指摘
【part3】ノーベル賞・山中伸弥教授「500匹のマウスを1人で世話してた」 iPS細胞発見までの苦労話

【スピーカー】京都大学iPS細胞研究所所長 山中伸弥 氏


山中伸弥氏:ES細胞というのは何か。僕たちの命、ネズミの命は、すべてひとつの卵子と精子が受精した、たった1個の受精卵から始まります。

それが2つに分裂し、4つに分裂して、大体1週間くらいすると、エンブリオという30個か100個くらいの細胞の塊になります。この左の胚の状態でお母さんの、ベッドのような子宮の壁に潜り込んで、そこからいろんな臓器、形ができてきます。

しかし、ちょっと可哀想なんですけど、この子宮の壁に潜り込む直前のネズミの胚を、お母さんネズミの子宮から取り出してバラバラにして長期に体外で培養することに成功したのが、このES細胞という細胞です。

ネズミで1981年。今から20年ちょっと前、皆さんより少しだけお兄さんというかお姉さんというか、そういった歴史の浅い細胞です。このES細胞は、胚からできるから、胚性幹細胞といいますが、他の細胞にない2つの性質があります。

1つ目はどんどん増殖します。2つ目は増殖した後で神経とか筋肉とか僕たちの体を作っている色んな細胞に分化することができます。すごい面白い細胞です。僕が見つけたNAT1というのは2番目の性質に非常に大切である、NAT1がないとこの2番目ができなくなる、色んな細胞に変われなくなるということがわかりました。

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この研究で僕はネズミのES細胞はものすごく面白い、こんな面白い細胞はないと思って、今から10年くらい前の出来事ですが、それから先ずっとES細胞の研究をしているわけです。

うつ病で人生2度目の挫折を味わう

しかしですね、こういう研究でNAT1がES細胞に非常に大切だということが分かった、アメリカから帰って2、3年した頃に僕は病気になってしまいました。PADという病気です。

これは僕たちが勝手につけた病名なので、お父さんお母さんがお医者さんの人もいるかと思いますが、聞いても知らないと思います。教科書にも載っていません。これはPost America Depression といって、「Depression」というのはうつ病です。アメリカから帰ってきた人がなってしまううつ病です。

なんでかというと、アメリカっていうのはものすごく研究環境が良かったんですね。ネズミの世話だけをとっても、アメリカではきちっと世話をしてくれる人がいたんですね。それが日本に帰ってきたら、毎日ネズミのうんちまみれになりながら自分で世話をして、自分は研究者なのかネズミの掃除係なのかわからないというような状況になって。

なかなかアメリカに比べて研究をするお金も、少しはもらえるんですけど、なかなかこう十分にできないと。また、周りにも自分の研究を理解してくれる基礎研究している人もあまりいないと。当時ネズミのES細胞の研究をしていましたから、僕は医学部で研究をしていたんですけど、他の周りのお医者さんによく忠告されました。

「やまちゅう」とまだ呼ばれていましたが、「やまちゅう、ネズミのES細胞を研究、NAT1とか知らないけど、その研究もいいけど、もうちょっと医学に関係することをした方が良いんじゃないか」と。

「医学部にいるんだったら、医学のためになることをした方が良いぞ」と、全然理解されないところがあって。もともと自分も医者でしたから、「確かに本当にネズミの研究をしていていいんだろうか」と、それまでは研究が楽しくてわくわくして8年、10年くらい突っ走っていたんですけど、だんだん冷静になると「本当にこれで役に立つことになるのかな?」という思いも出てきて。

それで朝起きれない、学校に行きたくないという感じになって、研究者を辞める一歩手前にいっていました。手術は下手でも臨床医になった方がまだマシじゃないか、と。僕にとっては2回目の挫折で。

2つの出来事のおかげでPADを克服

さっき言った、せっかく整形外科医になろうと思って門をたたいたのに、逃げ出してしまったというのが1回目の挫折です。その結果、研究という新しい世界に出会えて、アメリカにまで行って、僕はずっと研究でやっていくんだと決心をして、日本に帰ってきたら、またちょっと環境が悪くなってくると、すぐにこれはダメだと逃げ出す準備を始めて。

しかし自分としても、逃げ出す、研究者を辞めてしまうのも情けないなと、また挫折するのかという思いもあって非常に苦しい時期だったんです。今から10年くらい前になりますけど、幸いこの時に2つの出来事が起こりました。

1つ目が人間のES細胞ができたんです。1998年にマウスのES細胞ができてから17年経っていますが、アメリカのトムソンという先生が人間の胚、着床する、お赤さんの子宮に潜り込む直前の胚からES細胞を作り出すことに成功しました。

そうするとこれは人間の細胞です。いくらでも増えるわけです。増やした後でいくらでも細胞が作れるんです。そうしたらこういうことができるんではないかと。人のES細胞をいっぱい増やしておいて、そこから神経を作る。

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心臓の細胞を作り出すことができるんではないかと。そして、そういった元気な人間の細胞を脊髄損傷の患者さんとか、心臓の悪い患者さんとか、そういう方に元気な細胞を移植して機能回復できるんじゃないか、治せるんじゃないかということで、一気に再生医学がすごく期待されるようになりました。

これは僕にとっては、今までネズミのES細胞の研究をしていて「もっと医学に関係することをしろ!」と色んな人から言われていたのが、ES細胞がすごく医学の役に立つかもしれないということに突如一夜にして変わったわけです。

これは僕の研究もこのまま頑張っていたら役に立つかもしれないと思うようになってきました。しかし、ES細胞は、生命の萌芽、もとである受精卵、胚を潰さないとできませんので、本当に医学のためとはいえ、人間の胚を使っていいのかという倫理的な非常に大きな問題もあります。

それからご本人の細胞ではないので、そういう細胞を移植したら拒絶反応が起こってしまう。そういう問題もありましたが、しかし、人間のES細胞ができて、僕にとって自分の研究が意味があることなんだと思えました。

もう1つの出来事が起こりました。奈良先端科学技術学院大学で研究に雇ってもらったんです。

1999年12月に。これが見てもらったらわかるように、アメリカに近い素晴らしい研究環境があってここには日本中から基礎の研究・応用の研究、色んな研究者が集まっていて、研究費も比較的沢山あって、さらに全国から大学院の学生さんが毎年何百人入ってくる。素晴らしい研究環境があったんですね。

私の病気、PADもこの2つの出来事によって幸い克服することができ、研究をつづけられ」ました。ここで初めて非常にラッキーなことに自分の研究室を持たせてもらえました。それまでは教授がいて、その下で助手として働いていたから、あんまり自分の好きなことをやりにくかったんですけど、ここでは自分がボスである、自分の下に学生が来てくれる、とういう環境になりました。

ビジョンを持たないハードワークは無駄

研究室としてのビジョンを持たないとダメだと考えました。ハードワークは僕もやるし学生さんがやってきてくれるから、彼らもやる。しかしビジョンを持たないとハードワークの無駄遣いになると。その時に作ったのがこういうビジョンです。

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人間のES細胞ができて、研究ができて再生医療ができるようになった。しかし、人の胚を倫理的な問題とか拒絶反応がある。それだったら患者さんご自身の細胞を何とか加工して、コンピューターのディスクに色々書き込んだのを初期化したら真っ白になりますね。

それと同じように受精卵がどんどん分化して機能が本当に限られたことしかできなくなっている皮膚細胞を、何とか「ピッ」とリセットボタンを押して初期化して、受精卵と同じような状態のES細胞に近い万能細胞にできないかと。これは非常に難しいビジョンですけど、いったん研究者も辞めかけたんだからと、もうヤケクソで、思いっ切り難しいことをやってやろうと思ってこれをビジョンにしました。

そしてこのビジョンに惹かれて3人の大学院生が入ってくれて、高橋君、海保さん、徳澤さん。これはその3年後の修士の修了の時ですけれど、この3人をはじめ何人かの人が先ほどのビジョンのもとにハードワークをしてくれて、何十年もかかるかもしれない、僕が研究している間にはできないんじゃないかと思ったところ、彼らの頑張りでできてしまったのがiPS細胞です。

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皮膚の細胞に4つの遺伝子を送り込むと、本当に不思議なんですけど、ES細胞にそっくりな細胞ができるということがわかって、その細胞をiPS細胞と名付けました。2006年にネズミで成功して、2007年には人間でも成功したわけです。iPS細胞の話は、こうやっていつも僕がすることが多いです、しかし実際は、この3人がiPS細胞を作ったと言っても過言ではありません。

先ほどの3人の学生さんのうちの2人、海保さんも頑張ってくれましたが、2年で修士が終わって2002年くらいに就職して、今は会社にいます。しかし徳澤さんと高橋君はずっと研究を続けてくれています。

それからもう1 人は一阪さん、彼女は技術員です。ネズミの世話もしてくれるし、iPS細胞を作るうえで欠かせなかった色んな材料を作ってくれたのが一阪さんです。この3人のおかげでiPS細胞ができました。

その結果、稲盛財団から京都賞をいただいて、そして今日、こういう素晴らしい機会で皆さんとお話をすることができたわけです。

iPS細胞技術はまだまだ道半ば

この3人だけではありません。iPS細胞ができたのは、私たちの前にたくさんの研究者の人たちが色んな事を実験して、色んなことがわかっていました。

僕たちはそれを使って、その上で研究して、ようやくiPS細胞ができました。色んな研究があってこそのiPS細胞です。彼ら3 人以外にも、たくさんの僕の研究室のメンバーも頑張ってくれました。またiPS細胞ができた後も世界中で多くの研究者たちがiPS細胞技術をより発展させています。

だから技術そのものはどんどん発展していっています。そういうことがあってこのiPS細胞があるので、今日こういう場で発表させてもらっていますが、本当にこの3人をはじめ、多くの人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。と同時にiPS細胞技術はまだ完成していません。1人の患者さんの命も救ってはいません。

これからまだ色んな研究が必要です。ですから京都賞を頂いてすごい励みになります。もっと頑張って本当の意味でiPS細胞技術を完成させるのが、これからの僕のビジョンです。この高橋君と一坂さんはいまだに奈良から京都に来てくれて僕と一緒に働いてくれています。

こういう素晴らしい仲間に囲まれて、今後ビジョンを達成するために、ハードワークをしていくと。そのために体力も大切ですから、これからも鴨川を走りたいと考えています。今日は研究のことはすぐに忘れていただいても大丈夫ですけど、聞いていただいた方、iPSは京都賞をもらってすべてが順調でこういう研究者がここにいるんではない、そういうことをわかってください。

人間万事塞翁が馬

高校の時に先生にコテンパンに怒られて社会人になって、医者になってからだけでも……。医者になってすぐに、まだ28歳でしたけど、最愛の父親を亡くしました。自分にとっての最大のサポーターを亡くしてしまって。今話したような山あり谷ありがあって、こういう研究ができたんだと。

みんなもこれから、今まではお父さんとかお母さんとか先生とか色んな人に守られて、助けられて、自分ではそう思っていなくても、たくさんの人に守られてここにおれるんですけど。これからどんどん大学生になり、社会人になり、結婚して子供ができる人も多いと思います。そうなっていく上で、色んな事が、いいことも、楽しいことも、辛いことも、悲しいこともあると思いますが、少しでも今日の僕の話を思い出してもらって「万事塞翁が馬」だと。

悪いときは必ずいいことがあります。

いいことがある一歩手前です。かがむとジャンプできます。そうでしょう。いい時は用心しましょう。何か悪いことがあるかもしれません。先生に褒められているときは用心しましょう、家に帰ったらお母さんに怒られるかもしれません。

そんな風に一喜一憂しないということがとっても大切だと思います。僕たちも色んなことに失敗を恐れず挑戦してきました。やらずに後悔するんだったら、やって後悔する方が良いと思います。僕もアメリカに行くときも悩みましたが、本当に行って良かったと思います。

みんなも失敗することは全然恥ずかしいことではありません。これからみんなが日本を支えていく本当の力になっていくんですから。研究のことは本当に忘れてもらっていいです、今日のこの話が少しでも参考になれば本当に今日話したかいがあります。今日は本当にありがとうございました。



http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015020990105725.html
三重病院で37人食中毒 ノロウイルス検出
2015年2月9日 10時57分 中日新聞

 三重県は8日、国立病院機構三重病院(津市大里窪田町)で給食を食べた入院患者ら37人が下痢や発熱、嘔吐(おうと)といった症状を発症したと発表した。給食を調理した男性職員と患者の便からノロウイルスが検出され、県は食中毒と断定。同日付で三重病院に給食業務の禁止処分を出した。

 発症したのは、入院中の4~93歳の男女36人と男性職員1人。重症者はおらず、全員が快方に向かっている。

 県によると、発症者はいずれも3日昼に酢豚やコンソメ煮、野菜サラダなどの給食を食べた。感染源の食品は特定されていない。4日以降に入院患者が相次いで胃腸炎などを発症し、三重病院が5日午前、津保健所に通報した。

(中日新聞)



http://apital.asahi.com/article/news/2015020800013.html
滋賀) 大津市民病院、経営形態検討委が初会合
2015年2月 9日 朝日新聞

 経営が厳しい大津市民病院について、市が設置した専門家による経営形態検討委員会の初会合が6日、市役所で開かれた。委員長に東京大学政策ビジョン研究センターの尾形裕也特任教授を選任。今後の経営形態のあり方について審議した。委員から「経営形態を見直す前に、同規模の他病院の経営状態を比較する仕組みが必要ではないか」などの指摘があった。

 同病院は医業収支の赤字が続き、昨年9月に市民病院のあり方を考える市の検討委員会(委員長=伊藤康行副市長)が、経営形態を地方独立行政法人に移行させることが望ましいとする提言書を作成している。

(朝日新聞 2015年2月7日掲載)

G3註:大津市民病院 506床 <内訳> 一般病床488床、結核病床10床、感染症病床8床



http://www.jomo-news.co.jp/ns/2214234955478089/news.html
不整脈手術の女性死亡 合併症に対応せず
更新日時:2015年2月10日(火) AM 06:00 上毛新聞

 群馬県は9日、前橋市にある県立心臓血管センター(大島茂院長)で2013年12月、不整脈治療の心臓手術を受けた県内の60代女性が術後に合併症を発症した際、看護師と医師の連絡体制などに問題があったために把握が遅れ、死亡する医療事故があったと発表した。同センターは外部の医師らで構成する調査委員会で問題を検証、昨年7月に責任を認めて遺族に謝罪した。和解に向け、今月16日開会の第1回定例県議会に提案する本年度2月補正予算案に、賠償金約4300万円を計上している。



http://apital.asahi.com/article/news/2015021000003.html

群馬)手術後、ミス重なり死亡 県が4300万円賠償へ
2015年2月10日 朝日新聞

 県立心臓血管センター(前橋市亀泉町)は9日、2013年12月に不整脈治療の手術をした県内の60代女性が翌月死亡した医療事故があり、術後の対応ミスで合併症の発症を見落としたことが死亡の原因となったとする調査結果を記者会見して発表した。県は責任を認め、遺族に約4300万円を賠償するための議案を16日開会の県議会に提出する。

 大島茂院長らによると、女性は13年12月、カテーテルを心臓内部に挿入して不整脈の原因の心筋部分を高周波電流で焼く「カテーテルアブレーション治療」を受けたが、翌日早朝に心肺停止状態となり、心臓マッサージで心拍が戻ったものの、脳死状態と診断され、14年1月に死亡した。

 女性は手術終了から約7時間後の午後11時ごろに吐き気などを訴え、血圧も66に低下していた。看護師が吐き気止め薬を注射するなどした後、当直医と主治医に報告し、主治医が輸液と経過観察を指示したが、ともに診察はしなかった。翌日午前5時10分ごろ、夜勤の看護師が心電図モニターの電極パッドが外れ、心肺停止状態の女性を見つけた。心膜と心臓の間に体液がたまる心タンポナーデを発症したとみられる。



http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/series/yakushiji/201502/540656.html
患者が医師の暴言を撮影…寺澤先生に聞くERのトラブル対応
薬師寺泰匡
2015/2/10 日経BP

 先日、EMAllianceの大規模勉強会(EMA meeting)を当院で行いました。若手ER医が集まり、日々の診療をブラッシュアップすべく勉強するのです。EMA meetingは、1年に2回、夏と冬に開催されます。今回初の大阪開催をしようということで、当院に白羽の矢が立ちました。病院側から全面的なバックアップを受け、なんとかかんとか開催にこぎつけることができました。

テーマは「ERのトラブル対応」
 奇しくも、静岡県の某病院で救急対応した研修医の言動に問題があるということで、患者の父親である外国人がそのやりとりを撮影した動画を全世界に公開して騒動になりました。この件には3つの問題があったと思います。

(1)医療側の対応として不適切な部分があった
(2)患者側のニーズが高すぎて対応不可能であるが、そのことが理解されず、しかも外国人であったことでさらに伝わりにくかった可能性が高い
(3)事情を知りもしないマスコミがただ情報を垂れ流した

 いろんな不幸が重なりましたが、患者本人は大きな問題なく経過しているということを風の噂に聞き、良かったなぁと思います。

 さて、このようにERでは日々様々なトラブルに見舞われます。未然に防いだり、起きてしまったトラブルにどう対応したりということをみんなで学びました。

 今回は特別講師に福井大学の寺澤秀一先生を招いて講演頂きました。寺澤先生は、言わずと知れた「研修医当直御法度」(三輪書店、2002年)の著者です。研修医の心細い夜に、力強い助言をくれるバイブルです(僕はいつも上級医がそばにいてくれたので心細くありませんでしたが…)。

 寺澤先生は早期にアメリカの救急医療システムに触れて、日本の救急医療の発展のためにはシステムを構築しなければならないと考え、1人福井でERを立ち上げました。救急部門で全ての診療科を対応するとは言え、多くの入院加療が必要な患者さんは他科の医師の協力を仰ぐことになります。当然当初は他科の医師から

「勝手に救急とってんじゃねぇよ」
「自分で診ないくせに勝手なことしてんじゃねーよ」

 などとボロカスにされます。しかし粘りに粘り抜いてER文化を日本に定着させたのです。まさに日本ERの神様です。今回はそんな神様を自分の働く病院に招くことができて本当に感激でした。寺澤先生からは、何年も最前線でER診療に携わってきた、まさに実体験に基づいた臨場感あふれる講演をしていただきました。

 例えば、ERでトラブルになりそうなハイリスクな状況をいかに察知するか。

・金曜日の夜ERを受診する患者はハイリスク(翌日受診がなされず月曜日まで放ったらかしになる可能性が高い)
・患者家族に医療関係者がいる患者はトラブルのハイリスク(いわずもがな…)
・若い女性が夜間に化粧バッチリでシャ◯ルのバッグを持って現れたら危機管理レベルを上げろ(背後にシ◯ネルを買い与えた人物が必ずいるはずだ)

 などなど含蓄に富む話を聞くことができました。個人的には某サンリオキャラクターのキラキラした健康サンダルを履いている若い男女は、リスクマネージメントを考える上で重要な、アルコールやけんかや薬物などの事象と関連している気がしてならないのですが、◯ティちゃんに罪はないし失礼なのであまり言わないでおきます。

井村のカルテを見習え」
 さて、寺澤先生にご挨拶申し上げたところ、寺澤先生からこのような質問がきました。

「ここは、井村先生がいらっしゃった病院でしょうかね…」

 井村先生とは、著書「飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ」で知られ、骨肉腫のために志半ばで命を亡くした医師、井村和清先生です。

 井村先生は富山に生まれ、医師となった後沖縄県立中部病院で研修し、当院が開院するときに内科医として勤務を開始されました。しかしその後骨肉腫を発症。右足を切断しつつも内科医として勤務を続けましたが、肺転移が見つかり、31歳にしてこの世を去ってしまった医師です。まだ僕が生まれる前の話です。

 この本は、飛鳥という娘と、妻のお腹の中にいて会うことが叶わなかった子供に対する手記のまとめです。涙なくしては読めません(人の親なら余計に)。この本を基にした映画も作成され、2005年には稲垣吾郎主演でテレビドラマも作成されました。ドラマの放映時、僕はまだ大学生でしたが、富山出身ということで非常に親近感を覚えた記憶があります。まさかその人が働いていた病院に初期研修に来るとは思いませんでしたが。

 寺澤先生は沖縄県立中部病院時代の同僚で、井村先生ととても仲が良かったそうです。井村先生は患者さんに対する愛情に溢れた人だったようで、カルテの字も本当に丁寧できれいなことで有名だったようです。当院には井村先生の使用していた聴診器や机が展示されています。寺澤先生をそこへご案内したところ感慨深そうに当時のことを語ってくれました

 「井村のカルテはきれいだ、みんな見習えと言われていました。富山に入院して、みんなから預かった見舞いを届けにいく役目を頂き、会いにいったのです…」

 改めて展示されている手記の複製を見ると、本当に丁寧できれいな字です。「井村のカルテを見習え」を自分へのメッセージだと思って、また日々頑張ろうと思いました。井村先生の手記から一部抜粋します。


  食事がたべられる
  夜になるとちゃんと眠れ、そして又朝がくる
  空気をむねいっぱいにすえる
  笑える、泣ける、叫ぶこともできる
  走りまわれる
  みんなあたりまえのこと
  こんなすばらしいことを、みんなは決してよろこばない
  そのありがたさを知っているのは、それを失くした人たちだけ
  なぜでしょう
  あたりまえ


 31歳を過ぎてまだまだ働けることは幸せなことです。しかも日本中に仲間がいる!ありがたい!!



http://mainichi.jp/shimen/news/20150210ddm005010096000c.html
厚労省:医療法人改革案 地域の病院、一体経営
毎日新聞 2015年02月10日 東京朝刊

 厚生労働省は9日、地域の複数の病院や介護施設をグループ化して一体的に経営し、人材や機能の有効活用を目指す新型の法人制度「地域医療連携推進法人(仮称)」の創設案を省内の検討会に示し、了承された。病院を経営する複数の医療法人などの参加を原則とし、株式会社など営利法人の参加は認めない。同省はこれを受け、今国会に関連法案の提出を目指す。

 同省は新型法人について、一般社団法人として都道府県知事が認定する法人と規定。競合関係にあった病院や施設の連携を促すとともに、新型法人の下で患者情報の一元化や病床を融通するなど、効率的なサービス提供が可能となる。

 新型法人に参加できる法人は、病院や診療所、介護施設を開設する医療法人や社会福祉法人などが原則で、営利法人の役職員が役員に就任することはできない。新型法人が医療や介護に関連する株式会社に出資する場合、出資先の株式の100%保有を義務づけるほか、剰余金の配当を禁止して非営利性を確保する。【中島和哉】


  1. 2015/02/10(火) 06:27:53|
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