Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月21日 

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=109902
群馬大病院、手術継続の動機なお不明…診療科を再編へ
(2014年12月21日 読売新聞)

 肝臓の腹腔鏡ふくくうきょう手術を受け、患者8人が死亡した群馬大学病院(前橋市)は19日、前橋市内で記者会見し、調査の中間報告を発表した。その中で、「8人とも術前検査が不十分で、手術が過大な負担になり容体を悪化させた可能性がある」との認識が示されたが、執刀医が高難度手術を続けた動機など事態の背景にはいまだ不透明な部分が多い。野島美久よしひさ病院長は「大変残念に思い、責任を感じている」と苦渋の表情を浮かべた。

 同病院の第二外科が2010年12月~14年6月に行った腹腔鏡を使う肝臓手術を受けた患者92人中58人が保険適用外の高難度手術だったとみられ、うち8人が手術後100日以内に死亡した。

 しかし、手術後に死亡した患者について問題点を検証する死亡症例検討会は、8人が死亡しても開かれていなかった。

 病院長はその事実を認め、「診療科長(第二外科教授)の責任は重い」と述べたが、なぜ3年半にわたり死亡症例の検討さえ行われなかったのか明確な理由は明かさず、「認識の問題だと思う」とするにとどまった。執刀医が高難度手術を繰り返した意図について問われると言葉に詰まり、返答に窮する場面もあった。

 事態を受けた改善策として、第一外科、第二外科など番号制の診療体制を廃止し、診療科を臓器別に再編成することが打ち出された。群馬大病院では第一外科、第二外科ともに、内部に消化器外科、呼吸器外科、乳腺外科といった診療グループを持ち、重複する。このことが、限られた人材の分散化や閉鎖性を生み、問題の一因となったとみられる。

 ただ、同病院では06年、第一外科が手がけた生体肝移植で臓器提供者(ドナー)に重い障害が残る深刻な医療ミスが発覚している。何年も前にすでに見直しの機会がありながら、今まで本格的な再発防止策に着手できなかった理由もはっきりしていない。今月初旬、次期学長への就任が決まった野島病院長は、自らの責任問題について、「まずなすべきことは、何が問題だったか調査、検証すること。(遺族の思いに)しっかり応えなければと思う」と語った。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03106_05
The Genecialist Manifesto
ジェネシャリスト宣言
「ジェネラリストか,スペシャリストか」。二元論を乗り越え,“ジェネシャリスト”という新概念を提唱する。
【第18回】
ジェネシャリストと地域医療,そして大学病院

岩田 健太郎(神戸大学大学院教授・感染症治療学/神戸大学医学部附属病院感染症内科)
(前回からつづく)
週刊医学界新聞 > 第3106号 2014年12月22日

 地域医療が窮迫しているとよく言われる。兵庫県も大きな県で,医療リソースが不足している地域が多い。2013年に出された兵庫県地域医療再生計画でも,神経内科医や産婦人科医,小児科医などが地域で不足している実態が報告されている1)。

 こういう話になると,すぐに「あれは医師の初期研修の必修化が遠因だ。労働力としての研修医を確保できなくなった大学病院が地方から医師を引き揚げさせ,そのために地域医療が崩壊した」という人がいる。そういう側面が皆無だとは言わない。しかし,そういう側面だけでもない,とぼくは考えている。



 第一に,大学病院からの派遣医は地域医療に向いていない医師が多い。特定の領域に特化した専門医が多いからだ。兵庫県のいろいろな病院を訪問すると,この「特定のことしかできない大学の派遣医」の弊害をよく聞く。

 特定臓器の特殊な病気の手術しかできない専門性の高い外科医が,地域でその能力を発揮できる機会は少ない。その医師は「医師1」としてカウントされるが,実働する機会はほとんどない。飼い殺し状態であり,給料泥棒ですらある。初期研修医は地域医療実習に赴くが,こういう大学チックなスーパー専門医が指導教官に当たったりすると最悪である。「おれは地域医療のことなんか知らん」と言って自分の専門領域のレポートを書かせたり,ひどい場合は実験の手伝いをさせたりしている事例もあった。

 スーパー専門医でも「おれは自分の専門領域以外はできない」と自覚しているぶんにはまだ罪が軽い。自分の知らない領域に「まあ,なんとかなるだろ」とやっつけ仕事で手を出し始めると,これは相当イタい。そうやって「なんとなく」抗菌薬の使い方とかを我流で覚えた医師をイヤというほど知っている。経験値だけはあるから,「自分は地方でもまれて感染症にも強くなった」なんて変な自信がついているから,始末に負えない。

 要するに,地域医療を語るときは,医療圏当たりの医師数をカウントしているだけではダメなのだ。それはその地域の人々に対する冒涜である。要は,その「1人の医者」がどんな医者か,が大事なのだ。



 そもそも,大学病院にはまだまだ初期研修医が多すぎる。よく厚労省が初期研修マッチングの結果で「大学病院とそれ以外,どっちが多かった」という不毛なデータを出しているが,そもそも病院数が絶対的に違うのである。大学病院といってもいろいろあるが,特に都市部の大学病院は研修医を採用しすぎである。病院規模が大学病院と同じくらいの亀田総合病院ですら年間採用数は22人である2)。顔も名前も覚えられないくらい大量の研修医を雇っても,質の高い研修は提供できない。教育なんてどうでもよく,「労働力」として,「将来入局する医局員の青田買い対象」として扱っているからこうなるのである。大学病院は自分たちが適切な教育を提供できないほどの大量の初期研修医を採用すべきではない。

 大学病院で初期研修医を囲い込まず,かつ労務を適切にするには,やはり個々の医師の診療能力の適切化が大切である。以上は第5回(第3053号)でも述べた通りである。



 大学病院の医師の多くは専門性が狭すぎる。狭いのはまあよいとして,自分の専門領域以外の診療能力が低すぎる。だから,当直ができない,救急外来が担当できない,と自分の専門外の領域に応用が利かない。内科医でも胸痛のワークアップ,腹痛のワークアップといった単純なことができない。なので,エコーとかCTとか無駄な検査を乱れ打ちするようになる。どうしてよいのか,わからないからだ。こうやって検査技師たちは乱用され,診療時間は長くなり,医者たちはどんどん疲弊していくのである(大学によって例外はあると思う。特に地方の大学病院は一般病院と構造的に変わりないところもあるし。なので,ここではあくまでティピカルで大学病院チックな大学病院と思っていただきたい)。

 もし,大学病院の医師全てがジェネシャリストとなり,コモンな患者の訴えに対する基本的な対応法を熟知していれば,無駄な検査は減り,診療のスピードはアップし,なにより診療の質は高まるであろう。そうすれば,今と同じ人的リソースで,より効率的な診療が提供できるはずである。

 大学病院の労務の難しさは複雑で,「あれを解決すれば,全て解決する」といった特効薬的な方策は存在しない。だから,たくさんの方策をしらみつぶしに行って,少しずつ労務環境を改善していくよりほかない。「大学病院医師のジェネシャリスト化」もその方策のひとつである。病院内の医師数だけではなく,個々の医師の診療能力を上げること,診療の幅を広げることで,診療効率は上がり,看護師,検査技師,薬剤師,事務方など全てのコメディカルの無駄な労務も減少するとぼくは思う(なくなりはしないけど)。

 そういうジェネシャリスト集団の大学病院医師が地域に派遣されれば,単に1人の専門医が地域に派遣されるのとは全く異なる影響を現場に与えるであろう。多様な訴えを持ち,コモンな病気を持つ患者を1人の医者が広く診ることができれば,診療効率はかなり上がる。人口当たりの医師数は同じでも,アウトカムは変わってくるはずだ。



 小児科医が小児を診るスキルは,非小児科医が小児を診るスキルよりも高い。当たり前だ。しかし,病院にやってくる小児の大多数はコモンな問題を抱えており,非小児科医であっても訓練を得ていれば対応できることが多い。

 小児科医がいなくてもよい,と言っているのではない。いざというときはやはり専門性の高い小児科医が頼りになる。しかし,小児科医以外の医師が小児をたくさん診てくれることは,結局はその小児科医たちの負担を減らし,その専門性を発揮すべき難しい問題に時間と意識を集中させることを可能にする。ジェネシャリストの存在は,スペシャリストを助けるのだ。そのスペシャリストがやはりジェネシャリストであれば,同じように他の専門医たちを助けることだって可能であろう。

 かくして,ラグビーのスローガンよろしく,「One for all, all for one」となって,個人が全体(医療環境)を助け,その医療環境に個人が助けられるのである。



(つづく)

参考URL
1)兵庫県地域医療再生計画(平成24年度補正予算).
2)厚労省.2014年度研修プログラム別マッチング結果(2014/10/23現在).



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03106_01
患者本位の医療を実現するために
第9回医療の質・安全学会学術集会開催

週刊医学界新聞   第3106号 2014年12月22日

 第9回医療の質・安全学会学術集会が11月22-24日,高久史麿大会長(医療の質・安全学会)のもと,「患者本位の質・安全を追求する21世紀医療システムの構築に向けて」をテーマに開催された(会場=千葉市・幕張メッセ国際会議場)。本紙では,医療者の超過勤務,若手医師の質改善活動について議論した2つのシンポジウムの模様を報告する。

医療者自身の健康が患者の安全につながる

 医療安全確保には医療者自身が健康であることも重要であり,健康に影響を与える要因としては疲労やストレスが挙げられる。シンポジウム「日本の医療者の超過勤務を考える」(座長=聖路加国際大・井部俊子氏)では,疲労やストレスの原因にもなる超過勤務の問題が取り上げられ,医療者の労働時間の現状や課題が共有された。
 まず,濱口桂一郎氏(労働政策研究・研修機構)が,日本人の労働時間に対する意識の変化について概説。1911年,長時間労働による健康被害から女子年少者を守るために制定された工場法によって,日本で初めて労働時間の規制が行われた。戦後制定された労働基準法で男女共に労働時間の上限が設けられたものの,同法36条に基づき労使協定を結び,届け出を行えば労働時間を延長できたため,長時間労働問題の焦点は,労働者の健康被害ではなく賃金の有無に移行してしまったと指摘。近年,過労死など労働災害の増加により,発生後の補償ではなく予防をめざす動きが出始めたことを受け,氏は,工場法に立ち返り,“労働者の安全と健康を守る”という観点で労働時間を見つめ直すべきだと呼び掛けた。

 勤務医の健康状況を報告したのは,保坂隆氏(聖路加国際病院)。日本医師会による医師約4千人への調査の結果,スクリーニングテストで約12人に1人が抑うつ状態,約50人に1人がうつ病に該当したという。また,同僚に知られたくないなどの理由から,自身の体調不良を周囲に相談しない傾向も浮き彫りになり,職場でのストレステストに正しく答えていない医師も多いのではないかとの懸念も生じた。また,抑うつ状態と睡眠時間に強い負の相関があったことに触れ,ストレス状況を把握するためには睡眠に関する複数の質問が有用になり得ると分析。抑うつ状態では集中力・思考力・決断力が低下し,重大な医療事故につながりかねないことから,メンタルヘルス面のサポート体制の充実を求めた。

 「笑顔で働くには,“働きがい”と“働きやすさ”が大切」。こう話したのは薬剤師の古川裕之氏(山口大大学院)。2012年の診療報酬改定以降,薬剤師の病棟薬剤業務への取り組みが積極的に行われているが,限られた人員でさらなる業務をこなすことに負担の増加を危惧する声もある。そこで氏は,病院勤務の薬剤師を対象に“働きがい”と“働きやすさ”に関するアンケートを実施。その結果,以前と比べ超過勤務は増加傾向にあるものの,多くの薬剤師が病棟業務に働きがいを感じていることがわかった。その一方で,世間ではストレスや悩みを抱えた医療者が自分で使うために鎮静剤や麻酔薬を盗む事件が発生していることに触れ,超過勤務の増加などによるストレスを軽減するためにも働きやすい環境作りを呼び掛けた。

 奥裕美氏(聖路加国際大)は,日欧の看護師の働き方の違いについて説明した。欧州では基本的に超過勤務は行われていない。その理由として,(1)労働時間の法規制の厳しさ,(2)労務管理に関する知識の浸透,(3)他職種との業務分担,(4)日勤・夜勤が選択できること,(5)プール制による代替スタッフ確保,(6)文化・風土・価値観の違いを挙げた。氏は,職場環境の整備を進めるとともに,プライベートの時間を犠牲にしてでも超過勤務を行うことを美学と考える価値観を変えていく必要があると訴えた。

 最後に相馬孝博氏(榊原記念病院)が,疲労に関する研究を紹介した。米国ペンシルバニア大の研究によると,1日12時間以上の勤務や週40時間以上の勤務,通常シフト後の予定外の超過勤務が続くと,エラーが起きやすくなるという[PMID: 15318582]。また睡眠不足時は,アルコール摂取によって活動性が低下している状態に近く,夜勤開始24時間後は酩酊初期(血中アルコール濃度0.11%)の状態に匹敵する[PMID: 9230429]と報告。自身の状態を把握するチェック項目として「HALT(Hungry, Angry, Late, Tired)」を紹介し,この状態のときはHALT(止まること)が必要であり,患者の安全を守るためにも自身の疲労に自覚的であるべきだと述べた。

若い医療者が主体的に質改善活動に取り組むには

 「医療の質」の概念やその向上といった話題は,医学生や若手医師にとってはなかなか身近に感じにくい。シンポジウム「若手医師の質改善教育を考える――諸外国の動向と教え教わる若手の試み」(座長=国保松戸市立病院・遠藤英樹氏)では,若い医療者がいかに主体的に質改善活動にかかわり,臨床実務と両立させていくかが議論された。

 まず,一原直昭氏(米国ブリガム・アンド・ウィメンズ病院)がイントロダクションとして“医師としての資質”を育てるための欧米各国の手法を紹介した。例えばカナダでは,学部教育から生涯教育まで全面的に適用される「CanMEDS」という枠組みで,プロフェッショナルとしての医師が果たすべき責務や行動基準を具体的に規定。英国では「Good Medical Practice」という行動規範で,患者との信頼関係を築くための原則が「医師の義務(Duties of a doctor)」として明記されているという。氏は,医療の在り方が“技”や“徳”を積み,患者と一対一の関係を築く伝統的なかたちから,社会制度に組み込まれたものへと変わる中で,医療の提供者の資質にも“社会への視点”が必要と提言した。

 続いて三氏が,質改善活動の実践例を紹介した。座長の遠藤氏は,自院の救急科をローテートする研修医に向け,毎日使えるチェックリストを作成。日常業務に手軽に組み込める,コミュニケーションツールになるなどチェックリストのメリットを挙げる一方,持続性や結果の可視化を課題とした。

 飯塚病院では20年以上前から全職員を対象に質改善の実践・教育活動に取り組んできたが,医師の参加はまれだったという。同院緩和ケア科の柏木秀行氏は,院内の改善推進本部と共同で研修医向けの短時間の質改善教育カリキュラム「Kaizen Quick Seminar」を開発。同科をローテートする初期・後期研修医の必修科目としたことを報告した。

 最後に佐久総合病院の嶋崎剛志氏が,新たに設立された救命救急センターにおける研修医によるM&Mカンファレンスの取り組みを紹介。新設の施設で,研修医が主体となってシステムやルールを構築していく上で一定の成果を挙げたとしつつ,定例化・継続といった課題にも言及した。



http://www.yomiuri.co.jp/national/20141221-OYT1T50113.html
群大、開腹手術でも10人死亡…腹腔鏡と同医師
2014年12月22日 03時00分 読売新聞

 群馬大学病院(前橋市)で腹腔鏡ふくくうきょうを使う高難度の肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題で、腹腔鏡手術を手がけた第二外科(消化器外科)による肝臓の開腹手術でも、過去5年間で、84人中10人が術後3か月以内に死亡していたことが関係者への取材でわかった。


 開腹手術の死亡率は11・9%に上り、全国的な肝臓の開腹手術の死亡率に比べ3倍という高率だった。

 開腹手術は、腹部を大きく切り開く手術。肝臓手術では、小さな傷口からカメラ(腹腔鏡)や操作器具を差し入れて行う腹腔鏡手術に比べ、一般に幅広く行われている手術方法だ。

 同科が行った肝臓の開腹手術は、2009年4月から、同科の肝臓手術がすべて停止される今年夏頃までに、肝臓がんなどの患者84人が受け、60代~80代の男女10人が敗血症や肝不全などで死亡していた。

 病院関係者によると、10人の手術を執刀したのは、腹腔鏡手術を受けて死亡した患者の執刀医と同じ40歳代の男性助教だった。この助教が執刀した腹腔鏡手術では、10年12月~14年6月に8人が亡くなっている。開腹手術で死亡した10人のうち5人までが09年度中に集中していたが、同科は、その翌年度には新たに腹腔鏡手術を導入し、同じ医師に執刀させていた形だ。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03106_04
【座談会】
よい病院はどうあるべきか

『病院』74巻1号より
井伊 雅子氏(一橋大学 国際・公共政策大学院教授)
伊関 友伸氏(城西大学経営学部 マネジメント総合学科教授)
今村 英仁氏(公益財団法人慈愛会 理事長)
神野 正博氏(社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院理事長)=司会
松田 晋哉氏(産業医科大学 公衆衛生学教室教授)
山田 隆司氏(公益社団法人地域医療振興協会 台東区立台東病院管理者)
週刊医学界新聞 第3106号 2014年12月22日


 「よい病院はどうあるべきか」を追求するために1949年に創刊された『病院』誌は,「地域医療計画/地域医療ビジョン」を年間テーマに設定し,2015年1月号より誌面をリニューアルする。創刊の原点に立ち返り,「よい病院」の姿を模索すべく,現編集委員の6氏が議論した。本紙では,座談会の模様をダイジェストでお伝えする[全文は『病院』(74巻1号)に掲載]。

神野 では,病院管理者の立場から,今村先生お願いします。

今村 地域包括ケアシステムの構築を進めるという観点からは,地域で必要とされるかどうかが「よい病院」の1つの指標になるでしょう。たとえ高度医療をやっていたとしても,地域の支持が得られないということであれば,よい病院とは言えないのかもしれないと考えています。

神野 山田先生はいかがでしょうか。

山田 経営的に病院を継続していくこと自体がかなり厳しい環境に置かれています。何をやってもコストがかかる一方で,収入は国が認めてくれたことしか点数にならない。あるいは医療制度が変わるごとに,それを機敏に見通し,政策のねらいを理解してついていかなければいけない。一方で,地域の中で必ず病院が担わなければいけない役割もある。そんな中でも住民の皆さんが安心していられるための受け皿づくりを常に考えていくことが,「よい病院」として生き残るための最低限のことだと痛感しています。

神野 私も管理者ですので,一言申し上げます。当院は今年でちょうど80周年です。子どもがたくさんいて,多様な産業があって,港が栄えていた当時と今とでは,地域のニーズも違ってきています。高齢化率も非常に高い地域で,これからの病院を考えていかなければいけない。もしかしたらニーズだけではなくて,先回りというか,シーズに対しても先手を打って考えていく必要があるのかなと思います。

 私が目指したい「よい病院」の条件は,面倒見のよさです。全部を自前で引き受けるのではなく連携も含めて,急性期医療から在宅あるいは介護までの道筋を描けるか。それがまさに地域包括ケアであり,地域医療ビジョンだと思います。それを打ち出していけるような病院でないと,これからの超高齢社会を乗り越えるのはなかなか難しいでしょう。

地域の安心を保証するのが「よい病院」

神野 井伊先生には経済学の面から少しコメントをいただけますか。

井伊 日本の中小病院の現状を考えると,規模が大きい病院へ二・三次医療が集約されて,プライマリ・ケアに特化した病院を目指すこともあると思います。その地域に応じた役割を果たしてほしいです。また,日本の病院は民間病院が多いですが,ほとんどの医療やケアが公的医療保険で提供されている限り,「公的な存在である」ことも意識するべきと思います。

神野 松田先生,研究者のお立場からいかがでしょうか。

松田 千葉大学の広井良典教授のご研究で「コミュニティにとって何が大切か」という調査があり,その上位2位が学校と医療施設です。学校は子どもがいる。これは将来の安心です。病院は地域の現在の安心を保障するのが最重要な機能だと思います。地域から医療機関がなくなれば厚生水準が下がり,さらに地域が廃れてしまう。地域の安心を保証するために,病院はそこにあり続けないといけません。ただし,その病院の機能は地域のニーズに合っていなければなりません。

 大切なのはマネジメントの力ですね。1つには,自院の立ち位置が現在どうなのか,将来どうなるのかという地域単位でのマネジメント。もう1つは,病院単位でのマネジメント。さらに臨床レベルでの質のマネジメントも行わなければいけない。各レベルでマネジメントができる人材をどのように育てるか。つまり,「よい病院」は学習する組織ではないでしょうか。そのためには,患者にとってだけではなくて,職員にとっても安心できる,働きがいがある病院にならないといけないのではないかと思います。

 加えて,これからどのような道筋を行くのか複数のシナリオが書ける,そういう経営者がリーダーをしている病院がよい病院だと思います。

神野 職員が誇りを持つことですよね。納得できる話です。では伊関先生。

伊関 私の専門である行政学の本質は,社会問題をいかに適切に解決するかです。その観点から,「よい病院」は医療・介護という地域の課題をきちんと解決できる機関であってほしい。診療所,介護施設,さらには地域の医療問題を考える「当事者」としての地域住民とともに,成長し続ける組織であってほしいと期待しています。

 2015年は,高齢化に対して本格的に取り組むべき正念場の年であると思います。ここで大きく変われなければ,日本の医療は存続し得ないでしょう。

地域における自院の役割を見極める

神野 (中略)ご自分たちの役割を探すというお話ですが,いわゆる地域医療ビジョンという,都道府県が決めた役割分担と折り合いがつくのでしょうか。

山田 大学病院が隣り合わせであるような都会で,どのように病院を機能分化させるかという政策的な判断をするのは,非常に難しいと思います。ただ,へき地や山間・離島の医療に携わってきた経験から言うと,ふんだんにある医療資源をもう少し地域格差の埋め合わせに動かしてもよいのではないか。地域医療ビジョンを超えて,将来の日本全体の地域格差の解消に向けた,大きなビジョンがほしい。それぞれの地域の中だけで評価して割り振るのは疑問です。

神野 地域医療ビジョン,医療計画との間でdiscrepancyはないのでしょうか。

松田 基本的にはあまりないと思っています。地域医療ビジョンはpost-acuteの不足をどうするか,いわゆる急性期からpost-acuteのほうに資源を移していこうということなので,その問題意識は一緒だろうと思います。

 問題は,医学教育です。高度急性期 → 一般急性期 → post-acuteといくにつれて医療のグレードが下がる,という意識を植え込みすぎている。これが高度急性期をやりたがる研修医が都会に集中する原因です。

 もう1つが地域包括ケアです。これから情報化が進んでいくので,医療・介護を含めて,どこに資源が足りないのか,どこに問題があるのかがかなり明らかになってきます。地域医療ビジョン自体は,データの解釈を都道府県単位か二次医療圏単位で行いますが,それを地域に展開するときには,医療と介護のデータを両方使った地域包括ケアを考えるための情報をどのように具体的なサービスにつなげていくか。そこに大きな政策課題があると認識しています。

神野 地域医療ビジョンは行政計画の1つであると同時に,地域行政の人材の話でもあるし,病院側の人材の話でもありますよね。どうコミュニケーションをとらなければいけないか。

伊関 これまでは,公共事業主導の資源分配型で「要求」して「できません」という対立型のコミュニケーションが多かったのです。これからは,共通の課題を解決するにはどうしたらよいのかを一緒に考えていく問題解決型のコミュニケーションに変えていかなければいけません。地域医療ビジョンはその試金石になりうるし,ある意味で日本の行政計画にとって画期的な試みです。

神野 これまでのお話を振り返ると,「よい病院」とはよい地域社会そのもののような気がします。これから「社会とともに」という1つのキーワードが出てくるのかなと思います。

(抜粋部分終わり)



http://www.sankei.com/affairs/news/141222/afr1412220004-n1.html
「データ改竄ない」国内最大臨床研究J-ADNI問題、東大第三者委が報告書 再始動へ
2014.12.22 05:07 産経ニュース

 アルツハイマー病の早期発見などを目指し、全国38医療機関が参加する国内最大級の臨床研究「J-ADNI(アドニ)」で「データが改竄(かいざん)されている」と内部通報があった問題で、東大の第三者委員会が「改竄に当たる恣意(しい)的なデータ修正はなかった」とする報告書をまとめたことが21日、関係者への取材で分かった。

 国と製薬会社が30億円以上を投じながら、内部の研究者の告発で疑念が生じ、約1年間にわたってストップしていた巨大プロジェクトが再び動き出すことになる。

 関係者によると、第三者委は、上書き修正され閲覧不能になっていたサーバー上のデータをすべて復元するなどして、修正の経緯を解析。事実と異なる不適切な修正が3件見つかったが、いずれも後に正しいデータに直されており、「人為的なミス」と判断されたという。

 改竄疑惑は今年1月に発覚。軽度のアルツハイマー病患者らの物忘れの症状を調べる心理検査の開始時間が、データを管理するデータセンターの指示によって「不正に書き換えられた」などと、内部の研究者が厚生労働省に通報した。

 第三者委の調査では、データセンターが「開始時間を修正してください」と医療機関に指示を出したケースなどについて検証。残っていた手書きのメモなどを調べた結果、「書き間違いだった」「間違えて終了時間を記載した」などと事前に医療機関側が認めていたケースが多く、「問題のある修正指示ではなかった」と結論付けた。

 また、心理検査の回答の正誤に関する修正指示も多かったが、これは「レンコン」を「ハス」と答えたり、胴体の太い蛇を「ツチノコ」としたケースなどをめぐって解釈が割れた結果と指摘。データセンターには責任者がおらず、アルバイトの職員らが独自のチェック体制を作らざるを得なかった状況に問題があったとした。

 厚労省によると、研究は東大の岩坪威(たけし)教授(神経病理学)を主任研究者として平成19年に開始。軽度のアルツハイマー病患者ら約600人を対象に3年間、記憶力と脳の働きの関連などを追跡調査し、新薬開発につなげる狙いだった。

 第三者委は弁護士らで構成し、今年8月から約4カ月かけて報告書をまとめた。

 関係者によると、今回の問題の責任について、報告書では「一義的には主任研究者にある」としながらも、多くが心理データのチェックをめぐって起きたことから、心理検査の責任者を務めていた内部通報者にも「一定の責任がある」と指摘されているという。



【用語解説】J-ADNI研究

 米国のアルツハイマー病研究「ADNI」の日本版を策定するため、国の助成を受けて平成19年にスタート。健常者や軽度認知機能障害患者ら約600人にMRI(磁気共鳴画像装置)検査や心理検査を継続して行い、変化を追跡調査した。今年1月にデータ改竄疑惑が指摘され、今年度予算5億円が凍結されるなど、研究はストップ。6月に東大が「改竄とは断定できなかった」とする内部調査結果を公表したが、より中立性の高い検証のため、第三者委員会が調査を行っていた。



http://nk.jiho.jp/servlet/nk/rinsho/article/1226579677144.html?pageKind=outline
AGは医療費適正化に逆行する  東京理科大・坂巻教授  「患者の選択肢も狭める」
( 2014年12月22日 ) 日刊薬業

 オーソライズド・ジェネリック(AG)と後続後発医薬品(GE)のシェア争いが本格的に始まった状況について、後発品に詳しい東京理科大経営学部の坂巻弘之教授がこのほど、じほうの取材に応えた。2014年度薬価制度改革で中医協の参考人を務めた坂巻氏は「今後もAGへの参入が増加することが予想されるが、医療費適正化を阻害する要因になるかもしれない」と述べた。AGはGEと比べて、薬局などへの納入価格が高い傾向にある。このため坂巻氏はAGはGEと比べ薬価の引き下げ幅が低くなる可能性があるとし、AGの薬価が高止まりすることで、GEと比べ適正化の効果が薄れるとの見方を示した。



http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03106_02
【寄稿】
病院職員構成の多様化と感染対策
坂本 史衣(聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネジャー)

週刊医学界新聞  第3106号 2014年12月22日

 病院には,医療関連感染のリスクが生じる機会が無数にあります。例えば,職員が患者に触れる時であったり,侵襲的な処置を行う時であったり,廃棄物を処理する時であったりと,さまざまなタイミングで存在しています。これらの機会に生じる感染リスクを低減するには,そこに関与する全ての職員に,必要とされる対策を周知し,実施を促せばよいというのはあまりにも自明です。しかし,今日の病院において,それには大きな困難が伴うようになりました。

増える「非正規職員」,感染対策の周知が必須

 かつて感染リスクが生じる機会に関与していたのは,主にフルタイムで働く正規雇用の職員でした。そのため,感染対策を取り決める際は,病院関係者だけで協議すれば済みましたし,対策を周知する方法や経路も,比較的単純でした。つまり,何度か集合研修を行い,部門管理者等を通して伝達すれば大多数の職員に対策を周知することができました。また,職員には,雇用主である病院の方針や手順に対するある程度のコミットメントも期待できました。

 ところが近年は,病院業務の分業化,外注化が進んだため,委託,派遣,パート,アルバイト等のいわゆる「非正規職員」が多数雇用されるようになっています。従業員の3-4人に1人は非正規職員という比率も最近では珍しくありません。そして,これらの非正規職員も,常勤正規職員と同様に,直接的,間接的に感染リスクが生じる機会に日常的に関与するようになっているのです(表1)。

表1 病院で非正規職員が担うことが多い業務と,業務に伴う主要な感染リスク
業務          業務に伴う主要な感染リスク
清掃       ●埃の蓄積や飛散で免疫不全患者に真菌感染症のリスク
         ●手指衛生や感染経路別予防策の不履行,手袋の継続的着用による微生物伝播のリスク
         ●使用済み器材,廃棄物の取扱いや,針刺し・切創に伴う血液媒介ウイルス感染のリスク
給食       食中毒のリスク
洗濯       リネンに混入した鋭利物による血液媒介ウイルス感染のリスク
患者搬送     手指衛生や感染経路別予防策の不履行による微生物伝播のリスク
物品搬送
器材洗浄     使用済み器材の取り扱いに伴う血液媒介ウイルス感染のリスク
事務
(受付,患者案内等) ●病室入退室時の手指衛生の不履行に伴う微生物伝播のリスク
           ●受付で結核やインフルエンザ等の呼吸器感染症に曝露するリスク
警備       結核曝露のリスク(特に大都市では住所不定患者における結核罹患率が高く,救急外来等でこれらの患者への対応を行う際に結核に曝露する恐れがある)
建築・改築工事    建築・改築時の塵埃の飛散で免疫不全患者に真菌感染症のリスク
看護補助業務     ●手指衛生や感染経路別予防策の不履行による微生物伝播のリスク
           ●使用済み器材,廃棄物の取り扱いや,針刺し・切創に伴う血液媒介ウイルス感染のリスク
病院内で営業する独立事業体
  葬儀業者     血液・体液汚染に伴う血液媒介ウイルス感染リスク
  飲食店      食中毒のリスク
  理髪店 美容店  ●鋭利物による血液媒介ウイルス感染のリスク
           ●病室に出入りする場合は手指衛生や感染経路別予防策の不履行による微生物伝播のリスク
*業務にかかわらず,全ての職員に麻疹,風疹,ムンプス,水痘,インフルエンザ等の急性ウイルス感染のリスクがある

 したがって,非正規職員に対しても感染対策を周知し,実施を促す必要があるわけですが,雇用主や働き方の多様性ゆえに,クリアすべき課題は多数存在しています(表2)。また,法令上も,病院と雇用関係にある職員については,感染対策に関する研修を行う義務が病院に課せられているのですが1),それ以外の職員については,規定が設けられていません。そのため,特に委託業者については,第三者機関による病院機能評価を受ける場合を除き,病院が自主的に研修を行うための動機付けが存在しません。

表2 非正規職員への感染対策の周知・推進に伴う課題
(1) 早朝,夜間等の特定の時間帯に限り勤務している職員や,勤務日数・時間が少ない職員は,集合研修への参加が困難な場合がある
(2) eラーニングを活用する場合,ID番号を付与して受講者登録を行う必要があり,システムによってはこのための費用負担が生じる
(3) ネットリテラシーが低い部門では,eラーニングの活用が困難である
(4) 院内のメールアドレスを持たないなど,感染対策担当者から直接連絡が取りづらい場合がある
(5) 離職率が高く,知識の定着が図りにくい
(6) 委託・派遣会社の費用負担が発生する対策(予防接種など)については,協力が得られないことがある 
(7) 病院の方針・手順に対するコミットメントが常勤正規職員に比べて低い可能性がある


 ちなみに,このような状況を受けて,2013年には,総務省が厚労省に対し,医療機関で委託業者への研修を行うか,委託業者による研修の実施状況を確認する仕組みを整備する改善措置を勧告しています2)。

病院幹部・管理者の積極的な関与が推進力になる

 病院の自主性に任せるにせよ,義務化するにせよ,非正規職員への感染対策の周知,実施の推進と確認が必要であることに変わりはありません。しかし,そのためには時として常勤正規職員に対する場合とは異なるアプローチが求められます(表3)。特に委託・派遣職員については,病院の感染対策担当者が契約先を選定する段階から関与し,病院が定める対策に委託・派遣会社が柔軟に対応できることや,契約に含まれる業務内容が病院の感染対策に準拠していることを確認する必要があります。

表3 非正規職員への感染対策の周知・推進に向けた取り組み例
(1) 集合研修以外に,eラーニングや伝達講習を活用する
(2) 平日日中以外の勤務帯の専従者(夜間専従の看護補助者等)は,勤務開始前または終了直後に短時間の研修会を開催し,研修への参加は業務とみなして給与を支払う
(3) 年度途中の新規採用者には雇用形態にかかわらず,感染対策を含む採用時オリエンテーションへの参加義務を課す
(4) 委託業者の選定,契約時には感染対策担当者が関与する
(5) 業者が独自で研修を実施している場合は,病院の方針・手順に準拠した内容であることを確認する
(6) 常勤正規職員と同様に手指衛生や感染経路別予防策等の基本的な感染対策の実施率を評価し,フィードバックを行う
(7) 病院幹部や管理者が感染対策を重視する姿勢を表明し,必要な支援を行う


 また,病院の隅々にまで感染対策を浸透させるには,病院幹部や管理者の積極的な関与が求められます。本来は,あらゆる職員が主体的に感染対策を実践するのが理想的ですが,雇用形態,教育背景,病院の方針・手順に対するコミットメントが多様化した医療現場では,難しい場合が多いのが現状です。病院幹部や管理者が感染対策を病院の重要な質改善活動の一つと位置付け,不履行を許容しない強い姿勢を表明することは,そのような医療現場において,対策の推進力となります。

 実際に,筆者らが感染管理認定看護師の勤務する全国971病院を対象に行った調査(回答率71%,n=685)においても,安全文化スコア,すなわち病院幹部が安全重視の病院へと職員を導いており,職員自身が患者として治療を受けても安心だと感じている度合いが高い病院ほど,効果的な感染対策を導入または実践しているという結果が得られています3)。

 病院が掲げる感染対策指針には,「職員一人ひとり」という言葉がよく用いられます。この「職員」という言葉が,常勤正規職員を指すとは限らなくなった今日,感染対策の周知や確実な実施を通して,病院内のどこにおいても質の高い医療を提供するために,より一層の努力と工夫が求められています。

◆参考文献
 1)厚労省医政局長通知.良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について(平成19年3月30日付医政発第0330010号).
 http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/fukui-hwc/iryoukannsashitsu/sankoutsuuchi_d/fil/001.pdf
2)総務省行政評価局.医療安全対策に関する行政評価・監視 <結果に基づく勧告>(平成25年8月30日).
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/77608.html
3)Sakamoto F, et al. Health care-associated infection prevention in Japan : The role of safety culture. Am J Infect Control. 2014 ; 42(8) : 888-93.


坂本史衣氏
1991年聖路加看護大卒。97年米国コロンビア大公衆衛生大学院修了。同年に帰国し,聖路加国際病院看護部勤務。2001年日看協看護研修学校に出向して認定看護師教育課程感染管理学科専任教員を務め,02年より現職。感染制御および疫学資格認定機構(CBIC)による認定資格(CIC)取得。著書には『基礎から学ぶ医療関連感染対策(改訂第2版)』(南江堂)など多数。



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/50941/Default.aspx
名古屋大学 NAGOYA HEART Study最終調査報告「作為的な改変は認められない」
2014/12/22 03:51 ミクスオンライン

ノバルティスファーマの降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)の臨床研究不正をめぐり、名古屋大学公正研究委員会は12月19日、同大で実施された臨床研究「NAGOYA HEART Study」の最終報告をまとめ、「作為的な改変等はなかった」と結論付けた。また、元ノバルティス社員の白橋伸雄被告が解析用データに基づき解析を実施していたが、解析結果は正しく、不正は認められなかったとした。ただし、主要評価項目の定義が変更されていたことや、白橋被告の所属にノバルティスと付記されていないことから、論文の訂正を研究責任者である同大循環器内科教授の室原豊明氏に対して勧告した。


最終報告は、名古屋大医学部附属病院以外の17施設、305症例を対象に追加解析を実施した追加解析を踏まえたものとなった。症例は、▽カルテ、研究の登録WEB入力データ、解析用データの3段階で連結が確認できる、▽カルテの閲覧が可能だった––症例で、外部調査期間による調査を行った。なお、中間報告では、名古屋大学医学部附属病院で研究が行われた141症例について検証されている。


調査によると、カルテに比べ、解析用データでバルサルタン群に有利となる判定があったのは2件(心血管系疾患による死亡、対照群(アムロジピン群)での狭心症の増加)、バルサルタン群に不利となる判定だったのは1件(脳卒中)だった。ただし、これらのイベント評価については、症状があったことや、イベント委員会で判定していることから、いずれも解析データでのイベントの位置づけは、妥当と判断した。血圧値、HbA1c値については、カルテと解析用データから作成した推移が概ね一致していたとした。公正研究委員会はこの結果を踏まえ、「作為的な改変等はなかったと結論した」と明記した。ただし、全1150例中29施設、704例についてはデータの照合ができなかった。心不全による入院はディオバン群で有効性が認められていたが、カルテと解析用データ中のイベントは一致していることが確認されたとした。


試験のデータ収集、実施については、「集計と解析も適正になされたことが確認され、データに恣意的な変更が加えられた形跡はなかった」とし、「データ及び主要な結果は信頼できると結論する」とした。

一方で、主要評価項目である心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、心不全による入院、心臓突然死)のうち、心不全については、試験実施計画書では、「心不全の発症/悪化による入院、悪化による追加治療」とされていたが、とメイン結果を報告した論文では、「心不全の発症/悪化による入院」に変更されていたとした。ただし、イベント収集、解析、論文の結果は一貫して実施計画書に従って実施されていたとしている。


◎白橋被告が解析を実施も「解析結果正しく不正な操作は認められず」

元ノバルティス社員の白橋伸雄被告の関与については、Webデータにアクセスする権利がないことや、入力記録にもアクセスの事実がないことなどから、カルテから解析用データ作成の間の過程において「同氏の関与はなかった」と結論付けた。白橋被告は、解析用データに基づいた解析を実施していたが、「解析結果が正しいことから、同氏による不正な操作はないことが確認された」とした。


研究資金については、2008~10年度にかけて病態内科学講座循環器内科学分野に3000万円の寄付金がなされていた。一方で、関係教員への事情聴取からは、04~10年の6年間、関係医師への謝金などで年間2000万円程度の支出があったとした。また、CRCやデータマネージメントの職員雇用以外に謝金は発生していないほか、会議も学内で実施しており、会議室使用料等も発生していなかったとしている。


  1. 2014/12/22(月) 06:07:17|
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