Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月20日 

http://www.m3.com/iryoIshin/article/279568/
STAP論文不正と理研改革
理研、小保方氏処分できない状態に、退職容認
STAP細胞確認できず、実験打ち切り

2014年12月20日(土) 池田宏之(m3.com編集部)

 STAP細胞の論文の問題を巡り、理化学研究所は12月19日に会見を開き、論文の著者である小保方晴子氏が実験を行っても、「STAP現象は確認できなかった」とする検証結果を公表した(資料は、理研のホームページに掲載)。理研の検証実験チームのリーダーの相澤慎一氏は、小保方氏の実験では、48回の酸処理実験に取り組み、一部、多能性の示す遺伝子細胞が陽性を示したものの、論文に示された数から1ケタ少ない細胞数しか確認されず、キメラ形成もできなかった点を明らかにした。

 今回、多能性を持つリプログラミングが確認できず、継続の意義が見出せなくなったことから、2015年3月まで実施する予定だったの副チームリーダーの丹羽仁史氏による検証実験も中止する考えを示した。STAP細胞の存在について、理研の会見者は最後まで言及しなかったが、丹羽氏は今後を継続する気がないこと明らかにし、Nature誌に論文が掲載、疑義が深まり撤回されたSTAP細胞の存在可能性は、限りなく低くなった。

 小保方氏は12月15日に辞表を提出し、理研は、「これ以上の心の負担が増すことへの懸念」(野依良治理事長)を理由に受理する考えを示した。12月21日付で退職となる。不正調査委員会の調査が進んでいる中、理研は、退職を容認したことで、実態解明が難しくなるほか、その結果を踏まえた処分ができなくなった。日本の研究への信頼を著しく貶め、旧理研発生・再生科学総合研究センターの元副センター長、笹井芳樹氏の死亡も招いた問題への対応として、適切だったかは疑問が残る。外部有識者から成る不正調査委員会が、残された資料や論文への疑義を調査しており、その結果を受けて懲戒委員会が関係者の処分を決定する。


「小保方氏はコツ明らかにできなかった」

 会見では、実験の経緯やSTAP細胞の有無など、質問が多岐にわたった。4月に小保方氏が会見で、「200回成功した」「コツがある」とした点について聞かれた相澤氏は、多能性の確認まで至らない緑色蛍光を示す細胞塊の出現を「成功」とした可能性を指摘した上で、「小保方氏はコツを明らかにすることはできなかった」との見方を示した(『「自分以外による再現例ある」と小保方氏、STAP』を参照)。

 STAP細胞の存在有無を問う質問が多く出たが、相澤氏は「(今回の実験を通じて)存在が、確認できなかった」との回答に終始。今回の検証結果を来年3月ごろに論文として発表する考えを示した上で、科学者コミュニティに委ねる考えを示した。ただ丹羽氏は、検証実験終了後、自身の研究として継続する考えがあるかを問われて、「現時点で考えていない」と話し、存在を信じるに足る材料や感触がなかったことを伺わせた。

 以前の会見で、「STAP細胞の存在を前提としないと説明できない現象がある」としたことについて聞かれた丹羽氏は、実際に自信の目で確認したものが緑色蛍光する細胞塊だった点を説明し、「論文掲載のデータをそのまま受け止めると、説明できないものがあったが、データの根幹が揺らいでいる」と話し、自らの検証実験を通じて、多能性獲得やキメラ形成などのデータ自体が、疑わしいとの考え方を示した(『ES細胞混入「可能性低い」と丹羽氏、検証実験へ』を参照)。

 研究不正の再発防止について聞かれると丹羽氏は「難しい」と漏らした。理由として、専門性を持った研究者が実験を分担する研究が一般的になりつつある中で、「科学は性善説でやっている。(第三者の確認を必須にしても)『第三者が確認済み』と言われたら、どうするのか。科学者の良心と信頼に依存するしかない」と指摘した。

 関連特許については、理研のコンプライアンス担当理事の坪井裕氏は、「放棄も含めて慎重に検討する」としていたが、共同出願者らと調整する考えを示した。


退職受理「常識とかけ離れている」との声

 同日の会見の中で、小保方氏の退職も明らかにされた。辞職願は、12月15日にセンター長に出され、理研は受理。12月21日付で退職となる。小保方氏は同日コメントを発表し「予想をはるかに超えた制約の中での作業となったが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、結果に困惑している」との旨のコメントを出した。

 退職を受理すると、懲戒処分ができなくなる点について聞かれた坪井氏は、野依良治理事長のコメントを引用して「これ以上、心の負担を増すことを懸念した」と説明。「常識とかけ離れているのではないか」との指摘も出たが、坪井氏は「他の研究機関でも研究不正の結果が明らかになる前に退職しているケースがある」と話した。

 退職による調査への影響について、坪井氏は「委員会のメンバーから問題ないと聞いている」と説明したが、再現性のない論文が、Nature誌に掲載されるまでに至った実態を今後、解明できるかどうかは不透明だ。さらに、研究の自由を重んじるために、法律などで制約をかけない考え方になっている以上、自律的な取り組みが求められる側面もあり、理研は自ら不正を実施した研究者を処分する道を断った形にもなった。小保方氏については、他の関係者らの処分を検討する懲戒委員会の中で、「どのような処分が相当か」の結果だけは示す方針。

 
小保方氏48回実施も結果出ず

 Nature論文などによると、STAP細胞は、マウス新生児の各組織の細胞について、酸性処理などを実施すると、未分化細胞となり多能性を獲得するというもの。検証実験は小保方氏と丹羽氏は別々に実施し、(1)酸処理によって処理された細胞によって各組織に分化し、キメラマウスが得られる、(2)三胚葉の各細胞への分化能を有するES細胞のようなSTAP幹細胞が得られる、(3)胎盤系の細胞に分化能を有するTS細胞のような幹細胞が得られる――の3点に焦点を絞って、進められてきた(『7つのケースで判断、小保方氏実験、理研』を参照)。キメラ形成に当たって、胚に細胞を注入する作業については、論文の著者の一人だった山梨大学生命環境学部生命工学科の若山照彦氏の協力は得られず、理研の別の研究員が担当した。

 報告書には、それぞれの経過が書かれている。(1)については、7月から参加している小保方氏が担当。論文に記載された塩酸処理に加えて、小保方氏が「塩酸より効率良く細胞が得られる」と主張するアデノシン三リン酸(ATP)処理で、マウスの系統を変えながら、計48回実施。OCT-GFPの導入で、多能性を示した場合、1つのマーカーとしてGFP陽性細胞が出現する見込みだったが、陽性となった細胞は、論文に書かれた数の10分の1程度しか確認されなかった。小保方氏が「効率が良い」とするATP処理も塩酸より優位な結果でなく、相澤氏は、「再現性があるとは言えない」と指摘した。

 GFPの発現と多能性の獲得の相関関係について、53個の細胞塊を調べたところ、一部、多能性細胞に特異的な分子マーカーの発現が確認されたが、GFP陽性との相関関係は低かった。緑色蛍光についても、赤色蛍光を伴うものがほとんどで、GFP発現ではなく、細胞が死滅する時などに確認される「自家蛍光」とみられる結果となった。小保方氏の実験結果の回数が十分か問われた相澤氏は、「現状の環境では十分という結論が妥当」と話した。

幹細胞試験、約1週間で全て死滅

 丹羽氏も、小保方氏とは別に(1)について、脾臓だけでなく、肝臓、心臓の細胞も用いて、塩酸処理やATP処理を297回にわたって実施した。「肝臓」「ATP処理」の組み合わせでは、細胞塊が49回のうち37回発生するなどし、一部ES細胞以上にOct3/4の多能性細胞特異的分子マーカーが発現し、報告書では「少数であるが、Oct3/4を優位に発現する細胞が含まれる」としている。会見で意味を問われた丹羽氏は「分からないが、多能性を示す1つのエビデンスでしかない」として、マーカーの発現が多能性の獲得に直結しない点を指摘した。

 キメラ形成能については、小保方氏、丹羽氏のグループはともに、胚盤胞胚などに注入したが、キメラ形成が確認されなかった。小保方氏が作成した1615個の細胞で試した結果、845個で胚発生が確認されたが、リプログラミングを優位に示すキメラ形成は認められなかった。丹羽氏の細胞でも同様の傾向だった。若山氏の協力で成功した可能性について聞かれた相澤氏は、「若山氏だけが持つ技術は否定できないが、担当した研究員は高い技術を持っていて、それなりに意味のある結果」と説明した。

 (2)と(3)の幹細胞樹立については、丹羽氏が担当。幹細胞については、最も可能性のある肝臓由来の細胞をATP処理した492個の細胞塊を培養したところ、小型幹細胞様の細胞の出現はあったが、全て1週間程度で死滅。3例では、顕著な増殖があったものの、持続的増殖が認められなかった。胎盤系の細胞に分化能を有する細胞についても、同様の試みをしたが、細胞株を得られなかった。



http://www.sankei.com/region/news/141220/rgn1412200013-n1.html
群大病院8人死亡 院長「責任感じる」 報告制度運用されず
2014.12.20 07:00 産経ニュース

 「院長として責任を感じている」-。群馬大病院で腹腔鏡(ふくくうきょう)を使った肝臓切除手術後に患者8人が死亡した問題で、院内の調査委員会がまとめた検証結果を説明しながら、野島美久(よしひさ)病院長は神妙な面持ちで、そう話した。調査委は、院内で起きた問題を病院が早期に把握するための「インシデント報告制度」が適切に運用されていなかったことなど5項目の問題点を指摘。手術を執刀した第2外科のずさんな実態が改めて浮かび上がった。

 インシデント報告制度とは、「医療の本来あるべき姿から外れた事象(インシデント)について、過失の有無、障害の有無、障害の程度を問わず報告する制度」(野島病院長)のことをいう。

 インシデントには、薬を間違えたり患者を取り違えるなどの単純なミスから、医療の内容や質に及ぶものまで含まれ、「問題点を集積・解析し、防止策を練る上で医療の安全管理の根幹をなす制度」(同)だが、今回の8人について、インシデント報告はなかった。

 野島病院長は「医療の内容・質については、報告すべきか判断が難しい場合もあるが、判断の参考にするためにマニュアルには具体的事例が記載されている」とし、今回の8人の死亡例について「報告すべきだった」と強調した。

 調査委はほかにも、患者に対する十分な告知と同意(インフォームドコンセント)が不十分だったことや、手術前に必要な検査が行われていなかったことなどを問題点として挙げた。

 こうした指摘を受け、病院側は今回の患者8人死亡に関する改善報告書を作成し今月中旬、厚生労働省に提出した。

 報告書には、医療安全管理体制を強化するために、インシデント報告を確実に集める必要があるとして、具体的な事例をマニュアルに追加するなどの内容を盛り込んだ。

 また、第1外科、第2外科のように分かれている診療体制を廃止し、臓器別の診療科を編成するとした。理由として、2つの外科で同じ臓器を扱う場合などもあって、「外科系の人材が少ない中、人が分散配置されている」(野島病院長)とした。

 この点に関し、野島病院長は今回の8人の手術を実施した40代の男性助教が担当していた患者数が多く、助教が多忙だったことも問題の遠因だとの見方を示した。

                   ◇

 ■特定機能病院の承認取り消しも

 厚生労働省は群馬大病院から既にヒアリングを実施しており、今回公表された調査結果と再発防止策を受け、今後、高度医療を提供し診療報酬の優遇もある特定機能病院の承認を継続するかどうかの具体的な検討に入る。再発防止策の実施状況によっては、承認取り消しの可能性もある。

 厚労省は年明け以降、再発防止策が計画通りに実施されているかを確認する方針。医療法に基づく立ち入り検査で状況を確認する場合もある。塩崎恭久厚労相は19日の会見で「報告書を踏まえ、必要な対応は何かを考えたい」と述べた。

 また、同病院では保険適用外の腹腔鏡手術で診療報酬を請求していたことも判明した。

 厚労省は、故意や重い過失を見逃したまま繰り返し請求するなどしていた場合は監査を実施するほか、悪質性が高いと判断されれば、保険医療機関の指定取り消しも検討する。


  1. 2014/12/21(日) 05:31:30|
  2. 未分類
  3. | コメント:0
<<12月21日  | ホーム | 12月19日 >>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する