Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

12月9日

http://www.m3.com/iryoIshin/article/273223/?from=openIryoIshin
構想実現しなければ、病院倒産も - 森田潔・岡山大学学長に聞く◆Vol.4
岡山が成功すれば他の大学も追随

2014年12月9日(火) 聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――今後、どうすれば関係者の理解、協力が得られ、構想が進むとお考えですか。

 関係者の理解というより、これはある意味、ポリティカルな問題です。「この構想を実現しないと、将来、うまくいかない」という確信を私は持っています。「皆さん、今後10年間、苦しい競争を続けるのですか」ということです。このまま放っておいたら、必要になるベッド数が減少していく中で、皆が競争する結果、今後10年間に病院が倒産すると思っています。これは私だけでなく、皆の共通の認識でしょう。だから一緒にやりましょう、ということです。

 「私は構想に加わりたくありません。外れます」と言ってもいいのです。けれども、「外れたら、倒産する側に回る」と皆さんは思っているのでしょう。この構想は「All or None」、成功するか、あるいは全く成功しないか、です。やるなら6病院全てが参加しないと意味がありません。

 その際、問題になるのは、「親組織」だと思います。日赤や済生会などの本部がどう考えるかです。地元の各病院は、私たちの仲間ですから、話し合えば分かります。繰り返しになりますが、法律を作り、環境さえ整えば、私は実現できると思っています。岡山大学にとって、一番恥になるのは、必要な法律ができたにもかかわらず、各病院が集まらなかったという事態です。それだけは避けたいと思っています。

――関係者の理解を得るには、それぞれにメリットがある仕組みにすることが必要です。地域住民にとってのメリットはどうお考えですか。

 地域の住民にとっても、非常にメリットがあると思います。各病院でカルテは統一します。岡山市内の市民の多くは、急性期医療については6つの病院のいずれかを受診しているので、カルテを統一すれば、患者さんの情報を共有でき、1枚の受診カードで済むようになります。無駄な検査もなくなる上、患者さんにとってはどこの病院を受診すればいいかが、的確に分かるようになります。

――医師にとってのメリットは、どうお考えですか。

 6つの病院には、岡山大学から医師を派遣しているわけです。例えば、各病院で収益を上げなければいけないので、放射線治療医を2人ずつ派遣していたとします。しかし、放射線治療を行う病院を限定すれば、医師の集約化が可能で、勤務負担も軽減されます。

 一番効果が大きいのは、産婦人科かもしれません。1病院に2、3人の産婦人科医であれば、当直も多い中で、年に200例や300例のお産を担当している。集約化を図り、1000例のお産を扱う。その代わりに、産婦人科医が10数人いる体制を作った方が、はるかにメリットは大きいでしょう。岡山市であれば、済生会、日赤など、どこに行くのにも、車ですぐ行け、集約化のデメリットはありません。

 複数の病院の統合により、教育・研修の場が広がり、医師のキャリア形成にもメリットがあります。

――この10月から、「病床機能報告制度」がスタート、来年度からは地域医療構想の策定も始まります。先生方の構想は、これらと関係してくる話でもあります。

 岡山県が、県内の医療の責任を担っているわけですから、この構想も県を抜きにはできません。一緒に取り組んでいくことが必要です。県の福祉部長にも、この構想検討委員会に入ってもらっています。

――「医療産業都市」という視点もお持ちですが、海外に目を向けた取り組みは、現在でもやっておられるのでしょうか。

 日本の法人が、病院を海外に作る動きもありますが、私はそれには反対なのです。海外に病院を作っても、誰かが儲けるだけで、経済のためにはいいのかもしれませんが、医師にとっては全くハッピーではないと思います。学問には普遍性があり、国境はありませんが、我々は第一に日本人を治療するために医師になったのです。

 ただし、必ずベッドは余ってきます。最先端の技術と日本式のサービスを持ち、海外の患者さんを日本で治療することは、今後、絶対に必要だと思います。「岡山大学メディカルセンター構想」が、中心となり、海外から患者さんを呼べるような取り組みは、すぐに始めたいと思います。既に、岡山大学とミャンマーとは非常にいい関係ができています。医師の教育を既に担っており、今後は患者さんも来るような仕組みを作りたいと思っています。

――海外から患者さんを呼ぶなどの取り組みは、構想が実現する前でも可能かと思います。

 岡山大学の医療レベルは非常に高いですから、東南アジア、中国、韓国などから、患者を呼ぶ力を持っていると思います。

――「岡山大学メディカルセンター構想」に対して、他の大学から問い合わせなどはあるのでしょうか。

 今、病院長を経験した学長は多いですから、よく聞かれます。しかし、どの学長も、「構想はいい。岡山大学ができれば、それはすばらしい」と思っていても、実現は難しいと考えているでしょう。法律としては、今は医学部を持つ大学は、付属病院を持たなければいけないことになっています。この法律が改正され、我々の構想が実現したら、追随する大学がたくさん出てくると思います。大学病院を切り離し、市内の病院を取り込んでいく大学が出てくると思います。

 現時点では、まだ皆さんは懐疑的ですが、私はできると思っているのです。

――今、医学部は付属病院を持つことが設置要件ですが、岡山大学の構想を実現するためにこの設置要件が見直されれば、医学部新設の話とも関係してくる難しさもあるのではないでしょうか。

 その辺りの関係は分かりませんが、医学部新設の話で言えば、「東北に1カ所」は特別なのでしょうが、私自身はこれ以上、医学部を作ることには反対です。このまま行けば、10年後くらいには医師過剰時代が必ず来ると思っています。

 今の医師不足は、今の臨床研修制度から来ていることは明らかです。2004年度から必修化され、1学年8000人強、2学年で1万6000人から1万7000人が研修医にとどまり、各診療科に来なくなったのです。医学部を新設して、医師を100人、200人増やしても、その穴埋めはできません。臨床研修制度を見直すことの方が、はるかに大切です。研修制度を否定しているわけではありませんが、例えば研修期間を2年から1年にすれば、8000人強の医師が増え、今の医師不足は解決します。研修期間が1年と2年の医師の間に、能力の差が生じるかですが、差はないと思います。

 さらに、ここ数年で医学部の入学定員は大幅に増えた上、今後は人口が減少してきます。高齢者が増えても、必要になってくるのは、急性期後の医療、介護です。今後、医師の必要数は減り、むしろ人口減少分だけ、医師は余ってくると思います。



http://www.sankei.com/affairs/news/141209/afr1412090014-n1.html
注射位置ミスで関節炎 北九州市に賠償命令
2014.12.9 16:45 産経ニュース

 北九州市立八幡病院(同市八幡東区)で子宮頸がんワクチンを接種した際、誤った位置に注射されたため関節炎になったとして、市内の50代の女性が約1560万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁小倉支部は9日、市に約760万円の支払いを命じた。

 判決で足立正佳裁判長は、注射を左肩の適正な位置よりおよそ3センチ高い場所にされ、ワクチンに含まれる成分が左肩の関節炎を誘発したと認定。「注意義務違反があった」と判断した。

 判決によると、女性は平成22年、医師から子宮頸がんワクチンを注射された。左肩に違和感を抱き、6日後に別の病院で診察を受けたところ、炎症が認められた。症状は現在も残っている。

 北九州市の北橋健治市長は「内容を精査して対応を検討する」とのコメントを出した。



http://www.sankei.com/west/news/141209/wst1412090040-n1.html
患者の不当要求に毅然対応を 大津赤十字病院で医師ら研修
2014.12.9 13:23 産経WEST

 病院内で起こる悪質なクレームや金銭の要求など、患者らからの不当要求行為に対応する研修会が、大津市長等の大津赤十字病院で開かれた。医師や看護師、事務職員らが滋賀県警の担当者から対応策を学んだ。

 同病院では昨年4月、言うとおりに診断書を作成するよう求められた医師が拒否すると、依頼した男が暴れるトラブルが発生。これを受け、県警の協力を求めて同年8月から院内で研修会を開いている。

 今回は、県警捜査2課の中野和浩課長補佐が講師を務め、不当な要求などがあった場合、「相手方への訪問は避ける」「相手の氏名などを確認し、会話を録音する」と助言。警察官が暴力団組員役を務めて模擬訓練も行われ、看護師らが応対に挑戦した。参加した職員(27)は「以前に一人でクレームに対応し、長引かせてしまった。複数で毅然(きぜん)と臨むことが重要だと学んだ」と話していた。



http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06H5W_Z01C14A2CR0000/
大卒看護師が急増 学部新設・子育て支援進む
2014/12/9 12:20 日本経済新聞

 大卒の看護師が急増している。2014年の国家試験合格者に占める割合は約30%で、この10年で2倍になった。看護系学部の新設に加え、勤務体系の改善や子育てとの両立支援など、女性が働くための環境整備が進んだことも背景にありそうだ。

 看護師になるには、大学や専門学校で必要な学科を修得するなどした後、国家試験を受ける必要がある。大学では一般教養に加え、患者の症例に合わせた看護方法を議論するなど、さまざまな授業を取り入れているところもある。

 国家試験合格者に占める大卒者の割合は1999年にはわずか4.6%だったが、人手不足を背景に看護系学部の新設が相次ぎ、05年に14.8%、14年には29.7%に増えた。女性は全体の約94%(12年)。

 かつては激務が続いた看護の職場も、少しずつ改善されている。日本看護協会は13年にガイドラインを作成。(1)夜勤時の仮眠時間の設定(2)夜勤後の24時間以上の休息確保(3)勤務の間隔は11時間以上とする――などの具体策を盛り込んだ。出産後も働けるように、院内保育も普及している。

 看護師の活躍の場は広がりつつある。国は在宅医療への転換を推進しており、訪問看護のニーズは高い。医師が示した手順書に従って、脱水時の患者の点滴など、特定の医療行為を担う看護師の養成も今後始まる。

 京都大の任和子教授(看護学)は「女性であることが不利にならず、キャリアを積めるのが魅力。結婚や子育てで仕事を辞めざるを得なかった母親らが、娘に進学を勧める例も目立つ」と話す。〔共同〕



http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/administration/20141209000173
紹介状ない初診、2月から値上げ/県立中央病院
2014/12/09 09:43 四国新聞

 香川県は8日、県立中央病院が紹介状のない外来初診患者に請求する「選定療養費」を、来年2月2日から県内で最も高い5400円に値上げすることを明らかにした。今年3月の開院以来、想定を超える外来患者があり、重篤な患者の診療など本来の業務に支障を来さないよう軽症患者の来院抑制を図る。

 同日の11月定例県議会文教厚生委員会(石川豊委員長)で、小出典男病院事業管理者が説明した。

 同病院で診察を受けると、初回は初診料と診察料のほか、緊急性が低く、かかりつけ医などから紹介状がない患者の場合は、医療保険が適用されない選定療養費が必要となる。

 県立病院課によると、同病院は外来患者数を1日800人と想定して施設を整備、医師や看護師らも配置しているが、今年4~9月の実績は1日平均1002・8人と想定を上回った。

 既に待ち時間増加による患者サービスの低下や、医療従事者の負担増を招いており、同課はこの状況が続けば、生命に危険がある重篤患者の診療という中央病院の役割が十分果たせなくなると判断。岡山大や愛媛大の医学部付属病院といった近隣県の医療機関の金額などを参考に、現行の2160円から5400円(いずれも税込み)に値上げすることを決めた。

 同課は「患者の状態に応じた適切な医療を提供できるよう、地域の医療機関との連携を一層強めたい」としている。



http://www.sankei.com/life/news/141209/lif1412090013-n1.html
肥満症」の概念が変わる 「日本発」を国際基準に
2014.12.9 08:00 産経ニュース

肥満症とされる合併症 
STOP!メタボリックシンドローム 肥満学会、来年の「名古屋宣言」目指す
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 一定の疾患が伴う肥満を「肥満症」として診断する日本発の概念を国際的な共通認識とする取り組みが動きだした。アジア諸国では糖尿病などが急増しており、肥満症の診断基準を“輸出”すれば、そうした生活習慣病を早い段階で治療できるためだ。日本がリーダーシップを発揮し、来年秋の国際学会で肥満症の概念を提唱することにしている。(山本雅人)

                   ◇

 国際基準化への取り組みを行うのは日本肥満学会だ。理事長の春日雅人国立国際医療研究センター総長は「肥満の人を放置せず、疾患が伴えば肥満症という病気として診断し、重症化する前に治療することの大切さを各国に認識してもらいたい」との思いを抱く。

 来年10月、名古屋市で開催予定のアジア・オセアニア肥満会議の機会をとらえ、「名古屋宣言」という形でこの診断基準を提唱する準備を進めているという。

 肥満学会が平成12年に作成、23年に改定した肥満症の概念は「医学的に減量を必要とする病態」で、診断基準は、BMI(体格指数)25以上の人のうち、(1)耐糖能障害や脂質異常症、高血圧など11種類の合併症の中で1つでも該当する人(2)合併症はないものの、内臓脂肪面積が100平方センチ以上-というものだ。

 この診断基準は、17年に国内の8学会によって発表されたメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の基準と重なる部分が少なくない。

 異なるのは肥満症を病気として定義づけ、日本独自の疾患概念として治療対象とした点だ。「肥満を改善すれば、それだけで複数の合併症が一気に改善したり治ったりする」(春日総長)という特徴がある。

 肥満症の基準が作られた背景には、日本人の死因の2位と4位(平成25年人口動態統計)を占める心臓病と脳卒中の主因に動脈硬化があり、動脈硬化のそもそもの原因に肥満が関係していることが挙げられる。

 中でも、内臓脂肪型肥満に複数の合併症が重なると死亡のリスクが高まることがさまざまな研究で分かっている。

 最近の肥満に関する研究によって、日本人を含むアジア人の体質は欧米人と異なり、内臓脂肪型肥満の度合いが軽くても動脈硬化を悪化させる悪玉ホルモンの分泌が増えることが明らかにされてきた。一方、欧米には肥満を病気ととらえる概念はない。「肥満でも生活習慣病を発症しない人がいることから、発病のリスクの一つにすぎないと考えられている」(春日総長)

 国際糖尿病連合の2014年のデータによると、世界の糖尿病人口で1位は中国(9629万人)、2位がインド(6685万人)、3位米国(2578万人)-とアジアでの増加ぶりが目立つ。春日総長は「メタボと同様に肥満症という日本発の概念を普及させれば、アジア地域に大きな貢献ができるのではないか」と期待を寄せている。

                   ◇

 ■生活習慣病・がんとの関連性指摘

 BMI(体格指数)は、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った数字で、日本肥満学会は25以上を肥満、それ未満を普通体重(そのうち22を標準)と定義している。

 喫煙をしていても病気になる人とならない人がいるように、肥満であっても病気にならないケースもあることから、ダイエットに積極的に取り組まない人も多い。

 だが、最近の研究で肥満がさまざまな生活習慣病の根本要因となっているとのデータが数多く報告されている。また、大腸がんや乳がんなど数種類のがんについては肥満との関連性が指摘されている。こうしたことから肥満解消の重要性が注目されている。



http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20141209_5
元薬剤科長に懲役3年6月求刑 洋野の国保種市病院
(2014/12/09) 岩手日報

 洋野町種市の国保種市病院の薬品を転売し代金を着服する目的で横領したとして、業務上横領罪に問われた同病院元薬剤科長の無職の被告(53)=二戸市=の初公判は8日、盛岡地裁(堀田佐紀裁判官)で開かれ、被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役3年6月を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求め、即日結審した。判決は25日に言い渡される。

 被告人質問で被告は消費者金融などからの借金があり「頭が返済でいっぱいになり正常な判断ができなかった。(横領で得た金が)生活の中に組み込まれ罪の意識が鈍っていった。すごく金銭感覚が狂っていた」と述べ、謝罪した。

 検察側は売却代金を車7台やマンションの購入、子どもの学費などに使ったとし、論告で「動機の悪質性、常習性が顕著で被害は高額。公金の私的流用であり刑事責任は重大」と指摘した。

 弁護側は最終弁論で「既に1064万円余りを弁償し、被害弁償し続けることを誓っている。懲戒免職など社会的制裁を受け、反省している」と寛大な判決を求めた。



http://www.yomiuri.co.jp/science/20141209-OYT1T50070.html
英医学誌、東大教授のディオバン論文取り消し
2014年12月09日 14時52分 読売新聞

 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データ改ざん問題で9日、東京大の小室一成教授が英医学誌「ジャーナル・オブ・ヒューマン・ハイパーテンション」に発表した論文が10月9日付で取り消されていたことが分かった。


 同誌は「利益相反やデータの信頼性に懸念が生じた」と理由を説明している。

 小室教授は千葉大教授だった2002年からディオバンを使った臨床研究を行い、主論文を日本高血圧学会誌に10年に発表、関連解析の論文を12年に英医学誌に掲載していた。

 千葉大は今年8月、「データが意図的に操作された可能性が否定できない」として論文を取り消すよう求めていた。



http://www.asahi.com/articles/ASGD84J61GD8PTIL00Z.html
国循談合事件、元部長らを起訴 大阪地検特捜部
2014年12月9日01時48分 朝日新聞デジタル

 大阪地検特捜部は8日、国立循環器病研究センターの元情報統括部長・桑田成規容疑者(47)を官製談合防止法違反の罪などで、システム開発会社のダンテックの元社長・高橋徹容疑者(50)を公契約関係競売入札妨害の罪でそれぞれ起訴した。ダンテック社員の男性(43)は処分保留で釈放した。弁護人によると、桑田容疑者は逮捕前の任意聴取で容疑を否認し、逮捕後は黙秘しているという。

 特捜部によると、桑田容疑者は2012~13年、情報システム事業の入札3件で、ダンテックのライバルだった大手企業が不利になる内容を入札仕様書に盛り込むなどしたとされる。起訴を受けて記者会見した国循の橋本信夫理事長は「重く受け止め、法令順守を徹底したい」と述べ、謝罪した。



http://www.m3.com/iryoIshin/article/274893/?id=mrank&portalId=mailmag&mmp=RJ141209&mc.l=76847082
The Voice
指導医講習「16時間連続」の無意味
シンパ失う医学教育と初期研修

2014年12月4日(木) 岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

 神戸大に異動した2008年、ぼくはそこで行われていた指導医講習会があまりに「富士研」そのままで退屈で退屈で仕方がなかった。指導医講習会ではなくて「あくび指南」なのではないかと思ったくらいだ。

 なので、すぐに制度設計した。「原則」的に行われていた泊まりがけ、2泊3日という方法では忙しい指導医たちは時間創出もままならないし、疲弊してしまう(たいてい疲れきります)。そこで六甲の山奥(別名サティアン)に軟禁されてやっていた講習会を神戸大病院での日帰り講習にし、2日の(宿泊なし)のプログラムに再編し、改革したタスクのメンバーも一掃し、「上司に命令されていやいや」参加する講習会を「金を払ってでも出たい」講習会に変じてきた(事実、神戸大の学生は金こそ払わないが、誰にも強要されないボランタリーな形でこの講習会に参加し、多くを学んでいる)。

 今年もその講習会が行われたのだが、2つのアクシデントがあった。ひとつはもっとも期待されていたタスクのひとり内田樹先生のご参加が急遽叶わなくなってしまい、シンポジウムの調整を必要とされたこと、もうひとつは参加者の一人が緊急オペのために、7割くらい参加された時点でやむなく退出されてしまったことである。

 我々はこのドクターを気の毒に思い、厚労省に次年度講習会の途中からの参加許可を申請した。指導医講習会の開催指針では、16時間の講習義務があるが、2年にまたがる講習受講を禁ずる文言はない。厚労省が定めた規則の範囲内・裁量内でこの医師の講習修了は可能なはずであった。

 しかし、再三の懇請にもかかわらず、厚労省医政局医事課医師臨床研修推進室臨床研修係係長O氏はノーと言い続けた。彼の言葉は文字どおり木に鼻をくくったような「だめなものはだめ」のトートロジーであったが、「「連続して」16時間受講しないものは修了と認めない」というのがその結論であった。なぜ、「連続して」なのかの問いにはついに答えがなかった。

「指針でそうなっているからです」
「指針にはそんなこと書いてありませんよ」
「えっと、じゃ、厚生労働省の意向です」
「その意向は通知とかQ&Aという形でどこかで明示されているのですか」
「いいえ」
「では、それを厚労省の意向と呼ぶのはおかしいのではないのですか。あなたの個人的な見解なのではないですか」
「そうではない」
「では、誰と誰の見解なんです」
「それは言えません」

 それは言えません、とO氏が言ったことで彼は「それを言った」のである。彼は「言えません」という言葉によって、そこに「連続性を強要しろ」と命じた「だれか」の存在を明らかにしたのだから。

 かねてから2泊3日、16時間の指導医講習会は多忙な臨床医には長すぎてつらすぎると悪評だった(ぼくらもアンケートを繰り返しているが、いちばんの苦情は「長い」であった)。そこで次年度から講習会の運用を改定すべく現在審議が続いている。しかし、この講習会の「連続性」をなんとしてでも維持しなければならないと主張する有識者がいるのである。だから、たとえ「指針」では明示的に禁止されていない非連続な講習の受講も、頑なに拒まれるのである。

 というわけで、これは係長O氏の個人的な裁量でなんとかなる問題ではなく、臨床研修係の不文律として規定路線になっており、しかもその規定を作った張本人は誰にも明示されないといういかにも日本の行政にありがちなぐるぐる・ループを作っていたのだった。

 せっかく患者のために講習会を中断してくださった医師の方に対して、当方はお役に立てなかった。その無力をお詫びしなければならない。

 「連続」にこだわるその有識者がだれであるか、ぼくは知らない。O氏は開示してくれない。自信を持った(自称)プロの見解なのだから、なにも隠ぺいする必要はなかろうはずだが、まあ、しかしぼくもそれが「だれか」という点には興味が無い。ただし、その人物にはここで一言申し上げておきたい。

 16時間の連続的な講習が、1年をまたがる分割された2講習になった場合、その講習コンテンツやアウトカムが損なわれてしまうという見解はどういう根拠によるものだろうか。そのような教育心理学的なデータが有るのだろうか。そのような医学教育研究的エビデンスがあるのだろうか。まさか指導医が1年間ですべてを忘れてしまうなどとは思っていないでしょうね。1年ですべてを忘れてしまうような賞味期限の短いコンテンツであれば、そんな指導医講習会、やるだけ無駄ではないか。

 前年度と次年度では参加者が違うとO氏はいう。いいではないか。ワークショップなのだから、より多様な言葉、多様な意見が聞けて、ワークショップはより有意義で豊かなものになるであろう。前年度と次年度ではプログラムの内容だって変化するとO氏は言っていた。もちろん、漸進的な変化はあるが、180度真逆なものになるわけではない(ぼくはやったけど)。しかも、その変化は厚労省は書類によって審査しているわけだから詳細を日程に至るまで掌握しているのだ。前年度と次年度のプログラムのコヒーレンスや連造成に問題があれば、それを確認できるはずだ(ちゃんと全部書類確認してんですよね)。それに、通常時年度のプログラムは前年度のそれよりベターなものになっているはずだ。もしそうではなく前年度より次年度のプログラムが劣化しているのであれば、それはタスクやチーフタスクの選択が間違っているということであり、講習会を毎年審査する厚労省の見識が誤っているということになる。天下の厚労省がこのような素人じみた誤りを犯すはずもない。「その年」指導医講習会に参加した者よりも、2年にまたがって次年度も講習会に参加した者のほうが、より優れたプログラムを甘受できるに違いないのだ。

 というわけで、16時間の講習会を2分割してはいけない論理的、教育学的根拠はゼロである。「指針」にもその文言はゼロであり、厚労省にこれを拒まなければならない理路はどこにもない。財務省のような外的圧力がかかる領域でもない。 では、なぜ「連続」に固執するのか。それは、指導医講習会の目的が指導医の養成にはないからである。

 医療というのは不確定性に満ちた営為であり、突発的に予期せぬ出来事が起きる。いや、突発的に起きる出来事はすべて我々が予期した範囲内でなければならない。患者の急変、新規患者の出現、緊急オペ、新興再興感染症のアウトブレイクなどはすべてこれ我々の「想定内」の出来事であり、あれこれ急事が生じるたびにオタオタ、ウロウロしていては医者はやってられない。研修医たちをこのようなみっともない医者にすることは我々指導医的には絶対に許されない。 そして、急事が生じた時も我々は冷静に「当初予定していたのとは違う」プランBを現時点での最適解としてすぐに発動させる必要がある。緊急オペが必要な患者が指導医講習会中に発生した場合、多くのばあいそのプランBは「オペに行くこと」である。「これ、16時間最後までいないと指導医になれないんだよね。オペはちょっとかんべんしてもらって治療の効果は割引しよう」では瞬時に最適解を選び出すことが必須の医者としては素養不足である。当然指導医の資格も欠いており、研修医を教えるロールモデルとしても不的確だ。

 「講習会時にオペに行く医者と、講習会にとどまり続ける医者と、あなたたちはどちらの医者が指導医講習会が養成すべき理想的な指導医だと思っているんですか」 とぼくはO氏に問うた。

 「いや、おっしゃることは分かりますが」

 分かりますが、分からないとO氏は言った。彼にとって大事なのはより優れた指導医を養成することではないのは、ここからも明らかである。

 ぼくが担当係長なら絶対にこういう。

 「いや、分かりました。立派な先生ですね。その先生をさらに16時間拘束するなんて、気の毒に過ぎます。幸い、「指針」には「連続した講習」は明文化された義務として書かれていません。私の裁量で、2年ごしの講習をお認めしましょう。立派な指導医を増やして、研修医の未来の為に頑張ってください」

 さて、緊急オペに行き、来年度も16時間の拘束を強いられ、「同じ話」をまた何時間も聞かされる運命にある外科医はどう考えるであろうか。指導医講習会の制度設計をしている人たちはオレたち現場のことはなんにも考えていない。研修医教育にコミットしたっていいことなんて全然ない。こうくさるのが普通では無いだろうか。こうして、我々は医学教育と初期研修のシンパを一人失ってしまうのである。

 最近、医学教育の流行りは「アウトカムベイスド」な教育である。16時間の連続性にこだわることがどのようなアウトカムをもたらすのかはぼくは知らないが(本当は知っているが)、ここで言いたいのは、アウトカムベイスドを謳う医学教育学学者(医学教育学者にあらず)は、大事なことを見落としているということだ。

 彼らはアウトカムを精緻に明示すればアウトカムベイスドなのだと勘違いしている。

 もちろん、アウトカムは大事に決まっている。しかし、それを詳細に具体的に長々と明示してシラバスを作り、「これがコンピテンシーだ」と明言すれば、「ああ、なるほど、私はな~ンにも考えなくても、あなたたちの言うことを聞いていれば立派な医者になれるんですね」という集団の一丁上がりである。そこにはあるべき葛藤も失敗も紆余曲折もない。飛躍もない(シラバス通りにやってればいいので)。「他人の言うことを聞いていれば医者になれる」というパスウェイを明示された医学生、研修医が自分の力で「アウトカムとはなにか」と葛藤するチャンスは小さい。最大のアウトカムとは、「アウトカムを自分の力で自己設定できる能力を持つ医師であること」なのに。

 こうして、仔細で精緻な制度と形式に満ちた指導医講習会は、「この人達の言うことを聞いていれば研修医教育できるんだな」と思考停止になり、医学教育界のトレンディーなジャーゴンを頭に詰め込んでな~んにも考えなくなった指導医を量産していく。葛藤や矛盾を乗り越える胆力は失われ、理不尽とか正義とかについても「だまって言うことを聞いていろ。頭を使って考えるな」という厚労省と医学教育学学者の圧力に踏み潰される。ワークショップでは「答えはひとつではない」というが、もちろんひとつに決まっている。どこの講習会に行ってもまったくおなじスライドを使ったKJ法の説明がなされているはずだ。指導医ならみな実感しているであろうが、最近の学生や研修医はマジメで礼儀正しく、勉強熱心だが、「葛藤や矛盾を乗り越える胆力」は致命的に欠如している。今後はそれが助長されていくのはまちがいない。厚労省や教育学学者たちが「頭を使わない医者たち」の普及を望んでいるからだ。

 こうして思考停止になった指導医講習会タスクたちによる、思考停止な指導医の養成が行われ、思考停止な研修医たちの教育が運用される(その手は医学生にも同じロジックで文科省から伸びていく)。いざというときに判断も決断もできない医者が「コンピテンシーのリスト」を埋めていけば医者になれるというシンプルパスウェイをもらった医学生が、スイスイと医者になっていく。

 彼らがこういう見解に対する言い訳もすでに透けて見えている。「これまでも受講者は緊急オペなどで途中中断していました。彼らに対する平等性を担保するためにも、その人だけ特別扱いするわけにはいきません」。ぼくならこう答えよう。「なるほど、ところで皆さんは「自分が間違っていたことに気づいて即座に訂正、方針転換する医者」と「自分が間違っていると気づいているのに、そのまちがいに苦しんだ人たちとの平等性を根拠にそうと知りつつまちがいを続ける医者」とどちらをより涵養したいとお考えですか」と。みんなおんなじじゃなければいけないという幼児園児的発想をしていて、どの口で「プロフェッショナリズム」だの、「成人学習理論」だの偉そうな言葉を吐けるのか、と問いたい。

 2009年のパンデミック・フルーのとき、多くの臨床医が「厚労省、診療指針を示せ」と要求した。彼らは現場を知らない役人に現場での箸の上げ下ろしを指南してくれと要求したのだ。官僚たちは「やれやれ、やはり日本の医者は俺達がいないとなにもできないんだなあ~、困った奴らだ。また終電乗れないよう~」とぼやきながら、涙を流して呵々大笑することであろう。こうして好コントロール装置はぐるぐる周り、どんどん現場の医療者の知性は劣化していくのである。もちろん、当人たち(や医学教育学学者たち)は全面否定するに決まっている。しかし、人種差別主義者が人種差別主義者であることを自己申告することはありえないのである。彼らの底意は外的に判じるより他、ないのだ。たとえ自分自身、それに自覚的でなかったとしても。

 こういう劣化作業に、我々は手を貸してはならない。自分の感受性、主体性、知性は自分自身で守らねばならない。指導医講習会を頭の悪い指導医作成プログラムにしないように、参加者タスクたちは真剣にもう一度、大事なことを見直すべきなのだ。見直すと、そこには深淵が覗き返してくるはずだ。


※本記事は、2014年12月2日のブログ『楽園はこちら側』で発表した内容を、編集部でタイトルとレイアウトのみ変更したものです。



http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/blog/kurofunet/mmori/201412/539686.html
KUROFUNet 
「炎上」で幕を開けた今年のマッチング

森 誠
2014/12/10 日経メディカル

 日本では10月、2014年度の臨床研修マッチング結果が公表されたと聞きました。アメリカではオンラインの出願システムERAS(Electronic Residency Application Service)が9月15日付でオープン。アメリカのプログラムで研修を志す国内外の医学生がいっせいに願書を送信して、半年に及ぶマッチングがスタートしました。

 昨年まではオープン日前に希望のプログラムを選択でき、オープンと同時に自動的に出願されるシステムが採用されていましたが、今年からは初日にログインして各自で送信しなければならなくなりました。そのせいもあってか、当日は前代未聞のシステムダウンに見舞われ、質問フォーラムがブーイングで炎上するなど一時パニック状態に…。

 システム復旧までの間はERASのTwitterアカウントのフォロワーが急増するなど、ネット上での情報収集が活発化しました。翌日早朝には無事に復旧し、私を含めて大方のクラスメイトは1日遅れで願書を送信できたようです。

「初日の出願」に皆が血眼になるわけ

 多くの研修プログラムの出願締め切りは10月半ばから11月終わり。何も初日に殺到しなくてもと思われるかもしれません。なぜ9月中旬のオープン初日の出願に皆がこだわるのでしょうか。

 これは実際に裏付けがあるかは定かでないのですが、学内の研修プログラムのディレクター陣によるオリエンテーションであった、選考プロセスに関する説明からうかがい知ることができます。「願書は受け取られた順に選考委員に読まれ、Yes/Maybe/Noの山に振り分けられる。そして、その後にYes/Maybeを見直し、その中から面接をオファーする学生を決める」。

 このようなプロセスを踏むため、提出が早いほどしっかりと願書を見てもらえる可能性が高くなる。また、先に読まれるほど比較対象が少ないので、Yes/Maybeの山に入る可能性が高くなる。アメリカの医学生が信じる“都市伝説”です。

 ERASからの通知によると、今年はトラブルがあったにもかかわらず、オープンから2日後の9月17日までに、国内外のERASアカウント所持者の100%が1つ以上のプログラムに願書を提出したそうです。効果の真偽は不明ですが、「初日の出願」が学生の間で重視されているのは間違いないようです。

あの手この手で面接日を素早く確保

 9月半ばに願書を提出してからの流れは、希望の科によって多少差がありますが、12月までには面接のオファー、または落選の通知が各プログラムからメールで送られます。オファーの場合は面接予定日が記載されており、学生はその中から都合の良い日を選んで返信します。

 面接の日程を考える際は、興味のある複数のプログラムの面接日が重なってしまうことがあります。面接のアポイントメントは早い者順なので、本当に興味のあるプログラムの面接予定日をあらかじめカレンダーに書いて組み合わせを考えておき、オファーがあったらすぐに返信できるよう準備している強者もいます。

 内科のように募集人数が多い科は、メールではタイムラグがあって返信までに希望の日程が埋まってしまうことがあります。そのため電話で返事することが多いのですが、スマートフォンに予定を入れておくとカレンダーの日程を見ながら通話できないため、素早く返事する目的のためだけにカレンダー付きの手帳を携帯する用意周到な学生もいます。あるいは、オファー受信専用のメールアカウントを作り、そのアドレスだけをスマートフォンにリンクさせている同級生もいます。無関係のメールに敏感に反応しなくてよくなるため、なかなかのアイデアだと感心しました。

どの医学部もマッチ率90%?

 面接が終わった後は、オファーがあったプログラムに関して自分が行きたい順にランクリストを作成し、NRMP(National Residency Matching Program)へ提出します。プログラム側も同様のリストを提出し、その2つが有名なアルゴリズムで処理されます(関連記事「研修マッチングのスクランブル、勝負を分ける1時間」参照)。面接に呼ばれなければ、ランク作成すらできません。

 余談ですが、医学部受験者に対する医学部のプロモーションとして、「当医学部では▲%の卒業生が志望のトップ3以内のプログラムにマッチしています」というフレーズをよく聞きます。ところが、このパーセンテージが90%を超える医学部が非常に多く、いったいどういうことかと疑問に思っていましたが、このフィルターの役割を担う面接がカラクリのキモでした。

 つまり、出願の時点で行きたいと思っているプログラムでも、面接に呼ばれなければランクすることができません。ランクリストを使用して算出する統計では、最初の志望先は「志望プログラム」に含まれません。プログラム側も採用の可能性のある学生にしか面接のオファーを出しませんから、最終的には高確率で上位のマッチが成立するということでしょう。とにかく面接まで漕ぎ着けることが大事で、科ごとにいくつのオファーがもらえればどこかにマッチする確率は◆%という統計が、毎年NRMPから公表されます[1]。

インターンシップでやる気をアピール

 私が志望する心臓外科を含め、定員の少ない科ではサブ・インターンシップという研修での評価が重要な選考要素になります。これは医学部4年次のローテーション研修の中で、特定の施設の診療科(プログラム)を希望して1カ月間行うものです。

 定員が2人というようなプログラム側の心理としては、1人の人選ミスがプログラムに与える影響は、内科のように定員が数十人に及ぶ大きな科と比べて非常に大きい。そのため、母校の学生あるいはサブ・インターンシップで能力や人格を把握している学生を採用しようという心理が働くようです。

 実際に心臓外科の某プログラムでは数年前、「他の科に転向したい」という理由でのドロップアウトが1人出ており、そのシフトの穴埋めなどは大変だったそうです。もちろん、選考の大前提は医学部での成績や論文の本数、推薦状ですが、その上でサブ・インターンシップでのパフォーマンスが良く、やる気をアピールできれば大きなプラスになります。

熾烈な競争の中、お金がなくなっていく…

 サブ・インターンシップを含め、この一連の選考プロセスは学生にとっても相応の金銭的コストを強いるものです。願書の出願料(※)、USMLE(United States Medical Licensing Examination)のスコアの送付料(応募プログラム数を問わず75ドル)、ランクリストを提出するシステムへの登録費、サブ・インターンシップの登録料、その間の現地での家賃と生活費、そして面接が行われる全国各地のプログラムへの渡航費、宿泊費…。かなりの額を投資しなければなりません。一番の出費は面接のための渡航費でしょう。国土が広い上に新幹線などの便利な交通手段がないので、ほとんどの場合は飛行機での移動になるからです。

 昨年、競争率の最も高い科の一つである皮膚科にマッチした学生は、100以上のプログラムに出願して30の面接に行ったそうです。自分でローンを組んで学費を支払っているアメリカの医学生にはかなりの痛手です。学生の渡航コストを下げるためにSkypeなどを使用したビデオ会議形式の面接を遠隔で行う試みも出てきていますが、完全に採用しているプログラムは今のところ極めて少数です[2]。

喜びも悲しみも爆発するマッチデイ!

 この一連のプロセスを経て迎える3月のマッチデイは毎年“大盛り上がり”です。学校ごとに伝統があり、1人ずつ壇上に上がり結果が記載された封書を手渡され、それをオーディエンスの前で読み上げるというかなり儀式張った学校もあります。希望のプログラムにマッチしてうれし泣きする学生もいれば、うまくいかずに泣き崩れる学生もおり、どちらにせよ感情が爆発する瞬間です。

 私が学ぶエモリー大学ではマッチデイの正午、机の上に封筒が並べられ、カウントダウンが終わるやいなや皆いっせいに駆け寄り、自分の封筒を探し出して開けるという形式です。家族や友人が一緒に参加するケースも多く、発表後は医学部のホールで立食形式の軽いパーティーが開かれます。

 面接、マッチングをこれからに控えた現在、われわれ学生にとっては不安の募る時期ですが、人生の次のステージを決める大切な行程なので期待を胸に臨もうと思っています。

 最後に、マッチングに関する論文をまとめた良書があるのでご紹介します。

 Rajani K,et al:The Successful Match:200 Rules to Succeed in the Residency Match,Md2b,2009.

※ 願書の出願料は、最初の10プログラムまではまとめて95ドル、その次の10プログラムが1つ当たり10ドル、さらに次の10プログラムが1つ当たり16ドル。出願数が増えるほど割高となる。筆者は30プログラムに応募して355ドルの出費となった。

【References】
1)National Resident Matching Program(NRMP):Results and Data 2014 Main Residency Match,Apr 2014.
http://www.nrmp.org/wp-content/uploads/2014/04/Main-Match-Results-and-Data-2014.pdf
2)Edje L,et al:Using skype as an alternative for residency selection interviews.J Grad Med Educ.2013 Sep;5(3):503-5.


  1. 2014/12/10(水) 05:37:46|
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