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地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月17日 

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40119
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医学会には薬の宣伝をする「御用学者」がいる---上昌広『医療詐欺』第1章より
不都合な真実② 医学会には薬の宣伝をする「御用学者」がいる

2014年08月17日(日)

上 昌広『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社)第1章「先端医療と新薬を支配する「医療ムラ」は癒着と利権の巣窟」より
【前回はこちら】

東大病院にみる悪質さ

このような医師と製薬会社のズブズブの関係は他にもあります。

2014年に入ってから明らかになったもののなかで有名なのは、やはりノバルティスファーマ社が裏で糸をひいていた「東大病院血液・腫瘍内科事件」ではないでしょうか。

東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科(黒川峰夫)教授を中心に二二の病院で構成する臨床研究グループ(TCC)がおこなった医師主導臨床試験「SIGN研究」において、ノバルティスファーマ社のMR(医薬情報担当者)が、実施計画書や患者同意書の作成に不適切に関与していたのです。

SIGN研究は、慢性骨髄性白血病の治療薬グリベックの副作用を評価する「医師主導臨床研究」ということですが、これも案の定、グリベックを販売するノバルティスファーマ社が仕切っていたのです。

事実、この臨床研究に用いられた「実施計画書」「説明文書」「患者同意書」などの資料というのは、全てのファイルのプロパティーに「会社Novartis」と示されていました。

さらに、2013年10月に開催された日本血液学会学術集会で用いられたパワーポイントファイルのプロパティーにも、ノバルティスファーマ社の東大病院担当者の名前が記されていたほか、TCCの資料自体にも同社のクレジットが入っていました。

この背景には、研究責任者である黒川教授が、同社のアドバイザーを務めていること、そして同社から奨学寄付金を受け取っていることがありますが、この研究において患者側に提供された「説明文書」には、そのような事実は伏せられています。

先ほどのバルサルタン事件と同様の構造がありますが、こちらのほうが悪質さでは計り知れません。なぜかといえば、医師が製薬企業と結託して患者を騙し、その見返りとして金銭を受け取ったという見方もできるからです。

患者の個人情報を横流し

実は「SIGN研究」がおこなわれた背景には、ノバルティスファーマ社の新薬販売戦略があります。

ポイントは、グリベックの副作用が問題になる患者を、新薬であるタシグナに切り替えるように誘導することでした。

グリベックは2012年度には383億円を売り上げたドル箱でしたが、2013年になると一部の白血病に対する特許が切れ、ジェネリックが発売されました。

一錠あたりの価格(当時)は、ジェネリックが1,842円であったのに対し、グリベックは2,749円。何もしなければ、ジェネリックに市場を奪われてしまう。そこでノバルティスファーマ社が編み出したのが、後継薬への「誘導」です。

グリベックの副作用を強調することで、同社が開発したグリベックの後継薬タシグナへと切り替えさせるようにしていく、というわけです。

ただ、ここに大きな問題があります。グリベックのジェネリックとタシグナの効果や副作用には大きな差はありませんが、かかる費用には雲泥の差があるのです。

タシグナの年間の薬剤費は約510万円。これに対してグリベックのジェネリックの費用は年間約269万円と約240万円もタシグナのほうが割高なのです。ここへ誘導するために、「SIGN研究」へ誘導したのではないかという疑惑がもたれているのです。

それを如実に示しているのが、患者情報の流出です。

東大病院が作成した患者向け説明文書には次のような記述があります。

「私たち(=東大病院)は、これらの情報(=性別や年齢などの患者の個人情報)が本臨床研究関係者以外の外部に流出したり目的外に利用されたりしないよう適切に保護します」

このように書いてあるにもかかわらず、255人分の患者情報がノバルティスファーマ社の手にわたっていたことが明らかになったのです。

この情報のなかには、性別や生年月、イニシャル、副作用情報などのほかに、個人が特定できる患者IDも203人分含まれていました。これはいわばグリベックの「顧客」情報を横流ししていたともとれるのです。
登録した患者がグリベックを止めてタシグナに変更した際には、営業担当者の業績として評価していたことや、ノバルティスファーマ社の東日本営業部では、担当医療機関の間でアンケート枚数を競う「インセンティブプログラム」を実施し、スターバックスコーヒーのプリペイドカードなどの褒賞を与えていたこともわかっています。

これを「販促活動」と呼ばずして、いったい何と呼べばいいのでしょうか。

初心者を「権威」に祭り上げる

ここでひとつの疑問が浮かぶのではないでしょうか。

バルサルタンの臨床データ不正操作事件といい、この東大病院血液・腫瘍内科事件といい、研究資金や人的なサポートがあったとはいえ、医師たちはなぜここまで無節操に製薬会社の言いなりになってしまうのか。仮にも患者のためという志をもって、医学の道にすすんだわけだから、そうやすやすと籠絡(ろうらく)されないのではないか。

医療界の外にいらっしゃるみなさんがそう思うのは当然ですが、内部にいる私からすれば、「医者というのはもっとも籠絡されやすい人々」なのです。

いったいどういうことなのか。

東大病院血液・腫瘍内科のケースでご説明しましょう。かつて私自身が所属していた医局ですから内情がわかります。

疑惑の中心にいる黒川教授は、1990年に東大医学部を卒業し、虎の門病院で臨床研修をした後は、主に白血病遺伝子の基礎研究に従事していました。そして、英国の科学誌「ネイチャー」に論文を寄稿するなど、大きな実績を挙げます。

その後、前任の教授が急逝したのを受け、2005年に40歳という若さで教授に抜擢されます。しかしながら、それまでに医局員のお世話係である医局長や他大学の管理職の経験はありません。研究者としての能力と、臨床医としての技量、研究室のトップとしての管理能力は別物です。そうした観点からすれば、黒川教授は「基礎研究」の実績は十分だったのですが、臨床や研究室運営は心許ない、というタイプと言ってもいいでしょう。

それを示すのが、ノバルティスファーマ社から黒川教授に振り込まれた「奨学寄付金」です。

3年間で800万円です。「SIGN研究」のような大規模臨床試験の奨学寄付金の相場は、年間1,000万円。それを考えれば、破格の安さです。

何を言いたいのかもうおわかりでしょう。製薬会社というのは、このように臨床経験の少ない医師に接近し、物心ともにサポートをすることで、思いのままに操ることができるように籠絡していくのです。

コンプレックスにつけこむ

この手口は、先ほどのバルサルタン騒動でも同じです。

臨床試験にかかわった医師などは、講演や広告など様々な形でバルサルタンの宣伝をしており、「バルサルタンファミリー」などと呼ばれていました。

良い薬であれば、その治療方法を他に薦めるというのは別に悪いことではありませんが、彼らはあまりにも露骨であったため、一連の問題が発覚する以前から、一部からは「サルタン星人」などと揶揄(やゆ)されていたほどです。

そんな「サルタン星人」の面々も、よく見てみると、実は黒川教授と同じような経歴が多い。つまり、臨床経験に乏しいというコンプレックスにつけこみ、手厚くサポートをすることで接近したと考えられるわけです。

そのような医師を、「臨床研究の権威」へと祭り上げ、莫大な広告費をつぎ込んで宣伝すればどうなるでしょう。「神輿(みこし)は軽いほうがいい」という言葉ではありませんが、完全に本人は舞い上がってしまって、スポンサーのいいように操られてしまうのです。

福島第一原発事故後、「御用学者」という原子力の専門家が注目を集めました。

彼らは国や東京電力から物心ともにサポートを受けることで、原子力行政を批判するようなデータを片っ端から否定したり、攻撃したりしていたことから、社会から大きな批判を浴びましたが、まったく同じことが実は医療界でも起きているのです。

御用学者と御用マスコミ

では、医療界における「御用学者」はなぜ生まれてしまうのでしょうか。

身もふたもないですが、その原因は「カネ」です。

たとえば、バルサルタン騒動で問題になった医師たちは、毎週のように講演会に呼ばれ、バルサルタンが効きますよと話しては一回およそ10万~15万円程度の講演料を貰っていました。

そうした医師からすれば"小遣い"程度だろうと思うかもしれませんが、その小遣い欲しさから、製薬会社に操られてしまう医師も多いのです。

バルサルタンを方々で宣伝した教授の中には、お子さんを私立の医大に通わせている方もおられました。学費などの負担は年間350万~670万円に上ります。大学教授といえどもサラリーマンです。大学からもらう給料だけでそんなおカネは払えません。そういう事情もあってバイトをしなくてはいけなかったのではないでしょうか。

製薬会社の方針から医師への接待費が公開されなくてはいけなくなったため、現在ではかなりおとなしくなりましたが、かつてはシンポジウムだ、学会だと超高級ホテルで、さらにその後の高級クラブなどで、医師を接待漬けにするのが、MRの仕事という時代もありました。

ちなみに、この構造は対「医療マスコミ」にもあてはまります。

多くの誠意ある医師は、医学論文などをチェックしていますので、臨床試験のデータを操作するだけでも絶大な波及効果がありますが、一部の高齢医師や管理業務で多忙な医師は、いちいち論文なんて読みません。

そこで製薬会社のMRが「営業資料」としてもっていくのが、「日経メディカル」など医療専門誌の企画記事です。東大教授などを招いた座談会などがおこなわれ、そこで「バルサルタンは効く」みたいなことを言わせれば、「それじゃこの薬をつかおう」となります。

東京電力が捻出していた莫大な広告費によって、マスコミの言論が封殺されていたという報道もありましたが、実は医療界にも「御用学者」を用いた「御用マスコミ」が存在し、製薬会社によるその広告費は、年間1兆円はくだらないとまで言われています。

医師の不祥事と国との距離

日本の医師たちの不祥事の背景に、「民」である製薬会社の存在があるということがよくわかっていただけたと思うのですが、実はこれもまだ氷山の一角にすぎません。

そもそもこの「民」と「学」の癒着や不正がなぜ生み出されるのかというところを考えてみれば、おのずとその「真犯人」が見えてきます。

その謎解きをしていくにあたって、国立がん研究センターの医師による横領事件を例にとってご説明していきましょう。

2013年2月26日、国立がん研究センター中央病院の小児腫瘍科長、牧本敦医師(当時四五歳)が国の研究費約2,570万円を不正にプールし、一部を家電製品の購入などに私的流用したとして懲戒解雇されました。

牧本医師は2007~08年度、厚生労働省から計約2億2,000万円の研究費を受け取っていましたが、物品納入業者に架空発注して代金を過大に払い、その分を不正にプールする「預け」という手法で裏金をつくり、少なくとも五百数十万円を私物のエアコンやテレビなどの代金に充てていたという話です。

国立がん研究センターの記者会見では、牧本医師本人がプールしていたという説明がされましたが、そんなことはあり得ません。出入り業者が一人の医師のためだけにリスクを負うなんてことは考えにくいからです。

そうなるとひとつの可能性が浮かびます。

牧本医師は、国立がん研究センターで代々おこなわれていた裏金づくりのスキームで、私的流用をした――。国立がん研究センター関係者によれば、事情は以下のような感じです。

保身の医師が研究費を

牧本医師は、まず消耗品などを代理店に発注。商品が納入されたことにして、カラ伝票を切って金をプールしていました。それをマネーロンダリングのように別会社に発注し、そこに家電製品を購入させて自宅に配送させていたのですが、実はこの手口は、2013年7月に詐欺容疑で逮捕された秋山昌範(まさのり)・東大教授のそれとそっくりなのです。

秋山教授は、2010年2月~11年9月の間、システム販売会社など6社の役員らと共謀。自身が関わる研究事業のデータベースの作成業務をカラ発注し、東大から約1,890万円、共同研究をしていた岡山大から約290万円をだまし取ったとして逮捕されました。

ちなみに、秋山教授は「国立国際医療センター(現・国立国際医療研究センター)」という厚生労働省所管の組織にいた人です。こういう手法でプールするというのは、役所直下の組織ではよくあることです。国立組織でやっていた手口を、そのまま「国立」つながりなので大丈夫だろう、と東大でもやってみたらバレてしまったというのが本当のところではないでしょうか。

みなさんにはいまひとつ身近に感じられないかもしれませんが、厚労科研費の不正使用というのは続発しています。

2013年3月に北里大学、8月に国立医薬品食品衛生研究所でも不正が発覚しています。この現象を考えるうえで重要なのは、不祥事を起こした組織・研究者と厚生労働省の距離が非常に近いことです。

これは「官僚がすべて悪い」とか、不祥事の責任を官僚個人になすりつけているわけではありません。「国立」というのは構造的に不正が蔓延しやすいのです。

誤解を恐れずに言ってしまうと、医師の横領、裏金づくりなどには必ずといっていいほど「国」が関係しているのです。

国立組織は、法にもとづいて予算が下ります。

こういう環境のなかでは、リスクをとってチャレンジするうま味がありません。iPS細胞の山中伸弥(しんや)京都大学教授は、チャレンジしたので予算をつかみ取ることができましたが、「拠点病院」などと呼ばれる国立病院の研究者は、なにもしなくても研究費が下りてきます。

チャレンジをしないのですから、実力がつくわけがありません。

実力がなければ、たいした臨床研究はできません。研究をしてもたいした研究ではないので、そんなに研究費を使うこともありません。要するに、余ってしまうのです。

それをそのままご丁寧に厚労省へ報告などしたら、翌年から研究費が削られてしまいます。では、どうするのか。

「研究のため」と自分に言い聞かせながら、それらを不正にプールしたり、着服したりするというわけです。

政府による薬価の統制の罪

医師の不正の背後には、必ず「官」との近過ぎる距離感が存在するという構造がわかっていただけたでしょうか。

実は、これまで申し上げた製薬会社との癒着に関しても、この構造が深くかかわっているのです。

そもそも、なぜ製薬会社は「御用学者」をつかい、臨床試験論文によるプロモーションをしなければいけないのでしょうか。

普通の商品であれば、良い商品をつくって安く売れば、大ヒットとなり儲かります。このような自由競争のなかで、製品の質が磨かれていきます。日本の自動車メーカーが世界でも有数の競争力を身につけたのは、こうした好循環があったからだということに異論を挟む人はいないのではないでしょうか。

ならば、製薬会社もそれをやればいい。

多くの製薬会社が企業スローガンに掲げているように「患者さんのためになる、良い薬を提供する」ということを地道におこなっていればいいではないか――。

きっとみなさんはそう思うでしょうが、これでは日本の製薬ビジネスは成立しません。

なぜかといえば、日本の製薬業界では「自由競争」ができないからです。

日本の薬価を決めているのは、厚生労働大臣の公的諮問機関「中医協」(中央社会保険医療協議会)。つまり、中央官庁の役人なのです。

日本は世界で唯一といってもいいくらい、国が医療行為にまつわる価格をすべて一律に決めています。この「価格統制権」というものが数々の癒着や利権を生んでいるのは、電力行政と同じ構造です。

現在、しきりに「電力の自由化」が叫ばれていますが、日本の電気料金も薬価と同様、東京電力ほか10社の電力会社という国策企業が各管轄区域で独占的に決めています。

しかも、両者に共通するのは、総括原価方式。薬価についていえば開発にかかったコストを将来見込まれる患者数で割るという独特な価格設定をしており、コストダウンという意識がゼロなのです。

市場において、価格をコントロールするということはすべてを支配するということです。そこから癒着や「口利き」などの利益供与が始まり、「ムラ」が生まれます。

つまり、バルサルタン臨床データ不正操作事件や、続発する医師の不祥事の原因を探っていくと、すべては日本の医療における「価格統制権」を掌握する「中医協」にたどりつくというわけです。

そこで次章では、みなさんの多くも服用している「薬」の問題から、この「中医協」という「医療ムラ」の中枢についてお話をしていきましょう。

【次回につづく】



https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/49370/Default.aspx
メドピア・医師調査 「MRとの面会ルールない」が30% 無理な面会は訪問規制のきっかけに
公開日時 2014/08/18 03:51 ミクスオンライン

医師専用サイト「MedPeer」を運営するメドピアはこのほど、会員医師に対し「MRとの面会ルール」についてアンケートを実施し、その結果概要を発表した。3910人から回答があった。MRの訪問規制は強まる一方だが、「MRとの面会に取り決め・ルールがない」は30.8%だった。ただし、多忙な時への訪問は避けてほしいとの声は強く、スケジュール把握、状況を把握し、多忙な時は無理をしないことがMRに求められていることが改めて示された。

取り決め・ルールがないとした医師の主な意見としては「多忙な時は短時間で、と最初にくぎをさすか、断ります」(30代、家庭医療)、「忙しければ面会拒否し、時間があれば面会するという自然体です」(50代、一般内科)など多忙か否か見計らってほしいとの指摘がある。そして「診療終了を狙ってアポなしのMRが毎日のように3~5社来る状況にうんざりきています。自主規制でも作ろうかと思っている今日この頃です」(40代、総合診療)と、改善しない場合は訪問規制が敷かねないことが見て取れる。

一方、「MRさんの方が暇な時間を予想してきてくださっています」(50代、脳神経外科)、「最近はそれなりの節度を持って面会にはきているようにみえます」(30代、脳神経外科)と、無理な訪問をしなければ規制まで至らないことも示唆されている。

「MRとの面会に取り決め・ルールがある」は56.2%で、訪問の時間や曜日の指定や医局への立ち入り禁止などが散見された。そのほかの意見として次のようなものがあった。
・事前アポイント必須です。でも、約束の時間に合わせるのがかえって面倒と思っています。(40代、血液内科)

・「医局には入室禁止なのでほとんどコンタクトがとれません」(40代、小児科)

・「薬剤科を通じて、アポを取ることになっています。個人的には、MRとは二人きりで個室では会わないように、薬剤科にて薬剤師と一緒に会うようにしています・あとで何か疑われないようにした方がよいと考えております」(50代、一般外科)

・事前アポイント必須です。でも、約束の時間に合わせるのがかえって面倒と思っています。(40代、血液内科)



http://www.hokkoku.co.jp/subpage/H20140818103.htm
県内初の臨床宗教師 金沢・妙法寺の出島副住職
北国新聞 石川 【8月18日02時36分更新】

資料に目を通す出島さん=金沢市寺町4丁目の妙法寺
 終末期医療などの現場で心のケアに取り組む「臨床宗教師」として、金沢市寺町4丁目 の日蓮宗妙法寺副住職、出島元寿(げんじゅ)さん(33)が活動を始める。宗教や宗派 を超えて患者の死への不安に寄り添う宗教者で、県内では出島さんが初めてという。医療 技術だけでは解消が難しい、心の不安を少しでも和らげる。
 臨床宗教師は東北大で提唱され、東日本大震災をきっかけに、2012年、同大で臨床 宗教師の養成講座が設けられた。宗教者が医療機関や被災地などで患者らの心のケアに取 り組む。相手から求められた場合に読経などをする点が通常のカウンセリングと異なる。

 出島さんは5月から約2カ月、石川初の受講者として浄土宗や浄土真宗、キリスト教な ど20人の宗教者と共に講座を受けた。臨床宗教師は宗教の異なる人や無宗教の人との対 話を前提としており、出島さんは泊まり込みの研修で、他宗派を吸収した。

 病院での実習では、患者と会話を楽しんだ。明るく振る舞う患者が時折見せた表情の陰 に気付いた。「話を聞きながら、死の恐れへの救いを与えることは宗教者しかできない」 と使命感を高めた。

 つらい体験もあった。「野沢菜を一緒に食べよう」と約束していた患者が、次の実習で は亡くなっていたという。出島さんは「緩和ケアの現場では悲しい状況が毎日続く。患者 を支える医師や看護師のストレス軽減にも貢献したい」と、医療スタッフのケアにも意欲 を見せている。

 出島さんによると、宗教者が病院職員として働くことは、まだ日本では珍しいという。 今後は県内の病院や福祉施設などの理解を得ながら活動の場を探す。出島さんは「人に寄 り添うことが自分の一番の役割。会話で心が救われる人が増えるとうれしい」と話した。



http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/noto/201408/537922.html
連載: 糖尿病治療のエビデンス
第12回(最終回特別編)
EBMに潜む八つのワナ~論文を正しく読むコツ~

2014/8/18 日経メディカル

 前回まで、血管合併症予防に関するエビデンスの有無に基づいた糖尿病治療薬選択を推奨している国立国際医療研究センター病院による「糖尿病標準診療マニュアル」1)に沿って、糖尿病治療について包括的に吟味してきた。最終回は、エビデンスに“使われない”ために知っておかなければならない統計学的落とし穴について復習をしながらまとめたい。たとえ一流医学誌に掲載された論文であっても、結果だけをうのみにせず、妥当性が低ければ話半分に論文を読むことが大切である。

【その1】
二次エンドポイントはオマケ~朝三暮四に注意~(第1回・第9回参照)
 研究で実証できるエンドポイントは一次エンドポイントだけであり、二次エンドポイントは仮説を実証するものではなく示唆するオマケにすぎない2)3)。実際、心不全患者におけるアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)の腎機能(一次エンドポイント)への影響を比較したELITE研究4)では、一次エンドポイントには有意差がなかったものの、二次エンドポイントであった死亡率においてARBがACEIより低下率が大きいことが示唆された。そこでその仮説を実証するためにELITEの二次エンドポイント(死亡率)を一次エンドポイントとしてELITE II5)研究が実施されたが、有意差は認めずARBの優位性は実証されなかった。

 製薬企業がスポンサーの臨床試験では、一次エンドポイントで有意差がない場合(いわゆるネガティブスタディ)、何とか実薬の優位性をこじつけようとして二次エンドポイントの中から少しでも有意差のある部分が誇張されることが多々あるため、情報操作(spin)に気を付けたい6)7)。特に、論文著者の中にスポンサー企業員が含まれている場合は、少しでもいいように解釈されている傾向にあるため(親の欲目バイアス)、大きく割り引いて読む必要がある。

【その2】
後付け解析は“後出しジャンケン”(第2回参照)
 仮説を検証する研究では、妥当性・客観性を高めるためにバイアスを極力排除することが重要である。解析法に関しては、研究開始前に研究デザインやデータ特性に基づいて設定しておくことが基本となる。先にデータがあって中身が判明していると、いいとこ取りの“後出しジャンケン”と同じでフェアな解析・解釈が困難となる(情報バイアスと言う)。後付け(post hoc)解析は情報バイアスが極めて大きいため、仮説検証ではなく仮説提唱・探求に過ぎない(日本糖尿病学会の新ガイドラインでは、RCTの後付け解析はレベル3に新たに設定された)。特に、一次エンドポイントで有意差を認めなかった臨床試験の後付け解析による情報操作に注意すべきである8)3)。

 参考として、大規模研究の後付け解析の例を紹介しよう。
<NICE-SUGAR研究>
 オリジナル解析9)では、血糖の厳格な管理によりICU患者の死亡リスクが有意に増加することが示された(一次エンドポイント)。後付け解析10)では、低血糖の増加が死亡リスク増加の原因である「可能性が示唆された」が、医学的に理に適っていても後付け解析は両者の関連性を示すだけで、因果関係までは究明できない(低血糖は真の死因ではなく基礎疾患の重篤度のマーカーに過ぎないのかもしれない)。

<ADVANCE研究>
 オリジナル解析11)では、血糖の厳格な管理により細小血管症リスク(腎症の定義は顕性腎症発症・血清クレアチニン値の倍加・腎代償療法導入・腎疾患死)が有意に低下することが示された(事前に定められた一次エンドポイントのサブ解析)。後付け解析12)では、厳格な血糖管理により末期腎不全・微量アルブミン尿・顕性アルブミン尿いずれの発症リスクも有意に低下する「可能性が示唆された」。後付け解析では、代用エンドポイントだけではなく真の(臨床的)エンドポイントを評価しているがバイアスが大きい解析のため、仮説として大きく割り引いて読むことが重要である(オリジナル研究解析に事前に末期腎不全も入れておけば妥当性の高い結果が導けたかもしれない)。

【その3】
値引き率と値引き額は違う~針小棒大のグラフに注意~(第5回・第6回・第8回参照)
 リスクの大きさや治療効果はリスク比(割り算)で表されることが多いが、比だけでなく差(引き算)の大きさも評価して臨床的意義を検討することが重要である。論文ではインパクトを高めるために前者しか記載されていないことが多いため気を付けたい。値引きに例えれば、同じ「値引き率」(比:割り算)でも「値引き額」(差:引き算)は「定価」によって違うので「定価」と「値引き額」も検討する必要がある。「値引き額」が少ないのでは臨床的意義・有用性は大きくないかもしれない。また、グラフでは一部を引き伸ばして視覚的印象を大きくすることが少なくないので要注意だ(図)。最近の一流医学誌では全体図と拡大図の両者を掲載する傾向にある。

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図 ピロリ菌除菌による胃癌リスク “針小棒大”のグラフ(上)では、劇的にリスクが低下して見えるが、全体像(下)をみるとリスク差(引き算)はわずかである。

【その4】
複合エンドポイントでは各要素もチェック~おとり商法に注意~
 関連した複数のアウトカム(心筋梗塞・心不全・脳卒中など)を一括して一つのエンドポイントとしてあらかじめ設定することがある。罹患率の低い疾患で有意性を検証するのに役立つ。臨床的には理に適っているが、有意差を何とか出そうとして組み合わせた苦肉の策であるかもしれない。複合エンドポイントの各要素の特徴や、各要素のリスク変化の一貫性にも目を通す必要がある。

 特に、入院決定など判断医によって基準が大きく異なるソフトエンドポイントが含まれている場合は注意だ(脂質異常症のように検査値だけで診断するために誰が判定してもぶれのないエンドポイントをハードエンドポイントという)。複合エンドポイント全体で有意差があった場合、各要素いずれも有意差があるかのような錯覚に陥らないように注意しよう。なお、各要素の解析は二次エンドポイントとして扱う13)が、バラつきが大きい場合には複合エンドポイントは意味をなさない14)。

【その5】
PROBE試験はネタバレによるバイアスに注意
 RCTであっても、盲検されておらず介入内容が分かっていると情報バイアスのために妥当性が低下する。盲検ではなく介入者・被験者ともに介入内容を知っているが、データ解析者には内容を知らせないことでバイアスを少しでも食い止めようという研究デザインをPROBE(Prospective、Randomized、Open、Blinded-Endpoint)試験という。ネタバレしているため、ソフトエンドポイントの場合は判断に偏りが出たりデータの操作が可能であったりするため、妥当性は低くなる。

 特に、「日本発」のRCTはPOROBE試験が多く、そのほとんどはソフトエンドポイントを使い、結果も有意差を認めるものが非常に多い(表1)。出来が良すぎることからも察知できるように、このデザインの研究は大きく割り引いて解釈することが重要である。実際、数試験が発表後撤回されたのは記憶に新しい。

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表1 大血管症分野の国内外エビデンス15)一部改変 二重線は発表後撤回。

【その6】
メタアナリシスは必ずしもレベルが高くない~羊頭狗肉に注意~(第2回・第7回・第8回参照)
 2013年に改訂された日本糖尿病学会による診療ガイドラインでは、エビデンスレベルが表2に示すように5段階に簡明適正化された16)。サブ解析・コホート研究の前向きと後ろ向きの区別・横断研究などが新たに登場した。なお、未発表データを含むメタアナリシスは「レベルなし」として本文中に記載されている点も斬新である。メタアナリシスだからといってうのみにしてはいけない。

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表2 日本糖尿病学会の診療ガイドラインで示されたエビデンスレベル

 2012年に、大血管症リスク・死亡リスクに関してDPP-4阻害薬と他剤を比較したメタアナリシスが発表された17)。18件の無作為化比較試験(RCT)を統合解析した結果、大血管症および有害心血管イベントのリスク比はそれぞれ0.40 (95%信頼区間:0.18~0.88、p<0.02)、0.48 (0.31~0.75、p<0.001)であり、有意なリスク低下が示された。しかし、このメタアナリシスは未発表データ5件を含むため、メタアナリシスと言えども妥当性は極めて低く読む価値はほとんどない(エビデンスレベルなし)。

 しかもこの研究は、追跡期間が最長2年間であり、臨床的意義も疑問である。数値は臨床的枠組みの中で初めて意味を持つことを肝に銘じたい。

【その7】
エンドポイントの改変・改ざん~水増し注意報~
 2005年、International Committee of Medical Journal Editorsは、臨床試験の論文発表には事前登録をするよう義務付けた。しかし、現状を監査した研究18)によると、研究計画が登録されていた323件のRCTのうち、適切な登録(試験終了前に登録、一次エンドポイント明記)が行われていたのは147件であった。その中で、46件に登録時と発表時でエンドポイントの相違を認めた。さらに23件でエンドポイント改変による検定結果への影響が判定できたが、23件中19件で改変後に有意差が出ていた。

 主要医学誌掲載論文でさえ適切な登録率が低い事実が判明し、さらにエンドポイント中途改変も少なくない事実も鑑みると、高エビデンスレベルとされるRCTでさえ盲信するのは危険なことがよく分かる。エンドポイントは標準療法の変化や有害事象の出現などによって改変を余儀なくされることもあるが、本来は研究開始後に都合いいように改変することは反則である。特に、ソフトエンドポイントを研究開始後に追加する19)のはイベント数稼ぎのための水増しの疑いが生じる。

【その8】
一票の格差を付けて観察研究を擬似RCT化~Propensity score matching~(第6回・第8回参照)
 実臨床では、禁忌や慎重適応の条件に該当する患者には、当然のことながらその治療はあまり行われない。そのため治療薬の比較を観察研究に基づいて行う場合は、処方適応患者層が異なるため、単純に年齢などを計算で調整すれば済むというものではない。このような「処方バイアス」(confounding by indication)を解消する策の一つが「propensity score matching」である.

 まず、アウトカムに関わらず全員のデータを集積し、年齢・性別・肝機能などのファクターを基に各治療の処方されやすさを計算する。次に、その処方されやすさ度の低い人ほどデータに重みを付けて2群間の比較解析を行う。このように一票の格差をつけることで多数派・少数派のデータも両群均等に加味されるようになり、擬似RCT化が可能になる。もちろん本物のRCTではないため、エビデンスレベルはRCTには劣る。

※編集部注:本コラムは今号が最終回です。長い間、ご愛読ありがとうございました。なお、能登洋先生は、2014年9月より聖路加国際病院内分泌代謝科にご勤務の予定です。

<参考図書>
・糖尿病診療【秘伝】ポケットガイド(増補版).能登洋.南江堂.2013.
・臨床統計はじめの一歩Q&A.能登洋.羊土社.2008.
・2週間でマスターするエビデンスの読み方使い方のキホン すぐにできるEBM実践法.能登洋.南江堂.2013.
・Dr.能登のもう迷わない!臨床統 計ここが知りたい!!(上・下巻) .能登洋.ケアネットDVD.2010.
・日常診療にすぐに使える臨床統計学Q&A(改訂版).能登洋.羊土社.2011.
・やさしいエビデンスの読み方・使い方.能登洋.南江堂.2010.
・EBMの正しい理解と実践 Q&A.能登洋.羊土社.2003.

<参考文献>
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19)国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センター

  1. 2014/08/18(月) 07:12:42|
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