Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

8月7日 

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43437.html?src=catelink
上特任教授、医学部新設で重要なのは理念- 東北は「現実的に考えて宮城県」
( 2014年08月07日 10:00 )キャリアブレイン

 東北地方の医学部新設で、設置主体の選定をめぐる議論が文部科学省で進んでいる。新設を申請しているのは、脳神経疾患研究所(福島県郡山市)、東北薬科大(仙台市青葉区)、宮城県。東大医科学研究所の上昌広特任教授は、キャリアブレインの取材に対し、新設医学部の理念に審査のポイントを置くべきと指摘。教育の議論は数十年先を見据えてすべきであり、医学部新設も目先の効果ばかりを求めてはいけないという。また、3陣営の中では「現実的に考えて宮城県」などとし、宮城県が有力と予想した。【聞き手・丸山紀一朗】

 インタビューの主なやりとりは以下の通り。

-改めて、今、東北に医学部を新設する意義は何か?

 医学部を新設すれば、医師の数が増える。根拠は、地域の医師数は、地域の医学部定員数とリニアに相関することだ。これは東京だろうが、へき地だろうが同じ。医学部をつくれば、やがてその地域の医師数は増える。日本医師会が新設に反対しようがしまいが、医師は足りない。だから、たらい回しや医療事故が増えているという面がある。

 医学部新設は教育事業なので、最短でも30年後とか40年後を見越してやるべき。今、西日本の医学部、つまり鹿児島大や熊本大、長崎大、阪大、京大などの方が、レベルが高い理由は、昔から連綿と取り組んできたからだ。だから、「医師不足の解消などのためには、即効性のない医学部新設は役立たない」などという意見は、数年後しか見通しておらず、教育の議論ではなく論外だ。

 九州や北海道は、医師のイン・アウトが基本的にない。一方で、四国は医師の半分くらいが外に出て行く。それでも四国に医師が多い理由は、人口当たりの医師養成数が多いからだ。四国は人口約400万人に対し、一般家庭でも入りやすい国立の医学部が4つある。

 ここで、東北の医師不足の原因は、関東に医学部自体の数も、国立の医学部の数も少ない点にある。関東は人口約200万人当たりに1つしか医学部がなく、そのうち国立大(5つ)に限ると人口約900万人当たりに1つしかない。私立では、開業医の子どもが入学し、また開業するという「世襲化」が起きている。

-医師が増えると医療のレベルが下がるという懸念も出ているが、どう考えるか?

 その説には根拠がない。一つのベンチマークとして例えば、2009-11年の大学病院の医師1人当たりの臨床研究論文が多いのは、京大や名大、阪大。その次に東大や九大が多いが、旧7帝大で特段に少ないのが東北大。なぜなら、競争がないから。量は質に転化するから、競争がないところは駄目だ。

 東大がなぜ少ないかといえば、医師であり、かつ研究者である人のキャリアパスを生み出す大学が、関東圏には東大以外にないからだ。関西は京大や阪大、岡山大、金沢大などで猛烈な競争がある。人口当たりの医師数は明らかに西日本が多く、医療レベルはどうかと考えた場合、客観的データで評価できる臨床研究論文数で比べれば、東京は歯が立たないのは明らかだ。

-東北の医学部新設で、審査のポイントは何であるべきか?

 それは理念だ。教育は創始者の理念で決まる。いろいろな価値観があっていいと思うが、教育の一番のポイントは、金でもなければ、医師数を集めるとかでもなく、理念だ。今回、新設の申請者で、それぞれ中心になっている人物がこれまでどういう医療をしてきた人なのか、何を語るのかが重要になる。時間をかけても、この地域で一流の教育観をつくり上げるという議論が必要だ。

 現実的に考えて、被災地である宮城県の知事が申請者として持って来ている話を国がひっくり返すのは、相当なハレーションが予想されるため、わたしは政治的にはほぼ審査結果が見えたと思っている。県がやるということは、財政的にはけた違いだし、普通に考えて勝負あったというところだ。

 教員となる医師を地元から引き抜いてはいけないという点で、宮城県は、連携先である仙台厚生病院(仙台市青葉区)の目黒泰一郎理事長がどういう立ち位置で入るかをはっきり示し、仙台厚生病院と一緒にやることになればさらに強い。仙台厚生病院は東北でほぼ唯一、医師が大量に他地域から来ているからだ。

-宮城県の構想の理念について、どう考えるか?

 ここで微妙なのは、宮城県はプライベート(私立)ではないところだ。当初はもちろん目黒理事長の理念だったと思うが、今後それがふわっとしたものになるかどうかが不安定要因ではある。仙台厚生病院が医学部を新設するのが本来のきれいな形だが、今回はこういう経緯になったので。

-目黒理事長の手腕に期待するのはなぜか?

 仙台厚生病院は患者に選ばれた病院だ。補助金をもらってやっているわけではなく、全国から医師を集めているというのは、医師からも評価された全国屈指の病院である証拠だ。わたしは、臨床医は現場で育つと考えているので、そういう意味で仙台厚生病院はチャレンジャーの資格が十分にある。

 もしも宮城県が、仙台厚生病院との連携をプレゼンせず、それがはっきりしないのであれば、大きく減速する。誰が見ても、栗原市と県だけでできるはずがないので。宮城県の成功のカギは、仙台厚生病院のコミットメントを、どう分かりやすく説明するかだろう。



http://www.m3.com/iryoIshin/article/236620/
スペシャル座談会◆総合診療専門医
大学も総合診療専門医の養成を◆Vol.5
専門医改革から生涯教育改革に発展へ

2014年8月8日(金) 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――これまでのお話をお聞きしていると、日本専門医機構や学会など関係団体が協力して、より良い専門医制度を作るには、相当の「ヒト、カネ」が必要だと思います。

池田 現在はそこが一番の問題点だと思います。日本専門医機構の事務局で働く人数を一気に増やすわけにはいきませんが、どの程度の規模にするかは今後の検討課題です。各領域の学会とどの程度、密接に連携するかにも関係する問題です。

丸山 「後期研修が必修であるなら、お金は払わない」という議論になるのを心配しています。受益者負担がどこまで成立するか。財源の問題は、知恵を相当絞らなければいけないと思います。

――後期研修は必修ではないですが、今後、そうした議論も出てくるとお考えですか。

池田 今は必修化されているのは、初期の臨床研修のみで、研修を受けなければ、いろいろな形で制約が加わります。医学部を終えたら、最初のパスをもらい、初期研修を終えて、2番目のパスをもらって、一人前の医師になる。その後は、いろいろなコースがあるわけです。後期研修を受けず、専門医を取得しない人も当然出てくると思います。

丸山 そのお話をお聞きして安心しました。硬直化した制度は、日本にはなじみません。ただ、「後期研修を受け、専門医を目指したい」という医師が考える環境は作る必要があると思います。そうすれば、自然とバランスが取れてくるでしょう。

池田 はい。基本的には、臨床医として仕事を続ける場合には、いずれかの専門は選んでほしいと思います。ただ、専門医研修を終えることができない人も出てくると思います。今は医学部の留年生が非常に多い時代なので。だからと言って、その人のキャリアが閉ざされるわけではなく、臨床医以外のキャリアを積んで成功する人もいます。そうした道があってもいいと思います。

今村 それは今日の本題とは違うのですが、それは学力低下ですか。

池田 研修についていけないのでしょう。

今村 そうであれば、医学部を新設すれば、医師が増えるという論理は成り立ちにくいと思います。

丸山 ただどの業界も、丁寧に育成しないと、人材が育たない時代になっています。

今村 今、医学部を卒業して、国家試験に合格して、臨床に進む人はどのくらいなのですか。

池田 そもそも国家試験に合格しない人がまずいます。合格して、医師免許を取得しても、初期臨床研修を終了できない人のほか、研修をしないで、基礎医学に行く人もいれば、他の業界に行く人もいます。

丸山 製薬企業に就職したり、官僚になるなど、いろいろな道が今、ありますよね。バリエーションはいろいろ増えています。

――そのほか、総合診療専門医をめぐる課題は何でしょうか。

丸山 「標榜」の問題があります。専門医制度と標榜診療科が連動しないことが、医師にとっては、「なぜ専門医を取得したのか」と思ってしまう一因でしょう。そこはぜひ整理していただきたい。

池田 標榜の問題ですが、「総合診療科」を新設する病院が増えていることも、総合診療専門医をめぐる混乱の要因です。大学病院や総合病院が、競って「総合診療科」を作り、充実させようとしています。この辺りは、考え方をきちんと整理しなければいけないと思います。

 私は、日本内科学会が、今後、きちんとした内科の専門医制度を構築すると信じています。それが実現すれば、大学病院や総合病院の総合診療科は、本来「内科専門医」が担当するのが良いと思います。

丸山 その点に異論があります。大学病院の持っているコンフリクトの問題だと思っています。大学の医学部は、大学病院つまり特定機能病院とともに存在しています。特定機能病院は、「総合診療」とは対極にあります。医学部には、「総合診療」の診療実践ではなく、その学問体系、教育体系を作ることが求められると思っています。

池田 それはその通りですが、現実には総合診療科が存在しています。総合診療科と、総合診療専門医の議論が混乱していることが、私は非常に大きな問題と考えます。日本専門医機構には、全国医学部長病院長会議も、社員として入っています。これまでは同会議は、専門医制度についてはあまり議論してきませんでしたが、専門医制度に関する委員会を作る機運も出てきています。

 医学部教育、初期臨床研修、後期専門医研修をシームレスに考えなければいけない時代になっています。総合診療専門医についても、大学自身が、育成に関して、しっかりとした意見を持ってほしいと思うのです。しかし、大学病院の中には、総合診療専門医を育てる研修フィールドは十分ではなく、それは外の施設にあります。ただし、プログラムディレクターなどは大学の教員が担うべきであり、医学部は卒前だけでなく、卒後も含めて、人材育成に取り組まなければいけない。

丸山 確かに、大学病院には、総合診療専門医を養成するフィールドがありません。一つの診療科として見てしまうと、残念ながら、病院の売上に直結した議論になってしまう。総合診療科の売上はあまり高くはなく、結果的に学内の位置付けもそうなってしまう。それ以外の役割も、きちんと認めてもらうことが必要でしょう。

池田 私は長年、大学にいましたが(編集部注:池田氏は、慶応義塾大学名誉教授)、学問や基礎研究については、大学全体としてしっかりと考えていますが、臨床における人材育成にあまり熱心ではなく、関連施設などに、任せきりのことが多いようです。

丸山 だからこそ、日本専門医機構の役割は、非常に大きいのです。医師の生涯教育の一連の流れの中で、専門医制度改革はその中心にあるのです。専門医制度を変えることにより、その前後の仕組みが変わってくるのだと思います。臓器別専門医にしても、国際的な標準の中で戦える人をもっと育成していくことが必要でしょう。

――最後に先生方が言い残されたことなどがあれば、お聞かせください。

丸山 これまで出たお話でもありますが、池田先生が終始一貫して言われていることですが、「国民を意識した改革」を実行すること、「次の世代のための改革」。これら二つに尽きると思います。

池田 おっしゃる通りです。

今村 私は「今後の日本専門医機構の在り方に期待している」ということに尽きます。今、お話いただいたような話を、今後どのように具体化していくかにかかっています。日本医師会としては全面的に協力したいと考えており、我々の生涯教育制度をどのように活用していただくかを考えながら、我々の生涯教育制度もアージョンアップしていきたいと思っています。

池田 日本専門医機構は、医師のプロフェッショナリズムを基に作るものであり、せっかくオールジャパンの仕組みとしてできたので、知恵を出し合って、運営していければいいと思っています。これだけ様々な領域の先生方が集まり、専門医制度を改革する仕組みができたことは、ある意味では、画期的だと思っています。同時に、国民目線でこの制度を動かさないと、絶対にうまくいきません。外部評価委員会を組織し、国民目線でのコミュニケーションを保ち、国民の意見を機構にフィードバックできる仕組みも早々に立ち上げたいと思います。



http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/555535.html
札医大、18年度に定員増 最大15人 地方の医師不足解消
(08/07 06:55)北海道新聞

 札幌医大は6日、医学部の入学定員を2018年度から増やす方向で道との調整に着手した。最大で現在より15人多い125人とする。道内の地方の医師不足を解消する狙いで、定員増は9年ぶり。老朽化した同大教育研究棟の増改築が17年度に終わり、教育関連施設が充実するため、さらなる人材育成の強化が可能になった。

 定員増に伴う予算措置の権限を持つ道も前向きに検討する意向で、札医大は16年度にも文部科学省に定員増を申請する方針。同省も地方の医師不足の深刻化を受け、08年度以降、都道府県が奨学金を設け、地域に定着する医師を育成することなどを条件に、大学医学部の定員増を積極的に認可する姿勢を打ち出している。<北海道新聞8月7日朝刊掲載>



http://mainichi.jp/select/news/m20140808k0000m040087000c.html
殺人未遂容疑:病院で医師刺し、逃走の67歳逮捕 北海道
毎日新聞 2014年08月07日 22時19分 

 7日午前10時20分ごろ、札幌市東区東苗穂5の1の勤医協中央病院1階の内科診療室で、消化器内科医長の男性医師(50)が患者の男に包丁で切りつけられた。医師は脇腹など数カ所を刺され重傷。男は軽自動車で逃走したが、同日午後8時45分ごろ、北西へ約11キロ離れた北海道石狩市内で殺人未遂容疑で逮捕された。

 道警札幌東署によると、男は札幌市北区拓北2の3、無職、高田秀治容疑者(67)。「間違いなくやりました。刃物は逃走中に捨てた」と容疑を認めているという。

 同署によると、同日午後7時40分ごろ、石狩市内で車を運転していた男性から、「ニュースで見た逃走車両に似た車が走っている」と通報があった。捜査車両が発見して追跡していたところ、高田容疑者の車が単独の横転事故を起こし、捜査員が身柄を確保した。高田容疑者は腕に軽傷。同署は「捜査車両は赤色灯を出さず、緊急走行もしていなかった」としている。

 高田容疑者は2008年から同病院に通院。7日は午前9時半に、主治医である男性医師の診察を予約していた。2人の間にトラブルは確認されていないが、同署は動機や経緯などについて詳しく調べる。

 同病院は病床数450床の総合病院。JR札幌駅の北東約5キロで、小学校や住宅が建ち並ぶ一角にある。【酒井祥宏、三股智子】



http://mainichi.jp/select/news/20140808k0000m040078000c.html
精神鑑定:女性被告を全裸で検査 京都地裁選任の男性医師
毎日新聞 2014年08月07日 21時57分

 昨年4月に京都地裁の公判前整理手続き中に行われた精神鑑定で、鑑定人の男性精神科医が京都市内の30代の被告女性を全裸にさせて身体検査をしていたことが7日、分かった。女性の弁護人だった古川美和弁護士(京都弁護士会)は「人権を無視した行為。精神鑑定の名を借りた性的虐待だ」と批判。男性医師は「女性から事前に了解を得ていた。体の傷などを確認するため全身を見る必要があった」と反論している。

 古川弁護士によると、女性は裁判員裁判対象事件の被告。弁護側が2012年12月に精神鑑定を請求し、京都地裁が鑑定医を選任した。女性は昨年4〜6月にかけ男性医師と9回面接し、3回目の面接の後に男性医師が所属する大阪市内の病院で身体検査を実施。男性医師が女性に服や下着を脱ぐよう指示し、全裸になった体を前後から数十秒間観察したという。拘置所の女性職員2人が立ち会ったが、医療関係者は男性医師だけだった。精神鑑定書に全裸で検査した経緯の記載はなかったが、同年6月に女性から申告を受けて弁護士が地裁に報告した。

 精神鑑定に詳しい東京都内のベテラン精神科医は「鑑定時に体を視察するのは基本で、場合によっては全裸で見ることもある。ただし、同性の医療関係者をつけるなど配慮が必要だ」と話している。【村田拓也】



http://www.qlifepro.com/ishin/2014/08/07/abortive-flower/
個別診療という「徒花」
2014年8月7日  Q Life Pro

診療報酬の改定から3ヵ月。
施設訪問診療は、同一住所の減算対象となる集団診療から、
緩和措置の対象となる個別診療へのシフトが大きく進んでいる。

ーーーーーーー
個別診療とは、介護施設や集合住宅に複数いる患者さんのうち、一人だけを診察することを指す。
施設においては、これまでは曜日を決めて対象の患者さんをまとめて診察していたのだが(集団診療)、この方法による診療報酬を4分の1に削減するとされたため、在宅医療業界は大混乱になったのだ。結局、個別に訪問すればその患者さんに対しては従来と同じ高い診療報酬が算定できるという「緩和措置」が示され、多くの在宅医療機関は、集団診療から個別診療にシフトしている。

しかし、個別診療では1施設につき、1人の医師は1日に患者さん1人までしか診察できない。
1カ月は30日しかないので、20人くらいまでなら一人で診察できるが、
40人や60人となると一人では対応できない。
結局、複数の医師が一緒に施設を訪問し、それぞれ一人ずつ診察して、次の施設に回る・・・
というような特殊な診療スタイルを提供する在支診も出現している。
高齢者施設の業界団体の調査によれば、約半数の施設において、
施設内の患者全員に対して個別診療が行われている。
ーーーーーーー

個別診療は集団診療の4倍の医業収入になる(実は従来の診療報酬よりも高い)。
集団で診られるところを個別に訪問するのだから、高くて当たり前だという声も聞こえてきそうだが、個別診療を受け入れている高齢者施設の6割は、この個別診療には問題があると指摘している。

情報共有やカンファランスが困難になった  55.7%
処方の管理が難しくなった  39.2%
診察時間が短くなった  36.4%
緊急対応が減り、救急搬送が増えた  27.9%
同一日に複数医師が訪問し、対応が困難  25.6%

目につくものだけでもこれだけ。
個別診療になって、診療の質が下がり、安全管理も難しくなった、というのが現場の意見だ。

多くの方は、個別に訪問してくれるのだから、診察時間は長くなって、緊急対応もこれまで以上にきちんとやってもらえる、そう期待していたはずだ。

しかし、そうはならない。
なぜなら医師の移動時間が圧倒的に増えるからだ。

確かに、重症度の高い方、診察に時間のかかる方に対して個別診療を導入する、ということなら、
診療の質が上がることを期待できるのかもしれないが、
現実には、施設内の全患者を対象に個別診療を行っている在支診が大部分だ。

片道20分の施設にいる30人の患者さん。
15人ずつ隔週で集団で診療すれば移動時間は40分×1回=80分。
30人全員を月1回個別で診療すれば、40分×1回+40分×30人×1回=1240分。
移動時間だけで20時間余計にかかることになる。
これを5施設でやろうとすれば月に100時間。医師の勤務時間の過半を占める。
緊急対応のための時間的余裕はなくなるし、時間を節約するために、診察時間は縮減されるかもしれない。これは医師の手抜きではなく、個別診療という形態の然るべき結果なのだと思う。

厚労省の意図は、裏金などの温床となっていた施設診療の報酬面に大胆にメスを入れ、
悪質な施設在宅医療機関を退場させること、そして診療の効率と品質を両立させることにあったはずだ。後出しの「緩和措置」の意図は今となってはわからないが、現状の運用状況を見る限り、医療費の削減効果はあまりなさそうである。診療効率は下がり、かつ、診療の品質も下がった。目の敵にしていた「悪質な在支診」はどうなった?私の目には個別診療の高額報酬制度をシステム化して、むしろ勢いを増しているようにすら見える。

私は、施設診療は集団診療がもっともよいと思う。
反論を覚悟で書くが、診療報酬も現状(改定後)のラインで概ね良いのではないかと思う。
これまでの施設診療の評価はあまりに高すぎた。(救命救急センターで働いて年収1200万、施設在宅専業で年収3000万っておかしくないですか?)

進行ガンや看取りの方には高い管理料を認める、という緩和措置の一部は残すべきと思うし、
その他の病気についても一部管理料を見直していただきたいとは思うが、個別診療という制度は撤廃すべきと思う。(様式14なる意味不明な書類も、然り)

施設は、集団診療が損益分岐点を下回らないように、運営の効率化に協力し、看護師・介護士・薬剤師・その他のコメディカルがしっかり連携して、多職種協働による生活支援の体制を作る。
在支診は、集団診療を丁寧に確実に行う。患者さん・ご家族も交えて、きちんと診療方針を立てて、多職種で方向性を共有、役割分担し、診療外業務を最小化する。緊急時には24時間しっかりと対応する。これが本来の施設診療の姿ではないのだろうか。

地域包括ケアシステムにおける高齢者施設(住宅)の位置づけは、医療・介護依存度の高い患者さんを高効率に安全に管理できる、ということが重要だと思うし、ここに医者を個別で訪問させることが合理的とは到底思えない。(そうでなくとも生産性の低い業界なのに)
どうやったら個別のシフトが組めるか、ということに頭を使うより、どうやったら、限られた資源の中でよりよい診療が提供できるか、を考えるべき。

そもそも、この話題の主役は在支診と施設ではない。
診療を受けているのは施設ではなく患者さんなのだ。
患者さんのニーズはどこにあるのか。

自分の病気をきちんと診察してもらい、できるだけ急変したり入院したりしないで済むように、日頃から予防的な健康管理を受け、必要時はいつでも往診をしてくれ、望めば看取りまでしっかりと支えてくれる、そういうことを求めているのではないのか。
医者が集団の一人として診察しようが、個別で訪問しようが、そんなことは患者さんには関係ない。どちらの場合でも、患者さんは自分の居室で医師が来るのを待っている。
患者さんに必要な診療サービス、そしてそれが提供できる体制、それを考えれば、厚労省が政策誘導すべき診療形態もおのずと見えてくるのではないか。

私自身も在支診を運営している。
居宅診療の患者さんが多いとは言え、施設の患者さんの絶対数には相応の存在感もあり、現状、集団診療の効率化は期待値には届かず、一部は個別診療を組み合わせている。
経営的にはまだまだ苦しい。
しかし、救急、産科、小児・新生児、もっと苦しいセクターはたくさんある。
単に診療報酬を上げろと叫ぶのではなく、限られた財源で何ができるか知恵を絞ることが重要だと思う。

我々は今後も診療外業務の効率化には積極的に取り組んでいくつもりだし、これまで以上に患者さんのQOLやADLに寄与できるよう、多職種による連携も進めていく。
そして、近い将来、今よりもずっと高効率、高品質な健康管理支援の仕組みを作りたい。

それが目指すべき「高齢先進国」の姿なのではないかと思う。


佐々木淳  医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
プロフィール  筑波大学医学専門学群、東京大学大学院博士課程卒業。三井記念病院、医療法人社団 哲仁会 井口病院副院長等を経て、24時間対応の在宅総合診療を提供する医療法人社団 悠翔会を設立。



http://news.ibc.co.jp/item_22543.html
元院長が被災地の医療課題を訴え
(2014年08月07日 19:00 更新) IBC 岩手放送

岩手県立高田病院の石木幹人元院長が7日、県議会で講演し、被災地の医療の課題を訴えました。県議会の復興特別委員会で講演した石木幹人さんは、4階まで津波が押し寄せた高田病院で入院患者らを救助し、その後もいち早く診療を再開して被災者の治療にあたりました。定年で退いた今も1人の医師として陸前高田市の地域医療を支え、被災地の医療のこれからを考えています。講演で石木幹人さんは「もともと沿岸地域の医療は崩壊寸前だったが、(今は)かなりひどい状況となっている。これから少子高齢化を迎えるにあたって、しっかりした基盤をつくっていかないと(いけない)」と話しました。石木さんは「高齢者の対応ができる病院や総合医の養成が必要」と、高齢化社会に対応した医療モデルの構築を訴えていました。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43463.html
京大に検診拠点を寄付、研究でもコラボ- 会員制検診ハイメディック
( 2014年08月07日 13:37 )キャリアブレイン

 会員制検診事業を運営する株式会社ハイメディック(東京都渋谷区)は、生活習慣病予防の研究やハイメディック社の検診の拠点として建設する「ハイメディック棟」を京都大学に寄付することで同大と合意し、調印した。同社がこの拠点で実施する会員向けの検診を京大医学部附属病院の医師らが担い、同病院は蓄積される検診データを生活習慣病研究に生かす計画。【大島迪子】

 ハイメディック棟は京大附属病院の敷地内に建設。建設費は約10億円。同病院はそこに「生活習慣病予防研究センター(仮称)」を新設する予定で、2016年4月にオープンする。
 ハイメディック棟は、地下1階地上3階、延床面積2000平方メートル。MRI装置2台、PET-CT2台などの機器を備え、年間4000人を受け入れる予定。同病院は、20年程度の長期にわたり収集する検診データを生活習慣病の早期診断研究に役立てる。
 ハイメディック社は、会員制リゾートホテル経営「リゾートトラスト」(名古屋市)の100%子会社。東大医学部附属病院内でも同様の検診事業を展開している。



http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43465.html
院内トリアージでまた誤請求、鳥取の病院で- 患者492人から
( 2014年08月07日 14:13 )キャリアブレイン

 鳥取県米子市の山陰労災病院は7日までに、休日や夜間などに救急外来を訪れた初診の患者計492人に対して、「院内トリアージ実施料」を誤って請求していたことを明らかにした。トリアージの必要のない1人のみの来院時に加え、国への届け出とは異なる担当者に関しても、診療報酬を算定していたという。院内トリアージ実施料をめぐっては7月下旬、県立厚生病院(倉吉市)で不正請求が発覚したばかり。【敦賀陽平】

 県立厚生病院の不正請求を受け、山陰労災病院が7月下旬、昨年4月24日から今年7月28日までに算定対象となった患者計3249人について調べたところ、このうち60人(請求額は計6万円)に関しては、トリアージの必要のない1人のみの来院だった。

 また、中国四国厚生局に届け出た担当者とは異なる看護師15人が行ったトリアージ(小児患者432人分)について、計43万2000円の診療報酬を請求していたことも判明。同病院によると、今年4月に小児科を開設した際、届け出の変更を忘れていたという。

 厚生労働省は一昨年夏、1人の来院など待ち時間がない場合、院内トリアージ実施料を算定できないとする通知を出しているが、同病院の長尾久幹・事務局次長は「1人の時に請求できないことは知らなかった。看護師に関しては、8月1日に変更届を出した」としている。

 同病院では、誤請求が判明した患者に対して、文書などで謝罪するとともに、7日から返金作業を開始。県では、15歳未満の子どもの医療費を補助しているため、432人の小児患者のうち、県内に住む367人に関しては、県側に返金するとしている。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=103092
病理解剖の結果 遺族に説明
(2014年8月7日 読売新聞)

悲しみ、後悔…整理する機会

 病気で亡くなった人を解剖する「病理解剖」の結果を、解剖を行った医師が、遺族に詳しく説明する取り組みがある。家族を失った悲しみや後悔といった様々な心情を整理する機会になるという。

 「誰のせいでもなく、母の体力の限界だった、とようやく死を受け入れることができました」

 茨城県の団体職員女性(49)は昨年10月、東京逓信病院(東京・飯田橋)で、父親(89)や姉妹と、病理診断科部長の田村浩一さんから、母親の病理解剖の最終結果の説明を受けた。

 母は、2012年11月、間質性肺炎で亡くなった。86歳だった。体調を崩して入院する際には「治して家に帰る」と言っていたのに、わずか1か月で旅立った。「もっと長生きできたのでは」との疑問がぬぐえぬ毎日だった。

 説明では、摘出した組織と臓器の写真や模式図などをまとめたスライドが使われた。うち1枚が、肺だった。呼吸できる正常な組織がほとんどなかったことがわかり、力尽きたのは仕方がなかった、と思えたという。

 意外だったのは、口の中がきれいだったこと。亡くなる2日前、意識を失う直前まで、口内炎に苦しんでいた。「痛みから解放されて亡くなったことがわかり、ほっとした」と話す。

 同病院では毎年秋、病理解剖を行った患者の慰霊祭を催す。その前後、解剖を行った病理医が直接、遺族に最終結果を伝える時間がある。07年、田村さんが同病院に着任した後に始まった。病理解剖の最終結果を遺族に説明する病院はまだ珍しいが、田村さんは、「結果を詳しく知りたい遺族はいるだろうと考えた。死を納得し、悲しみから立ち直る一助になるのではないか」と話す。自らも09年夏、実父を大腸がんで亡くし、その思いを強くした。

 がんの発見時は、すでに肝臓に転移していた。「早く見つかっていたら」と悔やんだが、病理解剖で、最初にがんが発生した場所である、大腸の原発巣はごく小さかったことがわかった。血便や体重減少といった発見につながる自覚症状がなかった理由を知り、納得できた。

 京都桂病院(京都市)でも、11年秋から、病理解剖の最終結果を、主治医と病理診断科副部長の安原裕美子さんが一緒に説明する取り組みを始めた。まず、結果がまとまったことを手紙で伝え、説明を希望するかどうかを尋ねる。

 返信の期限は、あえて設けていない。安原さんは、「愛する家族が亡くなった病院に足を運ぶ気持ちになるまでの時間は人それぞれです。これからも遺族の心情に寄り添いながら、よりよい説明の仕組みを整えていきたい」と話している。(中島久美子)

病理解剖
 診断や治療が的確だったかの検証や、病態の解明を目指す。遺族の承諾が必要。死体解剖保存法に基づき解剖する。厚生労働省の死体解剖資格の認定をうけた病理医らが行う。



http://www.shimotsuke.co.jp/category/life/welfare/medical/news/20140807/1679054
模擬手術に中学生挑戦 上都賀病院で「外科医体験セミナー」 鹿沼
8月7日 朝刊 下野新聞

 【鹿沼】上都賀総合病院で2日、外科医体験セミナーが開かれ、中学生9人が参加して模擬手術などを体験した。

 全国的に外科医志望者が減少している中、未来を担う中学生に手術の一部を体験してもらい、外科医について理解し、将来の職業として考えてもらうのが狙い。市内、宇都宮、日光市の中学生が参加した。

 セミナーには同病院の医師、看護師ら23人が対応。初めに知久毅副院長が外科医の心構えなどを紹介。実際の手術で使うマスク、キャップ、手袋、ガウンを着用し、普段は入れない手術室に入室。電気メスや内視鏡手術練習用の器具を操作したり、ブタの骨を使って骨折した骨の固定、縫合などにも挑戦した。



http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140807_1/
STAP細胞問題にご関心を寄せられる方々へ
独立行政法人理化学研究所

2014年8月7日

再生医学分野を世界的に先導してきた笹井芳樹 発生・再生科学総合研究センター副センター長の早すぎる死を防げなかったことは、痛恨の極みです。笹井副センター長に謹んで哀悼の意を表すとともに、ご家族に心からお悔やみ申し上げます。
今、大切なことは、この不幸がこれ以上周辺の関係者に影響を与えないことであると認識しております。波紋が社会的に大きく広がる中で、関係者の精神的負担に伴う不測の事態の惹起を防がねばなりません。

3月以降、STAP論文の著者たちが、多方面から様々な批判にさらされ、甚だしい心労が重なったことを懸念し、メンタルケアなどに留意していたところですが、今回の事態に至ってしまったことは残念でなりません。

現在、当該論文著者のみならず、現場の研究者、特に若い研究者たち、技術者、事務職員ならびにその家族、友人たちの動揺と不安は深刻であり、非常に大きな心労を抱えている者もおります。理研は、今後もあらゆる方策で、こうした心身の負担軽減を講じていく所存ですので、皆様にも、ぜひこの状況をご理解とご協力いただきたくお願い申し上げます。

理研はSTAP研究論文にかかる問題の解明と、研究不正再発防止のための提言書等を踏まえた改革のためのアクションプランの策定に真摯に取り組んでおります。理研自らが、社会の要請に応えるべく、一刻も早く研究に専念できる環境を再生することが何よりも重要であると考えております。そのためにも、いましばらくの時間と静寂な環境を与えていただくことを切にお願い申し上げます。



http://www.saitama-np.co.jp/news/2014/08/07/05.html
知事裁量で780床増 第6次県地域保健医療計画
2014年8月7日(木) 埼玉新聞

 県の保健医療の総合的な指針となる第6次県地域保健医療計画(2013年度~17年度)について、計画の変更や進捗(ちょく)状況などを審議する協議会が6日、さいたま市内で開かれ、国の算定方法の見直しにより、上田清司知事の裁量で病床(ベッド)数を780床増床できることが協議会の委員に示された。

 病床数は5年ごとに実施される国勢調査の人口を基にし、都道府県で算出していた。第6次計画に基づき昨年、県内29病院に配分した1854床は10年度の国勢調査を基にしていた。

 高齢化の進展で患者数の増加などを危惧した県が国に是正を要望。5年ごとだった病床配分の改定が緩和され、人口も改定時直近のデータを使うことが認められた。

 県によると、県内では現在、10ブロックに分けた2次保健医療圏のうち、南部やさいたまなど五つの保健医療圏で722床が不足。知事裁量の780床と合わせると、最大で1502床の配分が可能という。

 県は病床配分について、救急医療や周産期医療などの喫緊の医療課題や医師の確保、育成に対応する病院の整備計画を採用する考えを明らかにした。

 増床分の配分などについては今後、県医療審議会で検討した上で、県議会に変更案を提出し、最終的には上田知事の裁量で決める。



http://diamond.jp/articles/-/57252
知らないと損する!医療費の裏ワザと落とし穴【第77回】
長崎県五島市の「おくすり説明会」に学ぶ!
高齢化ニッポンの薬剤費削減のヒントは離島にあり

早川幸子 [フリーライター]
2014年8月8日 ダイヤモンドオンライン

 九州長崎の西方100㎞に浮かぶ、大小140あまりの美しい島々。五島列島。その中で、南西部に位置する島々からなるのが五島市だ。

 奈良・平安期には遣唐使の寄港地となり、中世以降は海外貿易の拠点として栄えた歴史ある地域だが、じわじわと過疎化が進み、現在の五島市の人口は約4万人。市民の30%が65歳以上という高齢化率の高い地域となっている。

 行政区の全体が離島である五島市は、福江島、奈留島、島山島、前島、久賀島、蕨小島、椛島、赤島、黄島、黒島、嵯峨島という11の有人の島でなりたっている。

 このうち、飛行機やフェリーなどで本土と直接の交通の便があるのは福江島、奈留島の大離島(一次離島)のみ。こちらは、病院や診療所、薬局・薬店があり、医療体制も整っている。

 それ以外の9島は、「離島の中の離島」とも呼ばれる小さな離島(二次離島)で、本土への直接の移動手段はない(ただし、島山島は福江島と橋で結ばれている)。比較的人口の多い久賀島、椛島には診療所はあるが、それ以外の地域は無医村で、薬局・薬店も存在しない。いわゆる僻地(へきち)で、日常的な医療の確保が困難な地域に分類される。

 そこで、五島市では、僻地での医療を円滑に行うために工夫を凝らしており、そのひとつが小離島の住民を対象とした「おくすり説明会」というユニークな取り組みだ。その中心にいるのが、長崎県薬剤師会理事・離島対策委員会委員長で薬剤師の平山匡彦さん(福江島で「ゆうとく薬局」を経営)だ。

離島に必要なのはネット販売より
医薬品を正しく使う情報提供だった

 平山さんら薬剤師が五島市と共同で、小離島の住民向けの「おくすり説明会」を始めたのは、2009年の薬事法改正を受けた一般用医薬品のインターネット販売の実態調査がきっかけだった。

 その翌年、長崎県薬剤師会は、五島市、東京大学と共同で、インターネットによる一般用医薬品の購入について離島や僻地で暮らす住民がどのような意識を持っているかを調査した。その結果、年齢層が高く、インターネットを利用していない人も多いため、離島の住民のほとんどはネットで医薬品を購入しておらず、その必要性も感じていないことが明らかになったのだ。

 同時に、この調査を通じて平山さんが痛感したのは、「小離島の住民には医薬品を正しく使うための情報が行き渡っていない」ということだった。

 薬は、正しく使えば病気やケガからの回復を助けてくれるが、誤った使い方をしたり、飲み合わせが悪かったりすると健康被害を起こすこともある。だからこそ、医薬品の使用に際しては、専門知識をもった薬剤師の介入が必要だ。

 しかし、二次離島には薬局・薬店はない。身近に薬剤師がいれば得られる情報から、住民が疎外されているがわかったのだ。そこで、2012年から、長崎県薬剤師会は五島市などの協力を得て、二次離島の住民向けの「おくすり説明会」を開催することを決定。

「福江島の薬剤師が二次離島に出かけていき、医薬品の正しい使い方、飲み合わせの注意、おくすり手帳やかかりつけ薬局を持つことの重要性などを地域の集会所などでお話しする機会を定期的に持つことにしたのです」(平山さん)

 その「おくすり説明会」は、今年で3年目を迎え、じわじわと島民の間でも浸透している。では、具体的にどのようなことが行われているのだろうか。7月27日に訪問した黄島、黒島での説明会の様子を紹介しよう。

薬局のない小離島に船で渡って
「おくすり説明会」を開催

 午前中に訪問した黄島は住民50人弱の小離島で、定期的な医師の訪問診療はあるが、通常は無医村だ。前述したように薬局・薬店はない。ここでの「おくすり説明会」は、今年で3回目。この日は、男女合わせて8名の島民の参加があった。

 説明に当たるのは、平山さんのほか、福江島の薬剤師・井上広平さん、長崎県の保健所職員で薬剤師の嵩下賢さん。地域の集会所で、パワーポイントを使って、薬剤師の役割、薬の正しい使い方、薬を飲むときの注意点、かかりつけ薬局・おくすり手帳の重要性などを説明していった。

 たとえば、内服薬は、コップ1杯程度の水で飲むのがよいとされている。だが、その理由を正しく理解している一般市民は少ないのではないだろうか。

 そこで、具体例としてグレープフルーツジュースと血圧や狭心症の薬などとの相互作用を解説。まずは、井上さんがパワーポイントを使って、グレープフルーツジュースが酵素の働きを阻害することで、薬の血中濃度があがって副作用が出る可能性をわかりやすく説明していった。

 薬の相互作用についての理解を促すために、平山さんは実際に試験管を用いた実験を披露。水とグレープフルーツジュースのそれぞれを入れた2本の試験管を用意し、胃薬にも使われている重曹(炭酸水素ナトリウム)を投入した。

 水の入った試験管は何事もなく重曹が溶けていくのに対して、グレープフルーツジュースでは二酸化炭素ガスが発生し、試験管から大量の泡が噴出。実験の様子を見守っていた住民は「わぁ~」と驚きの声をあげて、水で薬を飲むことの大切さを理解していった。

 午後は、黒島に移動。住民は高齢の親子2人だけで、医師の訪問診療もないため、薬剤師による服薬指導の必要性は高くなる。黒島での「おくすり説明会」は昨年に引き続き2回目で、直接、住民宅を訪問。こちらでは、紙芝居を使って黄島と同様の内容の説明が行われ、試験管を使った実験も披露した。

 説明会は終始和やかで、薬剤師たちを乗せた船が黒島を去るとき、船が見えなくなるまで港から親子が手を振ってくれていたのが印象的だった。


かかりつけ薬局で薬歴を管理し
おくすり手帳で情報を共有

 島から島を渡って行われている「おくすり説明会」は、2012年は9回の開催で82名が参加。2013年は11回の開催で124名が参加している。今年も同様の訪問が予定されており、それまで薬剤師の仕事の内容を理解していなかった住民からも「薬のことは、薬剤師から説明を受けるほうがわかりやすい」「今後も、定期的に説明会を続けてほしい」といった声が聞かれるようになっている。

 1年に1~2回でも定期的に離島を訪問することで、顔の見える関係ができて、住民と薬剤師の間には信頼関係が芽生えていることが伺える。「おくすり説明会」を通じて平山さんたちが目指しているのは、小離島の住民にも、福江島や本土にかかりつけ薬局を作ってもらい、おくすり手帳を持つことで、患者の薬歴情報を共有し、いざというときの健康管理に役立つ体制を作ることだ。

「かかりつけ薬局を作ってもらい、薬歴を記録したおくすり手帳を携帯してもらえば、電話などでも医療用医薬品の服薬指導ができます。また、患者さんが一般用医薬品を利用したいと思ったときも、飲み合わせを確認できるので、大離島から一般用医薬品を送ったり、小離島で入手可能な一般用医薬品の服用についても適切なアドバイスができるようになります」(平山さん)

 薬剤師による適切な服薬指導は、患者の健康管理に役立つのはもちろんだが、適正に医薬品を使用することで、国民医療費の削減にも期待が持てるのではないかと筆者は考えている。

住民の健康管理に加えて
薬剤費の削減も期待

 現在、日本国民が使っている薬剤費は年間約8兆円で、国民医療費の2割を占めている。だが、そのうちの400億円は、処方されても飲まずに捨てられていると推測されている。

 こうした残薬をなくすためには、患者が薬を飲まない原因を薬剤師が探って、他に飲みやすい形状の薬剤に変更したり、医薬品の適正な使用方法をアドバイスしたりするなどの介入が必要だ。五島市で行われている「おくすり説明会」のような住民への指導は、離島だけではなく、どこの自治体でも有効な手段になるのではないだろうか。

 五島市では、「おくすり説明会」のほかにも、島内に19施設あるすべての調剤薬局が参加している調剤情報共有システムを導入し、登録を希望する患者の薬歴を管理できるようにするなど、先進的な取り組みを行っている。

 2025年に向けて、今後ますます日本は高齢化が進んでいき、それは都市部でも例外ではなくなる。その意味で、高齢化率で先を行く五島市をはじめとする離島や僻地の自治体での取り組みからは、学ぶことは多いはずだ。

 今後も、五島市の薬剤師たちの活動に注目していきたい。



http://www.47news.jp/CN/201408/CN2014080701001562.html
介護療養病床の機能存続へ 厚労省、高齢者増加で
2014/08/07 20:32 【共同通信】

 厚生労働省は7日、2017年度末での廃止が決まっていた介護型療養病床の機能を存続させる方針を固め、社会保障審議会の分科会に示した。認知症や慢性疾患を抱え、医療と介護の両方のサービスを必要とする高齢者が増加すると見込まれており、今後も必要だと判断した。

 秋以降、利用者や病院の実態調査などを踏まえ、現在果たしている役割をどのような形で引き継がせるか具体策を検討する。来年度の介護報酬改定にも反映させる。

 厚労省内では、従来の枠組みは廃止した上で、みとりや終末期のケアを充実させた新たな形で再編成する案が浮上している。


  1. 2014/08/08(金) 06:42:45|
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