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Doctor G 3 のメディカル・ポプリ

地域医療とプライマリケア、総合診療などに関係したネット上のニュースを記録。医学教育、研修、卒後キャリア、一般診療の話題、政策、そしてたまたまG3が関心を持ったものまで。ときどき海外のニュースも。

7月12日 

http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140712/201407120907_22884.shtml
医学生ら訓練奮闘 岐阜大病院、大規模災害を想定
2014年07月12日09:07 岐阜新聞

 岐阜市柳戸、岐阜大学病院で11日、大規模災害への対応能力を高める多数傷病者受け入れ訓練があり、医学生が他職種と連携しながら治療の優先順位を判定するトリアージや応急処置、病棟との交渉などを繰り広げた。

◆傷病者受け入れを指揮

 災害・救急医療を学ぶ実習で、医学部医学科の4年生100人が医師役、患者役を担った。訓練には現役の看護師や事務職員、助言役の医師を含め総勢200人が参加した。

 大型バスが絡む多重の交通事故が発生したとの想定で、痛々しい傷口や流血などのメークを施した傷病者役60人が病院の玄関から次々と運ばれた。

 傷病者の中には妊婦役もおり、医学生は重傷度や緊急度に応じてグループ分け。指揮統括も医学生が担当し、無線機を使って頭や胸のコンピューター断層撮影(CT)などの検査室や収容先の病棟の空き具合を確認して対応を指示。処置の済んだ患者を搬出していった。

 トリアージエリアのリーダーを務めた4年小木曽美紀さん(22)は「事務職員の協力も得て滞りなくさばけた。全体を見渡してチームを引っ張る医師の役割の大きさがよく分かった」と収穫を語った。



http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=101272
基礎からわかる混合診療(2)素早く承認 実施病院拡充
(2014年7月12日 読売新聞)

Q 新制度 特徴は

 新設される「患者申出療養制度」(仮称)は、患者本人が国内では未承認の治療など、混合診療として受けたい保険外診療を医療機関に申し出ることから始まる。医師が効果が期待できると判断したうえで、治療の内容や安全性・有効性を十分説明し、患者が最終的に納得すれば、国などに承認を求める流れとなる。

 現行の「評価療養」では、混合診療を受けるためには、患者の年齢や既往症の有無などの条件を満たす必要がある。受けられる医療機関も限定されており、「患者のニーズに応えられていない」との指摘があった。

 新制度は、治療内容次第で、身近な医療機関でも混合診療を受けられる。現行では半年程度かかっていた治療の承認までの期間も、原則2~6週間と大幅に短縮する。

 新制度では、国内で前例がない先進的な治療の実施は「臨床研究中核病院」に限る。副作用の大きい抗がん剤の複数投与や、開腹して薬を投与する治療など難易度の高いものを想定している。中核病院からの申請を受けた国の専門家会議が、原則6週間で承認するかどうかを審査する。中核病院は、京大病院、慶大病院など全国15施設で、国は今後、中核病院を追加していく考えだ。

 一方、飲み薬による抗がん剤投与や、国内未承認の眼内レンズを挿入する白内障の手術など、すでに実施例があるリスクの低い治療は、その治療に詳しい医師がおり、医療環境が整っていれば、実施する医療機関は問わない。治療内容によっては、診療所も含め全国1000程度の医療機関で受けられる可能性もある。承認までの審査も、低リスクの治療を行った実績がある中核病院が行い、約2週間で結論を出すことになる。

 新制度のもと、保険外診療の治療実績が積み重なり、安全性や有効性が確認されれば、保険適用が早まることもありそうだ。
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http://sankei.jp.msn.com/region/news/140712/szk14071202150001-n1.htm
震災発生直後の即戦力へ DMAT看護師が中学生を指導 静岡
2014.7.12 02:15 産經新聞

 災害発生時に地域の中学生たちに活躍してもらおうと、藤枝市立総合病院の看護師らが9、11日の2日間、同市立藤枝中学校(同市音羽町)で担架を使った搬送方法などを3年生ら約200人に指導した。

 同校は災害発生時の避難所として指定されており、けがの治療を行う救護所の藤枝小学校までは約2キロの道のり。地震の影響で車が使えなくなった状況を想定し、人数を変えながら担架でけが人を運ぶ訓練を実施した。災害派遣医療チーム(DMAT)の一員で救急看護認定看護師の実石光歩(みつほ)さん(43)は「人数が足りないときは頭の方を支える人数を多くして」などと指導。3年6組の大井祐里さん(15)は「想像していたよりも重かった」と苦戦していた。

 同市では、昨年から「震災発生直後の即戦力」として地域の学校に通う中学生に防災教育を実施。実石さんは「日中は親が仕事などで外に出ており、体力のある中学生が地域の自助の要になる」と話していた。



http://www.chibanippo.co.jp/news/national/203258
順天堂大浦安病院 11人が集団食中毒 千葉県、職員食堂を営業停止に
2014年07月12日 13:39 千葉日報

 千葉県は11日、浦安市富岡の順天堂大学浦安病院の職員専用食堂で食事をした19~53歳の職員男女計11人が下痢や発熱などの症状を訴え、このうち4人から食中毒の原因となるサルモネラ菌が検出されたと発表した。県は同食堂の食事が原因の食中毒と断定し、13日まで3日間の営業停止処分とした。入院患者はなく、全員快方に向かっている。

 県衛生指導課によると、同病院から8日、「職員食堂で食事をした職員が体調不良を訴え、患者の便からサルモネラ菌が検出された」と市川保健所に連絡があった。同保健所が調査したところ30日に同食堂でオムライスを食べた11人が発症し、8人が医療機関を受診していたことが判明した。



http://www.m3.com/iryoIshin/article/232677/
スペシャル座談会◆総合診療専門医
総合診療専門医、今まさに創設へ◆Vol.1
国民・医師から尊敬される存在目指す

2014年7月11日(金) 司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

 この5月に、日本専門医機構が発足、専門医制度改革が本格化した。その柱は二つ。第一は、同機構が、第三者機関として専門医の評価・認定などを行うこと、第二は、総合診療専門医を19番目の基本領域の専門医として位置付けることだ(『最大の成果は「総合診療医」の創設 - 高久史麿・日本医学会会長に聞く』を参照)。高齢社会を迎え、日常遭遇する疾患や障害に対して、継続医療を全人的に提供する役割などを担う、総合診療専門医への注目度は高い。
 総合診療専門医が制度化された背景や担うべき役割、取得・更新の条件など、総合診療専門医をめぐる多岐にわたる話題について、日本専門医機構理事長の池田康夫氏、日本医師会副会長の今村聡氏、日本プライマリ・ケア連合学会理事長の丸山泉氏の3人のキーパーソンに語っていただいた(2014年6月11日に座談会を実施。計5回の連載。写真:的野弘路)。

――まずそもそも今なぜ総合診療専門医が必要なのか。その辺りのお考えからお教えください。

池田 総合診療専門医を養成する必要性については、厚労省の「専門医の在り方に関する検討会」でも、ほとんどの先生方が支持されていました。ただし、その医師像を明確にしないと、必要性については皆さんに理解してもらうことが難しいと思います。

 日本医師会は、地域に密着した医療を行う「かかりつけ医」という考え方をお持ちです。また大学病院などには「総合診療科」が創設されています。こうした状況がある中、厚労省の検討会でも、「総合診療専門医は、どんな医師なのか、何をやる医師なのか」を相当議論しました。

 検討会の報告書でまとめた通り、総合診療専門医の役割は、日常診療で遭遇する疾患に適切な初期対応を行うこと。また全人的な継続医療、さらには地域を診る役割も担います。ここで言う「地域」とは、過疎地に限らず、都市部にもあります。

 しかし、現状では総合診療専門医の役割を担う医師の数は少ない。「卒業したら、領域別の専門医を取得したい」という若手医師が8、9割でしょう。今の若い医師は、昔の医学博士志向に代わり、専門医志向です。医療の専門分化が進んでいることは明らかで、それは患者さんのニーズから言っても同様です。以前、ある講演をした際、患者さんに「専門医って、どんな医師だと思いますか」と聞いたところ、「スーパードクター」という答えが多かったのですが、「疾患ごと、病気ごとに専門医があったら、いいですね」との考えを持つ人も数多くいました。

 内科は臓器を超えて全人的に患者さんを診る必要があると思いますが、その内科ですら専門分化が進んでいます。「内科医でありながら、お腹を診ない」循環器専門医、あるいは「心音を聴かない」消化器専門医などが増えている状況です。

 超高齢社会を迎える日本の医療の現状を考えると、「総合的に、初期対応や全人的な医療を担うことができ、かつ地域を診ることができる医師」を、しっかりとした教育体制の下で育成し、各領域の専門医と役割分担をする体制を構築していくことが必要なのです。

丸山 今議論されている総合診療専門医は、我々の日本プライマリ・ケア連合学会が育成している家庭医療専門医に非常に近い考え方になりつつあり、池田先生がおっしゃったことは、私の考えとおおよそ一致しています。

 ただし、少し異なる点があるので、お話させていただきます。私は今の総合診療専門医をめぐる議論は、「日本のプライマリ・ケアの強化というコンテクストの入り口である」と捉えています。初期対応などができる医師として、総合診療専門医を養成するのではなく、患者中心の医療の方法論の確立が目的だと考えています。

 その背景には、人口構成、社会構造や疾病構造の変化、これらに対応するための地域包括ケアの推進など、様々な日本の喫緊の課題があります。医療が極めて高度に細分化していく中で、領域別の専門医がそれに対応し、より専門性を強化していくために、車輪の両輪のように、プライマリ・ケアの強化という意味で総合診療専門医が存在する。

 こうした仕組みを作るためには、総合診療専門医が、リスペクト(尊敬)される存在にならなければいけない。一つの専門領域として、総合診療専門医として位置づけるのは、そのためです。日本の国民に総合診療専門医の重要性を認識してもらうと同時に、医師の間でも、プライマリ・ケアの強化というコンテクストを理解してもらう必要があります。

 一方、日本の今のプライマリ・ケアは、日本医師会の会員を中心とした先生方が担っていることも忘れてはいけません。日本医師会が言う「かかりつけ医」は、「患者が選んだ」という意味で、非常に尊い言葉だと思うのです。選ばれるに足る医師像、患者が満足できる医師像を確立しなければいけない。そのためにも、総合診療専門医が、各地域でかかりつけ医の先生方とともに、「日本のプライマリ・ケアの強化というコンテクスト」という明確な方向性を共通することが必要でしょう。

――医師の間で、よく出てくる疑問ですが、既に地域で活躍されている先生方と、今後新たに養成される総合診療専門医が、両輪で取り組んでいくイメージでしょうか。

丸山 今日の今のこの瞬間に、誰が日本のプライマリ・ケアを支えているかを直視すべきということです。一方で、きちんとした教育体制を確立し、総合診療専門医を養成していくには時間がかかります。こうした現実を踏まえ、かかりつけ医と、今後新たに誕生する総合診療専門医がお互いにリスペクトして進めていく必要があります。これは、他の専門医からの総合診療専門医への移行とは、別の問題です。

池田 私は原理主義者ではないので、現実の医療に混乱を来さず、うまく回るようにしながら、新しい制度設計を考えていくことが必要だと考えています。その意味で、今回の専門医制度改革では、日本医師会が、横倉会長と今村副会長の下で、非常に協力的に議論に参加されている意義は大きいのです。それに加えて、日本医学会連合、各学会、全国医学部長病院長会議、四病院団体協議会なども含め、「オールジャパンでやろう」という非常にいい雰囲気があり、私はそれを大事に進めていきたいと思います。

 ただ、とかく日本の場合は、現実論が主流になると、新しい制度設計の理念が、少し歪められる傾向があるので、この点だけは気をつけたいと思います。

今村 理念的なお話は、まさしく池田先生と丸山先生が言われたことだと理解しています。日本医師会副会長という立場ではなく、個人的なお話をさせていただければ、私自身、特別なキャリアパスを歩んできました。麻酔科の指導医として、大学病院で長い間働き、その後、診療所を開業し、今は患者さんから「かかりつけ医」として選ばれて、内科の診療をしている日々です。

 都市部か地方かなど、地域によって様々な医療の在り方がありますが、各分野の専門性を持った医師が地域で開業していく中で、「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」という形で、患者さんからいろいろ学びながら、広い診療能力を身につけていくケースが多いのだと思います。非常に立派な先生方がたくさんいらっしゃるのが現実です。

 ただし、その研さんは、個々の先生方に任されています。患者さんから見ると、総合的な診療能力の質がどのように担保されているのか、どのような診療をしているのかなどが、分からないという事実もあります。さらに医療の在り方は地域によって異なり、都市部では専門医の先生方が連携し合いながら診療しているケースもあります。

 このような様々な事情がある中で、地域住民を支えていくための医師の在り方が議論されたわけです。私は当初、今後の高齢社会で、様々な疾病に罹患している高齢者を総合的に診るという「総合的な診療能力」と、介護や福祉、学校保健などにも携わる「地域を診る能力」、これら両方を持っているのが、かかりつけ医だと思っていました。このうち「総合的な診療能力」を主に持つのが、総合診療専門医であるとの理解でした。

 今回の厚労省の検討会では、総合診療専門医にも、「地域を診る能力」が求められています。言葉遊びをしていても仕方がないので、それが定義、皆さんの共通理解になるのであれば、それでいいと思っています。

 ただ、その際、丸山先生も言われたように、「新たに総合診療専門医をいかに養成するか」という議論と、今、地域で診療されている先生方の研修の在り方は、別の議論をしないと混乱します。この辺りは今後の課題です。

池田 「総合的な診療能力」と「地域を診る能力」は別の能力ですが、これら二つを併せ持っている方が、現実として、どこにいるかと言えば、それは地域です。地域で活躍されて、地域医療を担っている医師は全国津々浦々にたくさんおられます。

 これらの先生方は、今創設しようとしている総合診療専門医としての医師像をある程度、既に具現しておられ、それらの先生方に触発されて、「地域で診療をやりたい」と思っている若手医師が今、増えています。総合診療専門医を基本領域の専門医として位置付けるのは、こうした若手医師のために、しっかりとしたステータス、先ほど丸山先生が言われたように、「リスペクトされる」医師とする狙いがあります。



http://www.m3.com/news/GENERAL/2014/7/11/232727/
医療情報の標準化推進を - 残薬、重複投薬解消に効果
薬事日報 2014年7月11日(金) 配信 Doctors Community 1件

JUMPが政策提言

 日本ユーザビリティ医療情報化推進協議会(JUMP)は9日、都内で記者会見し、医療等情報の利活用強化に向けた提言を公表した。標準化の実質的な推進やマイナンバー導入、プライバシー保護法制の確立を課題に挙げ、抜本的な改革を要求。これにより、高齢者の薬の飲み残しによる400億円程度の残薬削減や約1400万件の重複投薬適正化、約1000億円程度の新薬開発コスト削減等が見込まれると効果を試算した。

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 提言では、わが国の医療分野への情報機器導入は世界トップレベルにあり、医療・介護等情報の電子化が進んでいるとしながらも、「情報の利活用が極めて不十分」と指摘。それぞれのデータベースを連結するための識別子が存在しない現状では(利活用は)不可能」とし、患者へのサービス提供や創薬に生かすための電子化に向け、抜本的な改革が必要との認識を示した。

 その上で、医療機関の情報システムの更新時に適切な誘導策を取ることで、施設を超えて情報を活用できるよう標準化を実質的に推進させると共に、医療分野に適用する連携用符号を含むマイナンバーの導入、番号を名寄せできないようにするプライバシー保護法制の確立を提言した。これらの課題を解決することにより、医療安全対策や正確なニーズに対応した創薬等が実現できるとした。

 具体的には、これまで各データベースに様々な形で蓄積されてきたデータを突合し、処方箋の電子化や電子お薬手帳等を利活用することにより、75歳以上の高齢者の薬の飲み残しが改善され、年間400億円程度の残薬削減につながるとした。

 院外処方の約3%、年間約1400万件以上に相当する重複投薬による過量投与、相互作用の防止が期待できるほか、広く薬剤の使用実態や副作用の発生状況が把握できるようになることで、副作用リスクの監視や評価が高度化され、安全な処方につながるとした。

 新薬開発の成功確率の向上、治験効率化への活用も提言し、大規模データベースの活用によって年間1000億円程度の削減が見込まれるとした。

 医療トレーサビリティの確立による患者の安全・安心の確保も期待できるとし、臨床現場で「何を」「誰が」「誰に」「どうする・どうした」を照合するシステムにより、医薬品等のモノのみならず、医療従事者等のヒトも含めてデータ管理し、医薬品等の取り違えの未然防止を実現できるとした。

 医療機関、調剤薬局、製薬企業や医薬品卸においても、トレーサビリティ管理が実施されることで、医薬品の副作用が発生した場合の発見、特定、追跡が容易となり、迅速な回収や緊急対応が可能になると指摘。医療関係者等が協力し、臨床現場での処方や消耗材料の交換等を記録・保存したデータを共同利用できる「医療トレーサビリティ情報管理プラットフォーム」(仮称)の早期構築を提言した。

 同協議会の山本隆一政策提言・広報部会長(東京大学特任准教授)は、政策提言の実現に向け、「癌や認知症等の重要な疾患に関して、十分なデータを集めるために標準化すべき項目を限定することが最も大切」と道筋を示し、「比較的少ないコストで標準化できる状態を作った上で、それを実際の診療現場に導入するため、医療機関にインセンティブを与えて進める必要がある」と提言した。



http://www.m3.com/news/GENERAL/2014/7/11/232682/
皆保険への国民理解に疑問、医学会総会プレイベント
池田宏之(m3.com編集部)
2014年7月11日(金) 配信

 2015年に京都を中心に関西で開催される第29回日本医学会総会のプレイベントとなる日本医学会特別シンポジウムが7月10日、大阪市内で開かれた。総合討論の中では、国民皆保険の重要性の国民の理解の低さが指摘され、「5年間くらい皆保険を止めてはどうかとも考える」と危機感を込めた発言のほか、フリーアクセス制限も議論すべきとの提案も出た。医療における費用対効果を検討する重要性や、安倍晋三政権が介護など社会保障サービスの担い手として期待する移民政策を疑問視する声もあった。

皆保険「空気のような存在」

 特別シンポジウムは、医療制度の現状と今後の対策について、6人が講演。国際医療福祉大学の矢崎義雄総長が内科学の立場から、大阪大学大学院医学研究科の澤芳樹教授が外科学の立場から、京都大学大学院医学研究科の湊長博氏が基礎医学の立場から、東北大学大学院医学系研究科の辻一郎教授が社会医学の立場から、元厚生労働省官僚で、政策研究大学院大学の島崎謙治教授は、政策学の立場から、NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」の山口育子理事長が患者の立場から超高齢社会を乗り越える方法などについて、それぞれ講演、その後、総合討論という形で行われた。

 総合討論で議論となった1点目は、国民皆保険についての国民側の理解不足。島崎氏は、「高福祉高負担」のイメージで知られるスウェーデンの実態を紹介。スウェーデンは、現在、グローバル化の中で、経済持続性の維持に力を入れ、減税が選挙戦の争点となっている。高齢者福祉の充実は止まり、若者の失業率が高くなり、「EU(欧州連合)の米国」と呼ばれるまでになり、「理想的」な社会保障像が崩れていて、日本における皆保険について「日本人にとって空気、水のような存在でありがたみが認識できていない」と問題を投げかけた。

 矢崎氏は、「5年間くらい皆保険を止めてはどうかとも考える」と危機感を示した上で、「医師会などでなく、国民から皆保険の重要性を訴えるようにしてもらいたい」と、国民の理解の広がりに期待を示した。

 山口氏は、患者側の皆保険への理解の低さに同調。医療機関の機能分化が進む中で、患者から退院を求めると「追い出される」などとの声がある点から、「(皆保険を理解するための)必要な情報を国民が理解していない」と述べた。


日本医学会特別シンポジウムの演者からは、国民皆保険について、フリーアクセスの面などからの言及もあった。

費用対効果、「医療者委縮しないように」

 皆保険を維持するためにフリーアクセス制限の必要性を強調する声も。医学会総会の会頭を務める井村裕夫氏(先端医療振興財団理事長)は、「大学病院を受診する必要のない人が行っており、フリーアクセスをどうするかが問題」と述べた。矢崎氏は、皆保険について、「質」「アクセス」「コスト」の3つの側面がある点に触れ、日本の財政の行き詰まりから、「色々な面で、フリーアクセスを制約せざるを得なくなるのでは」との見方を示した。

 皆保険維持に向けて、医療の在り方の変革を求める意見として、山口氏は、患者や家族が、医師以外の医療資格への理解が不十分な現状を紹介し、他の医療資格による対応で、患者や家族の満足度が上がる可能性を示唆。総会副会頭の平野俊夫氏(大阪大学総長)は、超高齢社会の中で、疾病を抱えながら生きる患者が増える点を踏まえ、「患者も(完治でなく)疾病で付き合うように、意識を切り替えてほしい」とした。

 医療のコストをめぐる意見も多かった。医療の高度化に伴う、医療費の増大については、澤氏は、患者を救うために「移植」「人工心臓」「再生医療」などの選択肢を残す重要性を指摘した上で、臨床試験などを重ねながら、効果などを検証していく考えを示した。

 井村氏は、再生医療などコストの高い医療技術については、「コストダウンの道などを探りながら、費用対効果を考えて行かないといけない」と指摘。辻氏は、費用対効果の必要性を認めながらも「(コストダウン圧力による)医療者の委縮が怖い」として、医療現場で必要な医療が実施されない事態を招かないように配慮するように求めた。矢崎氏は、日本の医療品や医薬品における貿易で、輸入超過が拡大し続けている点について「差を縮めないといけない」として、貿易赤字の縮小で、海外依存を弱める必要性を強調した。

移民推進政策に警鐘

 その他、社会保障政策全般についての意見も出た。島崎氏は、介護の担い手などを期待して、安倍政権が進める移民の受け入れ政策について、一定の必要性を認めたものの、移民が賃金などのインセンティブで移住先を選んでいる点を指摘し「外国人は日本の都合で来るわけではない。外国人に頼りきる政策は適切でない」と警鐘を鳴らした。

 辻氏は、身よりのないニートや介護を原因とした離職者の増加によって、将来的に日本の社会保障が行き詰まる可能性を指摘して「(彼らを支援する)インフラを整備すれば成長できるようになる」と述べた。

 辻氏は、デンマークの公衆衛生の研究チームの実態も紹介した。全員が10時から16時までの勤務で、Lancet誌やNew England Journal of Medicine誌などのトップジャーナルに毎年論文が掲載できる理由について、癌や処方についての国レベルのデータベースが完璧に構築されている点に触れ、「日本の疫学研究は基盤がなくデータをゼロから集めるなどして、うまくいかない。生産性を高める情報インフラも考えないといけない」と述べた。


  1. 2014/07/13(日) 06:50:03|
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